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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】気体動力装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 1/14 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
F01D1/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021532505
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019096484
(87)【国際公開番号】W WO2020038164
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】201810944526.3
(32)【優先日】2018-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519448049
【氏名又は名称】▲傳▼孚科技(厦▲門▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TRANF TECHNOLOGY (XIAMEN) CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.3701-6 Xiangan North Road, Xiangan District Xiamen, Fujian 361000, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼水▲電▼
(72)【発明者】
【氏名】李延福
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼涛
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206942813(CN,U)
【文献】特開2006-144720(JP,A)
【文献】特開2010-065651(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107061103(CN,A)
【文献】米国特許第3761195(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/06
F01D 1/14
F01D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体動力装置であって、
内輪表面に複数の駆動凹部が円周方向に設置されている外輪、
コア本体であって、外輪の内に同軸的に設置され、且つ、外輪に対して回転可能であり、コア本体の外輪表面に少なくとも1つの噴射口、少なくとも1つの排出口、および噴射口と排出口との間に位置する少なくとも1つの二次ストローク流路が設置されるコア本体、
少なくとも1つの噴射口に連通する少なくとも1つの吸気通路、および
少なくとも1つの排出口に連通する少なくとも1つの排気通路、を含み、
気体は、吸気通路から入り、コア本体の噴射口及び二次ストローク流路の段階的な噴出によって、外輪の円周方向での少なくとも2つの駆動凹部に作用し、これらの駆動凹部に推力を発生させて、外輪を押して回転させ、作業を行い、動力出力を実現し、最後に、気体は、コア本体の排気通路を通過して排出口から排出され
二次ストローク流路は、戻り経路及び連通されるストローク経路を含み、戻り経路は、外輪の対応する駆動凹部に連通され、ストローク経路が他の駆動凹部に連通され、
コア本体には、設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線である、吸気通路が設置され、二次ストローク流路のストローク経路は、設定方向が対数螺旋線であり、二次ストローク流路のストローク経路の対数螺旋線の設定方向と、吸気通路の対数螺旋線の設定方向とは、ほぼ一致することを特徴とする気体動力装置。
【請求項2】
少なくとも1つの吸気通路、少なくとも1つの噴射口、少なくとも2つの駆動凹部、少なくとも1つの二次ストローク流路、少なくとも1つの排出口及び少なくとも1つの排気通路が独立した作業ユニットを形成し、該気体動力装置には、少なくとも1つの独立した作業ユニットが含まれることを特徴とする請求項1に記載の気体動力装置。
【請求項3】
コア本体での噴射口及び二次ストローク流路は、外輪の対応する駆動凹部に連通され、二次ストローク流路は、コア本体の円周方向に沿って設置されることを特徴とする請求項1に記載の気体動力装置。
【請求項4】
吸気通路及び排気通路は、コア本体内で形成されることを特徴とする請求項1に記載の気体動力装置。
【請求項5】
コア本体には、
コア本体の周面で噴射口を形成し、設定方向が中央から外側へ延びる円弧線であり、噴射口が外輪の対応する駆動凹部に連通され、第1段の流路を形成する吸気通路、および
設定方向がコア本体のエッジから内側へ、再びエッジへ折り曲がって延びる円弧線であり、各二次ストローク流路が外輪に対応する前後の2つの駆動凹部に連通され、コア本体の円周方向に沿ってN段の流路を形成し、ただし、Nが2以上の自然数である二次ストローク流路、が含まれ、
各段の流路が外輪の対応する駆動凹部と合わせて、気体エネルギーが次第に減少する多段ストローク構造を形成することを特徴とする請求項4に記載の気体動力装置。
【請求項6】
コア本体の吸気通路は、設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線であり、該対数螺旋線の極点がコア本体の中心軸線に設置され、対数螺旋線の設定方向角が15°~45°であることを特徴とする請求項4に記載の気体動力装置。
【請求項7】
該気体動力装置はまた、1つの軸を含み、外輪及びコア本体が同軸的に軸に設置されることを特徴とする請求項1に記載の気体動力装置。
【請求項8】
該気体動力装置は、さらに、1つの軸を含み、外輪及びコア本体が同軸的に軸に設置され、該軸には、コア本体の吸気通路と排気通路にそれぞれ連通される吸気、排気軸経路が設けられることを特徴とする請求項4に記載の気体動力装置。
【請求項9】
軸内には、吸気、排気軸経路は吸気口、排気口を形成し、吸気、排気軸経路は、連通しない構造であることを特徴とする請求項に記載の気体動力装置。
【請求項10】
外輪は、側板を介して軸と合わせることにより密閉空間を形成し、コア本体は、密閉空間内に設置され、且つ、軸に接続して固定されることを特徴とする請求項に記載の気体動力装置。
【請求項11】
独立した作業ユニットには、吸気通路、噴射口、駆動凹部、二次ストローク流路、排出口及び排気通路が気体流動ルートを構成することを特徴とする請求項2に記載の気体動力装置。
【請求項12】
該気体動力装置には、2以上の独立した作業ユニットによって形成される、コア本体又は外輪の円周方向に沿って設置される多段駆動構造が含まれることを特徴とする請求項2に記載の気体動力装置。
【請求項13】
外輪の内輪表面には、2つ以上の駆動凹部が設置され、各駆動凹部が輪郭底面および駆動面を有し、輪郭底面の輪郭線が対数螺旋線であり、その極点が、コア本体の中心に設置されることを特徴とする請求項1に記載の気体動力装置。
【請求項14】
空気圧エンジンであって、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の気体動力装置を含み、前記気体動力装置に用いる気体は、圧縮気体又は圧力がある気体であることを特徴とする空気圧エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体動力装置を開示し、国際特許分類(IPC)の分類によると、動力を生成する機械装置類の技術分野に属する。
【0002】
エンジンは、本来の意味が「動力を生成する機械装置」のことを指し、ある形のエネルギーを機械的エネルギーに変換させる器械のことであり、例えば、液体又は気体が燃焼するときの化学エネルギーを燃焼することによって熱エネルギーに変換させてから熱エネルギーを膨張することによって機械エネルギーに変換させて外に動力を出力する。エンジン、特に空気圧エンジンは、現在、構造がコンパクトであり、効率的で信頼できる小型エンジンの開発を研究方向としているが、ほとんどは試験、即ち試作段階にあり、商業上に大規模に使用されていない。
【0003】
現在、ほとんどの気体エンジン設計のプロトタイプは、ピストンエンジン又はベーンポンプを基礎として、熱交換器が加熱されることによってエネルギー変換を実現し、動力の出力を実現し、構造が複雑であるだけでなく、非効率的であるため、航続上の要件を満足しにくい。
【0004】
中国特許文献CN201410167469.4は、インペラ室とインペラとを含む可変圧力ジェットエアエンジンを開示し、インペラ室には、圧縮気体を吹き込むための吹込み孔と圧縮気体を噴出するための排気孔とが設けられ、インペラは回転軸を介してインペラ室内に設けられ、インペラは回転周面に沿って均等に配置されたブレード歯を備え、インペラの回転周面がインペラ室の内面とエアギャップで結合され、インペラ室の内面にはさらに可変圧力ジェット溝が設けられる。該文献に開示された構造はベーンポンプに似ており、可変圧力ジェット溝の設置により、エンジンは回転数が低く、非効率的である。
【0005】
中国特許文献CN107083994Aは、空気圧エンジンを開示し、本案の発明者がこの前に提案した空気エンジンに関する発明創造であり、空気を直接駆動動力コアの吸気流路から噴出し、外輪の溝の表面に作用し、回転外輪を押す推力が発生する構成は、エンジン分野の転覆的な変革であり、その出力トルクは、従来の自動車エンジンにマッチングすることができ、航続距離に換算すると、同類の新エネルギー自動車の現在の航続距離に同等する。
【0006】
エンジンのパフォーマンスをさらに改善し、構造がコンパクトであり、効率的で信頼できる気体動力生成装置を実現するために、本発明者は、長年の開発と研究を重ねて、本発明を提出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術の不足に対して、本発明は、気体動力装置を提供し、コア本体に円周方向に設置される多段の流路により、気体のエネルギーは、数回利用されるようになり、コア本体によって回転外輪を駆動することは、動力の出力を実現し、構造がコンパクトで、トルクが大きく、回転速度が高く、伝送効率が高く、省エネ且つ環境にやさしいであるなどの利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段によって実現される。
気体動力装置であって、
内輪表面に複数の駆動凹部が円周方向に設置されている外輪、
外輪の内に同軸的に設置され、且つ、外輪に対して回転可能であり、外輪表面に少なくとも1つの噴射口、少なくとも1つの排出口、および噴射口と排出口との間に位置する少なくとも1つの二次ストローク流路が設置されるコア本体、
少なくとも1つの噴射口に連通する少なくとも1つの吸気通路、および
少なくとも1つの排出口に連通する少なくとも1つの排気通路、を含み、
気体は、吸気通路から入り、コア本体の噴射口及び二次ストローク流路の段階的な噴出によって、外輪の円周方向での少なくとも2つの駆動凹部に作用し、これらの駆動凹部に推力を発生させて、外輪を押して回転させ、作業を行い、動力出力を実現し、最後に、気体は、コア本体の排気通路を通過して排出口から排出される。
【0009】
さらに、少なくとも1つの吸気通路、少なくとも1つの噴射口、少なくとも2つの駆動凹部、少なくとも1つの二次ストローク流路、少なくとも1つの排出口及び少なくとも1つの排気通路が独立した作業ユニットを形成し、該気体動力装置には、少なくとも1つの独立した作業ユニットが含まれる。
【0010】
さらに、コア本体での噴射口及び二次ストローク流路は、外輪の対応する駆動凹部に連通され、少なくとも1つの二次ストローク流路は、対応する駆動凹部と交互に配置され、順次に連通され、二次ストローク流路は、コア本体又は外輪の円周方向に沿って設置される。
【0011】
さらに、吸気通路及び排気通路は、コア本体内で形成される。
【0012】
さらに、コア本体には、
吸気通路であって、コア本体の周面で噴射口が形成され、設定方向が中央から外側へ延びる円弧線であり、噴射口が外輪の対応する駆動凹部に連通され、第1段の流路を形成する吸気通路、及び
二次ストローク流路であって、設定方向がコア本体のエッジから内側へ、再びエッジへ折り曲がって延びる円弧線であり、各二次ストローク流路が外輪の対応する前後の2つの駆動凹部に連通され、コア本体の円周方向に沿ってN段の流路が形成され、ただし、Nが2以上の自然数である二次ストローク流路、が含まれ、
各段の流路が外輪の対応する駆動凹部と合わせて、気体エネルギーが次第に減少する多段ストローク構造を形成する。
【0013】
さらに、二次ストローク流路は、戻り経路及び連通されたストローク経路を含み、戻り経路が外輪の対応する駆動凹部に連通され、ストローク経路が他の駆動凹部に連通される。
【0014】
さらに、コア本体の吸気通路は、設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線であり、該対数螺旋線の極点がコア本体の中心軸線に設置され、対数螺旋線の設定方向角が15°~45°である。
【0015】
さらに、コア本体には、吸気通路が設置され、その設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線であり、二次ストローク流路のストローク経路は、設定方向が対数螺旋線であり、二次ストローク流路のストローク経路の対数螺旋線の設定方向と、吸気通路の対数螺旋線の設定方向とは、ほぼ一致する。
【0016】
さらに、該気体動力装置はまた、1つの軸を含み、外輪及びコア本体が同軸的に軸に設置される。
【0017】
さらに、該気体動力装置は、さらに、1つの軸を含み、外輪及びコア本体が同軸的に軸に設置され、該軸には、コア本体の吸気通路と排気通路にそれぞれ連通された吸気軸経路と排気軸経路が設けられる。
【0018】
軸内の吸気軸経路と排気軸経路には吸気口、排気口が形成され、吸気軸経路と排気軸経路は、連通しない構造である。
【0019】
さらに、外輪は、側板を介して軸と合わせることにより密閉空間を形成し、コア本体は、密閉空間内に設置され、且つ、軸に接続して固定される。
【0020】
さらに、独立した作業ユニットには、吸気通路、噴射口、駆動凹部、二次ストローク流路、排出口及び排気通路が気体流動ルートを構成する。
【0021】
さらに、該気体動力装置には、2つ以上の独立した作業ユニットが含まれることにより、コア本体又は外輪の円周方向に沿って設置される多段駆動構造を形成する。
【0022】
さらに、外輪の内輪表面には、2つ以上の駆動凹部が設置され、各駆動凹部は、輪郭底面および駆動面を有し、輪郭底面の輪郭線が対数螺旋線であり、その極点が、コア本体の中心に設置される。
【0023】
空気圧エンジンであって、前記の気体動力装置を含み、気体動力装置に用いる気体は、圧縮気体又は一定の圧力がある気体である。無段変速機であって、前記の気体動力装置を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の気体動力装置は、構造がシンプルであり、トルクが大きく、回転速度が高く、伝送効率が高く、エネルギー消耗が低く、交通機関、発電機器および動力出力装置を必要とするその他の各分野に広く応用することができ、本発明の有益な効果は、以下である。
【0025】
1、本発明では、コア本体に設置された多段の流路は、吸気通路を第1段の流路とし、各二次ストローク流路を第2、3、4……段の流路とし、気体は第1段の流路を介して外輪の1つの駆動凹部に作用し、駆動凹部が第2段の流路に連通され、そして、第2段の流路に戻って外輪の他の駆動凹部に作用し、気体を排気通路から排出するまで順次類推し、プロセス全体は、外輪回転方向に沿って時計回りで行われており、トルクが大きく、伝送効率が高く、気体利用率が高く、出力トルクが回転速度の増加につれ、さらに増大する。
【0026】
2、本発明のコア本体の円周方向に配置された各流路により、装置全体の体積を有効的に減少させ、各分野の動力生成又は出力機器と柔軟に合わせることができると同時に、コア本体により多くの吸気流路が設置されるほうが、全体の重量が軽減され、装置の出力速度及び効率をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施例の概略図である。
図2】本発明の第1の実施例の軸のA方向の側面図である。
図3】本発明の第1の実施例の軸のB方向の側面図である。
図4】本発明の第1の実施例の一断面図である。
図5】本発明の第1の実施例の他の配置図である。
図6】本発明の第2の実施例の概略図である。
図7】本発明の第2の実施例の軸のC方向の側面図である。
図8】本発明の第2の実施例の軸のD方向の側面図である。
図9】本発明の第2の実施例の直径方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に合わせて本発明についてさらに説明する。
【0029】
実施例1において、図1図4を参照されたい。気体動力装置であって、内輪表面の円周方向に複数の駆動凹部11が設置されている外輪1、外輪1の内に同軸的に設置され、且つ、外輪に対して回転可能であり、外輪表面に少なくとも1つの噴射口301、少なくとも1つの排出口302、および噴射口と排出口との間に位置する少なくとも1つの二次ストローク流路300が設置されるコア本体3、
少なくとも1つの噴射口301に連通する少なくとも1つの吸気通路31、および
少なくとも1つの排出口302に連通する少なくとも1つの排気通路310、を含み、
気体は、吸気通路31から入り、コア本体3の噴射口301及び二次ストローク流路300の段階的な噴出によって、外輪1の円周方向での少なくとも2つの駆動凹部11に作用し、これらの駆動凹部11に推力を発生させて、外輪1を押して回転させ、作業を行い、動力の連続的な出力を実現し、最後に、気体は、コア本体3の排出口によって排気通路を介して排出される。該気体動力装置はまた、軸2を含み、外輪1及びコア本体3が同軸的に軸2に設置される。
【0030】
図4に示すように、吸気通路31及び排気通路310は、コア本体3内に形成され、コア本体3での噴射口301及び二次ストローク流路300は、外輪1の対応する駆動凹部11に連通され、少なくとも1つの二次ストローク流路300は、対応する駆動凹部11と交互に配置され、順次に連通され、二次ストローク流路300は、コア本体又は外輪の円周方向に沿って設置される。
【0031】
図4に示すように、コア本体3には、コア本体の周面で噴射口301を形成し、設定方向が中央から外側へ延びる円弧線であり、噴射口301が外輪の対応する駆動凹部11に連通され、第1段の流路を形成する吸気通路31、及び
設定方向がコア本体3のエッジから内側へ、再びエッジへ折り曲がって延びる円弧線であり、各二次ストローク流路300が外輪1の対応する前後の2つの駆動凹部11に連通され、コア本体の円周方向に沿ってN段の流路を形成し、ただし、Nが2以上の自然数である二次ストローク流路、が含まれる。説明すべきものとして、ここでは、2段の流路である場合、第1段の流路(吸気通路)及び第2段の流路(二次ストローク流路)が含まれ、3段の流路である場合、第1段の流路(吸気通路)、第2段の流路(二次ストローク流路)、及び第3段の流路(他の二次ストローク流路)が含まれ、……。
各段の流路が外輪の対応する駆動凹部と合わせて、気体エネルギーが次第に減少する多段ストローク構造を形成する。
【0032】
負荷の要件により、気体動力装置に対して設計することができ、そのうちのコア本体3は、2段の流路、3段の流路、又はより多くの段の吸気流路を設置してもよく、段ごとに循環的に作業を行い、エネルギーが充分に利用され、使用効率を最大限に向上させることにより、出力トルク及び回転速度の要求を満たす。
【0033】
図5に示すように、図5は4段の流路の概略図であり、圧縮気体は、第1段の流路311から入ってから、第2、3、4段の流路312、313、314を介して噴出され、対応する駆動凹部11に作用し、最後に、気体は、排气流路310を介して排出される。図4は、5段の吸気流路の概略図であり、作業プロセスは、図5で示すものに類似する。図5に示すように、二次ストローク流路300は、戻り経路及び連通されたストローク経路を含み、図5での第3段の流路における戻り経路3131及び連通されたストローク経路3132のように、戻り経路3131は、外輪の対応する駆動凹部に連通され、ストローク経路3132が他の駆動凹部に連通される。
【0034】
図1を参照されたい。該気体動力装置はまた、軸2を含み、外輪1及びコア本体3が同軸的に軸に設置され、該軸2には、コア本体3の吸気通路31と排気通路310にそれぞれ連通される吸気、排気軸経路21、210が設けられる。軸内の吸気、排気軸経路は入口(吸気口)、出口(排気口)を形成し、吸気、排気軸経路は、連通しない構造である。外輪1は、側板41、42を介して軸2と合わせることにより密閉空間を形成し、コア本体3は、密閉空間内に設置され、且つ、軸2に接続して固定される。本発明では、コア本体3には少なくとも2段の流路が設置され、各段の流路が外輪の対応する駆動凹部に連通され、最後に、気体を排気通路を介して排出する。
【0035】
図1を参照されたい。本発明では、コア本体3は、左、右の2つのコア本体を合わせることによって構成されるものであってもよく、左、右のコア本体の合わせ面には、吸気通路31と排気通路310とが設置され、コア本体3はまた、一体で鋳造されてもよい。
【0036】
図1図4を参照されたい。本実施例は、一次駆動構造であり、コア本体3には、1つの気体通路が円周方向に沿って設置されて一次駆動構造を形成し、気体通路はまた、独立した作業ユニットと呼ばれ、コア本体3及び外輪1には、吸気通路31、噴射口301、少なくとも2つの駆動凹部11、少なくとも1つの二次ストローク流路300、排出口302及び排気通路310が独立した作業ユニットを形成し、該気体動力装置には、少なくとも1つの独立した作業ユニットが含まれる。独立した作業ユニットには、吸気通路31、噴射口301、駆動凹部11、二次ストローク流路300、排出口302及び排気通路310が気体流動ルートを構成する。
【0037】
図1図4又は図5を参照されたい。本発明では、外輪1の内輪表面に2つ以上の駆動凹部11が設置され、各駆動凹部が輪郭底面111および駆動面112を有し、輪郭底面111の輪郭線は、普通の円弧線又は螺旋線であってもよく、輪郭底面の輪郭線が対数螺旋線である場合、その極点は軸に設置され、各駆動凹部11が2つの隣接する段の流路と同時に連通することによって前段の流路から入った気体は次段の流路を介して排出される。
【0038】
本発明では、コア本体3の吸気通路、即ち、第1段の流路の設定方向は、普通の円弧線又は螺旋線であってもよく、各二次ストローク流路、即ち、第N段の流路でのストローク経路の設定方向は、普通の円弧線又は螺旋線であってもよい。
【0039】
図4及び図5に示すように、本発明のコア本体3には吸気通路31が設置され、その設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線であり、二次ストローク流路300のストローク経路は、その設定方向が対数螺旋線であり、二次ストローク流路のストローク経路の対数螺旋線の設定方向と、吸気通路の対数螺旋線の設定方向とは、ほぼ一致する。コア本体3の吸気通路は、その設定方向が中央から外側へ延びる対数螺旋線であり、該対数螺旋線の極点がコア本体の中心軸線に設置され、対数螺旋線の設定方向角が15°~45°であり、角度が小さいほど、流路が長くなり、損失が多くなるが、角度が大きいほど、外輪を駆動する接線力が小さくなる。
【0040】
図1図2及び図3を参照されたい。本発明の軸2内には、吸気、排気軸経路21、210が入口、出口を形成し、吸気、排気軸経路は、連通しない構造である。軸の入口及び出口は、軸の一端又は軸の両端に設置されてもよく、吸気軸経路21は、コア本体の吸気通路31に連通され、軸の排気口は、軸方向に延びて排気軸経路210を形成し、排気軸経路は、コア本体の排気通路310に連通する。
【0041】
本願に係る気体動力装置とは、気体エネルギーを機械回転に変換できる装置を指し、そのうち、該装置は、必要な外輪、コア本体及びそれに対応する凹部構造又は流路構造設計以外に、その他の部材を備えても良い。例えば、外部保護を提供するケース本体及び密閉構造などを備えても良い。また、トルク伝達を提供するカップリングなどを備えても良い。そのうち、外輪は、機械回転出力の異なる方式によって具体的な表現形式を変化することができ、例えば、外輪の外側で外歯形構造を形成することにより、ギア伝動の方式によって動的エネルギーを出力しやすい。また、例えば、外輪は、ベルト溝があることにより、ベルト伝動の方式によって動的エネルギーを出力する。さらに、例えば、外輪は、取り付け用のフラン盤があり、カップリングを便利に取り付けることにより、動的エネルギーを出力しやすいなどが挙げられる。コア本体及び外輪の材料は、金属、金属合金、プラスチック、複合材料に限定されない、硬い材料で製造され、コア本体及び外輪の凹部構造又は流路構造の加工は、既知のすべての生産手段によって実現されることができ、ダイキャスティング、鍛造、押し出し、3D印刷などの方式を含むが、それらに限定されない。該動力装置まで輸入された気体圧は、コンプレッサー(例えば、気圧ポンプ)、流体を圧縮するコンテナー(例えば、高圧気体シリンダー)などによって生成できる。
【0042】
図1及び図4では、説明すべきものとして、コア本体の吸気通路31、排気通路310及び吸気軸経路21、及び排気軸経路210は、作図規則では対応しないものであるが、説明を具象化するために、図1でのコア本体の吸気通路及び排気通路は、吸気通路及び排気通路そのものを指し、実施例2において、図6及び図9は、これに類似した概略的図示である。
【0043】
実施例2において、図6図9を参照されたい。気体動力装置には、2つの独立した作業ユニットによって形成された二次駆動構造が含まれ、即ち、コア本体3には、2つの気体通路が円周方向に沿って設置され、各気体通路は、1段以上の吸気通路31、コア本体3の円周方向に沿って配置される二次ストローク流路300及び排気通路310を含む。気体動力装置は、その内輪表面に複数の駆動凹部11が円周方向に設置される外輪1と、コア本体3であって、外輪1の内に同軸的に設置され、且つ、外輪に対して回転可能であり、コア本体の外輪表面に2組の噴射口、排出口が設置され、および、各組の噴射口と排出口との間に少なくとも1つの二次ストローク流路が設置されるコア本体3とを含み、コア本体には、噴射口に対応して連通される2つの吸気通路31、32、および、排出口に対応して連通される2つの排気通路310、320、を含み、2つの気体は、それぞれコア本体の2つの吸気通路から入り、コア本体3の噴射口及び二次ストローク流路300の段階的な噴出によって、外輪の円周方向での対応する駆動凹部11に作用し、これらの駆動凹部に推力を発生させて、外輪1を押して回転させ、作業を行い、動力出力を実現し、最後に、気体は、コア本体の排出口によって排気通路を介して排出する。上記の1つの吸気通路、1つの噴射口、対応する数の駆動凹部及び対応する二次ストローク流路、排出口及び1つの排気通路が独立した作業ユニットを形成する。
【0044】
該気体動力装置はまた、軸2を含み、外輪1及びコア本体3が同軸的に軸に設置され、該軸2には、コア本体の吸気通路31、32と排気通路310、320にそれぞれ連通される吸気軸経路21、22及び排気軸経路210、220が設けられる。軸2には、気体通路に対応する2つの吸気口と2つの排気口が設置され、圧縮気体は、軸2の2つの吸気口から入り、コア本体3の吸気通路によって噴出し、外輪1の駆動凹部11に作用し、推力を発生させて、外輪1を押して回転させ、作業を行い、最後に、圧縮気体は、コア本体3の排気通路を介して対応する排気口に到達し、連続的な動力出力を実現する。その他の構造は、実施例1での構造と同様であり、説明を省略する。
【0045】
実施例3において、本発明の気体動力装置には、4つ又はより多くの独立した作業ユニットによって形成される多段駆動構造が含まれ、コア本体には、3つ又はより多くの気体通路が円周方向に沿って設置され、各気体通路は、1段以上の吸気通路、コア本体の円周方向に沿って配置される二次ストローク流路、及び排気通路を含み、吸気通路及び排気通路がコア本体の左、右合わせ面に設置される。軸には、気体通路に対応する数の吸気軸経路と排気軸経路とが設置され、圧縮気体は、軸の吸気軸経路から入り、コア本体の吸気流路を介して噴出し、外輪の駆動凹部に作用し、外輪を押して回転させ、作業を行い、連続的な動力出力を実現し、最後に、圧縮気体は、コア本体の各排気通路を介して対応する排気軸経路に到達する。その他の構造は、実施例1での構造と同様である。
【0046】
実施例4
気体動力装置の試作機:
(一)2段の気体動力装置
1、主なパラメータは、以下のようなものである。
(1)気体圧:1.2MPa
(2)最高回転速度:8550r/min
(3)駆動構造段数:3
(4)吸気流路直径:Φ5mm
(5)単段駆動吸気段数:2
(6)外輪直径:Φ140mm
(7)外輪重量:2.5KG
2、出力トルク
静的トルク(回転速度0r/min) N静=4.95N・m
出力トルク1(回転速度1000r/minの場合) N1000=6.23N・m
出力トルク2(回転速度3000r/min) N3000=8.79N・m
出力トルク3(回転速度5000r/min) N5000=11.35N・m
出力トルク4(回転速度8550r/min) Nmax=15.89N・m
(二)5段の気体動力装置
1、主なパラメータは、以下のようなものである。
(1)気体圧:1.2MPa
(2)最高回転速度:17967r/min
(3)駆動構造段数:3
(4)吸気流路直径:Φ5mm
(5)単段駆動吸気段数:5
(6)外輪直径:Φ140mm
(7)外輪重量:2.5KG
2、出力トルク
静的トルク(回転速度0r/min) N静=9.58N・m
出力トルク1(回転速度1000r/minの場合) N1000=10.86N・m
出力トルク2(回転速度3000r/min) N3000=13.42N・m
出力トルク3(回転速度5000r/min) N5000=15.98N・m
出力トルク4(回転速度10000r/min) N10000=22.38N・m
出力トルク5(回転速度17967r/min) Nmax=33.58N・m
試験から分かるように、同等な条件では、駆動吸気の段数を増加することにより、出力トルクを著しく増大させることができ、加速パフォーマンスがよりよくなると同時に、回転速度の向上にも有利である。
【0047】
以上に記載の内容は、本開示技術内容を利用した実施例にすぎず、本開示を当業者による実用に移して行ったすべての修飾、変化は、いずれも本開示によって主張される特許範囲に属し、実施例で開示されたものに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9