(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】物体を乾燥させる装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A45D20/10 102
(21)【出願番号】P 2021556652
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2021082835
(87)【国際公開番号】W WO2021227675
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/089408
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/095146
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521284381
【氏名又は名称】深▲せん▼汝原科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SZ ZUVI TECHNOLOGY CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 25D, 25/F, Microsoft Ketong Building, 55 Gaoxin South 9th Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong Province, China 518057
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン ミンユ
(72)【発明者】
【氏名】タン イン
(72)【発明者】
【氏名】シュ シンワン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン レイ
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0094041(KR,A)
【文献】特開平02-065801(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021309(WO,A1)
【文献】特開2020-054494(JP,A)
【文献】特開2005-177234(JP,A)
【文献】米国特許第04382174(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00-20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を乾燥させる装置であって、
気流入口と気流出口を有する気流経路
が設けられるハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子と、
前記ハウジング内に収容され、赤外放射を生成し、前記赤外放射を前記ハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源
と、
少なくとも前記放射エネルギー源と前記気流生成素子に電源を供給するように構成された電源素子と、
を含
み、
前記放射エネルギー源は、当該放射エネルギー源の動作温度を所定の範囲内に保持するための、前記気流経路の外部に位置付けられた第1の部分と前記第1の部分に連結されて前記気流経路と熱交換する第2の部分とを含む、装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の前記少なくとも1つは、前記気流経路と接触するように位置付けられた
前記第2の部分をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部分は前記第2の部分より大きい表面積を有し、前記第2の部分は前記気流経路内に部分的に突出する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の部分は、前記第2の部分より大きい表面積を有し、前記第2の部分の表面は前記気流経路の輪郭に追従する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分は前記第2の部分より大きい表面積を有し、第2の部分は熱結合部を介して前記気流経路と接触する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは前記ハウジング内に収容される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電源素子に接続されたコントローラをさらに含み、前記コントローラは前記1つ又は複数の放射エネルギー源に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは前記気流経路と前記ハウジングとの間に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
複数の放射エネルギー源を有し、前記複数の放射エネルギー源は、前記気流経路の周辺に沿って前記気流経路と並置されるように位置付けられる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の放射エネルギー源は、前記気流出口の周辺に沿って前記気流出口と並置されるように位置付けられる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
複数の放射エネルギー源を有し、前記複数の放射エネルギー源は
、リング
形状に配置され、またはアレイ状に配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも一部は前記気流経路の少なくとも一部と一体に形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは少なくとも部分的にチャンバー内に収容され、前記チャンバーは少なくとも1つの開口を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記チャンバーは、1つ又は複数の放射エネルギー源の前記少なくとも1つによって生成された前記
赤外放射を隔離するように構成され、前記チャンバーの少なくとも一部は流線型である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記チャンバーは、コントローラ、前記電源素子、若しくはセンサーのうちの少なくとも1つの一部をさらに受け、又はその中に少なくとも部分的に収容される前記放射エネルギー源により生成された熱を放散させるように構成された熱結合部材をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
複数の放射エネルギー源を有し、前記複数の放射エネルギー源は
、前記気流経路
を中心としたリング
形状に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
物体を乾燥させる方法であって、
ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、前記気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、
前記ハウジングに収容された気流生成素子を介して、前記気流経路を通る気流を生じさせるステップと、
前記ハウジングに収容された1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、前記赤外放射を前記ハウジングの外部に向かって方向付けるステップであって、前記
放射エネルギー源は、当該放射エネルギー源の動作温度を所定の範囲内に保持するための、前記気流経路
の外部に位置付けられた第1の部分
と前記第1の部分に連結されて前記気流経路と熱交換する第2の部分とを含むステップと、
電源素子を介して少なくとも前記放射エネルギー源と前記気流生成素子に電源を供給するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
物体を乾燥させる装置であって、
気流経路が設けられるハウジングと、
赤外放射を生成し、前記赤外放射を前記ハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、その各々がリフレクターを含み、前記リフレクターは前記ハウジングの外部に向かう開口を有する、1つ又は複数の放射エネルギー源と、
少なくとも前記放射エネルギー源に電源を供給するように構成された電源素子と、
を含み、
前記1つ又は複数の放射エネルギー源の前記リフレクターのうちの少なくとも1つは、
円錐、円錐台、円柱形、球、又は回転楕円体の立体形状の周辺の少なくとも一部が除去された切り欠き形状を有
し、前記切り欠き形状が前記気流経路と接触するように位置付けられる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年5月9日に出願された国際出願第PCT/CN2020/089408号及び2020年6月9日に出願された国際出願第PCT/CN2020/095146号の優先権を主張するものであり、各々の内容の全体を参照によって本願に援用する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、物体を乾燥させる装置に関する。より具体的には、本開示は赤外(IR)放射を利用して毛髪を加熱し、そこから水を除去するヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のヘアドライヤー(例えば、送風ドライヤー)は、温風を吹き出して濡れた毛髪を乾燥させる。ヘアドライヤーは、モーター式インペラによって室温の空気を抽出し、抵抗加熱素子(例えば、ニクロム線)によって気流を加熱する。高温の気流は毛髪及び毛髪周囲の空気の温度を上昇させる。濡れた毛髪からの水の蒸発が加速されるが、これは、温度上昇によって水滴中の個々の分子が相互の吸引力を克服して液体状態から気体状態に変化するのが促進されるからである。毛髪周囲の空気の温度が上昇すると、濡れた毛髪周囲の相対湿度も下がり、それが蒸発プロセスをさらに加速させる。
【0004】
気流の加熱中、従来のヘアドライヤーは抵抗加熱素子を使って電気エネルギーを対流熱に変換する。しかしながら、対流熱は熱伝達効率において低い可能性があり、なぜなら高温の気流の一部しか毛髪に到達せず、毛髪に到達する高温の気流により運ばれる熱の一部しか毛髪及び毛髪上の水に伝達されない(例えば、熱の一部は周囲の空気により吸収される)からである。それに加えて、従来のヘアドライヤーが使用する対流熱の場合、毛髪は、それを完全に乾かすために高温の気流に過剰にさらされる。毛髪は表面のみが加熱され、これは縮れて乾いた、傷ついた毛髪となる原因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
毛髪のほか、布等のその他の物体をより高いエネルギー効率で乾燥させるための改良された装置が求められている。赤外(IR)放射が本開示の乾燥装置の物体から水と湿気を取り除くための熱エネルギー源として利用される。赤外放射エネルギー源は、安定で一貫した熱を提供するための赤外エネルギーを発出できる。赤外エネルギーは、物体(例えば、毛髪)に向けることができ、そのため、熱は輻射伝熱式に直接物体に伝達され、それが熱伝達効率を高める。
【0006】
赤外放射エネルギー源において、過熱と、ひいては赤外放射エネルギー源の供用寿命の短縮を防止するための動作温度の管理が求められている。赤外放射エネルギー源の動作温度は、赤外放射エネルギー源の一部を気流経路又は気流経路内の気流と接触するように位置付けて、それによって赤外放射エネルギー源からの余剰な熱を気流経路又は気流へと伝達できるようにすることによって管理される。
【0007】
物体を乾燥させるための小型軽量なコードレス装置が求められている。本開示のコードレス乾燥装置は、再充電可能及び/又は交換可能埋込バッテリーにより電源供給でき、それによって乾燥装置は携帯可能で便利となる。赤外放射エネルギー源の改善された熱伝達効率及びエネルギー効率の結果として、バッテリー電源式コードレス乾燥装置の動作時間は、十分な乾燥効果を発揮するための高い出力パワー密度を保持しながら、延長することができる。
【0008】
熱で毛髪が損傷を受けずに、毛髪を乾燥させる装置も求められている。毛髪を乾燥させる装置には、使用者の毛髪、周囲の環境、及び/又は装置の動作のパラメーターを測定するための複数のセンサーを設けることができる。毛髪を乾燥させる装置は、例えば使用者が装置を毛髪に近付けすぎているか、又は装置内に異常が検出された場合に使用者に触覚によるフィードバックを提供でき、それによって使用者が装置を調節し、又はその動作を停止できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、物体を乾燥させる装置が開示される。装置は、気流入口と気流出口を有する気流経路を提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子と、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つが気流経路と接触しないように位置付けられる第1の部分を含む、1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。物体を乾燥させる方法も開示される。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジングに収容された気流生成素子を介して、気流経路を通る気流を生じさせるステップと、1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部に向かって方向付けるステップであって、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは気流経路と接触しないように位置付けられた第1の部分を含むステップと、電源素子を介して少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するステップを含む。
【0010】
本明細書では、物体を乾燥させる装置も開示される。装置は、気流入口と気流出口を有する気流経路を提供するように構成されたハウジングと、ハウジングに収容され、気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子と、ハウジングに収容され、赤外放射を生成して、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源と、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つに連結され、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つからの熱を放散させるように構成された熱結合部と、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。物体を乾燥させる方法も開示される。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジング内に収容される気流生成素子を介して、気流経路を通る気流を生じさせるステップと、ハウジング内に収容される1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるステップと、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つに連結された熱結合部を介して、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの熱を放散させるステップと、電源素子を介して少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するステップを含むことができる。
【0011】
本明細書では物体を乾燥させる装置も開示される。装置は、ハウジングと、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、その各々がハウジングの外部に向かう開口を有するリフレクターを含む1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源に電源を供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターのうちの少なくとも1つは、切り欠き形状を有することができる。
【0012】
本明細書では、放射エネルギー源も開示される。放射エネルギー源は、放射エミッターであって、赤外放射を生成するように構成された放射エミッターと、リフレクターであって、少なくとも1つの頂点と放射エネルギー源の外部に向かう開口を有し、赤外放射を放射エネルギー源の外部へと方向付けるように構成されたリフレクターと、を含むことができる。放射エミッターは、放射エミッターの遠位端が開口に向かわないように、位置付けられ、向き付けられることができる。放射エミッターも開示される。放射エミッターは、電源が投入されると放射を生成するように構成された放射生成素子と、放射生成素子の下に位置付けられ、放射の少なくとも一部を放射エミッターの外部に向かって反射させるように構成された放射反射素子と、放射生成素子と放射反射素子をシールするように構成されたシール部材を含むことができる。
【0013】
本明細書では、物体を乾燥させる装置も開示される。装置は、ハウジングと、赤外放射を生成して、赤外放射をハウジングの外部に向かって方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であり、その各々が本開示の放射エミッターを含む1つ又は複数の放射エネルギー源と、リフレクターであって、ハウジングの外部に向かう開口を有するリフレクターと、少なくとも放射エネルギー源に電源を供給するように構成された電源素子を含むことができる。
【0014】
本明細書では、物体を乾燥させる装置も開示される。装置は、気流入口と気流出口を有する気流経路を提供するように構成されたハウジングと、ハウジングに収容され、気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子であって、少なくとも低ノイズモーターを含む気流生成素子と、ハウジングに収容され、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するように構成された電源素子を含むことができる。
【0015】
本明細書では、物体を乾燥させる方法も開示される。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであり、気流経路については気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジングに収容される気流生成素子を介して気流経路を通る気流を生じさせるステップがあり、気流生成素子は少なくとも低ノイズモーターを含むステップと、ハウジング内に収容される放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるステップと、電源素子を介して少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するステップを含むことができる。
【0016】
本開示のその他の態様と利点は、この分野の当業者にとって、以下の詳細な説明から容易に明らかとなり、本開示の1つの例示的な実施形態のみが、あくまでも本開示を実行するように企図される最善のモードの実例として図示され、説明される。明らかであるように、本開示はその他の異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は様々な自明な点において改良することができ、これらはすべて本開示から逸脱しない。したがって、図面と説明は、限定としてではなく、実例としての性質を有するとみなされるものとする。
【0017】
参照による援用
本明細書に記載のすべての出版物、特許、特許出願は、個々の出版物、特許、又は特許出願の各々が参照によって援用されると明確且つ個別に記されている場合と同等に、参照によって本願に援用される。
【0018】
図面の簡単な説明
本発明の新規の特徴は、付属の特許請求の範囲に詳細に記されている。本発明の特徴と利点は、その中で本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を示す、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図2】本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーの中の気流生成素子と放射エネルギー源を示す拡大断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による例示的な放射エネルギー源の略図である。
【
図4】本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図6】本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーの中の気流生成素子及び放射エネルギー源を示す拡大断面図である。
【
図8】本開示の実施形態による他の例示的な放射エネルギー源を示す略図である。
【
図9】本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図10】本開示の実施形態によるさらに別の例示的な放射エネルギー源を示す略図である。
【
図11】本開示の実施形態による
図10の例示的な放射エネルギー源を示す断面図である。
【
図12】本開示の実施形態によるさらに別の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図13】本開示の実施形態によるヘアドライヤーの中のセンサー構成を示す略図である。
【
図14A】本開示の実施形態による放射エネルギー源の例示的な構成を示す断面図である。
【
図14B】本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図15A-15C】本開示の幾つかの実施形態による気流経路に関する放射エネルギー源の例示的な構成を示す図である。
【
図16A-16C】本開示の他の実施形態による気流経路に関する放射エネルギー源の例示的な構成を示す図である。
【
図17】本開示の幾つかの実施形態による熱結合部を有する装置の例示的な構成を示す略図である。
【
図18A-18D】本開示の他の実施形態による熱結合部を有する装置の例示的な構成を示す図である。
【
図19A-19C】本開示のさらに別の実施形態による熱結合部を有する装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図20A-20D】本開示のまた別の実施形態による熱結合部を有する装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図21】本開示の他の実施形態による、1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターが切り欠き形状を有する、物体を乾燥させる装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図22】本開示の幾つかの実施形態による、リフレクターの開口の直径、リフレクターの開口における出力電力、及び装置の前方の所定の距離において受けられる電力の間の関係を示すシミュレーション結果である。
【
図23-24】本開示のまた別の実施形態による、物体を乾燥させる装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図25-26】本開示の幾つかの実施形態による放射エネルギー源の例示的な構成を示す概略図である。
【
図27-28】本開示の幾つかの実施形態による放射エミッターの例示的な構成を示す断面図である。
【
図29】本発明の実施形態による機器制御システムの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され、説明されているが、当業者にとっては明らかであるように、このような実施形態は例として提供されるにすぎない。ここで当業者であれば、本発明から逸脱することなく様々な変形型、変更、及び置換を着想するであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実施するために使用されてもよいと理解すべきである。
【0021】
別段の定義がないかぎり、本明細書で使用されるすべての技術及び専門用語は本発明が関する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明で使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定しようとしていない。英文による本発明の説明及び付属の特許請求の範囲で使用されるかぎり、単数形の冠詞(a、an、the)は、文脈上、明らかにそれと異なることを示していないかぎり、複数形も含むものとする。
【0022】
別段の断りがないかぎり、明細書及び特許請求項で使用されている構成要素、技術的効果、及びのその他のパラメーターを表すすべての数値は、すべての例において「約」又は「実質的に」という用語で修飾されていると理解されたい。したがって、逆の明示がないかぎり、以下の明細書及び付属の特許請求項に示される数値によるパラメーターは概数であり、本発明により得ることが求められる所望の特性と効果に応じて変わり得る。最低限でも、また、特許請求の範囲の均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値パラメーターは、有効桁の数と通常の丸め方式に鑑みて解釈すべきである。
【0023】
本発明の広い範囲を示す数値の範囲やパラメーターが概数であることにかかわらず、特定の例において示された数値は、可能なかぎり正確に提供されている。しかしながら、何れの数値も、それらのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差に必然的に起因する特定のエラーを本質的に含んでいる。本明細書全体を通じて挙げられている数値範囲はすべて、そのようなより広い数値範囲内に含まれるより狭い数値範囲のすべてを、そのようなより狭い数値範囲のすべてが本明細書に明記されているかのように含んでいる。
【0024】
物体を乾燥させる装置と方法が提供される。本開示の乾燥装置は、赤外(IR)放射エネルギー源を熱エネルギー源として使用することによって、物体(例えば、毛髪、布)から水と湿気を除去できる。赤外放射エネルギー源は、物体を加熱するために所定の波長範囲及び電力密度を有する赤外エネルギーを発出することができる。赤外エネルギーにより運ばれる熱は、輻射伝熱方式で物体に直接伝えられ、それによって熱伝達効率が従来の対流伝熱方式と比較して改善される(例えば、輻射伝熱方式では周囲の空気により吸収される熱はほとんどないが、従来の対流伝熱方式では熱の大部分が周囲の空気により吸収され、その後吹き飛ばされる)。赤外放射エネルギー源は、気流生成素子(例えば、モーター式インペラ)と共に使用でき、この気流は物体からの水の蒸発をさらに加速させる。
【0025】
赤外放射を熱エネルギー源として利用することの他の利点は、赤外熱が毛幹を通り毛髪キューティクルの外皮まで浸透し、したがって毛髪をより速く乾かし、また毛髪を弛緩させ、柔らかくする。赤外エネルギーはまた、頭皮の健康を助け、頭皮の血流を増進させることによって毛髪の成長を刺激すると考えられている。赤外放射エネルギー源の利用により、小型軽量の乾燥装置も実現でき、これは、気流の加熱のための抵抗ワイヤーグリッドが不要であるからである。赤外放射エネルギー源の改善された熱伝達効率及びエネルギー効率によって、コードレスの乾燥装置も実現でき、これは埋込バッテリーにより電源供給されて、より長い動作時間で動作する。
【0026】
図1は、本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。ヘアドライヤーは、ハウジング101を含むことができる。各種の電気、機械、及び電気機械構成部品、例えば気流生成素子102、放射エネルギー源103、制御回路(図示せず)、及び電源アダプター(図示せず)は、ハウジング101内に受けることができる。放射エネルギー源103は、輻射熱エネルギーを生成し、熱エネルギーを使用者の毛髪へと方向付けるように構成できる。気流生成素子102は、使用者の毛髪からの水の蒸発を容易にする気流を生成させるように構成できる。ヘアドライヤーは、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子にエネルギーを提供するように構成された電源素子を含むことができる。
【0027】
ヘアドライヤーは、外部電源から電源供給できる。電源素子は、外部電源から受け取った電圧及び/又は電流を調整する電源アダプターを含むことができる。例えば、ヘアドライヤーは、外部バッテリー又は送電網に電源コードを介して電気的に接続することによって通電させることができる。追加的又は代替的に、ヘアドライヤーは、埋込電源で電源供給できる。電源素子は、ハウジング内に受けられる1つ又は複数のバッテリーを含むことができる。1つ又は複数のバッテリーは、再充電可能(例えば、二次バッテリー)及び/又は交換可能とすることができる。代表例において、1つ又は複数のバッテリー104は、ヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハウジングのハンドル)内に受けることが可能である。バッテリーの状態(例えば、バッテリー充電状態、電力残量)は、例えばスクリーン又はハウジング上の発光ダイオード(LED)インディケータによって提供できる。
【0028】
ハウジングは、本体とハンドルを含むことができ、その各々はその中に電気、機械、及び電気機械構成部品の少なくとも一部を受けることができる。幾つかの場合に、本体とハンドルは一体とすることができる。幾つかの場合に、本体とハンドルは別々の構成部品とすることができる。例えば、ハンドルは本体から取外し可能とすることができる。代表例において、取外し可能ハンドルは、その中に1つ又は複数のバッテリーを収容でき、それがヘアドライヤーの電源供給に使用される。ハウジングは、電流に対する高い抵抗を有する電気的絶縁材料から製作できる。電気的絶縁材料の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマ(ABS)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、熱可塑性プラスチック、シリコーン、ガラス、ファイバーガラス、樹脂、ゴム、セラミック、ナイロン、及び木を含むことができる。ハウジングはまた、電気的絶縁材料で被覆された金属材料又は電気的絶縁材料と電気的絶縁材料で被覆された、又は被覆されない金属材料との組合せからも製作できる。例えば、電気的絶縁材料はハウジングの内層を形成することができ、金属材料はハウジングの外層を形成することができる。
【0029】
ハウジングは、1つ又は複数の気流経路をその中に提供できる。気流生成素子により生成された気流は、気流経路を通じて使用者の毛髪へと方向付け、及び/又は調整できる。例えば、気流経路は、ヘアドライヤーから出る気流の、少なくとも速度、スループット、発散角度、又は渦度を調整する形状とすることができる。気流経路は、気流入口と気流出口を含むことができる。代表例において、気流入口と気流出口は、ヘアドライヤーの、その長さ方向に沿った反対側の端に位置付けることができる。気流入口と気流出口は各々、効率的な気流スループットを可能にするための通気口とすることができる。周囲の空気は気流入口を介して気流経路内に抽出され、気流を生成することができ、生成された気流は気流出口を介して気流経路から出ることができる。
【0030】
幾つかの場合に、1つ又は複数のエアフィルターを気流入口に提供して、塵埃や毛髪が気流経路に浸入するのを防止できる。例えば、エアフィルターは適当なメッシュサイズを有するメッシュとすることができる。エアフィルターは、クリーニング及びメンテナンスのために取外し可能又は交換可能とすることができる。幾つかの場合に、気流調整器を気流出口に提供できる。気流調整器は取外し可能なノズル、コーム、又はカーラとすることができる。気流調整器は、気流出口から吹き出される気流の速度、スループット、発散角度、又は渦度を調整するように構成できる。例えば、気流調整器は気流出口から所定の距離だけ前方において気流を収束する(例えば、集中させる)形状とすることができる。例えば、気流調整器は気流出口から出る気流を拡散させる形状とすることができる。
【0031】
本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーの中の気流生成素子と放射エネルギー源を示す拡大断面図である
図2に例示的に示されているように、気流生成素子102は、モーター1022により駆動されるインペラ1021を含むことができる。インペラは、複数のブレードを含むことができる。モーターにより作動されると、インペラの回転が、周囲の空気を、気流入口を介して気流経路内に抽出して気流を生成し、生成された気流を気流経路内に押し込み、気流を気流出口から排出させる。モーターは、モーターホルダによって支持し、又はモーターシュラウド内に格納できる。モーターは、ブラシレスモーターとすることができ、その回転スピードはコントローラ(図示せず)の制御により調整できる。例えば、モーターの回転スピードは、事前設定プログラム、使用者の入力、又はセンサーデータにより制御可能である。何れの方向に測定されるモーターの寸法も、14mm(ミリメートル)~21mmの範囲とすることができる。モーターの電力出力は、35~80ワット(W)の範囲とすることができる。気流出口から出る気流の最大速度は、少なくとも8メートル/秒(m/s)とすることができる。
【0032】
気流生成素子102は
図1及び
図2において、ハウジングの本体内に受けられているように示されているが、当業者であれば、それをハンドル内に位置付けることもできることがわかるであろう。例えば、インペラの回転が空気をハンドルに設けられた通気口(例えば、気流入口)の中に抽出し、空気を、気流経路を通じてハウジングの本体の端に設けられた気流出口へと押し出す。気流経路はしたがって、ハンドル及びハウジングの本体を通じて延びることができる。
【0033】
放射エネルギー源103は、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成できる。放射エネルギー源は、放射エネルギー源ホルダーにより支持し、又は放射エネルギー源シュラウドの中に格納できる。幾つかの実施形態において、放射エネルギー源は赤外ランプとすることができ、これは電気エネルギーを赤外放射エネルギーに変換する。代表例において、赤外ランプは、所定の波長を有する放射を発出するように構成された放射エミッターと、放射を気流経路の出口に向かって反射するように構成されたリフレクターを含むことができる。他の代表例において、赤外ランプはまた、赤外発光ダイオード(LED)又は、二酸化炭素レーザー等のレーザー装置とすることもできる。レーザー装置がランプとして利用される代表例において、リフレクターは必ずしも必要でないことがある。レーザー装置からの放射を発散させて、赤外放射により照射される領域を増大させるために光学素子を提供できる。放射エネルギーは、使用者の毛髪に向けることができる。したがって、熱は輻射伝熱方式で毛髪へと伝達され、これがヘアドライヤーの熱伝達効率を向上させる。赤外ランプの詳細は、本開示において後述する。
【0034】
図2に示される代表例において、気流経路エンクロージャ105は、(例えば、気流経路の境界として)気流経路107を画定するために提供できる。気流経路エンクロージャ105は実質的に、ヘアドライヤーの長さ方向の一方の端から長さ方向の他方の端へと延びることができる。モーターとインペラは、気流経路のエンクロージャの入口端の付近に位置付けることができる。気流の特性(例えば、速度、発散角度、又は渦度)は、気流経路エンクロージャにより調整できる。例えば、気流経路エンクロージャの断面形状は、その長さ方向に沿って変化して、気流出口から出る気流の所望の速度分布及び/又は発散角度を得ることができる。幾つかの場合に、赤外ランプは赤外ランプエンクロージャ106内に格納できる。赤外ランプエンクロージャは、赤外ランプを保護する役割を果たすことができる。赤外ランプの外面と赤外ランプエンクロージャの内面との間の空間にある真空度を提供できる。幾つかの実施形態において、赤外ランプエンクロージャ106は、気流経路エンクロージャ105内に位置付けることができる。
図2に示されるように、気流経路107の少なくとも一部は、気流経路エンクロージャ105及び赤外ランプエンクロージャ106により画定できる。この構成を有するヘアドライヤーの側面図が
図4に示されており、赤外ランプ103の出力は気流経路107の気流出口により取り囲まれる。幾つかの実施形態において、赤外ランプエンクロージャは、気流経路エンクロージャの外側に位置付けることができる(例えば、赤外ランプエンクロージャは気流経路エンクロージャにより取り囲まれない)。この構成を有するヘアドライヤーの側面図は
図5に示されており、赤外ランプ103の出力は気流経路107の気流出口から分離される。当業者であれば、気流経路エンクロージャも赤外ランプエンクロージャも任意選択的とすることができる。
【0035】
気流経路は
図1及び
図2において、ハウジングの本体の長さ方向の一方の端における気流入口からハウジングの本体の長さ方向の他方の端における気流出口まで延びているように示されているが、当業者であれば、気流入口及び/又は気流出口は本開示のヘアドライヤーのハウジング上に分散させることができ、また、複数の気流経路及び/又は気流経路の分枝をヘアドライヤーのハウジング内に提供することもできることがわかるであろう。ある例において、気流入口の少なくとも一部は、ハウジングのハンドルに位置付けることができる。他の例において、気流出口の少なくとも一部は、ハウジングのハンドルに位置付けることができ、それによって気流の一部はハンドル内に受けられる1つ又は複数のバッテリーに取り入れられ、そこを通じて流れることができ、それによって1つ又は複数のバッテリーを冷却する。
【0036】
図3は、本開示の実施形態による例示的な放射エネルギー源を示す略図である。幾つかの実施形態において、放射エネルギー源は赤外ランプとすることができる。赤外ランプ103は、気流経路の気流出口に向けられる開口を有するリフレクター1032と、リフレクターの内部に位置付けられる放射エミッター1031を含むことができる。放射エミッター1031は、所定の波長範囲の放射を発出するように構成できる。放射エミッターから発出された放射は、リフレクター1032の反射面(例えば、内面)によってヘアドライヤーの外部に向かって反射させることができる。
【0037】
放射エミッターは、導電ヒーター(例えば、金属抵抗器又はカーボンファイバーで動作するヒーター)又はセラミックヒーターとすることができる。金属抵抗器の例としては、タングステンフィラメント及びクロメル(例えば、ニッケルとクロムの合金で、ニクロムとしても知られる)フィラメントを含むことができる。セラミックヒーターの例としては、正温度係数(PTC:positive temperature coefficient)ヒーター及び金属セラミックヒーター(MCH)を含むことができる。セラミックヒーターは、セラミックの中に埋め込まれた金属加熱素子、例えば窒化シリコン又はシリコンカーバイド内のタングステンを含む。放射エミッターは、ワイヤー(例えば、フィラメント)の形態で提供できる。ワイヤーは、その長さ及び/又は表面を増大させるためにパターニングできる(例えば、スパイラルフィラメント)。放射エミッターはまた、ロッドの形態で提供することもできる。代表例において、放射エミッターは所定の直径と長さを有する窒化シリコンロッド、シリコンカーバイドロッド、又はカーボンファイバーロッドとすることができる。
【0038】
幾つかの場合に、放射エミッターにより発出される放射は、0.4μm~0.7μmの可視スペクトル及び0.7μmより長い赤外スペクトルを実質的にカバーできる。幾つかの場合に、放射エミッターにより発出される放射は赤外スペクトルのみを実質的にカバーできる。代表例において、放射エミッターは、通電すると0.7μm~20μmの波長を有する放射を発出できる。放射エミッターにより発出される放射の電力密度は、少なくとも1kW/m2、2kW/m2、3kW/m2、4kW/m2、5kW/m2、6kW/m2、7kW/m2、8kW/m2、9kW/m2、10kW/m2、20kW/m2、30kW/m2、40kW/m2、50kW/m2、60kW/m2、70kW/m2、80kW/m2、90kW/m2、100kW/m2、120kW/m2、140kW/m2、160kW/m2、180kW/m2、200kW/m2、220kW/m2、240kW/m2、260kW/m2、280kW/m2、300kW/m2、350kW/m2、400kW/m2、450kW/m2、500kW/m2、又はそれ以上とすることができる。
【0039】
物体は、熱伝達の形態で赤外乃至可視波長範囲で放射する。この熱伝達は、黒体放射と呼ばれる。黒体放射は、赤外源として利用できる。黒体放射は広帯域放射である。中央波長及びスペクトル帯域幅は温度の上昇と共に減少する。総エネルギーはS×T4に比例し、Sは表面積、Tは温度である。より高い赤外発出を得るためには、温度を上げることが重要である。放射エミッター1031の温度は、少なくとも摂氏500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、又は2000度(℃)とすることができる。代表例において、放射エミッターの温度は摂氏900~1500度とすることができる。放射エミッターにより発出される放射の中央波長又は波長範囲は、例えば少なくとも0.5、1.0、105、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0μmだけ調整可能とすることができる。放射エミッターにより発出さる放射の電力密度は、ヘアドライヤーの異なる動作モード(例えば、急速乾燥モード、ヘアヘルスモード等)で、例えばそこに供給される電圧及び/又は電流を変化させることによって調節可能とすることができる。
【0040】
リフレクター1032は、放射エミッターから発出される放射を調整するように構成できる。例えば、リフレクターは放射の反射ビームの発散角度を縮小する形状とすることができる。ある実施形態において、リフレクター1032は、
図2に示されるように実質的に円錐形状を有することができる。例えば、リフレクターの反射面の断面は放物面状とすることができる。放射エミッター1031は放物面の焦点に位置付けることができ、それによって放射の反射ビームは放射の実質的に平行なビームとすることができる。放射エミッターはまた、放物面の焦点からずらして位置付けることもでき、それによって放射の反射ビームは、ヘアドライヤーのある距離だけ前方において収束又は発散させることができる。リフレクター1032内の放射エミッター1031の位置は調節可能とすることができ、したがって、放射の出力ビームの収束の程度及び/又は方向を変化させることができる。リフレクターの形状と放射エミッターの形状は、ヘアドライヤーの外部の所望の位置における所望の加熱電力出力のために最適化し、相互に関して変化させることができる。
【0041】
リフレクターの反射面は、放射エミッターにより発出される放射のある波長又は波長範囲に対する高い反射率を有するコーティング材料で被覆することができる。例えば、コーティング材料は、可視スペクトル及び赤外光スペクトルの両方の波長に対して高い反射率を有することができる。高い反射率を有する材料は、放射エネルギーの反射において高い有効性を有する可能性がある。コーティング材料の例としては、金属材料及び誘電材料を含むことができる。金属材料としては、例えば金、銀、及びアルミニウムを含むことができる。誘電コーティングは、フッ化マグネシウム及びフッ化カルシウム等の交互の誘電材料の層を有することができる。リフレクターの被覆反射面の反射率は、少なくとも90%(例えば、入射光の90%がリフレクターの反射面により反射される)、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、又はそれ以上とすることができる。幾つかの場合に、リフレクターの被覆反射面の反射率は実質的に100%とすることができ、これは、放射エミッターにより発出された放射の実質的に全部をヘアドライヤーの外部に向かって反射できることを意味する。その結果、リフレクターの表面上の温度は、放射エミッターの温度が高くても、放射エミッターから発出される放射によって実質的に上昇しない。
【0042】
光学素子1033は、リフレクターの開口に提供できる。光学素子は、リフレクターの開口に気密状態に当接させることができる。光学素子としては、光を変調又は方向転換させるレンズ、リフレクター、プリズム、格子、ビームスプリッター、フィルター、又はこれらの組合せを含むことができる。幾つかの実施形態において、光学素子はレンズとすることができる。幾つかの実施形態において、光学素子はフレネルレンズとすることができる。
【0043】
リフレクターの内部は、ある真空度を有するように構成できる。リフレクターの内部の中の圧力は、0.9標準大気圧(atm)、0.8atm、0.7atm、0.6atm、0.5atm、0.4atm、0.3atm、0.2atm、0.1atm、0.05atm、0.01atm、0.001atm、0.0001atm以下とすることができる。代表例において、リフレクターの内部の中の圧力は約0.001atm以下とすることができる。真空は、放射エミッター1031の蒸発及び/又は酸化を抑制し、赤外ランプの寿命を延ばすことができる。真空はまた、放射エミッターと光学素子及び/又はリフレクターとの間の熱対流又は熱伝導も防止できる。幾つかの場合に、リフレクターの内部は、ある量の非酸化性ガスで満たすことができ、その一方で依然として特定の真空レベルを保持し、光学素子の内面と被覆リフレクターにより形成される空間の内部の空気の温度上昇を縮小し、この温度上昇は、小さいものの、熱対流及び伝導に起因する。非酸化性ガスの例としては、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、及び窒素(N2)を含むことができる。不活性ガスの存在は、酸化及び蒸発から放射エミッターの材料をさらに保護することができる。
【0044】
光学素子は、赤外透過性の高い材料で製作できる。光学素子のための材料の例としては、酸化物(例えば、二酸化シリコン)、金属フッ化物(例えば、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)、金属硫化物又は金属セレニド(例えば、硫化亜鉛、セレン化亜鉛)、及び結晶(例えば、結晶シリコン、結晶ゲルマニウム)を含むことができる。追加的又は代替的に、光学素子の片面又は両面は、可視スペクトル及び紫外スペクトル吸収材料で被覆することができ、それによって赤外範囲の波長のみが光学素子を通過できる。赤外スペクトルに含まれない放射は、光学素子によって除去(例えば、吸収)できる。光学素子の赤外透過率は少なくとも95%(例えば、赤外スペクトル内の入射放射の95%が光学素子を透過する)、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、又はそれ以上とすることができる。代表例において、光学素子の赤外透過率は99%とすることができる。
【0045】
光学素子は、特定の波長を有する放射又は所定の波長範囲を有する放射を、リフレクターにより反射される放射から除去(例えば、吸収)できる。例えば、光学素子は、到達した放射から可視光スペクトル及び/又は紫外スペクトルを選択的に除去でき、それによって赤外スペクトルの放射のみが使用者の毛髪へと方向付けられるようにすることができる。代表例において、放射エミッターは、0.4μm~20μmの波長を有する放射を発出でき、リフレクターは、放射の全部を光学素子に向かって反射でき(例えば、放射は反射面で吸収されない)、光学素子は0.4μm~0.7μmの可視スペクトル波長の全体を反射放射から除去し、赤外スペクトルの放射だけが赤外ランプから発出されるようにする。
【0046】
光学素子は、到達した放射を特定の方向に収束又は発散させるか、又は到達した放射ビームの発散角度を小さくする形状とすることができる。光学素子は、凸レンズ、凹レンズ、凸レンズ及び/又は凹レンズの集合、又はフレネルレンズとすることができる。例えば、導電抵抗器、セラミックヒーター又はLEDが放射エミッターとして使用される場合、光学素子は、反射放射を所定の収束角度で所定の方向に収束させて、ヘアドライヤーの所定の距離だけ前方において所定の形状及び所定の大きさを有する放射スポットを形成するように構成できる。例えば、レーザー装置が放射エミッターとして使用される場合、光学素子は生成された放射ビームを所定の発散角度で所定の方向に発散させて、赤外放射により照射される使用者の毛髪の領域を増大させるように構成できる。
【0047】
光学素子における温度上昇は微小とすることができる。放射エミッター1031により発出される放射中の可視スペクトル及び紫外スペクトルの成分は低い可能性がある。放射エミッター1031の材料に応じて、可視スペクトル及び紫外スペクトルの放射により運ばれるエネルギーは、放射エミッターにより発出される放射中の総エネルギーの5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%未満に相当する可能性がある。換言すれば、放射エミッター1031により発出される放射エネルギー(例えば、可視スペクトル及び紫外スペクトルの放射により運ばれるエネルギー)のうち、光学素子によって吸収されて、温度を上昇させる部分はわずかにすぎない。光学素子における温度上昇は、リフレクター内部(例えば、光学素子とリフレクターの反射面により囲まれる空間)内の真空によってさらに抑制でき、この真空は、放射エミッターと光学素子との間の熱対流又は熱伝導を阻止する。幾つかの場合に、気流の一部は気流経路から光学素子の外面へと取り込まれることができ(例えば、光学素子を横切って吹かれる)、それによって光学素子と周辺領域の温度は、赤外ランプの動作中、実質的に一定に保つことができる。その結果、光学素子の温度上昇は、放射エミッターの温度が高くてもわずかとすることができる。
【0048】
断熱材料(例えば、ファイバーグラス、鉱物綿、セルロース、ポリウレタン発泡材、又はポリスチレン)を放射エミッターとリフレクターとの間に挟むことができ、それによって放射エミッターはリフレクターから断熱される。断熱は、放射エミッターの温度が高くても、リフレクターの温度を上昇しないように保持できる。断熱材料はまた、光学素子の周辺とリフレクターとの間に挟むこともでき、それによって光学素子はリフレクターから断熱される。
【0049】
前述のように、リフレクターの外面上の温度は、放射エミッターが通電した場合でも、放射エミッターにより生成される放射によって実質的に上昇しない。リフレクターの外面上の温度における温度上昇の抑制は、リフレクターの反射面上のコーティング材の高い反射率、リフレクター内部の真空、光学素子の高い赤外透過率、放射エミッターとリフレクターの間及び光学素子とリフレクターとの間の断熱、又はそれらの組合せにより実現できる。その結果、気流は、気流経路中を移動し、ヘアドライヤーから出る間に赤外ランプによって実質的に加熱されない。赤外ランプによる気流の温度上昇は、摂氏5度(℃)、4.5℃、4.0℃、3.5℃、3.0℃、2.5℃、2.0℃、1.5℃、1.0℃、0.5℃、0.1℃、又はそれ以下未満とすることができる。代表例において、赤外ランプによる気流の温度上昇は、3℃未満とすることができる。換言すれば、赤外ランプにおいて生成される放射は、実質的に気流の温度上昇の原因とならない。
【0050】
当業者であれば、気流の温度が回路、電気ワイヤー、電源リード、電源アダプター、及びコントローラ等のヘアドライヤーの電気構成部品によって不可避的にある程度上昇し得ることがわかるであろう。例えば、気流経路全体を通って移動する気流の温度上昇は、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14.5℃、14.0℃、13.5℃、13.0℃、12.5℃、12.0℃、11.5℃、11.0℃、10.5℃、10.0℃、9.5℃、9.0℃、8.5℃、8.0℃、7.5℃、7.0℃、6.5℃、6.0℃、5.5℃、5.0℃、又はそれ未満、以下である可能性がある。代表例において、室温は25℃で、本開示のヘアドライヤーの気流経路全体を通って移動する気流の温度上昇は最大15℃であり、その結果、気流出口における気流の温度は最大40℃で、これは従来の温風を基本とするヘアドライヤーから吹き出される気流の温度よりはるかに低い。比較例において、従来のヘアドライヤー1番(Dyson@HD01)から吹き出される気流の温度は約140℃である。他の比較例において、従来のヘアドライヤー2番(Panasonic@EH-JNA9C)から吹き出される気流の温度は約105℃である。比較例では、ニクロム線ヒーターへの電源供給を切っても、従来のヘアドライヤー1番から吹き出される気流の温度は、室温27℃の状況で約36℃である(例えば、気流はニクロム線ヒーター以外の電気構成部品によって約9℃加熱される)。
【0051】
使用者の毛髪に到達する気流の温度は、空気中への熱放散によって、ヘアドライヤーの気流出口において測定される温度より低い可能性がある。代表例において、本開示のヘアドライヤーの気流出口の10cm前方における気流温度は、室温25℃、気流出口における気流温度約40℃の条件下で約28℃である。比較例において、従来のヘアドライヤー1番の気流出口の10cm前方における気流温度は、室温25℃、気流出口における気流温度約140℃の条件下で約74.4℃である。
【0052】
相対的に低温の気流(例えば、室温)は、使用者の毛髪の乾燥及びスタイリングにおいて有利である可能性がある。例えば、縮れ、乾燥し、傷ついた毛髪を避けることができ、これは或いは、高温の気流を吹き出す従来のヘアドライヤーの場合に発生し得る。低温の気流の他の利点は、ヘアドライヤーが高温では動作しない各種のセンサーを備えることができるという点である。センサーは、温度センサー、近接性/測距センサー、及び/又は湿度センサーを含むことができる。センサーは、例えばハウジングの気流出口側に位置付けて、使用者の毛髪の状態(例えば、湿度)をモニタできる。気流が毛髪に当てられる領域は、毛髪上の赤外放射の領域(例えば、放射スポット)を実質的に取り囲むことができる。気流は、毛髪周囲の湿った空気を吹き飛ばすことによって毛髪からの加熱された水の蒸発を加速できる。気流はまた、赤外放射が照射される毛髪の温度を下げ、毛髪の損傷を回避できる。毛髪及び毛髪上の水の温度は、毛髪からの水の蒸発を加速するのと同時に毛髪が高温になりすぎないようにするために、適当な範囲に保持しなければならない。適当な温度範囲は摂氏50~60度とすることができる。毛髪に吹き当てられる気流の速度は、毛髪の温度を例えば加熱された水と余剰の熱を吹き飛ばすことによって、適当な温度範囲内に保持するように調整できる。近接性/測距センサー及び温度センサーは一緒に動作して、毛髪の温度を特定し、フィードバックループ制御を介して気流の速度を調整し、毛髪の一定の、又はプログラムされた温度を保持できる。
【0053】
図6は、本開示の実施形態による他の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
図7は、
図6のヘアドライヤーの本体を示す拡大断面図である。ヘアドライヤーは、外部電源及び/又は内蔵バッテリーにより電源供給できる。ヘアドライヤーは、ハウジング601を含むことができる。ハウジングは、本体とハンドルを含むことができる。気流生成素子602、放射エネルギー源603、及び他の各種の電気及び機械構成部品をハウジング内に受けることができる。放射エネルギー源603は、熱エネルギーを生成して、使用者の毛髪へと方向付けるように構成できる。気流生成素子602は、ハウジング内に提供された気流経路を通過する気流を生成するように構成できる。
【0054】
気流生成素子602は、モーター6022により駆動されるインペラ6021を含むことができる。生成された気流は、気流経路607を通ってヘアドライヤーの外部へと押し出すことができる。放射エネルギー源603は、実質的なリング形状を有する赤外ランプとすることができる。
図8に概略的に示されているように、リング形状の放射エネルギー源603は、実質的なリング形状のリフレクター6032と、リフレクターの内部に位置付けられた実質的なリング形状の放射エミッター6031を含むことができる。放射エミッターは、実質的なリング形状のフィラメントとすることができる。放射エミッター6031はまた、複数のセクションを含むこともでき、それらがまとめて実質的なリング形状を形成する。放射エミッターは、所定の波長範囲内の放射を発出するように構成できる。幾つかの場合に、放射エミッターにより発出される放射は、可視スペクトル及び赤外スペクトルを実質的にカバーすることができる。リフレクター6032は、ヘアドライヤーの外部に向けられた開口を有することができる。
【0055】
放射エミッターから発出された放射は、リフレクター6032の反射面(例えば、内面)により使用者の毛髪に向かって反射させることができる。反射した放射ビームの発散角度は、反射面によって縮小して、反射放射エネルギーを、ヘアドライヤーの所定の距離だけ前方において所定の形状と所定の大きさを有する放射スポット内に集中させることができる。リフレクターの反射面の断面は放物面状とすることができる。放射エミッター6031は、リフレクターの放物面状反射面(例えば、放物面)の焦点に、又は放物面の焦点からずらして位置付けることができる。リフレクター内の反射エミッターの位置は、放射エミッターをリフレクターに関して移動させることによって調節できる。リフレクターの反射面は、放射エミッターにより生成される放射の波長範囲に対して高い反射率を有するコーティング材料で被覆でき、それによって放射エミッターにより発出される放射の実質的に全部を使用者の毛髪に向かって反射させることができる。その結果、リフレクターの外面上の温度は、放射エミッターからの放射によって実質的に上昇せず、これは、実質的にエネルギーはまったくリフレクターの反射面によって吸収されないからである。
【0056】
実質的なリング形状の光学素子6033は、リフレクターの開口に設けることができる。光学素子は、所定の波長範囲を有する放射をリフレクターにより反射された放射から除去(例えば、吸収)することができる。例えば、光学素子は、可視光スペクトル及び/又は紫外スペクトルを反射した放射から選択的に除去することができ、それによって赤外スペクトル内の放射だけを使用者の毛髪へと方向付けることができる。リフレクターの内部は、放射エミッターと光学素子及び/又はリフレクターとの間の熱対流又は熱伝導を防止するためにある真空度を有するように構成できる。幾つかの場合に、リフレクターの内部は、ある量の不活性ガスで満たして、放射エミッターを酸化及び/又は蒸発から保護することができる。前述のように、気流の温度は、気流経路を通じて移動している間に赤外ランプによって実質的に上昇せず、相対的に低温の気流は使用者の毛髪の乾燥とスタイリングにとって有利である可能性がある。
【0057】
図6及び
図7に示されるように、ハウジングの軸方向の寸法(例えば、気流生成素子から赤外ランプの開口への方向であり、これは
図6及び
図7において水平方向として示されている)は、リング形状の赤外ランプ構成の結果としてさらに縮小できる。例えば、気流生成素子の少なくとも一部は、リング形状の赤外ランプにより取り囲まれる空間内に受けることができ、その結果、軸方向への気流経路が短縮される。チャンバー611は赤外ランプにより取り囲まれる空間内に位置付けることができる。チャンバーの開口は、使用者の毛髪に向けることができる。開口は、透明なシーリング部材(例えば、SiO
2ガラス)により覆うことができる。開口は、審美的外観のために着色されたシーリング部材(例えば、コーティング付きSiO
2ガラス)により覆うことができる。チャンバーは、センサー等の各種の構成部品を収容するために提供できる。センサーの例は、温度センサー、近接性/測距センサー、及び湿度センサーを含むことができる。チャンバーの壁は、電気的絶縁及び/又は断熱材料から製作できる。チャンバー内の温度は、センサーの測定の正確さを向上させるために室温に保持でき、これは、前述のように、気流経路を通って流れる気流が赤外ランプによって実質的に加熱されないからである。
【0058】
図6及び
図7に示される代表例において、気流経路607の気流出口は、赤外ランプ603とチャンバー611との間に位置付けることができる。
図9は、
図6及び
図7のヘアドライヤーの側面図を示し、チャンバーは中央に位置付けられ、気流経路607から出る気流は赤外ランプ603により取り囲まれている。図示されていないが、代替的な実施形態では、気流経路607の気流出口をハウジング601と赤外ランプ603との間に位置付けて、赤外ランプが気流経路から出る気流により取り囲まれる構成を形成することができる。
【0059】
図6及び
図7の放射エネルギー源603は、代替的又は追加的に、複数の赤外ランプを含むことができる。複数の赤外ランプは、リング、三角形、正方形、又は扇形等、何れの形状の輪郭に沿って配置することもできる。
図10及び
図11は、リングに沿って配置された複数の赤外ランプを有する放射エネルギー源603を概略的に示す。複数の赤外ランプの各々は、
図3に関して前述したものと実質的に同じ構成を有することができる。例えば、複数の赤外ランプの各々は、ヘアドライヤーの外部に向かう開口を有するリフレクター6032と、リフレクターの開口に当接する光学素子と、リフレクターの内部に位置付けられる放射エミッター6031を含むことができる。リフレクターの反射面は、放射エミッターにより生成される放射の波長範囲に対して高い反射率を有するコーティング材で被覆できる。光学素子は、所定の波長又は波長範囲を有する放射、例えば可視スペクトル及び/又は紫外スペクトルの放射を除去できる。
【0060】
各リフレクターの反射面の断面は放物面状とすることができる。放射の反射ビームの発散角度は、各赤外ランプの放物面状リフレクターにより縮小できる。放射エミッターの形状とリフレクターの形状は、光学シミュレーションソフトウェアを使って、ヘアドライヤーの外部の所望の距離における放射出力を最大化するように最適化できる。複数の赤外ランプのリフレクターのそれぞれの放物面状反射面の軸は、相互に実質的に平行とすることができる。放物面の軸は、放物面の対象軸と呼ぶことができ、これは放物面の頂点を通り、放物面を2つの合同の半分部分に分割する縦線である。複数の赤外ランプのリフレクターのそれぞれの放物面状反射面の軸はまた、
図11及び
図12に示されるように相互に交差させることができる。複数の赤外ランプの中のリフレクターのそれぞれの放物面状反射面の軸間の交差角度は、例えば1つ又は複数の赤外ランプのヘアドライヤーのハウジングの軸方向に関する傾斜角度を変えることによって、調整可能とすることができる。図の代表例において、気流は複数の赤外ランプから断熱できる。気流は赤外ランプにより生成される放射によって加熱されない。
【0061】
複数の赤外ランプから出る赤外放射は、ヘアドライヤーの前方の所定の距離において少なくとも部分的に重複でき、それによって所定の形状と大きさを有する放射スポットを形成できる。放射スポットは、例えば円形を有することができる。代表例において、直径約10センチメートルの円形スポットは、ヘアドライヤーの前方約10センチメートルの距離において形成できる。ヘアドライヤーの特定の距離だけ前方における放射スポットの形状及び/又は大きさは、それぞれの赤外ランプの大きさ(例えば、直径)、それぞれのリフレクターの焦点からの放射エミッターのオフセット、それぞれのリフレクターの軸間の交差角度、及びそれぞれの赤外ランプの光学素子の光学特性のうちの少なくとも1つを調整することによって調整できる。放射スポットは、複数の赤外ランプのそれぞれ1つから発出される赤外放射により運ばれる総エネルギーの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上を占めることができる。放射スポット内の平均電力密度は、少なくとも1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、1×104、2×104、3×104、4×104、5×104、6×104、7×104、8×104、9×104、1×105ワット毎平方メートル(W/m2)又はそれ以上とすることができる。
【0062】
図示されていないが、複数の赤外ランプはまた、何れかの形状のアレイ状に配置することもできる。アレイ状に配置された複数の赤外ランプは、同一平面内とすることも、又はそのようにしないこともできる。例えば、複数の赤外ランプはまた、円形、三角形、正方形、又は扇形等の何れかの形状を有する領域をカバーするように配置することもできる。それぞれのリフレクターの焦点からの放射エミッターのオフセット及びアレイ状の複数の赤外ランプのそれぞれのリフレクターの軸間の交差角度は、
図10及び
図11に関して上述したものと実質的に同じ構成を有することができる。例えば、アレイ状の赤外ランプのそれぞれ1つから発出された赤外放射は、ヘアドライヤーの前方の所定の距離において重複し、所望の大きさ及び電力密度を有する放射スポットを形成できる。複数の赤外ランプは、リング状か又はアレイ状の何れに配置されていても、必ずしも連続的に位置付けられるとはかぎらない。例えば、図の複数の赤外ランプの何れか1つをセンサー又はその他の構成部品に置き換え、又はリング若しくはアレイ状に沿った何れかの位置を空白のまま残すことも、所望の平均エネルギー密度を有する放射スポットが毛髪において生成されるかぎり、可能である。
【0063】
複数の赤外ランプは、気流経路のリング形状の気流出口の内側又は外側の何れに位置付けることもできる。例えば、複数の赤外ランプは、気流出口を取り囲むように、又はヘアドライヤーの側面から見たときに気流出口によって取り囲まれるように位置付けることができる。複数の赤外ランプはまた、気流経路の気流出口から離して位置付けることもできる。例えば、複数の赤外ランプによりカバーされる領域は、ヘアドライヤーの側面から見たときに気流出口によりカバーされる領域と重複していなくてもよい。チャンバーは例えば、赤外ランプによって取り囲まれる空間内に提供できる。透明なシーリング部材がチャンバーの開口上で覆われることが可能であり、この開口はヘアドライヤーの外部に向かう。チャンバーは、その中にセンサー等の各種の構成部品を受けるために提供できる。チャンバー内の温度は、センサーの測定の正確さを向上させるために室温に保持でき、それは、気流経路を通って流れる気流が赤外ランプによって実質的に加熱されないからである。
【0064】
本開示のヘアドライヤーは従来の設計と比較して、少なくとも軸方向(例えば、
図1及び
図6に示される水平方向)において縮小した寸法を有することができる。ある例において、小さい大きさの赤外ランプを放射エネルギー源として使用できる。したがって、ニクロム線のグリッドを受ける従来のヒーターキャビティは、本開示のヘアドライヤーの中には提供されない。リング形状の赤外ランプ又はリングに沿って配置された複数の赤外ランプを利用することによって、ヘアドライヤーの軸方向の寸法は前述のようにさらに縮小できる。ヘアドライヤーは、本体とハンドルを有するハウジングを含むことができる。本体の寸法はその少なくとも1つの方向、例えば軸方向及び半径方向(例えば、
図1及び
図6の平面に垂直な方向)において、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、又は4センチメートル以下とすることができる。代表例において、本体の寸法は、少なくとも1つの方向において10センチメートル以下とすることができる。別の代表例において、本体の寸法は少なくとも1つの方向において8センチメートル以下とすることができる。別の代表例において、本体の寸法は少なくとも1つの方向において6.5センチメートル以下とすることができる。本体の寸法は、その何れの方向においても25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5センチメートル以下とすることができる。代表例において、本体の寸法は、その何れの方向においても8センチメートル以下とすることができる。他の代表例において、本体の寸法は、その何れの方向においても6.5センチメートル以下とすることができる。
【0065】
本開示のヘアドライヤーは、軽量化された重量を有することができる。軽量の放射エネルギー源は熱エネルギー源として、従来の重いニクロム線又はロッドの代わりに利用できる。ヘアドライヤーは、本体とハンドルを有するハウジングを含むことができる。ヘアドライヤーは、ハンドル内に受けられた1つ又は複数のバッテリーか外部電源の何れかによって動作できる。ハンドルは、ハウジングの本体から取外し可能とすることができる。ヘアドライヤーの重量は、1つ又は複数のバッテリーを含め、1500、1450、1400、1350、1300、1250、1200、1150、1100、1050、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、又は300グラム以下とすることができる。代表例において、ヘアドライヤーの重量は、1つ又は複数のバッテリーを含め、800グラム以下とすることができる。代表例において、ヘアドライヤーの重量は、1つ又は複数のバッテリーを含め、600グラム以下とすることができる。別の代表例において、ハンドルを除くヘアドライヤーの本体の重量は300グラム以下とすることができる。また別の代表例において、ハンドルを除くヘアドライヤーの本体の重量は250グラム以下とすることができる。使用者はしたがって、毛髪を乾燥させるプロセス中にヘアドライヤーを容易に握り、操作することができる。
【0066】
本開示のヘアドライヤーは、より少ない電力消費量を有することができる。赤外ランプ等の放射エネルギー源は、本開示のヘアドライヤーの熱エネルギー源として利用できる。赤外ランプにより生成される総放射エネルギーにおける使用者の毛髪又は毛髪上の水に伝えられる実効エネルギー比は少なくとも80%である可能性があり、これは、赤外ランプにより生成される放射の大部分が、前述のように赤外スペクトル内であるからである。それに加えて、赤外エネルギーにより運ばれる熱は、毛髪及び毛髪上の水に輻射伝熱方式で直接伝え、付加することができ、その結果、熱伝達効率が改善される。代表例において、赤外ランプにより生成される放射の約90%が赤外スペクトル内である。赤外エネルギーのわずかなパーセンテージしかリフレクター及び光学素子において失われ得ず、他方で赤外エネルギーのほとんどが使用者の毛髪に熱放射式に到達し、その結果、有効エネルギー比は80%を超える。しかしながら、従来の対流熱伝達が利用される従来のニクロム線式ヘアドライヤーでは、実効エネルギー比と熱伝達効率は、熱の大部分が使用者の毛髪に到達する前に周囲の空気により吸収されるため、はるかに低い。従来のヘアドライヤー1番(Dyson@HD01)を用いた試験的実験において、気流出口における空気の温度は約140℃であるが、気流の温度はヘアドライヤーから10cmの距離で74℃に、またヘアドライヤーから20cmの距離では60℃に低下する。対流伝熱方式での気流の温度の急激な低下は熱の一部が毛髪に到達する前に周囲の空気により吸収されることに起因する。室温が25℃であれば、高温の気流により運ばれるエネルギーの少なくとも50%が毛髪に到達する前に失われる。毛髪に到達した後、高温の空気の一部は、毛髪又は毛髪上の水の加熱に寄与せずに様々な方向に反射され、その結果、実効エネルギー比と熱伝達効率が低くなる。
【0067】
代表例において、本開示のヘアドライヤーは1つ又は複数の埋込バッテリーで動作できる。バッテリーの総容量は、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90ワット-時(Wh、例えば、100ワット-時は1時間で100ワットの電力、5時間で20ワットの電力を送達できる)とすることができる。試験的実験では、総容量が66.6Whのバッテリーは、200Wの総電力出力(例えば、すべての電気消費構成部品の総電力出力は、モーター、赤外ランプ、及びすべての回路を含む)で約20分又は350Wの総電力出力で13分のヘアドライヤーの連続動作を果たすことができ、この動作時間は使用者の毛髪を完全に乾かすのに十分である。
【0068】
本開示のヘアドライヤーは毛髪からの水の蒸発を加速させる強力な気流を提供できる。従来のニクロム線式ヘアドライヤーと比較して、気流生成素子により生成される気流は、ニクロム線グリッドを通過せずに気流経路に沿って移動し、それゆえ減速されず、その結果、より高速の出力気流がヘアドライヤーから吹き出されることになる。出力気流の速度は、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25m/sとすることができる。代表例において、出力気流の速度は少なくとも18m/sとすることができる。毛髪に吹き付けられる気流は、毛髪及び毛髪上の水の温度を、余剰な熱を除去することによって下げることができ、そうでなければ、毛髪は赤外放射により生じる高温を受けて損傷を受ける可能性がある。前述のように、毛髪からの水の蒸発は、毛髪及び毛髪上の水の温度と毛髪周囲の空気の相対湿度との両方に依存する可能性がある。毛髪を乾燥させるための適当な温度範囲は摂氏50~60度であり、この範囲で水の蒸発と毛髪の健康のバランスをとることができる。毛髪に吹き付けられる出力気流の速度は調整することができ、毛髪及び毛髪上の水の温度を水の蒸発を誘導するための適当な温度範囲内に保持することができ、その間に気流は毛髪から余剰の熱を取り除き、それが毛髪を取り囲む局所的環境をより低湿度にして、蒸発を加速させる。
【0069】
気流経路を通過する中で、気流の温度は前述のように赤外ランプで生成される放射によって実質的に上昇しない。相対的に低温の気流は、使用者の毛髪の乾燥及びスタイリング時の毛髪の健康に有利となる可能性がある。それに加えて、ヘアドライヤーには、高温では動作しない各種のセンサーを備えることができる。
【0070】
本開示のヘアドライヤーには、毛髪のパラメーター、ヘアドライヤーの動作、及び/又はヘアドライヤーが動作する周囲環境のうちの少なくとも1つを測定するように構成された1つ又は複数のセンサーを設けることができる。中央処理ユニットは、ヘアドライヤーの内部又は外部(例えば、リモートデバイス、クラウド上)に提供して、ヘアドライヤーの動作を調整できる。ヘアドライヤーの動作の調整の例は、気流生成素子及び放射エネルギー源の1つ又は複数の動作を1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値に基づいて調整することを含んでいてよい。センサーの例としては、近接センサー、温度センサー、光センサー、モーションセンサー、コンタクトセンサー、及び湿度センサーを含むことができるが、これらに限定されない。センサーは、ヘアドライヤーのハウジングに位置付け、ヘアドライヤーのハウジングに埋め込み、ヘアドライヤーの回路上に配置し、ヘアドライヤーの中に(例えば、本開示の別の箇所に記載されるように、赤外ランプにより取り囲まれる空間内に位置付けられるチャンバー内に)提供できる。本開示の実施形態によるヘアドライヤー内のセンサー構成を示す略図である
図13に示されているように、センサー1301~1305は、有線又は無線リンクを介して中央処理ユニット1306と通信できる。中央処理ユニットは、ヘアドライヤーのその他の構成部品、例えば気流生成素子1307及び放射エネルギー源1308とも通信でき、それによってセンサー測定値に基づく構成部品の動作の調整を実装できる。
【0071】
例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは、ヘアドライヤーの、赤外放射が照射されている使用者の毛髪までの近接性を測定するように構成された近接センサーを含むことができる。例えば、近接センサーは、赤外線飛行時間(TOF:Time-of Flight)とすることができ、これは発出された赤外光がセンサーに戻るまでの時間間隔を測定し、センサーと標的物体との間の距離を時間間隔に基づいて特定する。赤外線TOFセンサーのスペクトルは、放射エネルギー源から発出される赤外放射のそれとは異なることができる。他の例において、近接センサーは超音波センサーとすることができ、これは超音波パルスを発することによって標的物体までの距離を測定する。また別の例において、近接センサーはミリ波レーダとすることができる。また別の例において、近接センサーは、距離測定アルゴリズムによって標的物体までの距離を特定する双眼又は単眼カメラで実装できる。近接センサーは、ヘアドライヤーのハウジングに、例えば気流経路の気流出口の付近に設けることができる。近接センサーはまた、
図10及び
図11に示されるように、複数の赤外ランプにより取り囲まれる空間に設けることもできる。近接センサーは、ヘアドライヤーから毛髪までの1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、22cm、24cm、26cm、28cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、又は100cmの距離を5%、4%、3%、2%、又は1%未満の誤差で測定するように構成できる。ある例において、近接センサーは、ヘアドライヤーから毛髪までの10cmの距離を、±0.1cmの正確さ/精度で測定できる。近接センサーの測定の正確さ/精度は、気流生成素子により生成される気流による不利な影響を受け得ず、これは、本開示において前述したように、気流が放射エネルギー源により実質的に加熱されないからである。
【0072】
この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、ヘアドライヤーから放射エネルギー源が照射される毛髪までの近接性が所定の距離未満であることを示すことができる。本開示において前述したように、放射スポットは、放射エネルギー源からの赤外放射により使用者の毛髪上に形成できる。放射スポットは、赤外放射の発散の結果としてヘアドライヤーの前方の所定の距離において所定の大きさを有することができる。例えば、ヘアドライヤーを使用者の毛髪に近付けることによって、放射スポットの大きさをより小さくすることができ、放射スポット内の平均電力密度を高くすることができる。放射スポット内の平均電力密度がより高いことにより、放射スポット内の毛髪温度をより高くすることができる。しかしながら、不合理に高い温度は毛髪に損傷を与える可能性があり、したがって回避すべきである。中央処理ユニットは、ヘアドライヤーの毛髪までの近接性が所定の距離(例えば、10cm)未満であることが検出された場合に、使用者にアラートを送り、放射エネルギー源の総出力を減少させ、及び/又は気流生成素子からの気流の速度を高めるように構成することができる。
図10及び
図11に示される放射エネルギー源が複数の赤外ランプを含む代表例において、放射エネルギー源の総電力出力を減少させることは、複数の赤外ランプの1つ又は複数の赤外ランプをオフにすることを含むことができる。
【0073】
1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値はまた、ヘアドライヤーの放射エネルギー源による照射を受ける毛髪までの近接性が所定の距離より長いことを示すことができる。ヘアドライヤーから毛髪までの最適距離は、少なくとも放射エネルギー源の出力電力、気流生成素子の出力、及び/又は毛髪の属性(例えば、長短、湿潤性、カール、又は直毛等)に基づいて特定できる。毛髪乾燥の効率は、ヘアドライヤーから毛髪までの距離が最適な距離に保持される場合に最適とすることができる。中央処理ユニットは、ヘアドライヤーから毛髪までの近接性が所定の最適距離より長いことが検出された場合に、放射エネルギー源の総電力出力を増大させ、及び/又は気流生成素子からの気流の速度を低速にするように構成でき、それによって毛髪の乾燥における有効性を最適化できる。
【0074】
他の例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは温度センサーを含むことができる。温度センサーは、ヘアドライヤーの各種の構成部品に、その構成部品の動作温度を測定するために設けることができる。温度センサーはまた、毛髪の温度を測定するためにも設けることができる。温度センサーはまた、周囲環境の温度を測定するためにも提供できる。ある例示的実施形態において、温度センサーは、放射エネルギー源の外面に熱結合できる。例えば、温度センサーは放射エネルギー源の外面に、又はその付近に位置付けることができる。温度センサーは負温度係数(NTC:negative temperature coefficient)サーミスタ、抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)、サーモカップル、又は半導体系センサーの何れとすることもできる。1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、ヘアドライヤーの動作状態を示すことができる。ある例において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、放射エネルギー源の異常を示すことができる。本開示の中で述べたように、赤外ランプの外面と赤外ランプエンクロージャの内面との間の空間のほか、赤外ランプの内部をある真空度に保持できる。赤外ランプの外面の温度は、真空が、例えば不良なシーリング部材からの空気の漏出によって正しく保持されないと、急激に上昇する可能性がある。赤外ランプの異常としては、赤外ランプの外面の、若しくはその付近の温度が所定の温度より高いこと、赤外ランプの外面の、若しくはその付近の温度上昇が所定の値より大きいこと、又は赤外ランプの外面の、若しくはその付近の温度上昇速度が所定の速度より高いことを含むことができる。中央処理ユニットは、放射エネルギー源で異常が検出された場合に使用者にアラートを送信し、及び/又は放射エネルギー源をオフにするように構成できる。ある例において、多段階警告機構を提供でき、その場合、赤外ランプの外面の温度が第1の閾値を超えるとまずアラートが使用者に送信され、赤外ランプの外面の温度が第1の閾値より高い第2の閾値を超えると赤外ランプがオフにされる。
【0075】
また別の例示的実施形態において、1つ又は複数のセンサーは、気流生成素子に熱結合された温度センサーを含むことができる。例えば、温度センサーは、インペラを駆動するモーターに連結できる。温度センサーは、モーターの外面又はロータの何れかに連結されてモーターの動作温度を検出できる。温度センサーはまた、気流経路の出口に設けられて気流の温度を測定できる。例えば、モーター又は気流の異常な高温は、モーターの異常を示すことができる。この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、モーターの温度が所定の温度より高いことを示すことができる。中央処理ユニットは、モーターの温度が所定の温度より高い場合、使用者にアラートを送信し、気流生成素子の総電力出力を下げ、気流生成素子をオフにするように構成できる。ある例において、多段階警告機構を提供でき、この場合、モーターの温度が第1の閾値を超えるとモーターの総電力出力が減らされ(例えば、モーターの回転スピードを下げる)、モーターの温度が第1の閾値より高い第2の閾値を超えると、モーターがオフにされる。
【0076】
さらに別の例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含むことができ、これはヘアドライヤーの移動及び/又は姿勢及び/又は向きを測定するように構成される。幾つかの場合に、物体又は物体の一部を赤外放射に露出させることは、物体への損傷又は安全上の問題を防止するために回避すべきである。例えば、毛髪温度は、毛髪が連続的に赤外放射にさらされ、毛髪上の水が除去されてしまうと、急速に上昇する可能性があり、この高温は毛髪への損傷の原因となるかもしれない。例えば、ヘアドライヤーはたびたび、毛髪以外の物体、例えば衣類を乾燥させるために使用される可能性がある。衣類の乾燥において、ヘアドライヤーは多くの場合、支持部材に関して静止して配置できる。したがって、ヘアドライヤーが所定の持続時間にわたり静止したままに保たれると、ヘアドライヤーをオフにすることが望ましいであろう。この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定は、装置の姿勢が所定の持続時間閾値より長い時間にわたり一定のまま保持されていることを示すことができる。中央処理ユニットは、ヘアドライヤーの使用者にアラートを送信し、気流生成素子からの気流の速度を上げ、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、及び/又は放射エネルギー源をオフにするように構成できる。ある例において、多段階警告機構を提供でき、この場合、ドライヤーの姿勢が第1の持続時間閾値にわたり一定のままであるとアラートを使用者に送信でき、ヘアドライヤーの姿勢が第1の持続時間閾値より長い第2の持続時間閾値にわたり一定のままであると、気流生成素子からの気流の速度が増大され、及び/又は放射エネルギー源の出力電力が低下され、ヘアドライヤーの姿勢が第2の持続時間閾値より長い第3の持続時間閾値にわたり一定のままであると、放射エネルギー源がオフにされる。
【0077】
また別の例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは、使用者がヘアドライヤーに接触したこと(例えば、使用者がハンドルを握ったこと)を特定するように構成されるセンサーを含むことができる。ある例において、近接センサーをヘアドライヤーに、例えばそのハンドルに設けることができる。使用者がハンドルを握り、近接センサーに触れたときに、使用者の接触を確認するために信号を生成できる。ヘアドライヤーは、使用者がハンドルを正しく握らないと動作しなくてもよい。この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定は、使用者がヘアドライヤーを握っていないことを示すことができる。中央処理ユニットは、使用者にアラートを送信し、気流生成素子からの気流の速度を上げ、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、及び/又は放射エネルギー源及び/又は気流生成素子をオフにするように構成できる。
【0078】
さらにまた別の例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは、放射エネルギー源からの赤外放射が照射される使用者の毛髪の温度を測定するように構成された毛髪温度センサーを含むことができる。ある例において、毛髪温度センサーは赤外温度センサーとすることができる。毛髪温度センサーは、ヘアドライヤーのハウジングに、例えば気流経路の気流出口の付近に設けることができる。毛髪温度センサーはまた、
図10及び
図11に示されるように、複数の赤外ランプにより取り囲まれる空間内に設けることもできる。この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、毛髪の温度が所定の温度より高いことを示すことができる。中央処理ユニットは、アラートを使用者に送信し、放射エネルギー源の総電力出力を減少させ、及び/又は気流生成素子からの気流の速度を高めるように構成でき、それによって使用者の毛髪の熱による損傷を防止できる。
【0079】
さらに別の例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーは、ヘアドライヤーが動作する周囲環境の湿度を測定するように構成される湿度センサーを含むことができる。幾つかの場合に、毛髪を効果的に乾燥させるために、周囲環境の湿度が高いと、放射エネルギー源の電力出力を増大させ、及び/又は気流生成素子からの気流の速度を低くすることができる。湿度センサーは、ヘアドライヤーのハウジング、例えば気流経路の入口に設けることができる。この例示的な実施形態において、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値は、周囲環境の湿度が所定の湿度より高いことを示すことができる。中央処理ユニットは、放射エネルギー源の総電力出力を増大させ、及び/又は気流生成素子からの気流の速度を減少させるように構成できる。
【0080】
前述のセンサーは、個別でも又はまとめても使用できる。2つ以上のセンサーからの測定値は複合又は融合できる。1つ又は複数のセンサーからのデータは、相互に関して処理できる。1つ又は複数のセンサーからのデータは、精度及び/又は信頼性等に基づいて重み付けされてよい。
【0081】
センサーデータは、個々のセンサーデータ又は複合的なセンサーデータを含んでいてよく、ヘアドライヤーの動作を調整する中央処理ユニットに提供できる。例えば、中央処理ユニットは、放射エネルギー源の総出力電力及び/又は気流生成素子からの気流の速度をヘアドライヤーの毛髪までの近接性、赤外放射が照射されている毛髪の温度、及び周囲環境の湿度のうちの少なくとも1つに基づいて特定するように構成できる。中央処理ユニットは、放射エネルギー源及び/又は放射エネルギー源のパラメーターを、所定のルックアップテーブルを検索することによって特定できる。ある例において、近接センサーからのセンサー測定値が使用者はヘアドライヤーを毛髪に近すぎる位置で持っていることを示し、毛髪温度センサーからのセンサー測定値が毛髪温度は所定の健康的温度より高いことを示し、すると、中央処理ユニットは、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、気流生成素子からの気流の速度を高めて、毛髪温度を毛髪にとって安全で健康的な値まで下げることができるようにすることを決定できる。他の例において、毛髪温度センサーからのセンサー測定値が毛髪温度は所定の温度より高いことを示し、IMUからのセンサー測定値がヘアドライヤーは所定の持続時間より長い時間にわたり静止した状態であることを示し、すると、中央処理ユニットはまず使用者にアラートを送信し、使用者が所定の持続時間が経過してもヘアドライヤーを動かさなければ、放射エネルギー源をオフにすることを決定できる。
【0082】
1つ又は複数のセンサーからの測定値はデータ記憶装置に保存でき、これはヘアドライヤー内蔵型又はリモートクラウドである。データ記憶装置は、電源供給がなくてもデータを保持するフラッシュメモリとすることができる。データ記憶装置はまた、その中にあらゆるシステムエラーデータも保存でき、これは有線又は無線方式で外部機器から読取り可能である。ある例において、通信インタフェースをヘアドライヤーのハウジングに(例えば、ハンドルに)設けて、データ記憶装置からのデータの読出しを容易にすることができる。データ記憶装置に保存されるセンサー測定値とシステムエラーデータにより、メンテナンス要員はあらゆる故障構成要素の位置も特定することができる。ヘアドライヤーは、データ記憶装置内のエラーコードが正規メンテナンス要員によって解除されないかぎり動作できないようにすることができる。
【0083】
本開示のヘアドライヤーには、1つ又は複数のセンサーから受け取った測定値に基づいて触知フィードバックを提供するように構成されたフィードバック要素を提供できる。触知フィードバックは、視覚、聴覚、及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを含むことができる。ある例において、フィードバック要素はライトインディケータ、例えば1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。LEDはヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハンドル又は本体)にリング状に配置することができる。LEDは、ヘアドライヤーの異なる状態を示す様々な点灯パターンを提供できる。点灯パターンとしては、点灯周波数、色、及びオンに切り替えられるLEDの数のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、LEDはヘアドライヤーが使用者により握られていない状態を示すために第1の周波数で点灯し、ヘアドライヤーが所定の持続時間閾値より長い持続時間にわたり静止したままである状態を示すために第2の、より高い周波数で点灯することができる。ある例において、フィードバック要素はバイブレータを含むことができる。バイブレータは、ヘアドライヤーの異なる状態を示すために異なる周波数及び/又は強度で振動できる。ある例において、フィードバック要素はスピーカ又はブザーを含むことができる。ある例において、ヘアドライヤーに専用のフィードバック要素は提供されないが、モーター(例えば、気流生成素子)が、インペラを異なる速さ又は異なるパターンで駆動することによって、ヘアドライヤーの異なる状態を示すことができる。例えば、近接センサーからの測定値が使用者はヘアドライヤーを毛髪に近すぎる位置で持っていることを示す場合、モーターはその回転スピードを第1のハイスピードと第2のロースピードに所定の周波数で切り替えることができ、それによって使用者に通知するために振動のような効果を生じさせることができる。
【0084】
図14Aは、本開示のヘアドライヤーで使用される放射エネルギー源の例示的な構成を示す断面図を示す。それぞれの放射エネルギー源1403は、リフレクター1432とリフレクター内に位置付けられた放射エミッター1431を有することができる。リフレクターの軸方向の断面(例えば、軸に沿った断面)及び/又は半径方向の断面(例えば、軸に垂直な断面)は、放物面又は多項式形状として提供できる。幾つかの場合に、軸方向の断面及び/又は半径方向の断面のプロファイルは、複数のセグメントを有する多項式とすることができる。例えば、プロファイルの第1のセグメントは、第1のパラメーター群の多項式により表現でき、プロファイルの第2のセグメントは、第2のパラメーター群の多項式により表現できる。
【0085】
図14Aは、放射エミッターがフィラメントと電球を含むタングステンランプである放射エネルギー源の例を提供する。例示的な構成において、タングステンランプは特定の真空度を保持できる。真空は、フィラメントの蒸発及び/又は酸化を抑制し、タングステンランプの寿命を延ばすことができる。真空はまた、フィラメントと電球の間の熱対流又は熱伝導も防止できる。他の例示的な構成において、放射エミッターはフィラメントと電球を含むタングステンハロゲンランプである。ハロゲン、不活性ガス、又はその混合物をタングステンハロゲンランプ内に充填して、フィラメントの蒸発及び/又は酸化を防止し、タングステンハロゲンランプの寿命を延ばすことができる。光学素子1433は、リフレクターの開口に設けることができる。光学素子としては、レンズ、リフレクター、プリズム、格子、ビームスプリッター、フィルター、又はそれらの組合せを含むことができる。例示的な構成において、1つの光学素子を複数の放射エネルギー源の開口に設けることができる。ランプの電球はランプ内部のフィラメントにより発せられる赤外放射の特定の周波数範囲を吸収し、したがって熱が電球に蓄積される。さらに、熱伝導及び対流もまた、フィラメントと電球との間に起こる。リフレクターの内部が絶対真空ではない構成において、放射エミッターで生成された熱は部分的にリフレクターに伝達される可能性がある。発出された放射の少なくとも一部は、リフレクターの内壁によって吸収される可能性がある。したがって、リフレクターにおける温度は、放射エネルギー源に電源が投入されると上昇する可能性がある。放射エミッターとリフレクターの寿命を延ばし、その一方で、(例えば、所定の動作温度範囲より低い温度での)放射効率に対する不利な影響を回避するために、放射エネルギー源の動作温度の温度を所定の温度範囲内で管理する必要がある。例えば、放射エネルギー源からの余剰の放熱は、放射エネルギー源の動作温度が所定の動作温度範囲より低くなる原因となる可能性があり、それによって、放射エミッターの黒体放射に必要な温度を保つために、より多くの電気エネルギーを熱エネルギーに変換する必要がある。本開示は、放熱の制御と放射エネルギー源の動作温度管理のための構成を提供し、この場合、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは気流経路又は気流経路内の気流と接触しないように位置付けられた第1の部分を含む。放熱の制御と放射エネルギー源の動作温度管理の結果、電力効率を高めることができ、それによって充電後の装置(例えば、バッテリー電源式携帯装置)の動作持続時間が長くなる。
【0086】
図14Bは、本開示の実施形態による他の例示的なへアドライヤーを示す断面図である。へアドライヤーはハウジング1401を含むことができる。ハウジングは本体とハンドルを含むことができる。ハウジングは、気流入口と気流出口を有する気流経路1407を提供するように構成できる。気流生成素子1402、放射エネルギー源1403、及び他の各種の電気及び機械構成部品は、ハウジングの中に受けられるようにすることができる。気流生成素子は、ハウジング内に収容でき、気流経路を通る気流を生じさせるように構成できる。1つ又は複数の放射エネルギー源は、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成できる。放射エネルギー源の例としては、本開示に記載されているように赤外ランプを含むことができる。ヘアドライヤーは、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源供給するように構成された電源素子(例えば、埋込バッテリー及び/又は外部電源)によって電源供給できる。装置は、電源素子と接続され、任意選択により1つ又は複数の放射エネルギー源に連結されたコントローラをさらに含むことができる。幾つかの場合に、1つ又は複数の放射エネルギー源以外の追加の熱源を装置に提供しなくてよい。
【0087】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路又は気流経路内の気流と接触しないように位置付けられた第1の部分1432aを含むことができる。放射エネルギー源の第1の部分は、放射エネルギー源の内のリフレクターの外壁の一部とすることができる。幾つかの場合に、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路又は気流経路内の気流と接触するように位置付けられた部分を含まない。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路又は気流経路内の気流と接触するように位置付けられた第2の部分1432bをさらに含むことができる。
【0088】
熱は、放射エネルギー源の第2の部分から気流経路及び/又は気流経路内の気流へと伝達でき、それによって放射エネルギー源の温度は低下し、その一方で気流の温度は上昇する。動作温度が低下した放射エネルギー源は、放射エネルギー源の構成部品上の熱応力を軽減させることができ、その結果、放射エネルギー源の供用寿命が長くなる。ここで、低下した動作温度は、放射エネルギー源による放射の生成に不利な影響を与えない温度範囲(例えば、放射エミッターの黒体放射を保持する温度範囲)内に保持できる。さらに、動作温度が低下した放射エネルギー源は、ヘアドライヤーのハウジングが過熱されることを回避し、それによって使用者によるヘアドライヤーのエクスピリエンスを改善できる。放射エネルギー源の動作温度の制御はまた、コードレスのバッテリー型ヘアドライヤーの運転時間を延ばすこともできる。それに対して、温度の上昇した(例えば、1~3度)気流は、濡れた物体からの水の蒸発に寄与して、物体の周囲の相対湿度を低下させることができ、これが物体からの水の蒸発をさらに加速させる。
【0089】
本明細書で使用されるかぎり、「接触」という用語は、物理的接触(例えば、有向結合、係合、接触、又はそれ以外に関係付けられる)又は熱接触(例えば、それらの間の熱結合を介した熱伝達)を意味することができる。放射エネルギー源の、気流経路又は気流と接触しない第1の部分は、第1の部分が気流経路内の気流のパラメーターに実質的に影響を与えず、それに対する影響力を発せず、又は変化させないことを意味することができる。放射エネルギー源のうち気流経路又は気流と接触する第2の部分は、第2の部分が気流経路内の気流のパラメーターに実質的に影響を与える、それに対して影響力を発し、又は変更することを意味することができる。気流のパラメーターとしては、気流の温度、体積、速度、速度分布、場の面積、抵抗、圧力、方向、渦、及び発散を含むことができるが、これらに限定されない。
【0090】
1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つのうちの第2の部分は、物理的連結を介して気流経路と接触できる。幾つかの場合に、放射エネルギー源の第2の部分は、気流経路の外又は内壁と直接接触でき、気流経路の少なくとも一部を形成でき、気流経路の少なくとも一部と一体化でき、又は気流経路の一部とすることができる。第2の部分の表面は、気流経路の外又は内壁の輪郭に追従できる。幾つかの場合に、放射エネルギー源の第2の部分は、熱結合部を介して気流経路と接触できる。熱は、放射エネルギー源から気流経路及び/又は気流経路内の気流に物理的接触又は熱結合部を介して伝達できる。ある例において、第1の部分は第2の部分より大きい表面積を有することができ、その逆も可能である。追加的又は代替的に、第2の部分は部分的に気流経路の中に突出することができる。例えば、突出部材(例えば、フィン)が放射エネルギー源の第2の部分から気流経路の内部へと延びることができ、この構成では、放射エネルギー源の第2の部分は気流経路の壁と物理的に接続されるか、又は接続されない。突出部材は、高い熱伝導率を有する材料で製作でき、それによって熱が放射エネルギー源から気流経路及び/又は気流経路内の気流に伝わる。高い熱伝導率を有する材料としては、例えば銀、銅、金、窒化アルミニウム、シリコンカーバイド、アルミニウム、タングステン、グラファイト、又は亜鉛を含むことができる。
【0091】
本開示の態様は、物体を乾燥させる方法も提供する。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジングに収容された気流生成素子を介して気流経路を通る気流を生じさせるステップと、1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるステップと、電源素子を介して少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源供給するステップと、を含むことができる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路と接触しないように位置付けられた第1の部分を含むことができる。
【0092】
図15A~
図15Cは、気流経路に関する放射エネルギー源の例示的な構成を示し、1つ又は複数の放射エネルギー源1403の少なくとも1つが気流経路1407とハウジング1401との間に位置付けられている。パネルAは概略図であり、パネルBはパネルAの各種の例示的な断面図である。1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流経路に関して様々な構成に位置付けることができる。例えば、
図15AのパネルBは、気流経路の外周に沿って位置付けられた放射エネルギー源を示している。ある例において、1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流出口の外周に沿って位置付けることができる。例えば、
図15BのパネルBは、気流経路に並置されるように位置付けられた1つ又は複数の放射エネルギー源を示す。ある例において、1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流出口に並置されるように位置付けることができる。1つ又は複数の放射エネルギー源は、アレイ状に配置できる。1つ又は複数の放射エネルギー源は、円形状、リング形状、又はアーチ形状等、各種の形状で提供できる。
図15CのパネルBは、リング形状又はアーチ形状(例えば、中央の角度は実質的に180度、120度、又は90度)の放射エネルギー源を示す。電源素子に接続されるコントローラは、気流経路の周辺に沿って位置付けることができる。コントローラの輪郭(例えば、内面)は気流経路の輪郭に追従する。例えば、コントローラ(例えば、回路基板)は気流経路の外壁を取り囲む円形のバンドとして提供できる。
【0093】
1つ又は複数の放射エネルギー源1403の少なくとも1つは、気流経路又は気流経路内の気流と接触しないように位置付けられた第1の部分1432aを含むことができる。
図15A~
図15Cの例示的な実施形態において、第1の部分は、気流経路と反対に面する、又は気流経路よりハウジングに近付けて位置付けられる部分とすることができる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路又は気流と接触するように位置付けられた部分を持たない。例えば、気流経路と並置されるように位置付けられた放射エネルギー源のうちの少なくとも1つの放射エネルギー源は、気流経路と接触するように位置付けられた部分を持たない。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの放射エネルギー源は、気流経路又は気流経路内の気流と接触するように位置付けられた第2の部分1432bをさらに含むことができる。
図15Cにおいて、第2の部分は放射エネルギー源1403の、第1の部分1432aの反対側とすることができる点に留意されたく、この第2の部分は
図15CのパネルAでは見えない。ある例において、第2の部分は気流経路の外壁と物理的に接触することができる。他の例において、第2の部分は気流経路の外壁と一体に形成できる。また別の例において、第2の部分は気流経路の外壁の少なくとも一部を形成することができる。さらに別の例において、第2の部分は気流経路の外壁に熱結合できるが、第2の部分は気流経路と物理的に接触しない。熱結合部は、第2の部分と気流経路を接続する熱結合部材によって実現できる。したがって、熱を少なくとも1つの放射エネルギー源の第2の部分1432bから伝えることにより、放射エネルギー源の動作温度を所定の範囲内に保持し、又は低下させることができる。
【0094】
図16A~
図16Cは、気流経路に関する放射エネルギー源の例示的な構成を示し、1つ又は複数の放射エネルギー源1403の少なくとも1つは気流経路1407の中に位置付けられている。パネルAは略図であり、パネルB及びCはパネルAの各種の例示的な断面図である。本明細書で使用されるかぎり、「~内に位置付けられる」という用語は、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つがヘアドライヤーの断面図で見たときに気流経路の領域内にあることを意味することができる。1つ又は複数の放射エネルギー源は、円形状(例えば、
図16A又は
図16Cに示される)、リング形状、又はアーチ形状(
図16Cに示される)等、各種の形状で提供できる。
【0095】
例示的な構成において、1つの気流経路はハウジング内に設けることができる。1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流経路の領域内に位置付けることができる。例えば、1つ又は複数の放射エネルギー源は、
図16A及び
図16Bに示されるように、実質的に気流経路の幾何学中心に位置付けることができる。例えば、複数の放射エネルギー源は、
図16CのパネルBに示されるように、気流経路の領域内に分散させることができる。他の例示的な実施形態において、
図16CのパネルCに示されるように、複数の気流経路をハウジング内に設けることができ、気流経路の1つは他の経路から分離されている。1つの放射エネルギー源の領域は、1つの気流出口の領域と少なくとも部分的に重複できる。
【0096】
少なくとも1つの放射エネルギー源は少なくとも部分的にチャンバー1441に収容でき、それによって少なくとも1つの放射エネルギー源の少なくとも第1の部分1432aはチャンバー内に位置付けられ、それゆえ、気流経路内の気流と接触しない。
図16A及び
図16Bに示される例において、複数の放射線エネルギー源はまとめて共通のチャンバー内に少なくとも部分的に取り囲まれるようにすることができる。
図16Cに示される例において、複数の放射エネルギー源は各々、別のチャンバー内に少なくとも部分的に取り囲まれるようにすることができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの放射エネルギー源は、チャンバー内に完全に収容でき、それによって放射エネルギー源の何れの部分も気流と接触しない。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの放射エネルギー源の第2の部分1432bは、チャンバーにより取り囲まれないように位置付けることができ、それによって気流経路内の気流と接触する。
【0097】
チャンバーは、装置の外部に向かう少なくとも1つの開口を有することができる。チャンバーは、放射エネルギー源の少なくとも一部を隔離するように構成できる。チャンバーはさらに、コントローラ、電源素子、又はセンサーのうちの少なくとも1つの一部を受けることができる。コントローラは、電源素子及び放射エネルギー源と接続され、同じく気流経路内に位置付けることができ、この場合、コントローラの外壁の輪郭は気流経路の内壁の輪郭に追従できる。気流は、気流経路とチャンバーとの間の通路を通って流れることができる。チャンバーの、気流と接触する少なくとも一部は、気流の抵抗を減らすために流線形とすることができる。チャンバーは、その中に部分的又は完全に収容される放射エネルギー源により生成される熱を放散させるように構成された冷却素子を含むことができる。例えば、1つ又は複数のフィンがチャンバーの外部から突出し、熱を放射エネルギー源から気流の中に伝達し、それによって放射エネルギー源の動作温度を所定の範囲内に下げ、又は維持することができる。
【0098】
チャンバーは、支持構造によって気流経路内に位置付けることができる。支持構造は、装置ハウジングの内壁から延びてチャンバーを気流経路の内部の所定の位置に支持するアームを含むことができる。チャンバーは、ハウジング又は気流経路の少なくとも1つに気流案内部材によって連結できる。気流案内部材は、気流経路内で気流を案内するように構成できる。
【0099】
本開示の態様は、熱を放射エネルギー源から放散させるように構成された熱結合部を有する、物体を乾燥させる装置を提供する。装置は、気流入口と気流出口を有する気流経路を提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子と、ハウジング内に収容され、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源と、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つに連結され、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つから熱を放散させるように構成された熱結合部と、少なくともの放射エネルギー源と気流生成素子に電源供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。
【0100】
熱結合部は、1つ又は複数の放射エネルギー源のうち、熱結合部が連結されている少なくとも1つからの放熱を実現できる。幾つかの場合に、放射エネルギー源は気流経路の外若しくは内壁、装置のハウジング、及び/又は気流生成素子の何れかと物理的に接触できる。熱結合部は、放射エネルギー源の、気流経路、装置のハウジング、又は気流生成素子と物理的に接触する部分を含むことができる。幾つかの場合に、放射エネルギー源は、気流経路、装置のハウジング、又は気流生成素子の何れかとも物理的に接触しない。熱結合部は熱結合部材を含むことができ、これは放射エネルギー源及び、気流経路、装置のハウジング、又は気流生成素子の何れか1つに連結されるか、又はそれと一体である。ある例において、熱結合部は気流生成素子、ハウジング、又は気流経路と同じ材料で製作でき、及び/又は気流生成素子、ハウジング、又は気流経路と同じ熱膨張特性を有することができる。ある例において、熱結合部は、気流生成素子、ハウジング、又は気流経路に接続された支持体に連結できる。ある例において、熱結合部は熱伝導又は熱対流の少なくとも1つによって熱を放散させることができる。
【0101】
本開示の態様はまた、物体を乾燥させる方法も提供する。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジング内に収容された気流生成素子を介して、気流経路を通る気流を生じさせるステップと、ハウジング内に収容された1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるステップと、1つ又は複数のエネルギー源の少なくとも1つに連結された熱結合部を介して、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの熱を放散させるステップと、電源素子を介して少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するステップと、を含むことができる。
【0102】
図17は、装置の例示的な構成を示し、熱結合部は1つ又は複数の放射エネルギー源1707の、気流経路1703と接触するように位置付けられた少なくとも1つのうちの第2の部分1732bを含む。第2の部分は、放射エネルギー源の、放射エネルギー源が気流経路の外壁に連結され(例えば、放射エネルギー源は気流経路と装置のハウジングとの間に位置付けられる)又は内壁に連結される(例えば、放射エネルギー源は気流経路の内部に位置付けられる)領域であることができる。幾つかの場合に、放射エネルギー源は、第2の部分において気流経路に溶接若しくは接着又はそれ以外に固定できる。幾つかの場合に、第2の部分の少なくとも一部は、気流経路の外壁又は内壁の何れかの一部を形成できる。幾つかの場合に、第2の部分は少なくとも部分的に気流経路内に突出できる。第2の部分の突出部分は、気流の特性(例えば、方向、体積、速度、速度分布、場の面積、抵抗、方向、渦、圧力、及び発散等)を調整するように構成された気流ガイドを含むことができる。ある例において、第2の部分の突出部は気流出口に近接させることができる。熱は、放射エネルギー源から気流経路及び/又は気流経路内の気流に熱伝導によって放散させることができ、それによって放射エネルギー源の動作温度を所定の温度範囲内で低下させ、若しくは保持し、及び/又は気流経路内の気流の温度を上昇させる。第2の部分の領域は、放熱効率及び放射エネルギー源の動作温度によって特定できる。
図17において放射エネルギー源は気流経路に連結されているが、放射エネルギー源は装置のハウジング又は気流生成素子の何れかに第2の部分で連結でき、それによって熱を放射エネルギー源から装置のハウジング又は気流生成素子へと伝達できる。
【0103】
図18Aは一部切り欠き側面図であり、
図18Bは
図18Aの断面図であり、熱結合部が熱結合部材を含む装置の例示的な構成を示す。幾つかの場合に、熱結合部材1741は、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの一体部分であり、気流経路1703、気流生成素子、又は装置のハウジングと熱的に結合できる。幾つかの場合に、熱結合部材1741は、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングの一体部分であり、放射エネルギー源と熱的に結合できる。熱は、放射エネルギー源から気流経路に、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングに熱伝導によって伝え、それによって放射エネルギー源の動作温度を低下又は保持し、及び/又は気流の温度を上げることができる。熱結合部材は、熱伝導率が少なくとも20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500ワット毎メートル-ケルビン(W/(m・K))又はそれ以上である材料を含むことができる。高い熱伝導率を有する材料としては、例えば銀、銅、金、窒化アルミニウム、シリコンカーバイド、アルミニウム、タングステン、グラファイト、又は亜鉛を含むことができる。幾つかの場合に、熱結合部材は、冷却部材又はヒートシンクとすることができる。
【0104】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路と、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングと物理的に接触しなくてよい。換言すれば、放射エネルギー源は、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングと接触するように位置付けられた部分を含まない。熱結合部材は、放射エネルギー源の任意選択的部分と気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングとの間に連結できる。複数の熱結合部材を1つの放射エネルギー源に連結することができる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングと部分的に接触することができる。換言すれば、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングと接触しないように位置付けられた第1の部分と、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングと接触する第2の部分を有することができる。熱結合部材は、放射エネルギー源の第1の部分と、気流経路、気流生成素子、及び/又は装置のハウジングとの間に結合できる。
【0105】
図18A及び
図18Bの例において、1つ又は複数の放射エネルギー源1707の少なくとも1つは、装置ハウジング1701と気流経路1703との間に位置付けることができる。熱結合部材又は冷却部材1741は、1つ又は複数の放射エネルギー源1707の少なくとも1つと、気流経路1703の外壁と装置のハウジング1701の少なくとも1つとの間に熱的に結合し、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つから熱を放散させるように構成できる。他の例では、少なくとも1つの放射エネルギー源は、気流経路内に配置付けることができる(例えば、放射エネルギー源は、
図16A~
図16Cにおいて説明したように、少なくとも部分的にチャンバー内に取り囲まれる)。このような構成では、熱結合部材は、その一部が気流と接触するかぎり、設けることができ、それによって少なくとも1つの放射エネルギー源からの熱を放散させることができる。任意選択により、少なくとも1つの放射エネルギー源と、気流経路の内壁、チャンバーの壁、又はチャンバーのうちの少なくとも1つとの間に熱的に結合され、それによって少なくとも1つの放射エネルギー源から熱を気流経路の内壁、チャンバーの壁、又はチャンバーのうちの少なくとも1つに伝える熱結合部材。
図18A及び
図18Bの例は、少なくとも1つの放射エネルギー源が気流経路と物理的に接触しないことを示しているが、他の幾つかの例では、少なくとも1つの放射エネルギー源はその第2の部分において気流経路と物理的に接触でき、熱結合部材又は冷却部材は、少なくとも1つの放射エネルギー源の第2の部分に追加される熱結合部とすることができる。
【0106】
図18C及び
図18Dの例において、熱結合部材1741は少なくとも部分的に気流経路1703の中に突出できる。熱結合部材の突出部は、フィン等の気流ガイドを含むことができる。気流ガイドは、気流の特性(例えば、体積、速度、速度分布、場の面積、抵抗、圧力、方向、渦、及び発散等)を調整するように構成できる。幾つかの場合に、熱結合部材の突出部は、気流生成素子に関して気流の下流に位置付けることができる。複数の放射エネルギー源のそれぞれの放物面状又は多項式リフレクターの軸は相互に交差でき、それによって複数の放射エネルギー源から出る放射は、装置の所定の距離だけ前方において少なくとも部分的に重複する可能性がある。
【0107】
図19A~
図19Cは、熱結合部が1つ又は複数の放射エネルギー源1707の少なくとも1つの内部と連通する第1の貫通穴1951を含む装置の例示的な構成を示す。第1の貫通穴は、気流を1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの内部に導入し、それによって放射エネルギー源の動作温度を熱対流によって低下又は保持するように構成できる。幾つかの場合に、第1の貫通穴1951は放射エネルギー源の第1の部分に位置付けることができ、この第1の部分は
図19Aに示されるように、気流経路1703と接触しない。気流経路の外部からの空気(例えば、装置の外部からの空気)は、第1の貫通穴を通じて放射エネルギー源の内部に入ることができる。幾つかの場合に、第1の貫通穴1951は、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの第2の部分に位置付けることができ、この第2の部分は、
図19Bに示されるように、気流経路1703と接触する。空気経路の内部からの空気は、第1の貫通穴を通じて放射エネルギー源の内部に入ることができる。
【0108】
幾つかの実施形態において、熱結合部は第2の貫通穴1952をさらに含むことができ、これは1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つの内部から空気を排出するように構成される。幾つかの場合に、第2の貫通穴は、赤外放射の出口(例えば、放射エネルギー源のリフレクターの開口)に位置付けることができる。リフレクターの開口が光学素子により覆われている構成では、第2の貫通穴を光学素子に設けることができる。幾つかの場合に、第2の貫通穴は少なくとも1つの放射エネルギー源の一部に位置付けることができる。ある例において、少なくとも1つの放射エネルギー源のその部分は、少なくとも1つの放射エネルギー源の第2の部分とすることができ、この第2の部分は、
図19Aに示されるように、気流経路と接触する。空気は放射エネルギー源の外部(例えば、装置のハウジングの通気口を介して装置の外部)から放射エネルギー源の内部へと導入され、放射エネルギー源の内部から空気経路内へと出ることができる。他の例では、少なくとも1つの放射エネルギー源のその部分は、少なくとも1つの放射エネルギー源の第1の部分とすることができ、この第1の部分は、
図19Bに示されるように、気流経路と接触しない。空気は空気経路から放射エネルギー源の内部へと導入され、放射エネルギー源の内部から装置の外部へと(例えば、装置のハウジングの通気口を介して)出ることができる。また別の例において、第1の貫通穴と第2の貫通穴の両方を少なくとも1つの放射エネルギー源の第1の部分に設けることができる。空気は装置の外部からハウジングの通気口を介して放射エネルギー源の内部へと導入され、放射エネルギー源の内部から通気口を介して装置の外部へと再び出ることができる。さらに別の例において、第1の貫通穴と第2の貫通穴の両方を少なくとも1つの放射エネルギー源の第2の部分に設けることができる。空気は空気経路から放射エネルギー源の内部に導入され、放射エネルギー源の内部から空気経路へと再び出ることができる。
【0109】
図19Cは、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つが気流経路1703と物理的に接触していない装置の例示的な構成を示す。熱結合部は、第1の貫通穴1951と連通する空気ダクト1956を含むことができる。空気ダクトはさらに、気流経路内の気流又はハウジングの外部の何れとも連通できる。空気ダクトは、熱伝導材料から製作できる。空気を放射エネルギー源の内部から排出するように構成された第2の貫通穴を
図19Cの構成に追加的に設けることができ、空気ダクトを第2の貫通穴に設けることができる。第1又は第2の貫通穴は、
図19A及び
図19Bにおいて述べたように、放射エネルギー源の第1又は第2の部分の何れにも設けることができる。
図19A~
図19Cの例は1つ又は複数の放射エネルギー源が気流経路の外部に位置付けられているように示されているが、1つ又は複数の放射エネルギー源はまた、気流経路内に位置付けることができ、第1及び第2の貫通穴が放射エネルギー源の内部への空気の導入及びそこからの排出を生じさせることができる。
【0110】
図20A~
図20Dは、熱結合部は気流経路内の気流と連通する第3の貫通穴1953を含む装置の例示的な構成を示す。第3の貫通穴は、気流経路の壁に設けることができる。幾つかの場合に、
図20A~
図20Dに示されるように、第3の貫通穴は、空気を気流経路1703から、少なくとも1つ又は複数の放射エネルギー源1707の少なくとも外面へと方向付けるように構成できる。気流経路から導入されて、少なくとも1つの放射エネルギー源の少なくとも外面に吹き付けられる空気は、放射エネルギー源の外面から熱の少なくとも一部を取り除き、それによって放射エネルギー源の温度を下げる。
【0111】
熱結合部は、空気経路から導入された空気を装置の外部へと、又は再び空気経路の中へと排出するように構成された第4の貫通穴をさらに含むことができる。第3の貫通穴から第4の貫通穴へと循環する空気によって、放射エネルギー源からの熱の除去を容易にし、それによって放射エネルギー源の温度を下げることができる。
図20Bに示される例において、第4の貫通穴1955は装置のハウジング1701に設けることができる。気流経路から導入された空気は、放射エネルギー源の外面の少なくとも一部を通って流れ、第4の貫通穴から装置の外部へと出ることができる。
図20Cに示される例において、光学素子1733は、放射エネルギー源のリフレクターの開口及び、リフレクターの開口の縁と装置のハウジング1701との間のギャップを覆うように設けることができる。第4の貫通穴1955は、光学素子の、ギャップを覆う部分に設けることができる。気流経路から導入された空気は、放射エネルギー源の外面の少なくとも一部を通って流れ、第4の貫通穴から装置の外部へと出ることができる。
図20Dに示される例において、第4の貫通穴1955は空気経路1703の壁に設けることができる。気流経路から導入された空気は、放射エネルギー源の外面の少なくとも一部を通って流れ、第4の貫通穴を介して再び気流経路の中に入ることができる。複数の第4の貫通穴を装置のハウジング、放射エネルギー源の光学素子、及び/又は気流経路の壁に設けることができることは明らかである。
【0112】
本開示はまた、1つ又は複数の放射エネルギー源のリレクターが切り欠き形状を有する、物体を乾燥させる装置の構成も提供する。放物面状又は多項式リフレクターを有する複数の放射エネルギー源(例えば、赤外放射ランプ)を収容した小型の装置では、リフレクターが装置の内部空間を占め、それゆえ、気流経路の構成及び/又は配置に影響を与え、それが今度は気流の特性に影響を与えるかもしれない。例えば、気流の速度と体積は物体を乾燥させる効率に影響を与える可能性があり、気流の抵抗の増大によってより大きなノイズが生成される可能性がある。他方で、小型化されたリフレクターを有する赤外放射ランプは、放射効率の低下の原因となる可能性も考えられる。それに加えて、リフレクター内の内部装置及び/又は位置決め構成要素の存在によって、リフレクターの大きさ(例えば、開口の直径、開口から頂点までの長さ方向の長さ)は大きくは縮小されないかもしれない。したがって、放射効率、気流特性(例えば、体積、速度、速度分布、場の面積、抵抗、圧力、方向、渦、及び発散等)、機能性、及び空間効率のバランスのとれたリフレクターを有する放射エネルギー源を提供する必要がある。
【0113】
図21は、1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターが切り欠き形状を有する、物体を乾燥させる装置の例示的な構成を示す概略図である。パネルBはパネルAの概略図の側面図である。物体を乾燥させる装置は、ハウジングと、赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源に電源供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。1つ又は複数の放射エネルギー源の各々は、リフレクターを含むことができる。リフレクターは、ハウジングの外部に向かう開口を有することができる。リフレクターの半径方向断面(例えば、軸に垂直な断面)は曲面の一部とすることができる。幾つかの場合に、リフレクターの軸方向の断面及び/又は半径方向の断面のプロファイルは、複数のセグメントを有する多項式とすることができる。例えば、プロファイルの第1のセグメントは、第1のパラメーター群の多項式によって表現でき、プロファイルの第2のセグメントは、第2のパラメーター群の多項式によって表現できる。複数の放射エネルギー源のリフレクターのそれぞれの放物面状の反射面の軸は相互に交差でき、それによって複数の放射エネルギー源から出た放射は装置の前方の所定の距離において少なくとも部分的に重複することができる。
【0114】
図21に示される例において、1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流経路と装置のハウジングとの間に位置付けることができる。1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターのうちの少なくとも1つは、切り欠き形状を有することができる。本明細書で使用されるかぎり、「切り欠き形状」という用語は、完全体の円錐、円錐台、円柱形、球、又は回転楕円体ではない立体形状を指すことができる。切り欠き形状では、立体形状の周辺の少なくとも一部が除去される。
図21のパネルAに示されるように、放射エネルギー源の切り欠き形状のリフレクターの少なくとも1つは、少なくとも第1の部分2161を含むことができ、これは気流経路2103の外壁に連結されるか、それと一体であるか、又はそれを形成する。本開示において、第1の部分は切り欠き形状のリフレクターの一部として説明されている。しかしながら、当業者にとっては明らかであるように、第1の部分は気流経路の壁の一部又はリフレクターと気流経路の共有若しくは結合部分とも考えることができる。第1の部分は気流経路内の気流と接触できる。第1の部分は、放射エネルギー源で生成された熱を気流経路へと熱伝導によって伝えるように構成できる。切り欠き形状のリフレクターの第1の部分は、気流経路の輪郭に追従できる。切り欠き形状のリフレクターの第1の部分の形状は湾曲部を有することができる。幾つかの場合に、湾曲部は、
図21に示されるように、装置の幾何学中心に関して凹状とすることができる。リフレクターの半径方向の断面は、湾曲の一部とすることができる。幾つかの場合に、半径方向の断面はリフレクターの軸に沿って変化することができる。
【0115】
例示的な実施形態において、切り欠き形状のリフレクターの少なくとも1つは、リフレクターの、第1の部分2161の反対側に配置される第2の部分2162をさらに含むことができる。第2の部分は、第1の部分のそれと実質的に同じ又は異なる曲率を有することができる。第2の部分は、気流経路と接触しないように位置付けることができる。幾つかの場合に、第2の部分は装置のハウジングに連結される部分を含むことができる。例示的な実施形態において、切り欠き形状のリフレクターの少なくとも1つは、第1及び第2の部分を接続する第3の部分2163をさらに含むことができる。切り欠き形状のリフレクターの第3の部分は、
図21に示されるように、隣接する切り欠き形状のリフレクターの第3の部分に連結できる。第1の部分2161の材料は、第2の部分及び/又は第3の部分とは異なるものとすることができ、例えばより高い熱導電率を有する。
【0116】
図21のパネルC及びDは、1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターは本開示の他の実施形態による切り欠き形状を有する、物体を乾燥させる装置の例示的な構成を示す概略図を提供する。パネルDは、パネルCの概略図の切り欠き側面図である。
図21のパネルC及びDに示される例において、気流経路2103は装置のハウジング2101と1つ又は複数の放射エネルギー源2107との間に提供できる。1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクターのうちの少なくとも1つは切り欠き形状を有することができる。
図21のパネルCに示されるように、放射エネルギー源の切り欠き形状のリフレクターのうちの少なくとも1つは、ハウジング輪郭に追従する、少なくとも第1の部分2161を含むことができる。第1の部分は、ハウジングの内面に連結された部分を含むことができる。幾つかの場合に、切り欠き形状のリフレクターのうちの少なくとも1つは、第2の部分2162をさらに含むことができ、これはリフレクターの、第1の部分2161と反対側に配置される。幾つかの場合に、切り欠き形状のリフレクターの少なくとも1つは、第1及び第2の部分を接続する第3の部分2163をさらに含むことができる。切り欠き形状のリフレクターの第3の部分は、
図21のパネルC及びDに示されるように、隣接する切り欠き形状のリフレクターの第3の部分に連結できる。
【0117】
実験とシミュレーションは、
図22に示されるように、開口において同じ大きさ(例えば、直径)を有する、切り欠き形状のリフレクターを有する放射エネルギー源と完全体の円錐形状のリフレクターを有する放射エネルギー源との、放射電力分布パターン及び放射効率(例えば、リフレクターの開口における出力放射電力と放射エネルギー源の入力電力との比)を示す。切り欠き形状のリフレクターを有する放射エネルギー源の放射効率は88.1%であり、これは完全体の円錐形状のリフレクターを有する放射エネルギー源の放射効率88.93%と同等に高く、その一方で切り欠きリフレクターの輪郭はより小さく保たれる。
【0118】
図23は、物体を乾燥させる装置の他の例示的な構成を示す。装置のハウジングと気流経路2303との間に位置付けられる複数の放射エネルギー源の中で、少なくとも1つの放射エネルギー源は第1の部分を含み、これは気流経路と接触しないように位置付けられる。例えば、放射エネルギー源2307aは、気流経路と対向するように位置付けられた第1の部分を含むことができるが、放射エネルギー源2307aは気流経路と接触するように位置付けられた第2の部分をさらに含むことができる。例えば、放射エネルギー源2307bは、気流経路から離して位置付けることができ、それゆえ気流経路と接触する部分を含まない。例示的な実施形態において、熱結合部は放射エネルギー源2307bに連結して、放射エネルギー源2307bからの熱を放散させるように構成できる。本開示の別の部分で述べるように、熱結合部は気流経路又は装置のハウジングに接続される熱結合部材又は冷却部材を含むことができる。熱結合部は、第1の貫通穴を含むことができ、これは放射エネルギー源2307bの内部と連通する。第1の貫通穴は、放射エネルギー源2307bの内部に空気を導入するように構成できる。熱結合部は第3の貫通穴を含むことができ、これは気流経路内の気流と連通する。第3の貫通穴は、空気を気流経路から放射エネルギー源2307bの外面又は内部へと方向付けるように構成できる。放射エネルギー源2307aは気流経路に隣接して位置付けることができる。放射エネルギー源2307aの第2の部分は、気流経路と接触できる。本開示の他の箇所で述べるように、放射エネルギー源2307aのリフレクターは、切り欠き形状を有することができる。切り欠き形状のリフレクターは、気流経路に連結される少なくとも第1の部分を含むことができる。第1の部分は、気流経路の輪郭に追従できる。
【0119】
図24は、物体を乾燥させる装置のまた別の例示的な構成を示す。複数の放射エネルギー源2407は、装置のハウジング2401の中に位置付けることができる。気流経路は、放射エネルギー源間に画定される空間に設けることができる。例えば、第1の気流経路2403aは、2つ以上の放射エネルギー源間の空間に設けることができる。例えば、第2の気流経路2403bは、追加的又は代替的に、ハウジングの幾何学中心の付近に位置付けられる放射エネルギー源により取り囲まれる空間に設けることができる。ある例において、熱結合部は、本開示の他の箇所で述べるように、放射エネルギー源の少なくとも1つに連結して、放射エネルギー源からの熱を放散させるように構成できる。ある例において、本開示のための箇所で述べるように、放射エネルギー源の少なくとも1つ(例えば、気流経路又は装置のハウジングに当接する放射エネルギー源)のリフレクターは切り欠き形状を有することができる。複数の放射エネルギー源のそれぞれの放物面状リフレクターの軸は相互に交差させることができ、それによって複数の放射エネルギー源から出る放射は、装置の前方のある距離において少なくとも部分的に重複することができる。
【0120】
本開示は、生成された放射を効率的に反射できる放射エネルギー源(例えば、放射電球)をさらに提供する。放射エネルギー源は、本開示の物体を乾燥させる装置で使用できる。
図25は、本開示の放射エネルギー源の例示的な構成を示す。放射エネルギー源は、放射エミッター2531とリフレクター2532を含むことができる。放射エミッターは、電源供給されると赤外放射を生成するように構成できる。リフレクターは、少なくとも1つの頂点と放射エネルギー源の外部に向かう開口を有する放物面状又は多項式の断面を有することができる。リフレクターは、赤外放射を放射エネルギー源の外部へと方向付けるように構成できる。リフレクターの開口は、光学素子2533により覆うことができる。複数の放射エネルギー源が設けられる構成では、複数のリフレクターの開口を1つの光学素子で覆うことができる。例えば、光学素子はレンズ、コーティングフィルターまで被覆されたレンズ、又レンズ以外の光学系とすることができる。
【0121】
放射エミッターは、放射エミッターの遠位端2534(例えば、先端部分)が開口に向かわないように位置付け、向き付けることができる。
図25の例示的な放射エネルギー源において、放射エミッターは、その長さ方向軸(例えば、リードから先端まで)がリフレクターの開口に関して実質的に垂直となるように向き付けることができる。例えば、放射エミッターは、リフレクターの側方部分2535に、若しくはその付近に、すなわちリフレクターの頂点の付近に支持でき、この側方部分はリフレクターの、頂点を含まない部分である。リフレクターは、電源とエミッターとの間のカップリング(例えば、ワイヤー)を収容するための少なくとも1つの貫通穴を有することができる。少なくとも1つの貫通穴は、電気、放射、又は水の少なくとも1つを遮断できるシーリング部材によってシールできる。
【0122】
図26に示される例示的な放射エネルギー源において、放射エミッターは放射エネルギー源の開口に関して実質的に反対方向に向き付けることができる。例えば、放射電球の先端部分2534はリフレクターの頂点に向かうことができ、他方で放射電球の基端部分はリフレクターの開口に向かう。放射エミッター2531は、放射エネルギー源の開口の中に延びる支持部2536により支持されることができ、それによって放射エミッターは、放射をリフレクターの頂点へと方向付けるように向き付けられる。支持手段は、電源と放射エミッターの電源リードとの間にカップリング(例えば、ワイヤー)を収容する溝を含むことができる。
図25及び
図26に示される放射エネルギー源の利点としては、反射効率及び光学特性の改善を含むことができる。例えば、本開示の実施形態の構成によって、実質的に放射エミッター(例えば、フィラメント)は放物面リフレクター又は多項式リフレクターの焦点に、又はその付近に位置付けることができ、その結果、放射の反射ビームは実質的に平行となる。
【0123】
本開示はまた、改善された放射発出を有する放射エミッター(例えば、赤外ランプ等)も提供する。放射エミッターは、本開示の物体を乾燥させる装置のための放射エネルギー源の中で使用できる。
図27は、本開示の放射エミッターの例示的な実施形態を示す。放射エミッターは放射生成素子2704を含むことができ、これは電球2701内に封入され、電源投入されると放射を生成するように構成される。電球の先端部分はレンズ2703を含むことができ、これは放射エミッターから出る放射の発散及び/又は方向を変調する。放射生成素子2704は、所定の幅と高さを有するフィラメント(例えば、タングステンワイヤーフィラメント)とすることができる。リード又はピン2705は、フィラメントを支持し、フィラメントと電源素子との間を連結することができる。放射エミッターは第1の放射反射素子2706を含むことができ、これは放射生成素子2704の下に位置付けられ、放射の少なくとも一部を放射エミッターの外部に向かって反射させるように構成される。
【0124】
第1の放射反射素子は、放射生成素子に面する反射面を有することができる。反射面は、焦点を有する実質的に放物面とすることができ、放射生成素子は焦点の付近に、又は焦点に位置付けられる。幾つかの場合に、反射面は赤外放射を反射するコーティングを有することができる。第1の放射反射素子は、耐熱金属から製作できる。耐熱金属の例としては、モリブデン、タンタル、ニオビウム、銅、及び鋼鉄を含むことができる。
【0125】
図28の例示的な実施形態において、放射エミッターは第2の反射素子2707をさらに含むことができ、これは第1の反射素子2706に関して放射生成素子2704の反対側に配置される。第2の反射素子は、発出素子に面して、放射の少なくとも一部を第1の反射素子に向かって反射させる反射面を有することができる。反射面は、焦点を有する実質的に放物面とすることができ、放射生成素子は焦点の付近に、又は焦点に位置付けられる。第2の反射素子は、その幾何学中心に穴2708を有することができる。第2の反射素子は、放射エミッターから出る放射の発散角度を調整するために提供される。例えば、その発散角度が所定の発散角度と等しいか、又はそれより小さい放射だけが第2の反射素子の穴を通過して、放射エミッターから出ることができる。フィラメントから発出され、又は第1の放射反射素子により反射されるが、その発散角度が所定の発散角度より大きい放射はすべて、第2の放射反射素子によって第1の反射素子に戻るように反射することができる。幾つかの場合に、フィラメントから発出される放射の一部は、第1の反射素子、第2の反射素子、及び/又はリフレクターの内面の間で複数回反射されてから、放射エミッターから及び/又はリフレクターの開口から出ることができ、その結果、放射はコリメートされて放射エミッター及び/又はリフレクターの開口から出る。
【0126】
第1及び/又は第2の放射反射素子は、支持部材により支持できる。支持部材は絶縁できる。支持部材は、非導電材料から製作できる。幾つかの場合に、支持部材は放射生成素子を支持する支持部から分離され、それと異なるものとすることができる。幾つかの場合に、支持部材はまた、放射生成素子を支持し、そこに電力を伝達できる。後者の場合、支持部材が第1及び第2の放射反射素子と接触する部分に、絶縁を設けることができる。
【0127】
本開示はまた、生成するノイズの低い、物体を乾燥させる装置も提供する。装置は、気流入口と気流出口を有する気流経路を提供するように構成されたハウジングと、ハウジングに収容され、気流経路を通る気流を生じさせるように構成された気流生成素子と、ハウジングに収容され、赤外放射を生成して、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるように構成された放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源供給するように構成された電源素子と、を含むことができる。気流生成素子は、電源素子の少なくとも一部に関して気流の下流に位置付けることができる。放射エネルギー源の少なくとも一部は、気流生成素子に関して気流の下流に配置できる。放射エネルギー源の少なくとも一部は、気流経路の少なくとも一部に連結できる。
【0128】
気流生成素子は、少なくとも低ノイズモーターを含むことができる。気流生成素子は、モーターにより駆動されるファンを含むことができ、作動されると、ファンの回転は、気流経路を通る気流を生じさせる。ファンは複数のブレードを含むことができる。モーターの回転スピードは、ブレードの数に基づいて、モーターの回転の速度とブレードの数の積に相関する翼通過周波数が実質的に超音波の周波数内となるように特定できる。それゆえモーターのノイズは抑制できるが、これは、人間が超音波の範囲の周波数を有する音を感知しないからである。モーターはハイスピードモーターとすることができる。幾つかの場合に、モーターの回転スピードは少なくとも10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、又はそれより多い回転数毎分(rpm)を超えることができる。ブレードの数は、2より大きい素数とすることができる。ある例において、ブレードの数は3、5、7、9、11又は13又は17以上とすることができる。
【0129】
ハイスピードモーターは、物体を乾燥させる装置における本開示の他の何れの態様と組み合わせることもできる。例えば、ハイスピードモーターを有する、物体を乾燥させる装置において、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つは、気流経路と接触しないように位置付けられた第1の部分を含むことができる。この構成を実現できるのは、ハイスピードモーターによって気流経路内で大きい体積の気流が生成され、この大きい体積の気流によって、放射エネルギー源から熱が伝えられたとしても、気流経路及び気流の温度の上昇が減少するからである。例えば、モーターにより生成される気流の体積は、装置の出力開口において測定したときに、少なくとも5、10、15、20、25、又は30立方フィート毎分(CFM)とすることができる。放射エネルギー源の放熱効率は、モーターにおいて生成される気流の体積と放射エミッターの黒体放射に必要な温度から特定でき、放熱に必要な放射エネルギー源の面積は、放熱効率に基づいて特定できる。放熱に必要な面積は、放射エネルギー源の外壁の総面積のうち、放射エネルギー源の動作温度を所定の温度範囲(例えば、放射エミッターを黒体放射状態に保持するのに必要な温度範囲)内に保持するための部分とすることができる。したがって、放射エネルギー源の外面の一部を気流経路と接触させて、熱結合部を放射エネルギー源に連結し、及び/又は比較的短い突出部材(例えば、フィン)を放射エネルギー源から気流経路の内部へと延ばして、放射エネルギー源の動作温度を所定の温度範囲内に保持することが十分である可能性がある。ハイスピードモーターにより生成される大きい体積の気流によって、放射エネルギー源から気流経路又は気流に伝えられる熱を、気流経路又は気流の温度を実質的に上げずに、効率的に取り除くことができる。幾つかの場合に、放射エネルギー源から伝えられる熱による気流経路内の気流の温度の上昇は、1、2、3、4、又は5度未満とすることができる。
【0130】
モーターは、取付要素によってハウジング内に連結でき、この取付要素は気流生成素子の一部とすることができる。モーターは、取付要素のチャンバー内に受けられることができる。取付要素は、モーターにより生成される振動及び/又はノイズがハウジングに伝わるのを阻止し、又は軽減させることができる。取付要素は、例えば弾性材料の支持部材を含むことができる。ある例において、取付要素は、ハウジング、気流経路、又は放射エネルギー源の少なくとも1つに連結される部分を含むことができる。
【0131】
本開示はまた、物体を乾燥させる方法も提供する。方法は、ハウジングを介して気流経路を提供するステップであって、気流経路は気流入口と気流出口を有するステップと、ハウジング内に収容された気流生成素子を介して、気流経路を通る気流を生じさせるステップであって、気流生成素子は少なくとも1つの低ノイズモーターを含むステップと、ハウジング内に格納された放射エネルギー源を介して赤外放射を生成し、赤外放射をハウジングの外部へと方向付けるステップと、電源素子を介して、少なくとも放射エネルギー源と気流生成素子に電源を供給するステップと、を含むことができる。
【0132】
本開示の本体を乾燥させる装置は、ヘアドライヤーが描かれた図面に関して説明されているが、当業者であれば、物体を乾燥させる装置は、放射エネルギー源(例えば、1つ又は複数の赤外ランプ)が熱エネルギー源として利用されるかぎり、ヘアドライヤーに限定されないことがわかる。幾つかの実施形態において、本開示の物体を乾燥させる装置は衣類乾燥機又はハンドドライヤーとして実装することもできる。衣類乾燥機は、1つ又は複数の赤外ランプを使って気流生成素子に関連付けられる熱源として使用して、衣類、シーツ、カーテン、及びぬいぐるみ等の様々な布からの水の蒸発を容易にすることができる。衣類乾燥機のハウジングは、支持手段又はスタンドを含むことができる。支持手段又はスタンドの高さは調節可能である。
【0133】
図29は、本発明の実施形態による機器制御システムの例を示す。機器制御システムは、本開示の方法及び装置を実装するようにプログラムできる。
【0134】
機器制御システムは中央処理ユニット(CPU、本明細書ではまた、「プロセッサー」及び「コンピュータープロセッサー」)2905を含み、これはシングルコア若しくはマルチコアプロセッサー又は並行処理のための複数のプロセッサーとすることができる。機器制御システムはまた、メモリ又は記憶場所2910(例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリ)、電子ストレージユニット2915(例えば、ハードディスク)、1つ又は複数の他のシステムと通信するための通信インタフェース2920(例えば、ネットワークアダプター)、及びケーブル、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子表示アダプター等の周辺機器2925も含む。メモリ2910、ストレージユニット2915、インタフェース2920、及び周辺機器2925は、マザボード等の通信バス(実線)を通じてCPU2905と通信する。ストレージユニット2915は、データを保存するためのデータストレージユニット(又はデータレポジトリ)とすることができる。機器制御システムは、通信インタフェース2920を利用してコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)2930に動作的に連結できる。ネットワーク2930はInternet、網間接続網(internet)及び/又はエクストラネット、又はInternetと通信するイントラネット及び/又はエクストラネットとすることができる。
【0135】
幾つかのケースでのネットワーク2930は、電気通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク2930は1つ又は複数のコンピューターサーバーを含むことができ、これは分散型コンピューティング、例えばクラウドコンピューティングを可能にできる。例えば、1つ又は複数のコンピューターサーバーによって、本開示の分析、計算、及び生成の様々な態様、例えば1つ又は複数の実験環境の構成の捕捉、製品(例えば、アプリケーション)の利用状況分析の実行、及びプロジェクトの統計の出力を提供すること等を行うために、ネットワーク2930上でのクラウドコンピューティング(「クラウド」)が可能となるかもしれない。このようなクラウドコンピューティングは、例えばAmazon Web Services(AWS(登録商標))、Microsoft Azure(登録商標)、Google Cloud Platform、及びIBMクラウド等のクラウドコンピューティングプラットフォームにより提供されてよい。ネットワーク2930は、幾つかのケースにおいて、機器制御システムを利用してピアツーピアネットワークを実装でき、これにわって機器制御システムに連結された機器はクライアントとしてもサーバーとしても動作できるかもしれない。
【0136】
CPU2905は、プログラム又はソフトウェアにおいて具現化できる機械可読命令のシーケンスを実行できる。命令は、メモリ2910等の記憶場所に保存されてよい。命令はCPU2905に向けることができ、これはその後、本開示の方法を実行するようにCPU2905をプログラムし、又はそれ以外に構成することができる。CPU2905により実行される動作の例としては、フェッチ、復号、実行、及びライトバックを含むことができる。
【0137】
CPU2905は、集積回路等の回路の一部とすることができる。システムの1つ又は複数のその他のコンポーネントは、回路の中に含めることができる。幾つかのケースでは、回路は特定用途集積回路(ASIC)である。
【0138】
ストレージユニット2915は、ドライバー、ライブラリー、及び保存されたプログラム等のファイルを保存できる。ストレージユニット2915は、ユーザー選好データ、例えばユーザー選好及びユーザープログラムを保存できる。機器制御システムは、幾つかのケースで、機器制御システムの外部、例えばイントラネット又はInternetを通じて機器制御システムと通信するリモートサーバー上にある1つ又は複数の追加データストレージユニットを含むことができる。
【0139】
機器制御システムは、ネットワーク2930を通じて1つ又は複数のリモート機器制御システムと通信できる。例えば、機器制御システムは、ユーザー(例えば、実験環境のユーザー)のリモート機器制御システムと通信できる。リモート機器制御システムの例には、パーソナルコンピューター(例えば、ポータブルPC)、スレート又はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android(登録商標)対応機器、Blackberry(登録商標))、又は携帯情報端末が含まれる。ユーザーは機器制御システムにネットワーク2930を介してアクセスできる。
【0140】
本開示において記載されている方法は、機器制御システムの電子ストレージ場所、例えばメモリ2910又は電子ストレージユニット2915に保存された機械(例えば、コンピュータープロセッサー)実行可能コードによって実行できる。機械実行可能又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供できる。使用中、コードはプロセッサー2905によって実行できる。幾つかのケースで、コードはストレージユニット2915から読み出し、プロセッサー2905が容易にアクセスできるようにメモリ2910上に保存できる。幾つかの状況で、電子ストレージユニット2915を排除でき、機械実行可能命令はメモリ2910に保存される。
【0141】
コードは、コードを実行するようになされたプロセッサーを有する機械と共に使用するようにプリコンパイル及び構成することができるか、又はランタイム中にコンパイルすることができる。コードは、コードをプリコンパイル式又はランタイムコンパイル式に(as-compiled)実行できるように選択可能なプログラミング言語で供給できる。
【0142】
本願で提供されるシステム及び方法の態様、例えば機器制御システム1401は、プログラミングで具現化できる。この技術の様々な態様は、典型的には、機械可読媒体のタイプで担持され、又はそれにおいて具現化される機械(又はプロセッサー)実行可能コード及び/又は関連データの形態の「製品」又は「製造物品」と考えてよい。機械可読コードは、メモリ(例えば、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスク等の電子ストレージユニット上に保存できる。「ストレージ」タイプの媒体としては、コンピューター、プロセッサー、又はその他の有形メモリ又は、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的ストレージを提供するかもしれない、それに関連するモジュール、例えば半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ、及びその他のあらゆる有形メモリを含むことができる。ソフトウェアの全部又は一部は時々、Internet又は他の様々な電気通信ネットワークを通じて通信されてよい。このような通信により、例えば、ソフトウェアを1つのコンピューター又はプロセッサーから他のコンピューター又はプロセッサーに、例えば管理サーバー又はホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームにロードすることが可能となるかもしれない。それゆえ、ソフトウェア要素を担持するかもしれない他のタイプの媒体には、有線及び光陸上通信線網を通じた、及び様々な及びエアリンクでのローカル機器間の物理的インタフェースで使用されるような光波、電波、及び電磁波が含まれる。このような波を伝搬する物理的要素、例えば有線若しくは無線リンク、光リンク、又はその他はまた、ソフトウェアを担持する媒体と考えられてもよい。本明細書で使用されるかぎり、非一時的、有形「ストレージ」媒体に限定されていなければ、コンピューター又は機械「可読媒体」等の用語は、実行のためにプロセッサーに命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。
【0143】
したがって、コンピューター実行可能コード等の機械可読媒体は様々な形態をとってよく、これには有形ストレージ媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体が含まれるがこれらに限定されない。不揮発性ストレージ媒体には例えば、図面に示されているような、データベース等の実装に使用されてよいコンピューター又はその他のストレージデバイスの何れか等の光又は磁気ディスクが含まれる。揮発性メモリには、このようなコンピュータープラットフォームのメインメモリ等のダイナミックメモリが含まれる。有形伝送媒体には、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバーが含まれ、これには機器制御システム内のバスを含むワイヤーが含まれる。搬送波伝送媒体は、電気若しくは電磁信号又は、無線(RF)及び赤外(IR)データ通信中に生成されるような音波若しくは光波の形態をとってよい。したがって、一般的な形態のコンピューター可読媒体には、例えば、フロッピディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他のあらゆる磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、他のあらゆる光媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する他のあらゆる物理的ストレージ媒体、RAM、ROM、PROM、及びEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、他のあらゆるメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を伝搬する搬送波、このような搬送波を伝搬するケーブル若しくはリンク、又はそこからコンピューターがプログラミングコード及び/又はデータを読み出すかもしれない他のあらゆる媒体が含まれる。これらの形態のコンピューター可読媒体の多くは、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行のためにプロセッサーに運ぶことに関与するかもしれない。
【0144】
機器制御システムは、例えばモデル管理システムの各種のコンポーネント(例えば、ラボ、発射台、制御センター、ナレッジセンター等)を提供するためのユーザーインタフェース(UI)2940を含む電子ディスプレイ2935を含むか、又はそれと通信することができる。UIの例には、これらに限定されることなく、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)及びウェブベースユーザーインタフェースが含まれる。電子ディスプレイは、スマートフォン等のユーザー機器のディスプレイとすることができる。
【0145】
本開示の方法及び機器は、1つ又は複数のアルゴリズムによって実装できる。アルゴリズムは、中央処理ユニット2905により実行されたソフトウェアによって実行できる。アルゴリズムは例えば、サンプル輸送システムの1つ又は複数のコンポーネントを動作させるための命令を生成できる。
【0146】
以上のことから、特定の実施例が図示され、説明されているが、様々な改良をそこに加えることができ、それらも本願で想定されていると理解すべきである。また、本発明が明細書中で提供される特定の例によって限定されることも意図されていない。本発明は本開示に関して説明されているが、本明細書中の好ましい実施形態の説明及び図は限定的な意味では解釈されないものとする。好ましい実施形態の態様は、他の実施形態において組み合わせることができる。例えば、気流経路と接触しないように位置付けられた第1の部分を有する1つ又は複数の放射エネルギー源、1つ又は複数の放射エネルギー源の少なくとも1つに連結された熱結合部、切り欠き形状を有する1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクター、放射エミッターが、放射エミッターの遠位端がリフレクターの開口に向いていないように位置付けられ、向き付けられている放射エネルギー源、1つ又は複数の放射反射素子を有する放射エミッター、及びハイスピードモーターは、本開示では特に説明されていないその他の実施形態において任意選択によって組み合わせることができる。さらに、本発明のすべての態様が本明細書に記載されている具体的な描写、構成、又は相対的比率に限定されるとはかぎらず、これらは様々な条件及び変数に依存すると理解すべきである。本発明の実施形態の形態及び詳細事項における各種の改良が当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明はこのような改良、変形、及び等価物もカバーすることが想定される。