(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】遠隔診療システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220825BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2018077437
(22)【出願日】2018-04-13
【審査請求日】2018-05-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】517140181
【氏名又は名称】株式会社ウィンメディックス
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【氏名又は名称】山本 彰司
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【氏名又は名称】山本 龍郎
(72)【発明者】
【氏名】白木 茂
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】松田 直也
【審判官】溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-117152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0259755(US,A1)
【文献】特開2003-271733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者がコールセンターに向けて発信するために用いる第1の端末装置と、
前記第1の端末装置からの発信を受信する第2の端末装置と、
システムサーバと、を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療システムであって、
前記システムサーバは、前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の
両方とを対応付けて管理し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、
相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、
前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置において表示可能とする遠隔診療システム。
【請求項2】
利用者がコールセンターに向けて発信するために用いる第1の端末装置と、
前記第1の端末装置からの発信を受信する第2の端末装置と、
システムサーバと、を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって前記利用者に対して問診を行う遠隔診療システムであって、医療関係者が用いる第3の端末装置を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第3の端末装置と通信を行うことによって前記医療関係者を呼び出し、
前記システムサーバは、前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の
両方とを対応付けて管理し、
前記第3の端末装置は、前記システムサーバが管理する前記利用者の健康保険証情報を受信し表示画面に表示する処理を実行可能であり、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置と前記第3の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、
相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、
前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置と前記第3の端末装置において表示可能とする遠隔診療システム。
【請求項3】
利用者が第1の端末装置を用いてコールセンターに向けて発信し、
前記コールセンターが、第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療方法であって、
前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の
両方とを対応付けてシステムサーバが管理し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、
相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、
前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置において表示可能とする、遠隔診療方法。
【請求項4】
利用者が第1の端末装置を用いてコールセンターに向けて発信し、前記コールセンターが、第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことに
よって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療方法であって、
前記第2の端末装置を用いて、医療関係者が用いる第3の端末装置と通信を行うことによって、医療関係者を呼び出し、
前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の
両方とを対応付けてシステムサーバが管理し、
前記システムサーバが管理する前記利用者の健康保険証情報を前記第3の端末装置が受信して表示画面に表示し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置と前記第3の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、
相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、
前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記保険証情報を前記第2の端末装置と前記第3の端末装置において表示可能とする遠隔診療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が遠隔操作によって問診を受けることができる遠隔診療システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、患者が使用する端末装置と医師が使用する端末装置との間をインターネット回線などで接続することによって、患者が病院などの医療施設に出向くことなく、遠隔地で診察を受けることができるシステムが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、患者が端末装置を用いて診察予約を行ったり、問診情報を端末装置に対して設定入力したりして、ビデオ通話によって医師の診察を受けるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえば患者が高齢者であり、パーソナルコンピュータ、タブレット端末またはスマートフォンなどの端末装置の操作になれていない場合には、問診情報の内容を端末装置に設定入力することが困難であり、非常に煩わしい作業となってしまう。
【0006】
また、患者の方から問診内容について質問がある場合もあるが、特許文献1のシステムではそのような質問に対応することができず、結果として、正確な回答を得ることができない場合が生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、遠隔地から診察を受ける場合において、簡易に問診を受けることができ、患者からより正確な答えを得ることができる遠隔診療システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遠隔診療システムは、利用者がコールセンターに向けて発信するために用いる第1の端末装置と、
前記第1の端末装置からの発信を受信する第2の端末装置と、
システムサーバと、を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療システムであって、
前記システムサーバは、前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の両方とを対応付けて管理し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置において表示可能とする。
【0015】
また、本発明の遠隔診療システムにおいては、利用者がコールセンターに向けて発信するために用いる第1の端末装置と、
前記第1の端末装置からの発信を受信する第2の端末装置と、
システムサーバと、を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって前記利用者に対して問診を行う遠隔診療システムであって、医療関係者が用いる第3の端末装置を備え、
前記コールセンターが、前記第2の端末装置を用いて前記第3の端末装置と通信を行うことによって前記医療関係者を呼び出し、
前記システムサーバは、前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の両方とを対応付けて管理し、
前記第3の端末装置は、前記システムサーバが管理する前記利用者の健康保険証情報を受信し表示画面に表示する処理を実行可能であり、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置と前記第3の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置と前記第3の端末装置において表示可能とする。
【0016】
本発明の遠隔診療方法は、利用者が第1の端末装置を用いてコールセンターに向けて発信し、
前記コールセンターが、第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療方法であって、
前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の両方とを対応付けてシステムサーバが管理し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記健康保険証情報を前記第2の端末装置において表示可能とする、
【0017】
本発明の遠隔診療方法は、利用者が第1の端末装置を用いてコールセンターに向けて発信し、前記コールセンターが、第2の端末装置を用いて前記第1の端末装置と通信を行うことによって、前記利用者に対して問診を行う遠隔診療方法であって、
前記第2の端末装置を用いて、医療関係者が用いる第3の端末装置と通信を行うことによって、医療関係者を呼び出し、
前記第2の端末装置によって受信された前記利用者の顔映像情報と健康保険証情報の両方とを対応付けてシステムサーバが管理し、
前記システムサーバが管理する前記利用者の健康保険証情報を前記第3の端末装置が受信して表示画面に表示し、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置と前記第3の端末装置のそれぞれには、相互の通話時に、通話当事者全員の顔映像情報が表示され、前記システムサーバは、相互の通話時に前記第2の端末装置によって受信された顔映像情報と、前記システムサーバで管理される複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた前記保険証情報を前記第2の端末装置と前記第3の端末装置において表示可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遠隔診療システムおよび方法によれば、利用者がコールセンターに向けて発信するために用いる第1の端末装置と、第1の端末装置からの発信を受信する第2の端末装置とを備え、コールセンターが、第2の端末装置を用いて第1の端末装置と通信を行うことによって、利用者に対して問診を行うようにしたので、従来のように問診情報の端末装置への設定入力といった煩わしい作業を行う必要がなく、利用者が簡易に問診を受けることができ、患者からより正確な答えを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の遠隔診療システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図
【
図2】新規ユーザ登録を行う登録画面の一例を示す図
【
図3】遠隔診療システムを用いた遠隔診療方法を説明するためのフローチャート
【
図5】患者が使用する第1の端末装置に表示される画面の一例を示す図
【
図6】オペレータが使用する第2の端末装置に表示される画面の一例を示す図
【
図7】患者が使用する第1の端末装置に表示される画面の一例を示す図
【
図8】オペレータが使用する第2の端末装置に表示される画面の一例を示す図
【
図9】医師が使用する第3の端末装置に表示される画面の一例を示す図
【
図10】患者が使用する第1の端末装置に表示される過去の受信履歴の一例を示す図
【
図11】患者が使用する第1の端末装置に表示されるマイページの一例を示す図
【
図12】オペレータが使用する第2の端末装置に表示される過去の通話履歴の一例を示す図
【
図13】医師が使用する第3の端末装置に表示される過去の通話履歴の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の遠隔診療システムの一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の遠隔診療システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態の遠隔診療システム1は、たとえば過疎地などに住む高齢者などが自宅に居ながら端末装置を用いて問診を受けることができ、かつコールセンターからの質問に対して答える形式で問診を受けることがシステムである。本実施形態の遠隔診療システム1によれば、従来のように、質問に対する答えを端末装置に設定入力するシステムとは異なり、コールセンターとやり取りをしながら問診を受けることができるので、簡易に問診を受けることができ、より正確な答えを得ることができる。
【0022】
本実施形態の遠隔診療システム1は、具体的には、
図1に示すように第1の端末装置10と、第2の端末装置20と、第3の端末装置30と、システムサーバ40とを備えている。
【0023】
第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30は、それぞれ表示部および入力部を備えており、デスクトップパソコンやノートパソコンなどでもよいし、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯電話などといった携帯端末であってもよい。特に、患者(利用者)が利用する第1の端末装置10については、携帯電話またはタブレット端末であることが好ましい。
【0024】
第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30は、インターネット回線、電話回線およびLAN(Local Area Network)などの通信回線を用いて、システムサーバ40を介して互いに通信可能に構成されている。本実施形態においては、第1の端末装置10と第2の端末装置20の間の通信、第1の端末装置10と第3の端末装置30の間の通信、第2の端末装置20と第3の端末装置30との間の通信は、全てシステムサーバ40を介して行われる。ただし、一部の装置間について、システムサーバ40を介することなく、直接通信するように構成してもよい。
【0025】
また、本実施形態における第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30は、マイクおよびスピーカーなどの通話機能を有し、この通話機能を用いることによって各端末装置の使用者が互いに通話できるように構成されている。
【0026】
また、本実施形態における第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30は、カメラ機能を有し、そのカメラ機能によって各端末装置の使用者が撮影され、撮影された顔映像情報は、第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30の間で、システムサーバ40を介して相互に送信されて表示可能に構成されている。顔映像情報とは、顔を撮影した動画でもよいし、静止画でもよい。
【0027】
第1の端末装置10は、主に患者が用いるものであり、コールセンターのオペレータが使用する第2の端末装置20に向けて発信するものである。患者は、第1の端末装置10通話機能およびカメラ機能を用いてコールセンターによる問診を受け、医師の診断を受ける。
【0028】
第2の端末装置20は、コールセンターに設置されるものであり、本実施形態では、コールセンターのオペレータが使用するものである。そして、第2の端末装置20は、第1の端末装置10からの発信を受信し、通信回線およびシステムサーバ40を介して第1の端末装置10と接続されるものである。コールセンターのオペレータは、第2の端末装置20の通話機能およびカメラ機能を用いて患者の問診を行い、その問診結果に応じて医師の呼び出しを行う。
【0029】
第3の端末装置30は、医療施設などに設置されるものであり、医師などの医療関係者が使用するものである。そして、第3の端末装置30は、第2の端末装置20からの発信を受信し、通信回線およびシステムサーバ40を介して第1の端末装置10および第2の端末装置20に接続されるものである。医師は、第3の端末装置30の通話機能およびカメラ機能を用いてオペレータから問診結果を聞き、患者に診断結果を伝える。
【0030】
システムサーバ40は、コールセンターに設置されるものであり、本実施形態の遠隔診療方法を実施するためのプログラムがインストールされたものである。システムサーバ40は、CPUや上記プログラムがインストールされたハードディスクなどの記憶媒体を有するものであり、CPUによって上記プログラムを実行することによって機能する。具体的には、たとえば第1の端末装置10にユーザ登録画面を表示させ、新規ユーザ登録の受け付けを行ったり、第1~第3の端末装置10,20,30にログイン画面を表示させ、各端末装置からのログインを受け付けたり、第1~第3の端末装置10,20,30に3者同時通話を行うための画面を表示させ、3者同時通話を可能とするものである。
【0031】
次に、上述した第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30を備えた遠隔診療システム1を用いた遠隔診療方法について説明する。
【0032】
まず、患者が遠隔診療システム1を利用する際には、新規ユーザ登録を行う。具体的には、患者が第1の端末装置10を用いてシステムサーバ40にアクセスし、システムサーバ40に設けられたホームページ内に表示された「新規登録」ボタンを選択する。「新規登録」ボタンが選択されると、たとえば
図2に示すような登録画面が表示され、この登録画面によって新規ユーザ登録が行われる。
【0033】
図2に示すように、登録画面においては、携帯電話番号と認証コードの入力欄が表示される。患者が認証コードを取得していない場合には、まず登録画面における「認証コード取得」のボタンが選択され、これによりたとえば電子メールなどによって、コールセンターから第1の端末装置10に対して認証コードが送信される。
【0034】
そして、患者が、受信した認証コードと携帯電話番号とを登録画面に入力し、登録画面における「次へ」のボタンを選択することによって、ユーザ登録が行われる。本実施形態の遠隔診療システム1では、上述したように携帯電話番号と認証コードの入力のみでユーザ登録を行うことができるので、すなわち携帯電話番号以外の個人情報を入力することなくユーザ登録を行うことができるので、簡易な作業でユーザ登録を行うことができる。
【0035】
次に、上述したようにユーザ登録を行った患者が、実際に遠隔診療を受ける方法について、
図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
まず、患者が第1の端末装置10に表示されたシステムサーバ40のホームページ内の「ログイン」ボタンを選択し、第1の端末装置10において、たとえば
図4に示すようなログイン画面が表示される。
【0037】
図4に示すログイン画面において、患者が、携帯電話番号および予め設定したパスワードを設定入力する。そして、「ログイン」ボタンが選択されることによって、第1の端末装置10がコールセンターのシステムサーバ40にログインする(S10)。さらにログイン後に画面に表示された「接続」ボタン(図示省略)が選択されることによって、第1の端末装置10が、通信回線およびシステムサーバ40を介してコールセンターの第2の端末装置20向けて発信し(S12)、第2の端末装置20が受信することによって第1の端末装置10と第2の端末装置20とが接続される。
【0038】
そして、第1の端末装置10と第2の端末装置20とがシステムサーバ40を介して接続された場合には、第2の端末装置20においてもログイン画面が表示され、そのログイン画面において、オペレータのID情報およびパスワードが設定入力されることによって、第2の端末装置20がシステムサーバ40にログインする(S14)。
【0039】
第2の端末装置20においてオペレータがログインした場合には、第1の端末装置10を使用している患者と第2の端末装置20を使用しているオペレータとの通話が開始される。この際、第1の端末装置10のカメラ機能によって撮影された患者の顔映像情報が第2の端末装置20に送信され、逆に、第2の端末装置20のカメラ機能によって撮影されたオペレータの顔映像情報が第1の端末装置10に送信される。そして、第1の端末装置10においては、
図5に示すように画面の中央の表示領域Sa1に患者の顔映像情報が表示され、画面の右上隅の表示領域Sa2にオペレータの顔映像情報が表示される。一方、第2の端末装置20においては、
図6に示すように画面の中央の表示領域Sb1に患者の顔映像情報が表示され、画面の右上隅の表示領域Sb2にオペレータの顔映像情報が表示される。
【0040】
このように第1の端末装置10および第2の端末装置20において、互いに撮影された顔映像情報を表示させることによって、患者とオペレータが互いの顔を認識することができるので、患者とオペレータとに安心感を与えることができる。
【0041】
そして、オペレータが第2の端末装置20の通話機能を用いて、第1の端末装置10を使用する患者に対して、現在の症状、現在の薬の投薬状況、タバコの喫煙状況およびお酒の飲酒状況などといった種々の質問を行うことにより問診が進められる(S16)。患者は、オペレータの質問の内容や意味が理解できない場合には、第1の端末装置10を用いてオペレータに対して質問することができるので、より正確な問診を行うことができる。また、患者は、オペレータの質問に対して口頭で答えればよいので、第1の端末装置10に対して複雑な入力作業を行う必要がなく、簡易に問診を受けることができる。
【0042】
また、第2の端末装置20においては、
図6に示すように、問診内容を入力可能な入力欄Sb4が表示される。オペレータは、入力欄Sb4内に問診内容を入力し、「保存」のボタンを選択することによって問診内容を第2の端末装置20またはシステムサーバ40に記録することができる。また、
図6に示す「通話記録」のボタンが選択された場合には、患者とオペレータとの通話内容を第2の端末装置20またはシステムサーバ40に録音することができる。記録された問診内容および通話内容は、後で再生することが可能に構成されている。
【0043】
また、オペレータによる患者への問診は、通話だけでなく、第1の端末装置10と第2の端末装置20へのテキスト入力によっても行うことができる。具体的には、
図5に示すように、第1の端末装置10には、テキスト入力が可能なテキスト入力欄Sa4が表示される。また、第2の端末装置20には、
図6に示すように、テキスト入力が可能なテキスト入力欄Sb5が表示される。オペレータが第2の端末装置20のテキスト入力欄Sb5にテキスト入力することによって、患者に対して質問することができ、また、患者が第1の端末装置10のテキスト入力欄Sa4にテキスト入力することによって、オペレータの質問に対して答えることができる。このようにテキスト入力による問診も可能することによって、聾唖者も利用することができる。
【0044】
また、テキスト入力された内容を日本語または外国語に翻訳して表示する機能を設けるようにしてもよい。これにより、たとえば患者が外国人である場合にも、その母国語を日本語に翻訳してオペレータに伝えることができ、逆に、オペレータが入力したテキストを患者の母国語に翻訳して患者に伝えることによってスムーズかつ正確な問診を行うことができる。
【0045】
そして、オペレータによる患者に対する問診が終了した場合には、オペレータは、患者の問診結果を考慮し、その患者に適した医師を選択し、第2の端末装置20を用いてその医師の呼び出しを行う(S18)。具体的には、第2の端末装置20にシステムサーバ40によって表示された医師のリストの中から適切な医師を選び、その医師への「接続」ボタンを選択する。これにより第2の端末装置20が、通信回線およびシステムサーバ40を介して医師が用いる第3の端末装置30に接続される。
【0046】
そして、第2の端末装置20と第3の端末装置30とがシステムサーバ40を介して接続された場合には、第3の端末装置30においてもログイン画面が表示され、そのログイン画面において、医師のID情報およびパスワードが設定入力されることによって、第3の端末装置30がシステムサーバ40にログインする(S20)。これにより第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30の全てがシステムサーバ40にログインした状態となり、すなわちシステムサーバ40を介して全ての端末装置が相互に通信可能となる。
【0047】
次いで、第3の端末装置30において医師がログインした場合には、第2の端末装置20を使用しているオペレータと第3の端末装置30を使用している医師との通話が開始され、さらにシステムサーバ40を介して、第1の端末装置10を使用している患者と第3の端末装置30を使用している医師との通話が可能となる。すなわち、第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30を用いて、患者とオペレータと医師の3者で同時通話を行う(S22)。
【0048】
この際、第3の端末装置30のカメラ機能によって撮影された医師の顔映像情報が第1の端末装置10および第2の端末装置20に送信され、逆に、第1の端末装置10のカメラ機能によって撮影された患者の顔映像情報と第2の端末装置20のカメラ機能よって撮影されたオペレータの顔映像情報が第3の端末装置30に送信される。
【0049】
そして、第1の端末装置10においては、
図7に示すように、患者の顔映像情報が画面の左上隅の表示領域Sa3に表示され、画面中央の表示領域Sa1は、患者の顔映像情報の表示から医師の顔映像情報の表示に切り替えられる。また、第2の端末装置20においては、
図8に示すように、オペレータの顔映像情報が表示された表示領域Sb2が、画面の左上隅に移動し、画面の右上隅の表示領域Sb3に医師の顔映像情報が追加表示される。一方、医師が用いる第3の端末装置30においては、
図9に示すように画面の中央の表示領域Sc1に患者の顔映像情報が表示され、画面の右上隅の表示領域Sc3にオペレータの顔映像情報が表示され、さらに表示領域Sc3の下の表示領域Sc2に医師の顔映像情報が表示される。
【0050】
このように第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30において、互いに撮影された顔映像情報を表示させることによって、患者とオペレータと医師とが互いの顔を認識することができので、患者とオペレータと医師に安心感を与えることができる。
【0051】
また、第3の端末装置30においては、
図9に示すように、患者のID情報、オペレータのID情報および医師のID情報が表示される。
【0052】
そして、オペレータが第2の端末装置20の通話機能を用いて、第3の端末装置30を使用する医師に対して問診結果を説明し、医師は、その問診結果に基づいて診察を行う。第1の端末装置10の患者が、医師に対して直接病状等を説明するのではなく、オペレータが医師に問診結果を説明するので、患者の説明負担を軽減することができ、かつより正確な情報を医師に伝えることができる。
【0053】
また、上述したように第1の端末装置10、第2の端末装置20および第3の端末装置30の間で3者同時通話を行うことができるので、医師から患者に対して直接質問することも可能である。患者とオペレータと医師の3者で同時通話を行うことによって、よりスムーズに診察を進めることができる。
【0054】
そして、医師による診断が終了した場合には、コールセンターのオペレータから患者に対して請求処理を行う(S22)。請求については、オペレータが患者に対して口頭で金額および支払い方法などを伝えるようにしても良いし、予めシステムサーバ40に登録された患者のメールアドレスを用いて、第2の端末装置20から第1の端末装置10に対して、電子化された請求書を送信するようにしてもよい。
【0055】
また、医師による診断が終了した場合、医師は、患者に対して診察結果および薬の処方箋の情報を与える。診察結果および処方箋の情報については、医師が患者に対して口頭で伝えるようにしても良いし、予めシステムサーバ40に登録された患者のメールアドレスを用いて、第3の端末装置30から第1の端末装置10に対して、診察結果および処方箋の情報を含む電子化された書類を送信するようにしてもよい。また、医師が、第3の端末装置30を用いて処方箋の電子データを所定の薬局に送信し、その薬局から患者に対して、処方箋に応じた薬を配送させるようにしてもよい。これにより患者が薬局まで行く必要がなく、自宅で薬を受け取ることができるので、問診から薬の処方までを全て自宅で完結することができる。
【0056】
また、上記実施形態の遠隔診療システム1において、第1の端末装置10またはシステムサーバ40に各患者の過去の受信履歴を記憶しておき、第1の端末装置10によって患者の過去の受診履歴の情報を表示するようにしてもよい。
図10は、過去の受診履歴の情報の表示例を示す図である。受信履歴の表示画面は、第1の端末装置10に表示された「受診履歴」のボタンが選択されることによって、上述したビデオ通話の画面から切り替えて表示される。受診履歴の画面においては、
図10に示すように、過去の受診履歴毎について、通話日時(受診日時)、通話時間、記録番号、オペレータのID情報および医師のID情報などが表示される。このように受診履歴を表示することによって、患者が後で確認することができる。たとえばオペレータから患者に送信される請求書と受診履歴とに共通の上述した記録番号を付与するようにすれば、受診履歴と請求書との対応付けが可能である。
【0057】
さらに、第1の端末装置10において、
図11に示すようなマイページの情報を表示させるようにしてもよい。マイページの表示画面は、第1の端末装置10に表示された「私の」のボタンが選択されることによって、上述したビデオ通話の画面または受診履歴の画面から切り替えて表示される。マイページの画面においては、
図11に示すように、患者の個人情報および携帯電話番号などが表示される。また、マイページの画面においては、「ログアウト」のボタンが表示され、この「ログアウト」のボタンが選択されることによって、第1の端末装置10がシステムサーバ40からログアウトする。
【0058】
また、第1の端末装置10と同様に、第2の端末装置20および第3の端末装置30においても、過去の通話(受付)履歴の情報を表示するようにしてもよい。
図12は、第2の端末装置20における過去の通話履歴の情報の表示例を示す図である。通話履歴の画面においては、
図12に示すように、過去の通話履歴毎について、通話日時、通話時間、記録番号、患者のID情報および医師のID情報などが表示される。このように通話履歴を表示することによって、オペレータが後で確認することができる。たとえばオペレータから患者に送信される請求書と通話履歴とに共通の上述した記録番号を付与するようにすれば、通話履歴と請求書との対応付けが可能である。
【0059】
図13は、医師が使用する第3の端末装置30における過去の通話(診察)履歴の情報の表示例を示す図である。通話履歴の画面においては、
図13に示すように、過去の通話履歴毎について、通話日時、通話時間、記録番号、患者のID情報およびオペレータのID情報などが表示される。このように通話履歴を表示することによって、医師が後で確認することができる。たとえば医師から患者に送信される診察結果および処方箋と通話履歴とに共通の上述した記録番号を付与するようにすれば、通話履歴と診察結果および処方箋との対応付けが可能である。
【0060】
さらに、オペレータが使用する第2の端末装置20および医師が使用する第3の端末装置30のうちの少なくとも1つにおいて、患者の電子カルテの情報を表示するようにしてもよい。患者の電子カルテの情報は、システムサーバ40に保存しておくようにしてもよいし、インターネットを介して、たとえば外部の医療施設などに設置された電子カルテサーバに接続し、その電子カルテサーバから取得するようにしてもよい。このように第2の端末装置20または第3の端末装置30において、患者の電子カルテの情報を表示するようにすれば、患者の過去の病歴などをさらに詳細に確認することができるので、より正確な問診および診察を行うことができる。
【0061】
また、患者が使用する第1の端末装置10、オペレータが使用する第2の端末装置20および医師が使用する第3の端末装置30のうちの少なくとも1つにおいて、診断に関するレセプト(診療報酬明細書)の情報を表示するようにしてもよい。第1の端末装置10においてレセプト情報を表示することによって、患者は、今回の診察において要した費用を確認することができる。また、第2の端末装置20においてレセプト情報を表示することによって、オペレータが請求書の作成に用いることができる。また、第3の端末装置30においてレセプト情報を表示させることによって、医師は、今回の診察に要した保険点数および患者に対する請求額に間違いがないか確認することができる。レセプトの情報は、システムサーバ40に保存しておくようにしてもよいし、インターネットを介して、たとえば外部のレセプトサーバに接続し、そのレセプトサーバから取得するようにしてもよい。
【0062】
また、患者が使用する第1の端末装置10、オペレータが使用する第2の端末装置20および医師が使用する第3の端末装置30のうちの少なくとも1つにおいて、患者に対する投薬の情報を表示するようにしてもよい。患者に対する投薬の情報については、患者が、第1の端末装置10を用いて自身のお薬手帳の内容を設定入力することによって、システムサーバ40に記録するようにすればよい。または、患者が、第1の端末装置10のカメラ機能を用いてお薬手帳を撮影し、そのお薬手帳の画像情報を第2の端末装置20に送信することによって、システムサーバ40に記録するようにしてもよい。この場合、第2の端末装置20においてお薬手帳の画像情報に対して文字認識処理を施し、画像情報に含まれる文字情報を投薬の情報としてシステムサーバ40に記録するようにしてもよい。
【0063】
また、オペレータが使用する第2の端末装置20において、患者の健康保険証の情報を表示するようにしてもよい。このように健康保険証の情報を表示させることによって、オペレータは、請求書を作成する際、健康保険証の情報を用いることができる。また、医師が使用する第3の端末装置30において、患者の健康保険証の情報を表示するようにしてもよい。このように健康保険証の情報を表示させることによって、医師は、診察結果や電子カルテを作成する際、健康保険証の情報を用いることができる。
【0064】
また、上述したように第2の端末装置20および第3の端末装置30において患者の健康保険証の情報を表示する場合、その健康保険証の情報は、第1の端末装置10を用いてシステムサーバ40にアップロードすることが好ましい。具体的には、患者が第1の端末装置10のカメラ機能を用いて健康保険証を撮影し、その健康保険証の画像情報を第2の端末装置20に送信することによって、システムサーバ40にアップロードするようにすればよい。この場合、第2の端末装置20において健康保険証の画像情報に対して文字認識処理を施し、画像情報に含まれる文字情報を健康保険証の情報としてシステムサーバ40に記録するようにしてもよい。
【0065】
また、患者の健康保険証の情報をシステムサーバ40に記録する際、患者の顔映像情報と健康保険証の情報とを対応づけてシステムサーバ40に記録し、管理することが好ましい。具体的には、患者が健康保険証の情報をシステムサーバ40にアップロードする際、第1の端末装置10のカメラ機能を用いて患者の顔を撮影し、その顔映像情報を健康保険証の情報とともに第2の端末装置20に送信してシステムサーバ40に対応付けて記録するようにすればよい。
【0066】
そして、実際に患者が第1の端末装置10を用いて診察を受ける際に、第1の端末装置10のカメラ機能を用いて顔を撮影し、その顔映像情報を第2の端末装置20に送信する。そして、システムサーバ40が、第2の端末装置20によって受信された顔映像情報と、予め健康保険証の情報に対応付けて記録された複数の顔映像情報とを照合し、一致する顔映像情報が存在する場合のみ、その顔映像情報に対応付けられた健康保険証情報を第2の端末装置20および第3の端末装置30において表示可能とすることが好ましい。このような顔映像情報の認証処理を行うことによって、個人情報である患者の健康保険証情報のセキュリティを確保することができる。
【0067】
また、上記実施形態の遠隔診療システムにおいては、オペレータが第2の端末装置20において医師を選択して呼び出すようにしたが、この際、複数の医師に順次接続して複数の医師の診察を受けるようにしてもよい。これにより、たとえば患者の掛かり付けの医師やオペレータがお勧めの医師などを切り替えて患者に紹介することができる。また、医師以外の医療関係者でもよく、たとえば最初に看護師を呼び出して接続した後、必要に応じて医師を呼び出して接続するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態の遠隔診療システム1においては、コールセンターのオペレータが問診を行うようにしたが、第2の端末装置20またはシステムサーバ40によって自動的に問診を行うようにしてもよい。たとえば第2の端末装置20またはシステムサーバ40に人工知能(AI(artificial intelligence))を搭載し、第1の端末装置10から送信された患者の音声情報に対して音声認識処理を施すことによって患者の回答内容を認識し、問診を進めるようにしてもよい。音声認識処理としては種々の公知な手法を用いることができる。また、問診における質問およびその質問に対する患者の回答について種々のパターンを、ディープラーニングなどを用いて機械学習させ、患者の回答に対して適切な質問をするように構成することが望ましい。
【符号の説明】
【0069】
1 遠隔診療システム
10 第1の端末装置
20 第2の端末装置
40 システムサーバ
30 第3の端末装置
Sa1,Sa2,Sa3 表示領域
Sa4 テキスト入力欄
Sb1,Sb2,Sb3 表示領域
Sb4 入力欄
Sb5 テキスト入力欄
Sc1,Sc2,Sc3 表示領域