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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】洗米炊飯機
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20220825BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A47J27/00 103D
A47J27/14 G
A47J27/14 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018203102
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020068890
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-3305(JP,A)
【文献】特開平11-33416(JP,A)
【文献】特開平11-28156(JP,A)
【文献】特開2014-87415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 27/14
A47J 43/24
B02B 1/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量繰出弁を有する計量器によって米を繰出し可能な貯米タンクの下部に洗米タンクを備え、前記洗米タンクの下方に炊飯装置を備えた洗米炊飯機において、前記洗米タンクに送風する送風機構を備え、前記送風機構は、前記洗米タンクの外部及び内部と連通するよう分岐した送風路を備え、前記送風路と連結された送風機によって前記洗米タンクの内部及び外部に送風可能に構成されたことを特徴とする洗米炊飯機。
【請求項2】
前記洗米タンクの天井部に、外方に向けて下向きに傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗米炊飯機。
【請求項3】
前記洗米タンクの外部に、前記送風機構による送風を案内する案内板が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の洗米炊飯機。
【請求項4】
前記送風路の分岐部に切替弁を設け、前記送風機からの風を前記洗米タンクの内部または外部に選択的に送風可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗米炊飯機。
【請求項5】
前記送風機構が、前記切替弁を制御することによって、前記炊飯装置が稼働状態のときには、前記送風機からの風を前記洗米タンクの外部に送風し、前記炊飯装置が停止状態のときには、前記送風機からの風を前記洗米タンクの内部に送風するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の洗米炊飯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米タンクを備えた洗米炊飯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、攪拌手段を内装した洗米タンクによって洗米した米を、洗米タンク下方に配設された炊飯装置に供給して炊飯する洗米炊飯機が知られている。例えば、特許文献1に記載の洗米炊飯機は、洗米タンク内部に送風可能な送風機を備えており、洗米タンク内部へ送風して洗米タンク内を乾燥し、衛生状態の悪化を防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-3305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の洗米炊飯機で炊飯をするとき、炊飯装置から炊飯蒸気が発生し、これが上昇して、洗米タンクの外壁に結露が生じ、この結露の気化熱により洗米タンクが冷却されて、洗米タンクの内壁に残米が付着するという問題があった。特に、洗米タンクの天井部の内壁に結露が生じた場合には、送風機による送風が当たりにくい。その結果、結露した水滴が洗米タンク内で下方に流れにくく排出されにくいため、残米の付着や洗米タンク内の衛生状態の悪化を招く原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、炊飯蒸気による洗米タンクの内壁及び外壁の結露を防止して、洗米タンク内の残米が洗米タンクの内壁に付着することを防止するとともに、洗米タンク内の衛生状態を良好に保つことができる洗米炊飯機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のかかる目的は、
定量繰出弁を有する計量器によって米を繰出し可能な貯米タンクの下部に洗米タンクを備え、前記洗米タンクの下方に炊飯装置を備えた洗米炊飯機において、前記洗米タンクに送風する送風機構を備え、前記送風機構は、前記洗米タンクの外部及び内部と連通するよう分岐した送風路を備え、前記送風路と連結された送風機によって前記洗米タンクの内部及び外部に送風可能に構成されたことを特徴とする洗米炊飯機によって達成される。
【0007】
本発明によれば、洗米炊飯機の送風機構が、前記洗米タンクの外部及び内部と連通するよう分岐した送風路を備え、前記送風路と連結された送風機によって前記洗米タンクの内部及び外部に送風可能に構成されているから、洗米タンクの内部に送風することによって、洗米タンクの内部の衛生状態を良好に保つことができ、その一方で洗米タンクの外部に送風することによって、炊飯装置からの炊飯蒸気に起因して洗米タンクの外壁に結露が生じることを防止して、洗米タンク内の残米の付着を防止することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施態様においては、前記洗米タンクの天井部に、外方に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設けられている。
【0009】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、洗米タンクの天井部に、外方に向けて下向きに傾斜する傾斜部が設けられているから、洗米タンクの外壁及び内壁の天井部に付着した結露等の水滴を、傾斜部に沿って、外方に向けて下向きに案内して、除去することができる。従来の洗米炊飯機においては、天井部の内壁に付着した水滴は、送風機による風が当たりにくいため、除去されにくかったが、本発明のこの好ましい実施態様によれば、水滴が傾斜部に沿って下方に流れやすくなるため、送風機による送風によって、好適に水滴の除去が可能となる。これにより、さらに良好に残米の付着や洗米タンク内の衛生状態の悪化を防止できる。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記洗米タンクの外部に、前記送風機構による送風を案内する案内板が設けられている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、洗米タンクの外部に、送風機構による送風を案内する案内板が設けられているから、案内板を洗米タンクの外壁に沿うように設けることによって、送風機からの風を洗米タンクの外壁に沿うように案内することができるため、洗米タンクの外壁に生じる結露が生じることを効果的に防止でき、送風機からの風を、洗米タンクの外壁に、効率よく送風することが可能となる。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記送風路の分岐部に切替弁を設け、前記送風機からの風を前記洗米タンクの内部または外部に選択的に送風可能に構成されている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、切替弁によって送風機からの風を洗米タンクの内部または外部に選択的に送風することが可能になる。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記送風機構が、前記切替弁を制御することによって、前記炊飯装置が稼働状態のときには、前記送風機からの風を前記洗米タンクの外部に送風し、前記炊飯装置が停止状態のときには、前記送風機からの風を前記洗米タンクの内部に送風するように構成されている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、炊飯装置が稼働して炊飯蒸気が発生しているときは、送風機からの風を洗米タンクの外部に送風して、外壁への結露を防止し、炊飯装置が停止しているときは、送風機からの風を洗米タンクの内部に送風して、洗米タンク内を衛生的に保つことが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、炊飯蒸気による洗米タンクの内壁及び外壁の結露を防止して洗米タンク内の残米が洗米タンクの内壁に付着することを防止するとともに、洗米タンク内の衛生状態を良好に保つことができる洗米炊飯機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機の略全体正面図であり、図1(b)は、その略全体側面図である。
図2図2は、図1に示された洗米炊飯機の洗米タンク近傍の略縦断面図である。
図3図3は、図2の計量器の略拡大縦断面図である。
図4図4は、図1に示された洗米炊飯機の給水系の略斜視図である。
図5図5は、図1に示された洗米炊飯機の排水機構周辺の要部略斜視図である。
図6図6は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機の制御システムのブロック図である。
図7図7は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機における洗米炊飯の基本的な処理工程を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の好ましい実施態様にかかる図洗米炊飯機の送風機構の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、図1の洗米炊飯機の架台近傍周辺の構造を示す略斜視図である。
図10図10は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機における洗米炊飯の別の処理工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1(a)は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機の略全体正面図であり、図1(b)は、その略全体側面図である。
図1(a)および図1(b)に示されるように、本実施態様にかかる洗米炊飯機1は、箱形の筐体2Aの内部に配設された貯米タンク2と、洗米タンク3とを備えた洗米機Sを有し、洗米機Sの下方に配置された炊飯装置5を有している。また、筐体2Aの正面には、ユーザが操作し、洗米炊飯機1の設定や動作の変更等に使用される操作パネル11が設けられている。
【0019】
洗米機Sには、支持機枠の上方に貯米タンク2が設けられており、貯米タンク2の下部には、給水機構及び排水機構を備えた洗米タンク3が一体的に接続されている。
【0020】
また、図1(a)及び図1(b)に示されるように、炊飯装置5は、洗米タンク3の下方に、所定の間隔を設けて配置され、炊飯釜を備えた炊飯機6、釜加熱用バーナ7と炊飯機6を載置する架台10を備えている。
【0021】
洗米炊飯機1は、ユーザによって操作パネル11から設定された炊飯設定条件に従って、貯米タンク2による計量処理から、洗米タンク3による洗米、浸漬、水加減、投下の各処理を経て、炊飯装置5による炊飯処理を一連して行うように構成されている。
【0022】
図2は、図1に示された洗米炊飯機の洗米タンク3近傍の略縦断面図である。
図2に示されるように、貯米タンク2は、筐体2Aの上面に設けられた米投入口18から投入された米を受け入れて、貯米タンク2内に貯留するように構成されており、米投入口18には開閉可能な開閉蓋19が設けられている。
【0023】
貯米タンク2の下半分はホッパ状に構成されており、この下端部に計量器12が取り付けられている。計量器12は、計量器モータ(図6参照)により駆動される定量繰出弁によって構成されており、貯米タンク2から一定量ずつ流下された米は計量器12に充填される。こうして、米が充填された計量器12を所定の回転数だけ回転させることによって、所望の量の米を貯米タンク2から洗米タンク3に供給することができるように構成されている。ここに、計量器12と洗米タンク2は米案内筒2bで接続され、計量器12で繰り出された米は、米案内筒2b内部を通過して、洗米タンク3内に供給されるよう構成されている。
【0024】
図3は、図2の計量器12の略拡大縦断面図である。
図3に示されるように、洗米タンク3は、その上部に、逆すり鉢状に形成された天井部3Aを備えており、洗米タンク3の天井部には、前記計量器12から供給された米が通過する開口部13が設けられている。また、この天井部3Aは、外方に向けて下降するように、下向きに傾斜する傾斜部3aを有している。これにより、洗米タンク3の天井部3Aの外壁及び内壁に付着した結露等の水滴を傾斜部3aの傾斜に沿って案内して好適に落下させて除去することができる。従来、天井部の内壁に付着した水滴は、送風機61によって開口部13から供給される風が当たりにくいため、除去されにくかったが、本実施態様においては、外側に向けて下り傾斜する傾斜部3aが設けられており、この傾斜部3aに沿って、水滴が下方に案内されるため、傾斜部3aに沿って案内された水滴に送風機61からの風を吹き当てることができ、天井部3Aの内壁に付着した水滴も好適に除去することが可能になる。
【0025】
図3に示されるように、洗米タンク3は、中間部に円筒状の胴部3bと、下部にホッパ状部3cを備えている。
【0026】
さらに、胴部3bよりも直径が大きい筒状である案内板34が仕切り板2aの下面に取り付けられており、案内板34は洗米タンク3の上部から胴部3bの外周面の概ね上半分を囲うように設けられている。胴部3bと案内板34との間は、所定の間隔が設けられており、これにより、筐体2Aの底部を形成する仕切り板2aと傾斜部3aとの間には、通気性のある空間部Sが形成されている。
【0027】
洗米タンク3のホッパ状部3cの下方には、ジャケット部31が接続され、ホッパ状部3cとジャケット部31との境界部には、米粒を漏下させない程度の開口を持つフィルタ15が設けられている。
【0028】
本実施態様においては、攪拌手段として、洗米タンク3の中心部に鉛直方向の中空軸からなる回転軸16が設けられ、回転軸16の中空部に排米軸16aが、回転軸16を貫通するように配置されている。回転軸16には、複数の攪拌棒17・・・が取り付けられ、そのうちの少なくとも一本は洗米タンク3の内壁に沿うことができるような形状をなしている。回転軸16は支持機枠に取り付けた洗米モータ20(図2参照)によりベベルギヤ21(図2参照)を介して正逆方向及び回転速度を制御可能に回転されるように構成されている。
【0029】
排米軸16aは、外側の回転軸16の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、その下端に着脱自在の排米弁22が取り付けられている。排米弁22は略円錐形状に形成されており、排米軸16aの上端部を排米弁駆動用モータ23によって駆動されるカム24により上下動させて、排米弁22の開閉が制御され、これにより、洗米タンク3の下端部が開閉される。ここに、排米弁22が開かれると、洗米タンク3内の米は下方の炊飯装置5の中へ落下する。
【0030】
洗米炊飯機1は、送風機構を備えている。図3に示されるように、送風機構は、計量器12の側方に設けられ、ファンを駆動することにより送風する送風機61と、管状の送風路62を備えており、送風機61は送風路62の始端に設けられている。この送風路62の終端側は、二又に分岐しており、分岐部の一方が、洗米タンク3の内部と連通する第1の送風口63aと連結され、分岐部の他方が、洗米タンク3の外部と連通する第2の送風口63bと連結されている。
【0031】
具体的には、第1の送風口63aは、米案内筒2bの側方に設けられ、計量器12の下方と連通するように設けられており、第2の送風口63bは、仕切り板2aに設けられ、空間部Sと連通するように設けられている。
【0032】
また、送風路62の分岐部には、制御部Cによって電磁的に切替可能な切替弁64が設けられている。したがって、切替弁64を切替えることによって、送風機構は、送風機62からの風を第1の送風口63a及び第2の送風口63bの一方に選択的に送風することができるように構成されている。
【0033】
このような構成によって、切替弁64を切替えて、送風機62の送風先として第1の送風口63aを選択した場合には、送風機62で生成された風は、送風路62を通過し、第1の送風口63aから計量器12の下方に送り込まれ、さらに、米案内筒2bを通過して、開口部13から洗米タンク3の内部に送り込まれる。これにより、計量器12内の湿気を取り除き、洗米タンク3の内壁に結露が生じることを防止するとともに洗米タンク3内に存在する水滴を下方に送り込んで、排水を促すことができる。加えて、洗米タンク3内を乾燥し、衛生状態を保つことができる。特に、洗米タンク3が、外方に向けて下向きに傾斜する傾斜部3aを有しているため、上方側から、洗米タンク3の内部に風を送り込むことによって、洗米タンク3の天井部に付着した水滴を傾斜部3aに沿って案内し、落下させて除去することができる。
【0034】
一方、切替弁64を切替えて、送風機62の送風先として第2の送風口63bを選択した場合には、送風機62で生成された風は、第2の送風口63bから空間部S内に流れ込み、洗米タンク3の外壁へと送風される。さらに、空間部S内に送風された空気は、洗米タンク3の傾斜部3aによって外方へと向かい、さらに、案内板34によって洗米タンク3の外壁に沿うように、下方向へ案内される。そのため、従来は、炊飯装置5からの炊飯蒸気によって洗米タンク3の外壁に結露が生じていたが、本実施態様においては、洗米タンク3の外壁への送風によって結露が生じることを防止することが可能になる。したがって、洗米タンク3内に残った米が洗米タンク3に付着することを効果的に防止することができる。また、洗米タンク3の外部に送り込まれた送風を案内する案内板34が、洗米タンク3の外部に配設されているため、送風機62による送風を、洗米タンク3の外壁に沿うように案内することができ、したがって、洗米タンク3の外壁近傍に到達した炊飯蒸気を吹き飛ばし、これにより、洗米タンク3の外壁に結露が生じることを好適に防止することができ、加えて、洗米タンク3外壁への効率的に送風することが可能となる。このようにして、送風機構は、状況に応じて、送風機61による送風先を切替弁64によって洗米タンク3の内部または外部に選択的に切替え、洗米タンク3の内部または外部へ効率的に送風することが可能となっている。
【0035】
図4は、図1に示された洗米炊飯機の給水系の略斜視図である。
図4に示されるように、洗米タンク3には、下端のジャケット部31に下部給水管27と送気管27aが接続され、水と空気が供給されている。また、図4の給水系の略斜視図に示されるように、洗米タンク3の上部に、配水管26が配置され、この配水管26から水を下方に導く下部給水管27が設けられるとともに、配水管26から水を導く上部給水管29を分岐させて、2つのシャワーノズル29a,29bを設け、シャワーノズル29a,29bから洗米タンク3に給水するように構成されている。図4に示されているように、配水管26には、流量を計測する流量センサ25が設けられ、流量センサ25によって計測された流量に応じて動作する第一の電磁弁28が下部給水管27に、第二の電磁弁35が上部給水管29に設けられている。
【0036】
洗米時においては、下部給水管27から洗米タンク3の下部のジャケット部31に給水され、また、洗米タンク3の上部高さ位置に設けられた配水管26と洗米タンク3の下部に位置する下部給水管27が連通しているので、給水系内の水が残留することなく、排水される。したがって、洗米処理をした米に水加減の給水を行う際に、流量センサ25が検出した流量に基づいて制御される電磁弁28によって、供給された水の全量が下部給水管27を下降して、洗米タンク3の下部に供給されるので、給水量を精度よく管理することができ、したがって、所望の水加減によって炊飯することが可能になる。
【0037】
上記構成の送気管27aは、その空気注入口を下部のジャケット部31に設け、後述の洗米工程時は常時または間欠的に空気を供給し、後述の水加減工程後の米・水投下工程時には一時的に短時間空気を供給することで、洗米タンク3内の米と水の排出を促進する。
【0038】
上部給水管29は、洗米タンク3の上部の高さ位置で配水管26から分岐し、かつ、流量センサ25が検出した流量に応じて動作する電磁弁35を備えているから、洗米処理した米に間欠散水する浸漬処理時の水量管理が可能となる。
【0039】
図5は、図1に示された洗米炊飯機1の排水機構周辺の要部略斜視図である。
図5に示されるように、洗米タンク3の下部側方には、排水口(図示省略)を有する排水箱39が設けられ、排水箱39は、その上端部が洗米タンク3の上部側面に開口するオーバーフロー管41(図1(b)参照)と連結管36によって接続され、その内側部が前記ジャケット部31に連通するジャケット排水管42と接続されている。また、排水弁44を開閉させることによって、ジャケット排水管42から水を排水するように構成されており、水位弁54で洗米タンク3内の水位を調整可能に構成されている。なお、図5において、水位弁54は、便宜上、排水弁44と一体に図示している。
【0040】
排水箱39は、排水弁44及び水位弁54で常時閉鎖されているが、洗米タンク3内の水を排水する場合には、ジャケット部31のフィルタ15から、ジャケット配水管42、排水弁44及び/または水位弁54、排水箱39及び排水口40を経て排水される。
【0041】
排水弁44及び水位弁54は洗米タンク3の天井部に固定して設けたそれぞれのソレノイド(図示省略)と連結して設けたコントロールワイヤ(図示省略)によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク3内の水量を検出する電気接点付きフロートセンサ32を備えている。
【0042】
図6は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機の制御システムのブロック図である。
図6に示されているように、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機の制御システムは、操作パネル11の各種操作スイッチのほかに、流量センサ25、洗米タンク3が満水になったことを検出するフロートセンサ32、炊飯装置5、架台10に設けられた引き出し定位置センサ75、足操作用スイッチ76が設けられ、これらの情報が制御部Cに入力され、出力側には、炊飯米量を計量する計量器12のモータ12a、米や水を投下する排米弁22の駆動モータ23、攪拌棒17を駆動する洗米モータ20、洗米タンク3に連通する電磁弁35や電磁弁28、送風機構の切替弁64、炊飯装置5の釜加熱用バーナ7、設定内容と運転状況を表示する操作パネル11の表示画面、架台10に設けられた引き出し移動モータ74が接続され、これら各機器を入力情報に応じて制御部Cが制御可能に構成する。
【0043】
図7は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機における洗米炊飯の基本的な処理工程を示すフローチャートである。
図7に示されるように、まず、計量工程において、貯米タンク2から設定量の米がを洗米タンク3に供給され(S1)、次いで、洗米タンク3において、洗米工程(S2)、浸漬工程(S3)、水切工程(S4)、水加減工程(S5)の各処理ステップによって炊飯準備がされた後に、米・水投下工程(S6)により炊飯装置5に米が供給され、炊飯装置5によって、炊飯工程(S7)が実行される。
【0044】
洗米工程(S2)においては、下部給水管27から洗浄水が供給されつつ、この洗浄水に送気管27aから空気が供給され、攪拌棒17を常時回転させて洗米される。その結果、洗米タンク内に気泡が発生するので、米と攪拌棒17の衝突時の衝撃を軽減することができ、米が割れることを防止することができる。
【0045】
浸漬工程(S3)においては、攪拌棒17を停止して洗浄水を排水した上で、ざる上げ浸漬が行われる。すなわち、水切状態で設定時間毎に上部給水管29から水を供給し、シャワー状に散水する。このとき、流量センサ25により所定量(例えば160cc)の水が散水されるように制御することにより、所定時間の給水制御の場合より、散水量を安定化することができる。
【0046】
浸漬工程(S3)時に、撹拌棒17を設定時間毎(例えば、10分毎)に、所定の時間(例えば、10秒)にわたって、作動させるようにしてもよい。これにより、洗米タンク3の内壁に米が付着するのを防止することができる。
【0047】
浸漬工程(S3)において、予め設定された浸漬時間に応じて浸漬が行われるが、この浸漬時間は、洗米炊飯機を用いる店舗により異なる。例えば、定食を提供する店舗においては白ご飯をそのまま提供するため浸漬時間を2時間程度取り、ふっくら炊き上げるのに対し、おにぎりや寿司、どんぶりを提供する店舗においては、浸漬時間を短くし粒がしっかりして弾力のある炊き方にする。
【0048】
水切工程(S4)においては、水を排水した上で、攪拌棒17を短時間回転する。
【0049】
水加減工程(S5)においては、攪拌棒17が停止され、水加減のため、下部給水管27から所要量の水が洗米タンク3に供給され、貯水される。供給される水量は、下部給水管27へ供給される水量を流量センサ25で検出して、電磁弁28を開閉制御する流量センサ25による流量センサ制御方式と、洗米タンク3を満水にした後、所定時間だけ排水する静水制御方式がある。洗米タンク3が満水になったかはフロートセンサ32からの情報により判断する。
【0050】
米・水投下工程(S6)においては、排水弁22を開き、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯装置5に投下する。この際、攪拌棒17を短時間回転しつつ、送気管27aから空気を短時間噴出し、洗米タンク3内に米が残らないように排出することが好ましい。
【0051】
米・水投下工程(S6)が完了すると、炊飯装置5において、釜加熱用バーナ7による点火、炊飯機6による炊飯、むらし、炊き上りからなる炊飯工程(S7)が実行される。なお、制御部Cは炊飯装置5から情報を取得することによって、炊飯装置5が炊飯工程(S7)であるか否か、すなわち、炊飯装置5が稼働状態か停止状態かを判断可能に構成されている。
【0052】
図8は、本発明の好ましい実施態様にかかる図1の洗米炊飯機の送風機構の動作を示すフローチャートである。
【0053】
ユーザによって操作パネル11に設けられた送風ボタンが操作されると、制御部Cはこの操作情報を取得し、送風機構の送風制御を開始する(S1a)。
【0054】
送風機構の送風制御が開始されると、制御部Cはまず、炊飯装置5から情報を取得し、炊飯装置5が炊飯工程にあるか否か、すなわち炊飯装置5が稼働しているか否かを判断する(S2a)。
【0055】
その結果、炊飯工程にあると判断した場合、すなわち、炊飯装置5が稼働状態にあるとき、制御部Cは、洗米タンク3の外部に送風するための処理を行う(S3a)。具体的には、切替弁64を制御して、送風路62の送風先を第2の送風口63bに切替え、送風機61を駆動して、洗米タンク3の外部への送風を開始する。これにより、従来は、炊飯工程において炊飯装置5からの炊飯蒸気によって洗米タンク3の外壁に結露が生じていたが、本実施態様においては、洗米タンク3の外壁へ送風することによって、結露の発生を効果的に防止することができる。
【0056】
送風機61により送風が開始された後に、ユーザによって操作パネル11に設けられた停止ボタンが操作され、制御部Cが、この操作情報を取得した場合、または、炊飯装置5から取得した情報により、制御部Cが、炊飯工程が終了したと判断した場合(S4a)には、送風機61を停止して、送風を終了する(S5a)。
【0057】
一方、ステップS2aにおいて、炊飯工程でないと判断した場合、すなわち、炊飯装置5が停止状態にあるときには、制御部Cは、洗米タンク3の内部に送風するための処理を行う(S3b)。具体的には、制御部Cは、切替弁64を制御して、送風路62の送風先を第1の送風口63aに切替え、送風機61を駆動して、洗米タンク3の内部への送風を開始する。その結果、炊飯装置5が停止しているときは、洗米タンク3内に送風が行われるため、洗米タンク3内を乾燥し、衛生状態を保つことができる。また、第1の送風口63aは、米案内筒2bの側方に設けられているため、送風機61による送風は、計量器12の下方を通過し、これにより、計量器12の湿気も取り除くことができる。
【0058】
炊飯工程にはないために、洗米タンク3の内部への送風が開始された後、ユーザによって操作パネル11に設けられた停止ボタンが操作され、制御部Cがこの操作情報を取得した場合、または、洗米タンク3の内部への送風開始から所定時間が経過した場合には、送風機61を停止して、送風を終了する(S5a)。
【0059】
一方、洗米タンク3の内部への送風が開始された後、ユーザによって操作パネル11に設けられた停止ボタンが操作されないとき、または、洗米タンク3の内部への送風開始から所定時間が経過していないときは、炊飯工程にあるか否かが判定される(S5b)。その結果、炊飯工程にはないと判定したときは、制御部Cは、ユーザによって操作パネル11に設けられた停止ボタンが操作されているか否かまたは洗米タンク3の内部への送風開始から所定時間が経過しているか否かを判定する(S4b)。
【0060】
一方、ステップS5bにおいて、炊飯工程にあると判定した場合には、すなわち、炊飯装置5が稼働状態にあるとき、制御部Cは、洗米タンク3の外部に送風するための処理を行う(S3a)。
【0061】
このようにして、本実施態様においては、制御部Cは、炊飯装置5が稼働して炊飯蒸気が発生しているときは、洗米タンク3の外部に送風されるように送風機構を制御して、外壁への結露を防止し、一方、炊飯装置5が停止しているときには、洗米タンク3の内部に送風されるように送風機構を制御して、洗米タンク3内を乾燥させて、衛生状態を確保できるように構成されているから、効率的に送風をすることができる。
【0062】
図9は、洗米炊飯機の架台10近傍の構造を示す略斜視図である。
図9に示されるように、架台10は、炊飯機6を載置可能な引き出し71を備え、引き出し71は、引き出し移動モータ74の駆動によって、引き出し移動モータ74と連動するアーム72及びアーム73を介して、前後に移動可能に構成されている。
【0063】
また、架台10は、引き出し71の位置を検出する引き出し定位置センサ75を備えており、これにより、制御部Cは、引き出し71が架台10に収容されている状態か、前方に引き出されている状態か判断できるように構成されている。
このように、架台10は、引き出し71の位置を検出する引き出し定位置センサ75を備えているので、制御部Cは、この引き出し定位置センサ75のON、OFFを取得して、ONの場合に限り、洗米工程に移行するようにしてもよい。このように構成することによって、ユーザが引き出し71の位置をわざわざ確認することなく、洗米炊飯機を洗米工程に移行させることができるから、作業効率を向上させることができる。
【0064】
さらに、架台10の側部フレーム前方に足操作用スイッチ76が設けられており、この足操作用スイッチ76は引き出し71が前方に引き出されている状態にあるときに、ユーザによって操作されるもので、足操作用スイッチ76が操作されると、制御部Cは、その操作情報を取得して、引き出し移動モータ74を駆動して、引き出し71が架台10に収納された状態へと移動させるように構成されている。したがって、引き出し71が前方に引き出されている状態にあるときに、ユーザの両手が塞がっていても、足で足操作用スイッチ76を操作することにより、引き出し71が自動的に収納されるため、作業効率が向上する。
【0065】
ここに、足操作用スイッチ76は架台10が2釜仕様の場合、引き出し71の形態に応じて、2個設定してもよい。
【0066】
図10は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米炊飯機における洗米炊飯の別の処理工程を示すフローチャートである。
図10においては、図7の米・投下工程と炊飯工程の間に、空気供給工程を実行するように構成されている。
【0067】
空気供給工程は、米・投下工程後に、操作パネル11の所定のスイッチを操作することにより開始される。空気供給工程が開始されると、制御部Cによって、送気管27aから空気が供給される。その結果、洗米タンク3内に空気が供給され、洗米タンク3の内壁や撹拌棒17、排米軸16aに付着している湿気が除去される。
【0068】
この際に、投下弁22及び排水弁44を閉状態とし、撹拌棒17を回転させつつ、空気を供給する場合には、空気が洗米タンク3内を循環するため、除湿能力を向上させることができる。
また、撹拌棒17を停止させた後に、投下弁22を開放するように構成することによって、洗米タンク3下部に留まっている水滴を洗米タンク2外に飛散させずに、タンク外に排出することができる。このとき、投下弁22を開放させる時間を所定時間(例えば、約10秒間)以下に設定することによって、洗米タンク3内への異物の混入を防ぐことができる。
【0069】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0070】
図2及び図3においては、送風路62の分岐部に、制御部Cの制御によって電磁的に切替可能な切替弁64を設け、切替弁64を切替えることによって、送風機62からの風を第1の送風口63aおよびまたは第2の送風口63bの一方に選択的に送風するように構成されているが、切替弁64を省略する構成とすることもできる。その場合には、送風機61が駆動されると、送風機61からの風は、洗米タンク3の内部及び外部に同時に送風される。したがって、送風の効率は低下するものの、製造コストを低減させることができる。
【0071】
また、図8に示された洗米炊飯の基本的な処理工程においては、ユーザによって操作パネル11に設けられた送風ボタンが操作されると、送風機構の送風制御を開始するように構成されているが、炊飯装置5により炊飯工程を開始したときに、制御部Cが炊飯装置5から情報を取得して、自動的に洗米タンク3の外部への送風が開始されるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 洗米炊飯機
2 貯米タンク
2A 筐体
2a 仕切り板
3 洗米タンク
3A 天井部
3a 傾斜部
3b 胴部
3c ホッパ状部
6 炊飯機
13 開口部
15 フィルタ
17 攪拌棒
22 排水弁
25 流量センサ
27 下部給水管
27a 送気管
28 電磁弁
29 上部給水管
29a シャワーノズル
29b シャワーノズル
31 ジャケット部
32 フロートセンサ
34 案内板
35 電磁弁
41 オーバーフロー管
42 ジャケット排水管
44 排水弁
61 送風機
62 送風路
63a 第1の送風口
63b 第2の送風口
64 切換弁
74 引き出し移動モータ
75 定位置センサ
76 足操作用スイッチ
C 制御部
S 洗米機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10