(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】蓄電池箱、直流電源装置、及び蓄電池箱の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6571 20140101AFI20220825BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220825BHJP
H05K 5/04 20060101ALI20220825BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220825BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20220825BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20220825BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20220825BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20220825BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20220825BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20220825BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220825BHJP
【FI】
H01M10/6571
H05K5/02 L
H05K5/04
H01M10/615
H01M50/224
H01M50/244 Z
H01M50/251
H01M10/627
H01M10/653
F21V33/00 300
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021212160
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2022-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 克文
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 良和
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-98031(JP,A)
【文献】特開2004-111123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6571
H05K 5/02
H05K 5/04
H01M 10/615
H01M 50/224
H01M 50/244
H01M 50/251
H01M 10/627
H01M 10/653
F21V 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体と、
前記筐体の底面壁に設置されて前記組電池を下から支持する支持台と、
前記筐体の背面壁の内面に固定されて前記組電池の背面に対向する第一ヒーターと、
前記支持台に固定されて前記組電池の底面に対向する第二ヒーターと、を備える
蓄電池箱。
【請求項2】
前記筐体の底面壁を貫通する防水コネクタが設けられ、
前記支持台が、前記筐体内で前記防水コネクタを受容する凹部を有する
請求項1に記載の蓄電池箱。
【請求項3】
前記筐体の底面壁の外部から視認可能な状態表示部が、前記筐体内で前記凹部に配置されている
請求項2に記載の蓄電池箱。
【請求項4】
前記第一ヒーターの上方で前記組電池を支持する支持部が、前記筐体の背面壁の内面および側面壁の内面の少なくともいずれかから突出し、
前記支持部に、上昇気流を通過させる開口が設けられている
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の蓄電池箱。
【請求項5】
交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、
非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備え、
前記蓄電池箱は、
防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体と、
前記筐体の底面壁に設置されて前記組電池を下から支持する支持台と、
前記筐体の背面壁の内面に固定されて前記組電池の背面に対向する第一ヒーターと、
前記支持台に固定されて前記組電池の底面に対向する第二ヒーターと、を有する
直流電源装置。
【請求項6】
蓄電池箱の製造方法であって、
防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体の背面壁の内面に、第一ヒーターを固定し、
前記筐体の前面壁を開放した際の前面開口を通じて、前記筐体の底面壁に、第二ヒーターが固定された支持台を配置し、
前記前面開口を通じて、前記組電池を挿入して前記支持台上に配置する、ことを備え、
前記第二ヒーターは、前記支持台の、前記組電池に接する面以外の面に配置される
蓄電池箱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、蓄電池箱、直流電源装置、及び蓄電池箱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、屋外に設置される電源装置用キャビネットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話基地局には、交流入力電力から整流した直流電力を、負荷としての無線機へ供給する直流電源装置が用いられる。第5世代移動通信システム(いわゆる「5G」)においては、多くの基地局が、電柱やビル屋上などの屋外かつ高所に設置されることが見込まれている。
【0005】
停電時などの非常時にも負荷(無線機など)にバックアップ電力を供給できるよう、蓄電池が用いられる。携帯電話基地局向けの直流電源装置は、寒冷地に設置される場合もあり、そうした低温環境でも蓄電池による所定のバックアップ給電性能を発揮できる必要がある。
【0006】
本発明の一態様は、屋外設置が可能で低温環境でも適正に動作する蓄電池箱、直流電源装置、及び蓄電池箱の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電池箱は、防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体と、前記筐体の底面壁に設置されて前記組電池を下から支持する支持台と、前記筐体の背面壁の内面に固定されて前記組電池の背面に対向する第一ヒーターと、前記支持台に固定されて前記組電池の底面に対向する第二ヒーターと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、屋外設置が可能で低温環境でも適正に動作する蓄電池箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】組電池を取り除いた状態の蓄電池箱の内部を示す斜視図である。
【
図4】蓄電池箱の前面視、B-B断面視、C-C断面視を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明の実施形態に係る蓄電池箱、直流電源装置、及び蓄電池箱の製造方法の、概要を説明する。
【0011】
蓄電池箱は、防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体と、前記筐体の底面壁に設置されて前記組電池を下から支持する支持台と、前記筐体の背面壁の内面に固定されて前記組電池の背面に対向する第一ヒーターと、前記支持台に固定されて前記組電池の底面に対向する第二ヒーターと、を備える。
【0012】
電池管理装置を有する組電池として、電池管理装置と複数の単電池とを金属ケースに収納したものが、種々提供されているが、その多くは、屋外設置を想定したものではないため防水性・防塵性が十分でない。上記構成の蓄電池箱は、防水性を有する金属製の筐体に組電池を収納することで、蓄電池箱の屋外設置を可能にしている。また、蓄電池箱の筐体内に、組電池の異なる2面(背面と底面)に対向する第一ヒーターと第二ヒーターとを設け、各単電池の内部抵抗が高くなる低温環境ではそれらヒーターにより各単電池を温めることで、蓄電池箱が適正に動作する(所定の充放電性能を発揮する)ことを可能にしている。第一ヒーターを、金属製の筐体に固定することで、ヒーターから発する熱を、熱伝導によって金属製の筐体に伝えるとともに、ふく射伝熱および対流伝熱によって内部の組電池に伝えることができる。
【0013】
電池管理装置を有する組電池として、そのケース前面付近に電池管理装置や配線を集約させ、ケースの背面付近(前面付近以外の箇所)に複数の単電池を詰め込んだ(密集配置した)ものが、種々提供されている。上記構成の蓄電池箱は、組電池の背面付近に密集した単電池を、第一および第二ヒーターによって効率良く温めることができ、組電池の上面付近の単電池は、上昇気流が筐体内の上部に溜まることに伴う組電池の周囲温度の上昇によって温めることができる。
【0014】
直流電源装置は、交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備える。前記蓄電池箱は、防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体と、前記筐体の底面壁に設置されて前記組電池を下から支持する支持台と、前記筐体の背面壁の内面に固定されて前記組電池の背面に対向する第一ヒーターと、前記支持台に固定されて前記組電池の底面に対向する第二ヒーターと、を有する。
【0015】
上記構成の直流電源装置によれば、環境温度が所定値(例えば、0℃)を下回る場合に第一ヒーターおよび第二ヒーターを作動させるようにしておくことで、寒冷地などの低温環境においても、停電時に蓄電池箱からのバックアップ給電性能を発揮できる。空調設備のない屋外に、直流電源装置を問題なく設置することができる。
【0016】
蓄電池箱の製造方法は、防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体の背面壁の内面に、第一ヒーターを固定し、前記筐体の前面壁を開放した際の前面開口を通じて、前記筐体の底面壁に、第二ヒーターが固定された支持台を配置し、前記前面開口を通じて、前記組電池を挿入して前記支持台上に配置する。前記第二ヒーターは、前記支持台の、前記組電池に接する面以外の面に配置される。
【0017】
筐体内にヒーターを配置すると、ヒーターが筐体内面から突出し、組電池を筐体内に挿入する作業の妨げとなることが考えられるが、上記の製造方法によれば、その懸念を解消できる。すなわち、第一ヒーターを、筐体の背面に固定することで、第一ヒーターが組電池挿入の障害になる可能性を低減できる。また、第二ヒーターを、組電池を下から支持する支持台の、組電池に接する面(上面)以外の面に固定することで、第二ヒーターが組電池挿入の障害になる可能性を低減できる。
【0018】
以下、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、携帯電話基地局向けの直流電源装置100を前面から見た図、
図2は蓄電池箱50の前面壁を開放した状態を示す図である。
【0019】
図1に示すように、直流電源装置100は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具10および第二金具20と、交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置30と、非常時に電源装置30に代わって直流電力を出力する蓄電池箱50と、を備える。第一金具10および第二金具20は、電柱などのポールに取り付けられてもよいし、無線機架台に取り付けられてもよい。本明細書における「水平方向」は、完全な水平方向からやや傾いた方向もその意味に含む。
【0020】
電源装置30は、装置筐体31内に、AC/DCコンバータ部を収納している。電源装置30は、商用交流電源を受け無線機等の負荷設備に対し、直流電力を供給する。本実施形態では、並列冗長運転ができるように、2台の電源装置30が用いられている。平常時は、2台の電源装置30で負荷への電力供給を分担し、いずれか一方が故障した際は、他方で負荷への電力供給を担う。電源装置30の台数は、2台に限定はされない。
【0021】
蓄電池箱50は、筐体51内に、複数の単電池を直列ないし並列に接続した組電池を収納している。本実施形態では、単電池として、リチウムイオン電池セルが用いられ、組電池はそれら複数のリチウムイオン電池セルを管理する電池管理装置(BMS)を有して、電池モジュールまたは電池パックとして構成されている。蓄電池箱50の台数は、2台に限定はされず、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0022】
なお本明細書において、電源装置30や蓄電池箱50の、第一金具10および第二金具20に近い面(対向する面)を背面と呼び、背面の反対側の面を前面と呼ぶ。
【0023】
蓄電池箱50は、その背面に配置されて第一金具10および第二金具20に架け渡される背面金具40を有する。背面金具40に、筐体51は固定されている。
【0024】
図2に示すように、蓄電池箱50の筐体51は、前面壁51a、上面壁51b、背面壁51cおよび底面壁51d(
図3参照)、並びに一対の側面壁51e,51eを有して、直方体状に形成されている。本実施形態においては、前面壁51aがその上端を回転中心として、上下方向に開閉するようになっているが、この形態に限定はされない。
【0025】
筐体51は、屋外設置に耐えうる高い防塵性・防水性が得られるよう、種々のコネクタ66を底面壁51dに配置している(
図4参照)。
図2に示す筐体51は、国際保護等級IP65(第一数字が防塵性、第二数字が防水性を示し、数字が大きいほど環境に強い)に相当する防塵性・防水性を有してもよい。例えば、特許文献1(特許第6562146号)に開示される構成を、筐体51に適用してもよい。
【0026】
筐体51内には、組電池70が収納されている。組電池70は、
図2における姿勢から横に倒した状態の姿勢で、19インチラックに収納可能な寸法を有する。組電池70は、その前面に、電力入出力端子、通信コネクタ、インジケータなどが配置されている。電力入出力端子、通信コネクタなどは、図示しないケーブルを介して、底面壁51dのコネクタ66に接続される。組電池70の前面パネルのすぐ裏側に、図示しない電池管理装置(具体的には、回路基板)が配置されており、その電池管理装置の背面側に、複数の単電池が密集配置されている。
【0027】
図3は、筐体51の内部構造を説明するために、手前側の側面壁を取り除き、かつ、組電池を取り除いた状態を示す図である。筐体51の背面壁51cの内面に、第一ヒーター61が固定されている。第一ヒーター61は、セメント抵抗などの通電により発熱する発熱体を金属板で覆った構成を有してもよい。第一ヒーター61は、金属板からなる放熱面が、組電池に対向するように設けられている。第一ヒーター61は、上下方向に延びている。本実施形態では、第一ヒーター61が背面壁51cの内面に直接固定されているが、介在物(伝熱シート、接着剤など)を介して背面壁51cの内面に固定されてもよい。
【0028】
筐体51の背面壁51cの内面、かつ、第一ヒーター61の上方に、組電池を支持する支持部63が設けられている。支持部63は、複数の開口を有する金属板を折り曲げて形成され、上面視においてコ字状の天板63aと、天板63aから下方に延びる一対の支持板63c,63cとを有する。天板63aには、背面壁51cと平行な方向に沿って複数の開口63bが形成され、これら開口63bが上昇気流を通過させるようになっている。対向する一対の支持板63c,63cのそれぞれは、筐体51の側面壁51eの内面より内側で、組電池を支持する。これにより、組電池の両側(組電池と一方の側面壁51eとの間、組電池と他方の側面壁51eとの間)に、上昇気流を通過させる空間(開口)が形成されている。
【0029】
筐体51の底面壁51dの上面に、支持台55が設置されている。支持台55は、複数の開口を有する金属板を断面コ字状に折り曲げて形成され、天板55aと、天板55aの両端から下方に延びる一対の側板とを有している。支持台55は、天板55aの下面と一対の側板の内面とで区画されて後述するようにコネクタ66などを受容する凹部をその下側に有している。天板55aの上面には、組電池支持プレート56が固定されている。天板55aの下面には、第二ヒーター62が固定されている。第二ヒーター62は、セメント抵抗などの通電により発熱する発熱体を金属板で覆った構成を有してもよい。本実施形態では、第二ヒーター62は水平方向に延びている。
【0030】
図4Aは、蓄電池箱50の前面図であり、
図4Bは、
図4AにおけるB-B断面図であり、
図4Cは、
図4AにおけるC-C断面図である。
図4Cに示すように、支持台55は、組電池支持プレート56を介して、組電池70を下から支持している。第一ヒーター61は、組電池70の背面に間隔をあけて対向し、第二ヒーター62は、組電池70の底面に天板55aおよび組電池支持プレート56を介して対向している。
【0031】
図4Bに示すように、支持台55はその天板の下面、かつ筐体51の背面壁51c付近に、第二ヒーター62が固定されている。すなわち、支持台55がその下側に有する凹部内に、第二ヒーター62が配置されている。支持台55の凹部は、コネクタ66の、筐体51の底面壁51dから上方に突出する部分を、受容している。コネクタ66は、防水コネクタであることが好ましい。組電池70の前面パネルから延びるケーブルは、支持台55の端部(前端または後端)から支持台55の凹部内のコネクタ66に接続されてもよいし、支持台55に設けられている複数の開口のいずれかを通じて、コネクタ66に接続されてもよい。
【0032】
図4Bに示すように、支持台55の凹部内、かつ筐体51の前面壁51a付近に、LED(Light Emitting Diode)などを搭載した状態表示部64が配置されている。筐体51の底面壁51dを通じて、外部から、状態表示部64の表示を視認可能になっている。組電池70を筐体51内に挿入する際、状態表示部64は、組電池70と干渉しないよう支持台55によって保護される。
【0033】
蓄電池箱の製造方法は、以下のとおりである。
(1)防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池70が収納される金属製の筐体51の背面壁51cの内面に、第一ヒーター61を固定する(
図3参照)。
(2)筐体51の前面壁51aを開放した際の前面開口を通じて、筐体51の底面壁51dの上面に、第二ヒーター62が固定された支持台55を配置する(
図2および
図3参照)。
(3)前面開口を通じて、組電池70を挿入して支持台55上に配置する(
図2および
図3参照)。
【0034】
本実施形態では、第二ヒーター62は、支持台55の、組電池70に接する面以外の面(具体的には、天板55aの下面)に配置される。そのため、上記のステップ(3)において、第二ヒーター62が組電池70の挿入を妨害しない。組電池70は、支持台55の上の組電池支持プレート56によってガイドされてスムーズに挿入される。
【0035】
筐体51内の温度が所定値(例えば、0℃)を下回ることを、図示しない温度センサが検知すると、第一ヒーター61および第二ヒーター62が作動する。温度センサは、組電池70の電池管理装置が備えるものを用いてもよいし、筐体51内に配置されたものを用いてもよいし、第一ヒーター61や第二ヒーター62が備えるものを用いてもよい。
【0036】
第一ヒーター61が発する熱は、熱伝導によって筐体51に伝わるとともに、ふく射によって対向する組電池の電池部分に伝わる。さらに、第一ヒーター61が発する熱による対流(上昇気流)が、支持部63の開口63bを通じて上昇し筐体51の上部に溜まる。
【0037】
第二ヒーター62が発する熱は、ふく射によって組電池70の電池部分に伝わる。さらに、第二ヒーター62が発する熱による対流が、支持台55の側板の開口を通じて上昇し筐体51の上部に溜まる。
【0038】
こうして、組電池70の電池部分が温められるため、各単電池の内部抵抗が低温により一時的に高くなることを防止して、所定の充放電性能を維持することができる。第一ヒーター61や第二ヒーター62を、組電池70に直接接触させないことで、組電池70が局所的に高温になることを回避している。
【0039】
図4Cに示したように、コネクタ66(防水コネクタ)を底面壁51dに配置することで、ガスケットなど防水のための追加部品を増やすことなく、所定の防水性能を実現している。防水コネクタ66は、底面壁51dを貫通して上方に(筐体51内に)突出するが、
図4Bに示したように、支持台55の凹部内にその突出部分が配置されるため、組電池70の挿入を妨害することがない。
【0040】
図4Bに示したように、筐体51の底面壁51dを通じて、外部から、状態表示部64の表示を視認可能になっているため、蓄電池箱50が高所に配置された際に、下から状態表示部64を見て蓄電池箱50の状態を確認することができる。
【0041】
図3に示したように、第一ヒーター61の上方に配置される支持部63に複数の開口63bが設けられているため、支持部63による上昇気流の遮断が少ない。
【0042】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
実施形態では、携帯電話基地局向けの直流電源装置を説明したが、その他の用途の蓄電池箱、直流電源装置にも、本発明を適用できる。特に、多くの台数の電源装置や蓄電池箱を各所に設置するような用途に、本発明を適用することが好ましい。
【0043】
実施形態では、筐体51の底面壁51dの上面に支持台55を直接設置したが、介在物を介して支持台55を設置してもよい。
【0044】
実施形態では、金属板を断面コ字状に折り曲げた形状の支持台55を用いる例を説明したが、支持台55の形状はこれに限定されず、断面L字状や断面M字状、あるいは断面「へ」字状の金属板を用いてもよい。支持台の下側などに、第二ヒーター62を配置でき、コネクタ等を受容できる形状であればよく、金属板に代えて樹脂成型品が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0045】
50 蓄電池箱
51 筐体
51c 背面壁
51d 底面壁
55 支持台
61 第一ヒーター
62 第二ヒーター
70 組電池
【要約】 (修正有)
【課題】屋外設置が可能で低温環境でも動作する蓄電池箱、直流電源装置及び蓄電池箱の製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電池箱50は、防水性を有するとともに直方体状に形成されて、電池管理装置を有する組電池が収納される金属製の筐体51と、筐体51の底面壁51dの上面に設置されて組電池を下から支持する支持台55と、筐体51の背面壁51cの内面に固定されて組電池の背面に対向する第一ヒーター61と、支持台55に固定されて組電池の底面に対向する第二ヒーター62と、を備える。
【選択図】
図3