(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】旋回式プラズマ溶融装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/00 20060101AFI20220825BHJP
F23G 5/32 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F23G5/00 115B
F23G5/32
(21)【出願番号】P 2020169986
(22)【出願日】2020-10-07
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0107963
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521036654
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ フュージョン エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヨン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、テ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カン、イン チェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チ フン
(72)【発明者】
【氏名】チ、ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】シン、トン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン ポン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ソン モ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チ キョ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-206367(JP,A)
【文献】特開2006-097917(JP,A)
【文献】特開2004-286254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00
F23G 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に廃棄物が投入される投入口と、前記投入口に対向する方向に、空気またはガスが排出される流出口と、が形成された溶融炉チャンバー本体と、
前記溶融炉チャンバー本体
の前記流出口に隣接した部位に、前記空気またはガスが前記流出口に排出される方向に対して
、前記投入口及び流出口の方向から外れる方向に所定の角度で傾斜して形成される複数のプラズマトーチと、を含み、
地面に垂直な方向を「Z」軸方向、前記流出口の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記「X」軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向とし、
前記プラズマトーチは、前記流出口を中心に、前記溶融炉チャンバー本体の対面する部位にそれぞれ形成され、かつ、前記溶融炉チャンバー本体の対面する部位において、
前記プラズマトーチの炎が互いに直接接触しないように互いに非対称方向に傾斜して形成される、旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項2】
前記プラズマトーチの傾斜角度は、前記溶融炉チャンバー本体の支持面に垂直な方向を「Z」軸方向、前記流出口の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記「X」軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向と仮定したときに、前記「Y」軸方向または前記「Z」軸方向と「Y」軸方向に傾斜して形成される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項3】
前記プラズマトーチは、互いに異なる角度で傾斜して形成される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項4】
前記プラズマトーチの傾斜角度(θ)は、xy軸において、下記関係式(1)
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xy軸における平面上のプラズマトーチの傾斜度
L:xy軸における平面上の第1距離
L’:xy軸における溶湯内の平面上の第2距離
W:溶湯の幅
により定義される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項5】
前記溶融炉チャンバー本体には、溶融炉で生成される溶湯を排出する排出口が形成される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項6】
前記プラズマトーチの角度は、地面に対して、平面上の溶湯が保管される領域範囲内の角度で形成される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項7】
前記プラズマトーチの傾斜角度(θ)は、xz軸において、前記溶湯が保管される領域に対して下記の関係式(2)
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xz軸におけるプラズマトーチの傾斜度
L:xz軸における平面上の第1距離
L”:xz軸における平面上の第2距離
W:溶湯の幅
により定義される、請求項
6に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項8】
前記溶湯が保管される領域は、前記流出口に隣接した部位で凹陥した領域である、請求項
6に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【請求項9】
前記旋回式プラズマ溶融装置のチャンバー本体は、複数個が備えられ、一側に連続的に連結されて配置される、請求項1に記載の旋回式プラズマ溶融装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月26日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10‐2020‐0107963号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、旋回式プラズマ溶融装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、急速な産業化と人口増加により、産業廃棄物及び生活廃棄物などの発生が急増している。このような廃棄物は、一般に埋立てる方式により処理されているが、埋立てる方式は、埋立地を確保することが困難であるだけでなく、地下水汚染及び土地汚染などの環境問題が発生する。
【0004】
そこで、廃棄物をより効率的に処理し、且つ環境汚染の問題を低減するために、プラズマトーチを用いて廃棄物を熱分解溶融及びガス化させる技術が開発された。プラズマトーチは、高電圧・高電流のアークを用いてイオン化されたプラズマガスによりプラズマジェットを生成するものであって、プラズマトーチを利用する場合、溶湯を安定して形成及び維持することができ、ガス化溶融炉の内部温度を、1400度以上の高温環境とすることができる。
【0005】
プラズマトーチを用いて廃棄物を処理する場合、有機化合物は、プラズマトーチの高い温度と熱容量により、C、CnHm、CO、H2のような化学的に安定した化合物と燃焼ガスに分解させることができ、無機化合物は、溶融されて極めて微細な物質に分解したり、固形体にガラス化させることができる。このように、プラズマトーチを用いて廃棄物を処理すると、熱分解により有害物質が浄化された燃焼ガスが生産され、溶融によりガラス化されて非溶出性形態で処理されるため、廃棄物を効率的に処理し、且つ環境汚染の問題を低減することができる。
【0006】
そのため、産業廃棄物が最終的に埋立てられないように、廃棄物を効率的に処理し、且つ環境汚染の問題を低減するための、より効果的な廃棄物処理装置についての必要性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、廃棄物が収容されるプラズマ溶融炉のプラズマトーチを特定の構造で配置することで、かかる廃棄物の熱分解及び溶融が溶融炉内の全領域にわたって効果的に行われる旋回式プラズマ溶融装置を提供することにある。
【0009】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されなかった他の技術的課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置は、一側に廃棄物が投入される投入口と、前記投入口に対向する方向に、空気またはガスが排出される流出口と、が形成された溶融炉チャンバー本体と、前記溶融炉チャンバー本体の前記流出口に隣接した部位に、前記空気またはガスが前記流出口に排出される方向に対して、前記投入口及び流出口の方向から外れる方向に所定の角度で傾斜して形成される少なくとも1つのプラズマトーチと、を含むことができる(地面に垂直な方向を「Z」軸方向、前記流出口の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記X軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向)。
前記プラズマトーチは、前記流出口を中心に、前記溶融炉チャンバー本体の対面する部位にそれぞれ形成されることができ、かつ、前記溶融炉チャンバー本体の対面する部位において、前記プラズマトーチの炎が互いに直接接触しないように互いに非対称方向に傾斜して形成されることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記プラズマトーチの傾斜角度は、前記溶融炉チャンバー本体の支持面に垂直な方向を「Z」軸方向、前記流出口の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記X軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向と仮定したときに、前記Y軸方向または前記Z軸方向とY軸方向に傾斜して形成されることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記プラズマトーチは、互いに異なる角度で傾斜して形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記プラズマトーチの傾斜角度(θ)は、xy軸において、下記関係式(1)により定義されることができる。
【0018】
【数1】
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xy軸における平面上のプラズマトーチの傾斜度
L:xy軸における平面上の第1距離
L’:xy軸における溶湯内の平面上の第2距離
W:溶湯の幅
【0019】
本発明の一実施形態において、前記溶融炉チャンバー本体には、溶融炉で生成される溶湯を排出する排出口が形成されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記プラズマトーチの角度は、地面に対して、平面上の溶湯が保管される領域範囲内の角度で形成されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記プラズマトーチの傾斜角度(θ)は、xz軸において、前記溶湯が保管される領域に対して下記の関係式(2)により定義されることができる。
【0022】
【数2】
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xz軸におけるプラズマトーチの傾斜度
L:xz軸における平面上の第1距離
L”:xz軸における平面上の第2距離
W:溶湯の幅
【0023】
本発明の一実施形態において、前記溶湯が保管される領域は、前記流出口に隣接した部位で凹陥した領域であることができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記旋回式プラズマ溶融装置のチャンバー本体は、複数個が備えられ、一側に連続的に連結されて配置される構造であることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置を適用すると、廃棄物が収容されるプラズマ溶融炉のプラズマトーチを特定の構造で配置することで、かかる廃棄物の熱分解及び溶融が溶融炉内の全領域にわたって効果的に行われる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の斜視図である。
【
図2】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の透明斜視図である。
【
図3】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の構成図である。
【
図4】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の構成図である。
【
図5】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の構成図である。
【
図6】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の構成図である。
【
図7】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の温度分布結果を示す分布図である。
【
図8】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の特定地点を示した例示図である。
【
図9】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の特定地点での温度偏差の結果を示すグラフである。
【
図10】本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置内におけるガス旋回形態を示す図である。
【
図11】本発明に係る、容量が拡張された旋回式プラズマ溶融装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付すに際し、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されるとしても、できるかぎり同一の符号を用いるようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態の説明において、関連した公知構成または機能についての具体的な説明が、本発明の実施形態の理解を妨害すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0028】
本発明の実施形態の構成要素を説明するに際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されるものではない。また、別に定義されない限り、技術的もしくは科学的な用語を始めとするここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的もしくは過度に形式的な意味で解釈されない。
【0029】
図1は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の斜視図であり、
図2は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の透明斜視図である。
【0030】
図1及び
図2を参照すると、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置100は、廃棄物を熱分解及び溶融させる装置であり、前記廃棄物が保管されるプラズマ溶融炉チャンバー本体110と、溶融炉チャンバー本体110の一側に形成され、前記廃棄物を熱分解及び溶融させるプラズマトーチ200、300と、を含むことができる。
【0031】
溶融炉チャンバー本体110の一側には、前記廃棄物が投入されるための投入口120が形成されており、それに対向する部位に、前記廃棄物が溶融されて発生するガスが排出される流出口150が形成されることができる。また、溶融炉チャンバー本体110の下部には、プラズマトーチ200、300により溶融された前記廃棄物から生成されるスラグ(slag)が保管される溶湯貯蔵部130が形成されることができる。
【0032】
溶融炉チャンバー本体110の底部は、前記廃棄物が投入される投入口120から所定の傾斜を持って下向きに傾斜して形成され、前記廃棄物から生成されたスラグ(slag)が容易に保管されるように溶湯貯蔵部130が形成されることができる。これにより、前記廃棄物が溶融された後、溶湯貯蔵部130に容易に捕集されることができる。
【0033】
また、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置100は、使用環境に応じて処理容量を拡大することができる。すなわち、旋回式プラズマ溶融装置100の溶融炉チャンバー本体110は、
図11に示されたように、複数個が備えられ、一側方向に連結されて連続的に配置されることで、サイズが拡張される構造を有することができる。この際、連続的に隣接して配置される複数の各溶融炉チャンバー本体110には、互いに対向する部位に一対のプラズマトーチ200、300がそれぞれ形成されることができる。
【0034】
ここで、溶融炉チャンバー本体110の一側には、本発明に係るプラズマトーチ200、300が、対向する部位にそれぞれ所定の角度を持って形成されることができる。プラズマトーチ200、300は、溶融炉チャンバー本体110の内部に、前記廃棄物を溶融するための溶融熱を提供する。かかるプラズマトーチ200、300は、プラズマを溶融熱として溶融炉チャンバー本体110の内部に提供する。プラズマトーチ200、300は、公知の電極、ノズル、及びキャップで構成されており、作動ガスとしては、空気、窒素、酸素などが使用可能である。
【0035】
上記のように、プラズマトーチ200、300が溶融炉チャンバー本体110に形成される傾斜角度は、溶融炉チャンバー本体110の支持面に垂直な方向を「Z」軸方向、前記流出口の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記X軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向と仮定して定義されることができる。このように所定の傾斜度で形成されるプラズマトーチ200、300については、下記でより詳細に説明する。
【0036】
図3から
図6は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の構成図であり、
図7は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の温度分布の結果を示す分布図であり、
図8及び
図9は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置の特定地点を表示した例示図及び特定地点での温度偏差の結果を示すグラフであり、
図10は、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置内におけるガス旋回形態を示す図である。
【0037】
図3から
図10を参照すると、本発明に係る旋回式プラズマ溶融装置100のプラズマトーチ200、300は、溶融炉チャンバー本体110に所定の角度で傾斜して形成されることができる。ここで、プラズマトーチ200、300は、溶融炉チャンバー本体110の第1設置面111と第2設置面112に、それぞれ対面する部位に形成されることができる。すなわち、第1プラズマトーチ200が第1設置面111に形成され、第1設置面111に対面する第2設置面112に第2プラズマトーチ300がそれぞれ形成されることができる。
【0038】
具体的に、第1プラズマトーチ200は、溶融炉チャンバー本体110の流出口150に隣接した部位に形成されることができる。第1プラズマトーチ200は、第1設置面111に形成され、且つ第1プラズマトーチ200から排出される気体が第2設置面112の方向に噴射されることができる方向に形成されることができる。すなわち、第1プラズマトーチ200は、溶融炉チャンバー本体110の支持面に垂直な方向を「Z」軸方向、流出口150が形成された方向に平行な方向を「X」軸方向、前記X軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向と仮定したときに、前記「Y」軸方向、すなわち、流出口150の隣接部位に形成され、且つ流出口150 及び投入口120の方向から外れる方向に傾斜して形成されることができる。
【0039】
換言すれば、第1プラズマトーチ200は、溶融炉チャンバー本体110の投入口120と流出口150を連結する仮想の水平線に沿って所定の角度で形成され、且つ第1プラズマトーチ200から排出される気体が、投入口120及び流出口150と直接的に対面しないように形成される。これにより、投入口120に投入される前記廃棄物にトーチの火炎が直接接触しないようにするとともに、流出口150に排出されるガスの流速が増加することを防止することができる。
【0040】
ここで、本発明によると、第1プラズマトーチ200の傾斜角度(θ)は、xy軸において、下記関係式(1)により定義される範囲の傾斜角度を持って形成されることができる。
【0041】
【数1】
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xy軸における平面上のプラズマトーチの傾斜度
L:xy軸における平面上の第1距離
L’:xy軸における溶湯内の平面上の第2距離
W:溶湯の幅(W)
【0042】
すなわち、本発明に係る第1プラズマトーチ200は、溶融炉チャンバー本体110の下部に形成された溶湯貯蔵部130の直径を超えない範囲の傾斜角度で形成されることができる。例えば、
図3及び
図4に示されたように、溶湯貯蔵部130の前記「X」軸方向の溶湯貯蔵部130の直径Wから「Y」軸方向に所定の傾斜度で傾斜するように平面上の第1距離Lの方向に形成され、且つ溶湯貯蔵部130の斜線方向の平面上の直線である第2距離L’を超えない角度で形成されることが好ましい。
【0043】
したがって、このような第1プラズマトーチ200の配置位置、配置方向と傾斜角度で形成される場合、第1プラズマトーチ200から噴射される前記気体が、第1プラズマトーチ200から遠い位置でガス流動が停滞される現象が防止されるようにすることで、溶融炉チャンバー本体110内に乱流が容易に形成されるようにし、より効果的に前記廃棄物を溶融させることができる環境を提供することができる。
【0044】
上記のような構造において、本発明によると、第2プラズマトーチ300は、第1プラズマトーチ200が形成された第1設置面111に対面する溶融炉チャンバー本体110の第2設置面112に、所定の傾斜を持って形成されることができる。
【0045】
ここで、第2プラズマトーチ300は、
図5に示されたように、第1プラズマトーチ200と互いに非対称する方向に傾斜して形成されることが好ましい。すなわち、第1プラズマトーチ200と第2プラズマトーチ300は、互いに向かい合わない方向に傾斜度を持って形成されることができる。例えば、第1プラズマトーチ200は、流出口150と対面しないように反対方向に形成され、傾斜方向が、溶湯貯蔵部130の形成領域を超えない傾斜角度を持って、第2設置面112の方向に傾斜するように形成されることができる(
図5の細線矢印参照)。また、第2プラズマトーチ300は、投入口120と対面しない方向に傾斜度を持って形成され、第1設置面111の方向に傾斜して形成されることができる(
図5の太線矢印参照)。
【0046】
さらに、第2プラズマトーチ300は、
図5に示されたように、溶湯貯蔵部130の形成領域と傾斜面131との境界面に形成されることができる。すなわち、第1プラズマトーチ200は、溶湯貯蔵部130の形成領域範囲内で傾斜する角度で形成され、第2プラズマトーチ300は、溶湯貯蔵部130の領域の最外側部位のうち、対角線方向の角部位に、第1プラズマトーチ200が形成された第1設置面111と向かい合う第2設置面112に形成されることができる。したがって、
図10に示されたように、第1プラズマトーチ200から噴射される熱が、第2プラズマトーチ300の方向に流動しつつ、傾斜面131の部位で乱流が形成されるように旋回しながらタービュランス(turbulence)を容易に形成させることができる。
【0047】
一方、第1プラズマトーチ200は、溶融炉チャンバー本体110の支持面に垂直な方向を「Z」軸方向、流出口150の形成方向に平行な方向を「X」軸方向、前記X軸方向に垂直な方向を「Y」軸方向と仮定したときに、前記「Z」軸方向、すなわち、溶湯貯蔵部130の方向に下向きに傾斜して形成されることができる。この際、本発明の図面には示されていないが、上述のように、第2プラズマトーチ300が第2設置面112に「Z」方向に下向きに傾斜して形成され、且つ第1プラズマトーチ200と互いに異なる傾斜度を持って非対称形態で形成されることが好ましい。
【0048】
第1プラズマトーチ200の傾斜角度(θ)は、xz軸において、溶湯が保管される溶湯貯蔵部130の領域に対して下記の関係式(2)により定義される範囲の傾斜角度を持って形成されることができる。
【0049】
【数2】
R:プラズマトーチの噴射曲率半径
θ:xz軸におけるプラズマトーチの傾斜度
L:xz軸における溶湯までの平面上の第1距離
L”:xz軸における溶湯までの平面上の第2距離
W:溶湯の幅
【0050】
すなわち、第1プラズマトーチ200は、溶湯貯蔵部130の方向に下向きに傾斜して形成されることができ、第1プラズマトーチ200の傾斜角度(θ)は、
図6に示されたように、溶湯貯蔵部130の直径Wの範囲内で、前記「Z」軸方向に所定の傾斜度を持って形成されることができる。
【0051】
したがって、このように、第1プラズマトーチ200と第2プラズマトーチ300が、非対称に形成される配置位置、配置方向と傾斜角度で形成される場合、第1プラズマトーチ200から噴射される前記気体が、第1プラズマトーチ200から遠い位置でガス流動が停滞される現象が防止されるようにすることで、溶融炉チャンバー本体110内に乱流が容易に形成されるようにし、より効果的に前記廃棄物を溶融させることができる環境を提供することができる。
【0052】
このような効果を確認するために、本発明では、上述の一対の非対称構造のプラズマトーチ200、300の配置による効果を実験的に確認した。
図7に示されたように、同一流量と電力を溶融炉チャンバー本体110に注入する場合、プラズマトーチ200、300による内部温度の差と、流出口150に排出される熱流束(heat flux)の差の結果を示すものであって、プラズマトーチ200、300が溶融炉チャンバー本体110の両面に対称して形成される場合(
図7(a)参照)と、1つのプラズマトーチ200のみが形成される場合(
図7(c)参照)に比べて、一対の非対称構造のプラズマトーチ200、300が形成される場合(
図7(b)参照)に、溶融炉チャンバー本体110内の温度が最も高く、排出される前記熱流束が相対的に小さく示されることを確認することができる。
【0053】
尚、本発明では、
図8及び
図9に示されたように、上述の一対の非対称構造のプラズマトーチ200、300が設置された溶融炉チャンバー本体110内の任意の熱電対(TC)地点(A、B、C、D、E、F)で、内部の温度偏差を確認した。この際、1400度以上の条件で、溶融炉チャンバー本体110の内部の温度偏差が略50度未満に維持されることが確認された。これは、溶融炉チャンバー本体110の投入口120側の「F」地点及び「E」地点が最も高い温度を示し、流出口150側の「C」地点及び「G」地点が最も低い温度を示すことで、前記廃棄物が投入される投入口120から流出口150の方向に温度が次第に低くなる一方、
図10に示されたように、一対の非対称構造のプラズマトーチ200、300により、流出口150への流速が過度に大きくならない範囲で線形に拡張されながら、溶融炉チャンバー本体110内に死領域(death area)が生じることなく乱流が発生する流動状態を確認することができる。
【0054】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から免脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。
【0055】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
100 プラズマ溶融装置
110 溶融炉チャンバー本体
111 第1設置面
112 第2設置面
120 投入口
130 溶湯貯蔵部
131 傾斜面
150 流出口
200 第1プラズマトーチ
300 第2プラズマトーチ