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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/40 20190101AFI20220825BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20220825BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D11/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018201252
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020067915
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】寺西 研
(72)【発明者】
【氏名】徳野 充
(72)【発明者】
【氏名】福島 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】重田 和之
(72)【発明者】
【氏名】迫 謙次
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-113488(JP,A)
【文献】特開2016-143323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する紙幣金庫と、
前記紙幣金庫と装置左右方向の位置を重ね合わせて装置前後方向に並べて設けられ、硬貨を収納する硬貨金庫と、
前記紙幣金庫及び前記硬貨金庫の少なくとも何れか一方に対し、装置前後方向の位置を重ね合わせ、装置左右方向に並べて設けられ、釣銭準備金を保管可能な保管スペースとを備え
前記紙幣金庫、前記硬貨金庫及び前記保管スペースは、紙幣を処理する紙幣処理部及び硬貨を処理する硬貨処理部の下側に、前記紙幣処理部及び前記硬貨処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記紙幣処理部の下側に、該紙幣処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記紙幣金庫を設け、
前記硬貨処理部の下側に、該硬貨処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記保管スペースを設けることを特徴とする請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
硬貨を外部に返却する硬貨返却部の下側に、該硬貨返却部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記保管スペースを設けることを特徴とする請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
紙幣を収納する紙幣金庫と、
前記紙幣金庫と装置左右方向の位置を重ね合わせて装置前後方向に並べて設けられ、硬貨を収納する硬貨金庫と、
前記紙幣金庫及び前記硬貨金庫の少なくとも何れか一方に対し、装置前後方向の位置を重ね合わせ、装置左右方向に並べて設けられ、釣銭準備金を保管可能な保管スペースとを備え
前記保管スペースと前記紙幣金庫と前記硬貨金庫とを含む貨幣金庫部が一体に装置本体から引き出し可能とされており、前記貨幣金庫部は、該貨幣金庫部を前記装置本体から引き出さずに前記保管スペースを開閉する開閉扉を有することを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項5】
前記保管スペースは、上方を開口する開口部を有し、前記貨幣金庫部が引き出された状態にあるとき、上方からアクセス可能となっていることを特徴とする請求項4に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗においては、警備会社の担当者が売上金入金機の貨幣金庫(紙幣金庫・硬貨金庫等)から売上金を回収する際に、警備会社が予め用意した釣銭準備金を店舗の担当者に受け渡す業務も行われている。しかしながら、店舗の担当者が不在の場合には、釣銭準備金の受け渡しができないといった問題があった。
【0003】
そこで、売上金入金機から売上金を回収する際に、警備会社が予め用意した釣銭準備金が収納された貨幣金庫を売上金入金機に装填することにより、警備会社の担当者が売上金を回収する際に、店舗側の人間が立ち会わずに、釣銭準備金の受け渡しができるようにする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3340176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような売上金入金機では、釣銭準備金の受け渡しが完了しても、貨幣金庫の中に釣銭準備金が収納されているので、店舗の担当者等によって売上金入金機の貨幣金庫から釣銭準備金が取り出されて貨幣金庫を空状態にしなければ、売上金入金機として使用することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、釣銭準備金の受け渡しが可能であり、釣銭準備金の受け渡し後、即座に貨幣処理が可能となる貨幣処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1,第4の態様は、紙幣を収納する紙幣金庫と、前記紙幣金庫と装置左右方向の位置を重ね合わせて装置前後方向に並べて設けられ、硬貨を収納する硬貨金庫と、前記紙幣金庫及び前記硬貨金庫の少なくとも何れか一方に対し、装置前後方向の位置を重ね合わせ、装置左右方向に並べて設けられ、釣銭準備金を保管可能な保管スペースとを備えることを特徴とする。
【0008】
上記第1,第4の態様によれば、紙幣を収納する紙幣金庫と硬貨を収納する硬貨金庫とが、装置左右方向の位置を重ね合わせて装置前後方向に並べられており、これら紙幣金庫及び硬貨金庫の少なくとも何れか一方に対し、装置前後方向の位置を重ね合わせ、装置左右方向に並べられて、釣銭準備金を保管可能な保管スペースが設けられている。よって、釣銭準備金の受け渡し時に、紙幣金庫及び硬貨金庫とは別に設けられた保管スペースに釣銭準備金を保管することができるため、釣銭準備金の受け渡し後、釣銭準備金を紙幣金庫或いは硬貨金庫から取り出したりする必要がなく、即座に紙幣金庫及び硬貨金庫が使用可能な状態となり、即座に貨幣処理が可能となる。しかも、紙幣金庫と硬貨金庫とが装置左右方向の位置を重ね合わせて装置前後方向に並べられており、これら紙幣金庫及び硬貨金庫の少なくとも何れか一方に対し、装置前後方向の位置を重ね合わせ、装置左右方向に並べられて保管スペースが設けられているため、紙幣金庫及び硬貨金庫とは別に保管スペースを設けても特に装置左右方向の大型化を抑制することができる。
【0009】
本発明に係る第の態様は、前記紙幣金庫、前記硬貨金庫及び前記保管スペースは、紙幣を処理する紙幣処理部及び硬貨を処理する硬貨処理部の下側に、前記紙幣処理部及び前記硬貨処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記第の態様によれば、紙幣を処理する紙幣処理部及び硬貨を処理する硬貨処理部の下側に、紙幣処理部及び硬貨処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて、紙幣金庫、硬貨金庫及び保管スペースが設けられているため、装置の特に装置左右方向の大型化を一層抑制することができる。
【0011】
本発明に係る第の態様は、上記第の態様において、前記紙幣処理部の下側に、該紙幣処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記紙幣金庫を設け、前記硬貨処理部の下側に、該硬貨処理部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記保管スペースを設けることを特徴とする。
【0012】
上記第の態様によれば、紙幣処理部の下側に、これと装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて紙幣金庫を設け、硬貨処理部の下側に、これと装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて保管スペースを設ける。従って、紙幣処理部、硬貨処理部、紙幣金庫、硬貨金庫及び保管スペースをより効率的に配置することができる。
【0013】
本発明に係る第の態様は、上記第の態様において、硬貨を外部に返却する硬貨返却部の下側に、該硬貨返却部と装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて前記保管スペースを設けることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る第の態様によれば、保管スペースの上側に、これと装置前後方向及び装置左右方向の両方向の位置を重ね合わせて硬貨返却部を設ける。従って、紙幣処理部、硬貨処理部、紙幣金庫、硬貨返却部、硬貨金庫及び保管スペースをより効率的に配置することができる。
【0015】
本発明に係る第の態様は、前記保管スペースと前記紙幣金庫と前記硬貨金庫とを含む貨幣金庫部が一体に装置本体から引き出し可能とされており、前記貨幣金庫部は、該貨幣金庫部を前記装置本体から引き出さずに前記保管スペースを開閉する開閉扉を有することを特徴とする。
【0016】
上記第の態様によれば、保管スペースと紙幣金庫と硬貨金庫とを含む貨幣金庫部が一体に装置本体から引き出し可能とされており、貨幣金庫部は、これを装置本体から引き出さずに保管スペースを開閉する開閉扉を有する。このため、貨幣金庫部を引き出すことで、紙幣金庫及び硬貨金庫からの貨幣の回収と、保管スペースへの釣銭準備金の収納とを容易に行うことができる。また、保管スペースに保管されている釣銭準備金を保管スペースから取り出す際には、貨幣金庫部を引き出さずに開閉扉を開いて取り出すことができる。
本発明に係る第5の態様は、上記第4の態様において、前記保管スペースは、上方を開口する開口部を有し、前記貨幣金庫部が引き出された状態にあるとき、上方からアクセス可能となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、釣銭準備金の受け渡しが可能であり、釣銭準備金の受け渡し後、即座に貨幣処理が可能となる貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置を示す斜視図である。
図2】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置における貨幣金庫扉の開状態を示す斜視図である。
図4】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置における貨幣金庫部の引き出し状態を示す斜視図である。
図5】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置における貨幣金庫扉及び保管スペース扉の開状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の要部構成を概略的に示すもので、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
図7】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の要部構成を概略的に示す背面側から見た斜視図である。
図8】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の要部構成を概略的に示す背面図である。
図9】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の要部構成を概略的に示す左側面図である。
図10】本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置の変形例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置を図面を参照して以下に説明する。本実施形態の貨幣処理装置11は、セットされた紙幣及び硬貨からなる貨幣を識別し、受け入れ可能と識別された貨幣を計数して内部に収納するものである。本実施形態の貨幣処理装置11は、収納している貨幣を出金処理しない入金専用機であり、例えば、コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗において、売上金を収納し管理するために用いられる売上金入金機である。
【0020】
以下の説明において使用する「前」は貨幣処理装置11の使用者側、「後」は貨幣処理装置11の使用者とは反対側、「左」は貨幣処理装置11の使用者から見た左、「右」は貨幣処理装置11の使用者から見た右である。よって、以下の説明において使用する「前後方向」は、貨幣処理装置11の前後方向である装置前後方向であり、「左右方向」は、貨幣処理装置11の左右方向である装置左右方向である。
【0021】
<構成>
図1に示すように、貨幣処理装置11は、その主体となる装置本体21を有しており、この装置本体21の前部が、上方に向いて水平に広がる平坦な主上面22を有している。装置本体21は、後部が、主上面22の後端縁部から後上がりに傾斜して広がる操作面23を有している。主上面22の前端縁部が装置本体21の前方に向く主前面28に繋がっている。主前面28は前後方向に直交して広がっている。
【0022】
装置本体21は、操作面23の左右方向の中間部から右側に、使用者に対し表示を行うと共に使用者の操作入力を受け付ける表示操作部31を有しており、操作面23の左右方向の左側に、計数結果等を紙面に印字するプリンタ32を有している。表示操作部31は、操作面23の左右方向の中間部に設けられて使用者に対し画面表示を行うLCD画面からなる表示部41を有している。貨幣処理装置11は、図2に示すように、表示操作部31及びプリンタ32を含んで貨幣処理装置11の全体を制御する制御部35と、各種情報を記憶する記憶部36とを有している。
【0023】
図1に示すように、表示操作部31は、操作面23における表示部41の下側に左右に並設された複数、具体的には5つの機能キー42と、操作面23における機能キー42の下側に左右に延びて設けられたカードリーダ43と、操作面23における表示部41の右側に設けられたテンキー44と、操作面23におけるテンキー44の下側に上下に並設された複数、具体的には2つの操作キー46及び操作キー47とを有している。
【0024】
表示部41は、貨幣処理装置11による貨幣の計数結果や貨幣処理装置11の状態を表示する。5つの機能キー42は、貨幣処理装置11に対する押圧操作が行われる部分であり、表示部41の表示に応じて選択される機能が切り替わるようになっている。カードリーダ43は、貨幣処理装置11を使用する使用者によってIDカードが走査されることになり、このIDカードの記憶情報を読み取る。テンキー44は、数値を入力する際に押圧操作される「0」~「9」の数字キーと、置数をマイナス符号にする場合に押圧操作される「-」キーと、置数をクリアする場合に押圧操作される「C」キーとからなっている。上側の操作キー46は、確定及び完了の入力キーであり、処理の完了時、入力の確定時及び処理の決定時に押圧操作される。下側の操作キー47は、スタート及びストップの入力キーであり、計数動作の開始時及び停止時に押圧操作される。
【0025】
図1に示すように、貨幣処理装置11には、主上面22の右側の後部位置に、貨幣処理装置11の外から計数対象の硬貨がセットされる硬貨ホッパ61(硬貨セット部)が設けられている。硬貨ホッパ61は、主上面22において上方に向けて開口する硬貨投入口62と、装置本体21に揺動可能に連結され、揺動して硬貨投入口62を開閉する蓋部63とを有している。硬貨ホッパ61には、蓋部63が手動により開かれた開状態で硬貨投入口62を介して硬貨が投入されることになり、このようにして硬貨がセットされる。硬貨ホッパ61は、セットされた硬貨を一枚ずつに分離して所定の間隔をあけて貨幣処理装置11内に繰り出す。
【0026】
装置本体21には、主上面22の左側の前部位置から主前面28の上部にかけて、貨幣処理装置11の外から計数対象の紙幣がセットされる紙幣ホッパ71(紙幣セット部)が設けられている。紙幣ホッパ71には、集積状態の紙幣が横長の姿勢でセットされることになる。紙幣ホッパ71は、セットされた紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔をあけて貨幣処理装置11内に繰り出す。紙幣ホッパ71は、硬貨ホッパ61よりも左側に配置されている。
【0027】
装置本体21には、紙幣ホッパ71の下側に、受け入れ不可と識別され計数されなかった紙幣を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能にリジェクトする紙幣リジェクトポケット72(紙幣リジェクト部)が、主前面28から後方に凹むように設けられている。紙幣リジェクトポケット72は、貨幣処理装置11の内部から繰り出された紙幣を上下に集積させることになる。このように繰り出された紙幣は、紙幣リジェクトポケット72から前方に引き抜かれて貨幣処理装置11から取り出される。
【0028】
装置本体21の主前面28には、紙幣リジェクトポケット72の下側に、前方に開口する挿入開口部81が設けられている。貨幣処理装置11は、この挿入開口部81から装置本体21に挿入される紙幣一時庫82を有している。紙幣一時庫82は、受け入れ可能と識別された紙幣を計数後に一時貯留する紙幣一時貯留部である。紙幣一時庫82は、上方に開口する引き出しの形状であり、紙幣を水平に広がる状態で上下に集積させて貯留する。紙幣一時庫82は、底部が開閉可能であり、底部を開くことで一時貯留していた紙幣を鉛直下方に落下させる。
【0029】
紙幣一時庫82は、装置本体21に押し込まれた押し込み状態で、装置本体21の主前面28と略面一となり、上部開口が装置本体21内に隠れる。紙幣一時庫82は、装置本体21から主前面28よりも前方に引き出し可能であり、押し込み状態で、受け入れ可能と識別し計数した紙幣を一時貯留する。紙幣一時庫82は、装置本体21から前方に引き出されて引き出し状態となることで、貯留している紙幣を貨幣処理装置11の外部に上部開口を介して取り出し可能に返却する。
【0030】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、紙幣一時庫82を装置本体21に対し押し込み状態で引き出し不可にロックする電磁式の紙幣一時庫ロック機構83と、紙幣一時庫82が装置本体21に対し押し込み状態にあるか否かを検知する紙幣一時庫検知センサ84とを有している。紙幣一時庫ロック機構83及び紙幣一時庫検知センサ84は、図1に示す装置本体21に設けられている。紙幣一時庫ロック機構83は、制御部35に駆動されて装置本体21に対する紙幣一時庫82のロックを解除する一方、紙幣一時庫82が引き出し状態になった後に押込状態になると、これを機械的且つ自動的に装置本体21にロックする。
【0031】
図1に示すように、装置本体21の主前面28には、挿入開口部81の右側に、挿入開口部81と高さ方向の位置を重ね合わせて、前方に開口する挿入開口部91が設けられている。貨幣処理装置11は、この挿入開口部91から装置本体21に挿入される硬貨返却箱92(硬貨返却部)を有している。硬貨返却箱92は、上方に開口する箱形状であり、硬貨を外部に返却する際に収容する。硬貨返却箱92は、受け入れ不可と識別され計数されなかった硬貨を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能にリジェクトするために収容すると共に、受け入れ可能と識別され計数された硬貨を貨幣処理装置11の外部に取り出し可能に返却するために収容する。
【0032】
硬貨返却箱92は、装置本体21に押し込まれた押し込み状態で、装置本体21の主前面28と略面一となり、上部開口が装置本体21内に隠れる。硬貨返却箱92は、装置本体21から主前面28よりも前方に引き出し可能であり、装置本体21から前方に引き出されて引き出し状態となることで、収容している硬貨が上部開口を介して貨幣処理装置11の外部に取り出し可能となる。
【0033】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、硬貨返却箱92を装置本体21に対し押し込み状態で引き出し不可にロックする電磁式の硬貨返却箱ロック機構93と、装置本体21に対し硬貨返却箱92が押し込み状態にあるか否かを検知する硬貨返却箱検知センサ94と、装置本体21に対し押し込み状態にある硬貨返却箱92の硬貨の有無を検知する残留硬貨検知センサ95とを有している。硬貨返却箱ロック機構93、硬貨返却箱検知センサ94及び残留硬貨検知センサ95は、図1に示す装置本体21に設けられている。
【0034】
図3に示すように、貨幣処理装置11は、紙幣一時庫82及び硬貨返却箱92よりも下側に、装置本体21に対して揺動可能な貨幣金庫扉101を有しており、装置本体21には、貨幣金庫扉101が閉状態にあるときにその後側に隠れる位置に、前方に開口部104を有して後方に凹む収容凹部105が形成されている。よって、収容凹部105は、装置本体21における紙幣一時庫82及び硬貨返却箱92よりも下側に設けられている。
【0035】
貨幣金庫扉101は、装置本体21の下部右側の前縁部に鉛直軸回りに揺動可能となるように支持されており、装置本体21側に揺動して装置本体21の主前面28と略面一になると、収容凹部105と上下方向及び左右方向の位置を重ね合わせて収容凹部105の開口部104を閉じる閉状態になる。貨幣金庫扉101は、装置本体21とは反対側に揺動すると、収容凹部105の開口部104を開く開状態になる。
【0036】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、貨幣金庫扉101を閉状態で開不可にロックする電磁式の貨幣金庫扉ロック機構102と、貨幣金庫扉101が閉状態にあるか否かを検知する貨幣金庫扉検知センサ103とを有している。貨幣金庫扉ロック機構102及び貨幣金庫扉検知センサ103は、図1に示す装置本体21に設けられている。貨幣金庫扉ロック機構102は、制御部35に駆動されて装置本体21に対する貨幣金庫扉101のロックを解除する一方、貨幣金庫扉101が開状態になった後に閉状態になると、これを機械的且つ自動的に装置本体21にロックする。
【0037】
図4に示すように、貨幣処理装置11は、装置本体21の収容凹部105の左右の内壁面に取り付けられる一対のスライドガイド108と、これらのスライドガイド108に連結される貨幣金庫部111とを有している。
【0038】
貨幣金庫部111は、スライドガイド108で案内されて、図3に示すように収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態と、図4に示すように収容凹部105から前方に引き出された引き出し状態との間でスライドする。
【0039】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態の貨幣金庫部111を引き出し不可にロックする電磁式の貨幣金庫部ロック機構112と、貨幣金庫部111が押し込み状態にあるか否かを検知する貨幣金庫部検知センサ113とを有している。貨幣金庫部ロック機構112及び貨幣金庫部検知センサ113は、図3図4に示す装置本体21に設けられている。貨幣金庫部ロック機構112は、制御部35に駆動されて装置本体21に対する貨幣金庫部111のロックを解除する一方、貨幣金庫部111が引き出し状態になった後に押し込み状態になると、これを機械的且つ自動的に装置本体21にロックする。図3に示すように、貨幣金庫部111が収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態にあるとき、貨幣金庫扉101は、図1に示すように閉じられる。
【0040】
図4に示すように、貨幣金庫部111は、一対のスライドガイド108に連結される有底四角筒状のスライド体121を有している。一対のスライドガイド108は、このスライド体121を、収容凹部105内に押し込まれた押し込み状態と、収容凹部105から前方に引き出された引き出し状態との間でスライドさせる。貨幣金庫部ロック機構112は、このスライド体121を装置本体21に対し引き出し不可にロックすることになり、貨幣金庫部検知センサ113は、このスライド体121が押し込み状態にあるか否かを検知する。
【0041】
スライド体121は、一対のスライドガイド108に連結される矩形状の一対の側壁部122と、一対の側壁部122の前端縁部同士を連結する矩形状の前壁部123と、一対の側壁部122の後端縁部同士を連結する矩形状の後壁部124と、一対の側壁部122の間にこれらに平行に配置されて前壁部123と後壁部124とを連結する矩形状の中間壁部125と、前壁部123及び後壁部124との間にこれらに平行に配置されて中間壁部125と一方の側壁部122とを連結する矩形状の仕切壁部126と、図示略の底部とを有している。前壁部123、後壁部124及び仕切壁部126は、前後方向に対し直交して広がっており、一対の側壁部122及び中間壁部125は左右方向に対し直交して広がっている。
【0042】
右側の側壁部122と中間壁部125と前壁部123と後壁部124と図示略の底部とで囲まれた範囲が、釣銭準備金を保管可能な保管スペース131となっている。保管スペース131は上方に開口している。前壁部123の右側には、前後方向に貫通する入出口132が形成されている。入出口132は、保管スペース131に連通しており、保管スペース131を前方に開放する。保管スペース131の上部開口は、図3に示すようにスライド体121が押し込み状態にあるときには、釣銭準備金の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、図4に示すようにスライド体121が引き出し状態にあるときに、釣銭準備金の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。
【0043】
左側の側壁部122と中間壁部125と前壁部123と後壁部124と図示略の底部とで囲まれた範囲が、貨幣収納スペース137となっている。貨幣金庫部111は、スライド体121とは別体の紙幣金庫141及び硬貨金庫142を有しており、貨幣収納スペース137は、仕切壁部126よりも前側の前部に紙幣金庫141が装填される紙幣金庫装填スペース135を有し、仕切壁部126よりも後側の後部に硬貨金庫142が装填される硬貨金庫装填スペース136を有している。
【0044】
図4図5に示すように、貨幣金庫部111は、スライド体121の前壁部123に揺動可能に連結されて入出口132を開閉する保管スペース扉145(開閉扉)を有している。保管スペース扉145は、入出口132の右側縁部に鉛直軸回りに揺動可能となるように支持されており、入出口132を開閉する。
【0045】
よって、保管スペース131は、図5に示すようにスライド体121、即ち貨幣金庫部111が押し込み状態にあっても保管スペース扉145が開かれることで、入出口132を介して釣銭準備金の出し入れが可能となる。保管スペース131は、スライド体121が押し込み状態にあって保管スペース扉145が閉状態にあれば、釣銭準備金の出し入れが不可となる。閉状態の保管スペース扉145は、閉状態の貨幣金庫扉101で覆われることになり、よって、貨幣金庫扉101が閉状態にあれば、開不可である。保管スペース131は、貨幣処理装置11の前面側からアクセス可能となっている。
【0046】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、保管スペース扉145を閉状態で開作動不可にロックする電磁式の保管スペース扉ロック機構146と、保管スペース扉145が閉状態にあるか否かを検知する保管スペース扉検知センサ147とを有している。これら保管スペース扉ロック機構146及び保管スペース扉検知センサ147は、図5に示すスライド体121に設けられている。保管スペース扉ロック機構146は、制御部35に駆動されてスライド体121に対する保管スペース扉145のロックを解除する一方、保管スペース扉145が開状態になった後に閉状態になると、これを機械的且つ自動的にスライド体121にロックする。なお、保管スペース扉ロック機構146は、電磁式に限られるものではなく、保管スペース扉145を閉状態でロック及びロック解除するシリンダ錠と、これを作動させる別体の専用鍵とで構成しても良い。
【0047】
図4に示すように、スライド体121の貨幣収納スペース137は上方に開口している。貨幣収納スペース137の前部の紙幣金庫装填スペース135には、紙幣金庫141が上方から装填されて装填状態になり、紙幣金庫141は上方に引き上げられて紙幣金庫装填スペース135から取り外される。紙幣金庫装填スペース135は、スライド体121が押し込み状態にあるときには、紙幣金庫141の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、スライド体121が引き出し状態にあるときに、紙幣金庫141の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。
【0048】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、紙幣金庫装填スペース135の紙幣金庫141が装填状態にあるか否かを検知する紙幣金庫検知センサ152を有している。紙幣金庫検知センサ152は、図4に示すスライド体121に設けられている。
【0049】
図4に示すように、貨幣収納スペース137の後部の硬貨金庫装填スペース136には、硬貨金庫142が上方から装填されて装填状態になり、硬貨金庫142は上方に引き上げられて硬貨金庫装填スペース136から取り外される。硬貨金庫装填スペース136は、スライド体121が押し込み状態にあるときは、硬貨金庫142の出し入れが装置本体21で物理的に規制されて不可となり、スライド体121が引き出し状態にあるときは、硬貨金庫142の出し入れが装置本体21で物理的に規制されることなく可能となる。
【0050】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、硬貨金庫装填スペース136の硬貨金庫142が装填状態にあるか否かを検知する硬貨金庫検知センサ156を有している。硬貨金庫検知センサ156は、図4に示すスライド体121に設けられている。
【0051】
図4に示すように、保管スペース131と紙幣金庫141と硬貨金庫142とを含む貨幣金庫部111が一体に装置本体21から引き出し可能とされている。この貨幣金庫部111は、貨幣金庫部111を装置本体21から引き出さずに保管スペース131を開閉する保管スペース扉145を有している。
【0052】
紙幣金庫141は、上部に内外に開口する紙幣受入開口部161を有する箱状の紙幣金庫本体162と、紙幣受入開口部161を開閉する紙幣金庫シャッタ163と、紙幣金庫シャッタ163を紙幣受入開口部161を閉じた閉状態で開不可にロックする図示略の紙幣金庫シャッタロックとを有している。紙幣金庫141は、紙幣金庫本体162が、紙幣を、紙幣受入開口部161を介して内部に受け入れて上下に集積させて収納する。
【0053】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、図示略の紙幣金庫シャッタロックのロックを解除して紙幣金庫シャッタ163を開作動させたり、紙幣金庫シャッタ163を閉作動させて図示略の紙幣金庫シャッタロックをロック状態とする紙幣金庫シャッタ開閉機構166を有している。紙幣金庫シャッタ開閉機構166は、図4に示すスライド体121に設けられている。
【0054】
紙幣金庫141が紙幣金庫装填スペース135に装填された状態にあるスライド体121が、図4に示すように装置本体21に対し引き出された引き出し状態から、図3に示すように押し込み状態になる際に、紙幣金庫141は、紙幣金庫シャッタ開閉機構166で図示略の紙幣金庫シャッタロックによる紙幣金庫シャッタ163のロックが解除されて紙幣金庫シャッタ163が開状態になる。また、紙幣金庫141は、スライド体121が、図3に示す押し込み状態から、図4に示すように引き出される際に、紙幣金庫シャッタ開閉機構166で紙幣金庫シャッタ163が閉状態となり、図示略の紙幣金庫シャッタロックによりロックされる。
【0055】
紙幣金庫本体162は、図示は略すが、側部に紙幣取出開口部が設けられており、この紙幣取出開口部が揺動する紙幣金庫扉で開閉可能となっている。紙幣金庫本体162は、紙幣金庫開口部を閉じた閉状態で紙幣金庫扉をロックする紙幣金庫シリンダ錠を有している。この紙幣金庫シリンダ錠は別体の対応する金庫キーでロック及びロック解除される。紙幣金庫141は、紙幣金庫装填スペース135から取り外されて、紙幣金庫扉が開かれることで、内部の紙幣が外部に取り出し可能となる。
【0056】
図4に示すように、硬貨金庫142は、上部に内外に開口する硬貨受入開口部171を有する箱状の硬貨金庫本体172と、硬貨受入開口部171を開閉する硬貨金庫シャッタ173と、硬貨金庫シャッタ173を硬貨受入開口部171を閉じた閉状態で開不可にロックする図示略の硬貨金庫シャッタロックとを有している。硬貨金庫142は、硬貨金庫本体172が、硬貨受入開口部171を介して硬貨を内部に受け入れて収納する。
【0057】
図2に示すように、貨幣処理装置11は、図示略の硬貨金庫シャッタロックのロックを解除して硬貨金庫シャッタ173を開作動させたり、硬貨金庫シャッタ173を閉作動させて図示略の硬貨金庫シャッタロックをロック状態とする硬貨金庫シャッタ開閉機構176を有している。硬貨金庫シャッタ開閉機構176は、図4に示すスライド体121に設けられている。
【0058】
硬貨金庫142が硬貨金庫装填スペース136に装填状態にあるスライド体121が、図4に示すように装置本体21に対し引き出された引き出し状態から、図3に示すように押し込み状態になる際に、硬貨金庫142は、図2に示す硬貨金庫シャッタ開閉機構176で図示略の硬貨金庫シャッタロックによる硬貨金庫シャッタ173のロックが解除されて硬貨金庫シャッタ173が開状態になる。また、硬貨金庫142は、スライド体121が、図3に示す押し込み状態から、図4に示すように引き出される際に、硬貨金庫シャッタ開閉機構176で硬貨金庫シャッタ173が閉状態となり、図示略の硬貨金庫シャッタロックによりロックされる。
【0059】
硬貨金庫本体172は、図示は略すが、側部に硬貨取出開口部が設けられており、この硬貨取出開口部が揺動する硬貨金庫扉で開閉可能となっている。硬貨金庫本体172は、硬貨金庫開口部を閉じた閉状態で硬貨金庫扉をロックする硬貨金庫シリンダ錠を有している。この硬貨金庫シリンダ錠は別体の対応する金庫キーでロック及びロック解除される。硬貨金庫142は、硬貨金庫装填スペース136から取り外されて、硬貨金庫扉が開かれることで、内部の硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0060】
スライド体121において、紙幣金庫装填スペース135と硬貨金庫装填スペース136とは、左右方向の位置を重ね合わせて前後方向に並べられており、よって、装填状態にある紙幣金庫141と硬貨金庫142とは、左右方向の位置を重ね合わせて前後方向に並べられている。そして、これらの紙幣金庫141及び硬貨金庫142に対し、前後方向の位置を重ね合わせ、左右方向に並べられて保管スペース131が設けられている。スライド体121が装置本体21に押し込まれた押し込み状態にあるとき、装填状態にある紙幣金庫141と硬貨金庫142とが前後方向に並べられて貨幣処理装置11内の左側に配置され、貨幣処理装置11内における、これら紙幣金庫141及び硬貨金庫142の右側に、釣銭準備金を保管可能な保管スペース131が設けられることになる。
【0061】
図3に示すように、紙幣ホッパ71と紙幣リジェクトポケット72と押し込み状態の紙幣一時庫82と押し込み状態の貨幣金庫部111とが、左右方向及び前後方向の両方向の位置を重ね合わせている。硬貨ホッパ61と押し込み状態の硬貨返却箱92と押し込み状態の貨幣金庫部111とが、左右方向及び前後方向の両方向の位置を重ね合わせている。
【0062】
装置本体21の収容凹部105よりも上側は、左側が、紙幣ホッパ71、紙幣リジェクトポケット72及び紙幣一時庫82を含む紙幣処理部181となっている。紙幣処理部181は、紙幣ホッパ71にセットされた紙幣を識別し識別結果に基づいて振り分ける。紙幣金庫141は、スライド体121に装填されてスライド体121と共に収容凹部105に押し込まれると、装置本体21の下部の左側に配置されることになり、紙幣処理部181と左右方向及び前後方向の両方向の位置を重ね合わせることになる。紙幣金庫141は、この状態で、紙幣処理部181で振り分けられた紙幣を収納する。
【0063】
また、装置本体21の収容凹部105よりも上側は、右側が、硬貨ホッパ61及び硬貨返却箱92を含む硬貨処理部182となっている。硬貨処理部182は、硬貨ホッパ61にセットされた硬貨を識別し識別結果に基づいて振り分ける。硬貨金庫142は、スライド体121に装填されてスライド体121と共に収容凹部105に押し込まれると、装置本体21の下部の左側に、紙幣金庫141の後側に並んで配置されることになり、紙幣処理部181と左右方向及び前後方向の両方向の位置を重ね合わせることになる。硬貨金庫142は、この状態で、装置本体21の主に右側に設けられた硬貨処理部182で振り分けられた硬貨を収納する。
【0064】
図6(a)に示すように、紙幣処理部181は、紙幣ホッパ71から間隔をあけて一枚ずつ繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送部191と、紙幣搬送部191で搬送中の紙幣を識別する紙幣識別部192と、紙幣識別部192による識別結果に基づいて紙幣搬送部191の搬送先を2方向に切り替える紙幣振分部193とを有している。よって、紙幣識別部192は、紙幣ホッパ71にセットされた紙幣を識別する。
【0065】
紙幣搬送部191は、紙幣ホッパ71から水平後方に延出し、その末端位置に紙幣識別部192が配置される上流搬送部201と、上流搬送部201の末端位置、即ち紙幣識別部192から後方に延出し装置本体21の後部において下側で前方に向けて折り返して前下がりに延出する中間搬送部202(振分前紙幣搬送部)と、中間搬送部202の末端の分岐点205から中間搬送部202の延長方向に延出して紙幣一時庫82に繋がる下流搬送部203と、分岐点205から水平前方に延出して紙幣リジェクトポケット72に繋がる分岐搬送部204とを有している。よって、中間搬送部202は、紙幣識別部192から後方に延出し前方に向けて折り返す形状をなしている。
【0066】
中間搬送部202は、紙幣搬送部191における、紙幣一時庫82への下流搬送部203と紙幣リジェクトポケット72への分岐搬送部204との分岐点205と、紙幣識別部192と間の部分である。中間搬送部202は、紙幣識別部192で識別後、紙幣振分部193での振り分け前に紙幣を搬送する部分となっており、紙幣識別部192から紙幣振分部193に向かって延びている。
【0067】
中間搬送部202は、紙幣識別部192から装置後方に直線状に延出する後方搬送路211と、後方搬送路211の後端部から後下がりとなった後、前下がりとなるように湾曲する半円状の折返搬送路212と、折返搬送路212の後方搬送路211とは反対側の端部から前下がりに直線状に延出してその延長上にある下流搬送部203に繋がる前下搬送路213とからなっている。
【0068】
紙幣識別部192は、上流搬送部201で搬送されている紙幣の金種を識別することになり、識別した紙幣が、受け入れ可能な金種の紙幣であるか、それ以外の受け入れ不可な紙幣であるかを識別すると共に、受け入れ可能な金種の紙幣については、金種別に計数を行う。
【0069】
紙幣振分部193は、紙幣搬送部191の分岐点205に設けられて中間搬送部202からの紙幣を下流搬送部203に案内する一時貯留位置と、中間搬送部202からの紙幣を分岐搬送部204に案内するリジェクト位置とに切り替えられる。よって、紙幣振分部193は、中間搬送部202の紙幣識別部192とは反対側に設けられ、紙幣識別部192の識別結果に基づいて紙幣を振り分ける。
【0070】
紙幣振分部193は、紙幣を計数する入金処理において、紙幣ホッパ71から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣に対しては、これが分岐点205を通過する際に一時貯留位置に位置して、中間搬送部202から下流搬送部203に案内して、紙幣一時庫82に繰り出させる。紙幣一時庫82は、下流搬送部203から繰り出された紙幣を下から上に集積させる。
【0071】
紙幣振分部193は、紙幣を計数する入金処理において、紙幣ホッパ71から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部192で受け入れ不可と識別された紙幣に対しては、これが分岐点205を通過する際にリジェクト位置に位置して、中間搬送部202から分岐搬送部204に案内して、紙幣リジェクトポケット72に繰り出させる。紙幣リジェクトポケット72は、分岐搬送部204から繰り出された紙幣を下から上に集積させる。
【0072】
以上により、紙幣一時庫82は、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別され紙幣振分部193で一側に振り分けられた紙幣を一時貯留する。紙幣リジェクトポケット72は、紙幣識別部192で受け入れ不可と識別され紙幣振分部193で他側に振り分けられた紙幣を外部にリジェクトする。
【0073】
押し込み状態にある紙幣一時庫82は、押し込み状態にあるスライド体121に装填状態とされた紙幣金庫141の開状態にある図4に示す紙幣受入開口部161と、前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせている。紙幣一時庫82は、この状態で底部を開き、一時貯留していた紙幣を紙幣受入開口部161を介して紙幣金庫本体162内に収納する。他方、紙幣一時庫82は、装置本体21から引き出されると、一時貯留していた紙幣を貨幣処理装置11の外側に露出させることになり、この状態で、紙幣が貨幣処理装置11の外部に取り出される。
【0074】
図6(a)に示すように、紙幣処理部181は、これを構成する、紙幣ホッパ71、紙幣搬送部191、紙幣識別部192、紙幣振分部193、紙幣リジェクトポケット72及び紙幣一時庫82が、左右方向の位置を重ね合わせており、紙幣処理部181で紙幣一時庫82に振り分けられた紙幣を紙幣一時庫82を介して収納する紙幣金庫141も、これらと左右方向の位置を重ね合わせている。紙幣一時庫82が押し込み状態にあり、貨幣金庫部111が押し込み状態にあるとき、即ち、貨幣処理装置11が入金処理を行う入金処理状態にあるとき、紙幣ホッパ71、紙幣リジェクトポケット72、紙幣一時庫82及び紙幣金庫141は、前後方向の位置も重なり合う。
【0075】
紙幣識別部192は、紙幣ホッパ71に対し前後方向の位置がずれて配置されている。これに対し、貨幣処理装置11が入金処理状態にあるとき、紙幣ホッパ71、紙幣リジェクトポケット72及び紙幣一時庫82は、前後方向の位置が重なり合う。このため、紙幣搬送部191は、上流搬送部201及び中間搬送部202が、紙幣ホッパ71が設けられた貨幣処理装置11の前部から後方に延出した後、下側で前方に折り返して、紙幣リジェクトポケット72及び紙幣一時庫82に向けて前下がりに延出する形状になる。このため、紙幣処理部181には、中間搬送部202の折返搬送路212及び前下搬送路213の鉛直下方に、紙幣処理においては使用されないスペースSが生じる。
【0076】
図6(b)に示すように、硬貨処理部182は、硬貨ホッパ61から間隔をあけて一枚ずつ繰り出された硬貨を搬送する硬貨搬送部231と、硬貨搬送部231で搬送中の硬貨を識別する硬貨識別部232と、硬貨識別部232による識別結果に基づいて硬貨搬送部231による硬貨の搬送先を2方向で切り替える硬貨振分部233とを有している。よって、硬貨識別部232は硬貨ホッパ61にセットされた硬貨を識別する。
【0077】
硬貨搬送部231は、硬貨ホッパ61から水平後方に延出し、その中間位置に硬貨識別部232が設けられている。硬貨振分部233は、硬貨搬送部231の末端位置に設けられており、選別部241と落下孔242とからなっている。選別部241は、落下孔242よりも硬貨識別部232側に設けられている。
【0078】
硬貨識別部232は、硬貨搬送部231で搬送されている硬貨の金種を識別することになり、識別した硬貨が、受け入れ可能な金種の硬貨であるか、それ以外の受け入れ不可な硬貨であるかを識別すると共に、受け入れ可能な金種の硬貨については、金種別に計数を行う。
【0079】
選別部241は、選別孔と、硬貨搬送部231側に突出可能な選別部材とを有し、選別部材が突出した閉状態では選別部材によって硬貨の軌道をずらして硬貨搬送部231から硬貨を選別孔に落下させる一方、選別部材が突出していない開状態では硬貨搬送部231から硬貨を選別孔に落下させずに落下孔242に向け流す。選別部241の下方には、選別孔から落下する硬貨を硬貨返却箱92に案内する筒状のリジェクトシュート245が設けられている。リジェクトシュート245は上部開口が選別孔の鉛直下方に選別孔に近接して配置されており、下部開口が押し込み状態の硬貨返却箱92の鉛直上方に、硬貨返却箱92の上部開口に近接して配置されている。
【0080】
落下孔242は、常開であり、開状態の選別部241を通過して硬貨搬送部231で更に搬送される硬貨を落下させる。落下孔242の下方には、落下孔242から落下する硬貨を案内する筒状の一時貯留シュート246が設けられている。一時貯留シュート246は上部開口が落下孔242の鉛直下方に落下孔242に近接して配置されている。落下孔242及び一時貯留シュート246は、貨幣処理装置11の後部に配置されている。
【0081】
硬貨処理部182は、一時貯留シュート246で案内された硬貨を一時貯留する硬貨一時貯留部250を有している。硬貨一時貯留部250は、一時貯留シュート246の下側に設けられている。硬貨一時貯留部250は、一時貯留シュート246の下部開口と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて近接している。
【0082】
図7図8に示すように、硬貨処理部182は、硬貨金庫シュート251を有している。硬貨金庫シュート251は、上下に開口する筒状であり、押し込み状態にある貨幣金庫部111の硬貨金庫142と硬貨一時貯留部250との間に設けられている。硬貨金庫シュート251は、硬貨一時貯留部250及び押し込み状態にある貨幣金庫部111の硬貨金庫142と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせている。硬貨金庫シュート251は、紙幣処理部181のスペースSに入り込んでいる。即ち、紙幣処理部181のスペースSに硬貨処理部182の一部である硬貨金庫シュート251が平面視でオーバーラップしている。硬貨金庫シュート251は、押し込み状態にある硬貨返却箱92と左右方向の位置を重ね合わせて前後方向に並んでいる。
【0083】
図9に示すように、硬貨一時貯留部250は、上下に開口する角筒状の壁部構成体252と、壁部構成体252をその位置を検出しつつ前後方向に水平移動させる壁部構成体移動機構253と、壁部構成体252の下部開口を閉塞可能な底部構成体254と、底部構成体254をその位置を検出しつつ前後方向に水平移動させる底部構成体移動機構255とを有している。壁部構成体252と底部構成体254とが、落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内された硬貨を一時貯留する硬貨一時庫256を構成している。
【0084】
壁部構成体移動機構253は、図9(a)に示すように、壁部構成体252を、一時貯留シュート246と前後方向の位置を重ね合せる一時貯留位置と、これらよりも前方にずれて、図9(b)に示すように、押し込み状態にある硬貨返却箱92と前後方向の位置を重ね合わせる返却位置と、これらよりも後方にずれて、図9(c)に示すように、硬貨金庫シュート251と前後方向の位置を重ね合わせる収納位置とに移動させる。
【0085】
一時貯留位置、返却位置及び収納位置の何れにあっても、図8に示すように、壁部構成体252は、一時貯留シュート246、押し込み状態にある硬貨返却箱92、硬貨金庫シュート251と左右方向の位置を重ね合わせることになる。
【0086】
壁部構成体252は、図9(a)に示すように一時貯留位置にあるとき、一時貯留シュート246の下部開口と前後方向及び左右方向の両方向に位置が重なり合うことになり、一時貯留シュート246の下部開口の鉛直下方に位置して一時貯留シュート246からの硬貨を受け入れ可能である。
【0087】
壁部構成体252は、図9(b)に示すように、返却位置にあるとき、押し込み状態にある硬貨返却箱92の上部開口と前後方向及び左右方向の両方向に位置が重なり合うことになり、押し込み状態にある硬貨返却箱92の上部開口の鉛直上方に位置して硬貨返却箱92に硬貨を放出可能である。
【0088】
壁部構成体252は、図9(c)に示すように、収納位置にあるとき、硬貨金庫シュート251の上部開口と前後方向及び左右方向の両方向に位置が重なり合うことになり、硬貨金庫142の硬貨金庫本体172内に、硬貨金庫シュート251及び硬貨金庫本体172の硬貨受入開口部171を介して硬貨を収納可能である。
【0089】
底部構成体移動機構255は、図9(a)に示すように、底部構成体254を、一時貯留シュート246と前後方向の位置を重ね合せる一時貯留位置と、これらよりも後方にずれて、図9(b)に示すように、硬貨金庫シュート251と前後方向の位置を重ね合わせる返却位置と、これらよりも前方にずれて、図9(c)に示すように、押し込み状態にある硬貨返却箱92と前後方向の位置を重ね合わせる収納位置とに移動させる。
【0090】
一時貯留位置、返却位置及び収納位置の何れにあっても、図8に示すように、底部構成体254は、一時貯留シュート246、押し込み状態にある硬貨返却箱92、硬貨金庫シュート251と左右方向の位置を重ね合わせることになる。
【0091】
硬貨一時庫256は、図9(a)に示すように、壁部構成体252及び底部構成体254が共に一時貯留位置にある状態が待機状態となっている。壁部構成体252及び底部構成体254が共に一時貯留位置にあるとき、壁部構成体252の下部開口が底部構成体254で閉塞された状態であり、言い換えれば、硬貨一時庫256の底部が閉塞された状態にある。この状態で、硬貨一時庫256は、一時貯留シュート246の下部開口の鉛直下方に位置することになり、硬貨ホッパ61から一枚ずつ繰り出され硬貨搬送部231で搬送されて硬貨識別部232で識別された硬貨のうち、受け入れ可能と識別されて落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内される硬貨を一時貯留する一時貯留状態となる。硬貨一時庫256は、一時貯留状態が待機状態である。
【0092】
この一時貯留状態から、図9(b)に示すように、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を返却位置に移動させると共に、底部構成体移動機構255で、底部構成体254を返却位置に移動させると、壁部構成体252の下部開口が返却位置において開くことになる。この状態が、押し込み状態にある硬貨返却箱92の鉛直上方で、硬貨一時庫256の底部が開放された返却状態となる。
【0093】
この返却状態になると、硬貨一時庫256は、一時貯留していた硬貨を、壁部構成体252の下部開口の鉛直下方にある押し込み状態の硬貨返却箱92に放出する。よって、硬貨一時貯留部250は、硬貨識別部232で受け入れ可能と識別されて落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内される硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を硬貨返却箱92に放出可能である。
【0094】
硬貨一時庫256は、返却状態になった後、図9(a)に示すように、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を一時貯留位置に移動させると共に、底部構成体移動機構255で底部構成体254を一時貯留位置に移動させて待機状態に戻る。
【0095】
待機状態である一時貯留状態から、図9(c)に示すように、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を収納位置に移動させると共に、底部構成体移動機構255で底部構成体254を収納位置に移動させると、壁部構成体252の下部開口が収納位置において開くことになる。この状態が、硬貨金庫シュート251及び押し込み状態の貨幣金庫部111の硬貨金庫142の鉛直上方で硬貨一時庫256の底部が開放される収納状態である。
【0096】
この収納状態になると、硬貨一時庫256は、一時貯留していた硬貨を、壁部構成体252の下部開口の鉛直下方にある硬貨金庫シュート251を介して、押し込み状態の貨幣金庫部111の硬貨金庫142に放出する。よって、硬貨一時貯留部250は、硬貨識別部232で受け入れ可能と識別されて落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内される硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を左右方向に移動して硬貨金庫142に収納する。
【0097】
硬貨一時庫256は、収納状態になった後、図9(a)に示すように、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を一時貯留位置に移動させると共に、底部構成体移動機構255で底部構成体254を一時貯留位置に移動させて待機状態に戻る。
【0098】
以上のように、硬貨一時貯留部250は、硬貨識別部232で受け入れ可能と識別されて落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内される硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を前後方向に移動して硬貨返却箱92と硬貨金庫142とに振り分ける。
【0099】
図6(b)に示すように、硬貨処理部182は、これを構成する、硬貨ホッパ61、硬貨搬送部231、硬貨識別部232、硬貨振分部233、押し込み状態にある硬貨返却箱92及び硬貨一時貯留部250が、左右方向の位置を重ね合わせており、これらは、貨幣金庫部111の保管スペース131と左右方向の位置を重ね合わせている。硬貨返却箱92及び貨幣金庫部111が共に押し込み状態にあるとき、即ち、貨幣処理装置11が入金処理を行う入金処理状態にあるとき、図6(b)に示すように、一時貯留シュート246、硬貨一時貯留部250は、前後方向の位置が重なり合う。
【0100】
押し込み状態にある貨幣金庫部111の保管スペース131は、硬貨を外部に返却する、押し込み状態にある硬貨返却箱92の下側に、硬貨返却箱92と前後方向の位置を重ね合わせて設けられている。
【0101】
図7に示すように、押し込み状態にある貨幣金庫部111の紙幣金庫141、硬貨金庫142及び保管スペース131は、紙幣処理部181及び硬貨処理部182の下側に、これら紙幣処理部181及び硬貨処理部182と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられている。押し込み状態にある貨幣金庫部111の紙幣金庫141、硬貨金庫142及び保管スペース131の上方において、紙幣処理部181が貨幣処理装置11の左側に設けられ、硬貨処理部182が主に貨幣処理装置11の右側に設けられている。
【0102】
具体的に、押し込み状態にある貨幣金庫部111の紙幣金庫141は、紙幣処理部181の下側に、紙幣処理部181と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられている。また、押し込み状態にある貨幣金庫部111の硬貨金庫142は、紙幣処理部181及び硬貨処理部182の下側に、紙幣処理部181及び硬貨処理部182と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられている。また、押し込み状態にある貨幣金庫部111の保管スペース131は、硬貨処理部182の下側に、硬貨処理部182と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて設けられている。
【0103】
<動作>
「店舗の担当者による売上金の入金処理」
貨幣処理装置11が入金処理を行う入金処理状態にあるとき、貨幣金庫部111の紙幣金庫141及び硬貨金庫142は、何れも装填状態にあり、紙幣一時庫82、硬貨返却箱92および貨幣金庫部111は、何れも押し込み状態にあって、保管スペース扉145及び貨幣金庫扉101は、何れも閉状態にある。
【0104】
店舗の担当者は、表示操作部31に対し、カードリーダ43でID番号を入力する。すると、制御部35は、ID番号が適正である場合に、表示部41に、「入金処理」を含む処理選択画面を表示させる。
【0105】
この処理選択画面を表示させた状態で、テンキー44を介して「入金処理」が選択され、確定及び完了の入力キーである操作キー46が押圧操作されると、制御部35は、表示部41に入金処理の案内画面を表示させる。
【0106】
案内に従って、店舗の担当者は、紙幣ホッパ71に紙幣をセットすると共に、蓋部63を開いて硬貨ホッパ61に硬貨をセットする。その後、店舗の担当者は、スタート及びストップの入力キーである操作キー47を押圧操作する。これを受けて、制御部35は、紙幣処理部181の紙幣ホッパ71、紙幣搬送部191及び紙幣識別部192を駆動すると共に、硬貨処理部182の硬貨ホッパ61、硬貨搬送部231及び硬貨識別部232を駆動する。
【0107】
紙幣処理部181において、駆動された紙幣ホッパ71は、セットされた紙幣を所定の間隔で一枚ずつ、紙幣搬送部191の上流搬送部201に繰り出すことになり、紙幣搬送部191が上流搬送部201から中間搬送部202に向けて紙幣を搬送することになる。そして、上流搬送部201の末端位置に設けられた紙幣識別部192が紙幣を識別することになる。
【0108】
紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣は、紙幣搬送部191の中間搬送部202から下流搬送部203を介して紙幣一時庫82に繰り出され、紙幣一時庫82で下から上に順次集積されることになる。また、紙幣識別部192で受け入れ不可と識別された紙幣は、紙幣搬送部191の中間搬送部202から、紙幣振分部193で分岐搬送部204に案内されて、分岐搬送部204から紙幣リジェクトポケット72に繰り出され、紙幣リジェクトポケット72で下から上に順次集積されることになる。
【0109】
硬貨処理部182において、駆動された硬貨ホッパ61は、セットされた硬貨を所定の間隔で一枚ずつ、硬貨搬送部231に繰り出すことになり、硬貨搬送部231が硬貨振分部233に向けて硬貨を搬送することになる。そして、硬貨搬送部231の硬貨振分部233よりも硬貨ホッパ61側に設けられた硬貨識別部232が硬貨を識別することになる。
【0110】
硬貨識別部232で受け入れ可能と識別された硬貨は、開状態の選別部241を通過し、硬貨搬送部231の末端に設けられた落下孔242から落下して、一時貯留シュート246を介して待機状態にあって壁部構成体252及び底部構成体254が共に一時貯留位置にある硬貨一時貯留部250の硬貨一時庫256に貯留されることになる。また、硬貨識別部232で受け入れ不可と識別された硬貨は、選別部241が閉状態となることで、硬貨搬送部231から選別部241に落下し、リジェクトシュート245を介して硬貨返却箱92に貯留される。
【0111】
以上のようにして、紙幣処理部181において紙幣ホッパ71の紙幣が全て繰り出されて、紙幣一時庫82或いは紙幣リジェクトポケット72に搬送されると共に、硬貨処理部182において硬貨ホッパ61の硬貨が全て繰り出されて、硬貨一時貯留部250の硬貨一時庫256或いは硬貨返却箱92に搬送されたことを各部の図示略のセンサで検知すると、制御部35は、紙幣識別部192の識別結果を表示部41に表示させる。例えば、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣の金種別の枚数及び総額と、硬貨識別部232で受け入れ可能と識別された硬貨の金種別の枚数及び総額と、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣の総額及び硬貨識別部232で受け入れ可能と識別された硬貨の総額を加算した入金貨幣の総額とを、表示部41に表示させる。
【0112】
それと共に、制御部35は、硬貨処理部182の硬貨返却箱92にリジェクトされた硬貨を残留硬貨検知センサ95が検知していれば、硬貨返却箱92の硬貨の取り出しを促す表示を表示部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が硬貨返却箱92を装置本体21から引き出して硬貨返却箱92に貯留されている硬貨を取り出した後に硬貨返却箱92を装置本体21に押し込む。
【0113】
制御部35は、計数結果を了解して一時貯留している貨幣を収納する収納処理、及び、一時貯留している貨幣を返却する返却処理の表示操作部31への選択操作を待つ。ここで、制御部35は、確定及び完了の入力キーである操作キー46が押圧操作されると収納処理を行うことになり、キャンセル操作用の所定の機能キー42が押圧操作されると返却処理を行うことになる。
【0114】
「収納処理」
収納処理では、制御部35は、紙幣処理部181については、紙幣一時庫82の底部を開放して、紙幣一時庫82に貯留していた紙幣を、紙幣受入開口部161を介して紙幣金庫141の紙幣金庫本体162内に収納する。
【0115】
また、制御部35は、硬貨処理部182については、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を一時貯留位置から収納位置まで移動させると共に、底部構成体移動機構255で底部構成体254を一時貯留位置から収納位置まで移動させて、硬貨一時貯留部250を、一時貯留状態から収納状態にする。
【0116】
この収納状態になると、硬貨一時庫256は、一時貯留していた硬貨を、壁部構成体252の下部開口の鉛直下方にある硬貨金庫シュート251を介して、壁部構成体252の下部開口の鉛直下方にある、押し込み状態の貨幣金庫部111の硬貨金庫142の硬貨金庫本体172に、硬貨受入開口部171を介して収納する。
【0117】
以上のように、硬貨一時貯留部250は、硬貨識別部232で受け入れ可能と識別されて落下孔242から落下し一時貯留シュート246で案内される硬貨を一時貯留すると共に、一時貯留している硬貨を左右方向に移動して硬貨金庫142に収納する。
【0118】
この収納処理を終了するに当たり、制御部35は、例えば、その前段に行われた入金処理において入力された回収担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、入金処理の実行時刻と、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣及び硬貨の金種別の数量と、これらが収納された旨とを関連付けて記憶部36に記憶する。
【0119】
「返却処理」
返却処理において、制御部35は、紙幣処理部181については、紙幣一時庫ロック機構83を駆動して、紙幣一時庫82の装置本体21へのロックを解除すると共に、紙幣一時庫82からの紙幣の取り出しを促す表示を表示部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が、紙幣一時庫82を装置本体21から引き出して、紙幣一時庫82に一時貯留されていた紙幣を取り出す。その後、紙幣一時庫82が装置本体21に押し込まれると、紙幣一時庫ロック機構83が、紙幣一時庫82を押し込み状態で装置本体21にロックする。制御部35は、紙幣一時庫82が押し込み状態になったことを紙幣一時庫検知センサ84の検知結果で確認する。
【0120】
また、制御部35は、硬貨処理部182については、硬貨返却箱ロック機構93を駆動して、硬貨返却箱92を装置本体21にロックする。その後、制御部35は、壁部構成体移動機構253で壁部構成体252を一時貯留位置から返却位置に移動させると共に、底部構成体移動機構255で底部構成体254を一時貯留位置から返却位置に移動させて、硬貨一時貯留部250を、一時貯留状態から返却状態にする。すると、壁部構成体252の下部開口が返却位置において開くことになる。
【0121】
この返却状態になると、硬貨一時庫256は、一時貯留していた硬貨を、壁部構成体252の下部開口の鉛直下方にある押し込み状態の硬貨返却箱92に放出する。その後、制御部35は、硬貨返却箱ロック機構93を駆動して、硬貨返却箱92の装置本体21へのロックを解除すると共に、硬貨返却箱92からの硬貨の取り出しを促す表示を表示部41に表示させる。これを見て、店舗の担当者が、硬貨返却箱92を装置本体21から引き出して硬貨を取り出す。制御部35は、硬貨返却箱92が押し込み状態になったことを硬貨返却箱検知センサ94の検知結果で確認する。
【0122】
制御部35は、紙幣一時庫82が装置本体21から引き出された後に装置本体21に押し込まれたことを紙幣一時庫検知センサ84が検知し、硬貨返却箱92が装置本体21から引き出された後に装置本体21に押し込まれたことを硬貨返却箱検知センサ94が検知すると、返却処理を終了する。
【0123】
この返却処理を終了するに当たり、制御部35は、その前段に行われた入金処理において入力された回収担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、入金処理の実行時刻と、紙幣識別部192で受け入れ可能と識別された紙幣及び硬貨の金種別の数量と、これらが返却された旨とを関連付けて記憶部36に記憶する。
【0124】
「警備会社の担当者による売上金の回収処理」
警備会社の回収担当者は、表示操作部31に対し、カードリーダ43でID番号を入力し、テンキー44で暗証番号を入力する。すると、制御部35は、ID番号及び暗証番号が適正である場合に、表示部41に、「回収処理」を含む処理選択画面を表示させる。
【0125】
この処理選択画面を表示させた状態で、テンキー44を介して「回収処理」が選択され、確定及び完了の入力キーである操作キー46が押圧操作されると、制御部35は、貨幣金庫扉ロック機構102、貨幣金庫部ロック機構112を駆動して、これらをロック状態からロック解除状態にする。すると、貨幣金庫扉101及び貨幣金庫部111の装置本体21へのロックが解除される。それと共に制御部35は、表示部41に回収処理の案内画面を表示させる。
【0126】
案内に従って、回収担当者は、貨幣金庫扉101を開いて開状態とした後に貨幣金庫部111を装置本体21から引き出して引き出し状態とする。そして、回収担当者は、紙幣金庫141をスライド体121の紙幣金庫装填スペース135から抜き取り、持参した金庫キーを使用して図示略の紙幣金庫扉を開いて紙幣金庫141内の紙幣を取り出す。これにより紙幣金庫141内の紙幣は空になる。その後、図示略の紙幣金庫扉を閉じて金庫キーでロック状態にする。或いは、回収担当者は、抜き取った紙幣金庫141と交換する空の紙幣金庫141を準備する。
【0127】
また、回収担当者は、硬貨金庫142をスライド体121の硬貨金庫装填スペース136から抜き取り、持参した金庫キーを使用して図示略の硬貨金庫扉を開いて硬貨金庫142内の硬貨を取り出す。これにより、硬貨金庫142内の硬貨は空になる。その後、図示略の硬貨金庫扉を閉じて金庫キーでロック状態にする。或いは、回収担当者は、抜き取った硬貨金庫142と交換する空の硬貨金庫142を準備する。
【0128】
そして、回収担当者は、空の紙幣金庫141をスライド体121の紙幣金庫装填スペース135に上部開口から装填する。すると、制御部35は、紙幣金庫141が装填状態になったことを紙幣金庫検知センサ152の検知結果で確認する。
【0129】
また、回収担当者は、空の硬貨金庫142をスライド体121の硬貨金庫装填スペース136に上部開口から装填する。すると、制御部35は、硬貨金庫142が装填状態になったことを硬貨金庫検知センサ156の検知結果で確認する。
【0130】
加えて、回収担当者は、引き出し状態のスライド体121の保管スペース131に上部開口を介して持参した釣銭準備金を収納する。釣銭準備金の保管スペース131への収納は、スライド体121が装置本体21から引き出された引き出し状態にあれば、何時行っても良い。釣銭準備金は、例えば、棒金と束紙幣とからなる準備金本体と、準備金本体を収容する収容袋或いは金庫等の収容体とで構成されている。
【0131】
回収担当者は、空の紙幣金庫141を紙幣金庫装填スペース135に装填し、空の硬貨金庫142を硬貨金庫装填スペース136に装填し、釣銭準備金を保管スペース131へ収納した後に貨幣金庫部111を装置本体21内に押し込んで押し込み状態とする。すると、貨幣金庫部ロック機構112が、押し込み状態になった貨幣金庫部111を装置本体21にロックする。制御部35は、貨幣金庫部111が押し込み状態になったことを、貨幣金庫部検知センサ113の検知結果で確認する。
【0132】
次に、回収担当者は、貨幣金庫扉101を閉状態にする。すると、貨幣金庫扉ロック機構102が、貨幣金庫扉101を閉状態で装置本体21にロックする。制御部35は、貨幣金庫扉101が閉状態になったことを貨幣金庫扉検知センサ103の検知結果で確認する。
【0133】
以上のようにして、警備会社の回収担当者は、貨幣処理装置11の紙幣金庫141内及び硬貨金庫142内の売上金を回収する。また、警備会社の回収担当者は、この回収と共に、釣銭準備金を貨幣処理装置11の保管スペース131に収納する。
【0134】
制御部35は、例えば、紙幣金庫141が取り外し状態になった後に装填状態になったことを紙幣金庫検知センサ152が検知し、硬貨金庫142が取り外し状態になった後に装填状態になったことを硬貨金庫検知センサ156が検知し、これらの後、貨幣金庫部111が押し込み状態になったことを、貨幣金庫部検知センサ113が検知し、その後、貨幣金庫扉101が閉状態になったことを貨幣金庫扉検知センサ103が検知すると、回収処理を終了する。
【0135】
制御部35は、回収処理を終了するに当たって、例えば、この回収処理において、入力された回収担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、貨幣金庫扉ロック機構102、貨幣金庫部ロック機構112を駆動してロック解除状態にした時刻と、貨幣金庫扉検知センサ103が貨幣金庫扉101の開状態を検知した時刻と、貨幣金庫部検知センサ113が貨幣金庫部111の引き出し状態を検知した時刻と、紙幣金庫検知センサ152が紙幣金庫装填スペース135からの紙幣金庫141の取り出しを検知した時刻と、硬貨金庫検知センサ156が硬貨金庫装填スペース136からの硬貨金庫142の取り出しを検知した時刻と、紙幣金庫検知センサ152が紙幣金庫装填スペース135への紙幣金庫141の装填を再び検知した時刻と、硬貨金庫検知センサ156が硬貨金庫装填スペース136への硬貨金庫142の装填を再び検知した時刻と、貨幣金庫部検知センサ113が貨幣金庫部111の押し込み状態を再び検知した時刻と、貨幣金庫扉検知センサ103が貨幣金庫扉101の閉状態を再び検知した時刻とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0136】
また、制御部35は、回収処理を終了するに当たって、例えば、この回収処理において、入力された回収担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、回収処理の実行時刻と、紙幣金庫141及び硬貨金庫142から回収した貨幣量の情報とをプリンタ32で紙面に印字した伝票を作成する。回収担当者は、回収した貨幣を伝票と共に管理センタに持ち帰る。
【0137】
「店舗の担当者による釣銭準備金の受渡処理」
店舗の担当者は、表示操作部31に対し、カードリーダ43でID番号を入力し、テンキー44で暗証番号を入力する。すると、制御部35は、ID番号及び暗証番号が適正である場合に、表示部41に、「受渡処理」を含む処理選択画面を表示させる。
【0138】
この処理選択画面を表示させた状態で、テンキー44を介して「受渡処理」が選択され、確定及び完了の入力キーである操作キー46が押圧操作されると、制御部35は、貨幣金庫扉ロック機構102及び保管スペース扉ロック機構146を駆動して、これらをロック状態からロック解除状態にする。すると、貨幣金庫扉101の装置本体21へのロックが解除され、保管スペース扉145のスライド体121へのロックが解除される。それと共に制御部35は、表示部41に受渡処理の案内画面を表示させる。この受渡処理において、制御部35は、貨幣金庫部ロック機構112を駆動することはなく、よって、貨幣金庫部111は引き出しが規制された状態のままとなる。
【0139】
案内に従って、店舗の担当者は、貨幣金庫扉101を開いて開状態とした後に保管スペース扉145を開いて開状態とし、保管スペース131から前方の入出口132を介して釣銭準備金を取り出すことになる。即ち、店舗の担当者は、装置本体21から貨幣金庫部111を引き出すことなく、貨幣金庫扉101及び保管スペース扉145を開けて、保管スペース131から釣銭準備金を取り出すことになる。
【0140】
その後、店舗の担当者は、保管スペース扉145を閉状態にする。すると、保管スペース扉ロック機構146が、保管スペース扉145を開状態でスライド体121にロックする。制御部35は、保管スペース扉145が閉状態になったことを保管スペース扉検知センサ147の検知結果で確認する。
【0141】
次に、店舗の担当者は、貨幣金庫扉101を閉状態にする。すると、貨幣金庫扉ロック機構102が、貨幣金庫扉101を閉状態で装置本体21にロックする。制御部35は、貨幣金庫扉101が閉状態になったことを貨幣金庫扉検知センサ103の検知結果で確認する。
【0142】
以上のようにして、店舗の担当者は、貨幣処理装置11の貨幣金庫部111の保管スペース131から、警備会社の回収担当者が入れた釣銭準備金を取り出すことになる。
【0143】
制御部35は、保管スペース扉145が開かれた後に閉状態になったことを保管スペース扉検知センサ147が検知した後、貨幣金庫扉101が閉状態になったことを貨幣金庫扉検知センサ103が検知すると、受渡処理を終了する。
【0144】
制御部35は、受渡処理の終了に当たり、例えば、この受渡処理において、入力された店舗の担当者のID番号と、貨幣処理装置11の識別情報と、貨幣金庫扉ロック機構102及び保管スペース扉ロック機構146を駆動してロック解除状態にした時刻と、貨幣金庫扉検知センサ103が貨幣金庫扉101の開状態を検知した時刻と、保管スペース扉検知センサ147が保管スペース扉145の開状態を検知した時刻と、保管スペース扉検知センサ147が保管スペース扉145の閉状態を再び検知した時刻と、貨幣金庫扉検知センサ103が貨幣金庫扉101の閉状態を再び検知した時刻とを関連付けて、記憶部36に記憶する。
【0145】
以上に述べた貨幣処理装置11によれば、紙幣を収納する紙幣金庫141及び硬貨を収納する硬貨金庫142とは別に、釣銭準備金を保管可能な保管スペース131が設けられている。よって、釣銭準備金の受け渡し時に、紙幣金庫141及び硬貨金庫142とは別に設けられた保管スペース131に釣銭準備金を保管することができる。よって、警備会社の担当者が貨幣処理装置11から売上金を回収する際に、保管スペース131に警備会社が予め用意した釣銭準備金を入れておくことができ、店舗側の人間が立ち会わずに、警備会社から店舗に釣銭準備金を受け渡すことができる。
【0146】
また、釣銭準備金の受け渡し時に、紙幣金庫141及び硬貨金庫142とは別に設けられた保管スペース131に釣銭準備金を保管することができるため、釣銭準備金の受け渡し後、釣銭準備金を紙幣金庫141或いは硬貨金庫142から取り出す必要がなく、即座に紙幣金庫141及び硬貨金庫142が使用可能な状態となり、即座に貨幣処理装置11による貨幣処理が可能となる。従って、釣銭準備金の受け渡しが可能であり、釣銭準備金の受け渡し後、即座に貨幣処理が可能となる。即ち、特許文献1の売上金入金機では釣銭準備金を貨幣金庫から取り出さないと売上金入金機を使用できないが、貨幣処理装置11では、釣銭準備金を保管スペース131に保管することができるため、釣銭準備金が貨幣処理装置11内に残っている状態でも貨幣処理装置11を使用して入金処理を行うことができる。
【0147】
また、紙幣金庫141と硬貨金庫142とが左右方向の位置を重ね合わせて前後方向に並べられており、これら紙幣金庫141及び硬貨金庫142に対し、前後方向の位置を重ね合わせ、左右方向に並べられて保管スペース131が設けられているため、紙幣金庫141及び硬貨金庫142とは別に保管スペース131を設けても特に左右方向の大型化を抑制することができる。言い換えれば、紙幣金庫141と硬貨金庫142とが前後方向に並べられて貨幣処理装置11の左右方向一側(具体的には左側)に配置され、前後方向に並べられたこれら紙幣金庫141及び硬貨金庫142の左右方向他側(具体的には右側)に保管スペース131が設けられているため、紙幣金庫141及び硬貨金庫142とは別に保管スペース131を設けても特に左右方向の大型化を抑制することができる。
【0148】
また、紙幣ホッパ71にセットされた紙幣を識別し識別結果に基づいて振り分ける紙幣処理部181及び硬貨ホッパ61にセットされた硬貨を識別し識別結果に基づいて振り分ける硬貨処理部182の下側に、紙幣処理部181及び硬貨処理部182と前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて、紙幣金庫141、硬貨金庫142及び保管スペース131が設けられているため、貨幣処理装置11の特に左右方向の大型化を一層抑制することができる。言い換えれば、紙幣金庫141、硬貨金庫142及び保管スペース131は、紙幣処理部181及び硬貨処理部182の下方に、紙幣処理部181及び硬貨処理部182と平面視でオーバーラップするように配置されているため、保管スペース131を設けつつも、貨幣処理装置11の特に左右方向の大型化を一層抑制することができる。即ち、単純に、保管スペースを貨幣処理装置の横に設けるものよりも、貨幣処理装置11の左右方向を小型化することができる。
【0149】
また、紙幣処理部181の下側に、これと前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて紙幣金庫141を設け、硬貨処理部182の下側に、これと前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて保管スペース131を設けると共に、硬貨処理部182の硬貨一時貯留部250を前後方向に移動させることにより、紙幣金庫141と左右方向の位置を重ね合わせて前後方向に並べられた硬貨金庫142に硬貨一時貯留部250の硬貨を収納する。従って、紙幣処理部181、硬貨処理部182、紙幣金庫141、硬貨金庫142及び保管スペース131をより効率的に配置することができる。
【0150】
また、保管スペース131の上側に、これと前後方向及び左右方向の両方向の位置を重ね合わせて硬貨返却箱92を設けると共に、硬貨一時貯留部250が、前後方向に移動して硬貨を硬貨返却箱92と硬貨金庫142とに振り分ける。従って、紙幣処理部181、硬貨処理部182、紙幣金庫141、硬貨返却箱92、硬貨金庫142及び保管スペース131をより効率的に配置することができる。
【0151】
また、保管スペース131と紙幣金庫141と硬貨金庫142とを含む貨幣金庫部111が一体に装置本体21から引き出し可能とされており、貨幣金庫部111は、これを装置本体21から引き出さずに保管スペース131を開閉する保管スペース扉145を有する。このため、貨幣金庫部111を引き出すことで、紙幣金庫141及び硬貨金庫142からの貨幣の回収と、保管スペース131への釣銭準備金の収納とを容易に行うことができる。また、保管スペース131に保管されている釣銭準備金を保管スペース131から取り出す際には、貨幣金庫部111を引き出さずに保管スペース扉145を開いて取り出すことができる。即ち、特許文献1の売上金入金機では、装置から金庫トレーを引き出し、引き出された金庫トレーから貨幣金庫を取り出し、取り出された貨幣金庫から釣銭準備金を取り出すことで、装置から釣銭準備金を取り出すことになるが、貨幣処理装置11では、保管スペース131の前面に保管スペース扉145が設けられているため、貨幣金庫扉101及び保管スペース扉145を開けることで、装置本体21から貨幣金庫部111を引き出すことなく、貨幣処理装置11から釣銭準備金を取り出すことができる。
【0152】
また、貨幣金庫部111において、紙幣金庫装填スペース135及び硬貨金庫装填スペース136と、保管スペース131とが仕切られて別スペースとなっており、保管スペース131を開閉する保管スペース扉145が設けられているため、店舗の担当者が保管スペース131から釣銭準備金を取り出す際に紙幣金庫141及び硬貨金庫142を見たり触れたりすることを防止することができる。よって、防犯性に優れている。
【0153】
以上の第1実施形態を以下の変形例1~変形例9のように変更することができる。
【0154】
(変形例1)
上記実施形態のように紙幣金庫141及び硬貨金庫142が貨幣処理装置11内の左側に設けられ、保管スペース131が貨幣処理装置11内の右側に設けられると共に、紙幣処理部181が貨幣処理装置11内の左側に設けられ、硬貨処理部182が貨幣処理装置11内の右側に設けられることに限定されるものではなく、紙幣金庫141及び硬貨金庫142が貨幣処理装置11内の右側に設けられ、保管スペース131が貨幣処理装置11内の左側に設けられると共に、紙幣処理部181が貨幣処理装置11内の右側に設けられ、硬貨処理部182が貨幣処理装置11内の左側に設けられるようにしても良い。
【0155】
(変形例2)
貨幣金庫扉101を設けずに、図10に示すように、保管スペース扉145を有する貨幣金庫部111の前面を貨幣処理装置11の前面とするようにしても良い。即ち、装置本体21の主前面28と貨幣金庫部111の前面271とで貨幣処理装置11の前面を構成する。これにより、保管スペース扉145が常に貨幣処理装置11の外部に露出することになるため、店舗の担当者による保管スペース131からの釣銭準備金の取り出し作業が一層容易となる。即ち、貨幣金庫扉101を開閉する作業をなくすことができる。
【0156】
(変形例3)
制御部35は、所定時間経過しても、紙幣一時庫82や硬貨返却箱92や貨幣金庫部111が引き出し状態になった後に押し込み状態にならなければ、押し込み状態にすることを促すメッセージを表示部41に表示させるようにしても良い。また、制御部35は、所定時間経過しても、紙幣金庫141や硬貨金庫142が取り外し状態になった後に装填状態にならなければ、装填状態にすることを促すメッセージを表示部41に表示させるようにしても良い。更に、制御部35は、所定時間経過しても、貨幣金庫扉101や保管スペース扉145が開かれた後に閉状態にならなければ、閉状態にすることを促す表示を表示部41に表示させるようにしても良い。更に、上記メッセージをスピーカーから出力させるようにしても良い。更に、警告音をスピーカーから出力させるようにしても良い。
【0157】
(変形例4)
貨幣収納スペース137と保管スペース131とを貨幣金庫部111に一体に設けることに限定されるものではなく、別々に設けるようにしても良い。例えば、貨幣収納スペース137を有する第1の貨幣金庫部と、保管スペース131を有する第2の貨幣金庫部とを備えるようにしても良い。この際、それぞれ別々に装置本体21から引き出し可能に設けても良く、第1の貨幣金庫部のみ装置本体21から引き出し可能に設け、第2の貨幣金庫部を装置本体21に固定して引き出し不可に設けるようにしても良い。
【0158】
なお、第2の貨幣金庫部を装置本体21に対し引き出し可能に設けた際には、店舗の担当者は、第2の貨幣金庫部を引き出して釣銭準備金を取り出すようにしても良い。その場合、保管スペース扉145は必ずしも必要なくなる。また、第2の貨幣金庫部を引き出し不可に設けた際には、保管スペース扉145は必要で、警備会社は保管スペース扉145を開閉して釣銭準備金を保管スペース131に収納することになる。
【0159】
更に、変形例4において、変形例2のように、貨幣金庫扉101を設けずに、第1の貨幣金庫部の前面と、保管スペース扉145を有する第2の貨幣金庫部の前面とを貨幣処理装置11の前面とするようにしても良い。
【0160】
(変形例5)
保管スペース131は、上方が開口していることに限定されるものではなく、上方を閉塞する天井部を有するようにし、保管スペース扉145を開閉して釣銭準備金を保管スペース131に収納するようにしても良い。
【0161】
(変形例6)
上記実施形態のように、保管スペース131が、紙幣金庫141及び硬貨金庫142の両方に前後方向の位置を重ね合わせることに限定されるものではなく、紙幣金庫141及び硬貨金庫142の少なくとも何れか一方に前後方向の位置を重ね合わせていれば良い。例えば、上記実施形態のように、紙幣金庫141が貨幣処理装置11内の前部に設けられる場合、保管スペース131を、硬貨金庫142よりも前側において、紙幣金庫141と前後方向の位置を重ね合わせるようにしても良い。
【0162】
(変形例7)
保管スペース131は、釣銭準備金を保管することに限定されるものではなく、印鑑、通帳、有価証券、書類等の重要物を保管するようにしても良い。
【0163】
(変形例8)
硬貨一時貯留部250は、一時貯留している硬貨を左右方向に移動して硬貨返却箱92と硬貨金庫142との振り分けるようにしても良い。また、この際、硬貨一時貯留部250の硬貨一時庫256の移動経路の一部と、紙幣処理部181の中間搬送部202とが前後方向及び左右方向の両方向にオーバーラップするようにする。具体的には、硬貨金庫142へ硬貨を収納する収納状態にあるときに、硬貨一時庫256がスペースSに配置され、中間搬送部202と前後方向及び左右方向の両方向にオーバーラップするようにする。これにより、硬貨一時庫256が左右方向に移動するようにしても、貨幣処理装置11の大型化を抑制することができる。言い換えれば、貨幣処理装置11を小型化することができる。
【0164】
(変形例9)
貨幣処理装置11は、入金専用機に限定されるものではなく、紙幣金庫141及び硬貨金庫142とは別に、紙幣を収納する紙幣収納部及び硬貨を収納する硬貨収納部を更に備え、入金処理に加え、これらの収納部に収納している貨幣を出金処理可能な入出金機であっても良い。
【符号の説明】
【0165】
11…貨幣処理装置、21…装置本体、61…硬貨ホッパ(硬貨セット部)、71…紙幣ホッパ(紙幣セット部)、72…紙幣リジェクトポケット(紙幣リジェクト部)、82…紙幣一時庫(紙幣一時貯留部)、92…硬貨返却箱(硬貨返却部)、111…貨幣金庫部、131…保管スペース、141…紙幣金庫、142…硬貨金庫、145…保管スペース扉(開閉扉)、181…紙幣処理部、182…硬貨処理部、192…紙幣識別部、193…紙幣振分部、202…中間搬送部(振分前紙幣搬送部)、232…硬貨識別部、250…硬貨一時貯留部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10