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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】シンク用水切り袋
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B65F1/00 102F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022094321
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521136493
【氏名又は名称】株式会社稜彩
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】空野 加代子
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-278101(JP,A)
【文献】特許第6968471(JP,B1)
【文献】実開平06-082003(JP,U)
【文献】特開平10-129801(JP,A)
【文献】特開2000-103436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面からみて略方形の非透水性シートが重ね合わされて形成され、頂部が開口した袋状部と、該袋状部の底部に付設された排水用筒状部とを備え、前記袋状部の底部は該袋状部の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面となされ、前記排水用筒状部は前記袋状部の底部傾斜面の下端部から延長状に傾斜して形成されている、シンク用水切り袋。
【請求項2】
排水用筒状部の上方における袋状部の側壁がその下部から上部に向かって外方へ拡開した傾斜面となされて、袋状部の頂部の開口幅が袋状部の底部の幅よりも広く形成されている、請求項1記載のシンク用水切り袋。
【請求項3】
袋状部の底部傾斜面の上部に該傾斜面より傾斜角度が大きい急傾斜面が設けられている、請求項1または請求項2記載のシンク用水切り袋。
【請求項4】
袋状部内に、濾過性素材からなる内袋が収容されている、請求項1または請求項2記載のシンク用水切り袋。
【請求項5】
内袋の底部が、袋状部の底部傾斜面に沿った傾斜状となされている、請求項4記載のシンク用水切り袋。
【請求項6】
袋状部の頂部縁寄り部分に、吊り下げ具で懸吊するための懸吊手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のシンク用水切り袋。
【請求項7】
請求項6記載のシンク用水切り袋を用いたシンクにおける水切り装置であって、シンクの上部に取り付けられた吊り下げ具と、懸吊手段を介して前記吊り下げ具で吊り下げられた水切り袋を有し、該水切り袋の排水用筒状部の高さ位置がシンクの底面より上方に設定され、前記排水用筒状部の先端が前記シンクの排水口に位置している、水切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台等のシンク内において、例えば、生ゴミ等を収容して廃棄したり、野菜等を入れて水切りを行うのに用いられるシンク用水切り袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種袋としては、上部が開口した袋状本体を備え、該袋状本体の下部または底部に一または複数の排水用筒状体が付設され、該排水用筒状体が、流し台等のシンクのコーナー部から排水口まで伸び且つ結ぶことが可能な長さとなされたものが知られている。
【0003】
また、非透水性薄膜からなる筒状体の、一方の開口部がシールされて袋体の底部となされ、該底部寄りの幅方向にミシン目シールからなる水切り部が形成され、他方の開口部から前記水切り部までの袋体内部がごみ収納部となされ、前記底部の一部が開口され、該開口部に非透水性薄膜からなる排水筒が付設されてなる生ごみ用水切り袋も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6968471号公報
【文献】特開平9-278101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の袋のうち、前者の袋は、その袋状本体の下部または底部に一または複数の排水用筒状体が付設されたものであるが、前記袋状本体の底部が水平状であるために、袋状本体の底部に生ゴミ等が溜まり易く、そのため、排水用筒状体から生ゴミ等の水分がスムーズに流れ難いという不都合があった。
【0006】
一方、後者の袋では、その袋体の底部を前記排水筒に向けて傾斜させることにより、廃液の貯溜乃至排水性を向上させた構造のものも案出されている。しかしながら、当該袋の場合、前記排水筒が真下を向いた構造であるため、シンクのコーナー部から排水口に向かって、袋体内の廃液の移送流下がスムーズに行えないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、生ゴミや野菜等の水分をスムーズに排水できる水切り袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、正面からみて略方形の非透水性シートが重ね合わされて形成され、頂部が開口した袋状部と、該袋状部の底部に付設された排水用筒状部とを備え、前記袋状部の底部は該袋状部の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面となされ、前記排水用筒状部は前記袋状部の底部傾斜面の下端部から延長状に傾斜して形成されている、シンク用水切り袋である。
【0009】
本発明の水切り袋を構成する非透水性シートの材質は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、或いはこれらのラミネート材、更にはアルミニウム合金シートとのラミネート材等が挙げられる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のシンク用水切り袋について、排水用筒状部の上方における袋状部の側壁がその下部から上部に向かって外方へ拡開した傾斜面となされて、袋状部の頂部の開口幅が袋状部の底部の幅よりも広く形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のシンク用水切り袋について、袋状部の底部傾斜面の上部に該傾斜面により傾斜角度が大きい急傾斜面が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のシンク用水切り袋について、袋状部内に、濾過性素材からなる内袋が収容されているものである。
【0013】
前記内袋を構成する濾過性素材としては、生分解性素材や化学繊維等からなる不織布やネットが挙げられる。
【0014】
請求項5記載の本発明は、前記請求項4記載のシンク用水切り袋について、前記内袋の底部が、袋状部の底部傾斜面に沿った傾斜状となされていることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載のシンク用水切り袋について、袋状部の頂部縁寄り部分、或いは更に内袋の頂部縁寄り部分に、吊り下げ具で懸吊するための懸吊手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の本発明は、前記請求項6記載のシンク用水切り袋を用いたシンクにおける水切り装置であって、シンクの上部に取り付けられた吊り下げ具と、懸吊手段を介して前記吊り下げ具で吊り下げられた水切り袋を有し、該水切り袋の排水用筒状部の高さ位置がシンクの底面より上方に設定され、前記排水用筒状部の先端が前記シンクの排水口に位置しているものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るシンク用水切り袋は、正面からみて略方形の非透水性シートが重ね合わされて形成され、頂部が開口した袋状部と、該袋状部の底部に付設された排水用筒状部とを備え、前記袋状部の底部は該袋状部の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面となされ、前記排水用筒状部は前記袋状部の底部傾斜面の下端部から延長状に傾斜して形成されている構造であるため、前記袋状部内において、該袋状部に入れられた生ゴミ等の水分は、袋状部の底部傾斜面に沿って流下すると共に該底部傾斜面の下端部から延長状に傾斜して形成されている排水用筒状部へ誘導されてスムーズに排出され得る。
【0018】
排水用筒状部の上方における袋状部の側壁がその下部から上部に向かって外方へ拡開した傾斜面となされて、袋状部の頂部の開口幅が袋状部の底部の幅よりも広く形成された本発明のシンク用水切り袋によれば、袋状部の頂部の開口幅が広いため、袋状部内への生ゴミ等の投入がより簡単に行える。
【0019】
袋状部の底部傾斜面の上部に該傾斜面により傾斜角度が大きい急傾斜面が設けられた本発明に係るシンク用水切り袋によれば、前記急傾斜面の存在によって、袋状部に収容された生ゴミ等の水分の流下が付勢され得るという利点が得られる。
【0020】
袋状部内に、濾過性素材からなる内袋が収容された本発明に係るシンク用水切り袋によれば、前記内袋内に内容物が収容され、該内容物の水分だけが内袋から流出して排水されるという利点が得られる。また、前記内袋の底部が、袋状部の底部傾斜面に沿った傾斜状となされている場合、前記水分の流下がいっそう容易に行われ得る。
【0021】
本発明の水切り装置によれば、前述した水切り袋の特性を生かしてシンク内において、生ゴミや野菜等の水切りが簡単に行われ、生ゴミ等の水分はシンクの排水口に直接的に排水され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係る水切り袋の正面図である。
図2図1のA-A線端面図である。
図3】実施形態1の水切り袋の製造要領を示す正面図である。
図4】実施形態1の水切り袋に内袋を収容させた状態の一部切欠正面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る水切り袋の正面図である。
図6】本発明の実施形態3に係る水切り袋の正面図である。
図7図6のB-B線端面図である。
図8】実施形態3に係る水切り袋の変形例を示す正面図である。
図9】実施形態1の水切り袋を使った本発明に係る水切り装置の概要図である。
図10】実施形態1の水切り袋の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0024】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係るシンク用水切り袋1は、正面からみて略方形の非透水性シート3が重ね合わされて形成され、頂部4が開口した袋状部2と、該袋状部2の底部5に付設された排水用筒状部6とを備え、前記袋状部2の底部5は該袋状部2の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面S1となされ、前記排水用筒状部6は前記袋状部2の底部5の傾斜面S1から延長状に傾斜して形成されている。なお、前記排水用筒状部6は、必要に応じて、その長さを適宜変更するものであり、図10に示すように、排水用筒状部6の先端側部分をハサミやカッターで切除して短くする場合もある。
【0025】
本実施形態では、袋状部2の底部5の傾斜面S1は、左側から右側へ下った形態となされている。
【0026】
また、前述した水切り袋1における頂部4と排水用筒状部6の先端部6aを除いて、当該水切り袋1の外形に対応する熱融着シールHSを施されている。
【0027】
また、本実施形態では、必要に応じて、前記袋状部2の頂部4縁寄り部分に、後述する吊り下げ具51のフックやリングが係合される懸吊手段としての複数の透孔10が間隔をあけて形成されている。
【0028】
更に、前記袋状部2の底部5の傾斜面S1の上部に該傾斜面S1により傾斜角度が大きい急傾斜面S2が設けられる場合もある。この場合、袋状部2の底部5は、急傾斜面S2から傾斜面S1へと続く二段傾斜状となされる。
【0029】
次に、図3に示すように、本実施形態に係る水切り袋1の製造方法について説明すると、二枚の方形の非透水性原材料シート13(前記非透水性シート3に相当)を重ね合わせた状態で、前述した水切り袋1における頂部4と排水用筒状部6の先端部6aを除いて、当該水切り袋1の外形に対応する熱融着シールHSを施して、その内側部分に前述した水切り袋1を形成した後、前記熱融着シールHSの外縁部分並びに前記頂部4部分および前記排水用筒状部6の先端部6a部分を金型(図示せず)で打ち抜いてカットし、前記二枚の方形原材料シート13における前記打ち抜きカットの外側部分13aを除去することにより、前記水切り袋1を得る。
【0030】
図1および図4に示すように、本実施形態に係る水切り袋1は、単体で使用しても良いが、内部に透水性の濾過性素材からなる内袋8を収容して二重の袋構造とする場合もある。本実施形態では、前記内袋4は接着剤や熱融着によって、水切り袋1の袋状部2内に展着される。また、本実施形態では、前記内袋8の底部8aが、前記袋状部2の底部5の傾斜面S1に沿った傾斜状となされている。また、本実施形態では、袋状部2の頂部4縁寄り部分および内袋4の頂部縁寄り部分に、後述する吊り下げ具で懸吊するための懸吊手段として複数の透孔10が間隔をあけて形成されている。
(実施形態2)
【0031】
図5に示すように、本実施形態のシンク用水切り袋21は、後述する構造においてのみ前記実施形態1の水切り袋1と相違し、その他の構造は前記実施形態と同様である。そのため、前記実施形態1と同様のものについては、同じ符号を用いることにより説明を省略する。
【0032】
すなわち、本実施形態の水切り袋21では、前記実施形態1の水切り袋1における袋状部2に相当する袋状部22について、前記排水用筒状部6の上方における袋状部22の側壁22aがその下部から上部に向かって外方へ拡開した傾斜面S3となされて、袋状部22の頂部4の開口幅W1が袋状部22の底部5の幅W2よりも広く形成されている。
(実施形態3)
【0033】
図6および図7に示すように、本実施形態に係るシンク用水切り袋31は、二枚の方形シート41を重ね合わせた後、その右側縁から幅中央方向にかけて前記二枚のシート41同士を略方形状に接着させた第一接着部BD1と、前記二枚のシート41の左側縁部同士を接着させた第二接着部BD2と、前記二枚のシート41同士をそれらの下縁から三角形状に接着させた第三接着部BD3を設けることで、袋状部32と排水用筒状部36が形成されているものである。
【0034】
本実施形態の水切り袋31においても袋状部32の底部35は、袋状部32の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面S1となされ、前記排水用筒状部36は前記袋状部32の底部35の傾斜面S1から延長状に傾斜して形成されている。
【0035】
更に、図8に示すように、前述した水切り袋31の変形例として、前記排水用筒状部36の上方における袋状部32の側壁32aがその下部から上部に向かって外方へ拡開した傾斜面S3となされて、袋状部32の頂部4の開口幅W1が袋状部32の底部35の幅W2よりも広く形成されている。
【0036】
図9に示すように、本発明に係るシンク用水切り袋を用いたシンクにおける水切り装置は、シンクSNの上部に取り付けられた吊り下げ具51と、該吊り下げ具51のリング状またはフック状等の吊り具52が係合される前記懸吊手段としての透孔10を介して吊り下げられた水切り袋1を有し、該水切り袋1の排水用筒状部6の高さ位置がシンクSNの底面SNBより上方に設定され、前記排水用筒状部6の先端が前記シンクSNの排水口WTに位置している。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るシンク用水切り袋は、従来のこの種袋に比べて優れた排水性が得られるため、キッチン用品等の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1・21・31 シンク用水切り袋
2・22・32 袋状部
3 非透水性シート
4 袋状部の頂部
5・35 袋状部の底部
6・36 排水用筒状部
8 内袋
S1 底部の傾斜面
【要約】
【課題】 生ゴミや野菜等の水分をスムーズに排水できる水切り袋とする。
【解決手段】正面からみて略方形の非透水性シート3が重ね合わされて形成され、頂部4が開口した袋状部2と、該袋状部2の底部5に付設された排水用筒状部6とを備え、前記袋状部2の底部5は該袋状部2の一側から他側方向へ傾斜した傾斜面S1となされ、前記排水用筒状部6は前記袋状部2の底部5の傾斜面S1から延長状に傾斜して形成されている。また、必要に応じて、前記袋状部2には濾過性の内袋8が収容される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10