(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】基板支持具
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20220825BHJP
H05K 7/04 20060101ALI20220825BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H05K7/12 G
H05K7/04 K
H05K7/14 E
(21)【出願番号】P 2018016057
(22)【出願日】2018-02-01
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592077121
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】大出 昌司
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-085008(JP,A)
【文献】特開2012-247001(JP,A)
【文献】特開2016-201504(JP,A)
【文献】国際公開第2017/174336(WO,A1)
【文献】実開昭57-187981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H05K 7/04
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシに基板を支持するための基板支持具であって、
弾性のある部材で構成されて前記基板に固着される固着部と、前記固着部から前記基板の裏面側に突出されて前記シャーシに係合される係止部を備えており、前記係止部は
、前記固着部の縁部からその裏面側に曲げ加工され、さらにその先端側が楔型に折り返し曲げ加工されて前記シャーシの縁部に係合する係止爪を有する係止片と、この係止爪から前記固着部の表面側にまで延長され、操作されたときに前記係止片を前記固着部との連結部位を支点にして傾倒させて前記係止爪と前記シャーシとの係合を解除する解除片を備えることを特徴とする基板支持具。
【請求項2】
前記基板支持具は、前記基板の裏面側に突出される位置規制部を備え、当該位置規制部は前記シャーシに開口した規制穴に挿入される請求項1に記載の基板支持具。
【請求項3】
前記シャーシは前記基板を支承する支持片を備え、前記基板支持具の係止爪は当該支持片の縁部に係合され、前記規制穴は前記支持片に開口される請求項2に記載の基板支持具。
【請求項4】
前記係止爪は前記係止片の前記固着部に向けられた部位に形成され、前記係止片の弾性力によって前記支持片の縁部に外側から係合される請求項3に記載の基板支持具。
【請求項5】
前記固着部と前記係止部と前記位置規制部は導電性板材を加工して一体に形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の基板支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャーシやケース等の部材に回路基板等の基板を支持する基板支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のシャーシやケース等の部材(以下、シャーシと称する)に基板を支持する技術として、例えば特許文献1,2の基板支持具が提案されている。特許文献1の技術は、基板に固定金具を取り付けておき、この固定金具をシャーシ等の筐体に立設した円錐台状部のガイドピンに嵌合させて支持する技術である。特許文献2の技術は、爪部を有する係止部材を基板に半田付けしておき、シャーシ等に設けられたボスを爪部に係止させて支持する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-139470号公報
【文献】特開2016-119794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、固定金具を基板に固定するために作業者の手作業が必要であり、基板の支持作業が煩雑になる。また、シャーシに円錐台状部を立設するための工程が必要であり、シャーシの加工作業が煩雑になる。さらに、基板をシャーシの表面上の所定の高さ位置に支持させることが難しく、かつ安定した状態に支持することが難しい。
【0005】
特許文献2の技術は、係止部材を基板に半田付けするため、基板の支持作業を自動化する等して簡略化する上では有効であるが、シャーシ等にボスを設ける工程が必要であり、そのための作業が必要になる。また、係止部材の爪部がシャーシ等のボスに食い込んで係止する構造であるため、この係止を解除することが難しく、基板のメインテナンス時等に基板をシャーシ等から取り外すことが難しい。
【0006】
本発明の目的は、シャーシに円錐台状部やボスを立設することがなく、シャーシに対する加工を簡略化する一方で、シャーシに対する基板の着脱が容易な基板支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シャーシに基板を支持するための基板支持具であって、当該基板に固着される固着部と、当該固着部から基板の裏面側に突出されてシャーシに係合される係止部を備えており、係止部は固着部の縁部からその裏面側に曲げ加工され、さらにその先端側が楔型に折り返し曲げ加工されてシャーシの縁部に係合する係止爪を有する係止片と、この係止爪から固着部の表面側にまで延長され、操作されたときに係止片を固着部との連結部位を支点にして傾倒させて係止爪とシャーシとの係合を解除する解除片を備える。
【0008】
本発明の好ましい形態として、基板の裏面側に突出される位置規制部を備えており、この位置規制部はシャーシに開口した規制穴に挿入される。また、他の好ましい形態として、シャーシは基板を支承する支持片を備えており、基板支持具の係止爪は当該支持片の縁部に係合され、規制穴は当該支持片に開口される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板支持具の係止部に設けた係止爪をシャーシの縁部に係合させて基板をシャーシに支持させることができ、かつ一方では解除片によりシャーシから取り外すことができる。例えば、シャーシの一部を切り起こした支持片に対して係止爪を係合させることができ、これにより、シャーシに対する加工を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1の基板支持具の部分分解外観斜視図。
【
図2】実施形態1の
基板支持具の(a)正面図、(b)平面図、(c)右側面図。
【
図3】実施形態1の基板支持具の収納状態とピックアップ状態を示す断面図。
【
図4】基板支持具を回路基板に固着する工程を示す断面図。
【
図5】回路基板をシャーシ等に支持する工程を示す断面図。
【
図6】実施形態2の基板支持具の部分分解外観斜視図。
【
図7】実施形態2の基板支持具で回路基板をシャーシに支持した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態1の基板支持具1の部分分解外観斜視図である。なお、以降の説明においては、便宜的に「上下方向」は
図1を基準とした方向を表している。基板支持具1は、弾性のある板材、ここではバネ性のある金属板を所要の形状に打ち抜いた上で、曲げ加工されて形成されている。この基板支持具1は、支持対象となる回路基板2の縁部の近傍位置に取り付けられ、また回路基板2はシャーシ3に支持される。
【0012】
図1において、前記回路基板2を支持するためのシャーシ3は、一部が矩形に切り起こされ、かつ厚み方向、すなわちシャーシ3の表面方向に向けてL字型に曲げ加工された支持片31が形成されている。この支持片31の先端領域31aはシャーシ表面と平行に延在され、かつこの先端領域31aには2つのスリット状の案内穴32が厚み方向に貫通されている。そして、後述するように、前記回路基板2に取り付けられる基板支持具1は、前記支持片31の端縁部33に係合されることにより、当該回路基板2をシャーシ1に支持することが可能とされている。
【0013】
図2は前記基板支持具1の三面図、すなわち(a)正面図、(b)平面図(c)右側面図である。
図2に示すように、前記基板支持具1は3つの部位、すなわち固着部11と、係止部12と、位置規制部13を備えて構成されている、前記固着部11は、所要の面積及び形状をした平板として構成されている。ここでは、概ね正方形ないし長方形の平板として形成されており、この固着部11は、後述するように、下側に向けられている裏面は基板支持具1を回路基板2に固着するために用いられ、上側に向けられている表面は自動搭載機により基板支持具1を把持、搬送、かつ固着を行う際に利用される。
【0014】
前記位置規制部13は、前記固着部11の対向する2つの端縁から、固着部11の裏面方向にそれぞれ所要長さに突出した突片14を備えている。これら2つの突片14は固着部11の対向する2つの縁部をそれぞれ板厚方向に向けて直角に曲げ加工されたものであり、それぞれ平行に突出されている。
【0015】
前記係止部12は、前記位置規制部13の2つの突片14で挟まれた前記固着部11の一方の側縁に連設されており、係止片15と解除片16とで構成されている。前者の係止片15は、前記固着部11の当該側縁から裏面方向に直角に曲げ加工され、後者の解除片16はこの係止片15の下端位置から外側上方向に向けてほぼ360°の方向に折り返し曲げ加工されている。
【0016】
前記係止片15は、この折り返えされた先端近傍の部位のうち、両側に沿った部位がそれぞれ舌片状に切り出された上で内側に向けて概ね楔状に曲げ加工され、係止爪17として構成されている。これらの係止爪17は前記固着部11の裏面からの距離が、前記回路基板2の板厚寸法と前記シャーシ3の板厚寸法を加算した寸法だけ離れた位置となるように設定されている。
【0017】
前記解除片16は上端が前記固着部11の表面よりも所要寸法だけ高い位置となるように延在されている。また、当該解除片の上端部16aはロール状に曲げ加工され、後述する解除時に操作者の指先を傷付けないようにされている。
【0018】
この構成の基板支持具1は、支持対象となる回路基板2に予め固着される。回路基板2の表面には導電膜で構成された回路パターン(図示せず)が存在しており、この回路パターンの一部を利用して固着ランド21が形成されている。また、この回路基板2には、当該固着ランド21を挟んで一対のスリット状の挿通穴22が開口されている。前記固着ランド21は前記した基板支持具1の固着部11の平面形状にほぼ等しい形状、面積に形成されており、前記挿通穴22は前記位置規制部13の2つの突片14に対応する形状及び位置に開口されている。
【0019】
基板支持具1は、図示を省略した自動搭載機によって所要の回路を構成するための各種電子部品を回路基板2に搭載するときに、これと同様に回路基板2に搭載される。
図3に概略断面図を示すように、基板支持具1は、通常では帯状をしたエンボスキャリアテープCTに直列に配列形成されている複数の凹部にそれぞれ収納され、トップカバーCにより密封された状態で保存されている。そして、基板支持具1を回路基板2に搭載する際には、自動搭載機によりトップカバーCを順次剥がしながら当該自動搭載機の一部である真空ノズルNを固着部11の表面に当接させ、真空吸着により凹部から取り出す。
【0020】
図4は基板支持具1を回路基板2に搭載する工程を示す図であり、
図4(a)に示すように、ノズルNに吸着された基板支持具1は、回路基板2の固着ランド21上にまで搬送される。そして、ノズルNを下降させて突片14を挿通穴22に挿入し、その後ノズルNの吸着を解除してノズルNを退避させることにより、基板支持具1は回路基板2上に搭載される。
【0021】
搭載された基板支持具1は、固着部11の裏面が固着ランド21に密接され、位置規制部13の2つの突片14はそれぞれ挿通穴22を挿通されて回路基板2の裏面側にまで突出される。また、係止部12の係止爪17は回路基板2の縁部の外側位置において裏面側に突出される。しかる上で、半田等のろう材を用いたリフローにより各種電子部品が回路パターンに実装されるのと同時に、基板支持具1の固着部11が固着ランド23に固着される。
【0022】
そして、回路基板2をシャーシ3に支持する際には、
図5の支持工程図を参照すると、先ず
図5(a)のように、回路基板2の裏面側に突出されている位置規制部13の2つの突片14をシャーシ3の支持片31の2つの規制穴32にそれぞれ挿入させる。これにより、回路基板2は支持片31に対して位置決めされた状態となる。また、この位置決めにより、基板支持具1の係止部12は支持片31の端縁部33に対応する位置に位置決めされる。
【0023】
この状態にした上で、
図5(b)のように、回路基板2を支持片31に向けて押し下げると、係止片15及び解除片16の弾性変形によって係止爪17が支持片31の端縁部33を乗り越えて支持片31の下面側にまで移動され、係止爪17が端縁部33に係合される。前記したように、係止爪17は固着部11の裏面から回路基板2の板厚寸法とシャーシ3の板厚寸法を加算した寸法だけ離れた位置に形成されているので、回路基板2の裏面と係止爪17とで支持片31を端縁部33において板厚方向に挟んだ状態となる。これにより、基板支持具1は支持片31に一体的に結合された状態となり、回路基板2を支持片31に支持させることができる。
【0024】
このようにして回路基板2は基板支持具1によってシャーシ3に支持されるが、この状態では位置規制部13の突片と規制穴32との嵌合によって回路基板2が支持片31に対して位置規制され、回路基板2が支持片31の上面上で平面方向に移動されることはない。したがって、係止爪17が支持片31の端縁部33との係合から外れることもなく、安定な支持状態が保持される。
【0025】
回路基板2をシャーシ3から取り外すときには、
図5(c)のように、作業者が指や治具等により解除片16を矢印D1方向、すなわち固着部11の方向に押圧する。これにより、係止片15は固着部11との連結部位を支点にして矢印D2方向に傾倒され、係止爪17は支持片31の端縁部33との係合から解除される。したがって、この状態を保ちながら回路基板2を上方に持ち上げれば支持片31から回路基板2を取り外すことが可能となる。
【0026】
以上のように、実施形態1の基板支持具1は、1枚の金属板を加工することにより構成できるので、最少の部品点数で構成できる。また、基板支持具1は固着部11において回路基板2に固着するが、この固着には半田等のリフローによる固着が可能であるので、回路基板2への固着作業を自動化でき、かつ工数も少なくて済む。また、回路基板2をシャーシ3に支持する際には、位置規制部13の突片14を支持片31に設けた規制穴32に上方から挿入させながら回路基板2を押下するだけでよく、支持の作業も容易である。さらに、解除片16を操作するだけで係止爪17による支持片31との係合が解除でき、回路基板2をシャーシ3から簡単に取り外すことができ、回路基板2のリユースを実行する上で有効となる。
【0027】
一方、シャーシ3は一部を切り起こし、かつ曲げ加工して支持片31を形成するだけでよく、特許文献1,2のようなシャーシとは別部材の円錐台状部やボスが不要であり、かつこれらをシャーシ3に取り付ける作業も不要となる。したがって、シャーシ3を低コストに製造できる。また、特許文献1,2のように、固定金具や取付部材と円錐台状部やボスとの間に生じる寸法誤差によるガタを防止することができる。
【0028】
なお、この実施形態1では、基板支持具1を金属板、すなわち導電板で形成しているので、回路基板2の固着ランド21を接地パターンの一部として形成しておけば、基板支持具1を接地端子として機能させることができる。したがって、基板支持部1の係止爪17や位置規制部13の突片14が支持片31に対して電気的に接触したときに、回路基板2の接地パターンをシャーシ3に接地させることができる。
【0029】
図6は実施形態2の基板支持具1Aの部分分解斜視図であり、実施形態1の基板支持具1と等価な部分には同一符号を付してある。この実施形態2の基板支持具1Aは、概ね長方形をした固着部11の一方の側縁に1つの突片14を裏面側に突出するように曲げ加工して位置規制部13を形成している。また、前記固着部1の対向する両側の端縁に一対の係止部12を形成している。
【0030】
前記位置規制部13の突片14は実施形態1の突片と同じ構成である。また、2つの係止部12の構成もそれぞれ実施形態1と同じであり、固着部11の側縁から延在されて曲げ加工された係止片15と、これに連続されている解除片16とで構成されている。各係止片15にはそれぞれ係止爪17が設けられており、これらの係止爪17は固着部11を挟んで互いに対向するように内側に向けられている。
【0031】
一方、実施形態2の回路基板2には、固着ランド21の一つの辺に沿って前記位置規制部13の突片14が挿入される1つのスリット状の挿入穴22が開口されている。また、前記固着ランド21を挟む両側位置には前記2つの係止部12の各係止片15及び解除片16が挿入される2つの窓穴23が開口されている。これら2つの窓穴23は、各係止部12の平面寸法よりも幾分大きく形成されており、係止部12はこの窓穴23内で傾倒動作が可能とされている。
【0032】
基板支持具を回路基板に搭載する作業は実施形態1と同様に自動搭載機により行われる。このとき、1つの突片14が挿入穴22に挿入されることで回路基板2に対する基板支持具1Aの位置決めが行われる。基板支持具1Aの固着部11を回路基板2の固着ランド21に半田等により固着すると、位置規制部13の突片14は挿入穴22から裏面側に突出され、係止部12の2つの係止片15はそれぞれ窓穴23から裏面側に突出される。
【0033】
回路基板2を支持する実施形態2のシャーシ3には、実施形態1と同様に支持片31が切り起こしにより形成されている。この支持片31の幅寸法は基板支持具1Aの2つの係止片15が対向する間隔寸法にほぼ等しい寸法とされている。また、支持片31には基板支持具1Aの1つの突片14に対応した1つのスリット状の規制穴32が開口されている。
【0034】
回路基板2に基板支持具1Aを搭載する工程は実施形態1と同じであるので、ここでは説明は省略する。また、基板支持具1Aを搭載した回路基板2をシャーシ3に支持する際には、実施形態1と同様に基板支持具1の突片14を規制穴32に挿入し、支持片31に対して基板支持具1Aおよび回路基板2を位置決めする。しかる上で、回路基板2を支持片31に向けて押し下げると、
図7に断面図を示すように、2つの係止部12はそれぞれの係止片15の係止爪17が支持片31の両側の側縁部34を乗り越えて支持片31の下面側にまで移動され、係止爪17が側縁部34に係合される。これにより、基板支持具1Aは2つの係止片15が支持片31を両側から挟むように係合された状態となり、回路基板2は支持片31の上面に支承された状態で当該支持片31に支持される。
【0035】
回路基板2をシャーシ3から取り外すときには、作業者が指等により2つの解除片16を両外側から摘んでそれぞれを
図7のD3方向に弾性変形させる。これにより、両係止片15は互いに内側に傾倒され、係止爪17が支持片31の側縁部34との係合から解除される。この状態を保ちながら回路基板2を上方に持ち上げれば支持片31から回路基板2を取り外すことが可能となる。
【0036】
実施形態2においても、基板支持具1Aは1枚の金属板を加工することにより構成できるので、最少の部品点数で構成できる。また、基板支持具1Aはリフローによる固着が可能であるので、回路基板2に対する固着作業を自動化でき、かつ工数も少なくできる。さらに、シャーシ3は、支持片31を切り起こしにより形成できるので、別部材による加工作業や取付作業も不要となる。回路基板2をシャーシ3に支持する際には、シャーシ3に対して回路基板2の位置決めを行った上でシャーシ3の表面に押圧させるだけでよく、支持の作業も容易である。さらに、基板支持具1Aの解除片16を操作するだけで回路基板2をシャーシ3から簡単に取り外すことができ、回路基板2のリユースを実行する上で有効である。
【0037】
また、実施形態2では、2つの対向配置された係止部12を有しており、2つの係止片15が支持片31を両側から挟持した状態で回路基板2の支持を行うので、支持の機械的な強度を高め、支持の信頼性が向上できる。特に、支持片31を挟持する方向において支持強度を高めることができる。この実施形態2は、重量が相対的に大きな大型の回路基板2を支持する場合に適用することが好ましい
【0038】
本発明は実施形態1,2の構成や形状に限定されるものではない。例えば、シャーシに対する基板の位置決めの精度が要求されない場合には、位置規制部は省略してもよい。また、基板支持具に接地等の導電機能が要求されない場合には、基板支持具を樹脂等の絶縁材で形成してもよい。この場合には、基板支持具は固着部を回路基板に対して接着剤により固着すればよい。
【0039】
本発明における支持片は、必ずしも実施形態1,2のような切り起こし形状でなくてもよい。例えば、シャーシに板厚方向の段部が存在する場合には、その段部の縁部に対して基板支持具の係止部を係合させるようにしてもよい。また、シャーシを導電性部材で成型するような場合には、支持片を一体成型した構成であってもよい。さらに、シャーシと基板との間に間隔を確保する必要がない支持構造の場合には、シャーシの縁部に対して基板支持具の係止部を係合させるようにしてもよい。
【0040】
本発明におけるシャーシは、基板を内装するケース、あるいはハウジングと称する筐体として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,1A 基板支持具
2 回路基板
3 シャーシ
11 固着部
12 係止部
13 位置規制部
15 係止片
16 解除片
17 係止爪
21 固着ランド
22 挿通穴
23 窓穴
31 支持片
32 規制穴
33 端縁部
34 側縁部