(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】刈刃交換型刈払機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/416 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
A01D34/416 100
(21)【出願番号】P 2019212028
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319012613
【氏名又は名称】合同会社昊昌林協
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】岩本 孝昭
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-005413(JP,U)
【文献】米国特許第04199926(US,A)
【文献】登録実用新案第3187238(JP,U)
【文献】特開昭52-081250(JP,A)
【文献】特開昭63-267214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/412-34/90
A01D 43/06 -43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するデスク(3)に先端が外周方向に突出する線材状の刈刃(6)の基端部を着脱交換可能に取付けた刈刃交換型刈払機であって、上記デスク(3)と刈刃(6)の基端部側のナット部(11)とボルト部(6a)とを備えた刈刃取付用の取付部(7)を設け、
上記ボルト部(6a)とナット部(11)の
のねじ込み深さを調節することによりデスク外周からの刈刃(6)の突出長さを調節する機構とした刈刃交換型刈払機。
【請求項2】
ボルト部(6a)側にねじ込まれ、ねじ込み深さを任意の位置でロックするロックナット(12)を設けてなる請求項
1に記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項3】
取付部(7)がデスク側に固定的に設けたナット部(11)と刈刃(6)側に上記ナット部(11)にねじ込まれるボルト部(6a)とを備えてなる請求項1
又は2のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項4】
刈刃(6)が所定の弾力性と剛性を備えたスチール製又はプラスチック製又はFRP製である請求項1~
3のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項5】
刈刃(6)を少なくとも4本以上の複数本設けた請求項1~
4のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項6】
刈刃(6)のデスク外周からの突出角が回転方向に傾斜した迎え角(θ)を形成してなる請求項1~
5のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項7】
取付部(7)を覆う平面視円形の保護カバー(13)を設けてなる請求項1~
6のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項8】
デスク(3)の上面に刈刃(6)を収容しデスク中心側から外周側に向う凹溝(9)を形成してなる請求項1~
7のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項9】
デスク(3)の底面に山形に突出しデスク(3)と同心円を形成するリング状のガード部(8)を設けてなる請求項1~
7のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【請求項10】
保護カバー(13)をデスク(3)を回転可能に軸支するギヤボックス(2)側又はデスク(3)側のいずれかに取付けてなる請求項
7~9のいずれかに記載の刈刃交換型刈払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は刈刃交換型の刈刃交換型刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来線状刈刃付の刈刃交換型の刈払機として特許文献1に示すように上部開放型の皿状の回転デスク(円盤)の周壁外周から先端が突出するように複数本の刈刃が各別に且つ取付交換可能に取付けられたものが知られている。
【0003】
また、特許文献2に示すように樹脂製のコード刃をデスクと同心に軸支されたリールに巻付け、その先端を必要長さに応じて繰り出すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3136785号公報
【文献】国際公開2009-37767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記特許文献1の刈払機は、紐状の刈刃を基端部の結び目を係止部としてデスク周壁に外向きに挿通係止しているので、刈刃の差換交換は可能であるが、刈刃先端が摩耗や切断によって短寸になり又は細くなった場合は、すべて新品の刈刃と交換する必要があるほか、交換の都度定寸へのカッティングや結び目形成が必要である。
【0006】
また特許文献2に記載の刈払機は、刈刃が摩耗や切断によって欠損した場合は、リールから必要長さだけ繰り出して欠損を補うことができるものの、刈払部に大きいスペースを取り重量のあるリールを設けているので、刈払機自体の重量が過大になり作業者の負担が大きくなるほか、デスク回転のイナーシャも大きく作業性が悪いという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の刈払機は、第1に、回転するデスク3に先端が外周方向に突出する線材状の刈刃6の基端部を着脱交換可能に取付けた刈刃交換型刈払機であって、上記デスク3と刈刃6の基端部側のナット部11とボルト部6aとを備えた刈刃取付用の取付部7を設け、上記ボルト部6aとナット部11ののねじ込み深さを調節することによりデスク外周からの刈刃6の突出長さを調節する機構としたことを特徴としている。
【0008】
第2に、ボルト部6a側にねじ込まれ、ねじ込み深さを任意の位置でロックするロックナット12を設けてなることを特徴としている。
【0009】
第3に、取付部7がデスク側に固定的に設けたナット部11と刈刃6側に上記ナット部11にねじ込まれるボルト部6aとを備えてなることを特徴としている。
【0010】
第4に、刈刃6が所定の弾力性と剛性を備えたスチール製又はプラスチック製又はFRP製であることを特徴としている。
【0011】
第5に、刈刃6を少なくとも4本以上の複数本設けたことを特徴としている。
【0012】
第6に、刈刃6のデスク外周からの突出角が回転方向に傾斜した迎え角θを形成してなることを特徴としている。
【0013】
第7に、取付部7を覆う平面視円形の保護カバー13を設けてなることを特徴としている。
【0014】
第8に、デスク3の上面に刈刃6を収容しデスク中心側から外周側に向う凹溝9を形成してなることを特徴としている。
【0015】
第9に、デスク3の底面に山形に突出しデスク3と同心円を形成するリング状のガード部8を設けてなることを特徴としている。
【0016】
第10に、保護カバー13をデスク3を回転可能に軸支するギヤボックス2側又はデスク3側のいずれかに取付けてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
以上のように構成される本発明によれば、以下のような効果を奏する。
(1)デスク外周から突出する刈刃の突出長さが摩耗や欠損等によって所要突出量以下になった際に、ボルト部とナット部によるねじ調節によって任意に長さ調節できる利点があり、ロックナットにより当初の長さの設定を含め、突出長さの固定ができる。
【0018】
(2)刈刃は弾力性と剛性を有する線材状なので、デスク回転により確実に草木の刈払を行い、これを4本以上突出させることにより連続的な断ち切りにより太目の草木でも刈払性能を保持し、回転方向に傾斜した迎え角を形成することにより、草木の捕捉性能も向上する。
【0019】
(3)取付部上側の保護カバーにより、デスク回転中のボルト部,ナット部からなる取付部の損傷や摩耗が防止でき、刈刃が放射方向の凹溝内に収容されることによって刈刃の保護ができ、刈払時の刈刃の基端側の支持や姿勢保持が強化される。
【0020】
(4)デスク裏面側にリング状のガード部を設けることにより、デスク回転時に裏面中心のデスク取付用ボルト,ナット等の地面側の障害物への接衝による損傷が防止されるほか、刈刃も地表からリング状ガード部高さだけ浮かされるので、刈刃の保護にもなり、デスク回転もスムースになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明刈払機の回転デスク部の全体斜視図である。
【
図3】(A)は刈刃の取付構造を示す刈刃方向に沿った拡大断面図、(B)は回転デスクの取付部を示す弦方向の拡大断面図である。
【
図4】刈刃のボルト部と刈刃本体の結合部を示す拡大断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態を示すデスク部の断面図である。
【
図6】(A)は第2実施形態刈刃方向に沿った拡大断面図、(B)は回転デスクの取付部を示す弦方向の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1~
図4は本発明実施形態を示し、
図1,
図2に示すヘッド部1は、柄1の先端にギヤボックス2、回転駆動する板金製で円板状のデスク3が、回転軸4に軸支されており、デスク3の上面には無負荷状態では直線状を保つ一定の弾力性と剛性を備えた鋼線(ワイヤ),硬質プラスチック材又はFRP等からなる線材状の多数(本例では16本)の刈刃6が、取付部7を介して且つ先端がデスク周面より突出する状態で斜め放射状に取付けられている。刈刃自体は刈払性能を発揮するため少なくとも4本以上が望ましい。
【0023】
デスク3は図示するように、デスク外周より中心寄りの同心円を形成する下向きの山型断面(上面では湾曲断面の溝)からなるガード部8が形成されるとともに、表面(上面)側には上記ガード部8上の溝に通じる凹溝9が、デスク回転方向に傾斜した迎え角θを形成して凹設形成されている。刈刃6はこの凹溝9内に収容されて設置され、取付部7はこの凹溝9内のリング状のガード部8上の溝の外周側に設置されている。迎え角θを付すことにより、デスク回転時の草木類の捕捉と刈刃切断の性能を高めることができる。
【0024】
取付部7は、凹溝9内に突設されたブロック状又はリブ状のナット部11と、刈刃6の基端部側を構成するボルト部6aとを備え、刈刃6は上記ボルト部6aをナット部11にねじ込むことにより、その先端のデスク外周からの突出長さをねじ操作により調節可能にデスク3に取付けられ、ボルト部6aには、上記刈刃6の取付位置をナット部11との間で固定的にセットするロックナット12がねじ込まれている。
上記ナット部11は、溶接又はスポット溶接等により固着し又はデスク3の板材を打抜いて折り曲げ起立させて形成しても良い。
【0025】
デスク3の上面側には、上記各刈刃6の取付部7を上面から覆い、草や蔓類のデスク側への巻付けを防止するとともに、上記取付部7を保護するための皿状の保護カバー13が設けられ、保護カバー13の中心側には上端のフランジ部14を介してギヤボックス2の下端に着脱可能に取付けられる上向きの円筒状のジョイント部16が設けられている。また保護カバー13の外周下端は、デスク3上の平坦面に摺動可能に接触しても良いし、
図3に示すように、蔓類等を巻込まない程度の僅かなクリアランスを設けても良い。
【0026】
刈刃6は全体を弾力性を備えた線状の鋼材で形成し、その基端部をボルト部6aとして形成することもでき、同様に硬質プラスチック材や炭素繊維強化プラスチック等のFRP製で形成することも可能である。
【0027】
図4は基端部側のボルト部6aを金属製とし、その先端側の中空の筒状部6cに刃部材6bを差込み、かしめ加工又は接着等により一体的に取付けて形成したものを示している。いずれの場合も刃部材6bに相当する部分は無負荷状態では直線状を保ち刈払作業時は刈払抵抗に応じて弾力変形しながら草木の捕捉と切断ができる弾力性を備えており、いずれの場合も刃部材6bの断面は円形断面の他、草木の切断に有利な多角形断面又はその他の異形断面であっても良い。
【0028】
またデスク3は、
図2に示すようにリング状のガード部8を形成することにより、中心部の裏側に皿状の凹部17が形成されており、回転軸4はこの皿状凹部17が形成されている。回転軸4はこの皿状部17の中心にナット締めによってデスク3を取付け固定されている。さらに皿状凹部17(ガード部8の裏面内側)には、中心のデスク3の取付機構を保護する裏面カバー18がねじ込みその他の固定手段により、着脱可能に取付けられている。
【0029】
図5,
図6はこの発明の他の実施形態を示し、この例では保護カバー13が、刈刃6の取付部7を覆うようにデスク3の上面側に固定的に取付けられ、この例ではブロック状のナット部11にスポット溶接等により一体的に取付けられている。
【0030】
したがって図示する例では、ロックナット12をねじ操作するためには、デスク中心側から挿入する筒状のボックススパナ(図示しない)が必要となる。尚、保護カバー13は、ボルト等によりデスク3上に浮上状態で着脱可能に取付けることもできる。このタイプの保護カバーはデスク3と一体回転する機構である。
【0031】
また、
図1~4に示す実施形態のものでは、取付部7の刈刃6の軸線の傾きにより刈刃6がデスク3の水平面に対し外側に向って下向きに取付られている。
図5~6に示す例ではデスク3と同様に水平方向に突出しているが、両者は草木の刈払高さに多少の違いがある。
図5~6に示す実施形態のその他の部分は前述した実施形態のものと共通しており、部材等の符号も共通させて図示している。
【符号の説明】
【0032】
2 ギヤボックス
3 デスク
4 回転軸
6 刈刃
6a ボルト部
7 取付部
8 ガード部
9 凹溝
11 ナット部
12 ロックナット
13 保護カバー
17 皿状凹部
18 裏面カバー