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▶ ユーエスビー アイ, エルエルシーの特許一覧

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  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図1
  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図2
  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図3A
  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図3B
  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図4
  • 特許-複合繊維および繊維を生成する方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】複合繊維および繊維を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 15/12 20060101AFI20220825BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20220825BHJP
   C04B 28/26 20060101ALI20220825BHJP
   C04B 14/38 20060101ALI20220825BHJP
   C04B 14/42 20060101ALI20220825BHJP
   C04B 16/06 20060101ALI20220825BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20220825BHJP
【FI】
B29B15/12
C04B28/02
C04B28/26
C04B14/38 Z
C04B14/38 A
C04B14/42 C
C04B16/06 A
B29K101:10
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019542394
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018016221
(87)【国際公開番号】W WO2018144593
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】15/424,538
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519279225
【氏名又は名称】ユーエスビー アイ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ビランド, オレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン, ロバート ブルース
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-078628(JP,A)
【文献】特開平06-116851(JP,A)
【文献】特開平07-216104(JP,A)
【文献】特開2004-269812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16:
15/08-15/14
C08J 5/04-5/10;
5/24
C04B 28/26
C04B 14/38
C04B 14/42
C04B 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合繊維を生産する方法であって、前記方法は、
複数の纖維ストランドをテクスチャライザを通して垂直に下方に給送することにより、テクスチャ加工された繊維を取得することであって、前記テクスチャ加工された繊維は、前記テクスチャライザによって歪力印加されていない、ことと、
前記テクスチャ加工された繊維を注入デバイスを通して下方に垂直に給送することと、
mPas(ミリパスカル秒)またはそれ未満の粘度で樹脂を前記注入デバイスの中に注入することと、
前記繊維前記注入デバイス内の融解した樹脂の中で束に捻転されるように、捻転点において前記複数の繊維を前記注入デバイスの中で回転させる一方で、前記繊維と前記融解した樹脂との間の任意の捕捉されたガスの少なくとも一部が前記融解した樹脂の表面まで上昇することが可能にされることと、
前記束を引動することによって、前記注入デバイスの底部から前記束を除去することと、
前記束を第1の硬化ステーションの中に引動することであって、成形グリップを通して、前記束を引動することをさらに含み、前記成形グリップは、
(i)前記第1の硬化ステーションから前記束を引動することと、
(ii)前記束に形状を付与することと、
(iii)前記束を引っ張ることなく、前記成形グリップから外に前記束を押動することと
を行うように適合されている、ことと、
前記束を引っ張ることなく、第2の硬化ステーションを通して、前記成形グリップから前記束を押動することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の纖維ストランドを前記テクスチャライザを通して垂直に下方に給送することは、前記複数の繊維2つ以上の粗糸糸巻から2つ以上のテクスチャライザの中に給送することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記第2の硬化ステーションから切断器に前記束を押動し、前記束を規定された長さの断片に切断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の繊維を前記注入デバイスの中で回転させることは、1インチあたり約5巻き~約25巻きの構成を達成するために効果的であるように、前記束を前記デバイスの中で回転させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
樹脂前記注入デバイスの中に注入することは、前記樹脂を樹脂計量混合デバイスに直接接続される粘度安定器を通過させることによって、前記粘度で前記樹脂を前記注入デバイスに供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記束は約10Pas(パスカル秒)の粘度を達成するように、前記第1の硬化ステーション内で部分的に硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記成形グリップは、前記束に波構造を付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記成形グリップは、前記束に矩形波構造を付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記断片は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、アスファルト、または、これらの組み合わせを補強する際に使用される長さに切断される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維は、火成岩繊維、炭素繊維、アラミド、パラアラミドまたはメタアラミド繊維、または、ガラス繊維のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維は火成岩繊維を含み、前記火成岩繊維は、長石、石英、準長石、橄欖石、輝石、角閃石、雲母、および、これらの組み合わせから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維は、玄武岩繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維は、中央値から5%を超えな変動を伴うバッチ内引っ張り強度を呈する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
繊維を生産する方法であって、前記方法は、
複数の繊維をデバイスを通して下方に垂直に給送することであって、前記複数の繊維は、歪がなく、かつテクスチャ加工されている、ことと、
~5mPas(ミリパスカル秒)の粘度で樹脂を前記デバイスの中に注入することと、
前記複数の繊維のすべてが前記デバイス内の融解した樹脂の中で束に捻転されるように、前記複数の繊維を回転させる一方で、前記繊維と前記融解した樹脂との間の任意の捕捉されたガスの少なくとも一部が前記融解した樹脂の表面まで上昇することが可能にされることと、
張力ローラを通して前記束を引動することによって、前記デバイスの底部から前記束を除去することと
前記束を第1の硬化ステーションの中に引動することと、
形グリップを通して、前記束を引動することであって、前記成形グリップは、前記第1の硬化ステーションから前記束を引動し、前記束に形状を付与し、前記束を引っ張ることなく前記成形グリップから外に前記束を押動する、ことと、
前記束を引っ張ることなく、第2の硬化ステーションを通して、前記成形グリップから前記束を押動することと
を含む、方法
【請求項15】
前記方法前記第2の硬化ステーションから切断器に前記束を押動し、前記束を規定された長さの断片に切断するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法
【請求項16】
前記複数の繊維を回転させることは前記1インチあたり約5巻き~約25巻きの構成を達成するために効果的であるように、前記束を前記デバイス内で回転させることをさらに含む、請求項14に記載の方法
【請求項17】
樹脂を前記デバイスの中に注入することは、樹脂計量混合デバイスに直接接続される粘度安定器を通過させることによって、前記粘度で前記樹脂を前記デバイスに供給することをさらに含む、請求項14に記載の方法
【請求項18】
10Pas(パスカル秒)の粘度を達成するように、前記束は、前記第1の硬化ステーション内で部分的に硬化される、請求項14に記載の方法
【請求項19】
前記成形グリップは、前記束に波構造を付与する、請求項14に記載の方法
【請求項20】
前記成形グリップは、前記束に矩形波構造を付与する、請求項14に記載の方法
【請求項21】
前記断片は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、アスファルト、または、これらの組み合わせを補強する際に使用される長さに切断される、請求項14に記載の方法
【請求項22】
前記繊維は、火成岩繊維、炭素繊維、アラミド、パラアラミドまたはメタアラミド繊維、または、ガラス繊維のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法
【請求項23】
前記繊維は火成岩繊維を含み、前記火成岩繊維は、長石、石英、準長石、橄欖石、輝石、角閃石、雲母、および、これらの組み合わせから選択される請求項14に記載の方法
【請求項24】
前記繊維は、玄武岩繊維を含む、請求項14に記載の方法
【請求項25】
前記繊維は、中央値から5%を超えな変動を伴うバッチ内引っ張り強度を呈する、請求項14に記載の方法
【請求項26】
連続プロセスにおいて繊維を処理するための装置であって、前記装置は、
1つ以上のデバイスであって、前記1つ以上のデバイスのそれぞれは、玄武岩繊維の粗糸糸巻をそれぞ保持するためである、1つ以上のデバイスと、
前記1つ以上のデバイスの下方に配置されている回転テーブルと、
前記回転テーブルの下方に配置されている1つ以上のエアフローテクスチャライザと、
前記テクスチャライザの下方に配置されている樹脂注入デバイスと、
前記樹脂注入デバイスと流体連通している樹脂安定器と、
前記樹脂安定器と流体連通している樹脂混合計量デバイスと、
前記樹脂注入デバイスの下方に配置されている張力ローラと、
前記張力ローラの後の第1の硬化トンネルと、
前記第1の硬化トンネルの後の第2の硬化トンネルと、
記第1の硬化トンネルと前記第2の硬化トンネルとの間に配置されている成形グリップであって、前記成形グリップは、前記第1の硬化トンネルから繊維の束を引動し、前記束に形状を付与し、前記束を引っ張ることなく前記束を前記第2の硬化トンネルの中に押動するように適合されてい、成形グリップと、
前記第2の硬化トンネルの後の切断ステーションと
を備え
前記1つ以上のエアフローテクスチャライザおよび前記樹脂注入デバイスは、前記繊維が前記1つ以上のエアフローテクスチャライザおよび前記樹脂注入デバイスを通して垂直に下方に給送されるように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
引抜成形は、一定の断面積を伴う複合材料を製造するための連続プロセスであり、複合繊維の生産において一般的に使用される方法である。ステップが水平に実践される典型的な引抜成形プロセスフロー図が、図2によって表されている。標準的な引抜成形プロセスでは、繊維または編組ストランドのような補強材料が、(1)クリールガイドおよび引張ローラを通して水平に引動され、(2)次いで、繊維ストランドが、樹脂に含浸され、(3)可能性として、別個のプリフォームシステムが続き、加熱された固定ダイを通して引動され、(4)樹脂が、重合される。含浸は、補強材を槽を通して引動することによって、または樹脂を、典型的には、ダイに接続される注入チャンバの中に注入することによってのいずれか一方で行われる。次いで、含浸された繊維は、表面成形ステーションを通して引動され(5)、事前に加熱された硬化チャンバの内側で硬化される(6)。引抜成形された部材の直線状水平移動が、引動機構によって提供される(7)。最終段階では、引抜成形された部材は、切断ステーションにおいて要求される長さに切断される(8)。
【背景技術】
【0002】
いくつかの公知の引抜成形プロセスは、物品を通して長手方向に延在する中空の空洞または複数の空洞を境界する外部構成を有する1つまたはそれを上回るマンドレル上で、かつその周囲に、乾燥の間、繊維マットのリボンを折曲することによって物品が作製される、米国特許第3,895,896号を含む、以下の米国特許において説明されるものを含む。米国特許第4,194,873号は、突出部における、または概して、螺旋状パターンでロッドの外部表面のパターンに共形化する溝を取り囲む、連続的な補強繊維を伴う、その長さに沿った少なくとも1つの溝ならびに/もしくは突出部を含む、引抜成形された繊維補強ロッド様の補強要素を説明する。米国特許第4,289,465号および分割特許米国特許第4,296,060号は、捻転され、引抜成形された繊維補強ロッドが形成される、プロセスを説明する。ロッドを形成するステップでは、繊維は、樹脂でコーティングされ、成形ダイを通して引き込まれ、次いで、少なくとも部分的硬化の後、ロッドが、ロッドを捻転させるように引動するにつれて回転する対向引動表面によって、コータを通して同時に捻転かつ引動される。米国特許第4,938,823号は、ダイを通して第1の外形を引抜成形し、熱可塑性樹脂を第1の外形に適用し、第1の外形に一体的に接合される第2の外形を形成するステップを含む、繊維補強プラスチック物品を製造するための方法を説明する。米国特許第4,752,513号は、引抜成形プロセスにおける使用のための連続的ストランドの樹脂補強複合マットを説明する。引抜成形された部分は、その部分の全体を通して分散されている補強マットおよび粗糸を伴う、マットならびに粗糸の補強物を有することによって特徴付けられる。米国特許第6,800,164号は、マンドレルまたはプラスチック管材コアを使用して、複合材料の中空形状を形成し、外部にねじ山の付いた複合管材を取得することによって形成される、複合補強ロッドを説明する。米国特許第6,893,524号は、少なくとも2つの異なる硬化処置によって硬化されることが可能である樹脂を用いて繊維を湿潤させるステップと、樹脂に第1の硬化処置を受けさせることによって樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップと、樹脂に第2の硬化処置を受けさせることによって樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、方法を説明する。複数の谷部が、補強材の外側に沿って複数の繊維の間に形成されるように、複数の繊維が、相互に隣接して位置する。樹脂は、補強材の外側に谷部を保定するように硬化される。米国特許第8,123,887号は、薄い材料における使用のための配向繊維複合物を作製するための連続的方法を説明する。上記に議論される米国特許第3,895,896号、第4,194,873号、第4,289,465号、第4,296,060号、第4,938,823号、第4,752,513号、第6,800,164号、第6,893,524号、および第8,123,887号はそれぞれ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0003】
これらの参考文献のうちのいずれも、本発明者らによって発見され、本開示の中で対処される問題に対処していない。異なる製造業者からの複合繊維の引張試験が、図1Bに示されるように、同一のバッチ内のものであっても、繊維に関する破断荷重が、2倍を上回って変動し得ることを明らかにした。例えば、同一のバッチからの100個のサンプルの引張試験が、平均ラインの上方および下方に約37%の変動性を伴う、約256.8ksi(1平方インチあたりキロポンド)の繊維の平均引っ張り強度を呈したことが、図1Bにおいて分かり得る。同様に試験された鋼繊維は、本変動性を呈さなかった。玄武岩繊維は、例えば、鋼補強コンクリートに優るある利点を提供するが、従来の方法で生産された複合繊維を用いたコンクリート補強は、複合繊維の引っ張り強度における変動性のため、亀裂がより生じやすくあり得る。
【0004】
引抜成形プロセスの各段階の慎重な研究が、多数のガス微小気泡の発生が、繊維ストランドの樹脂での含浸の段階に生じることを明らかにした。纖維ストランドは、サイジング膜でコーティングされた数千ものフィラメントから構成される。サイジング膜は、当技術分野において周知の用語であり、例えば、フィラメントが形成され、ダイから離れるにつれて適用される、溶射膜として説明されることができる。サイジング膜は、典型的には、シラン等の塗膜形成剤および結合剤を含むが、多くのより複合化学物質もまた、特定の製品のために使用されることができる。サイジング膜の目的は、繊維を保護かつ潤滑させること、および繊維をともに保持することである。走査電子顕微鏡によって得られたフィラメントの画像が、従来の方法で生産された繊維のためのサイジング膜が、無傷ではなく、フィラメントの表面が、非均一かつ異成分から成っていることを示す。ガスの分子は、これらの表面不規則性によって非常に容易に混入され、樹脂槽に添加されると、ストランドの束の中に存在する。繊維束が、樹脂の中に浸漬されるため、ガス分子は、束の内側に捕捉されたままである。加熱、圧搾、硬化等の引抜成形プロセスに典型的なさらなる作用のうちのいずれも、これらのガス気泡を繊維から除去することはできない。樹脂の粘度が高いため、ガス気泡は、その完成形態において、引抜成形された部材の中に留まる。これらの捕捉されたガス気泡は、引抜成形された部材の機械的強度の脆弱化をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3,895,896号明細書
【文献】米国特許第4,194,873号明細書
【文献】米国特許第4,289,465号明細書
【文献】米国特許第4,296,060号明細書
【文献】米国特許第4,938,823号明細書
【文献】米国特許第4,752,513号明細書
【文献】米国特許第6,800,164号明細書
【文献】米国特許第8,123,887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、捕捉されたガス気泡または微小気泡の形態の不規則性を伴わない、均一な複合繊維の連続的生産を可能にする、システムおよび方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本開示は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、アスファルト等の種々の建築または産業材料の構造的補強のための複合繊維の分野に関する。現在、鉱物またはガラス繊維(特に、繊維ガラスおよび玄武岩繊維)ならびに熱硬化性樹脂から作製される複合繊維は、建築市場においてますます多くの人気を博している。これらの繊維は、比較的に安価であり、良好な機械的特性を有し、非腐食性であり、鋼より軽量であり、より長寿命を有し得、より容易に切断かつ適用される。そのような複合繊維が、一般的に使用されるポリプロピレン繊維に疑いもなく匹敵するという事実にもかかわらず、それらは、依然として、それらのより脆弱な構造的性質に起因して、鋼繊維に完全に取って代わることはできない。問題は、同一の処理バッチからの繊維であっても、複合繊維が、補強コンクリートまたはそれらの繊維を含有する他の材料の構造的特性に負の影響を及ぼす、非常に変動し得る機械的性質を呈することである。本発明者らによって試験された複合繊維の形状、サイズ、テクスチャ、および相分布の走査型電子顕微鏡検査が、図1Aに示されるような固化された樹脂の内側のフィラメントの間の多数の非均一に分散されたガス微小気泡を明らかにした。さらに、微小気泡は、複合繊維内に応力点を引き起こし、微小気泡の最大蓄積の場所においてそれらを破断させる。そのうえ、フィラメントの剥脱およびそれらの樹脂への不十分な接着が、破断の場所で明確に視認可能である。本開示は、複合構造補強繊維を製造のプロセスの間、ガス気泡がない状態に保つ方法および装置を提供することによって、本問題に対処する。
【0008】
したがって、本開示は、ある実施形態では、短い長さに切断され、例えば、構造的補強材としてコンクリート等の材料の中にブレンドされるために好適である、複合繊維を生産する方法として説明されることができる。繊維は、無機であり、および/または限定ではないが、長石、石英、準長石、橄欖石、輝石、角閃石、ならびに雲母、もしくはそれらの組み合わせのうちの任意のものの混合物等の火成岩等の種々の材料から構成されることができ、ある実施形態では、繊維は、玄武岩、炭素繊維、Kevlar(登録商標)、Nomex(登録商標)、および関連製品において使用されるもの等のアラミド、パラアラミド、またはメタアラミド繊維、もしくはガラス繊維、またはそれらのうちの任意のものの組み合わせのうちの任意のものから構成されることができる。ある実施形態では、繊維は、繊維が2016年6月16日に出願された、同時係属中の米国仮出願第62350832号(あらゆる目的のために、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)において説明されるように生産される玄武岩を含む、火成岩の融解物である。
【0009】
ある実施形態では、本方法は、ストランドの個々のフィラメントを分離するために、繊維がともに粘着しないように阻止するに効果的であるように、纖維ストランドをテクスチャライザを通して垂直に下方に給送するステップであって、テクスチャ加工された繊維には歪みがない、ステップを含む。歪のないテクスチャ加工された繊維は、次いで、樹脂含浸デバイスを通して垂直に下方に給送され、本デバイスは、樹脂含浸、脱気、および張力デバイスとして機能する。ポリエステル、ポリウレタン、ビニルエステル、およびエポキシを含む多くの樹脂タイプが、引抜成形において使用されてもよい。樹脂は、耐環境性(すなわち、耐腐食性、UV抵抗、衝撃抵抗等)を提供し、ガラスまたは複合物は、強度を提供する。
【0010】
ある実施形態では、樹脂は、例えば、5mPaSまたはそれ未満、もしくは約1、2、3、4、または5mPaSの粘度でデバイスの中に注入され、全ての繊維を捻転点が本デバイス内の樹脂のレベルを下回る単一の束に捻転させるに効果的であるように、複数の繊維が、回転され、任意の捕捉されたガスの少なくとも一部が樹脂の表面まで上昇することを可能にする。束は、1インチあたり約1~約50プライ(plies)、または1インチあたり約3~約35プライ、もしくは1インチあたり約5~約25プライの構成を達成するに効果的であるように、本デバイス内で回転され、任意の捕捉されたガスをさらに放出させ、放出されたガスが樹脂の表面まで上昇することを可能にするに効果的であるように、本デバイスの内側の圧搾ローラを用いて圧搾されることができる。ある実施形態では、束にされた繊維が、張力ローラを通してデバイスの底部から引動され、第1の硬化ステーションの中に引動され、部分的に硬化された束を取得する。束は、次いで、第1の硬化ステーションから束を引動し、束に形状を付与し、張力を伴わず、成形グリップから外に束を押動する成形グリップを通して引動されることができる。本明細書に説明されるような成形グリップは、3つの機能としての役割を果たすが、代替実施形態は、それぞれが単一の機能または成形グリップに関して説明される機能のうちの2つを提供する、2つもしくはさらに3つのデバイスを含み得ることを理解されたい。束は、次いで、束を引っ張ることなく、第2の硬化ステーションを通して、成形グリップから押動されることができる。
【0011】
束が、第2の硬化ステーションから切断器の中に押動され、束が、規定された長さの断片に切断されていることは、本開示のさらなる実施形態である。規定された長さは、繊維の意図された使用のために適切な任意の長さであり得る。適切な長さは、意図された使用に応じて変動するであろうが、コンクリート補強に関して、例えば、束にされた繊維は、約1インチ~約5インチ、または約2インチ~約4インチ、約1、約2、約3、約4、もしくは約5インチの長さに切断されることができる。用語「約」の使用は、束にされた繊維の切断の長さが、ある実施形態では、10~20%、例えば、10%の範囲内で変動しながら、依然として、所望の構造的補強性質を達成し得ることを伝達することを意図する。
【0012】
ある実施形態では、樹脂は、樹脂を樹脂計量混合デバイスに直接接続される粘度安定器を通過させることによって、要求される粘度で含浸デバイスに供給され、樹脂含浸デバイスの中に給送される。樹脂は、当技術分野において公知である任意の好適な樹脂であり得、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であり得る。ある実施形態では、樹脂は、ポリエステル、ポリウレタン、ビニルエステル、またはエポキシ樹脂である。ある実施形態では、束は、第1の硬化ステーション内の中に引動され、約10PaSの粘度を達成するように部分的に硬化されることができる。成形グリップが、束に形状をインプリントまたは付与し、その形状が、波パターンであり得、S曲線波パターンもしくは矩形波パターンであり得ることは、本開示のさらなる側面である。パターンはまた、当技術分野におけるものに生じるであろう角波または他のパターンであり得る。
【0013】
本開示に従って生産された複合繊維が、好ましくは、玄武岩繊維を含み、実質的に全て玄武岩繊維であり、30%未満、または20%もしくはそれ未満、または10%もしくはそれ未満、または5%もしくはそれ未満、またはわずか2%、3%、もしくは4%の変動率を伴うバッチ内引っ張り強度を呈し、ある実施形態では、約419ksiの平均引っ張り強度を呈し得ることは、本開示のある側面である。当然ながら、例示的引っ張り強度は、コンクリート補強のために有用である物質を示すが、引っ張り強度が、その主要因が、引抜成形プロセスにおけるステップのうちの任意のものに加え、繊維それ自体のための出発材料の組成である、多くの要因に依存するであろうことを理解されたい。引っ張り強度は、したがって、繊維の意図された使用に従って調節されることができる。
【0014】
ある実施形態では、断片は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、またはアスファルトを補強することにおける使用のための長さに切断される。
【0015】
本開示のある側面はまた、開示されるプロセスによって作製される複合繊維を含み、それらの繊維は、限定ではないが、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、またはアスファルトを含む種々の材料おける補強のために、ある規定された長さに切断され、開示される複合繊維で補強されるそのような材料をさらに含むことができる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
複合繊維を生産する方法であって、
複数の纖維ストランドをテクスチャライザを通して垂直に下方に給送し、テクスチャ加工された繊維を取得するステップであって、前記テクスチャ加工された繊維には歪みがない、ステップと、
前記テクスチャ加工された繊維を注入デバイスを通して下方に垂直に給送するステップと、
樹脂を5mPa Sまたはそれ未満の粘度で前記注入デバイスの中に注入するステップと、
前記繊維を捻転点が前記注入デバイス内の樹脂のレベルを下回る束に捻転させるに効果的であるように、前記複数の繊維を前記注入デバイスの中で回転させながら、任意の捕捉されたガスの少なくとも一部が前記樹脂の表面まで上昇することを可能にするステップと、
任意の捕捉されたガスを前記樹脂の表面まで上昇させるようにさらに放出させるために効果的であるように、前記捻転された束を前記注入デバイスの内側の圧搾ローラを用いて圧搾するステップと、
前記束を引動することによって、前記デバイスの底部から前記束を除去するステップと、
前記束を第1の硬化ステーションの中に引動するステップと、
成形グリップを通して、前記束を引動するステップであって、前記成形グリップは、
(i)前記第1の硬化ステーションから前記束を引動し、
(ii)前記束に形状を付与し、
(iii)張力を伴わず、前記成形グリップから外に前記束を押動する、
ように適合される、ステップと、
前記束を引っ張ることなく、第2の硬化ステーションを通して、前記成形グリップから前記束を押動するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記複数の繊維は、2つまたはそれを上回る粗糸糸巻から2つまたはそれを上回るテクスチャライザの中に給送される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第2の硬化ステーションから切断器に前記束を押動し、前記束を規定された長さの断片に切断するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記束は、1インチあたり約5~約25プライの構成を達成するに効果的であるように、前記デバイス内で回転される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記樹脂は、前記樹脂を樹脂計量混合デバイスに直接接続される粘度安定器を通過させることによって、要求される粘度で前記デバイスに供給される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記束は、前記第1の硬化ステーション内で部分的に硬化され、約10 Pa Sの粘度を達成する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記成形グリップは、前記束に波構造を付与する、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記成形グリップは、前記束に矩形波構造を付与する、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記断片は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、アスファルト、またはそれらの組み合わせを補強することにおける使用のための長さに切断される、項目3に記載の方法。
(項目10)
前記繊維は、火成岩繊維、炭素繊維、アラミド、パラアラミドまたはメタアラミド繊維、もしくはガラス繊維を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記繊維は、長石、石英、準長石、橄欖石、輝石、角閃石、雲母、およびそれらの組み合わせから選択される、火成岩繊維を含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記繊維は、玄武岩繊維を含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記繊維は、中央値から5%を超えないの変動を伴うバッチ内引っ張り強度を呈する、項目1に記載の方法。
(項目13)
項目1に記載の方法によって作製される、複合繊維。
(項目14)
項目3に記載の方法によって作製される、複合繊維。
(項目15)
項目9に記載の方法によって作製される、複合繊維。
(項目16)
項目16に記載の複合繊維を含有する、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、またはアスファルト。
(項目17)
繊維であって、
複数の歪のないテクスチャ加工された繊維をデバイスを通して下方に垂直に給送するステップと、
樹脂を1~5mPa Sの粘度で前記デバイスの中に注入するステップと、
全ての前記繊維を前記捻転点が前記注入デバイス内の樹脂のレベルを下回る束に捻転させるに効果的であるように、前記複数の繊維を回転させながら、任意の捕捉されたガスの少なくとも一部が前記樹脂の表面まで上昇することを可能にするステップと、
任意の捕捉されたガスを前記樹脂の表面まで上昇させるようにさらに放出させるために効果的であるように、前記束を前記デバイスの内側の圧搾ローラを用いて圧搾するステップと、
張力ローラを通して前記束を引動することによって、前記デバイスの底部から前記束を除去するステップと
前記束を第1の硬化ステーションの中に引動するステップと、
前記第1の硬化ステーションから前記束を引動し、前記束に形状を付与し、張力を伴わず、前記成形グリップから外に前記束を押動する成形グリップを通して、前記束を引動するステップと、
前記束を引っ張ることなく、第2の硬化ステーションを通して、前記成形グリップから前記束を押動するステップと、
を含む、プロセスによって生産される、繊維。
(項目18)
前記方法はさらに、前記第2の硬化ステーションから切断器に前記束を押動し、前記束を規定された長さの断片に切断するステップを含む、項目17に記載の繊維。
(項目19)
前記方法はさらに、前記1インチあたり約5~約25プライの構成を達成するに効果的であるように、前記束を前記デバイス内で回転させるステップを含む、項目17に記載の繊維。
(項目20)
前記樹脂は、樹脂計量混合デバイスに直接接続される粘度安定器を通過されることによって、要求される粘度で前記デバイスに供給される、項目17に記載の繊維。
(項目21)
前記束は、前記第1の硬化ステーション内で部分的に硬化され、約10 Pa Sの粘度を達成する、項目17に記載の繊維。
(項目22)
前記成形グリップは、前記束に波構造を付与する、項目17に記載の繊維。
(項目23)
前記成形グリップは、前記束に矩形波構造を付与する、項目17に記載の繊維。
(項目24)
前記断片は、コンクリート、モルタル、土壌安定化ポリマー、ジオポリマー、アスファルト、またはそれらの組み合わせを補強することにおける使用のための長さに切断される、項目17に記載の繊維。
(項目25)
前記繊維は、火成岩繊維、炭素繊維、アラミド、パラアラミドまたはメタアラミド繊維、もしくはガラス繊維を含む、項目17に記載の繊維。
(項目26)
前記繊維は、長石、石英、準長石、橄欖石、輝石、角閃石、雲母、およびそれらの組み合わせから選択される、火成岩繊維を含む、項目17に記載の繊維。
(項目27)
前記繊維は、玄武岩繊維を含む、項目17に記載の繊維。
(項目28)
前記繊維は、5%を超えないの変動を伴うバッチ内引っ張り強度を呈する、項目17に記載の繊維。
(項目29)
連続プロセスにおいて繊維を処理するための装置であって、
玄武岩繊維の粗糸糸巻を保持するための、1つまたはそれを上回るデバイスと、
玄武岩の粗糸糸巻を保持するための前記1つまたはそれを上回るデバイスの下方に配置される、回転テーブルと、
前記回転テーブルの下方に配置される、1つまたはそれを上回るエアフローテクスチャライザと、
前記テクスチャライザの下方に配置される、樹脂注入デバイスと、
前記樹脂注入デバイスと流体連通する、樹脂安定器と、
前記樹脂安定器と流体連通する、樹脂混合計量デバイスと、
前記樹脂注入デバイスの下方に配置される、張力ローラと、
前記張力ローラの下流にある、第1の硬化トンネルと、
前記第1の硬化トンネルの下流にある、第2の硬化トンネルと、
前記第1の硬化ステーションから繊維の束を引動し、前記束に形状を付与し、前記束を引っ張ることなく、前記束を前記第2の硬化ステーションの中に押動するように適合される、前記第1の硬化トンネルと前記第2の硬化トンネルとの間に配置される、成形グリップと、
前記第2の硬化トンネルの下流にある、切断ステーションと、
を備える、装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1Aは、繊維中の微小気泡に起因する、従来の方法で引抜成形された繊維補強製品の脆弱化および破断の図である。図1Bは、単一のバッチから従来の方法で引抜成形された玄武岩繊維の10個のサンプルの引っ張り強度のグラフである。
【0017】
図2図2は、全てのステップが水平配向において実践される、従来の引抜成形プロセスのフロー図である。
【0018】
図3A図3Aは、本開示による、引抜成形プロセスのある実施形態のフロー図である。
【0019】
図3B図3Bは、本開示による、第2の引抜成形プロセスのある実施形態のフロー図である。
【0020】
図4図4は、本開示による、装置のある実施形態の略図である。
【0021】
図5図5は、本開示による、単一のバッチから引抜成形された玄武岩繊維の100個のサンプルの引っ張り強度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本開示の実施形態の実践のためのプロセスフロー図が、図3Aおよび3Bに示される。本プロセスは、これが、一定の断面積を伴う複合物を製造するための連続プロセスである点において従来の引抜成形に類似するが、本プロセスは、改良され、従来の方法で生産された繊維と比較して、増加された構造的強度および一貫性を伴う繊維を生産するために効果的である。開示される方法および装置における少なくとも1つの差異は、従来の引抜成形プロセスならびに機械が、完全に水平である一方、開示される改良は、少なくとも部分的に、本プロセスの少なくとも一部を垂直に配向するステップを含む、ガス気泡問題への解決策を含むことである。本開示の別の側面は、樹脂粘度および繊維張力が、精密に制御され得ることである。
【0023】
図3Aは、新規のプロセスのある実施形態を図示する。第1のステップとして、(好ましくは、内部の解巻を伴う)粗糸糸巻からの繊維ストランドが、ストランドの個々のフィラメントを分離し、それらがともに粘着しないように防止するテクスチャライザを通して、垂直に下方に給送される。図3Aに示されるように、本プロセスは、典型的には、2つまたはそれを上回る粗糸糸巻およびテクスチャライザを含むことができる。用語「垂直」は、水平平面に対する絶対的垂直である状態からのある変動を含み得るが、纖維ストランドは、実質的に垂直の角度およびフィラメントから捕捉された微小気泡を放出し、ガスが樹脂の表面まで上昇することを可能にするために効果的である、ある角度でテクスチャ加工され、かつ樹脂でコーティングされることを理解されたい。図3Aに示されるような本プロセスのレベルAにおいて、テクスチャ加工されたストランドは、張力がない(歪のない)状態である。
【0024】
図3AのレベルBとして示される次の段階において、2つまたはそれを上回るテクスチャ加工された纖維ストランドが、「樹脂含浸/ガス除去/張力調節」デバイスを通して下方に給送される。樹脂注入器が、樹脂を本デバイスの中に注入し、テクスチャ加工された繊維を計量混合機器によって事前に調製された樹脂で浸潤させる。樹脂含浸デバイス(点「C」)の中に注入された樹脂の粘度は、5mPaSを超過しない。要求される粘度は、樹脂計量混合デバイスに直接接続された粘度安定器によって提供される。
【0025】
本プロセスの間、任意の以前に捕捉されたガスが、自然に表面化する。全ての「粗糸糸巻/テクスチャライザ」の対が、軸Yの周囲で回転され、全てのストランドを単一の束に捻転させる。捻転点は、本デバイスの内側の樹脂レベルの下方にある。回転は、1インチあたり5~25プライを提供するように選定されることができる。本配列は、最終製品の構造的強度を改善し、「繊維/樹脂」接合からのガス除去を改善する。
【0026】
完全な浸潤、ガス除去、および捻転の後、束は、束が硬化ステーションに進行する前に余分な樹脂を除去する、張力ローラを通して引動される。これらのローラは、「樹脂含浸/ガス除去デバイス」の内側の無歪み繊維と引動デバイスとの間の張力緩衝部として機能する。ある実施形態では、樹脂含浸デバイスの下流にあるローラは、束がより少ない応力下にあるように適合される成形グリップによって提供される力に加え、ある引動力を提供することができる。図3Aの「B」として示されるレベルにおいて、ストランドの束は、捻転され、樹脂に含浸され、ガスがなく、歪力が印加され、未硬化の状態である。
【0027】
束は、その後、硬化ステーション1を通して引動される。硬化ステーションは、主に、例えば、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂に関して適切である、熱硬化ステーションとして本明細書に説明されることを理解されたい。しかしながら、ある実施形態では、熱硬化性樹脂が、使用され得、冷却硬化ステーションを要求するであろうことを理解されたい。図3Aの「D」として示される点において、樹脂は、部分的に硬化され、約10PaSの粘度を有する。束は、次いで、「引動/成形/押動」の3つの機能を提供する、成形グリップを通過する。本プロセスは、束が成形グリップから押動され、束が成形区域から離れた後、張力を存在させず、束の所望される形状が歪曲されないことを確実にするように、適合されることができる。成形区域の後、束は、硬化ステーション2を通して押動される。第2の硬化ステップの終了時、成形された束は、完全に重合され、凝固され、不規則性がない状態になり、かつ成形される。束は、次いで、連続的な複合繊維を要求される長さの片に切断する切断機の中に押動されることができる。図3Bに示される本プロセスは、束が、第1の硬化、成形、第2の硬化、および切断のステップのために水平位置に巻かれる点において、図3Aにおけるものと異なる。
(装置)
【0028】
複合構造補強繊維を作製するための装置のある実施形態が、図4に提示されている。本装置は、回転テーブル(180)上に位置する、2つの内部解巻繊維粗糸ボビン(10)を含む。2つの圧縮されたエアブローテクスチャライザ(20)が、テーブル(180)の下に取り付けられる。本構成では、繊維は、エア噴射テクスチャライザデバイス(20)を通して下向きに、かつ内側の圧搾ローラを用いて樹脂含浸器(40)の中に給送される。樹脂は、樹脂粘度安定器(50)を伴う樹脂注入器の中に給送する、樹脂計量混合デバイス(80)の中で調製される。繊維束張力ローラ(70)が、「樹脂含浸/ガス除去デバイス」(40)の内側の無歪み繊維と引動デバイス(110)との間の張力緩衝部として機能するように適合される。束は、第1のトンネル硬化ステーション(90)の中に、成形引動/押動歯車(110)を通して、第2のトンネル硬化ステーション(120)を通して、支持ローラ(130)にわたって、および切断器(150)の中に引動され、規定された長さの繊維(160)が、切断され、バンカ(170)の中に落下される。
【0029】
図4では、点(30)に示されるような繊維は、テクスチャ加工され、未浸潤の、張力がない状態の繊維ストランドである。点(60)において、繊維は、樹脂で浸潤され、ガスがない、捻転された、未硬化の状態の束である。点(10)において、束は、半分硬化された、未成形状態の連続複合繊維である。点(140)において、束は、完全に硬化され、成形された状態の、ガスがない、連続繊維である。部分(160)は、適当な長さに切断された複合構造補強繊維である、最終製品である。
(結果)
【0030】
本開示に従って作製された複合繊維の引張試験が、同一のバッチからの100個のサンプルが、図5に示されるような平均ラインの上方および下方に約5%の変動性を伴う、約419.18ksiの平均引っ張り強度を有することを示した。本結果は、従来の引抜成形を用いて作製された繊維に優る、ほぼ60%の改善である(図1Bと比較)。開示されるプロセスに従って作製された複合繊維の形状、サイズ、テクスチャ、および相分布の研究が、固化された樹脂の内側のフィラメントの間に殆どガス微小気泡が存在しないことを示している。
【0031】
開示されたプロセス(1立方メートルのコンクリートあたり12ポンドの繊維の混合比率)によって生産された繊維を用いて補強されたコンクリートスラブ(標準的な4,50psiコンクリート)の平均残留強度は、3,176psiであり、これは、従来の方法で生産された繊維より約50%良好である。繊維補強物を伴わない同一のタイプのスラブの平均曲げ強度は、2,740psiである。
【0032】
本明細書に開示かつ請求される装置、構成要素、および方法の全ては、本開示に照らして不要な実験をすることなく、作製かつ使用されることができる。本発明の装置、構成要素、および方法は、好ましい実施形態の観点から説明されているが、変形例もまた、本発明の概念、精神、ならびに範囲から逸脱することなく、本明細書に説明される構成または構成要素に適用され得ることが、当業者に明白となるであろう。当業者に明白であるそのような類似する代用物および修正は全て、添付の請求項によって定義されるような本開示の精神、範囲、ならびに概念内のものであると見なされる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5