(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】改善されたIL-12遺伝子構築物を含む組成物、及びそれを用いたワクチン、免疫治療剤及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/711 20060101AFI20220825BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20220825BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220825BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/085 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/135 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/29 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/275 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20220825BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20220825BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20220825BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220825BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20220825BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20220825BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220825BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220825BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220825BHJP
A61K 38/20 20060101ALN20220825BHJP
【FI】
A61K31/711 ZNA
C12N15/24
A61K48/00
A61P43/00 111
A61K39/21
A61K39/245
A61K39/085
A61K39/135
A61K39/145
A61K39/29
A61K39/275
A61K39/155
A61P33/06
A61P31/16
A61P31/18
A61P31/20
A61P31/22
A61K45/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K39/00 H
A61K38/20
(21)【出願番号】P 2020198052
(22)【出願日】2020-11-30
(62)【分割の表示】P 2018084090の分割
【原出願日】2012-12-11
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2011-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ピー モロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤン
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6803354(JP,B2)
【文献】国際公開第2007/084364(WO,A2)
【文献】特表2001-503258(JP,A)
【文献】特表2002-506647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 38/00-38/58
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子を含む組成物であって、前記核酸分子が、(a)IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列であって、前記機能的断片が、IL-12p35シグナルペプチドを欠いているIL-12p35サブユニットを含む、核酸配列と(b)IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列であって、前記機能的断片が、IL-12p40シグナルペプチドを欠いているIL-12p40サブユニットを含む、核酸配列を含み、
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、且つ配列番号2に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードするか、又は配列番号1に対して少なくとも90%相同である核酸配列の機能的断片であり、且つ配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし;
IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、且つ配列番号4に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードするか、又は配列番号3に対して少なくとも90%相同である核酸配列の機能的断片であり、且つ配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする組成物。
【請求項2】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードすることを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードすることを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4をコードすることを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードすること、及び
前記IL-12p40サブユニットをコードする核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードすることを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4をコードすることを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
電気穿孔法を用いた個体への送達のために製剤化される、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニットをコードする核酸配列とは異なる核酸分子に存在する、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列がプラスミドに存在し、IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が異なるプラスミドに存在する、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一の核酸分子に存在する、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一のプラスミドに存在する、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一の核酸分子に存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一のプラスミドに存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列がウイルス粒子に組み込まれる、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
IL-15及びIL-28から成る群から選択される1以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む、請求項2~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
(a)配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び(b)配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
(a)配列番号2の機能的断片をコードする配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)配列番号4の機能的断片をコードする配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項23】
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドのコーディング配列を含まない配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドのコーディング配列を含まない配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項24】
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項26】
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードする配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードする配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項27】
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードし、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードし、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードし、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号1
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片及び(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードし、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号3
に対して少なくとも90%相同である核酸の断片を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まない核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まない核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項30】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、シグナルペプチドをコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、シグナルペプチドをコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
(a)配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、配列番号5をコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び(b)配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、配列番号5をコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列とは異なる核酸分子に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列とは異なるプラスミドに存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列と同一の核酸分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列と同一のプラスミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列及びIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、同一プラスミド上に存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列及びIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、ウイルス粒子に組み込まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
IL-15及びIL-28から成る群から選択される1以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
個体にて免疫応答を誘導するための請求項1に記載の組成物であって、前記組成物は、個体にて免疫応答を誘導するのに有効な量で、免疫原をコードする核酸配列との併用で個体に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項42】
前記組成物が免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
免疫応答が治療的である、請求項41又は42に記載の組成物。
【請求項44】
免疫応答が予防的である、請求項41又は42に記載の組成物。
【請求項45】
核酸分子であって、
IL-12p35サブユニットをコードする核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも90%相同である核酸配列の断片である核酸配列であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする、IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列であって、前記機能的断片が、IL-12p35シグナルペプチドを欠いているIL-12p35サブユニットを含む、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットをコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも90%相同である核酸配列の断片である核酸配列であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列であって、前記機能的断片が、IL-12p40シグナルペプチドを欠いているIL-12p40サブユニットを含む、核酸配列を含む核酸分子。
【請求項46】
配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項47】
配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項48】
配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列及び配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4をコードする、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項49】
配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項50】
配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列及び配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4をコードする核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項51】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも90%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項52】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項53】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも90%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも90%相同であり、配列番号4をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項54】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも93%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項55】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも93%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも93%相同であり、配列番号4をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項56】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列がシグナルペプチドをコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列がシグナルペプチドをコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列を含む、請求項45に記載の核酸分子。
【請求項57】
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号5をコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列、及びIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号5をコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列を含む、請求項5
6に記載の核酸分子。
【請求項58】
電気穿孔法を用いて個体に送達するために製剤化される、請求項45~5
7のいずれかに記載の核酸分子。
【請求項59】
前記核酸分子がプラスミドに組み込まれる、請求項45~5
7のいずれかに記載の核酸分子。
【請求項60】
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項45~5
7のいずれかに記載の核酸分子。
【請求項61】
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、請求項45~5
7のいずれかに記載の核酸分子。
【請求項62】
前記核酸分子がウイルス粒子に組み込まれる、請求項45~5
7のいずれかに記載の核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトIL-12をコードする改善された遺伝子構築物及びそれを含む核酸分子に関する。本発明はまた、ヒトIL-12をコードするヌクレオチド配列を含む改善された発現ベクター、ワクチン及び免疫治療剤及び、それを用いる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、望ましい治療効果を付与するようにヒトの免疫応答を調節することを指す。免疫治療剤は、個体に投与すると、望ましい免疫応答を高めることによって、望ましくない免疫応答に関連する症状を最終的に減らすのに十分な又は最終的に症状を緩和するのに十分な個体の免疫系を調節する組成物を指す。場合によっては、免疫療法は、免疫原に個体を暴露するワクチンを個体に投与するワクチン接種プロトコールであって、個体がそのような場合免疫原に対して免疫応答を生成する、ワクチン接種プロトコールの一部であり、免疫治療剤は、免疫応答を高め、及び/又は特定の状態、感染又は疾患を治療する又は予防するのに望ましい免疫応答(たとえば、細胞性又は液性の)の一部を選択的に向上させる。
【0003】
ワクチンを設計することにおいて、ワクチン接種された個体の細胞にて標的抗原を生成するワクチンは免疫系の細胞性応答を誘導するのに有効であることが認識されている。具体的には、生の弱毒化ワクチン、無毒のベクターを使用する組換えワクチン及びDNAワクチンはそれぞれ、ワクチン接種された個体の細胞にて抗原の生成をもたらし、これは免疫系の細胞性応答を誘導することとなる。一方、タンパク質しか含まない、殺された又は不活化されたワクチン及びサブユニットワクチンは、有効な液性応答を誘導するが、良好な細胞性の免疫応答を誘導しない。
【0004】
細胞性の免疫応答は、病原体感染に対する防御を提供するのに、及び病原体感染、癌又は自己免疫疾患を治療するための有効な免疫介在療法を提供するのに必要であることが多い。従って、たとえば、生の弱毒化ワクチン、無毒のベクターを使用する組換えワクチン及びDNAワクチンのような、ワクチン接種された個体の細胞にて標的抗原を生成するワクチンが好まれることが多い。
【0005】
ヒトにおいて強力なT細胞及びB細胞の免疫を誘導することができるワクチン手法に対するニーズがある。数多くの他の課題の中でHIVのSTEP試験で見られたような弱毒化、ワクチン製造の煩雑さ、血清学的な妨害に関する最近の懸念は、この重要な課題を強調するのに役立っている。非ヒト霊長類モデル及びヒトの臨床試験にて、ワクチン基盤としての単純なプラスミドDNAは、支援すべき商業的な開発尽力のために満足のいくレベルの免疫原性を誘導していない。付き合わせた比較では、一部のネイキッドプラスミド系のワクチンは、汎用されているアデノウイルス血清型5(Ad5)の基盤を含む対応するウイルスベクターによって誘導されたものに匹敵する細胞性応答又は液性応答のどちらも誘導しなかった。
【0006】
ワクチン接種の単独型法としてのDNAワクチン技術の開発と同様に現在のプライム・ブースト基盤でのその有用性は、その免疫潜在力を高める戦略の開発によって利益を得る。コドン及びRNAをコードする配列の操作並びにリーダー配列の変化はプラスミドにコードされた免疫原の発現を高めることが報告されている。加えて、コンセンサス免疫原を創ることが、ウイルス多様性の一部を構成する広い免疫的な適用範囲についてのニーズに対処するような試みとなる。
【0007】
加えて、製剤及び装置を動かす技法を改善することによってDNAプラスミドの物理的な送達を改善することに着目した他の戦略が採用されている。電気穿孔法(EP)によって送達されるDNAワクチンは、アカゲザルにおいてプラスミドDNAの免疫に続く抗原特異的なインターフェロンγ(IFNγ)の産生を高めることが報告されている。
【0008】
ワクチンが誘導する応答を増強するためのプラスミドがコードする分子アジュバントの同時送達はこの特定の研究の別の重要な領域である。非ヒト霊長類における最も良く性状分析された分子アジュバントの1つは、ネイティブCD8+T細胞の効率的な活性化と抗原特異的な増殖に必要とされる「第3のシグナル」を提供することによってCTL応答を駆動するTH1分極化サイトカインである、IL-12である。IL-12は2つのサブユニット、p35及びp40を含有するヘテロ二量体である。それは、DNAワクチンとして操作されると、特にCD8T細胞を駆動することについて最も優れた免疫増強サイトカインであることが示されている。マカクでは、IL-12は、複数の抗原を標的とするDNAワクチンの細胞性免疫力を拡大するための極めて強力であるアジュバントであることが示されている。ヒトと同様にサルにおいても、そのようなDNAワクチンアジュバントは、DNAワクチンによって誘導される免疫応答を有意に改善することができる。
【0009】
参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,723,127号(特許文献1)はワクチンアジュバントとしてのIL-12を開示している。参照によって本明細書に組み込まれるPCT出願番号PCT/US1997/019502号及び対応する米国特許出願第08/956,865号は、IL-12のコーディング配列を含むDNAワクチン及びDNA構築物を開示している。
改善されたワクチン及び免疫療法剤に対するニーズが残っている。増強された免疫応答を生じる組成物及び方法に対するニーズがある。同様に、一部の免疫療法剤が患者における免疫応答を調節するのに有用である一方で、改善された免疫療法用の組成物及び方法に対するニーズが残っている。IL-12をコードし、DNAワクチン戦略の一部として使用することができる改善された構築物に対するニーズが残っている。IL-12をコードし、免疫療法剤として使用することができる改善された構築物に対するニーズが残っている。IL-12をコードし、高レベルのIL-12の発現を達成するのに使用することができる改善された構築物に対するニーズが残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列とIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列を含む組成物が提供される。IL-12p35サブユニットをコードする核酸配列は、配列番号1に対して少なくとも98%相同であってもよく、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし得る。IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列は配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片であってもよく、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし得る。IL-12p40サブユニットをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも98%相同であってもよく、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし得る。IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列は配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片であってもよく、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし得る。組成物は免疫原をコードする核酸配列をさらに含み得る。
【0012】
免疫応答を調節する方法も提供される。方法は、IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列とIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列を含む組成物を個体に投与するステップを含む。
【0013】
免疫原に対して免疫応答を誘導する方法も提供される。方法は、ある量の免疫原をコードする核酸配列との併用でIL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列とIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列を含む組成物を個体に投与するステップを含む。免疫原に対して免疫応答を誘導する方法は、治療的免疫応答を誘導する方法又は予防的免疫応答を誘導する方法の一部であり得る。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
(a)IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列と(b)IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列を含む組成物であって、
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、且つ配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、又は配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の機能的断片をコードし、且つ配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし;
IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、且つ配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、又は配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の機能的断片をコードし、且つ配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする組成物。
(項目2)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードすることを含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードすることを含む、項目2に記載の組成物。
(項目4)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2コードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4をコードすることを含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードすること、及び
前記IL-12p40サブユニットをコードする核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも99%相同であり、配列番号4に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードすることを含む、項目2に記載の組成物。
(項目6)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2コードすること、及び
IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が、配列番号3に対して少なくとも99%相同であり、配列番号4をコードすることを含む、項目2に記載の組成物。
(項目7)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が配列番号1であり、IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が配列番号3である、項目2に記載の組成物。
(項目8)
電気穿孔法を用いた個体への送達のために製剤化される、項目2に記載の組成物。
(項目9)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニットをコードする核酸配列とは異なる核酸分子に存在する、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目11)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列がプラスミドに存在し、IL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が異なるプラスミドに存在する、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目12)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一の核酸分子に存在する、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一のプラスミドに存在する、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目14)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一の核酸分子に存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目15)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列が同一のプラスミドに存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目16)
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目17)
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目18)
IL-12p35サブユニットをコードする前記核酸配列とIL-12p40サブユニットをコードする前記核酸配列がウイルス粒子に組み込まれる、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目19)
IL-15及びIL-28から成る群から選択される1以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む、項目2~8のいずれかに記載の組成物。
(項目20)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目1に記載の組成物。
(項目21)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目20に記載の組成物。
(項目23)
(a)配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列、及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも99%相同であり、配列番号4の機能的断片をコードする核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目20に記載の組成物。
(項目24)
(a)配列番号2の機能的断片をコードする配列番号1の断片及び/又は(b)配列番号4の機能的断片をコードする配列番号3の断片を含む、項目20に記載の組成物。
(項目25)
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドのコーディング配列を含まない配列番号1の断片及び/又は(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドのコーディング配列を含まない配列番号3の断片を含む、項目20に記載の組成物。
(項目26)
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号1の断片及び/又は(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号3の断片を含む、項目25に記載の組成物。
(項目27)
(a)IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号1の断片及び/又は(b)IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まず、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号3の断片を含む、項目20に記載の組成物。
(項目28)
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードする配列番号1の断片及び/又は(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードする配列番号3の断片を含む、項目20に記載の組成物。
(項目29)
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードし、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号1の断片及び/又は(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードし、シグナルペプチドをコードする核酸配列を連結した配列番号3の断片を含む、項目28に記載の組成物。
(項目30)
(a)配列番号2のアミノ酸23~219をコードし、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号1の断片及び/又は(b)配列番号4のアミノ酸23~328をコードし、配列番号5をコードする核酸配列を連結した配列番号3の断片を含む、項目28に記載の組成物。
(項目31)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p35サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まない核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p40サブユニットのシグナルペプチドの前記コーディング配列を含まない核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目20に記載の組成物。
(項目32)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、シグナルペプチドをコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、シグナルペプチドをコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目31に記載の組成物。(項目33)
(a)配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、配列番号5をコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p35の機能的断片をコードする核酸配列及び/又は(b)配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、配列番号5をコードするコーディング配列に操作可能に連結される核酸配列であるIL-12p40の機能的断片をコードする核酸配列を含む、項目31に記載の組成物。
(項目34)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列とは異なる核酸分子に存在する、項目1に記載の組成物。
(項目35)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列とは異なるプラスミドに存在する、項目1に記載の組成物。
(項目36)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列と同一の核酸分子である、項目1に記載の組成物。
(項目37)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列と同一のプラスミドである、項目1に記載の組成物。
(項目38)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列及びIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、同一プラスミド上に存在し、異なるプロモータに操作可能に連結される、項目1に記載の組成物。
(項目39)
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目40)
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目41)
IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列及びIL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする前記核酸配列が、ウイルス粒子に組み込まれる、項目1に記載の組成物。
(項目42)
IL-15及びIL-28から成る群から選択される1以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目43)
個体にて免疫応答を誘導するのに有効な量で、免疫原をコードする核酸配列との併用で項目1に記載の組成物を前記個体に投与することを含む、免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
(項目44)
項目1に記載の組成物が免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
免疫応答が治療的である、項目43又は44に記載の方法。
(項目46)
免疫応答が予防的である、項目43又は44に記載の方法。
(項目47)
核酸分子であって、
IL-12p35サブユニットをコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片である核酸配列であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする、IL-12p35サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットをコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードし、IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片である核酸配列であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする、IL-12p40サブユニット又はその機能的断片をコードする核酸配列を含む核酸分子。
(項目48)
配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び/又は配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目49)
配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び/又は配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目50)
配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列及び/又は配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4をコードする、項目47に記載の核酸分子。
(項目51)
配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列及び/又は配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目52)
配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列及び/又は配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2をコードする、項目47に記載の核酸分子。
(項目53)
配列番号1及び/又は配列番号3を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目54)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも98%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目55)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目56)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも98%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目57)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも99%相同であり、配列番号4の機能的断片に対して少なくとも99%相同であるタンパク質をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目58)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1に対して少なくとも99%相同であり、配列番号2をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3に対して少なくとも99%相同であり、配列番号4をコードする核酸配列の断片である核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目59)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号1の断片であり、配列番号2の機能的断片をコードする核酸配列である、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号3の断片であり、配列番号4の機能的断片をコードする核酸配列である、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目60)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号2のアミノ酸1~22をコードするコーディング配列を含まない、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号4のアミノ酸1~22をコードするコーディング配列を含まない、核酸配列を含む、項目47に記載の核酸分子。
(項目61)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列がシグナルペプチドをコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列がシグナルペプチドをコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列を含む、項目61に記載の核酸分子。
(項目62)
IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p35サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号5をコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列、及び/又はIL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列であって、前記IL-12p40サブユニットの機能的断片をコードする核酸配列が配列番号5をコードするコーディング配列をさらに含む、核酸配列を含む、項目61に記載の核酸分子。
(項目63)
電気穿孔法を用いて個体に送達するために製剤化される、項目47~62のいずれかに記載の核酸分子。
(項目64)
前記核酸分子がプラスミドである、項目47~62のいずれかに記載の核酸分子。
(項目65)
免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目47~62のいずれかに記載の核酸分子。
(項目66)
HIV、HPV、HCV、インフルエンザ、天然痘、チクングニア、口蹄疫ウイルス、マラリア、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、及びMRSAから成る群から選択される病原体からの免疫原をコードする核酸配列をさらに含む、項目47~62のいずれかに記載の核酸分子。
(項目67)
前記核酸分子がウイルス粒子に組み込まれる、項目47~62のいずれかに記載の核酸分子。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】2μgのHuIL12-opt若しくはHuIL12-nonoptによって形質移入した細胞におけるヒトIL-12の発現レベルの比較を示すグラフである。
【
図1B】4μgのHuIL12-opt及びHuIL12-nonoptによって形質移入した細胞におけるヒトIL-12の発現レベルの比較を示すグラフである。
【
図2】アカゲザルにおける増強されたPSA及びPSMAに特異的な細胞性の免疫応答を示す図である。
【
図3】アカゲザルにおける増強されたHBVのコア及び表面抗原に特異的な細胞性の免疫応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1態様では、改善されたIL-12構築物は、以下:転写を高める低GC含量のリーダー配列;mRNAの安定性及びコドンの最適化;可能な限り、シス作用性の配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)を排除すること;の1以上を有することを含む、改善された転写及び翻訳を提供することが望ましい。
【0016】
本発明の一部の態様では、改善されたIL-12構築物を、ワクチン免疫原に対して広い免疫を生成するために、ワクチン組成物の一部として又はワクチンと協調する形で送達される別の組成物としてワクチン投与計画に組み入れることが望ましい。本発明の一部の態様では、個体にて免疫応答を調節するのに使用することができる免疫療法剤として改善されたIL-12構築物を提供することが望ましい。本発明の一部の態様では、高レベルのIL-12の発現を得るのに使用することができる発現ベクターを提供するために改善されたIL-12構築物を提供することが望ましい。
【0017】
さらに高い効力のIL-12遺伝子アジュバントが本明細書で提供される。これらの新しいアジュバントは以前のIL-12分子を超える幾つかの利点を有する。分子の分泌を円滑にし、リボソームの付加を改善する増強されたリーダー配列が提供されるので、これらのアジュバントの影響を拡大し、発現を高める。RNA配列に対する有意な変更はさらにネイティブIL-12配列に対する相同性を除くので、送達されたアジュバントと宿主系との干渉を防ぐと共に宿主のIL-12配列と遺伝子送達分子の間での考えられる有害な相互作用を低下させる。さらに、新しい構築物のさらに高い効力は用量要件を減らすので、そのようなアジュバントに関連する製造ならびに送達の課題を改善する。最終的に、これらの分子はさらに大きな生物活性を有するので、それらは生体内でのワクチンの性能を改善する。合わせて、これらはワクチンならびに免疫療法応用のための重要な新しいツールである。
1.定義
【0018】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的であって、限定することを意図するものではない。明細書及び添付のクレームで使用されるとき、単数形態「a」、「an」及び「the」は文脈が明瞭に示さない限り、複数参照を含む。
【0019】
本明細書での数範囲の引用については、同程度の精度でその間に介在する各数が明白に企図される。たとえば、6~9の範囲については、6及び9に加えて数7及び8が企図され、6.0~7.0の範囲については、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明白に企図される。
【0020】
(a)アジュバント
「アジュバント」は本明細書で使用されるとき、DNAプラスミドワクチン又は他のワクチンに添加してそれらのDNAプラスミド又はワクチンによってコードされる1以上の抗原の抗原性を高める免疫調節活性を有するタンパク質をコードする核酸分子、及び以下で記載されるアジュバントタンパク質をコードする核酸配列を含む分子を意味し得る。
【0021】
(b)抗体
「抗体」は、Fab、F(ab’)2、Fd、及び単鎖抗体、二特異性抗体、二重特異性抗体、二官能性抗体及びそれらの誘導体を含むクラスIgG、IgM、IgA、IgD又はIgEの抗体又はその断片又は誘導体を意味し得る。抗体は、所望のエピトープ又は由来する配列への十分な結合特異性を示す、哺乳類の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティ精製した抗体又はそれらの混合物であり得る。
【0022】
(c)コーディング配列
「コーディング配列」又は「コードする核酸」は本明細書で使用されるとき、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA又はDNA分子)を意味し得、それを指す。コーディング配列はさらに、核酸が投与される個体又は哺乳類の細胞にて発現を指示することが可能であるプロモータ及びポリアデニル化シグナルを含む調節性要素に操作可能に連結される開始シグナル及び終結シグナルを含み得る。
【0023】
(d)相補体
「相補体」又は「相補性」は本明細書で使用されるとき、核酸が核酸分子のヌクレオチド間又はヌクレオチド類似体間でワトソン/クリック(たとえば、A-T/U及びC-G)又はフーグスティーンの塩基対形成を意味し得ることを意味し得る。
【0024】
(e)定電流
「定電流」は、組織又は組織を規定する細胞が、同じ組織に送達される電気パルスの持続時間にわたって受け取る又は感じる電流を規定するように本明細書で使用される。電気パルスは本明細書で記載される電気穿孔装置から送達される。この電流は、本明細書で提供される電気穿孔装置がフィードバック要素を有する、好ましくは瞬時のフィードバックを有するので、電気パルスの寿命の間にわたって当該組織にて一定のアンペア数のままである。フィードバック要素はパルスの持続時間全体にわたって組織(または細胞)の抵抗を測定することができ、電気穿孔装置がその電気的エネルギーの出力を変える(たとえば、電圧を上げる)ようにすることができるので、同一組織における電流は電気パルス全体にわたって及びパルスからパルスにて一定のままである(約数マイクロ秒)。一部の実施形態では、フィードバック要素は制御要素を含む。
【0025】
(f)電流フィードバック又はフィードバック
「電流フィードバック」又は「フィードバック」は本明細書で使用されるとき、相互交換可能に使用されてもよく、提供される電気穿孔装置の有効な応答を意味し得、これは、それに応じて電流を一定レベルに維持するために電極間の組織における電流を測定し、EP装置によって送達されるエネルギー出力を変えることを含む。この一定レベルはパルス列又は電気処理に先立ってユーザーによって予め設定される。フィードバックは電気穿孔法の構成部分、たとえば、電気穿孔装置の制御要素によって達成され得、これは、その中の電気回路が電極間の組織における電流を連続してモニターすることができ、予め設定した電流とそのモニターした電流(又は組織内の電流)を比較し、連続的にエネルギー出力を調整してモニターした電流を予め設定したレベルに維持することができるためである。フィードバックループは、それがアナログ閉ループのフィードバックなので瞬時であり得る。
【0026】
(g)分散化させた電流
「分散化させた電流」は本明細書で使用されるとき、本明細書で記載される電気穿孔装置の種々の針状電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、パターンは、電気穿孔法を受ける組織の任意の領域にて電気穿孔法に関連する熱ストレスの発生を出来るだけ抑える、又は好ましくは排除する。
【0027】
(h)電気穿孔法
「電気穿孔法」、「エレクトロ透過化」又は「電気動力学的増強(「EP」)」は本明細書で相互交換可能に使用されるとき、生体膜にて微細な経路(孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を意味し得、それらの存在によって、たとえば、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン及び水のような生体分子が細胞膜の一方から他方へ通過するのが可能になる。
【0028】
(i)フィードバック機構
「フィードバック機構」は本明細書で使用されるとき、所望の組織のインピーダンス(エネルギーのパルスの送達前、途中、及び/又は後での)を処理し、受取り、現在の値、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーのパルスを調整して予め設定された値を達成するソフトウエア又はハードウエア(又はファームウエア)のいずれかによって実施される過程を指し得る。フィードバック機構はアナログ閉ループ回路によって実施され得る。
【0029】
(j)断片
「断片」は本明細書で使用されるとき、非断片のそれに実質的に類似する哺乳類において免疫応答を引き出すことが可能であるポリペプチドをコードする部分又は核酸を意味し得る。断片は、配列番号1の断片、配列番号1に少なくとも98%相同であり、配列番号2に少なくとも98%相同であるタンパク質の機能断片をコードする核酸配列の断片、配列番号3の断片、及び配列番号3に少なくとも98%相同であり、配列番号4に少なくとも98%相同であるタンパク質の機能断片をコードする核酸配列の断片から選択されるDNA断片であり得る。
【0030】
配列番号1のDNA断片、配列番号1に少なくとも98%相同であり、配列番号2に少なくとも98%相同であるタンパク質の機能断片をコードする核酸配列の断片は、配列番号2の又は配列番号2に少なくとも98%相同であるタンパク質の長さ50以上のアミノ酸、長さ55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以上、105以上、110以上、115以上、120以上、125以上、130以上、135以上、140以上、145以上、150以上、155以上、160以上、165以上、170以上、175以上、180以上、185以上、190以上、195以上、200以上、205以上、210以上又は215以上のアミノ酸をコードし得る。配列番号1のDNA断片、配列番号1に少なくとも98%相同であり、配列番号2の又は配列番号2に少なくとも98%相同であるタンパク質の長さ53未満、58未満、63未満、68未満、73未満、78未満、83未満、88未満、93未満、98未満、103未満、108未満、113未満、118未満、123未満、128未満、133未満、138未満、143未満、148未満、153未満、158未満、163未満、168未満、173未満、178未満、183未満、188未満、193未満、198未満、203未満、208未満、213未満又は218未満のアミノ酸であるタンパク質の機能断片をコードする核酸の断片。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号2の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号2に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号2に対して少なくとも99%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号1に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号2の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、断片は、配列番号2の機能的断片をコードする配列番号1の断片である。
【0031】
配列番号3のDNA断片、配列番号3に対して少なくとも98%相同であり、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の機能断片をコードする核酸配列の断片は、配列番号4の又は配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の長さ50以上のアミノ酸、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以上、105以上、110以上、115以上、120以上、125以上、130以上、135以上、140以上、145以上、150以上、155以上、160以上、165以上、170以上、175以上、180以上、185以上、190以上、195以上、200以上、205以上、210以上、215以上、220以上、225以上、230以上、235以上、240以上、245以上、250以上、255以上、260以上、265以上、270以上、275以上、280以上、285以上、290以上、295以上、300以上、305以上、310以上、315以上、320以上、又は325以上のアミノ酸をコードする。配列番号3のDNA断片及び配列番号3対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号4の又は配列番号4に少なくとも98%相同であるタンパク質の53未満、58未満、63未満、68未満、73未満、78未満、83未満、88未満、93未満、98未満、103未満、108未満、113未満、118未満、123未満、128未満、133未満、138未満、143未満、148未満、153未満、158未満、163未満、168未満、173未満、178未満、183未満、188未満、193未満、198未満、203未満、208未満、213未満、218未満、223未満、228未満、233未満、238未満、243未満、248未満、253未満、258未満、263未満、268未満、273未満、278未満、283未満、288未満、293未満、298未満、303未満、308未満、313未満、318未満又は328未満のアミノ酸である機能断片をコードし得る。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号4に対して少なくとも99%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも98%相同である核酸配列の断片は、配列番号4の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号4に対して少なくとも98%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号4に対して少なくとも99%相同であるタンパク質の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、配列番号3に対して少なくとも99%相同である核酸配列の断片は、配列番号4の機能的断片をコードする。一部の実施形態では、断片は、配列番号4の機能的断片をコードする配列番号3の断片である。
【0032】
DNA断片はIL-12シグナルペプチドのコーディング配列を含まなくてもよい。DNA断片は、たとえば、IgE又はIgGのシグナルペプチド配列のような免疫グロブリンのシグナルペプチドのコーディング配列を含み得る。従って、たとえば、IL-12p35サブユニットコードするDNA断片は配列番号2のアミノ酸1~22をコードせず、一部のそのような実施形態では、IgEのシグナルペプチド配列(配列番号5)又はIgGのシグナルペプチド配列のような免疫グロブリンのシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。
【0033】
「断片」はまた、完全長のポリペプチドと実質的に実質的に同様に機能することが可能であるポリペプチド断片も指し得る。IL-12p35の断片は、配列番号2の断片又は配列番号2の断片に対して少なくとも98%相同であるポリペプチドの断片であり得る。IL-12p35の断片は配列番号2の断片に対して少なくとも99%相同であるポリペプチドの断片であり得る。IL-12p35の断片は上述のような断片であり得る。IL-12p40の断片は、配列番号4の断片又は配列番号4の断片に対して少なくとも98%相同であるポリペプチドの断片であり得る。IL-12p40の断片は、配列番号4の断片に対して少なくとも99%相同であるポリペプチドの断片であり得る。IL-12p40の断片は上述のような断片であり得る。
【0034】
「機能的断片」は、完全長のp35又はp40と実質的に同様に機能することができる、完全なp35以外の及び/又は完全なp40以外のIL-12サブユニットの断片を指すことを意味する。そのような実質的に同様の機能には、他のタンパク質、サブユニット及び受容体との相互作用であって、完全長のp35又はp40と実質的に同様の方法での相互作用が含まれ、ヘテロ二量体を形成できるように送達されると、IL-12p35/p40ヘテロ二量体としての実質的に同じ効果を生じる。
【0035】
(k)遺伝子構築物
用語「遺伝子構築物」は本明細書で使用されるとき、IL-12サブユニットの一方若しくは双方、又は標的タンパク質又は別の(非IL-12)免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA又はRNAの分子を指す。コーディング配列には、核酸が投与される個体の細胞にて発現を指示することが可能であるプロモータ及びポリアデニル化シグナルを含む調節性要素に操作可能に連結される開始シグナル及び終結シグナルが含まれる。
【0036】
(l)過剰増殖性
本明細書で使用されるとき、用語「過剰増殖性疾患」は、細胞の過剰増殖を特徴とする疾患及び障害を指すことを意味し、用語「過剰増殖性に関連するタンパク質」は過剰増殖性疾患に関連するタンパク質を指すことを意味する。
【0037】
(m)同一の
「同一の」又は「同一性」は、2以上の核酸又はポリペプチドの配列の文脈にて本明細書で使用されるとき、配列が特定される領域にわたって同一である特定される比率の残基を有することを意味し得る。比率は、2つの配列を最適に並べ、特定される領域にわたって2つの配列を比較し、双方の配列で同一の残基が存在する位置の数を決定して一致する位置の数を得、特定される領域における位置の総数で一致した位置の数を割り、結果に100を乗じて配列同一性の比率を得ることによって算出され得る。2つの配列の長さが異なる場合、又は整列が1以上の互い違いの末端を生じ、比較の特定される領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は、計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は同等であると見なされ得る。同一性は、手動で、又はBLAST又はBLAST2.0のようなコンピュータ配列アルゴリズムを用いて実施され得る。
【0038】
(n)インピーダンス
「インピーダンス」は本明細書で使用されるとき、フィードバック機構を考察する際に使用されてもよく、オームの法則に従って電流値に変換することができるので、予め設定される電流との比較を可能にする。
【0039】
(o)免疫応答
「免疫応答」は本明細書で使用されるとき、提供されるDNAプラスミドワクチンを介して1以上のRSVコンセンサス抗原の導入に応答する宿主の免疫系、たとえば、哺乳類の免疫系の活性化を意味し得る。免疫応答は細胞性の応答又は液性の応答のいずれか、又はその双方の形態であることができる。
【0040】
(p)細胞内病原体
「細胞内病原体」は本明細書で使用されるとき、ウイルス又は病原性生物であって、その生殖サイクル又は寿命サイクルの少なくとも一部が宿主細胞の中に存在し、その中で病原体タンパク質を産生する又は病原体タンパク質の産生の原因となるウイルス又は病原性生物を指すことにする。
【0041】
(q)核酸
「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は本明細書で使用されるとき、一緒に共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖の記載は相補性の鎖の配列も規定する。従って、核酸は記載される一本鎖の相補性の鎖も包含する。核酸の多数の変異体が所与の核酸として同一目的に使用され得る。従って、核酸は実質的に同一の核酸及びその相補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で標的配列とハイブリッド形成し得るプローブを提供する。従って、核酸はストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成するプローブも包含する。
【0042】
核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、二本鎖配列及び一本鎖配列双方の一部を含有してもよい。核酸はDNA、ゲノムDNA及びcDNAの双方、RNA又はハイブリッドであってもよく、その際、核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組み合わせ、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有してもよい。核酸は化学合成法又は組換え法によって得られ得る。
【0043】
(r)操作可能に連結される
「操作可能に連結される」は、プロモータに操作可能に連結される遺伝子を参照する際に本明細書で使用されるとき、遺伝子の発現が空間的に接続されるプロモータの制御下にあるように2つの成分を連結することを指す。プロモータは制御下の遺伝子の5’(上流)又は3’(下流)に位置し得る。プロモータと遺伝子の間の距離は、プロモータが由来する遺伝子にてそれが制御する遺伝子とプロモータの間の距離とほぼ同一であり得る。当該技術で知られるように、この距離の変動はプロモータの機能を喪失することなく調整され得る。タンパク質に操作可能に連結されたシグナルペプチドを参照する場合、その用語はシグナルペプチドとして機能できるような方法でタンパク質の一部として組み入れられるシグナルペプチドを有するタンパク質を指す。タンパク質をコードするコーディング配列に操作可能に連結されたシグナルペプチドをコードするコーディング配列を参照する場合、その用語は、コーディング配列の翻訳が、シグナルペプチドとして機能できるような方法でタンパク質の一部として組み入れられるシグナルペプチドを有するタンパク質を生じるように配置されるコーディング配列を指す。
【0044】
(s)プロモータ
「プロモータ」は本明細書で使用されるとき、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する又は向上させることが可能である合成の又は天然に存在する分子を意味し得る。プロモータは特異的な転写調節配列を含んで発現をさらに向上させ、及び/又はその空間的発現及び/又は一過性の発現を変化させ得る。プロモータは遠位のエンハンサ又はリプレッサ要素を含んでもよく、それは転写開始部位から数千塩基対ほどの位置にあり得る。プロモータはウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫及び動物を含む供給源に由来し得る。プロモータは、発現が生じる細胞、組織又は臓器に関して、発現が生じる発生段階に関して、又はたとえば、生理的ストレス、病原体、金属イオン又は誘導剤のような外部刺激に応答して構成的に又は差次的に遺伝子成分の発現を調節する。プロモータの代表例には、バクテリオファージT7プロモータ、バクテリオファージT3プロモータ、SP6プロモータ、lacオペレータ/プロモータ、tacプロモータ、SV40後期プロモータ、SV40早期プロモータ、RSV-LTRプロモータ、CMV IEプロモータ、SV40早期プロモータ又はSV40後期プロモータ、及びCMV IEプロモータが挙げられる。
【0045】
(t)ストリンジェントなハイブリッド形成条件
「ストリンジェントなハイブリッド形成条件」は本明細書で使用されるとき、たとえば、核酸の複雑な混合物にて第1の核酸配列(たとえば、プローブ)が第2の核酸配列(たとえば、標的)とハイブリッド形成する条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況にて異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHにて特定の配列について融点(Tm)よりも約5~10℃低く選択され得る。Tmは、標的に相補性のプローブの50%が標的配列と平衡でハイブリッド形成する温度(定義されたイオン強度、pH及び核酸濃度のもとでの)であり得る(標的配列はTmにて過剰に存在するので、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0~8.3で塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、たとえば、約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、温度は、短いプローブ(たとえば、約10~50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(約50ヌクレオチドを超える)については少なくとも約60℃であるものである。ストリンジェントな条件はまた、たとえば、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的な又は特異的なハイブリッド形成については、陽性のシグナルは背景ハイブリッド形成の少なくとも2~10倍であり得る。例となるストリンジェントなハイブリッド形成条件には、以下:50%のホルムアミド、5×SSC及び1%のSDSにて42℃でのインキュベート、又は5×SSC、1%のSDSにて65℃でのインキュベート、と共に0.2×SSC及び0.1%のSDSで65℃での洗浄が挙げられる。
【0046】
(u)実質的に相補性の
「実質的に相補性の」は本明細書で使用されるとき、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のヌクレオチド又はアミノ酸の範囲にわたって第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一である、又はストリンジェントなハイブリッド形成条件下で2つの配列がハイブリッド形成することを意味し得る。
【0047】
(v)実質的に同一の
「実質的に同一の」は本明細書で使用されるとき、第1と第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のヌクレオチド又はアミノ酸の範囲にわたって、又は第1の配列が第2の配列の相補体に対して実質的に相補性であれば、核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一であることを意味し得る。
【0048】
(w)標的タンパク質
「標的タンパク質」は本明細書で使用されるとき、免疫応答について標的タンパク質として作用するワクチンの一部である又はDNAワクチンの遺伝子構築物によってコードされるペプチド及びタンパク質を指すことにする。用語「標的タンパク質」及び「免疫原」は相互交換可能に使用され、免疫応答が誘発され得るタンパク質を指す。標的タンパク質は、免疫応答が所望される病原体、又は癌のような望ましくない細胞種、又は自己免疫疾患に関与する細胞に由来するタンパク質と少なくともエピトープを共有する免疫原性タンパク質である。標的タンパク質に対する免疫応答は、標的タンパク質が関連する特定の感染又は疾患に対して個体を保護し、及び/又は固体を治療する。
【0049】
(x)変異体
核酸に関して本明細書で使用される「変異体」は、(i)参照されるヌクレオチド配列の一部又は断片;(ii)参照されるヌクレオチド配列又はその一部の相補体;(iii)参照されるヌクレオチド配列又はその相補体と実質的に同一である核酸;又は(iv)参照されるヌクレオチド配列、その相補体又はそれと実質的に同一の配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸を意味し得る。
【0050】
アミノ酸の挿入、欠失又は保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を保持するペプチド又はポリペプチドに関する「変異体」。変異体はまた、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を持つ参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を持つタンパク質も意味する。アミノ酸の保存的置換、すなわち、類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度と分布)を持つ異なるアミノ酸でアミノ酸を置き換えることは、通常軽微な変化を伴うものとして当該技術で認識されている。これらの軽微な変化は、当該技術で理解されるように、アミノ酸のハイドロパシー指標を検討することによって部分的に特定することができる。Kyte et al.、J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシー指標は、疎水性及び電荷の検討に基づく。類似のハイドロパシー指標のアミノ酸を置換することができ、それはタンパク質の機能をそのまま保持できることが当該技術で知られている。1態様では、±2のハイドロパシー指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物活性を保持するタンパク質を生じる置換を示すこともできる。ペプチドの文脈でのアミノ酸の親水性の検討によって、そのペプチドの最大局所平均親水性を計算することができ、それは、抗原性及び免疫原性と良く相関することが報告されている有用な測定である。米国特許第4,554,101号(参照によって本明細書に完全に組み込まれる)。当該技術分野で理解されるように、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換は生物活性、たとえば、免疫原性を保持するペプチドを結果的に生じる。互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で置換が実施され得る。アミノ酸の疎水性指標及び親水性値は双方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その所見に一致して、生物機能で適合するアミノ酸の置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ及び他の特性によって示されるように、アミノ酸、特にそれらアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存すると理解されている。
【0051】
(y)ベクター
「ベクター」は本明細書で使用されるとき、複製開始点を含有する核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌性人工染色体又は酵母の人工染色体であり得る。ベクターはDNAベクター又はRNAベクターであり得る。ベクターは自己複製する染色体外のベクター又は宿主ゲノムに統合するベクターであり得る。
2.IL-12
【0052】
本明細書で提供されるのは、ヒトIL-12のp35(αサブユニット)及びp40(βサブユニット)をコードする合成構築物である。ヒトIL-12p35サブユニット(配列番号2)は、アミノ酸1~22でのシグナルペプチドと23~219位の成熟タンパク質配列を含む219のアミノ酸タンパク質である。ヒトIL-12p40サブユニット(配列番号4)は、アミノ酸1~22でのシグナルペプチドと23~328位の成熟タンパク質配列を含む328のアミノ酸タンパク質である。ヒトIL-12p40サブユニットのアミノ酸40~90は、免疫グロブリンドメインと呼ばれ、ヒトIL-12p40サブユニットのアミノ酸125~217はサイトカインインターロイキン12p40のC末端ドメインと呼ばれる。
【0053】
一部の実施形態では、IL-12p35サブユニットは一方のプラスミドにてコーディング配列を含む構築物によってコードされ、IL-12p40サブユニットは別のプラスミドにてコーディング配列を含む構築物によってコードされる。一部の実施形態では、IL-12p35サブユニットのコーディング配列を含む構築物とIL-12p40サブユニットのコーディング配列を含む構築物は同じプラスミドにあるが、各構築物はそれ自体のプロモータを有する。一部の実施形態では、IL-12p35サブユニットのコーディング配列を含む構築物とIL-12p40サブユニットのコーディング配列を含む構築物は同じプラスミドにあり、単一プロモータの制御下にあり、IRES配列によって分離される。一部の実施形態では、IL-12p35サブユニットのコーディング配列を含む構築物とIL-12p40サブユニットのコーディング配列を含む構築物は同じプラスミドにあり、単一プロモータの制御下にあり、タンパク分解切断部位のコーディング配列によって分離される。一部の実施形態では、IL-12p35サブユニットのコーディング配列を含む構築物とIL-12p40サブユニットのコーディング配列を含む構築物は同じプラスミドにあり、単一プロモータの制御下にあり、サブユニットは単鎖タンパク質として活性があるようにするリンカーによって分離される。
【0054】
HuIL12-opt配列はヒトIL-12サブユニットをコードする最適化された配列である。配列は宿主ゲノムとのさらに低い相同性を有してRNA構造を変え、潜在的な(criptic)調節配列を回避する。配列は改善されたmRNAの安定性及び発現を提供する。
【0055】
ヒトIL-12p35サブユニットをコードするコーディング配列であるHuIL12-opt配列は配列番号1で開示されている。それによってコードされた219アミノ酸のIL-12p35サブユニットのアミノ酸配列であるHuIL12-opt配列は配列番号2で開示されている。アミノ酸1~22はシグナルペプチドに相当する。アミノ酸23~219は成熟タンパク質領域に相当する。
【0056】
ヒトIL-12p40サブユニットをコードするコーディング配列であるHuIL12-opt配列は配列番号3で開示されている。それによってコードされた328アミノ酸のIL-12p40サブユニットのアミノ酸配列であるHuIL12-opt配列は配列番号4で開示されている。アミノ酸1~22はIL-12シグナルペプチドに相当し、アミノ酸23~328は成熟タンパク質を構成する。アカゲザルIL-12についての類似の配列は、アカゲザルIL-12サブユニットをコードする最適化された配列であるRhIL12-opt配列である。
【0057】
一部の実施形態では、IL-12のp35又はp40サブユニット又はその双方のIL-12シグナルペプチドは、たとえば、別の免疫グロブリン、たとえば、IgG又はIgEのシグナルペプチド(配列番号5)のような異なるシグナルペプチドで置き換えられ得る。IL-12のp35又はp40サブユニット又はその双方のIL-12シグナルペプチドをコードするコーディング配列は、別の免疫グロブリン、たとえば、IgG又はIgEのシグナルペプチド(配列番号5をコードするコーディング配列である)のような異なるシグナルペプチドをコードするコーディング配列で置き換えられ得る。一部の実施形態では、IL-12p35のシグナルペプチドは、別の免疫グロブリン、たとえば、IgG又はIgEのシグナルペプチド(配列番号5)のような異なるシグナルペプチドで置き換えられ得る。配列番号2の機能的断片は、IL-12p35のシグナルペプチド配列を含まなくてもよい。一部の実施形態では、IL-12p35のシグナルペプチドをコードするコーディング配列は、異なるシグナルペプチドのコーディング配列、たとえば、別の免疫グロブリンのシグナルペプチドのコーディング配列、たとえば、IgG又はIgEのシグナルペプチドのコーディング配列(すなわち、配列番号5をコードするコーディング配列)によって置き換えられ得る。配列番号1の断片である核酸配列は、IL-12p35のシグナルペプチドのコーディング配列を含まなくてもよい。配列番号4の機能的配列はIL-12p40のシグナルペプチド配列を含まなくてもよい。一部の実施形態では、IL-12p40のシグナルペプチドをコードするコーディング配列は、異なるシグナルペプチドのコーディング配列、たとえば、別の免疫グロブリンのシグナルペプチドのコーディング配列、たとえば、IgG又はIgEのシグナルペプチドのコーディング配列(すなわち、配列番号5をコードするコーディング配列)によって置き換えられ得る。配列番号3の断片である核酸配列は、IL-12p40のシグナルペプチドのコーディング配列を含まなくてもよい。それぞれIL-12p35のシグナルペプチド又はIL-12p40のシグナルペプチドをコードしないコーディング配列における配列番号1又は配列番号3との相同性を計算することにおいて、計算は、IL-12p35のシグナルペプチドをコードする配列番号1の部分又はIL-12p40のシグナルペプチドをコードする配列番号3の部分を排除した配列番号1又は配列番号3の比較に基づく。
3.プラスミド
【0058】
本明細書で提供されるのは、哺乳類における免疫応答を調節するのに有効な量で哺乳類の細胞にてIL-12構築物を発現させることが可能であるベクターである。各ベクターは一方又は双方のサブユニットをコードする非相同の核酸を含み得る。ベクターはプラスミドであってもよい。プラスミドはIL-12をコードする核酸によって細胞に形質移入するのに有用であり得、形質転換された宿主細胞は培養され、IL-12の発現が生じる条件下で維持される。
【0059】
プラスミドは1以上の抗原をコードする核酸を含み得る。プラスミドはさらに、コーディング配列の上流にあり得る開始コドン及びコーディング配列の下流にあり得る停止コドンを含み得る。開始コドン及び停止コドンはコーディング配列と共にインフレームであってもよい。
【0060】
プラスミドはさらに、コーディング配列に操作可能に連結されるプロモータも含み得る。コーディング配列に操作可能に連結されるプロモータは、サルウイルス40(SV40)に由来するプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモータ、たとえば、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモータ、モロニーウイルスプロモータ、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモータ、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、たとえば、CMV前初期プロモータ、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモータ、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモータであり得る。プロモータはまた、たとえば、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はヒトメタロチオネインのようなヒトの遺伝子に由来するプロモータであってもよい。プロモータはまた、天然の又は合成の組織特異的なプロモータ、たとえば、筋肉又は皮膚に特異的なプロモータであってもよい。そのようなプロモータの例は、その内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号第US20040175727号に記載されている。
【0061】
プラスミドはまた、コーディング配列の下流にあり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40のポリアデニル化シグナル、LTRのポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)のポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)のポリアデニル化シグナル、又はヒトβ-グロビンのポリアデニル化シグナルであってもよい。SV40のポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)のポリアデニル化シグナルであり得る。
【0062】
プラスミドはまたコーディング配列の上流でエンハンサを含み得る。エンハンサは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はウイルスのエンハンサ、たとえば、CMV、FMDV、RSV又はEBVからの1つであってもよい。ポリヌクレオチドの機能エンハンサは、それぞれその内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号及び国際公開第94/016737号に記載されている。
【0063】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外で維持し、細胞にてプラスミドの多重コピーを産生するために哺乳類の複製開始点も含む。プラスミドは、エプステイン・バーウイルスの複製開始点と核抗原EBNA-1コーディング領域を含み得る、Invitrogen(カリフォルニア州、サンディエゴ)製のpVAX1、pCEP4又はpREP4であってもよく、それらは、統合することなく高コピーエピソーム複製を生じ得る。プラスミドの骨格はpAV0242であってもよい。プラスミドは複製欠損のアデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであってもよい。
【0064】
プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞での遺伝子発現によく適合し得る調節配列も含み得る。コーディング配列は宿主細胞にてコーディング配列のさらに効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0065】
コーディング配列はまたIgリーダー配列も含み得る。リーダー配列はコーディング配列の5’にあり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原はN末端Igリーダーと、それに続くコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端IgリーダーはIgE又はIgGであり得る。
【0066】
プラスミドは、大腸菌におけるタンパク質産生に使用され得るpSE420(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)であってもよい。プラスミドはまた、酵母のサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株におけるタンパク質産生に使用され得るpYES2(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)であってもよい。プラスミドはまた、昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得るMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)のものであってもよい。プラスミドはまた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得るpcDNA1又はpcDNA2(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)であってもよい。
4.ワクチン
【0067】
本発明の一部の実施形態によれば、免疫原をコードする核酸配列との併用でのIL-12又はその機能的断片をコードする核酸配列の個体への送達は、免疫原に対する免疫応答を高める。免疫原とIL-12をコードする核酸分子が個体の細胞によって取り込まれると、免疫原とIL-12は細胞で発現され、それによってタンパク質が個体に送達される。本発明の態様は、単一核酸分子上で免疫原とIL-12のコーディング配列を送達する方法、異なる核酸分子上で免疫原とIL-12のコーディング配列を送達する方法、組換えワクチンの一部として及び弱毒化したワクチンの一部としてタンパク質のコーディング配列を送達する方法を提供する。
【0068】
本発明の一部の態様によれば、病原体又は異常な、疾患に関連した細胞に対して個体を予防上及び/又は治療上免疫する組成物及び方法が提供される。ワクチンは、たとえば、生の弱毒化ワクチン、組換えワクチン又は核酸若しくはDNAワクチンのようなワクチンのいずれかの種類であってもよい。免疫原とIL-12又はその機能的断片をコードする核酸分子を送達することによって、ワクチンによって誘導された免疫応答が調節され得る。IL-12構築物は、たとえば、組換えベクター又は弱毒化病原体又は細胞のプラスミド又はゲノムの一部のような免疫原をコードする核酸分子との併用で送達される場合、特に有用である。IL-12構築物は、感染していない又は疾患に罹っていない個体にて予防的な免疫応答を誘導するために予防的にワクチンにて使用され得る。IL-12構築物は、ヒトにおいて予防的な免疫応答を誘導するために送達される場合、特に有用である。IL-12構築物は、感染した又は疾患に罹っている個体にて免疫応答を誘導するために治療上ワクチンにて使用され得る。IL-12構築物は、ヒトにおいて治療上の免疫応答を誘導するために送達される場合、特に有用である。一部の実施形態では、IL-12構築物を含む核酸分子は無細胞組成物で送達される。一部の実施形態では、IL-12構築物を含む核酸分子は、癌細胞を含まない組成物で送達される。一部の実施形態では、IL-12構築物を含むものは、他のサイトカインを含まずに投与される。
【0069】
本明細書で提供されるのは、病原体、疾患に関連する細胞で発現される免疫原及び免疫応答が所望される他の免疫原に対する免疫応答を哺乳類にて生成することが可能であるワクチンである。ワクチンは、上記で考察されたような各プラスミドを含み得る。ワクチンは複数のプラスミド又はそれらの組み合わせを含み得る。ワクチンが投与されて治療上の又は予防的な免疫応答を誘導し得る。
【0070】
遺伝子構築物は、遺伝子発現に必要とされる調節要素に操作可能に連結された標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み得る。本発明によれば、標的タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む構築物1つと免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む構築物1つを含む遺伝子構築物の組み合わせが提供される。遺伝子構築物の組み合わせを含むDNA又はRNAの分子(複数可)の生細胞への送達は、DNA又はRNAの発現及び標的タンパク質と1以上の免疫調節タンパク質の産生を生じる。標的タンパク質に対する向上した免疫応答が生じる。
【0071】
本発明は、病原体、たとえば、ウイルス、原核生物及び病原性の真核生物、たとえば、単細胞病原性生物及び多細胞粒子などに対して個体を免疫するのに使用され得る。本発明は、細胞を感染させ、被包されていないこれらの病原体、たとえば、ウイルス及び淋病菌、リステリア菌及び赤痢菌のような原核生物に対して個体を免疫するのに特に有用である。加えて、本発明は、原虫病原体であって、それらが細胞内病原体である生活サイクルの段階を含む原虫病原体に対して個体を免疫するのにも有用である。表1は、ウイルスの科及び属の一部であって、本発明に従ってそのためにワクチンを作製することができる、ウイルスの科及び属の一部のリストを提供する。表に列記する抗原のような病原性抗原にて提示されるエピトープと同一の又は実質的に類似する少なくともエピトープを含むペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物はワクチンで有用である。さらに、本発明は、原核及び真核の原虫病原体を含む他の病原体、ならびに表2に列記するもののような多細胞寄生体に対して個体を免疫するのにも有用である。
【0072】
表1
ウイルス
ピコルナウイルス科
属:
リノウイルス:(医学)一般的な風邪の50%の症例に関与する。
エテロウイルス:(医学)ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、及びヒトエンテロウイルス、たとえば、A型肝炎ウイルス。
アプトウイルス:(獣医学)これらは口蹄疫ウイルスである。
標的抗原:VP1、VP2、VP3、VP4、VPG
カルシウイルス科
属:
ウイルスのノーウォーク群:(医学)これらのウイルスは流行性胃腸炎の重要な原因因子である。
トガウイルス科
属:
アルファウイルス:(医学及び獣医学)例にはシンドビスウイルス、ロスリバーウイルス及びベネズエラ東部及び西部のウマ脳炎ウイルスが挙げられる。
レオウイルス:(医学)風疹ウイルス。
フラビウイルス(Flariviridae)科
例には:(医学)デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎及びダニ媒介脳炎のウイルスが挙げられる。西ナイルウイルス(Genbank、NC001563、AF533540、AF404757、AF404756、AF404755、AF404754、AF404753、AF481864、M12294、AF317203、AF196835、AF260969、AF260968、AF260967、AF206518及びAF202541)
代表的な標的抗原:E NS5 C
C型肝炎ウイルス:(医学)これらのウイルスは未だに科に配置されていないが、トガウイルス又はフラビウイルスのいずれかであると考えられる。ほとんどの類似性はトガウイルス科にある。
コロナウイルス科:(医学及び獣医学)
感染性気管支炎ウイルス(家禽類)
ブタ伝播性胃腸炎ウイルス(ブタ)
ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(ブタ)
ネコ感染性腹膜炎ウイルス(ネコ)
ネコ腸炎コロナウイルス(ネコ)
イヌコロナウイルス(イヌ)
SARS関連コロナウイルス
ヒト呼吸器コロナウイルスは一般的な風邪の症例の約40%の原因である。EX.224E、OC43注-コロナウイルスは、非A、B、C型肝炎の原因となり得る。
標的抗原:El-M又はマトリクスタンパク質E2とも呼ばれる-S又はスパイクタンパク質E3とも呼ばれる-BE又は血球凝集エルテローズ糖タンパク質とも呼ばれる(コロナウイルスすべてに存在するわけではない)N-ヌクレオカプシド
ラブドウイルス科
属:
ベシクロウイルス、リッサウイルス:(医学及び獣医学)狂犬病
標的抗原:Gタンパク質、Nタンパク質
フィロウイルス科:(医学)
出血熱ウイルス、たとえば、マールブルグ及びエボラウイルスパラミクソウイルス科:
属:
パラミクソウイルス:(医学及び獣医学)おたふく風邪ウイルス、ニューカッスル病ウイルス(ニワトリにおける重要な病原体)
モルビリウイルス:(医学及び獣医学)麻疹、イヌジステンパー
肺炎ウイルス:(医学及び獣医学)呼吸器合胞体ウイルス
オルソミクソウイルス科(医学)インフルエンザウイルス
ブンヤウイルス科
属:
ブンヤウイルス:(医学)カリフォルニア脳炎、ラクロス
フレボウイルス:(医学)リフトバレー熱
ハンタウイルス:プレマーラはヘマハギン熱ウイルスである
ナイルウイルス(獣医学)ナイロビヒツジ病
多数の分類されていないブンガウイルス
アレナウイルス科(医学)LCM、ラッサ熱ウイルス
レオウイルス科
属:
レオウイルス:潜在的なヒト病原体
ロタウイルス:小児における急性胃腸炎
オルビウイルス:(医学及び獣医学)コロラドダニ熱
レボンボ(ヒト)ウマ脳症、ブルータング病
レトロウイルス(Retroyirus)科
亜科:
オンコリウイルス:(獣医学)(医学)ネコ白血病ウイルス、HTLVI及びHTLVII
レンチウイルス:(医学及び獣医学)HIV、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染症、貧血ウイルス
スプマウイルス パポバウイルス科
亜科:
ポリオーマウイルス:(医学)BKU及びJCUウイルス
亜科:
パピローマウイルス:(医学)パピローマの癌及び悪性進行に関連する多数のウイルス型。
アデノウイルス(医学)EX AD7、ARD.、O.B.-呼吸器疾患の原因となる-275のような一部のアデノウイルスは腸炎の原因となる。
パルボウイルス科(獣医学)
ネコパルボウイルス:ネコ腸炎の原因となる。
ネコ汎白血球減少症ウイルス
イヌパルボウイルス
ブタパルボウイルス
ヘルペスウイルス科
亜科:
アルファヘルペスウイルス
属:
単純ウイルス(医学)
HSVI(Genbank、X14112、NC001806)、
HSVII(NC001798)
水痘帯状ヘルペスウイルス:(医学 獣医学)
仮性狂犬病
水痘帯状ヘルペスウイルス
亜科
ベータヘルペスウイルス
属:
サイトメガロウイルス(医学)
HCMV
ムロメガロウイルス
亜科。
ガンマヘルペスウイルス
属:
リンホクリプトウイルス(医学)
EBV-(バーキットリンパ腫)
ポックスウイルス科
亜科:
コードポックスウイルス亜科(Chordopoxviridae)(医学-獣医学)
属:
天然痘(スモールポックス)
ワクシニア(牛痘)
パラポキシウイルス-獣医学
アウイポックスウイルス-獣医学
カプリポックスウイルス
レポリポックスウイルス
スイポックスウイルス
亜科:
エントモポックスウイルス(Entemopoxviridue)
ヘパドナウイルス科
B型肝炎ウイルス
未分類の肝炎デルタウイルス
【0073】
表2
細菌性病原体
病原性グラム陽性球菌には、肺炎球菌、ブドウ球菌及び連鎖球菌が挙げられる。
病原性グラム陰性球菌には、髄膜炎菌及び淋菌が挙げられる。
病原性腸内グラム陰性桿菌には、腸内細菌;シュードモナス、アシネトバクテリア(Acinetobacteria)及びエイケネラ、メリオイドーシス;サルモネラ;細菌性赤痢;ヘモフィルス;軟性下疳;ブルセラ症;ツラレミア;エルシニア(パスツレラ);ストレプトバチルスモルチリフォルミス(Streptobacillus mortiliformis)及びスピリルム;リステリアモノサイトゲネス;ブタ丹毒菌;ジフテリア、コレラ、炭疽菌;鼠径リンパ肉芽腫症(Granuloma inguinale);及びバルトネラ症が挙げられる。
病原性嫌気性細菌には、:破傷風;ボツリヌス中毒症;他のクロストリジウム;結核;ハンセン病;及び他のマイコバクテリウムが挙げられる。
病原性スピロヘータ病には、:梅毒;-トレポネーマ症:イチゴ腫、ピンタ及び地方病性梅毒;及びレプトスピラ症が挙げられる。
高等な病原性細菌及び病原性真菌が原因となる他の感染症には:アクチノミセス症;ノカルジア症;クリプトコッカス症、分芽菌症、ヒストプラスマ症及びコクシジオイデス症;カンジダ症、アスペルギルス症、及びムコール菌症;スポロトリクム症;パラコクシジオイデス症、ペトリエリジオーシス、トルロプシス症、菌腫、及び黒色真菌症;及び皮膚糸状菌症が挙げられる。
リケッチャ感染症には、リケッチャ病及びリケッチャ症が挙げられる。
マイコプラズマ及びクラミジア感染の例には:マイコプラスマ肺炎(Mycoplasma pneurnoniae);鼠径リンパ肉芽腫症(Lymphogranuloma venereum);オウム病;及び周産期クラミジアの感染が挙げられる。
病原性真核生物
病原性原性動物及び寄生蠕虫及びそれによる感染には:アメーバ症;マラリア;リーシュマニア症;トリパノソーマ症;トキソプラズマ症;カリニ肺炎;バベシア症;ランブル鞭毛虫症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;二生吸虫又は吸虫;及び条虫(サナダムシ)の感染症が挙げられる。
【0074】
遺伝子ワクチンを作出して病原体感染に対して保護するために、保護的免疫応答を搭載することができる免疫原性タンパク質をコードする遺伝物質が標的のためのコーディング配列として遺伝子構築物に含まれなければならない。DNA及びRNAは双方とも相対的に小さく、相対的に容易に作出できるので、本発明は、複数の病原性抗原によるワクチン接種を可能にする追加の利点を提供する。遺伝子ワクチンで使用される遺伝子構築物は、多数の病原性抗原をコードする遺伝物質を含むことができる。たとえば、幾つかのウイルス遺伝子が単一の構築物に含まれ、それによって複数の標的を提供し得る。
【0075】
表1及び表2には、病原性因子及び病原性生物の一部であって、その感染から個体を保護するために遺伝子ワクチンが調製されることができる、病原性因子及び病原性生物の一部のリストが含まれる。
【0076】
一部の実施形態では、ワクチンは、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる以下の特許文書で示される1以上のDNAワクチン構築物と併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US07/74769号及び対応する米国特許出願第12/375,518号にて開示されたような(ヒト免疫不全ウイルス)HIVワクチン、(C型肝炎)HCVワクチン、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、インフルエンザワクチン又はhTERT標的化癌ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US08/83281号及び対応する米国特許出願第12/269,824号又はPCT出願PCT/US11/22642号及び対応する米国特許出願第12/694,238号にて開示されたインフルエンザワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US08/081627号及び相当する米国特許出願第13/127,008号にて開示されたHCVワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US10/21869号及び対応する米国特許出願第12/691,588号又は米国特許出願第61/442,162号にて開示されたHPVワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US09/045420号及び相当する米国特許出願第12/473634号にて開示された天然痘ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US09/039656号及び相当する米国特許出願第12/936,186号にて開示されたチクングニアワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、PCT出願PCT/US10/55187号にて開示された口蹄疫ウイルス(FMDV)ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、米国仮特許出願第61/386,973号にて開示されたマラリアワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、米国仮特許出願第61/413,176号又は米国仮特許出願第61/417,817号にて開示された前立腺癌ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、米国仮特許出願第61/438,089号にて開示されたヒトサイトメガロウイルス(CMV)ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。一部の実施形態では、ワクチンは、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる2011年12月12日に出願された「MRSAPBP2A及びその断片を含むタンパク質、それをコードする核酸、及びMRSA感染を予防し、治療するための組成物及びその使用」と題する米国仮特許出願第61/569,727号及び指定された代理人整理番号133172.04000(X5709)及び同日に同分野で出願として提出された、米国仮特許出願第61/569,727号に対して優先権を主張する対応するPCT出願にて開示されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌ワクチンと併用して、最適化されたIL-12を含む。本明細書で開示された特許及び特許出願はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0077】
本発明の別の態様は、過剰増殖性疾患の特徴である過剰増殖性細胞に対する保護的免疫応答を付与する方法、及び過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。過剰増殖性疾患の例には癌及び乾癬のあらゆる形態が挙げられる。
【0078】
免疫原性の過剰増殖性細胞に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を個体の細胞に導入することは、個体のワクチン接種された細胞にてそれらのタンパク質の産生を生じることが発見されている。過剰増殖性疾患に対して免疫するために、過剰増殖性疾患に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を個体に投与する。
【0079】
過剰増殖性に関連するタンパク質が有効な免疫原性標的であるためには、それは、正常細胞と比べて過剰増殖性細胞にて専ら又は高レベルで産生されるタンパク質でなければならない。標的抗原には、そのようなタンパク質で見つけられる少なくともエピトープを含むそのようなタンパク質、その断片及びペプチドが含まれる。場合によっては、過剰増殖性に関連するタンパク質はタンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である。変異した遺伝子は、正常細胞では見つけられない異なるエピトープを結果的に生じるやや異なるアミノ酸配列を有することを除いて正常のタンパク質とほぼ同一のタンパク質をコードする。そのような標的タンパク質には、たとえば、myb、myc、fyn、及び転移遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trk及びEGRFのような癌遺伝子によってコードされるタンパク質であるものが挙げられる。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療及び予防計画のための標的タンパク質には、B細胞リンパ腫によって作られる抗体の可変領域及びT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域が挙げられ、一部の実施形態では、それらは自己免疫疾患のために使用される標的抗原でもある。他の腫瘍関連タンパク質は、モノクローナル抗体17-IAによって認識されるタンパク質、葉酸結合タンパク質又はPSAを含む、腫瘍細胞にて高レベルで見つかるタンパク質のような標的タンパク質として使用することができる。
【0080】
本発明は幾つかの型の癌の1つ以上に対して個体を免疫するのに使用され得るが、本発明は、特定の癌を発症する素因を持つ個体又は癌を有しているので再発に敏感である個体を予防的に免疫するのに特に有用である。遺伝学及び技術における進歩並びに疫学によって個体における癌を発症する確率及びリスク評価が可能である。遺伝子スクリーニング及び/又は家族既往歴を用いて、幾つかの型の癌の1つを発症するのに個体が有する確率を予測することが可能である。
【0081】
同様に、すでに癌を発症している、及び癌を切除する治療を受けている又はさもなければ寛解にある個体は、ぶり返し及び再発に特に敏感である。治療計画の一部として、再発と闘うために、有していると診断されている癌に対してそのような個体を免疫することができる。従って、個体がある型の癌を有している及び再発のリスクにあることをいったん知ると、癌の将来の出現と闘う免疫系を用意するために彼らを免疫することができる。
【0082】
本発明は、過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。そのような方法では、遺伝子構築物の導入は、免疫治療剤として、標的タンパク質を産生する過剰増殖性細胞と闘うように個体の免疫系を指示し、進展させるのに役立つ。癌を治療する又は予防することにおいて、無細胞である実施形態は特に有用である。
【0083】
本発明は、「自己」に向けられた抗体を産生する細胞受容体及び細胞を含む自己免疫に関連する標的に対する幅広い保護的免疫応答を付与することによって、自己免疫疾患及び障害に罹っている個体を治療する方法を提供する。
【0084】
T細胞が介在する自己免疫疾患には、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ワグナー肉芽腫、クローン病、及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。これら疾患のそれぞれは、内在性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始するT細胞受容体を特徴とする。T細胞の可変領域に対するワクチン接種はそれらのT細胞を排除するCTLを含む免疫応答を引き出す。
【0085】
RAでは、疾患に関与するT細胞受容体(TCR)の幾つかの特定の可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vβ-3、Vβ-14,20、Vβ-17及びVα-17が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、RAに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。そのそれぞれが参照によって本明細書に組み込まれるHowell,M.D.,et al.,1991、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、88:10921-10925;Piliard,X,et al.,1991、Science、253:325-329;Williams,W.V.,et al.,1992、J.Clin.Invest.90:326-333を参照のこと。MSでは、これらの疾患に関与するTCRの幾つかの特定の可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vβ-7及びVα-10が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、MSに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。そのそれぞれが参照によって本明細書に組み込まれるWucherpfennig,K.W,et al.,1990、Science、248:1016-1019;Oksenberg,J.R,et al.,1990、Nature、345:344-346を参照のこと。
【0086】
強皮症では、疾患に関与するTCRの幾つかの特定の可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vβ-6、Vβ-8、Vβ-14及びVα-16、Vα-3C、Vα-7、Vα-14、Vα-15、Vα-16、Vα-28及びVα-12が挙げられる。これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、強皮症に関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。
【0087】
T細胞が介在する自己免疫疾患に罹っている患者を治療するために、特に、TCRの可変領域がさらに性状分析される必要があるもの、滑膜生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を取り、常法を用いてそれらTCRの可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0088】
B細胞が介在する自己免疫疾患には、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、グレーブ病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性硬化性胆管炎及び悪性貧血が挙げられる。これらの疾患のそれぞれは、内在性抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始する抗体を特徴とする。抗体の可変領域に対するワクチン接種は、抗体を産生するB細胞を排除するCTLを含む免疫応答を引き出す。
【0089】
B細胞が介在する自己免疫疾患に罹っている患者を治療するために、自己免疫の活動性に関与する抗体の可変領域を特定しなければならない。生検を実施し、炎症の部位に存在する抗体の試料を採取することができる。常法を用いてこれら抗体の可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0090】
SLEの場合、抗原の1つはDNAであると考えられる。従って、SLEに対して免疫される患者では、抗DNA抗体について彼らの血清をスクリーニングし、血清で見つかったそのような抗DNA抗体の可変領域をコードするDNA構築物を含むワクチンを調製することができる。
【0091】
TCR及び抗体の可変領域の間で共通する構造特性は周知である。特定のTCR又は抗体をコードするDNA配列は、たとえば、参照によって本明細書に組み込まれるKabat,et al.,1987、免疫的関心のあるタンパク質の配列、米国保健福祉省(メリーランド州、ベセスダ)に従って一般的に見つけることができる。加えて、抗体から機能的な可変領域をクローニングする方法は、参照によって本明細書に組み込まれるChaudhary,V. K.,et al.,1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:1066にて見つけることができる。
【0092】
遺伝子ワクチンを改善する免疫調節タンパク質のコーディング配列の発現可能な形態を使用することに加えて、本発明は、改善された弱毒化生ワクチン、及び抗原をコードする外来遺伝子を送達するために組換えベクターを使用する改善されたワクチンに関する。弱毒化生ワクチン及び外来抗原を送達するために組換えベクターを使用するものの例は、そのそれぞれが参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,722,848号;同第5,017,487号;同第5,077,044号;同第5,110,587号;同第5,112,749号;同第5,174,993号;同第5,223,424号;同第5,225,336号;同第5,240,703号;同第5,242,829号;同第5,294,441号;同第5,294,548号;同第5,310,668号;同第5,387,744号;同第5,389,368号;同第5,424,065号;同第5,451,499号;同第5,453,364号;同第5,462,734号;同第5,470,734号及び同第5,482,713号に記載されている。IL-12構築物又はその機能的断片のヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物が提供され、その際、ヌクレオチド配列は、発現を達成するようにワクチンで機能することができる調節配列に操作可能に連結される。遺伝子構築物は弱毒化生ワクチン及び組換えワクチンに組み入れられて本発明に係る改善されたワクチンを作出する。
【0093】
ワクチンはさらに薬学上許容可能な賦形剤を含み得る。薬学上許容可能な賦形剤は、媒体、アジュバント、キャリア又は希釈剤としての機能的分子であり得る。薬学上許容可能な賦形剤は、形質移入促進剤であってもよく、それには、免疫刺激複合体(ISCOMS)のような表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノリン類似体、スクアレンのような粒子及びスクアレン、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又は他の既知の形質移入促進剤が挙げられ得る。
【0094】
形質移入促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)又は脂質を含むポリアニオン、ポリカチオンである。形質移入促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸塩であり、さらに好ましくはポリ-L-グルタミン酸塩は6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在する。形質移入促進剤には、免疫刺激複合体(ISCOMS)のような表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノリン類似体、スクアレンのような粒子及びスクアレンが挙げられ得、ヒアルロン酸は遺伝子構築物と併用して使用され、投与され得る。一部の実施形態では、DNAプラスミドワクチンはまた、脂質のような形質移入促進剤、レシチンリポソーム又はDNAリポソーム混合物(たとえば、国際公開第9324640号を参照)のような当該技術で既知の他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又は他の既知の形質移入促進剤も含み得る。好ましくは、形質移入促進剤はポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)又は脂質を含むポリアニオン、ポリカチオンである。ワクチンにおける形質移入剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、又は0.010mg/ml未満である。
【0095】
薬学上許容可能な賦形剤は1以上の追加のアジュバントであり得る。アジュバントは、同一の若しくは代わりのプラスミドから発現される他の遺伝子であってもよく、又はワクチンにて上記プラスミドと併用してタンパク質として送達される。1以上のアジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞-誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、シグナル配列又は欠失したシグナル配列をコードするコーディング配列を有し、任意でIgEからのもののような異なるシグナルペプチド又は任意でIgEからのもののような異なるシグナルペプチドをコードするコーディング配列を含むIL-15を含むIL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-lα、MIP-1β、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAPK、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2及びその機能的断片、又はそれらの組み合わせから成る群から選択されるタンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸分子であり得る。一部の実施形態では、追加のアジュバントは、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC又はRANTESから成る群から選択される1以上のタンパク質及び/又はタンパク質をコードする核酸分子であり得る。IL-15の構築物及び配列の例は、PCT出願番号PCT/US04/18962号及び対応する米国特許出願第10/560,650号、及びPCT出願番号PCT/US07/00886号及び対応する米国特許出願第12/160,766号、及びPCT出願番号PCT/US10/048827号にて開示されている。IL-28の構築物及び配列の例はPCT出願番号PCT/US09/039648号及び対応する米国特許出願第12/936,192号にて開示されている。RANTES及びその他の構築物及び配列の例はPCT出願番号PCT/US1999/004332号及び対応する米国特許出願第09/622452号にて開示されている。RANTESの構築物及び配列の他の例はPCT出願番号PCT/US11/024098号にて開示されている。RANTES及びその他の構築物及び配列の例はPCT出願番号PCT/US1999/004332号及び対応する米国特許出願第09/622452号にて開示されている。RANTESの構築物及び配列の他の例はPCT出願番号PCT/US11/024098号にて開示されている。ケモカインCTACK、TECK及びMECの構築物及び配列の例はPCT出願番号PCT/US2005/042231号及び対応する米国特許出願第11/719,646号にて開示されている。OX40及び他の免疫調節剤の例は米国特許出願第10/560,653号にて開示されている。DR5及び他の免疫調節剤の例は米国特許出願第09/622452号にて開示されている。
【0096】
ワクチンはさらに、参照によって完全に組み込まれる、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号にて記載されたような遺伝子ワクチン促進剤を含み得る。
【0097】
ワクチンは、約1ナノグラム~100ミリグラム;約1マイクログラム~約10ミリグラム;又は好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム;又はさらに好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量でコンセンサス抗原及びプラスミドを含み得る。一部の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は約1~約350マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム;約1マイクログラム~約10ミリグラム;約0.1マイクログラム~約10ミリグラム;約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムのコンセンサス抗原又はそのプラスミドを含有する。
【0098】
ワクチンは使用される投与の方式に従って製剤化され得る。注射用のワクチン医薬組成物は、無菌であり得、発熱物質を含まないことが可能であり、粒子状物質を含まないことが可能である。等張の製剤又は溶液が使用され得る。等張性の添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが挙げられ得る。ワクチンは血管収縮剤を含み得る。等張溶液にはリン酸緩衝化生理食塩水が挙げられ得る。ワクチンはさらにゼラチン及びアルブミンを含む安定剤を含み得る。ワクチン製剤に対するLGS又はポリカチオン又はポリアニオンのような安定化することは、製剤を長い間、室温又は常温で安定にすることが可能であり得る。
5.ワクチンの送達方法
【0099】
本明細書で提供されるのは、ワクチンの免疫原に対して有効な免疫応答を生じるIL-12構築物を含むワクチンを送達する方法である。ワクチンを送達する方法又はワクチン接種の方法を提供して治療上の及び予防上の免疫応答を誘導する。ワクチン接種の過程は、哺乳類にて免疫原に対する免疫応答を生成し得る。ワクチンは個体に送達されて哺乳類の免疫系の活性を調節し得る又は免疫応答を向上させ得る。ワクチンの送達は、1以上の核酸分子にて免疫原及びIL-12構築物コードする配列の形質移入であり得る。コーディング配列は、細胞で発現され、免疫系が認識され、細胞性、液性又は細胞性/液性の応答を誘導する細胞の表面に送達される。ワクチンの送達は、上記で考察したようなワクチンを哺乳類に投与することによって免疫原に対して哺乳類にて免疫応答を誘導する又は引き出すための使用であり得る。IL-12構築物の包含はさらに有効な免疫応答を結果的に生じる。
【0100】
哺乳類の細胞へワクチン及びプラスミドが送達されると、形質移入された細胞は、注入されたプラスミドによってコードされた免疫原及びIL-12をワクチンから発現し、分泌する。これらの免疫原は免疫系によって異物として認識され、それに対する抗体が作られる。これらの抗体は免疫系によって維持され、その後の感染に対する有効な応答を可能にする。IL-12構築物によってコードされたIL-12の存在はさらに大きな免疫応答を結果的に生じる。
【0101】
ワクチンを哺乳類に投与して哺乳類にて免疫応答を引き出し得る。哺乳類は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、乳牛、ウシ、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、スイギュウ、バイソン、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット及びニワトリであり得る。
【0102】
a.併用治療
IL-12構築物は、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞-誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺-発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連の上皮ケモカイン(MEC)、IL-15(欠失したシグナル配列を有し、IgEからのシグナルペプチドを任意で含むIL-15を含む)、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、IL-28、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロ応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2及びそれらの機能的断片、又はそれらの組み合わせの1以上のタンパク質又はそれをコードする遺伝子との併用で投与され得る。
【0103】
ワクチンは、経口で、非経口で、舌下に、経皮で、直腸内に、経粘膜で、吸入を介して、頬内投与を介して、胸膜内に、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、皮下に、筋肉内に、鼻内に、クモ膜下に及び関節内に、又はそれらの組み合わせでの投与を含む様々な経路によって投与され得る。獣医用途については、組成物は、平常の獣医学診療に従って好適な許容可能な製剤として投与され得る。獣医師は、特定の動物に最も適する投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来のシリンジ、無針注射装置、「微量推進衝撃遺伝子銃」、又はたとえば、電気穿孔法(「EP」)、「流体力学法」又は超音波のような他の物理的方法によって投与され得る。
【0104】
ワクチンのプラスミドは、生体内の電気穿孔法を伴う及び伴わないDNA注入(DNAワクチン接種とも言う)、リポソーム介在性の、ナノ粒子が促進する組換えベクター、たとえば、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルスが関連するウイルス及び組換えワクシニアを含む幾つかの既知の技術によって哺乳類に送達され得る。コンセンサス抗原は生体内の電気穿孔法と共にDNA注入によって送達され得る。
【0105】
b.電気穿孔法
ワクチンのプラスミドの電気穿孔法を介したワクチンの投与は、細胞膜にて可逆的な孔を形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳類の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔装置を用いて達成されてもよく、好ましくは、エネルギーのパルスはユーザーによって予め設定された電流出力に類似する定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔法構成部分及び電極の集合体又はハンドル集合体を含み得る。電気穿孔法構成部分には、制御器、電流波形発生器、インピーダンステスター、波形ロガー、入力要素、状況報告要素、伝達ポート、記憶構成部分、電源、及び電力スイッチを含む電気穿孔装置の種々の要素の1以上が含まれ、組み入れられ得る。電気穿孔法は、生体内電気穿孔装置、たとえば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals、ペンシルベニア州ブルーベル)又はElgenエレクトロポレータ(Genetronics、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いてプラスミドによる細胞の形質移入を円滑にすることによって達成され得る。
【0106】
電気穿孔法構成部分は、電気穿孔装置の要素の1つとして機能し得、他の要素(又は構成部分)は電気穿孔法構成部分と連通した別の要素である。電気穿孔法構成部分は、電気穿孔装置の1を超える要素として機能してもよく、それは、電気穿孔法構成部分とは別の電気穿孔装置の他の要素と連通し得る。1つの電気機械的な又は機械的な装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素は、要素が1つの装置として又は互いに連通する別の要素として機能することができるので、限定され得ない。電気穿孔法構成部分は、所望の組織で定電流を生じるエネルギーのパルスを送達することが可能であってもよく、フィードバック機構を含む。電極集合体は、空間配置にて複数の電極を有する電極アレイを含んでもよく、その際、電極集合体は、電気穿孔法構成部分からエネルギーのパルスを受け取り、電極を介してそれを所望の組織に送達する。複数の電極の少なくとも1つはエネルギーのパルスの送達の間、中性であり、所望の組織でインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔法構成部分に伝達する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受け取ってもよく、電気穿孔法構成部分によって送達されたエネルギーのパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0107】
複数の電極は分散化されたパターンでエネルギーのパルスを送達し得る。複数の電極は、プログラムされた順序のもとで電極の制御を介して分散化されたパターンでエネルギーのパルスを送達してもよく、プログラムされた順序はユーザーによって電気穿孔法構成部分に入力される。プログラムされた順序は順に送達される複数のパルスを含んでもよく、その際、複数のパルスの各パルスは、一方がインピーダンスを測定する中性の電極である少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスのその次のパルスは一方がインピーダンスを測定する中性の電極である少なくとも2つの活性電極の異なる一方によって送達される。
【0108】
フィードバック機構はハードウエア又はソフトウエアのいずれかによって実施され得る。フィードバック機構はアナログ閉ループ回路によって実施され得る。フィードバックは、50μs毎、20μs毎、10μs毎、又は1μs毎に発生するが、好ましくはリアルタイムフィードバック又は瞬時である(すなわち、応答時間を測定するのに利用可能な技法によって測定したとき実質的に瞬時)。中性の電極は所望の組織にてインピーダンスを測定してもよく、インピーダンスをフィードバック機構に伝達し、フィードバック機構はインピーダンスに応答し、エネルギーのパルスを調整して予め設定された電流に類似する値で定電流を維持する。フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達の間、定電流を連続して及び瞬時に維持し得る。
【0109】
本発明のDNAワクチンの送達を円滑にし得る電気穿孔装置及び電気穿孔法の例には、その内容が全体として参照によって本明細書に組み込まれるDraghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって提出された米国特許公開2005/0052630号に記載されたものが挙げられる。DNAワクチンの送達を円滑にするために使用され得る他の電気穿孔装置及び電気穿孔法には、すべてその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2006年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/852,149号と、2007年10月10日に出願された同第60/978,982号とに対して米国特許法第119条(e)のもとで利益を主張する、2007年10月17日に出願された同時係属で共有の米国特許出願第11/874072号にて提供されたものが挙げられる。
【0110】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、生体又は植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を円滑にするためのモジュール式の電極システム及びその使用を記載している。モジュール式の電極システムは、複数の針状電極;流体力学的な針;プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針状電極への導電性連結を提供する電気接続器;及び電源を含み得る。操作者は、支持構造に搭載される複数の針状電極を握り、生体又は植物の選択された組織の中へそれをしっかりと挿入することができる。次いで流体力学的な針を介して選択された組織の中に生体分子を送達する。プログラム可能な定電流パルス制御器が活性化され、複数の針状電極に定電流の電気パルスが適用される。適用された定電流の電気パルスは複数の電極間で細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0111】
Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号は、生体又は植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を円滑にするために使用され得る電気穿孔装置を記載している。電気穿孔装置は、その操作がソフトウエア又はファームウエアによって特定される電気動的装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、ユーザーの制御及びパルスパラメータの入力に基づくアレイにて電極間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生じ、電流波形データの保存及び獲得を可能にする。電気穿孔装置はまた、針状電極のアレイを有する置き換え可能な電極ディスク、注入針用の中央注入経路、及び取り外し可能なガイドディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0112】
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/0052630号に記載された電極アレイ及び方法は、筋肉のような組織だけでなく、他の組織又は臓器の中への深い浸透に適合させ得る。電極アレイの構造のために、(選択した生体分子を送達するための)注入針も標的臓器に完全に挿入され、注入は、電極によって事前に描かれる領域にて標的組織に垂直に行われる。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/005263号に記載された電極は、好ましくは長さ20mmで21ゲージである。
【0113】
さらに、電気穿孔装置及びその使用を組み入れる一部の実施形態に企図されるものには、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号及び2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、及び2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号にて記載されたものである電気穿孔装置がある。さらに、いずれの種々の装置を用いたDNAの送達に関係する、2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、及びDNAを注入する方法についての、2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号において提供された主題を網羅する特許が本明細書で企図される。上記特許はそれらの全体が参照によって組み込まれる。
【0114】
c.DNAプラスミドを調製する方法
本明細書で提供されるのは、本明細書で考察されるDNA構築物及びワクチンを含むDNAプラスミドを調製する方法である。DNAプラスミドは、哺乳類の発現プラスミドへの最終的なサブクローニング工程の後、当該技術で既知の方法を用いて大規模発酵にて細胞培養に植菌するのに使用することができる。
【0115】
本発明のEP装置とともに使用するためのDNAプラスミドは、既知の装置と技法の組み合わせを用いて製剤化する又は製造することができるが、好ましくは、それらは、2007年5月23日に出願された認可された同時係属米国仮特許出願第60/939,792号に記載されている最適化されたプラスミドの製造法を用いて製造される。一部の実施形態では、これらの試験で使用されるDNAプラスミドは、10mg/ml以上の濃度で製剤化することができる。製造法はまた、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる、認可された特許、2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号にて記載されたものを含む、米国特許出願第60/939792号にて記載されたものに加えて、当業者に一般的に既知である種々の装置及びプロトコールを含む又は組み入れる。上記で参照された出願及び特許、米国特許出願第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0116】
6.免疫調節性の組成物及び方法
一部の実施形態では、IL-12サブユニットをコードする核酸配列は、免疫原をコードする核酸配列を添加しないで送達される。そのような方法では、IL-12サブユニットをコードする核酸配列は、発現されて機能的なIL-12を産生する場合、個体に所望の免疫調節効果を付与する免疫治療剤として使用される。免疫原をコードする核酸配列の排除を除いて、IL-12サブユニットをコードする核酸配列は、上述のように提供され、送達される。そのような方法では、IL-12サブユニットをコードする核酸配列は、免疫治療剤として単独で、又は併用治療と題された節で記載されたもののような他の免疫調節性のタンパク質との併用で使用され得る。
実施例
【0117】
以下の実施例にて本発明をさらに説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を記載する一方で説明のためにのみ提供されることが理解されるべきである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、その精神と範囲から逸脱することなく、種々の用途及び条件に適合するように本発明の種々の変更及び改変を行うことができる。従って、本明細書で示され、記載されるものに加えた本発明の種々の改変は、前述の記載から当業者に明らかであろう。そのような改変は添付のクレームの範囲内に入るように意図される。
【実施例1】
【0118】
phuIL-12-optとphuIL-12-nonoptの発現レベルの比較
phuIL-12-optとphuIL-12-nonoptの発現レベルの比較を行って重要なコドン/RNAの最適化戦略が設計した合成IL-12の発現レベル/アジュバント効果を強化し得ることを示した。
【0119】
FuGene6形質移入試薬(Roche Applied Science、インディアナ州インディアナポリス)を用いて製造元の指示書によって6ウェルプレートにて、それぞれ2μg又は4μgのhuIL12-opt又はhuIL12-nonoptによって293T細胞(7.5×105)に形質移入した。DNA及びFuGene6形質移入試薬は、1μgのDNA:3μlのFuGene6試薬のDNA:FuGene6の比で順に無血清培地に加えた。200μlに等しい混合物の全体積を作製するのに必要とする量によって無血清培地の体積を決定した。混合物を細胞の各ウェルに加え、5%CO2環境にて37℃で48時間インキュベートした。インキュベートの終了時に、ELISAアッセイ用に上清試料を採取した。
【0120】
高タンパク質結合プレート(Nunc、ニューヨーク州ロチェスター)をヒトIL-12のELISAキット(Mabtech、オハイオ州マリーモント)からのモノクローナル抗体MT86/221の100μl/ウェルでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。インキュベートの後、PBST(0.1%のTween20を伴うDPBS)でプレートを2回洗浄し、0.05%のTween20と0.1%のBSAで補完した200μl/ウェルのDPBS溶液で1時間ブロックした。その後、プレートをPBSTで洗浄した。製造元の指示書を用いて、hIL-12p70(Mabtech、オハイオ州マリーモント)を用いて陽性標準を調製した。1:50、1:150、1:450、1:1350及び1:4050の希釈で100μl/ウェルの体積にて2つ組ウェルに陽性標準と上清試料を加えた。上記ブロッキング溶液を用いて試料及び陽性標準を希釈した。その後、プレートを4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートをPBSTで洗浄し、100μl/ウェルのmAB MT618-ビオチン(Mabtech、オハイオ州マリーモント)と共に1時間インキュベートした。インキュベートの後、プレートを再び洗浄し、ブロッキング緩衝液中の100μl/ウェルの1:1000で希釈したストレプトアビジン-HRPと共に1時間インキュベートした。次いでプレートを再びPBSTで洗浄し、TMB及び2NのH2SO4を用いて発色させた。分光光度計を用いて450nmにてプレートを読み取った。
【0121】
図1A及び1Bに示すように、huIL-12-optプラスミドはhuIL-12-nonoptに比べてIL-12の高い発現レベルを示す。明らかに、コドン/RNAの最適化戦略はIL-12の発現を改善する。
【実施例2】
【0122】
pMacIL-12-optによるワクチン接種によって誘発された増強されたPSA及びPSMAに特異的な細胞性の免疫応答
0.04mgのpMacIL-12-optと共に1mgのPSA及びPSMAを筋肉内投与することによってアカゲザルを免疫し、その後Inovio Pharmaceuticals製のCellectra装置によって電気穿孔法を行った。各免疫の2週間後、アカゲザルから採血し、PSA及びPSMAに特異的なIFNγのELISpotアッセイのためにPBMCを単離した。pMacIL-12-optを投与された動物の群は、pMacIL-12-optを投与されなかった動物の群に比べてピーク応答で約3倍の増大を示した(
図2)。
【実施例3】
【0123】
pMacIL-12-optによるワクチン接種によって誘発された増強されたHBVのコア及び表面抗原に特異的な細胞性の免疫応答
0.04mgのpMacIL-12-optと併用して1mgのコア及び表面抗原を筋肉内投与することによってアカゲザルを免疫し、その後Inovio Pharmaceuticals製のCellectra装置によって電気穿孔法を行った。各免疫の2週間後、アカゲザルから採血し、コア及び表面抗原に特異的なIFNγのELISpotアッセイのためにPBMCを単離した。pMacIL-12-optを投与された動物の群は、pMacIL-12-optを投与されなかった動物の群に比べて細胞性応答の高い程度及び幅を示した(
図3)。
【表3-1】
【表3-2】
【配列表】