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特許7129115双方向共振コンバータの磁気平衡回路及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】双方向共振コンバータの磁気平衡回路及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
H02M3/28 L
H02M3/28 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021063306
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022075465
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】202011211497.3
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519259098
【氏名又は名称】シェンヂェン ヴイマックス ニュー エネルギー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen VMAX New Energy Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】5F,Fengyun Building, No.5 Road, science park(North), Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518000 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】フォン インイン
(72)【発明者】
【氏名】イャオ シュン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジンヂュ
(72)【発明者】
【氏名】アオ ファ
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-164365(JP,A)
【文献】国際公開第2020/152746(WO,A1)
【文献】特開2015-154506(JP,A)
【文献】特開2016-134932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側変換回路と変圧器と2次側変換回路と制御器と含み、前記1次側変換回路は、第一キャパシタC1を介して前記変圧器の1次巻線W1に接続され、前記変圧器の2次巻線と前記2次側変換回路との間に変流器CTが設けられ、
前記2次側変換回路は2次側第一変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は前記変圧器の第一2次巻線W2に接続されており、
前記2次側第一変換回路は、第五スイッチQ5と第六のスイッチQ6と第七のスイッチQ7と第八スイッチQ8とを含み、前記第五スイッチQ5と前記第六のスイッチQ6と前記第七のスイッチQ7と前記第八スイッチQ8とがキャビティを構成しており、前記第五スイッチQ5及び前記第七スイッチQ7は、上下に直列接続されて第一ブリッジアームを形成し、前記第六スイッチQ6と前記第八スイッチQ8は、上下に直列接続されて第二ブリッジアームを形成し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8は同期作動し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7は同期作動し、
前記変流器CTに検出された前記2次側変換回路の前記キャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと前記2次側変換回路の前記キャビティ内における電流の負方向成分Inegativeとにより、前記制御器はさらに前記2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御し、
前記制御器は、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Is を得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Is を得、前記負方向成分積分Is を前記正方向成分から差し引いて差Isを得、
差Isがゼロより大きい場合、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロより小さい場合、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロに等しい場合、前記第五スイッチQ5、前記第六スイッチQ6、前記第七スイッチQ7及び前記第八スイッチQ8のデューティ比を変更しないことを特徴とする、双方向共振コンバータの磁気平衡回路。
【請求項2】
前記2次側変換回路は、2次側第一変換回路および2次側第二変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は、前記変圧器の第一2次巻線W2に接続され、前記2次側第一変換回路と前記変圧器の前記第一2次巻線W2との間に前記変流器CTが設けられ、前記2次側第二変換回路は、前記変圧器の第二2次巻線W3及び前記変圧器の第三2次巻線W4に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の双方向共振コンバータの磁気平衡回路。
【請求項3】
1次側変換回路と変圧器と2次側変換回路と制御器とを含み、前記1次側変換回路は、第一キャパシタC1を介して前記変圧器の1次巻線W1に接続され、前記変圧器の2次巻線と前記2次側変換回路との間に変流器CTが設けられ、
前記2次側変換回路は2次側第一変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は前記変圧器の第一2次巻線W2に接続されており、
前記2次側第一変換回路は、第五スイッチQ5と第六のスイッチQ6と第七のスイッチQ7と第八スイッチQ8とを含み、前記第五スイッチQ5と前記第六のスイッチQ6と前記第七のスイッチQ7と前記第八スイッチQ8とがキャビティを構成しており、前記第五スイッチQ5及び前記第七スイッチQ7は、上下に直列接続されて第一ブリッジアームを形成し、前記第六スイッチQ6と前記第八スイッチQ8は、上下に直列接続されて第二ブリッジアームを形成し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8は同期作動し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7は同期作動する双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法であって、
前記2次側変換回路の前記キャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと前記2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集して、採集された成分により前記2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御することを含み、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Is を得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Is を得、前記負方向成分積分Is を前記正方向成分から差し引いて差Isを得ることを更に含み、
差Isがゼロより大きい場合、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロより小さい場合、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロに等しい場合、前記第五スイッチQ5、前記第六スイッチQ6、前記第七スイッチQ7及び前記第八スイッチQ8のデューティ比を変更しないことを特徴とする、双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法。
【請求項4】
前記2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと前記2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Isがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ5に移り、そうでない場合はステップ6に移るステップ4と、
前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ5と、
差Isがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ7に移り、そうでない場合はステップ8に移るステップ6と、
前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ7と、
前記第五スイッチQ5、前記第六スイッチQ6、前記第七スイッチQ7及び前記第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ9に移るステップ8と、
デューティ比の調整が終了するステップ9とを含むことを特徴とする、請求項に記載の双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法。
【請求項5】
前記2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと前記2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeとを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Is電流調整パラメータIrefから差し引いて、2p2zループ計算を実行し、ループ結果Loopoutを得るステップ4と、
ループ結果Loopoutがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ6に移り、そうでない場合はステップ7に移るステップ5と、
前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ6と、
ループ結果Loopoutがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ8に移り、そうでない場合はステップ9に移るステップ7と、
前記第六スイッチQ6と前記第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、前記第五スイッチQ5と前記第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ8と、
前記第五スイッチQ5、前記第六スイッチQ6、前記第七スイッチQ7及び前記第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ10に移るステップ9と、
デューティ比の調整が終了するステップ10とを含むことを特徴とする、請求項に記載の双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法。
【請求項6】
前記電流調整パラメータIrefは0に等しいことを特徴とする、請求項に記載の双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換器、特に双方向共振コンバータの磁気平衡回路及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に車載OBCや太陽光発電やエネルギー貯蔵などの応用で双方向隔離トポロジーが普及しているため、隔離変圧器を備え、双方向の送電を必要とする要求はより緊急になる。現在、従来のト双方向送電のポロジーでは、双方向共振トポロジー(CLLC)や両側能動スイッチトポロジー(DAB)やフルブリッジ直列共振トポロジー(DBSRC)などのトポロジーが主に普及している。これらのトポロジーでは、磁気平衡の問題を考慮する必要があるため、キャパシタを1次ループと2次ループの両方に直列接続する必要があり、キャパシタの特性である「ACが通過、DCが遮断」を利用してDC成分が遮断して、磁気平衡の問題を解決したことになる。DAB構造には、ピーク電流を制御する複雑なモードによって磁気平衡の問題を解決するように両側に同時に変流器(CT)を追加する必要があるいくつかの解決手段がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の解決手段には、次の欠点がある。
【0004】
1、キャパシタは電源の両側に直列接続され、伝送を必要とするエネルギーが高い場合、電流は非常に高くなることがよくある。このとき、キャパシタの容量とコストは大幅に増加し、製品の競争力が低下したことになる。
【0005】
2、ピーク電流を制御するモードによる磁気バランス問題の解決手段は、DABトポロジーにのみ適用でき、且つ制御算法の要件が非常に高いため、DSPの内部比較器を使用する必要があることにより、これに基づいて3ポートのアップグレードを実現することは基本的に不可能である。
【0006】
3、ピーク電流を制御するモードは、DBSRCの制御に使用できない。または、電源の両側にキャパシタを追加するしかない。一部のキャパシタは共振を実現するのに用いられ、他のキャパシタは「ACが通過、DCが遮断」という作用に用いられる。
【0007】
したがって、双方向伝送機能を備えた隔離DCDC構造に適用され、磁気回路の平衡制御を実現して飽和を回避し、同時にDC隔離キャパシタを排除できるピーク電流制御方法を設計する方法は、業界で緊急に解決すべき問題である。
【0008】
従来技術における上記の欠陥を解決するために、本発明は、双方向共振コンバータの磁気平衡回路及びその制御方法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に採用される技術は、1次側変換回路と変圧器と2次側変換回路と制御器と含み、前記1次側変換回路は、第一キャパシタC1を介して前記変圧器の1次巻線W1に接続され、前記変圧器の2次巻線と2次側変換回路との間に変流器CTが設けられ、前記変流器CTに検出された2次側変換回路のキャビティ(ループ)内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeとにより、前記制御器はさらに2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御する、双方向共振コンバータの磁気平衡回路を設計する。
【0010】
前記2次側変換回路は2次側第一変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は変圧器の第一2次巻線W2に接続されている。
【0011】
前記2次側変換回路は、2次側第一変換回路および2次側第二変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は、変圧器の第一2次巻線W2に接続され、前記2次側第一変換回路と変圧器の第一2次巻線W2との間に前記変流器CTが設けられ、前記2次側第二変換回路は、変圧器の第二2次巻線W3及び変圧器の第三2次巻線W4に接続されている。
【0012】
前記第一変換回路は、第五スイッチQ5と第六のスイッチQ6と第七のスイッチQ7と第八スイッチQ8とを含み、第五スイッチQ5及び第七スイッチQ7は、上下に直列接続されて第一ブリッジアームを形成し、第六スイッチQ6と第八スイッチQ8は、上下に直列接続されて第二ブリッジアームを形成し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8は同期作動し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7は同期作動する。
【0013】
また、本発明は、双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法であって、前記制御方法は、2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeとを採集して、採集された成分により2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御することを含む。
【0014】
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得、前記負方向成分積分Isを前記正方向成分から差し引いて差Isを得ることを更に含み、
差Isがゼロより大きい場合、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロより小さい場合、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロに等しい場合、第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更しない。
【0015】
同じ設計方案に係る双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法は、2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Isがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ5に移り、そうでない場合はステップ6に移るステップ4と、
第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ5と、
差Isがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ7に移り、そうでない場合はステップ8に移るステップ6と、
第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ7と、
第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ9に移るステップ8と、
デューティ比の調整が終了するステップ9とを含む。
【0016】
別の設計方案に係る双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法は、2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Isから電流調整パラメータIrefを差し引いて、2p2zループ計算を実行し、ループ結果Loopoutを得るステップ4と、
ループ結果Loopoutがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ6に移り、そうでない場合はステップ7に移るステップ5と、
第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ6と、
ループ結果Loopoutがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ8に移り、そうでない場合はステップ9に移るステップ7と、
第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ8と、
第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ10に移るステップ9と、
デューティ比の調整が終了するステップ10とを含む。
【0017】
好ましい実施例では、前記電流調整パラメータIrefは0に等しい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって提示される技術的解決策の有益な効果は以下の通りである。
【0019】
本発明では、双方向共振コンバータの両側の磁気偏差現象を有効的に排除して磁気回路の平衡制御を実現し、それによって飽和を回避し、2次ループのDC隔離キャパシタを無くすことができ、機器の体積とコストを削減する。また、元の双方向共振コンバータに基づいて追加される部品が少なくなり、製品の競争力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、実施例及び図面と併せて以下に詳細に説明される。
【0021】
図1図1は、既存の2ポートDCDCコンバータの回路図である。
図2図2は、図1のトポロジー等価図である。
図3図3は、本発明の2ポートDCDCコンバータの回路図である。
図4図4は、本発明の好ましい実施例におけるCT電流検出回路の回路図である。
図5図5は、図3の回路の電流及び電圧波形のシミュレーション図である。
図6図6は、図3の回路の磁化曲線の概略図である。
図7図7は、既存の3ポートDCDCコンバータの回路図である。
図8図8は、本発明の3ポートDCDCコンバータの回路図である。
図9図9は、本発明の好ましい実施例の制御原理図である。
図10図10は、本発明の2次側変換回路の効率スイッチのデューティ比を調整する概略図である。
図11図11は、本発明の一実施例の制御フローチャートである。
図12図12は、本発明の別の実施例の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、本発明は、以下の図面及び実施例を参照してさらに詳細に説明される。本明細書に記載の特定の実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されないことを理解すべきである。
【0023】
本発明は、この磁気偏差現象を抑制するための制御方法を使用することを意図している。特にフルブリッジ直列共振トポロジー(DBSRC)では、1次共振キャパシタと共振インダクタが共振キャビティを形成し、2次側変換回路では、変流器と出願された制御算法によりDC隔離キャパシタを無くすことができる。例えば、図1に示された従来技術の2ポートDCDCコンバータの回路図におけるC2を削除する可能性がある。
【0024】
図2は、図1のトポロジー等価図を示す。ここで、Isは1次共振キャビティにおける電流であり、Imは励起電流であり、Ipは2次キャビティの電流である。
【0025】
このトポロジーC1が存在するとともに、「ACが通過、DCが遮断」などのキャパシタの特性を利用することにより、次の式を得ることができる。
【数1】
【0026】
L1インダクタが飽和しないことは保証されている。2次キャパシタC2の存在は、
【数2】
をもたらす。
【0027】
変圧器の励起電流は、
【数3】
なので、変圧器にとっては
【数4】
である。
【0028】
式(4)については、1次電流積分が0であり、2次積分が0である限り、変圧器が飽和しないことは保証される。
【0029】
図1に示された既存の回路の欠点は、C2キャパシタのコストが比較的高く、キャパシタの充放電特性は、
【数5】
を維持するのに用いられる。このトポロジーの2次電流積分は、2次スイッチチューブのデューティ比を変更することによりゼロに維持される。回路は図3に示されている。
【0030】
図1では、IsとIsはそれぞれ次のとおりである。
【数6】
ここで、Ipositiveとは、2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分を指す。
【数7】
ここで、Inegativeとは、2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分を指す。
【0031】
制御器は、IsとIsの信号を同期的にサンプリングし、2つの信号の値が等しくなるように制御する。これは次の式である。
Is=Is、即ち、
【数8】
【0032】
したがって、2次側変換回路の電流積分は0である。
【数9】
【0033】
この時点でIs=Isが確立されていない場合(Is>IsまたはIs<Isなど)、Q5、Q6、Q7及びQ8の1つまたは2つのデューティ比を制御することにより、2次側変換回路のキャビティ内で電流を順方向または逆方向に部分的にわずかに調整することは達成される。そしてIs=Isを得る。
【0034】
例えば、Is>Isのとき、2次側変換回路キャビティ内の電流の順方向成分電流は、逆方向成分電流よりも大きい。図3に示されるように、順方向成分電流を構築するための経路は、Q6、Q7がオンに切り替えられ、Q5、Q8がオフに切り替えられる。目標は、Isを減らすか、Isを増やすことである。実施例では、Q6とQ7の導通時間を短縮することにより、Isを削減し、Is=Isという目標を達成することができる。
【0035】
CT電流検出ユニットの設計例を図4に示す。この設計に基づいて、シミュレーション波形を作成し、シミュレーションを実行する。シミュレーション波形を図5に示している。図5に示されるように、IpositiveとInegativeとの間の差の電流値は0.5683Aであり、直接測定されたキャビティ内の電流のDC成分は0.55962Aである。両者は基本的に近い。ダイオードや抵抗などの離散型を考えると、両者に一定の違いがあることは避けらない。しかし、アンペールの法則によれば、H*l=N*I;ここで、H=B/μ、特定量のDC Iは特定量のB値の磁気バイアスを生成し、B値の磁気バイアスを制御するだけでプロセス中に磁気飽和がないことを保証することができる。図6に示されるように、予想された磁気作用曲線は実線「-」であり、実際のハードウェアサンプリングの偏差を考えると、実際の磁気作用曲線は破線「---」である。ただし、全体的なBmaxおよびBminの制限を超えることはなく、この作業は引き続き安全である。
【0036】
上記の制御方法は、フルブリッジ直列共振トポロジー(DBSRC)の2ポート回路に適用され、3ポートの磁気統合トポロジー(I系列)ソリューションに伸展できる。過去の制御ソリューションでは、DC隔離キャパシタを必要とする。例えば、図7では、C4はDC隔離キャパシタである。
【0037】
C4の存在のためだけには、2次側第一変換回路から2次側第二変換回路への送電を単純に制御する場合、ピーク電流制御モードのみを採用することができる。本発明の磁気平衡制御方法を採用した後、図8に示された回路図を使用できる。これは、図8から見られると、元のDC隔離キャパシタを削除して、3ポートの磁気統合トポロジ(I系列)の出力密度をさらに高め、顧客向けの製品の競争力をさらに向上させることができる。
【0038】
図9は、本発明の制御原理ブロック図を示している。ADCAとADCBは、それぞれIsとIsをサンプリングし、対応する積分を実行してから、減算を実行する。設定基準は0であり、それによってPIDプロセスを実行し、Q6、Q7、Q5、Q8のPWM制御信号を出力する。
【0039】
本発明は、図3を参酌すると、1次側変換回路と変圧器と2次側変換回路と制御器と含み、前記1次側変換回路は、第一キャパシタC1を介して前記変圧器の1次巻線W1に接続され、前記変圧器の2次巻線と2次側変換回路との間に変流器CTが設けられ、前記変流器CTに検出された2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeにより、前記制御器はさらに2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御する、双方向共振コンバータの磁気平衡回路ことが開示されている。
【0040】
一実施例では、2次側変換回路は2次側第一変換回路を含み、2次側第一変換回路は変圧器の第一1次巻線W2に接続されている。この実施例は、車載充電器に適用された2ポートDCDCコンバータの例を与える。その1次側変換回路は充電パイル(または商用電源)に接続でき、その2次側第一変換回路は車両の高電圧バッテリーに接続できる。
【0041】
図7に示された別の実施例を参照すると、前記2次側変換回路は、2次側第一変換回路および2次側第二変換回路を含み、前記2次側第一変換回路は、変圧器の第一2次巻線W2に接続され、前記2次側第一変換回路と変圧器の第一2次巻線W2との間に前記変流器CTが設けられ、前記2次側第二変換回路は、変圧器の第二2次巻線W3及び変圧器の第三2次巻線W4に接続されてい。この実施例は、車載充電器に適用された3ポートDCDCコンバータの例を示している。その1次側変換回路は充電パイル(または商用電源)に接続でき、その2次側第一変換回路を車両の高電圧バッテリーに接続でき、その2次側第二変換回路を車両の低電圧機器に接続できる。
【0042】
好ましい実施例では、前記第一変換回路は、第五スイッチQ5と第六のスイッチQ6と第七のスイッチQ7と第八スイッチQ8とを含み、第五スイッチQ5及び第七スイッチQ7は、上下に直列接続されて第一ブリッジアームを形成し、第六スイッチQ6と第八スイッチQ8は、上下に直列接続されて第二ブリッジアームを形成し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8は同期作動し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7は同期作動する。
【0043】
本発明は、前記平衡回路は双方向共振コンバータの磁気平衡回路を備え、前記制御方法は、2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集して、採集された成分により2次側変換回路のスイッチのデューティ比を制御する、双方向共振コンバータの磁気平衡回路の制御方法であることが開示されている。
【0044】
好ましい実施例では、正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得、前記負方向成分積分Is-を前記正方向成分から差し引いて差Isを得ることを更に含み、
差Isがゼロより大きい場合、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロより小さい場合、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させ、
差Isがゼロに等しい場合、第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更しない。
【0045】
図11に示された実施例のフローチャートを参照すると、双方向共振変換器の磁気平衡回路を制御するための方法は下記通り、
【0046】
2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Isがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ5に移り、そうでない場合はステップ6に移るステップ4と、
第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ5と、
差Isがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ7に移り、そうでない場合はステップ8に移るステップ6と、
第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ9に移るステップ7と、
第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ9に移るステップ8と、
デューティ比の調整が終了するステップ9とを含む。
【0047】
図12に示された実施例の別のフローチャートを参照すると、双方向共振変換器の磁気平衡回路を制御するための方法は下記通り、
2次側変換回路のキャビティ内における電流の正方向成分Ipositiveと2次側変換回路のキャビティ内における電流の負方向成分Inegativeを採集するステップ1と、
正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して正方向成分積分Isを得、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して負方向成分積分Isを得るステップ2と、
前記負方向成分積分Isを前記正方向成分積分Isから差し引いて差Isを得るステップ3と、
差Isから電流調整パラメータIrefを差し引いて、2p2zループ計算を実行し、ループ結果Loopoutを得るステップ4と、
ループ結果Loopoutがゼロより大きいかどうかを判断し、そうである場合はステップ6に移り、そうでない場合はステップ7に移るステップ5と、
第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を50%に設定し、第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ6と、
ループ結果Loopoutがゼロより小さいかどうかを判断し、そうである場合はステップ8に移り、そうでない場合はステップ9に移るステップ7と、
第六スイッチQ6と第七スイッチQ7のデューティ比を50%に設定し、第五スイッチQ5と第八スイッチQ8のデューティ比を減少させてステップ10に移るステップ8と、
第五スイッチQ5、第六スイッチQ6、第七スイッチQ7及び第八スイッチQ8のデューティ比を変更せずにステップ10に移るステップ9と、
デューティ比の調整が終了するステップ10とを含む。
【0048】
すべての部品が理想的な状態にある時、第5スイッチQ5、第6スイッチQ6、第7スイッチQ7及び第8スイッチQ8のデューティ比はすべて50%であり、Is=Is、Is=0である。したがって、コンバータは磁気バランスを実現する。各スイッチパラメータにはわずかな違いがあり、干渉を受けるため、デューティ比が50%の場合、つまりIs≠Isであり、それは電流調整パラメータIrefを設定することにより調整できる。好ましい実施例では、電流調整パラメータIrefはゼロに等しい。
【0049】
図9に示された本発明の好ましい実施例における制御原理図を参照すると、本発明のステップを制御器にどのように実行するかを示している。制御器のADCAは、正方向成分Ipositiveに対して積分演算を実行して、正方向成分の積分Isを得る。ADCBは、負方向成分Inegativeに対して積分演算を実行して、負方向成分の積分Isを得る。減算器で減算を実行してIs-Isである。電流調整パラメータIrefをIsから差し引き、2p2zループ計算を実行してループ結果Loopoutを得る。ループアウト:PWMドライバは、Loopoutの結果に従ってQ6、Q7、Q5及びQ8のPWM制御信号を出力する。
【0050】
ループ結果Loopoutに従ってPWM制御信号を制御する概略図を図10に示す。図の左側はLoopout=0であり、第5スイッチQ5、第6スイッチQ6、第7スイッチQ7及び第8スイッチQ8のデューティ比はすべて50%である。図の中央部分はLoopout>0であり、第5スイッチQ5と第8スイッチQ8のデューティ比は50%に設定され、第6スイッチQ6と第7スイッチQ7のデューティ比は減少している。図の右側はLoopout<0であり、第6スイッチQ6と第7スイッチQ7のデューティ比は50%に設定され、第5スイッチQ5と第8スイッチQ8のデューティ比は減少している。
【0051】
さらに、正方向成分Ipositiveと負方向成分Inegativeは、それぞれ制御器の2つの内部比較器の正入力端子に送られる。負入力端子の比較基準値をソフトウェアで設定し、比較結果をPWMモジュールに送信してピーク値過電流保護を行う。
【0052】
上記の実施例は単なる例であり、限定するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それに対する同等の修正または変更は、本発明の請求項の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12