(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】麺線カット・搬送装置
(51)【国際特許分類】
A21C 11/00 20060101AFI20220825BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20220825BHJP
【FI】
A21C11/00 B
A23L7/109 J
(21)【出願番号】P 2017065902
(22)【出願日】2017-03-29
【審査請求日】2019-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安田 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀生
(72)【発明者】
【氏名】江口 晃
(72)【発明者】
【氏名】乗附 順行
(72)【発明者】
【氏名】日比 貴昭
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】マキロイ 寛済
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176916(JP,A)
【文献】特開昭63-129946(JP,A)
【文献】実開平07-005386(JP,U)
【文献】特開2001-078651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 11/00
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)複数の纏り状態の
蒸煮後の麺線群をコンベア搬送し、当該コンベア端より前記麺線群を垂下させて搬送する麺線群の搬送機構と、
2)前記垂下させた纏り状態の隣り合う麺線群を前記コンベア搬送方向の前後に交互に振り分ける機構と、
3)当該振り分けた複数の纏り状態の麺線群を、それぞれの纏りごとに個別に水平方向にカットする複数の回転カット装置と、
4)前記カットされた麺線群を収納・排出する複数のホッパー部と、
5)当該ホッパー部に収納された麺線群の重量を測定する計測機構と、
6)前記計測された麺線群の重量に応じて個別に前記回転カット装置の回転速度を制御する複数の制御機構と、
7)前記ホッパー部より排出後の麺線群を収納する型枠を有し、当該型枠を複数列有する型枠搬送装置とを、備えた麺線カット・搬送装置。
【請求項2】
前記麺線群を収納するホッパー部の上部に、カットされた麺線群を集積・排出するプレホッパーを有する請求項1に記載の麺線カット・搬送装置。
【請求項3】
前記カット装置の下方に、カットされた麺線群の所定カット数を集積・排出するストック部を備えた請求項1又は2に記載の麺線カット・搬送装置。
【請求項4】
前記カット装置が複数のギアの組合せによるカッターユニットである請求項1~3のいずれかに記載の麺線カット・搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生麺や蒸煮麺、さらに即席麺等の麺線群の製造ラインにおいて利用できる麺線カット・搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生麺、蒸煮麺及び即席麺の製造等においては、一般には、小麦粉・そば粉・澱粉等の原材料を入れ、練水(食塩、かんすい、増粘多糖類等を溶解したもの)を給水・混ねつし、ドウと称される麺生地を調製する。
そして、調製後の麺生地(ドウ)を圧延機により麺帯に調製し複合する。複合後の麺帯を複数の圧延機により圧延し、圧延後の麺帯を切刃ロールにより切出す。
ここで、生麺の場合、当該切り出し後の麺線群を複数の纏りにして搬送させた後、垂下させた状態でカットして所定の型枠に収納することができる。
【0003】
また、即席麺の場合には、切り出し後の麺線群をコンベア上に積層させて搬送し、当該麺線群を蒸煮(蒸し又は茹で)した後、必要に応じて着味や引張の工程を経て複数の纏りに区分けしつつコンベア搬送し、当該複数の纏りを垂下させた状態でカットして、ホッパー等を介して、型枠に順次投入してから、当該型枠を油熱乾燥又は熱風乾燥して麺塊を製造する。
【0004】
ここで、切出しや蒸煮後の各麺線の重量については、麺帯の厚みの変動等によって麺線ごとに微妙に異なる場合がある。また、麺線群をウエーブ処理(ちじれ状態)にすると、単位長さ当たりの麺線重量が異なる場合がある。このため、麺線群を一纏りにした各纏りの麺線重量を単位長さにおいて一定にすることが困難である。
そして、従来まで、各纏りの麺線群をカットする際には、当該各纏りの麺線群を垂下させて、当該垂下させた状態で、水平に軸を有し、複数の纏りの麺線群を横断する一本の回転刃を有する回転カット装置を用いてカットして、カット後の麺線群を落下させて、ホッパーに回収し、当該麺線群を所定の型枠に供給する、という手法を採用していた(例えば、
図1参照)。
【0005】
しかし、当該方法においては、
図1に示すように各麺線群の纏りごとの重量の調整ができないため、纏りごとの麺線群の重量に相違が生じる場合がった。
このような麺線群の重量の相違が問題点を解決する先行技術として、以下の特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-111817 しかし、特許文献1に記載の技術は、麺線を垂下させてカットするタイプではない、また、茹で麺に限定されたものであり、また、複雑な構造を有するものと思料される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、複数の纏りを有する麺線群を垂下させて水平でカットするタイプにおいて従来より正確に各カットごとにおける麺線重量の均一化を図る方法を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らの鋭意研究の結果、生又は蒸煮後の麺線群を略水平方向にコンベア搬送し、当該コンベア端より前記麺線群を複数の纏りとして垂下させた麺線群について、当該垂下した麺線群を、それぞれの纏りごとに個別に(独立に)水平方向にカットする方向を採用することが好適であることを見出した。
すなわち、当該カット後の麺線群の重量を測定し、当該カット時間を制御することで、1カットごとの麺線群の重量を調整する方法が可能であることを見出した。
すなわち、
図2に示すように、各レーンごとに、カット装置、及び当該カット間隔を調整する制御装置の個別制御とすることで、各列から型枠に供給される麺線群の重量を概ね均一にできることを見出した。
すなわち、本願第一の発明は、
「1)垂下させた複数の纏りの麺線群を、それぞれの纏りごとに個別に水平方向にカットする複数の回転カット装置と、
2)前記カットされた麺線群を収納・排出する複数のホッパー部と、
3)当該ホッパー部に収納された麺線群の重量を測定する計測機構と、
4)前記計測された麺線群の重量に応じて個別に前記回転カット装置の回転速度を制御する複数の制御機構と、
5)前記ホッパー部より排出後の麺線群を収納する型枠を有し、当該型枠を複数列有する型枠搬送装置とを、備えた麺線カット・搬送装置。」、である。
【0009】
次に、上記の麺線カット・搬送装置はカット装置に供給する装置として麺線群をコンベア搬送し、当該コンベア端より前記麺線群を複数の纏りとして垂下させる方法が好適である。
すなわち、本願第二の発明は、
「前記麺線カット・搬送装置が、さらに、麺線群をコンベア搬送し、当該コンベア端より前記麺線群を複数の纏りとして垂下させて搬送する麺線群の搬送機構を備えた請求項1に記載の麺線カット・搬送装置。」、である。
【0010】
次に、前記ホッパー部の手前にカットされた麺線群を集積するプレホッパーを設ける方が、落下する麺線群の衝撃を軽減し、安定した重量測定をするのに好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
「前記麺線群を収納するホッパー部の上部に、カットされた麺線群を集積・排出するプレホッパーを有する請求項1又は2のいずれかに記載の麺線カット・搬送装置。」、である。
【0011】
次に、前記カットされた麺線群の所定カット数を一旦集積するために、ストック部を設ける方が好ましい。
すなわち、本願第四の発明は、
「前記カット装置の下方に、カットされた麺線群の所定カット数を集積・排出するストック部を備えた請求項1~3のいずれかに記載の麺線カット・搬送装置。」、である。
【0012】
次に、前記カッター装置は、ギア式のユニット型のカット装置であることが好ましい。
すなわち、本願第五の発明は、
「前記カット装置が複数のギアの組合せによるカッターユニットである請求項1~4のいずれかに記載の麺線カット・搬送装置。」、である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来までの複数纏りの麺線群のカット方式について示した模式図である。
【
図2】本発明の複数纏りの麺線群のカット方式について示した模式図である。
【
図3】本発明の第一実施態様の麺線カット・搬送装置の斜視模式図である。
【
図4】本発明の第一実施態様の型枠の搬送装置の斜視模式図である。
【
図5】本発明の第一実施態様の麺線カット・搬送装置について側面模式図である。
【
図6】本発明の第一実施態様の麺線カット・搬送装置について正面模式図及び、カッターユニットの斜視図である。
【
図7】本発明の第一実施態様の麺線カット装置へ複数纏りの麺線群を供給するコンベア装置の斜視模式図である。
【
図8】本発明の第一実施態様のカッター装置(回転ロールカッター及び受けロール)の側面模式図である。
【
図9】本発明の第一実施態様のカッターユニット及び回転制御がされるサーボモータの右側面図である。
【
図10】本発明の第一実施態様における回転カット装置によりカットされる麺線群と水車の断面模式図である。
【
図11】プレホッパー部に収容されたカット後の麺線群を排出する2態様について示した正面図である。
【
図12】本発明の第二実施態様の側面模式図である。
【
図13】本発明の第三実施態様の斜視模式図である。
【
図14】本発明の第三実施態様の側面模式図である。
【
図15】本発明の第三実施態様の麺線分岐部を示した斜視模式図である。
【符号の説明】
【0014】
1 搬送コンベア
3 回転カット装置
5 水車
7 誘導管
9 プレホッパー
11 計量ホッパー
13 第1シュート
15 第2シュート
17 型枠搬送装置
19 リテーナ
21 型枠
23 除去エリア
31 回転ロールカッター部
33 受けロール部
35 カッターユニット
37 サーボモータ
41 分岐部
51 背面板
M 麺線群
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施態様について図面を参照しつつ説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
図3は本発明の第一の実施形態の麺線カット・搬送装置の第一の実施態様の斜視模式図である。また、
図4は搬送装置の型枠21の部分を示したものである。
図5は、
図1の麺線カット・搬送装置について右側面から見た図である。
図6は、
図1の麺線カット・搬送装置について正面図である。また、当該カット装置のユニット部分の斜視模式図を引き出し線で示している。
【0016】
〇全体の構成
図3に示すように、本願第一の実施態様においては、上部の搬送コンベア1においては、蒸煮された後において、複数の纏りごととなっている麺線群Mが連続的に搬送コンベア1上で搬送されている。尚、本実施態様では蒸煮後の麺線群を対象としているが、生麺にも適用できることは勿論である。
また、本第一の実施態様において型枠搬送装置17は、具体的には、
図4に示すように複数列の型枠21が一連となったリテーナ19がコンベア進行方向と垂直に位置するように連続して配置されている。
【0017】
尚、本特許書類においては
図4に示すように、各型枠21が一連となった各リテーナ19において、コンベアの進行方向に対して、平行な向きの方向を各“レーン”と称する。また、コンベアの進行方向に対して、垂直な方向を各“列”と称することとする。
前記の複数の纏りの麺線群Mはコンベア端より、垂下して搬送される。当該垂下した麺線群Mは、続いてカット装置に供される。当該カット装置は、他の列に依存せず、個別のカットが可能となっている。
【0018】
本発明の第一の態様においては、
図3、
図6に示すように各列のカット装置ごとに個別のカットユニットが装着されており、また、それぞれの独自のカット速度の制御ができるように制御装置が設けられている。これによって各レーンごとの個別制御を実現している。当該カット装置において、所定の長さでカットされる、カットされた麺線群Mは、一旦水車5において、所定カット数(例えば、1カット~6カット分)の麺線群Mが積層・収納される。
【0019】
また、当該カット装置には、制御装置(詳細を図示しない)が連結されており、後述する計量ホッパー部での重量測定の結果に応じて、1カットごとの麺線重量を所定重量範囲内とするため、カット時間(カットタイミング)を調整できるようにフィードバック制御機構が設けられている。このように、本実施態様におけるカット装置については、各列ごとに個別に(独立に)カットする機構となっており、各列ごとに個別の制御機構が設けられている。
【0020】
所定カット数分の麺線群Mが収納されると、水車5が回転して、麺線群Mは、麺の誘導管7を通過して、落下し、プレホッパー9で一旦保持される。
次に、プレホッパー9の底部が開閉し、麺線群Mは計量ホッパー11に落下する。当該計量ホッパー11には、ロードセルが装着されており、前述のようにプレホッパー9より落下して計量ホッパー11に収納された麺線群Mの重量を測定することができるようになっている。
【0021】
当該計量ホッパー11での計量後の麺線群Mは、所定範囲の重量であった場合には、第1シュート13に麺線群Mは供給されて、当該第1シュート13を経由して第2シュート15(移動式供給シュート)に麺線群Mが供給される。
【0022】
尚、所定の重量範囲外の重量であった場合には、第1シュート13横に設置された除去エリア23に麺線群Mが排出され、第1シュート13には麺線群Mは供給されず、所定重量外の麺線群Mの供給を回避することができる。
また、本発明の実施態様においては、計量ホッパー11をコンベアの進行方向前後に2基を並べた形態となっている。
【0023】
これは、計量ホッパー11の重量について、交互にプレホッパー9からの麺線群Mを順に交互に収納するように設定しておく、このようにしておくことで空の方の一方の計量ホッパー11が正確な重量を測定するためにゼロ点調整をすることができることが可能となる。第2シュート15(物品供給口)は型枠搬送に“追従”できるよう構成されており、前述のように物品供給のための所定のタイムラグ(時間猶予)を確保している。
尚、各図においてはカット装置の回転のための動力部や型枠搬送機構の動力部等は省略してある。
【0024】
〇本発明の用途
本発明は生麺、蒸煮麺(蒸し麺、茹で麺)及び即席麺等に利用される麺線群Mのカット装置に関するものである。生麺、蒸煮麺(蒸し麺、茹で麺)及び即席麺は、一般に以下のように製造される。すなわち、小麦粉・澱粉等と水等を混合してドウを形成し、当該ドウを複合等により麺帯とする。次に、当該麺帯は圧延工程により薄く延ばされる。圧延後の麺帯は切出しロールより麺線に切り出される。
【0025】
生麺の場合は当該切り出された麺線群がカットされる。一方、蒸煮麺や即席麺の場合、該麺線は蒸煮又は茹で処理等でα化される。尚、該α化には、過熱蒸気を用いてもよい。 次いで必要に応じて着味された後に回転刃(回転ロールカッター31)でカットされる。カット後の麺線は型枠21(リテーナ19)に収納されそのまま搬送されたり、即席麺の場合には、さらに油熱乾燥や熱風乾燥により処理されて即席麺塊が完成する。
本発明の処理対象となる麺線群Mは上述のうち、生麺として切出された麺線群又は切り出されて蒸煮されα化された麺線群M又は必要に応じて着味された麺線群Mをカットし、さらに型枠21への収納するための装置である。
【0026】
尚、本発明で処理対象となる麺線群Mは中華めん、あるいはうどん、そば、パスタ等、様々なタイプの麺線群Mを対象としている。尚、ウエーブの付いた麺又はストレートの麺を問わず様々なタイプに利用できる。
当該麺線群Mについては、複数の麺線が包含されており、蒸煮装置等より排出された後、適宜区分けされ複数の纏りの麺線群Mとしてコンベア上を搬送する。また、コンベアの搬送速度は、それぞれの麺線群の纏りごとに異なることなく、共通となっている。
【0027】
─各部の構成─
〇 搬送コンベア
以下に、本第一の実施態様において、麺線群Mの処理手順に従って説明する。まず、搬送コンベア1は、前工程に蒸煮され必要に応じて着味された麺線を搬送するためのコンベアである。ここで、蒸煮とは蒸し又は茹で後の状態をいうものとする。
また、
図1又は
図5等の搬送コンベア1については、当該コンベアが単に麺線を搬送するコンベアだけでなく、引張りコンベアであったり、他の用途を伴った搬送コンベアであってもよいことは勿論である、さらに、図示しないが必要に応じて、他に引張りコンベアや搬送コンベアを組み合わせることによって、麺線群Mを引っ張り直線的に延ばしたり、着味装置を通じて着味や水分付与を行ってもよいことは勿論である。
【0028】
搬送コンベア1によって搬送される麺線群Mは、複数の区分け部材等を利用することによって、
図1に示すように複数の纏りに区分けされた麺線群Mの状態となる。すなわち、蒸煮された麺線群Mについては一体となっている麺線群Mが、複数の纏りに区分けされる(
図7)。このように、区分けするのは各レーンごとに型枠21を有するため(
図1、
図4、
図6及び
図7)、当該型枠21の数に合わせて当該レーン数に応じた纏りの麺線群Mとするためである。このように、必要に応じて着味等の後に、複数の麺線群Mの纏りに区分けされる。
【0029】
ここで、蒸煮後の麺線群Mは、複雑に入り組んでいるため、当該区分けは大まかなものであり、明確に本数が区分けすることは困難である。すなわち、麺線は柔軟性を有しているため、纏り同士の区分けは明確ではなく、それぞれの纏りごとで本数が異なる場合がある。このため、各レーンごとに麺線群Mの本数が異なる場合においては、一纏りの麺線群Mを同じ長さ(ピッチ)でカットした場合において、当該1カット後の麺線群Mの重量が異なる場合がある(
図1)。
【0030】
〇 カッター装置
カッター装置は、
図8に示すように、回転ロールカッター31と受けロール33を有する。前記垂下される一纏りの麺線群Mを、所定長さにカットするための装置である。
尚、回転カットの方法としては、種々の方法を選択することができるが、概ね回転刃の羽数は1枚~4枚程度が一般的である。さらに、当該回転刃の受け側として受けロール33を装着されている。回転ロールカッター31と受けロール33との間で垂下する麺線群Mは押し切りされる。
【0031】
尚、上図の当該カッター装置は一例であり、種々の態様を選択できることは勿論である。また、本発明においては、当該カッター装置が、各レーンごとに個別に設置されている。すなわち、
図1に示すように従来までのように、各列を横断する一本のロール状のカット装置機構ではなく、
図2に示すように各列ごとに独立のカットが可能となるように構成されている。
さらに、本発明の第一の実施態様においては、当該カット装置が一つのユニットとなって装着されている。すなわち、
図9に示すように、カッターユニット35が各列に装着し、当該カッターユニット35はギアで回転が伝達されるように構成されている。
また、後述する麺重量の計測機構と連動した制御装置を介して、サーボモータ37により回転速度が制御されるように構成されている。
【0032】
〇 制御機構
本発明の各カッター部分は、
図5に示すように制御機構が装備されており、麺線の纏りごとの個別制御が可能となっている。
本発明の第一の実施態様においては、
図9に示すようにボックスタイプのカッター装置と当該カット回転を制御するサーボモータ37がギアを介して結合されている。
このような制御とすることで、各カッターユニット35で個別の制御が容易となるとともにメンテナンスの面でも有効である。このため、すなわち、後述する計量ホッパー部に投入された麺線群Mの重量を測定するが、計量ホッパー部での重量が所定の重量よりも大きい場合には、前述の一纏りの麺線群Mの本数が多い場合にあたる。そのため、単位時間当たりの回転刃による回転数を上げることで、カットする麺線の長さを短くし、麺線の重量を調整する。
また、当該計量ホッパー部での重量が所定の重量よりも小さい場合には、前述の一纏りの麺線群Mの本数が少ない場合に想到する。このため、単位時間当たりの回転刃のカット回数を下げることによって麺線の量を調整する。
【0033】
〇 ストック部(水車)
本第一の実施態様においては、上述のように麺線をカットした際において、当該カットした麺線群Mの所定の回数分をストックする部分として水車5が装着されている。また、麺線の落下を防止するために背面板51が設けられている。
尚、当該水車5には、前述のカット装置において所定のカット数の麺線群Mが集積され、当該所定カット数の麺線群Mが集積した段階で、当該水車5が回転し、下部の麺誘導管7を通じて、ホッパー部に排出するように構成されている。さらに、前記カット装置におけるカット数の制御と連動した形での制御とすることも可能である。
また、当該ストック部(水車)において垂下して降下する麺線群を早期に水車の回転面に着地させ、当該状態で麺線群を積層させることができるため(
図10)、麺線群を垂下させることによる意図しない麺線の破断等の問題を回避できるというメリットを有する。
尚、当該水車部分は必須の構成ではなく、当該構成が無い場合であってもよいことは勿論である。
【0034】
〇 誘導管
本第一の実施態様における麺の誘導管7は、前記水車5から排出された麺線群Mを下部に位置するホッパ部に供給する際に通過させる通路となる管である。本麺の誘導管7についても必須の構成ではなく、当該構成が無い場合であってもよいことは勿論である。
【0035】
〇 プレホッパー部
本第一の実施態様におけるプレホッパー9には、水車5より排出された麺線群Mが一旦収納される。当該プレホッパー9に、麺線群Mを一旦収納することで、麺線群Mの全体のまとまりを維持するとともに、次の計量ホッパー部への麺線群Mの供給をよりスムースに行うことができる。
また、本実施態様においては、プレホッパー9はコンベアの進行方向前後(
図5の紙面左右)に開き可能な排出部としているため、後述する2基の計量ホッパーのいずれかへの麺線排出を調整できるというメリットを有する。
尚、プレホッパー9を経由せずに、麺線群Mを計量ホッパー部に供給する態様も可能であることは勿論である。
【0036】
〇 計量ホッパー部
プレホッパー9の底部が開閉し、麺線群Mは計量ホッパーに落下する。当該計量ホッパーには、ロードセルが装着されており、前述のようにプレホッパー9より落下して計量ホッパーに収納された麺線群Mの重量を測定することができるようになっている。そして、当該計量された重量についての計量結果を制御装置に送付するように構成されている。
当該計量結果に基づいて前述の回転カッター装置の回転刃の回転数を制御し、麺線長さを調整することによって、カット後の麺線群Mの重量を目的の重量に近づけることができる。また、本発明の第一の実施態様においては、計量ホッパーをコンベア進行方向前後に2基を並べた形態となっている。
【0037】
前述のようにプレホッパー9からの麺線群Mをコンベア進行方向の前後に排出し、2基設けられた計量ホッパーのそれぞれに対して順に交互に収納可能となるように設定されている。このようにしておくことで、例えば、空の方の一方の計量ホッパーがより正確な重量を測定するためにゼロ点調整をすることができることが可能となる。
尚、本計量ホッパーについてもプレホッパー9と同様に第2コンベアの進行方向前後(
図5の紙面左右)に開き可能な排出部としている。
【0038】
〇 第1シュート部及び第2シュート部
当該計量ホッパーでの計量後の麺線群Mは、所定範囲の重量であった場合には、
図5等に示すように第1シュート13に麺線群Mは供給されて、当該第1シュート13を経由して第2シュート15(移動式供給シュート)に麺線群Mが供給される。
所定の重量範囲外の重量であった場合には、計量ホッパーから第1シュート13横に設置された除去エリア23に麺線群Mが排出され、第1シュート13には麺線群Mは供給されず、所定重量外の麺線群Mの供給を回避することができる。
【0039】
ここで、第2シュート15(物品供給口)は、所定区間において型枠搬送に“追従”(型枠21の搬送に同調して移動できること)できるよう構成されており、前述のように物品供給が各レーンにおいて異なる場合等のための所定のタイムラグ(時間猶予)を吸収できるように確保している。また、このような目的とのため、第2シュート15(物品供給口)の入口部は大きな開口部を有しており、型枠搬送に追従したとしても、計量ホッパーから排出される物品を収納できるように構成されている。
【0040】
〇 型枠搬送装置
本発明の第一の実施態様においては、
図1、
図4に示すように複数の型枠21が一連となったリテーナ19がコンベアによって連続的に搬送させる形態を有しており、各リテーナ19がコンベア進行方向と垂直に位置するように連続して配置・搬送されている。
当該型枠搬送装置17は、上述のカット後の複数の麺線群Mをそれぞれの型枠21に収納し、搬送するような構成となっている。
各レーンにおいてカットされた麺線群Mは、第1シュート13び第2シュート15を介して、それぞれのレーンの型枠21に投入される。
【0041】
当該型枠21は、各型枠21が連続して連結されたリテーナ19がコンベア進行方向に連続的に送らため、麺線群Mを順次、次の工程に移行させる。
尚、当該動作については、連続的に一定のスピードで搬送される動作でもよいし、間歇的に移動→停止を繰り返すような動作でもよいことは勿論である。
当該型枠搬送装置によって、運ばれた麺線群Mは次工程として、油熱乾燥や熱風乾燥のステップを経て乾燥麺に処理される場合がある。当該工程を経て得られた乾燥麺塊は即席麺(即席カップめんや袋麺)に利用される。
【0042】
〇 第二の実施態様
本願発明の他の実施態様として、第二実施態様においては、
図12には、計量ホッパー部を一つとした例を示している。このようにホッパー部を一つとしても可能であることは勿論である。
また、シュート部についても一つの構成としている。尚、当該シュート部に追従機能を付加しても良いことは勿論である。
図12に示すように簡単な態様であってもよいことは勿論である。
【0043】
〇 第三の実施態様
第三の実施態様は、
図13、
図14に示すように、コンベア上の生又は蒸煮後の一纏りの麺線群Mをコンベア搬送方向前後に隣り合う列ごとに交互に振り分けて垂下させて、それぞれの前後のカット装置群を備えたタイプを示している。
当該第三実施態様においては、麺線群Mを交互に振り分けるとともに、振分けた麺線群Mごとに切刃装置、ホッパーを設けることができるため、隣合うレーン(型枠搬送装置のレーン)ごとの間隔を小さくすることができる。このため限られたスペース範囲内において、レーン数を増やすことができる。また、本第三の実施態様においても、各レーンごとのカット装置の個別制御を意図している。当該カット装置の個別制御を行う場合、各レーンごとの制御装置の設置にある程度の領域を要するため、前後に麺線群Mを交互に振り分ける構成とすることで、当該装置の設置が容易となるという利点を有する。
【0044】
〇 麺線の分岐部
第三実施態様における麺線の分岐部41は、以下のようにコンベアによって搬送されてくる麺線群Mを後述するコンベア進行方向の前後に分岐するための装置である。本分岐部41は
図14に示すように、搬送コンベアの進行方向の前後に、麺線纏りを交互に分けるために設けられている。
麺線のカット装置を個別の制御とする場合、制御装置を各纏りごとに必要になってくるため、カット装置自体がある程度大きくなり、制御装置等を設けるスペースを要する。このため、各レーンごとの間隔がどうしても生じることとなる。
そこで、このように分岐部41を設けることで前後に振り分けることで、麺線カット装置を千鳥配置とすることができるため、それぞれのカット装置に装着される制御装置等を設けるスペースを確保でき、各レーン間の間隔を狭くすることができるというメリットを有する。
【0045】
尚、本麺線の分岐部41は、本発明においては任意の構成であることは勿論である。すなわち、本分岐部41は、麺線群Mの搬送コンベアによって搬送され、コンベア端より垂下する麺線群Mを誘導するための分岐部41である。
本第三の実施態様においては、
図13に示すように、分岐された複数纏りの麺線群Mが隣あう麺線群M同士がコンベア搬送方向の前後に交互に分配されるため、コンベア搬送方向の前後それぞれに、カット装置、ストック部(水車)、ホッパー部等を有する。
本第三の実施態様は、各レーンごとの隙間を少なくすることができるため、即席麺の製造等に用いる場合、当該ラインの幅を有効に利用できるというメリットを有する。また、各レーンごとの型枠21の開口部のサイズを小さくすることができるため、型枠21の開口部を小さくし、より深さのある型枠とすることができる。すなわち、各レーン間の隙間を少なくすることによって、型枠搬送装置の各型枠を縦長の構造にすることもできる。