(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】看護業務計画作成システム及び看護業務誘導システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220825BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2017140148
(22)【出願日】2017-07-19
【審査請求日】2020-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 邦友
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-260437(JP,A)
【文献】特開2016-126427(JP,A)
【文献】特開2017-045204(JP,A)
【文献】特開2003-070851(JP,A)
【文献】特開2008-009885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者情報を管理するシステムと、
治療計画における医療処置行為を担当する看護師の勤務スケジュールを含む看護勤務情報を管理するシステムと、
前記看護師が携帯する携帯端末に対して前記医療処置行為を促す旨のメッセージを通知するシステムと、
前記メッセージを前記看護師に通知することをもって当該看護師を前記患者の元へ誘導するシステムを備え、
前記看護師を誘導するシステムは、
前記患者情報と前記看護勤務情報を元に、前記治療計画に含まれる所定の医療処置行為を担当する看護師を割り振りして看護業務計画を作成する看護業務計画作成手段と、
前記看護業務計画における医療処置行為を時系列的に並べた処置時系列一覧表示画面を作成して出力する処置一覧表示画面作成手段と、
前記処置時系列一覧表示画面を表示する処置一覧表示画面表示手段と、
前記患者情報における診断・検査情報に異常値があるとき、その旨を知らせるアラームの有無を判定し、異常値がある旨を知らせるアラーム有のとき、前記看護師に対して、その旨を通知する異常値通知手段と、
前記治療計画における所定の医療処置行為の時間に達したとき、又は医療処置行為の時間に近づいたとき、前記看護師に対して当該医療処置の行為を促す旨のメッセージを通知する医療処置行為通知手段を有し、
前記医療処置行為を促す旨のメッセージを通知するシステムは、
前記医療処置行為を促す旨のメッセージの通知を受けたとき、主携帯端末を介して主看護師をコールし、前記主携帯端末の主看護師から応答がない場合、副携帯端末を介して副看護師をコールし
、治療計画情報における各医療処置行為の喚起、引継ぎを自動的に可能とするコール手段を有し、
前記患者情報は、患者ID、患者の診断・検査情報及び治療計画情報を含む情報であり、
前記看護勤務情報は、患者ID、前記看護師の勤務スケジュールを含む情報であり、
前記看護師は、患者の医療処置行為を行う主副の看護師である、
ことを特徴とする看護業務誘導システム。
【請求項2】
請求項1に記載された看護業務誘導システムにおいて
前記患者情報を管理するシステムが、電子カルテシステムであり、
前記看護勤務情報を管理するシステムが、看護勤務システムであり、
前記メッセージを通知するシステムが、ナースコールシステムであり、
前記看護師を前記患者の元へ誘導するシステムが、看護業務誘導システムである、ことを特徴とする看護業務誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入院患者に対する看護従事者(以下、看護師と称する)による看護業務計画を作成する看護業務計画作成システム及び看護業務計画における医療処置行為を促すように誘導する看護業務誘導システムに関する。
【0002】
更に詳しくは、例えば、入院患者に対する入院療養業務(検査、リハビリ、薬、食事、活動、清潔、排泄、処置、指導・説明、などの各行為)を看護師間において、適確に引き継ぐことができる看護業務計画作成システム及び看護業務誘導システムに関する。
【背景技術】
【0003】
病院においては、入院患者に対する療養行為(又は医療行為)は、一般に、医師(主治医)が入院患者に対して、診察・診断、問診、検査などを行った上で、病名(病気)を特定し、当該病名に対して最善と思われる治療・療養計画(治療・療養スケジュール)を立てている。そして、この治療・療養計画を元に、医療機関は、患者に対する勤務・看護体制(看護チーム)を整え、看護師に対して必要な医療処置行為(体温測定、血圧測定、脈拍測定、血液採取、注射、点滴、各種検査補助など)を必要なタイミングで実施するよう指示する。看護師は、この指示に基づいて、必要な医療業務/看護業務(医療サービス:含医療処置行為)を遂行する。
【0004】
特に、入院患者の場合における医療サービスは、24時間、365日、途切れることなく、間違いなく、正確に提供される勤務・看護体制が大切である。
【0005】
しかし、この医師により作成される治療・療養計画書の中には看護師の勤務スケジュールまで、考慮されていない。
換言すれは、病院内組織として、医師は、医局の中でクローズされ、看護師は、看護部の中でクローズされており、両者の勤務スケジュールも共有されることもなく、互いに関与することも少ない。
【0006】
したがって、一般的には、人手、つまり看護師間における業務引継ぎ、例えば、治療計画における実行した医療業務(治療内容、処置や投薬行為、また予定治療内容、処置や投薬行為など)や次に実行する医療業務(医療処置行為)などを次々に申し送りするなどの業務引継ぎ作業が必要となっていた。
【0007】
そして、看護師は、デジタルな情報(例えば、電子カルテ等)とアナログな情報(日々の勤務における看護チーム編成や担当患者等)の狭間で、医療処置(看護処置)等の業務引継ぎが遂行されているのが、現状である。
【0008】
このように人手による医療業務引継ぎ業務は、看護師の勤務特性(3シフト勤務体制)から、医療業務の引継ぎ漏れが発生したり、また、複数の入院患者に対する医療業務が集中したりすると、看護師の疲労や気持ちの焦りを招くなどして、医療過誤(医療ミス)を誘引するリスクを招く大きな課題がある。
【0009】
本技術の背景技術として、例えば、特開平9-55742号公報(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1には、「診療科および薬局等の各情報サブシステム群をネットワークで結合し、病院内情報の管理を行う病院情報システムにおいて、院内の少なくとも1つの部門に無線LAN用送受信機を設置し、各患者の保持する携帯情報端末と交信することにより、患者の動きに同期した情報処理を行うと共に、院内の任意の場所の患者に対し、常時個人情報を提供」し、「病院情報システムにおいて、患者の待ち時間を短縮すると共に、患者に対する個人情報サービスを提供する」病院内情報処理システムが記載されている(要約書参照)。
【0012】
しかし、特許文献1を含む従来技術にあっては、医師により作成される治療計画に看護師のスケジュールを考慮して看護師を自動的に割り振ることまでは考慮されていない。したがって、以下のような課題がある。
(1)人手による医療業務引継ぎのため、引継ぎ漏れや誤解が生じやすい。
(2)医療業務引継ぎは、意識を集中させるため、患者サービスへの手薄な時間帯となる。
(3)同一時間帯の複数の患者への医療処置は、ナースコール等の割り込みにより、焦りに繋がり、医療過誤の発生を誘引する。
【0013】
そこで、本発明は、係る課題に鑑みなされ、第1の目的は、看護師間における医療業務(入院療養業務)の引継ぎを適確に行えるような看護業務計画を作成するシステムを提供することにある。
【0014】
また、本発明の第2の目的は、看護業務計画に基づき必要なタイミングで患者の元に看護師を自動的に誘導し、患者に対する医療処置を過誤することなく誘導することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を達成するために、本発明の看護業務計画作成システムは、患者情報と看護勤務情報を元に患者に対する治療計画/入院療養計画における医療処置行為、当該医療処置行為を担当する看護師を含む看護業務計画書(例えば、処置時系列一覧表示画面)を作成し、当該看護業務計画書を介して看護師に対して適確に通知し得る手段を設ける。
また、本発明の看護業務誘導システムは、治療計画/入院療養計画における医療結果(診察・検査結果、処置結果、など)に異常があった場合や医療処置行為を行う時間に達したとき、又は近づいたとき、医療処理行為を行う時間である旨を担当看護従事者(主副看護師)に通知する、又はコールする手段を設ける。
【0021】
例えば、本願発明の看護業務誘導システムは、
患者情報を管理するシステムと、
治療計画における医療処置行為を担当する看護師の勤務スケジュールを含む看護勤務情報を管理するシステムと、
前記看護師が携帯する携帯端末に対して前記医療処置行為を促す旨のメッセージを通知するシステムと、
前記メッセージを前記看護師に通知することをもって当該看護師を前記患者の元へ誘導するシステムを備え、
前記看護師を誘導するシステムは、
前記患者情報と前記看護勤務情報を元に、前記治療計画に含まれる所定の医療処置行為を担当する看護師を割り振りして看護業務計画を作成する看護業務計画作成手段と、
前記看護業務計画における医療処置行為を時系列的に並べた処置時系列一覧表示画面を作成して出力する処置一覧表示画面作成手段と、
前記処置時系列一覧表示画面を表示する処置一覧表示画面表示手段と、
前記患者情報における診断・検査情報に異常値があるとき、その旨を知らせるアラームの有無を判定し、異常値がある旨を知らせるアラーム有のとき、前記看護師に対して、その旨を通知する異常値通知手段と、
前記治療計画における所定の医療処置行為の時間に達したとき、又は医療処置行為の時間に近づいたとき、前記看護師に対して当該医療処置の行為を促す旨のメッセージを通知する医療処置行為通知手段とを有し、
前記医療処置行為を促す旨のメッセージを通知するシステムは、前記医療処置行為を促す旨のメッセージの通知を受けたとき、主携帯端末を介して主看護師をコールし、前記主携帯端末の主看護師から応答がない場合、副携帯端末を介して副看護師をコールし、治療計画情報における各医療処置行為の喚起、引継ぎを自動的に可能とするコール手段を有し、前記患者情報は、患者ID、患者の診断・検査情報及び治療計画情報を含む情報であり、
前記看護勤務情報は、患者ID、前記看護師の勤務スケジュールを含む情報であり、
前記看護師は、患者の医療処置行為を行う主副の看護師である、ことを特徴とする。
【0022】
また、本願発明の看護業務誘導システムは、
前記患者情報を管理するシステムが、電子カルテ/入院オーダ/病床管理等システムであり、
前記看護勤務情報を管理するシステムが、看護勤務システムであり、
前記メッセージを通知するシステムが、ナースコールシステムであり、
前記看護師を前記患者の元へ誘導するシステムが、看護業務誘導システムである、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、看護師間における医療業務(入院療養業務)の引継ぎを適確に行えるような看護業務計画を作成するシステムを提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、看護業務計画に基づき必要なタイミングで患者の元に看護師を自動的に誘導し、患者に対する医療処置を過誤することなく誘導することができるシステムを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の看護業務計画を作成する機能及び看護業務を誘導する機能を有する看護業務誘導システムの全体構成を示すブロック図。
【
図2】看護業務誘導システムと、電子カルテシステムと、看護勤務システムと、ナースコールシステム、との関係を説明する機能ブロック図。
【
図3】看護業務誘導システムにおいて、医療処置行為を行う看護師を割り当てて看護業務計画を作成する処理手順を示すフロー図。
【
図4】看護業務誘導システムにおいて、医療処置行為を行う看護師をコールする処理手順を示すフロー図。
【
図5】治療計画書における主治医と看護師による医療処置に対する担当者(看護師)の割当て前と割当て後の様子を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施形態は、既存のシステム、つまり電子カルテ等のシステム3、看護勤務システム4、ナースコールシステム2と連携して、看護業務計画を作成する機能、看護業務計画に携わる看護師に対して医療処置行為を行うよう通知する機能を有する看護業務誘導システムを例に説明する。
【0027】
本発明の看護業務誘導システムは、例えば、入院患者(含患者ID)の治療計画、又は療養計画(以下、治療計画と称する)の内容を示す医療計画情報(含医療処置)を取り扱う手段、看護師の看護勤務情報(含看護師勤務スケジュール)を取り扱う手段、と連携して、一人以上の入院患者の治療計画に基づき入院患者に対して必要な医療業務(医療処置)すべてに対して看護師の看護勤務情報を元に、その医療業務を担当する看護師(主副担当看護師)を割り当てて看護業務計画を作成する手段と、前記医療業務(医療処置)を担当する看護師に通知するメッセージを作成する手段と、前記メッセージを前記看護師に対して携帯端末(院内PHSなど)を介して通知する手段、を有する。
【0028】
また、前記看護師の携帯端末から受信応答がない場合や当該看護師が緊急対応中で対応不可な状態にある場合や着信拒否応答があった場合、予め設定した看護師(主担当看護師)以外の看護師(副担当看護師)に前記メッセージを通知する手段、を有する。
【0029】
入院患者(含患者ID)の治療計画内容を示す医療計画情報を取り扱う手段としては、既存の電子カルテシステムであり、医療従事者の勤務情報を取り扱う医療従事者勤務システムとして既存の看護勤務システムである。また、医療従事者(医者や看護師)に通知する手段としては既存のナースコールシステムである。
【0030】
患者の患者情報には、医師により作成される電子カルテ及び治療計画の内容を示す情報を含むものとする。また、看護勤務情報には、例えば看護師の出勤日時、入院患者を識別する情報及び入院患者に対する医療業務内容、などを示す情報を含むものとする。
【0031】
電子カルテには、診察・診断、各種の検査、各種撮影画像、投薬、などの各情報を含むものとする。検査情報や撮影画像情報は、これらを取り扱う院内各システム、電子カルテシステム、看護勤務システム、放射線画像表示システム、心電図モニタシステム、心拍血圧等バイタルデータモニタシステム、と連携し、当該システムから収集するように構成するとよい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の看護業務計画を作成する機能及び看護業務を誘導する機能を有する看護業務誘導システムの全体構成を示すブロック図である。
【0033】
同図において、看護業務誘導システム1は、例えば、医療従事者である看護師をコールするナースコールシステム2と、患者の患者情報を管理する電子カルテシステム(医療情報管理システム)3と、看護師の勤務情報を管理する看護勤務システム(医療従事者勤務システム)4と連携して構成し、以下の機能を有する。以下、看護業務誘導システムとして説明する。ネットワーク6は、各システムを接続する。
【0034】
看護業務誘導システム1は、患者の医療に関する患者情報と看護師の勤務情報を元に医師により作成された治療計画書に沿った看護業務計画を作成(担当看護師を割り当て)する機能を有する。故に、看護業務誘導システム1は、看護業務計画作成システムとも言える。
【0035】
また、看護業務誘導システム1は、当該看護業務計画書を元に医療処置行為を時系列に一覧できるようにする処置時系列一覧表示画面を作成する機能、当該処置時系列一覧表示画面を視覚的に確認できるように表示する機能、また、看護師に対して医療処置行為を促すメッセージを作成する機能、当該メッセージを看護師に対して通知する、又は看護師をコールする機能を有する。
【0036】
患者情報には、治療計画情報(含患者名:患者ID)の他に診療情報(診察、検査情報、放射線画像、心電図モニタ情報、心拍・血圧情報、投薬情報、など)を含む。
【0037】
看護勤務情報には、看護師(看護スタッフ)の勤務内容(担当する患者名:患者IDや処置行為)、勤務時間、勤務状況などを含む。
【0038】
本実施例では、看護業務誘導システム1は、他のシステム2~4と連携して構成するものであるが、本看護システム単独により上述した各機能を実現可能に構成してもよい。また、看護業務誘導システム1は、処置進捗状況が医療従事者により、手軽に携帯できるような端末で構成してもよい。
【0039】
そして、看護業務誘導システム1は、上述した各機能を実現するため、入出力装置11、入出力インターフェース12、演算装置13、記憶装置14、などを有し、各装置によって機能を有する。
【0040】
(1)患者情報(含電子カルテ情報、治療計画情報)、看護勤務情報(看護師勤務情報)、を収集又は入力する機能
(2)電子カルテシステム3における患者情報と看護勤務システム4における看護勤務情報(看護師スケジュール)を元に治療計画における医療処置行為(処置項目)に対する担当看護師を割り当てて看護業務計画を作成する機能
(3)治療計画の医療処置行為(医療処置項目)を時系列に並べた処置時系列一覧表示画面を作成する機能
(4)処置時系列一覧表示画面を表示する機能
(5)患者情報における治療情報に何等かの異常値が見られた場合や医療処置行為(処置項目)の時間が近づいた場合、その旨のメッセージを作成して担当看護師(携帯端末5)に対して通知する機能
【0041】
処置時系列一覧表示画面には、例えば、担当医師、担当看護師、医療処置行為(処置項目)、日時、などを含む。
【0042】
本実施例では、看護業務誘導システム1が、患者IDを元に、他のシステム3~4に対して患者情報や看護勤務情報を要求し、当該要求に応じて他システムから患者情報や看護勤務情報を収集する方法としている。
【0043】
例えば、看護業務誘導システム1から患者IDを元に通信インターフェース12を介して電子カルテシステム3、看護勤務システム4に送信し、当該システムから当該患者IDに対応する情報を収集する。これらの情報は、看護業務誘導システム1に直に入力し、管理するように構成してもよい。
【0044】
また、本実施例では、担当看護師への通知機能は、ナースコールシステム2を介して行っているが、看護業務誘導システム1から直に携帯端末5を介して担当看護師に通知できるように構成してもよい。
【0045】
入出力装置11は、入力部から患者IDを入力し、また、出力部にて治療計画と看護師のスケジュールをリンクして作成した医療処理を時系列的に構成した処理時系列一覧表示画面を表示する。
【0046】
演算装置13は、上述した各機能を実現する。記憶装置14は、上記各情報を記憶する。
【0047】
携帯端末5は、処置を割り当てされた担当看護師が携帯する端末(主携帯端末51)であり、また、担当看護師との連絡がとれないような場合、緊急用として例えば副担当看護師が携帯する端末(副携帯端末52)である。
【0048】
図2は、看護業務誘導システム1と、電子カルテシステム3と、看護勤務システム4と、ナースコールシステム2、との関係を説明する機能ブロック図である。
【0049】
同図において、電子カルテシステム3は、患者情報入力部31、患者情報記憶部32、患者情報管理部33、を有する。
【0050】
患者情報入力部31は、例えば、キーボードからなり、患者に関する各種の患者情報、例えば、診断情報・検査・画像情報、治療計画情報、患者IDなどを入力するものである。患者IDは、患者情報に対応付けされるものであり、カードリーダにより患者IDを読み取って入力するものであってもよい。
【0051】
患者情報記憶部32は、例えばデータベース(DB)からなり、入力部から入力した患者情報を記録する。
【0052】
患者情報管理部33は、演算処理部(CPU)からなり、患者情報を管理し、看護業務誘導システム1側から患者情報の送信要求依頼を受けたとき、患者IDに対応する患者情報を看護業務誘導システム1側に送信する。
【0053】
看護勤務システム4は、看護勤務情報入力部41、看護勤務情報記憶部42、看護勤務情報管理部43、を有する。
【0054】
看護勤務情報入力部41は、例えば、キーボードからなり、看護師における勤務スケジュールなどの勤務情報、例えば、看護師の勤務状況(勤務日、出退勤時間、担当患者、その他)を含む看護勤務情報を入力する。
【0055】
看護勤務情報記憶部42は、例えばデータベース(DB)からなり、入力部から入力した看護勤務情報を記録する。
【0056】
看護勤務情報管理部43は、演算処理部(CPU)からなり、看護師の勤務スケジュールなどの看護勤務情報を管理し、看護業務誘導システム1側から看護勤務情報の送信要求依頼を受けたとき、患者IDに対応する看護勤務情報を看護業務誘導システム1側に送信する。
【0057】
ナースコールシステム2は、ナースコール部21を有する。ナースコール部21は、看護業務誘導システム1側から医療処置行為を促すメッセージを受けたとき、主携帯端末51、又は副携帯端末52を介して患者を担当する主担当看護師、又は副担当看護師をコールする。
【0058】
これら電子カルテシステム3、看護勤務システム4、ナースコールシステム2は、周知技術故、その詳細説明は省略する。
【0059】
看護業務誘導システム1における入出力装置11は、入力部111、出力部112を有し、記憶装置14は、記憶部141を有する。
【0060】
通信インターフェース12は、他のシステム2~4との間で患者IDや各情報の授受を行う。
【0061】
入力部111は、例えば、キーボードからなり、患者IDなどを入力する。出力部112は、例えば、ディスプレイからなり、各システムから収集して統合した情報から得られた医療処置行為(医療処置項目)を時系列的に並べた処置時系列一覧表示画面を表示する。
【0062】
演算装置13は、患者情報・看護勤務情報収集部131、担当看護師割当部132、処置時系列一覧表示画面作成部133、医療処置進捗管理部134、医療処置行為時間通知部135、を有する。
【0063】
患者情報・看護勤務情報収集部131は、電子カルテシステム3から患者情報を収集し、看護勤務システム4から看護勤務情報を収集する。この情報収集は、例えば、患者IDを元に行う。
【0064】
担当看護師割当部132は、電子カルテシステム3から収集した患者情報と看護勤務システム4から収集した看護勤務情報を元に患者情報の治療計画における医療処置(処置項目)を行う主担当看護師や副担当看護師を割り当てて、看護業務計画を作成する。この割り当ては、例えば、看護師を管理する責任者により行う。
【0065】
本実施例では、この看護担当の割当てを看護業務誘導システム1側にて行っているが、看護勤務システム4側にて予め看護師の勤務情報の中に組み入れてもよい。また、看護業務誘導システム1側において、当該システムを管理する管理者側により、出力部112の処置時系列一覧表示画面を見て、入力部111により、自由に変更、調整可能にできるように構成してもよい。
【0066】
処置時系列一覧表示画面作成部133は、各システムから収集して統合した情報から患者の医療処置行為(処置項目)及び担当看護師を含む医療処置行為(処置項目)を時系列に並べた処置列一覧表示画面を作成する。また、処置一覧表示画面を出力部(ディスプレイ)122に出力する。
【0067】
医療処置進捗管理部134は、電子カルテシステム3からの日々、又は時事刻々に更新される患者情報の中で、診断や検査、処置などに異常が見られるか否か、例えば、心拍数や血中酸素濃度などに異常値が有るか否か(異常有無)を監視、判断、管理する。
【0068】
医療処置行為時間通知部135は、医療処置進捗管理部134において、診断情報などに異常値を検知したときや医療計画における医療処置行為の時間が近づいたとき、その所定時間前に医療処置行為を促すメッセージを、通信インターフェース12を介してナースコールシステム2に通知する。
【0069】
ナースコールシステム2は、このメッセージを受けたとき、ナースコール部21により、携帯端末51を介して主担当看護師をコールする。主担当看護師からコールに対する応答がない場合には、携帯端末52を介して副担当看護師をコールする。これにより、治療計画における各医療処置行為の喚起、引継ぎを自動的に行うことが可能となる。
【0070】
図3は、看護業務誘導システム1において、医療処置行為を行う看護師を割り当てて看護業務計画を作成する処理手順を示すフロー図である。
【0071】
同図において、看護業務誘導システム1は、以下の処理手順により、看護業務計画を作成する。
【0072】
ステップS111において、電子カルテシステム3(ステップS311)に入力された患者IDを受信する。
【0073】
ステップS112において、患者IDを院内関係システムである電子カルテシステム3、看護勤務システム4に対して送信(転送)して、当該患者IDに対応する患者の治療計画を含む患者情報及び看護師の勤務情報(勤務スケジュール)を含む看護勤務情報の送信要求を行う。
【0074】
このとき、電子カルテシステム3は、ステップS312において、患者IDを受信して当該患者IDを元に患者情報を検索・収集して看護業務誘導システム1に送信する。また、看護勤務システム4も同様にステップS411において、患者IDを受信して当該患者IDを元に看護勤務情報を検索・収集して看護業務誘導システム1に送信する。
【0075】
ステップS113において、ステップS112に応答して電子カルテシステム3(ステップS312)及び看護勤務システム4(ステップS411)から送信されてくる患者情報及び看護勤務情報を受信、収集、記憶する。
【0076】
ステップS114において、患者情報及び看護勤務情報を元に、患者情報に含まれる治療計画における各医療処置を行う主担当看護師及び副担当看護師を割り当てる。
【0077】
ステップS115において、治療計画における医療処置(医療処置項目)を時系列的に並べた処置時系列一覧表示画面、つまり看護業務計画を作成する。
【0078】
ステップS116において、処置時系列一覧表示画面(看護業務計画)をディスプレイに出力し表示する。
【0079】
図4は、看護業務誘導システムにおいて、医療処置行為を行う看護師をコールする処理手順を示すフロー図である。
【0080】
同図において、看護業務誘導システム1は、以下の処理手順を有する。
【0081】
ステップS121において、患者IDを入力する。
【0082】
ステップS122において、患者IDを院内関係システムである電子カルテシステム3に対して送信(配信)して患者に関する患者情報(含診療情報、検査情報、画像情報、治療計画情報など)の送信を要求する。
【0083】
このとき、電子カルテシステム3は、ステップS321において、患者IDを受信して当該患者IDを元に患者情報を検索・収集する。そして、ステップS312において、収集した患者情報を看護業務誘導システム1に送信する。
【0084】
ステップS123において、ステップS122における要求に応答して電子カルテシステム3から送信されてくる患者情報を受信、記憶する。
【0085】
ステップS124において、患者情報を元に医療従事者が次に行うべく医療処置(アクション)を時系列的に判断して処理時系列一覧表示画面(看護業務計画作成)を作成し出力する。
【0086】
ステップS125において、患者情報の中で診療情報、例えば、心拍数や血中酸素濃度に異常値を知らせるアラーム有無を判定・判断し、ステップS126において、点滴や投薬などの次に行うべき処置行為時間に達成したか、又は近づいたかを判定する。
【0087】
ステップS127において、ステップS125にて、アラーム有の場合、また処置行為時間の場合、次の医療処置行為を促すメッセージを作成してナースコールシステム2に通知する。
【0088】
この通知を受けたナースコールシステム2は、看護従事者(主担当看護師)が携帯する主携帯端末51を介して看護従者をコールする。
【0089】
主携帯端末51から対応応答がない場合、ステップS128において、同様に副携帯端末52を介して看護従事者をコールする。
【0090】
治療計画書(入院療養計画書)は、患者ごとに計画されるものであり、例えば、患者名(含患者ID)、病名、主治医、説明看護師、などの欄と、患者に対する日程、経過(入院日)、目標(症状の進行)、検査(採血、検尿、レントゲン、心電図、CTやMRI)、リハビリ(リハビリ状況)、薬、食事、活動(症状により活動できる範囲)、清潔(シャワー、入浴)、排泄、処置(症状や生活状況などについての診察)、説明(入院に際しての説明、病棟案内)、などの各欄、を有する。
【0091】
図5は、入院療養計画書(治療計画書)に基づく主治医と看護師による医療処置に対する担当者(看護師)の割当て前と割当て後の様子を模式的に示す図である。
【0092】
同図において、治療計画書には、主治医(A、B、・・・)、患者を特定する患者ID(001、002、・・・)、医療処置、などの各欄を有する。医療処置を示す欄には、患者の看護を主に担当する主担当者(看護師X1、X2、・・・)、患者の看護を副に担当する副担当者(看護師X2、X1、・・・)、処置行為(処置項目)を示す情報、処置行為を行う日時(時間)を示す情報欄を有する。
【0093】
以上述べたように、入院患者(病棟)の治療計画と、病棟看護師の勤務スケジュールを融合して入院患者に対する全処置(医療)行為について担当する看護師を割り当てて、ナースコールシステムと連動して、処置行為者(担当看護師)に処置行為を行うような内容の処置メッセージを通知するシステムによれば、処置メッセージを処置行為者(担当看護師)に通知することができる。また、1処置に係る時間を事前設定することにより、次の処置メッセージへのタイムラグを持たせることができ、処置担当者(担当看護師)は、落ち着いてゆとりある処置行為が可能となる。
【0094】
更に、具体的には、以下のような効果が期待できる。
(1)例えば、患者IDの1度の入力操作で複数システムに跨る情報を呼び出すことができ、必要な情報へのアクセス時間が短縮できる。
(2)入力操作が1回で済むため集中でき、操作ミスを起こし難くなる。
(3)1つのディスプレイ(モニタ)に処理時系列一覧表示画面を表示することにより、当該患者のデータが集約できるため、データ取違い等の誤判断の危険を回避できる。
(4)複数患者への医療処置が重なった場合には、医療処置内容の緊急度に合わせた対処の優先順位付けの判断がすばやくできる。
(5)また、これらの効果の相乗効果として、患者サービスへの向上が見込まれる。
【符号の説明】
【0095】
1 看護業務誘導システム
2 ナースコールシステム
3 電子カルテシステム
4 看護勤務システム
11 入出力装置
12 通信インターフェース
13 演算装置
14 記憶装置
131 患者情報及び看護情報収集部
132 担当看護師割当部
133 処置時系列一覧表示画面作成部
135 医療処置行為時間通知部