(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】梯子車
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20220825BHJP
E06C 5/10 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A62C27/00 506
E06C5/10
(21)【出願番号】P 2018059395
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】藤川 基
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-057349(JP,A)
【文献】実開昭51-040801(JP,U)
【文献】実開昭51-023395(JP,U)
【文献】特開2007-010359(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089551(JP,U)
【文献】特開2004-128529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00
E06C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有するキャビンと、ターンテーブルを配置する荷台とからなり、
前記ターンテーブルには旋回ポストが設けられ、
前記旋回ポストには、梯子の一端が固定されるとともに、前記梯子を操作する操作席を設け、
前記操作席の前方にフロアーを備え、
緊急時に手動によって前記梯子を操作する手動操作スイッチ及び手動操作レバーを有し、
前記手動操作スイッチによって前記梯子を操作可能とし、
前記手動操作レバーによって前記梯子の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う
梯子車であって、
前記操作席と前記旋回ポストとの間に操作タワーを配置し、
前記操作タワーには、モニターを設け、
前記操作タワーに、前記手動操作スイッチを配置し、
前記フロアーに、前記手動操作レバーを接続する手動操作ブラケットを配置し
、
油圧を表示する油圧計を有し、
前記油圧計を前記フロアーに配置した、
ことを特徴とする梯子車。
【請求項2】
運転席を有するキャビンと、ターンテーブルを配置する荷台とからなり、
前記ターンテーブルには旋回ポストが設けられ、
前記旋回ポストには、梯子の一端が固定されるとともに、前記梯子を操作する操作席を設け、
前記操作席の前方にフロアーを備え、
緊急時に手動によって前記梯子を操作する手動操作スイッチ及び手動操作レバーを有し、
前記手動操作スイッチによって前記梯子を操作可能とし、
前記手動操作レバーによって前記梯子の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う
梯子車であって、
前記操作席と前記旋回ポストとの間に操作タワーを配置し、
前記操作タワーには、モニターを設け、
前記操作タワーに、前記手動操作スイッチを配置し、
前記フロアーに、前記手動操作レバーを接続する手動操作ブラケットを配置し、
前記操作タワーの前記フロアー側の面に凹部を形成し、
前記凹部に、前記手動操作スイッチを配置するとともに、前記手動操作レバーを収容する
ことを特徴とす
る梯子車。
【請求項3】
操作ペダルを有し、
前記操作ペダルを前記フロアーに設け、
前記操作ペダルを、前記操作席と前記手動操作ブラケットとの間に配置した
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の梯子車。
【請求項4】
前記手動操作スイッチを、前記操作席の座面以上の高さに配置した
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の梯子車。
【請求項5】
前記操作タワーの前記フロアー側の面が、前記操作席の座面の前方に突出しない
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の梯子車。
【請求項6】
前記モニターが、前記フロアーの上方に位置させる開状態と、前記操作タワーの上方に位置させる閉状態とに移動できる
ことを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の梯子車。
【請求項7】
前記手動操作レバーを1本とする
ことを特徴とする請求項
2に記載の梯子車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消火及び救助作業を支援する梯子車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転席を有するキャビンと、ターンテーブルを配置する荷台とからなり、ターンテーブルには旋回ポストが設けられ、旋回ポストには、梯子の一端が固定されるとともに、梯子を操作する操作席を設け、操作席の前方にフロアーを備えた梯子車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
梯子車は、緊急時に手動によって梯子を操作する手動操作スイッチ及び手動操作レバーを有している。手動操作スイッチによって、梯子を動作させる油圧を発生させ、手動操作レバーによって、梯子の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う。
従来の梯子車においては、手動操作スイッチ及び手動操作レバーは操作席から離れた位置に配置されており、操作席に着座した状態では操作できなかった。
【0005】
そこで本発明は、操作席に着座した状態で手動操作スイッチ及び手動操作レバーを操作できる梯子車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の梯子車は、運転席を有するキャビン1と、ターンテーブル10を配置する荷台2とからなり、前記ターンテーブル10には旋回ポスト11が設けられ、前記旋回ポスト11には、梯子3の一端が固定されるとともに、前記梯子3を操作する操作席20を設け、前記操作席20の前方にフロアー30を備え、緊急時に手動によって前記梯子3を操作する手動操作スイッチ60及び手動操作レバー70を有し、前記手動操作スイッチ60によって前記梯子3を操作可能とし、前記手動操作レバー70によって前記梯子3の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う梯子車であって、前記操作席20と前記旋回ポスト11との間に操作タワー40を配置し、前記操作タワー40には、モニター50を設け、前記操作タワー40に、前記手動操作スイッチ60を配置し、前記フロアー30に、前記手動操作レバー70を接続する手動操作ブラケット71を配置し、油圧を表示する油圧計90を有し、前記油圧計90を前記フロアー30に配置したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明の梯子車は、運転席を有するキャビン1と、ターンテーブル10を配置する荷台2とからなり、前記ターンテーブル10には旋回ポスト11が設けられ、前記旋回ポスト11には、梯子3の一端が固定されるとともに、前記梯子3を操作する操作席20を設け、前記操作席20の前方にフロアー30を備え、緊急時に手動によって前記梯子3を操作する手動操作スイッチ60及び手動操作レバー70を有し、前記手動操作スイッチ60によって前記梯子3を操作可能とし、前記手動操作レバー70によって前記梯子3の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う梯子車であって、前記操作席20と前記旋回ポスト11との間に操作タワー40を配置し、前記操作タワー40には、モニター50を設け、前記操作タワー40に、前記手動操作スイッチ60を配置し、前記フロアー30に、前記手動操作レバー70を接続する手動操作ブラケット71を配置し、前記操作タワー40の前記フロアー30側の面に凹部41を形成し、前記凹部41に、前記手動操作スイッチ60を配置するとともに、前記手動操作レバー70を収容することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の梯子車において、操作ペダル81を有し、前記操作ペダル81を前記フロアー30に設け、前記操作ペダル81を、前記操作席20と前記手動操作ブラケット71との間に配置したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の梯子車において、前記手動操作スイッチ60を、前記操作席20の座面21以上の高さHに配置したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の梯子車において、前記操作タワー40の前記フロアー30側の面が、前記操作席20の座面21の前方に突出しないことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の梯子車において、前記モニター50が、前記フロアー30の上方に位置させる開状態と、前記操作タワー40の上方に位置させる閉状態とに移動できることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項2に記載の梯子車において、前記手動操作レバー70を1本とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の梯子車によれば、操作席に着座した状態で、梯子の状態を目視とモニターで確認しながら緊急時の手動操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による梯子車は、操作席と旋回ポストとの間に操作タワーを配置し、操作タワーには、モニターを設け、操作タワーに、手動操作スイッチを配置し、フロアーに、手動操作レバーを接続する手動操作ブラケットを配置したものである。本実施の形態によれば、操作席に着座した状態で、梯子の状態を目視とモニターで確認しながら緊急時の手動操作を行うことができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による梯子車において、操作ペダルを有し、操作ペダルをフロアーに設け、操作ペダルを、操作席と手動操作ブラケットとの間に配置したものである。本実施の形態によれば、操作席に着座した状態で、操作ペダルと手動操作ブラケットとを操作できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による梯子車において、油圧を表示する油圧計を有し、油圧計をフロアーに配置したものである。本実施の形態によれば、操作席に着座した状態で、手動操作レバーを操作中に油圧計を確認できる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による梯子車において、手動操作スイッチを、操作席の座面以上の高さに配置したものである。本実施の形態によれば、手動操作スイッチを操作し易い。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による梯子車において、操作タワーのフロアー側の面に凹部を形成し、凹部に、手動操作スイッチを配置するとともに、手動操作レバーを収容するものである。本実施の形態によれば、手動操作レバーを取り出しやすく、操作席に着座した状態で、手動操作レバーを取り出し、手動操作ブラケットに接続して操作できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による梯子車において、操作タワーのフロアー側の面が、操作席の座面の前方に突出しないものである。本実施の形態によれば、手動操作ブラケットを操作タワーに配置しないことで、操作タワーを薄くでき、操作タワーが操作席の座面の前方に突出しないことで、フロアーの上方空間を広くでき、操作席への乗降性や、操作席での操縦性に優れている。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による梯子車において、モニターが、フロアーの上方に位置させる開状態と、操作タワーの上方に位置させる閉状態とに移動できるものである。本実施の形態によれば、操作席への乗降性を高めることができる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第5の実施の形態による梯子車において、手動操作レバーを1本とするものである。本実施の形態によれば、手動操作レバーをそれぞれのブラケットに差し替えて操作する必要が生じ、複数の操作を同時に行えなくすることで、手動操作の安全性が担保される。
【実施例】
【0017】
以下本発明の一実施例による梯子車を説明する。
図1は、本実施例による梯子車の構成図であり、
図1(a)は同梯子車の上面図、
図1(b)は同梯子車の側面図である。
【0018】
本実施例による梯子車は、運転席を有するキャビン1と、ターンテーブル10を配置する荷台2とからなる。ターンテーブル10には、旋回ポスト11が設けられている。
旋回ポスト11には、梯子3の一端が固定されるとともに、梯子3を操作する操作席20を設けている。
操作席20の前方にはフロアー30を備えている。操作席20と旋回ポスト11との間には操作タワー40を配置している。
【0019】
図2は、同梯子車の要部構成図であり、
図2(a)は同梯子車の要部上面図、
図2(b)は同梯子車の要部側面図、
図2(c)は同梯子車の要部正面図である。
【0020】
操作タワー40には、モニター50を設けている。モニター50は、
図2(b)に示す開閉軸51によって、フロアー30の上方に位置させる開状態(図中モニター50a)と、操作タワー40の上方に位置させる閉状態(図中モニター50b)とに移動できる。モニター50を開閉動作させることで、操作席20への乗降性を高めることができる。
【0021】
操作タワー40には、手動操作スイッチ60を配置し、フロアー30には、手動操作レバー70を接続する手動操作ブラケット71を配置している。
手動操作スイッチ60及び手動操作レバー70は、緊急時に手動によって梯子3を操作するもので、手動操作スイッチ60によって梯子3を操作可能とし、手動操作レバー70によって梯子3の伸縮動作、旋回動作、及び起伏動作を行う。手動操作ブラケット71には、伸縮動作用操作ブラケット、旋回動作用操作ブラケット、及び起伏動作用操作ブラケットがあり、それぞれの動作別にブラケットを設けている。
手動操作ブラケット71には、ワイヤー71aが接続されており、ワイヤー71aの動作によって油圧電磁弁を動作させる。
操作タワー40に手動操作スイッチ60を配置し、フロアー30に手動操作ブラケット71を配置することで、操作席20に着座した状態で、梯子3の状態を目視とモニター50で確認しながら緊急時の手動操作を行うことができる。
【0022】
フロアー30には、手動操作レバー70による手動操作ブラケット71の操作を可能とする手動操作スイッチ60の代わりに、操作ペダル81を設けてもよい。操作ペダル81は、操作席20と手動操作ブラケット71との間に配置している。操作ペダル81を操作席20と手動操作ブラケット71との間に配置することで、操作席20に着座した状態で、操作ペダル81と手動操作ブラケット71とを操作できる。
なお、操作ペダル82は、通信接続や通信切り替えを行うもので、操作ペダル81とともに、操作席20と手動操作ブラケット71との間に配置している。
【0023】
フロアー30には、更に油圧を表示する油圧計90を配置している。
手動操作ブラケット71及び油圧計90は、フロアー30面よりも低い位置に配置し、フロアー30面には、手動操作ブラケット71及び油圧計90を覆う蓋体31を設けている。
油圧計90をフロアー30に配置することで、操作席20に着座した状態で、手動操作レバー70を操作中に油圧計90を確認できる。また、手動操作ブラケット71及び油圧計90は、フロアー30面よりも低い位置に配置し、手動操作ブラケット71及び油圧計90を蓋体31で覆うことで、操作席20への乗降性を高めることができる。
【0024】
操作タワー40のフロアー30側の面には、凹部41が形成され、手動操作スイッチ60は凹部41に配置される。また、凹部41には手動操作レバー70を1本だけ収容する。凹部41に手動操作レバー70を収容することで、手動操作レバー70を取り出しやすく、操作席20に着座した状態で、手動操作レバー70を取り出し、手動操作ブラケット71に接続して操作できる。また、手動操作レバー70を1本とすることで、手動操作ブラケット71の操作は、伸縮動作用操作ブラケット、旋回動作用操作ブラケット、及び起伏動作用操作ブラケットのいずれかしか行えないため、手動操作レバー70をそれぞれのブラケットに差し替えて操作する必要が生じ、複数の操作を同時に行えなくすることで、手動操作の安全性が担保される。
手動操作スイッチ60は、操作席20の座面21の高さH以上の高さに配置する。手動操作スイッチ60を座面21の高さH以上とすることで、手動操作スイッチ60を操作し易い。
【0025】
操作タワー40のフロアー30側の面は、操作席20の座面21の前方に突出しない。すなわち、
図2(a)に示すように、操作タワー40のフロアー30側の面は、座面21の仮想延長線Kより旋回ポスト11側に配置している。
【0026】
本実施例のように、手動操作ブラケット71を操作タワー40に配置しないことで、操作タワー40を薄くできるため、操作タワー40を操作席20の座面21の前方に突出しない配置とすることができる。従って、フロアー30の上方空間を広くでき、操作席20への乗降性や、操作席20での操縦性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の梯子車は、火災現場やその他被災地での救助作業に適している。
【符号の説明】
【0028】
1 キャビン
2 荷台
3 梯子
10 ターンテーブル
11 旋回ポスト
20 操作席
21 座面
30 フロアー
31 蓋体
40 操作タワー
41 凹部
50 モニター
50a モニター
50b モニター
51 開閉軸
60 手動操作スイッチ
70 手動操作レバー
71 手動操作ブラケット
71a ワイヤー
81 操作ペダル
82 操作ペダル
90 油圧計
H 高さ
K 仮想延長線