(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】容器蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220825BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2018078829
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】桐 基晃
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199697(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122845(US,A1)
【文献】特開2016-216050(JP,A)
【文献】特開2018-016349(JP,A)
【文献】特表平10-512488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口頸部に装着される、合成樹脂から一体に成形された本体と、該本体に装着される、合成樹脂から一体に成形された逆止弁部材とから構成され、
該本体は、円環形状頂壁、該頂壁の外周縁部から垂下する円筒形状装着壁、
該頂壁の内周縁部から上方に突出する排出筒、該頂壁から垂下する円筒形状保持壁、及び該保持壁よりも半径方向内側に配設され且つ排出開口を規定する弁座面を有する弁座壁を含み、
該逆止弁部材は、円環形状フランジ壁、該フランジ壁よりも半径方向内側に配設され且つ該弁座面に対応する着座面を有する逆止弁、及び該フランジ壁に対して昇降動自在に該逆止弁を接続する、周方向に間隔をおいて配設された複数個の弾性変形自在な弾性接続片を含み、
該逆止弁部材における該フランジ壁が該本体の該保持壁に装着され、該逆止弁部材における該逆止弁の該着座面が該本体における該弁座壁の該弁座面に押圧されて該排出開口が閉じられる、
ことを特徴とする容器蓋。
【請求項2】
該逆止弁部材の該逆止弁は、円形状上壁及び該上壁の外周縁部から垂下する円筒形垂下壁を有し、該着座面は該垂下壁の外周面下端部に形成されている、請求項1記載の容器蓋。
【請求項3】
該本体の該弁座壁は、上方に延出する円筒形状基部、及び該基部の上端から半径方向内方に向かって下方に傾斜して延びる逆円錐台筒形状弁座部を有し、該弁座面は該弁座部の上面によって規定されている、請求項1又は2記載の容器蓋。
【請求項4】
該逆止弁部材は、該フランジ壁から垂下し、内周面下部が該本体における該弁座壁の該基部の外周面上部に密接される円筒形状密接壁を含み、該弁座壁の該基部の該外周面上部及び/又は該
円筒形状密接壁の該内周面下部には、該弁座壁の該基部の該外周面上部と該
円筒形状密接壁の該内周面下部との間に戻り流路を規定する少なくとも1個の溝が形成されており、
該本体における該保持壁の下端部と該弁座壁の下端部とは円環形状接続壁によって接続されており、該接続壁には該溝に対応して少なくとも1個の戻し穴が形成されている、請求項3記載の容器蓋。
【請求項5】
該本体は、該頂壁を覆う閉位置と該頂壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に、周方向所定部位においてヒンジ手段を介して該頂壁に接続された外蓋を含み、該溝及び該戻し穴は該ヒンジ手段に対して直径方向反対側に配置されている、請求項4記載の容器蓋。
【請求項6】
該本体の該保持壁の内周面上部には、周方向に連続して延在する1個の円環形状突条又は周方向に間隔をおいて周方向に延在する複数個の弧状突条が形成されていると共に、該円環形状突条又は該弧状突条よりも所定間隔だけ下方に、周方向に間隔をおいて上下方向に延在する複数個のリブが形成されており、該逆止弁部材における該フランジ壁の外周縁部を該本体の該保持壁の該円環形状突条又は該弧状突条と該リブとの間に弾性的に嵌入せしめることによって、該本体に該逆止弁部材が装着されている、請求項1から5までのいずれかに記載の容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂から一体に形成された本体と合成樹脂から一体に形成された逆止弁部材とから構成された容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、調味料、特に醤油のための容器として、圧搾自在な外側層と圧搾自在な内側層との積層構造であり、外側層の口頸部には外側層と内側層の間に大気を導入するための導入孔が形成されている積層構造容器が広く実用に供されている。そして、特にそれに限定されるものではないが、上記のとおりの積層構造容器に適した容器蓋として、下記特許文献1及び2には、容器の口頸部に装着される合成樹脂製本体及びこの本体に装着される合成樹脂製逆止弁部材に加えて合成樹脂製中間部材(下記特許文献1においては案内筒状体、下記特許文献2においては中栓)を含む容器蓋が開示されている。かような容器蓋においては、容器内容物を排出するために容器を圧搾すると、増大された容器内圧によって逆止弁部材に配設されている逆止弁が本体に配設されている弁座面から浮上されて排出開口が開放され、内容物が排出される。容器の圧搾を解除すると、容器内圧が元に戻って逆止弁が弁座面に着座し排出開口が閉ざされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-37290号公報
【文献】特開2018-16349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上述した形態の従来の容器蓋には、特に別々に成形された3個の構成部材、即ち本体、逆止弁部材及び中間部材、から構成されていることに起因して、成形及び組立を含む製造工程が煩雑であると共に製造コストが比較的高価である、という問題が存在する。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上述した形態の従来の容器蓋と実質上同一或いはそれ以上の機能を有するにも拘らず、製造工程が簡潔化されると共に製造コストが低減される、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、本体と逆止弁部材との形態を工夫することによって、上述した従来の容器蓋と実質上同一或いはそれ以上の機能を有するにも拘らず、本体と逆止弁部材との2個の構成部材から容器蓋を構成することができ、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる容器蓋として、
容器の口頸部に装着される、合成樹脂から一体に成形された本体と、該本体に装着される、合成樹脂から一体に成形された逆止弁部材とから構成され、
該本体は、円環形状頂壁、該頂壁の外周縁部から垂下する円筒形状装着壁、該頂壁の内周縁部から上方に突出する排出筒、該頂壁から垂下する円筒形状保持壁、及び該保持壁よりも半径方向内側に配設され且つ排出開口を規定する弁座面を有する弁座壁を含み、
該逆止弁部材は、円環形状フランジ壁、該フランジ壁よりも半径方向内側に配設され且つ該弁座面に対応する着座面を有する逆止弁、及び該フランジ壁に対して昇降動自在に該逆止弁を接続する、周方向に間隔をおいて配設された複数個の弾性変形自在な弾性接続片を含み、
該逆止弁部材における該フランジ壁が該本体の該保持壁に装着され、該逆止弁部材における該逆止弁の該着座面が該本体における該弁座壁の該弁座面に押圧されて該排出開口が閉じられる、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0008】
好ましくは、該逆止弁部材の該逆止弁は、円形状上壁及び該上壁の外周縁部から垂下する円筒形垂下壁を有し、該着座面は該垂下壁の外周面下端部に形成されている。該本体の該弁座壁は、上方に延出する円筒形状基部、及び該基部の上端から半径方向内方に向かって下方に傾斜して延びる逆円錐台筒形状弁座部を有し、該弁座面は該弁座部の上面によって規定されているのが好適である。該逆止弁部材は、該フランジ壁から垂下し、内周面下部が該本体における該弁座壁の該基部の外周面上部に密接される円筒形状密接壁を含み、該弁座壁の該基部の該外周面上部及び/又は該円筒形状密接壁の該内周面下部には、該弁座壁の該基部の該外周面上部と該円筒形状密接壁の該内周面下部との間に戻り流路を規定する少なくとも1個の溝が形成されており、該本体における該保持壁の下端部と該弁座壁の下端部とは円環状接続壁によって接続されており、該接続壁には該溝に対応して少なくとも1個の戻し穴が形成されているのが好ましい。好適には、該本体は、該頂壁を覆う閉位置と該頂壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に、周方向所定部位においてヒンジ手段を介して該頂壁に接続された外蓋を含み、該溝及び該戻し穴は該ヒンジ手段に対して直径方向反対側に配置されている。該本体の該保持壁の内周面上部には、周方向に連続して延在する1個の円環形状突条又は周方向に間隔をおいて周方向に延在する複数個の弧状突条が形成されていると共に、該円環形状突条又は該弧状突条よりも所定間隔だけ下方に、周方向に間隔をおいて上下方向に延在する複数個のリブが形成されており、該逆止弁部材における該フランジ壁の外周縁部を該本体の該保持壁の該円環形状突条又は該弧状突条と該リブとの間に弾性的に嵌入せしめることによって、該本体に該逆止弁部材が装着されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器蓋は、上述した従来の容器蓋と実質上同一或いはそれ以上の機能を有するにも拘らず、本体と逆止弁部材との2個の構成部品から構成されており、それ故に簡潔な製造工程によって製造することができると共に、製造コストが比較的安価である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態における本体を、成形時の状態で示す断面図。
【
図4】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態における逆止弁部材を示す断面図。
【
図6】
図1乃至
図3に示す本体と
図4及び5に示す逆止弁部材とを組み合わせて完成された、本発明に従って構成された容器蓋を、外蓋を成形時の状態で示す断面図。
【
図7】
図6に示す容器蓋を、外蓋を閉位置にせしめた状態で示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して更に詳述する。
【0012】
本発明に従って構成された容器蓋の図示の好適実施形態は、
図1乃至
図3に示す本体2と
図4及び
図5に示す逆止弁部材4とから構成されている。
【0013】
本体2を成形時の状態で示している
図1乃至
図3を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂材料から一体に押出成形又は圧縮成形することができる本体2は、円環形状である頂壁6及びこの頂壁6の外周縁部から実質上鉛直に垂下する円筒形状の装着壁8を含んでいる。頂壁6の内周面は、
図1及び
図2を参照することによって明確に理解することができるとおり、上方に向かって半径方向外方に傾斜されている。更に詳しくは、
図1及び
図2を参照することによって明確に理解されるとおり、最右部位においては実質上鉛直に延びているが、この最右部位から周方向両側に向かって90度の角度範囲においては傾斜部分が漸次増大され、最右部位の直径方向反対側の180度の角度範囲においては内周面の全体が傾斜されている。
【0014】
上記装着壁8の内周面下端部には、
図1及び
図3に明確に図示する如く、円環状突条10が形成されている。更に、装着壁8の内周面上端部と頂壁6の下面外周縁部とに亘って、周方向に等間隔をおいて上下方向に延びる複数個(図示の実施形態においては16個)の係止リブ12が形成されている。係止リブ12の内周縁上半部は実質上鉛直に延び内周縁下半部は下方に向かって半径方向外方に傾斜している。
【0015】
図1乃至
図3を参照して説明を続けると、本体2には、上記係止リブ12よりも幾分半径方向内側において上記頂壁6の下面から垂下する略円筒形状のシール片14が形成されている。このシール片14の内周面は実質上鉛直に延在し、外周面上半部も実質上鉛直に延在し、外周面下半部は下方に向かって半径方向内方に傾斜している。頂壁6の上面の内周縁部には、上方に突出する全体として円筒形状の排出筒16が形成されている。
図1及び
図2を参照することによって明確に理解される如く、排出筒16の中心軸線Bは頂壁6及び装着壁8の中心軸線Aに対して
図1及び
図2において幾分左方に変位している。排出筒16の上端部は上方に向かって半径方向外方に円弧状に延出している。頂壁2の上面の外周縁部には係止突条18が形成されている。この係止突条18の中心軸線は頂壁2及び装着壁4の中心軸線Aと合致している。係止突条18の内周面は上方に向かって半径方向外方に傾斜しており、係止突条18の外周面上端部は半径方向外方に突出している。
【0016】
本体2は、上記頂壁6の下面内周縁部から垂下する円筒形状の保持壁20を含むことが重要である。本体2は、更に、保持壁20よりも半径方向内側に配設された弁座壁22を含むことが重要である。図示の実施形態においては、保持壁20はシール片14よりも幾分半径方向内側において頂壁6の下面内周縁部から実質上鉛直に垂下している。この保持壁20の内周面上端部には、周方向に連続して延びる円環形状の突条24が形成されている。所望ならば、円環形状の突条24に代えて、周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の弧状突条を形成することもできる。保持壁20の内周面には、突条24よりも所定間隔だけ下方に、周方向に間隔をおいて上下方向に延びる複数個のリブ25も形成されている。弁座壁22は上方に延出する円筒形状の基部26及びこの基部26の上端から半径方向内側に向かって下方に傾斜して延びる逆円錐台筒形状の弁座部28を有する。基部26の上端面は半径方向外方に向かって下方に幾分傾斜せしめられており、そこに付着し
た内容物を後述する溝32に誘導するのが好都合である。弁座部28の上面は、排出開口29を規定する弁座面を構成している。保持壁20の下端と弁座壁22の下端とは円環形状の接続壁30によって接続されている。
図2に図示する如く、弁座壁22における基部26の外周面上部(後述する逆止弁部材4の密接壁66が密接する部位)の、
図2において左端部領域(この領域は後述するヒンジ手段に対して直径方向反対側に位置する)には、少なくとも1個(図示の実施形態においては周方向に間隔をおいて3個)の上下方向に延びる、内容物を容器内に戻すための溝32が形成されている。そして、かかる溝32に対応して、即ち溝32の周方向位置に整合せしめて、接続壁30には、内容物を容器内に戻すための穴34が形成されている。図示の実施形態においては周方向特定領域に溝32を形成しているが、所望ならば周方向における他の領域にも溝32を形成し、これに応じて接続壁30の周方向における他の領域にも戻し穴34を形成することもできる。溝32の断面積は0.025乃至0.100mm
2程度であるのが好都合である。
【0017】
図示の実施形態においては、上記本体2には外蓋36が付設されている。本体2が成形型内で成形された状態においては、外蓋36は
図1乃至
図3に図示する位置にあるが、実際の使用の際には、
図7に実線で示す閉位置と
図7に二点鎖線で示す開位置との間を旋回動せしめられる。外蓋36の説明における上下方向等に関しては、便宜上外蓋2が
図7に実線で示す閉位置にある状態を基準とする。図示の実施形態における外蓋36は円形状の天面壁38とこの天面壁38の外周縁部から実質上鉛直に垂下するスカート壁40とを有する。そして、スカート壁40の外周面下端部が、それ自体は周知の形態でよいヒンジ手段42を介して装着壁8の外周面上端部に旋回自在に接続されている。天面壁38の内面即ち下面には、略円筒形状の外側シール片44及び略円筒形状の内側シール片46が形成されている。外側シール片44及び内側シール片46の中心軸線Bは天面壁38及びスカート壁40の中心軸線Aに対して
図7において左側に幾分変位している。更に、天面壁38の下面中央部には下方に垂下する押圧筒48が形成されている。図示の押圧筒48は、比較的大径の円筒形状の上部、逆円錐台筒形状の中間部及び比較的小径の円筒形状下部を有する。スカート壁40の内周面下端部には円環形状の係止凹部50が形成されている。また、上記ヒンジ手段42の直径方向反対側において、スカート壁40の外周面下端部には、外蓋36を開閉する際に指を掛けることができる突起52が形成されている。
【0018】
図4及び
図5を参照して説明を続けると、逆止弁部材4は円環形状のフランジ壁54、このフランジ壁54の半径方向内側に配設された逆止弁56、及びフランジ壁54に対して上下方向に移動自在即ち昇降動自在に逆止弁56を接続する弾性接続片58を含んでいることが重要である。図示の実施壁形態においては、逆止弁56は円形状の上壁60とこの上壁60の外周縁部から垂下する円筒形状の垂下壁62を有する。上壁60は中心に向けて若干上方に膨出せしめられている。垂下壁62の外周面下端部は、断面図において下方に向かって半径方向内側に円弧形状をなして延在せしめられており、着座面を構成している。図示の実施形態においては、周方向に等間隔を
おいて3個の接続片58が配設されており、接続片58の各々は、
図5を参照することによって明確に理解されるとおり、逆止弁56の上壁60の外周縁から半径方向外方に延び、次いで周方向に相当な長さに渡って延び、そして更に半径方向外方にフランジ壁54まで延びている。逆止弁部材4は、更に、フランジ壁54の下面内周縁部から下方に垂下する円筒形状の密接壁66を有する。図示の実施形態における密接壁66の上部は実質上鉛直に垂下しているが下部は下方に向かって若干半径方向内方に傾斜している。後に更に言及する如く、密接壁66の内周面下部は本体2の弁座壁22における基部26の外周面上部に密接される。所望ならば、基部26の外周面上部に上記溝32を形成することに代えて或いはこれに加えて、密接壁66の内周面下部に溝を形成することもできる。
【0019】
図6に図示するとおり、上記本体2に上記逆止弁部材4を組み合わせることによって、更に詳しくは上記逆止弁部材4を上方から上記本体2内の所要位置に強制的に押し込むことによって、本発明に従って構成された容器蓋が完成される。かかる組み合わせに際しては、逆止弁部材4におけるフランジ壁54の外周縁部を、本体2における保持壁20の内周面に形成されている突条24とリブ25との間に弾性的に嵌入(即ち、突条24、リブ25及びフランジ壁54の少なくとも1個の弾性変形を伴う嵌入)し、本体2に逆止弁部材4を装着する。かくすると、逆止弁部材4における垂下壁62の下端に規定されている着座面が、本体2における弁座壁22の弁座部28の上面に規定されている弁座面に押圧され、これによって排出開口29が閉じられる。また、逆止弁部材4における密接壁66の内周面下部が本体2における弁座壁22の基部26の外周面上部に密接される。
【0020】
図7には、本発明に従って構成された上述したとおりの容器蓋が好適に適用される、それ自体は周知の積層構造容器の口頸部68も図示されている。図示の容器は、適宜の合成樹脂から形成されている比較的肉厚の外側層70と同様に適宜の合成樹脂から形成されている比較的肉薄の内側層72とから構成されている。逆止弁部材4が組み合わされた本体2は口頸部62
に被嵌し、口頸部68に対して
図7に図示する位置まで下方に強制することによって口頸部68に装着される。口頸部68の上端部は、本体2における係止リブ12とシール片14との間に収容され、シール片14が口頸部68の内周面に密接されることによって口頸部68が密封される。本体2における装着壁8の内周面下端部に形成されている突条10が口頸部68の外周面に形成されている係止あご部74を弾性的に乗り越え、口頸部62に本体2が拘束される。
【0021】
容器の内容物を消費しない通常の状態においては、本体2の外蓋36は
図7に実線で示す閉位置に位置せしめられている。かかる状態においては、外蓋36のスカート壁40の内周面に形成されている係止凹部50が係止突条18の外周面に係止され、これによって外蓋32が閉位置に維持される。外蓋36の天面壁38の内面に形成されている外側シール44及び内側シール片46は、夫々、排出筒16の先端外周面及び内周面に密接される。更に、外蓋36の天面壁38の内面に配設されている押圧筒48の先端が逆止弁部材4における逆止弁56の上壁60に押圧され、これによって逆止弁56の垂下壁62の下端面によって規定されている着座面が、本体2の弁座部28の上面によって規定されている弁座面に押圧され、逆止弁56が閉位置に確実に維持される。
【0022】
例えば醤油である容器の内容物を消費する際には、外蓋36の突起52に指を
掛けて外蓋36を開方向(
図7において時計方向)に旋回動せしめる。かくすると、ヒンジ手段42の作用によって外蓋36は
図7に二点鎖線で示す開位置に位置せしめられる。次いで、容器の主部(図示していない)を把持して容器を傾動し、口頸部62を下方に指向する。そして、容器の主部を適宜に圧搾する。かくすると、容器内圧が上昇し、これによって逆止弁部材4における逆止弁56が上昇せしめられて、上記弁座面から上記着座面が上方に離隔され排出開口29が開放され、内容物が排出開口29を通して排出される。排出開口29を通して排出される内容物の流動は排出筒16によって案内される。
【0023】
内容物の所要排出が終了すると、容器を正立状態に戻すと共に容器の主部の圧搾を開放する。かくすると、容器内圧が元の値に復帰し、逆止弁部材4の弾性接続片58が弾性的に元の状態に復元し、これによって逆止弁56が下降されて、上記着座面が上記弁座面に押圧され、排出開口29が閉じられる。次いで、外蓋36を閉位置に旋回動する。排出筒16から排出されることなく排出筒16内に残留した内容物は下方に流動し、本体2における弁座部28の基部26に形成されている溝32(
図2)を通って流下し、更に戻し穴34を通って容器内に戻される。溝32の横断面積は所定値に設定されている故に、内容物の一部はその表面張力によって溝32内に滞留し、これによって溝32が閉塞される(この点については、上記特許文献1及び2を参照されたい)。
【0024】
以上、添付図面を参照して本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態について詳述したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言を要しない。
【符号の説明】
【0025】
2:本体
4:逆止弁部材
6:頂壁
8:装着壁
20:保持壁
22:弁座壁
24:突条
25:リブ
26:基部
28:弁座部
29:排出開口
30:接続壁
32:溝
34:戻し穴
36:外蓋
42:ヒンジ手段
54:フランジ壁
56:逆止弁
58:弾性接続片
60:上壁
62:垂下壁
66:密接壁
68:容器の口頸部