(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】パドル方式の現像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220825BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01L21/30 569C
G03F7/30 502
(21)【出願番号】P 2018083959
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522212882
【氏名又は名称】株式会社トッパンフォトマスク
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 幸司
(72)【発明者】
【氏名】小金井 拓也
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-186161(JP,A)
【文献】特開平11-254296(JP,A)
【文献】特開平11-288868(JP,A)
【文献】特開2000-147787(JP,A)
【文献】特開2000-195773(JP,A)
【文献】特開2003-209039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/30
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被現像基板を回転可能に保持するスピンチャックと、
液盛り状態にある現像液を攪拌する攪拌ユニットと、を有するパドル方式の現像装置
であり、前記攪拌ユニットは、前記液盛りされた現像液の液面に接触または液中に埋没させた超音波モーターのステータであり、前記ステータは、円周方向に圧電素子が配置された円形状であり、円周方向に進行波を形成することを特徴とする現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の製造工程やフォトマスク製造工程において使用する現像装置に関する。更に詳しくは、均一性や解像性に優れたパドル方式の現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の重要な工程であるフォトリソグラフィー工程において、基板上に形成した感光性レジスト膜を、フォトマスクまたは電子線描画装置を用いて露光した後、現像処理することにより、レジスト膜のパターンを形成している。
【0003】
現像処理の方法には、(1)ディップ方式、(2)スプレー方式、(3)パドル方式などが知られている。
ディップ方式は、露光後の感光性レジスト膜付基板を現像槽内の現像液中に浸漬し、搖動させることにより現像を行う方式である。
スプレー方式は、露光後の感光性レジスト膜付基板に対して現像液をスプレーノズルから噴出して吹き付けることにより現像を行う方式である。通常は、現像処理の均一化のため、基板を回転させながら現像処理を実施する。
パドル方式は、スキャン型の現像装置であり、露光後の感光性レジスト膜付基板に対して、スリット状の現像液吐出口を備えたノズルヘッドから現像液を吐出しながら基板表面に沿ってノズルヘッドをスキャンすることにより、現像液の液盛りを行う現像方式である。液盛りとは、露光後の感光性レジスト膜付基板の上に、現像液の端部が表面張力で大きな接触角となるように現像液の層を形成することを指す。
【0004】
半導体パターン寸法が微細化するに連れて、現像の均一性や解像性に優れたパドル方式が主流となっている。
【0005】
しかしながら、このようなパドル方式の現像装置において、露光後の感光性レジスト膜の上面を液盛りしながらスキャンすると、現像が強く入り過ぎるために、パターンの抜け性(解像性)は良好だが、同時にパターン倒れも発生し易い問題がある。
【0006】
その対策として、例えば現像時間を短くすると、パターン倒れは減少するものの、パターンの抜け性が悪化する。またレジストの現像残渣などによる外観欠陥なども発生し易くなる。このように、パターンの解像性と、パターン倒れや外観欠陥とは、トレードオフの関係になっている。
【0007】
パターンの高い解像性と、パターン倒れや外観欠陥を抑制可能なパドル方式の現像装置として、例えば特許文献1に、円形状ガイドを有するスピンチャック上に、現像液の液盛りを形成した後、そのパドル状態を維持したまま、基板を保持したスピンチャックが回転と停止を一時的に繰り返すアジテーションを行うこと事により、フォトマスク石英基板においても、ウエハ現像工程のアジテーションと同様な動作を可能とする現像装置が提案されている(
図4~
図6参照)。
【0008】
図4は、現像装置の現像ユニット50のスピンチャック12が、スピンチャック収納部18から上に上がった状態を例示した断面説明図である。
スピンチャック12は、連結部4と、連結部4の上に被現像基板9をその端部で支持する複数の基板保持部3を備えている。
基板保持部3はガイド部17に連接して支持されている。ガイド部17はガイド支持部16によって、連接部4によって支持されている。連接部4は駆動部8からの駆動力をシ
ャフト7と連接して、スピンチャック12を回転可能としている。
駆動部8は図示していない制御装置に電気的に接続されており、制御装置の制御信号に従って回転するモーターを備えている。
スピンチャック収納部18は、スピンチャック12の周縁部に備えられた円形状ガイド6と、円形状ガイド6の内側に形成された空間である凹部5を備えている。
凹部5は、スピンチャック12を収納可能な外形寸法と深さを備えている。凹部5の底面はスピンチャックステージ11となってスピンチャック12を支持する平面となっている。スピンチャックステージ11と円形状ガイド6の間には、起立した壁面15が備えられており、その壁面15とスピンチャックステージ11により凹部5が形成されている。凹部5の深さは、被現像基板9が基板保持部3に装着した状態で、被現像基板9の上面の高さと、円形状ガイド6の上面が面一となるように設定されている。
【0009】
図5は、
図4におけるスピンチャック12が下降してスピンチャック収納部18に収納された状態を例示している。この状態で液盛り可能となっている。
【0010】
図6は、
図4または
図5を上方から見た上面図である。液盛りされた現像液は図示していない。
図6は、被現像基板9を液盛りした現像液の中に入れる事が可能となるように、被現像基板9を複数の基板保持部3で保持したスピンチャックを収納可能な凹部5に収納された状態を例示している。
【0011】
スピンチャック12を液盛りした状態に保持しながら回転するために、スピンチャック12の回転を緩やかに行う場合がある。そのために、ゆっくり回し始めること及び最終的な回転速度も低く抑える場合がある。そのような場合は、液盛りした現像液の攪拌効果も制限されざるを得ない問題があった。
【0012】
そのため、パドル方式の現像方法において、液盛りした現像液の内部における攪拌を更に効果的に可能としたことによる優れた解像性とパターン倒れや外観欠陥の抑制を両立した技術が待望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の事情に鑑み、本発明は、パドル方式の現像装置において、液盛りした現像液の内部における攪拌をより効果的に実施可能とすることによる優れた解像性とパターン倒れや外観欠陥の抑制を両立した現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第一の態様は、被現像基板を回転可能に保持するスピンチャックと、
スピンチャックの外側に設けられ、対象基板全体に亘って液盛りさせる円形状ガイドと、
液盛り状態にある現像液を攪拌する攪拌ユニットと、を有するパドル方式の現像装置である。
【0016】
従来のパドル方式の現像装置は、被現像基板を回転可能に保持するスピンチャックと、現像液を液盛り可能にスピンチャックの外側に延伸した円形状ガイドと、を備えた現像装置であったため、液盛りされた現像液の攪拌をより効果的に行う手段としては、スピンチャックを回転したり、止めたり、する以外に手段が無かった。そのため、更に効果的に攪拌することができなかった。
本発明の第一の態様では、液盛りされた現像液を攪拌する攪拌ユニットを備えているため、スピンチャックの回転とは独立して、液盛りされた現像液が積極的に攪拌可能であるため、現像液が局所的に留まることによる現像速度の低下した部分や低下していない部分が形成されなくなり、現像の均一処理が可能となる。
【0017】
また、第二の態様は、前記攪拌ユニットは、現像液中をスキャン自在に構成された短冊状の板を有することを特徴とする第一の態様に記載のパドル方式の現像装置である。
【0018】
本発明の第二の態様は、液盛りされた現像液に対して、ドクターブレードの様な短冊状の刃を自在にスキャンさせることによって攪拌するものである。短冊状の刃を被現像基板の主面に平行に、且つ短冊状の刃の長手方向に直交する方向にスキャンすることにより、広範囲な領域に亘って現像液の攪拌が促進される。
【0019】
また、第三の態様は、前記攪拌ユニットは、前記液盛りされた現像液の液面に接触または液中に埋没した状態で回転する円板であることを特徴とする第一の態様に記載のパドル方式の現像装置である。
【0020】
円板を回転することによって、従来のスピンチャックだけを回転させる場合に比べ、より強い攪拌効果を得ることができる。
【0021】
また、第四の態様は、前記攪拌ユニットが、前記液盛りされた現像液の液面に接触または液中に埋没させた超音波モーターのステータであることを特徴とする第一の態様に記載のパドル方式の現像装置である。
【0022】
攪拌ユニットとして、超音波モーターのステータ(固定子)部分を用いる方法である。この場合、このステータにより進行波が形成され、それによりローターが回転する。第三の態様では、ローターに相当する部分が液盛りされた現像液である。進行波として、通常のモーターの様に回転する進行波を作れば回転する事で攪拌するため、第三の態様と同様の攪拌効果を発揮する。リニアモーターの様に直線的に進む進行波を作れば、直線的に現像液を移動させることができるため、第二の態様と同様の攪拌効果を発揮する。
【0023】
また、第五の態様は、前記攪拌ユニットが、前記液盛りされた現像液に、前記被現像基板の表面に平行な回転磁界を形成する手段であることを特徴とする第一の態様に記載のパドル方式の現像装置である。
【0024】
この手段は、現像液が電解質溶液であるため、導電性を持っている事を利用する方法である。即ち、導電性の液体に例えば上下方向に変化する交番磁界を与えると、導電性の液体の中にその交番磁界を打ち消す方向に電流が流れる(電磁誘導現象)。また、通常のインダクションモータの様に、例えば永久磁石で作製したローターを回転磁界の中に置くと、回転磁界の磁力に引き付けられながら、または反発しながら、ローターが回転する。
このローターの代わりに、導電性の液体である現像液を回転磁界の中に置くと、回転磁界によって現像液を回転させることができ、攪拌可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のパドル方式の現像装置は、スピンチャックに保持された被現像基板上に液盛りされた現像液を、スピンチャックの回転・停止による攪拌効果に加えて、その攪拌効果とは独立した攪拌を行う事が可能な攪拌手段を備えているため、液盛りされた現像液をより効果的に攪拌し、より均一な現像を実施することができる。そのため優れた解像性とパターン倒れや外観欠陥の抑制を両立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明のパドル方式の現像装置の構成例を示す断面説明図。
【
図2】本発明のパドル方式の現像装置の構成例を示す断面説明図。
【
図3】本発明のパドル方式の現像装置の構成例を示す断面説明図。
【
図4】従来のパドル方式の現像装置の構成例を示す断面説明図。
【
図5】従来のパドル方式の現像装置の構成例を示す断面説明図。
【
図6】従来のパドル方式の現像装置の構成例を示す上面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のパドル方式の現像装置は、被現像基板を回転可能に保持するスピンチャックと、パドル方式の現像ユニットと、液盛りされた現像液を攪拌する攪拌ユニットと、を備えている。被現像基板上に液盛りされた現像液を、スピンチャックの回転とは独立に、攪拌する攪拌ユニットを備えていることが特徴である。
【0028】
本発明のパドル方式の現像装置を
図1~
図3を用いて更に具体的に説明する。
【0029】
<第一の実施形態>
図1は、本発明のパドル方式の現像装置の第一の実施形態を例示した断面説明図である。
本発明のパドル方式の現像装置10は、被現像基板9を回転可能に保持するスピンチャック12(
図4参照)と、スピンチャック12を回転可能に支持するシャフト7と、シャフト7を回転する駆動部8と、を備えたパドル方式の現像ユニット50と、液盛りされた現像液を攪拌する攪拌ユニット1-1と、を備えている。スピンチャック12は、被現像基板9を保持する基板保持部3と、被現像基板9の4つの辺から外側に、被現像基板9の各辺の側面を支持する形で弓形状部材が円形をなすように備えられたガイド部17と、基板保持部3とガイド部17を支持するガイド支持部16と、を備えている。
【0030】
第一の実施形態の現像装置10においては、攪拌ユニット1-1は、短冊状の板が、液盛りされた現像液中を長手方向に直交する方向にスキャンする手段であるスキャン攪拌部2-1を備えている。短冊状の板は、長手方向に任意の角度に傾いていても良い。且つ、攪拌ユニット1-1は、液盛りされた現像液中を被現像基板9の主面に平行にスキャンする手段である。
【0031】
短冊状の板とは、ドクターブレードの様な板状の物品である。その様な形状のスキャン攪拌部2-1が、被現像基板9上に液盛りされた現像液の中を、被現像基板9の主面(表面)に沿って移動しスキャンする。そのため、液盛りされた現像液が攪拌される。疲労した現像液が攪拌されることで、局在することを抑制することができる。
この様にして、より均一な現像処理を実現することができる。スキャン攪拌部2-1が移動する仕方は、均一な現像処理が可能となる現像液の攪拌が可能な仕方であれば特に限定されない。直線的に移動しても良いし、回転することでも良い。それらを組み合わせた動きをする事でも良い。
【0032】
現像後、攪拌ユニット1-1を現像ユニット50から離間し、被現像基板9を水洗、スピン乾燥することによって、現像工程を終了することができる。
【0033】
なお、本実施形態の現像ユニット50が備えているスピンチャックは、
図4に例示した従来のスピンチャックと同様のスピンチャック12を好適に使用することができる。
【0034】
<第二の実施形態>
図2は、本発明のパドル方式の現像装置の第二の実施形態を例示した断面説明図である。
第二の実施形態においては、攪拌ユニット1-3が、液盛りされた現像液の液面に接触または液中に埋没させた超音波モーターのステータ2-3-2であることが特徴である。現像ユニット50は第一の実施形態と同様である。
【0035】
第二の実施形態における攪拌ユニット1-3は、円板13に圧電素子2-3-1と、その圧電素子2-3-1に連接された金属板であるステータ2-3-2が備えられている。このステータ2-3-2は圧電素子2-3-1に印加された信号によって振動し、進行波を形成するものであり、超音波モーターのステータと同じ機能を備えているものである。
【0036】
ステータ2-3-2が形成する進行波は、円板13に沿って回転する方向に形成されても良いし、直線的に形成されるものであっても良い。予めステータ2-3-2を直線的な進行波を形成するものにするか、回転する進行波を形成するものにするか、決めておけば良い。
例えばステータ2-3-2が長方形であり、長方形の長手方向に圧電素子が等間隔に配置された構成である場合、個々の圧電素子に印加する電圧によってステータ2-3-2にうねりを形成し、そのうねりが長手方向に進む進行波を形成することができる。ステータ2-3-2が円形である場合も、同様に、円周方向に圧電素子を等角度間隔に配置することにより、円周方向に進む進行波を形成することができる。
【0037】
また、円板13は回転可能なものであっても良いし、シャフト14に固定されたものであっても良い。
【0038】
現像ユニット50に装着された被現像基板9の上に、液盛りされた現像液が形成された後、ステータ2-3-2を液盛りされた現像液の表面に接するか、現像液の中に埋没させた状態で、予め設定したプロファイルに従って進行波を形成することにより液盛りされた現像液を進行波に従って駆動し、攪拌することができる。円板13は回転しても良いし、固定であっても良い。この様にして液盛りされた現像液が攪拌されるため、より均一な現像がなされる。
【0039】
現像処理が終了後、攪拌ユニット1-3を現像ユニット50から離間させ、被現像基板9を水洗、スピン乾燥させることによって現像工程を終了することができる。
【0040】
<第三の実施形態>
図3は、本発明のパドル方式の現像装置の第三の実施形態を例示した断面説明図である。
第三の実施形態においては、攪拌ユニット1-4が、液盛りされた現像液に、被現像基板の表面に平行な回転磁界を形成する手段であることが特徴である。現像ユニット50は第一の実施形態と同様である。
【0041】
現像液には導電性があるため、回転磁界が加えられると電磁誘導現象が起こる。例えば、磁束を増加するとその磁束の増加を妨げる方向に渦電流を生じる。渦電流を生じると、この渦電流は、磁束を形成していた磁界から、フレミング左手の法則に従った力を受ける。具体的には、インダクションモータのステータが形成する回転磁界の中に、導体からなるローターを入れて置くと、ローターは回転磁界を追いかける様に回転する。この場合、ローターに相当するのが現像液である。
【0042】
本発明の第三の実施形態はこの原理を使用している。
現像ユニット50の被現像基板9の上に形成された液盛りされた現像液が、被現像基板
9の表面内で回転する様に力を受ける様に回転磁界を形成する。具体的には、
図3に示すステータAとステータBを、被現像基板9の表面に平行な平面内で、空間的に90°の角度をなす位置に配置する。更にステータAとステータBのコイルに流す電流の位相を90°ずらすことにより、被現像基板9の表面に平行な面内で回転する回転磁界を形成することができる。ステータは、2個に限定する必要はない。3個以上を互いに空間的に等角度間隔に配置し、各ステータのコイルに流す電流の位相を、空間的な角度と同じ位相のずれを持つ電流を流すことにより、回転磁界を形成することができる。
なお、ステータAおよびBとは、高透磁率材料からなる鉄心にコイルを巻くことによって作製した電磁石が例示される。
【0043】
この様にして回転磁界を形成すると、液盛りされた現像液を、回転磁界が回転する方向に回転させることができる。そのため、液盛りされた現像液の攪拌をより効果的に実施する事ができ、このような攪拌を行わない場合より均一な現像処理が可能となる。
【0044】
具体的な工程としては、まず現像ユニット50に装着された被現像基板9の上に、液盛りされた現像液を形成した後、液盛りされた現像液に回転磁界を印加することにより攪拌することができる。この様にして液盛りされた現像液が攪拌されるため、均一な現像がなされる。回転磁界の回転数、磁束密度など変更することにより、攪拌の状態を変更することができるため、より均一な現像を実現可能な条件を設定することが可能である。
【0045】
現像処理が終了後、被現像基板9を水洗、スピン乾燥させることによって現像工程を終了することができる。
【0046】
なお、回転磁界の同期回転数Ns(rpm)は、ステータのコイルに供給する電源の周波数に比例し、ステータの極数に反比例し、具体的には下記の数式(1)で表す事ができる。ここで、rpmとは、rotation per minuteの略であり、1分間の回転数を表す。
【数1】
【0047】
例えば、2つのステータA、Bを使用し、電源の周波数が50Hzの場合、数式(1)から、回転磁界の同期回転数Nsは3000(rpm)となる。電源の周波数を1Hzにすれば60(rpm)となる。またステータの局数を2倍の4極とすれば、それぞれ、1500(rpm)および30(rpm)となる。
【0048】
以上、本発明のパドル方式の現像装置10、30、40について第一から第三の実施の形態にて説明した。本発明のパドル方式の現像装置は、これらに限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態では、現像装置は、現像ユニットと攪拌ユニットが1つのシステムとして構築された例を説明している。本発明はこれに限定されるものではなく、既存の現像装置に上記のような攪拌ユニット機能を追加することでも実現可能である。これにより、既存の現像装置であっても、液盛りされた現像液の攪拌をより効果的に行うことができ、優れた解像性とパターン倒れや外観欠陥の抑制を両立することが可能となる。
【0049】
本発明のパドル方式の現像装置の攪拌ユニットとしては、第一~第三の実施形態にて説明した攪拌ユニット1-1、1-2、1-3、1-4の他に、振子方式や回転ファン方式などの手段からなる攪拌ユニットが考えられる。
【0050】
振子方式の攪拌ユニットは、攪拌ユニット1-1における短冊状の複数の刃が長手方向に並列に配置され、長手方向の軸を回転軸としてある角度範囲で往復運動することによって、被現像基板上に液盛りされた現像液を攪拌する手段である。これは、例えば、スプレーエッチング装置においてエッチング液を噴出するスプレーノズルを給液パイプの長手方向に取り付けて作製したスプレーノズル取り付け体を、給液パイプを回転軸として、ある角度範囲で回転往復運動させることにより、被エッチング体にエッチング液をスプレーする手段と同様である。ある角度範囲で往復運動させることが振子の動きに類似しているため、このような名称とした。
【0051】
また、回転ファン方式の攪拌ユニットは、攪拌ユニット1-2に近い。攪拌ユニット1-2は単なる円板13を回転させる方法であるが、回転ファン方式は、円板ではなくファンを採用した場合である。
【符号の説明】
【0052】
1-1、1-2、1-3、1-4・・・攪拌ユニット
2-1・・・スキャン攪拌部
2-3-1・・・圧電素子
2-3-2・・・ステータ
3・・・基板保持部
4・・・連結部
5・・・凹部
6・・・円形状ガイド
7・・・シャフト
8・・・駆動部
9・・・被現像基板
10、30、40・・・(パドル方式の)現像装置
11・・・スピンチャックステージ
12・・・スピンチャック
13・・・円板
14・・・シャフト
15・・・壁面
16・・・ガイド支持部
17・・・ガイド部
18・・・スピンチャック収納部
50・・・現像ユニット