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特許7129227腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器
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  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図1
  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図2A
  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図2B
  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図2C
  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図2D
  • 特許-腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20220825BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20220825BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20220825BHJP
   G11B 33/14 20060101ALI20220825BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01J20/20 B
B01J20/12 A
G11B33/14 Z
H01R13/533 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018107841
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019209263
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】川岸 義寛
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-182443(JP,A)
【文献】特開平05-115145(JP,A)
【文献】特開2016-184460(JP,A)
【文献】特開平02-240893(JP,A)
【文献】特開2002-367360(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02947417(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第102365010(CN,A)
【文献】特開平06-168585(JP,A)
【文献】特開2010-075791(JP,A)
【文献】特開2011-115000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02 - 53/12
B01J 20/00 - 20/34
G11B 33/14
H01R 13/533
H01H 85/00 - 85/62
H02K 5/10
A61L 9/00 - 9/22
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の吸気口部に取り付けられる第1腐食性ガスフィルタと、前記電子機器の機器内部に設置され、前記第1腐食性ガスフィルタと種類の異なる第2腐食性ガスフィルタの組み合わせからなり、
前記第2腐食性ガスフィルタがアロフェンフィルタからなる
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット。
【請求項2】
請求項1に記載された腐食性ガスフィルタセットにおいて、
前記第1腐食性ガスフィルタが活性炭フィルタからな
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット。
【請求項3】
活性炭フィルタと吸着剤の組み合わせからなる腐食性ガスフィルタセットであって、
前記活性炭フィルタは、
電子機器の吸気口部に取り付けられるものであり、活性炭を固定する一対のフレームを構成するフィルタ本体および一対の抑え網と、
前記フィルタ本体の前記電子機器への取り付け面との間に介在された中間部材と、
前記中間部材の取り付け面に設けられた取り付け部材から構成し、
前記吸着剤は、
前記電子機器の機器内のスペース部分に設けられるものであり、アロフェンと、前記アロフェンを封じた袋から構成する
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット
【請求項4】
請求項3に記載された腐食性ガスフィルタセットにおいて、
前記中間部材は、
前記活性炭フィルタを前記電子機器の吸気口部に取り付けたとき、前記電子機器の取り付け面に密着し、かつ、前記活性炭フィルタの活性炭と前記電子機器の取り付け面との間に隙間設け、濾過された空気溜まりができるように構成する
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット
【請求項5】
腐食性ガスフィルタセットにおいて、
活性炭フィルタと吸着剤の組み合わせからなり、
前記活性炭フィルタは、
電子機器の機器内に空気を吸入する吸気口部に取り付けられるものであって、
外気中に含まれる腐食性ガスを含む有害物質の、前記電子機器への流入を除去する活性炭と
前記活性炭を前後より抑え込む一対の抑え網および当該一対の抑え網を装着した枠体と、を含むフィルタ本体と、
前記フィルタ本体を前記電子機器に取り付ける取り付け部材と、
前記電子機器に前記フィルタ本体を取り付けたとき、前記電子機器の前記活性炭フィルタ取り付け面と前記活性炭との間に濾過された空気が溜まる所定の隙間を構成する中間部材と、
を含み、
前記吸着剤は、
前記電子機器の機器内部に設置されるものであって、
前記電子機器の吸気口部より機器内部に吸気した前記腐食性ガスを含む有害物質を除去するアロフェンと、当該アロフェンを内包した袋を含む、
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット。
【請求項6】
請求項に記載された腐食性ガスフィルタセットは
記濾過された空気が溜まる所定の隙間が5mm±2mmとなるように構成されている
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセット。
【請求項7】
電子機器において、
前記電子機器の機器内に空気を吸入する吸気口部に活性炭フィルタを取り付け、前記電子機器の機器内にアロフェンフィルタを配置した複数のフィルタを用いて、外気中に含まれる腐食性ガスを含む有害物質による前記電子機器の機器内への流入を除去し、かつ、前記電子機器の機器内に流入した腐食性ガスを含む有害物質を除去し、前記電子機器の内部に配置された電子部品の腐食を防止する
ことを特徴とする腐食性ガスフィルタセットを用いた電子機器。
【請求項8】
請求項1~請求項の何れか1つに記載された腐食性ガスフィルタセットを搭載したことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを搭載した電子機器に関する。
電子機器とは、例えば、電子部品を搭載したサーバ、コンピュータ機器、キャッシュカードやクレジットカードなどのカードを利用した現金自動預け払い機(以下、ATMと称する)などである。
【背景技術】
【0002】
サーバやATMなどの電子機器は、気候(寒暖)、環境の異なる様々な地域に設置されている。例えば、ATMの端末機を海や火山、温泉地に設置した場合、塩分や有害ガスなどによる腐食などの対策が必要となる。その対策として、ケミカルフィルタ又は活性炭フィルタを利用して腐食性ガス(硫化水素、亜硫酸、亜硝酸、塩素、アンモニア等)を除去する方法が考えられる。
【0003】
腐食性ガスを除去するため、特許第4744175号公報(特許文献1)に記載された技術がある。この公報には、基板を搬出入する搬送室の排気部にケミカルフィルタ又は活性炭フィルタを設け、処理済の基板上に付着した腐食性ガスなど処理ガス成分が搬送室などの排出とともにそのまま外部へ排出されることを防止し、工場の排気設備などの負担を軽減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4744175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、サーバやATMなどの電子機器の腐食性ガスによる障害、つまり、電子機器の内部へのガス流入を防止し、電子機器の内部に搭載されている電子部品などの腐食を抑止することについては考慮されていない。そのため、工場の排気設備などの負担を軽減するという効果に留まる。
【0006】
つまり、特許文献1では、例えば、工場内にサーバや従業員を対象にATMを設置した場合、工場内の基板上に付着した腐食性ガスなどによるサーバやATMを構成する電子部品などの腐食を防止することができない。
【0007】
そこで、本発明では、電子機器を腐食性ガスなどが発生する地域に設置した場合でも、簡単な構成により、電子機器における機器内の部品などの腐食防止を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の腐食性ガスフィルタセットおよび腐食性ガスフィルタセットを用いた電子機器の一つは、電子機器の吸気口部に取り付けられる第1腐食性ガスフィルタと、前記電子機器の機器内部に設置され、前記第1腐食性ガスフィルタと種類の異なる第2腐食性ガスフィルタの組み合わせからなることを特徴とする。
また、電子機器内に空気を吸入する吸気口部に活性炭フィルタを取り付け、外気中に含まれる腐食性ガスを含む有害物質の電子機器内への流入を削減し、電子機器内に設置した吸着剤(アロフェンなど)との組み合わせにより、電子機器内における電子部品の腐食を抑えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サーバやATMなどの電子機器を腐食性ガスなどが発生する地域に設置した場合でも、電子機器内における電子部品の腐食性ガスなどによる悪影響を削減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例を示す電子機器の現金自動預け払い機(ATM)の斜視図。
図2A】本発明の活性炭フィルタの構成例を示す正面図。
図2B】本発明の活性炭フィルタの構成例を示す上面図。
図2C】本発明の活性炭フィルタの構成例を示す側面図。
図2D図2AのA-A断面拡大図。
図3】吸着剤(アロフェンフィルタ)の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例について図面を用いて説明する。本例では、電子機器として、ATMを例に説明する。
【0012】
まず、本発明者は、ATMを海や火山、温泉、などが多い地区に設置した場合、その他の地区に設置した場合に比べ、ATMの故障率が高いことを知った。そして、その原因を究明した結果、大気の腐食性ガスなどがATMの機器内に侵入し、機器内の電子部品などを腐食することを突き止めた。しかし、腐食ガスによる被害は、想定不能であり、また、大気中に浮遊する腐食ガスを未然に防ぐ手立てがない、のが実情である。
【0013】
故に、従来では、障害、故障などが生じた場合、その都度、どの部品が故障したかを突き止め、故障した部品を交換するなどして対処していた。したがって、部品交換のための時間とコストがかかる問題があった。
【0014】
そこで、本発明者は、例えば、特許文献1に記載されたようなフィルタ、つまり、活性炭フィルタの使用を試みた。その結果、活性炭フィルタにより、腐食性ガスを抑制することができた。しかし、その抑制効果として充分満足できるものではないのみならず、この活性炭フィルタをATMに適用した場合、ATMを設置した地区に応じて、除去する有害物質が異なり、この有害物質に合わせて活性炭フィルタを加工する必要があることが判った。
つまり、除去する有害物質に合わせて、活性炭フィルタを加工する必要があり、結果として、従来と同様にコストがかかり、高価となる課題があることが判明した。
なお、活性炭フィルタにより、ATMの機器内部の腐食を防止しようとする課題認識は、本発明者が知る限り、知られていなかった。
【0015】
本発明は、係る課題を是正するため、各種の腐食性ガスフィルタを検討するとともに腐食性ガスを含む有害物質を有効に除去可能なフィルタの組合せを見出し、当該フィルタをATMに取り付けたものである。以下、その実施例について説明する。
【実施例
【0016】
図1は、本発明の現金自動預け払い機(ATM)1の概略構成を示す斜視図である。
ATM1の側面には、外気を機器内に取り込む吸気口部11、12を有する。また、ATM1の底部には、排気口113を有する。
吸気口部11、12には、それぞれ機器内部を冷却する冷却ファン111、112が取り付けられている。
つまり、吸気口部11、12から取り込んだ空気を排気口113から自然排気する構成となっている。
【0017】
この冷却ファン111、112の吸気口部11、12には、それぞれ当該吸気口部11、12を塞ぐように活性炭フィルタ2を取り付けてある。
【0018】
ATM1の機器内部には、活性炭フィルタ2とともに腐食性ガスフィルタを構成する吸着剤(アロフェンフィルタ)3を設置してある。
【0019】
腐食性ガスフィルタセットは、例えば、活性炭フィルタ2と吸着剤(アロフェンフィルタ)3の組み合わせからなる。以下、各フィルタの構成について説明する。
【0020】
図2は、腐食性ガスフィルタを構成する活性炭フィルタ2の構成を示す図であって、図2Aは、活性炭フィルタ2の正面図、図2Bは、その上面図、図2Cは、その側面図である。図2Dは、図2AのA-A断面拡大図である。
【0021】
活性炭フィルタ2は、ATM1の吸気口部11,12に取り付けられるものであり、多孔質の炭素を主な成分とする活性炭(activated carbon)25、活性炭25を固定する一対のフィルタ本体(枠体)21、活性炭25を抑えるようにして支持する一対の支持部材22、およびフィルタ本体(枠体)21をATM1の側面に取り付けるとき、ATM1の取り付け面との間に隙間を構成する部材(以下、中間部材と称する)24、取り付け部材(図示せず)、から構成されている。
【0022】
フィルタ本体21は、ATMの吸気口部11、12に対向して配置されるものであり、空気貫通孔を有する四角形状の枠体を構成している。枠体は、例えば、腐食性ガス耐性の高いステンレスやアルミフレームなどの金属で構成するとよい。
【0023】
支持部材22は、枠体からなるフィルタ本体21に装着され、活性炭25や活性炭25を複数の領域に区切る、例えば、複数のラワン材23を、前後より抑える抑え網(金網)からなる。
【0024】
抑え網(金網)からなる支持部材22は、ラワン材23に固定具26により取り付けられ、活性炭25を挟持し、枠体のフィルタ本体21に安定に取り付けられる。
【0025】
フィルタ本体21の空気貫通孔の部分には、図示のように活性炭25と、活性炭25を前後より挟み込むようにして支持する支持部材22が配置され、これらが、図示のようにフィルタ本体21に取り付けられている。
【0026】
本実施例では、活性炭フィルタ2と吸着剤3(例えば、アロフェンフィルタ)の組み合わせた腐食性フィルタセットとして説明しているが、活性炭フィルタ2に置き換えて耐塩フィルタを用いてもよい。
【0027】
中間部材24は、活性炭フィルタ2をATM1の吸気口部11に取り付けたとき、ATM1の取り付け面に密着し、かつ、活性炭フィルタ2の活性炭25とATM1の取り付け面との間に適度の隙間を設け、濾過済みの空気溜まりができるように構成する部材であり、錆ない材質にて構成するとよい。そのため、中間部材24の厚みは、例えば、5mm±2mm程度とする。
【0028】
つまり、活性炭フィルタ2をATM1に取り付けることにより、空気流量の圧力損失(約25%)が生じ、経年と共に活性炭フィルタ2に目詰まりが増し、圧力損失は大きくなる。圧力損失が大きくなると、機器内を冷却する力が損なわれ、その結果として、機器内の温度が上昇し、機器内装置の部品寿命の短縮(故障率の悪化)のリスクが高まる。
【0029】
係る課題を是正するため、本発明では、活性炭フィルタ2をATM1に密着するように構成するのではなく、活性炭フィルタ2とATM1との間に隙間を設け、当該隙間に濾過された空気が溜まるように構成する。隙間は、例えば、フィルタの取り付け耐性(自重)やスペースなどを考慮し、5mm程度とするとよい。
【0030】
本出願人は、本発明の活性炭フィルタ2を電子機器1に取り付けた場合、通常のフィルタ(汎用の防塵用フィルタ)に比べ、4~6度程度高くなるが、既存の活性炭フィルタを密着して取り付けた場合に比べ、その上昇温度は低く抑えることができ、電子機器の許容温度範囲に入ることを確認している。これにより、少しでも圧力損失を補うことができ、部品寿命の短縮、故障率の悪化などのリスクを低減することが期待できる。
【0031】
取り付け部材は、活性炭フィルタ2をATM1の取り付け面に直に取り付ける部材であり、ATM1をメンテナンスするCEのみならず、ATM1を設置した顧客でも活性炭フィルタ2の取り付けや取り外しを容易とし、また、活性炭フィルタ2の交換などを容易にするため、例えば、両面テープやマグネットからなる。望ましくは、マグネットよりも両面テープを使用するとよい。テープは、エンボス処理された壁面にも密着するようにクッション性のあるテープがよい。
【0032】
図3は、吸着剤(アロフェンフィルタ)3の構成を示す斜視図である。
【0033】
吸着剤(アロフェンフィルタ)3は、ATM1の機器内のスペース部分に設置されるものであり、アロフェン(Allophane)31を袋詰めした袋32から構成されている。つまり、不織布等で、形成された袋32に粒状のアロフェン31を袋詰めし、密閉した構成となっている。吸着剤(アロフェンフィルタ)3は、アロフェンの性質上、設置場所を限定する必要がなく、ATM1の内部であれば、電源4の上など、機器内隙間に設置可能である。そして、例えば、品川化成株式会社製の型名:セカードKW100を使用する。
【0034】
以上述べたように、活性炭フィルタ2と吸着剤(アロフェンフィルタ)3の組み合わせからなる腐食性ガスフィルタを使用すれば、除去する有害物質に合わせて活性炭フィルタ2を加工することなく、腐食性ガスを含む有機ガスを有効に除去することが可能であることが判った。
【0035】
アロフェンは、アモルファス又は結晶化度の低い水和アルミニュウムケイ酸塩でできた粘土準鉱物であって、以下のような特徴がある。すなわち、
(1)アロフェンは、鉱物であって、原価が安く、例えば、300円/100gであり、活性炭フィルタの約1/10のコストである。
(2)一般的なフィルタのように空気を濾過しなくても、アロフェンを電子機器のスペース部分に置く(設定)だけで、有害物質を除去できる。
(3)複数の有害物質を比較的に均一に除去できる。
(4)不燃性で熱を発生しない。
そして、アロフェンは、一般的には、吸着剤として、錠剤型やシート状に加工され、食品、医薬品、電子部品などの梱包に使用されている。
本願発明は、係るアロフェンの特徴を活かしてなるものである。
本発明者が知る限り、電子機器の内部に吸着剤(アロフェンフィルタ)3を設置し、電子機器内部に侵入する腐食ガスなどを他のフィルタ(活性炭フィルタ2)と組み合わせて除去する着想は見当たらない。
【0036】
なお、本出願人において、電子機器の吸気口部に一般的な防塵用フィルタを取り付けた場合と、既存の活性炭フィルタおよび本発明の活性炭フィルタ2を取り付けた場合におけるそれぞれの温度上昇を測定した結果、本発明の活性炭フィルタ2を用いた場合では、一般的な防塵用フィルタを用いた場合に比べ、温度上昇値を低く抑えることができ、例えば、35.0度で4.5度の上昇に留まっており、実用化判定結果(判定フィルタ取り付けの上昇温度)として、電子機器への適用として問題ないことを確認している。
【0037】
以上述べた実施例によれは、アロフェンの上述した特徴を活かし、かつ、活性炭フィルタ2をATM1の吸気部への取り付け、ATM1の機器内部に吸着剤(アロフェンフィルタ)3を設置した組み合わせのフィルタを用い、また、活性炭を使用したフィルタの電子機器への取り付けに際して、電子機器の取り付け面と活性炭フィルタとの間に所望の空気溜まりを形成したフィルタとしたものであり、除去する有害物質に合わせて、活性炭フィルタを加工する必要なく、簡単、かつ扱い易い構成により、ATM機器内部への腐食ガス、およびATM内部に流入した腐食ガスを含む有機ガスを簡単な構成で除去、もしくは低減することができ、結果として、電子機器の点検、補修、などの作業効率が向上し、かつ、コスト低減も図ることができる。
【0038】
例えば、活性炭フィルタと吸着剤(アロフェンフィルタ)の組み合わせからなる腐食性ガスフィルタをATM機器に取り付けることにより、除去する有害物質に合わせて活性炭フィルタを加工することなく、活性炭フィルタで除去できない有害物質、特に火山から発生する硫化水素を効果的にアロフェンにて除去することができ、結果として、取り付け、取り外しが容易で、低コストで有効な有害物質の除去を軽減することができ、有害物質によるATMの内部にある電子部品などの腐食による障害を抑えることができる。
【0039】
ちなみに、出願人の検証結果では、100グラムで約半年の間、腐食ガスの除去効果が期待できることを確認している。
【符号の説明】
【0040】
1 電子機器(ATMなど)
11、12 吸気口部
2 活性炭フィルタ
21 フィルタ本体(枠体)
22 支持部材(抑え網)
24 中間部材
25 活性炭
3 吸着剤(アロフェンフィルタ)
31 アロフェン
32 袋

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3