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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】梯子車
(51)【国際特許分類】
   F41H 5/06 20060101AFI20220825BHJP
   E06C 5/44 20060101ALI20220825BHJP
   E06C 5/06 20060101ALI20220825BHJP
   A62B 1/00 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F41H5/06
E06C5/44
E06C5/06
A62B1/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018121467
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020003118
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000230445
【氏名又は名称】日本リフト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502036147
【氏名又は名称】株式会社トノックス
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 忠彦
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209234(JP,A)
【文献】実開昭55-056900(JP,U)
【文献】特開平04-367671(JP,A)
【文献】Austria Counter Terror Unitdeploys MARS RDD Elevated Tactics System during anti-terror exercise,2016年10月27日,https://www.patriot3.com/post/austria-counter-terror-unit-deploys-mars-rdd-elevated-tactics-system-during-anti-terror-exercise
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 5/06
E06C 5/44
E06C 5/06
A62B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して起伏自在に枢着された主梯子と、
前記主梯子に沿って摺動自在に取り付けられ、前記主梯子の先端側に突出可能な副梯子と、
前記副梯子の先端部に枢着された先端梯子と、
前記主梯子に起伏自在に取り付けられた板状の弾よけ部材と、
前記主梯子を回動させるチルトシリンダと、
前記副梯子を摺動させるスライド駆動シリンダとを備え
前記弾よけ部材を起立方向に付勢するガスダンパーが、前記弾よけ部材と前記主梯子のフレーム間に設けられており、
前記ガスダンパーがストッパー付きガスダンパーであり、前記弾よけ部材を起立状態でロック可能であり、
前記弾よけ部材は、伏せた状態で前記主梯子と平行で、前記主梯子のフレームの内側に収まる、梯子車。
【請求項2】
前記弾よけ部材が前記主梯子に平行な前記伏せた状態では、前記弾よけ部材を起立させる方向に作用する前記ガスダンパーの分力は小さく、前記弾よけ部材は伏せた状態で安定し、
前記弾よけ部材の起立位置では、前記弾よけ部材を起立させる方向に作用する前記ガスダンパーの分力は前記伏せた状態よりも大きくなり、前記弾よけ部材を自立させる、請求項1に記載の梯子車。
【請求項3】
前記チルトシリンダ及び前記スライド駆動シリンダを遠隔操作するリモートコントローラを有する、請求項1又は2に記載の梯子車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に梯子を装備した梯子車に係り、とくに航空機や低層建造物等への人員の送り込み、あるいは待避等に適した、弾よけを有する梯子車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から伸縮する梯子を有する梯子車は消火活動等に用いられている。この種の梯子車としては下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-209234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の梯子車は複数段の梯子を伸ばすことが可能であるが、銃撃の恐れのある敵対者が梯子先端側の航空機や低層建造物等に居る場合の対策は取られていない。このため、梯子を登ろうとする救助者、支援者等が危険に晒されることになる。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、梯子を昇降しようとする者を銃撃から守るための弾よけ部材を具備して、銃撃に対する安全性の向上を図った梯子車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は梯子車である。この梯子車は、車体に対して起伏自在に枢着された主梯子と、
前記主梯子に沿って摺動自在に取り付けられ、前記主梯子の先端側に突出可能な副梯子と、
前記副梯子の先端部に枢着された先端梯子と、
前記主梯子に起伏自在に取り付けられた板状の弾よけ部材と、
前記主梯子を回動させるチルトシリンダと、
前記副梯子を摺動させるスライド駆動シリンダとを備え
前記弾よけ部材を起立方向に付勢するガスダンパーが、前記弾よけ部材と前記主梯子のフレーム間に設けられており、
前記ガスダンパーがストッパー付きガスダンパーであり、前記弾よけ部材を起立状態でロック可能であり、
前記弾よけ部材は、伏せた状態で前記主梯子と平行で、前記主梯子のフレームの内側に収まる構成である。
【0007】
前記弾よけ部材が前記主梯子に平行な前記伏せた状態では、前記弾よけ部材を起立させる方向に作用する前記ガスダンパーの分力は小さく、前記弾よけ部材は伏せた状態で安定し、
前記弾よけ部材の起立位置では、前記弾よけ部材を起立させる方向に作用する前記ガスダンパーの分力は前記伏せた状態よりも大きくなり、前記弾よけ部材を自立させる構成であるとよい。
【0009】
前記主梯子を回動させるチルトシリンダ及び前記副梯子を摺動させるスライド駆動シリンダを備え、さらに前記チルトシリンダ及び前記スライド駆動シリンダを遠隔操作するリモートコントローラを有する構成であるとよい。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る梯子車によれば、梯子を昇降しようとする者を銃撃から守るための弾よけ部材を、梯子に対して起伏自在に設けることで、銃撃に対する安全性の向上を図ることができる。また、リモートコントローラを備える場合には、操作性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る梯子車の実施の形態であって、梯子車走行時の状態を実線で示し、梯子車使用時の状態を仮想線で示す側面図。
図2】実施の形態において、梯子車走行時の状態を実線で示し、梯子車使用時の状態を仮想線で示す平面図。
図3】実施の形態において、主梯子及びこれに起伏自在に設けられた弾よけ部材を示す側面図。
図4】同じく平面図。
図5】実施の形態における弾よけ部材及びその周辺の機構を示す拡大側面図。
図6】実施の形態におけるコード付きリモートコントローラの平面図。
図7】実施の形態におけるワイヤレス・リモートコントローラの平面図。
図8】実施の形態において、主梯子を回動させるチルトシリンダ及び副梯子を摺動させるスライド駆動シリンダを作動させるための油圧回路図。
図9】実施の形態において、チルトシリンダ及びスライド駆動シリンダを作動させるためのリモートコントローラを用いる電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0015】
図1乃至図5に示すように、車両1は直方体枠状の車体フレーム2を有し、車体フレーム2の上辺部2aに一対(複数)の主梯子3の末端部がピン4で起伏自在に枢着され(回転自在に取り付けられ)ている。車体フレーム2の上辺部2aの高さは運転席のあるキャビン5よりも高くなっている。主梯子3と車体フレーム2下部間にはチルトシリンダ6が設けられている。すなわち、チルトシリンダ6の本体部6aはピン7で車体フレーム2下部に枢着され、チルトシリンダ6のピストンロッド6bの先端部は主梯子3にピン8で枢着されている。チルトシリンダ6は主梯子3が上辺部2aと平行な状態から所定角度で起き上がった状態に主梯子3を駆動するものであり、チルトシリンダ6の縮動時は主梯子3と上辺部2aとが平行になり、伸長時には主梯子3はピン4を支点として回動し、図1仮想線Pのように上辺部2aに対し所定角度αで起き上がる。
【0016】
車体フレーム2には、車体フレーム2の下部と上辺部2aとの間の昇降のために階段9が固定されている。階段9の下端には、地上と階段9の下端間の昇降のために折り畳み式の階段91が回転自在に連結されている。階段91の不使用時には図1の実線のように階段91は階段9に重ねられ、使用時には仮想線のように展開されて、階段9及び階段91は車体フレーム2の上辺部2aから地上に至る連続した階段として機能する。
【0017】
各主梯子3には、副梯子10が摺動自在に平行に設けられている。主梯子3と副梯子10との間にはスライド駆動シリンダ11が設けられている。すなわち、スライド駆動シリンダ11の本体部11aはピン12で主梯子3に枢着され、スライド駆動シリンダ11のピストンロッド11bの先端部はピン13で副梯子10に枢着されている。副梯子10は、主梯子3に設けられたローラ(図示せず)で主梯子3の内側を円滑に摺動するように支持され、スライド駆動シリンダ11の縮動時には副梯子10は主梯子3の内側に格納されて突出せず、スライド駆動シリンダ11の伸長時には図1仮想線Qのように主梯子3の先端側に突出(延在)する。
【0018】
先端梯子40はヒンジ41を介して各副梯子10にそれぞれ連結され、副梯子10上に折り返されて重なった状態から、副梯子10の先端側に水平に展開した状態(仮想線R)に手動で回動可能である。
【0019】
図3乃至図5に示すように、主梯子3の末端側に板状の弾よけ部材50の末端部が起伏自在(回転自在)に枢着されている。つまり主梯子3のフレーム3aの末端側角パイプ3bの内側にヒンジ51を介して弾よけ部材50の末端が取り付けられている。また、弾よけ部材50の長さ方向中間部とフレーム3aの側面下部間に、弾よけ部材50を起立方向に付勢するストッパー付きガスダンパー60が設けられている。つまり、ガスダンパー60の下端はフレーム3aにピン65で枢着され、他端はピン66で弾よけ部材50の中間部側面に枢着されている。ストッパー付きガスダンパー60は弾よけ部材50を任意の起立状態でワンタッチでロック可能(また、ワンタッチでロック解除可能)な市販品である。弾よけ部材50には手動で起立させるためのグリップ52が設けられている。
【0020】
板状の弾よけ部材50は、伏せた状態では主梯子3と平行で、そのフレーム3aの内側に収まっている。このとき、弾よけ部材50を起立させる方向に作用するガスダンパー60の分力は小さいため、弾よけ部材50は伏せた状態で安定している。グリップ52を握って手動で弾よけ部材50を起立させて行くと、弾よけ部材50を起立させる方向に作用するガスダンパー60の分力は徐々に大きくなり、最後は図3の仮想線Sのようにガスダンパー60が伸びきった起立位置で自立する。ガスダンパー60のストッパ機能を利用することで、任意の起立角度で弾よけ部材50をロック可能である。
【0021】
板弾よけ部材50は、例えば金属板とその他の防弾性のある板の貼り合わせ構造等である。
【0022】
以上の実施の形態の構成において、梯子車の走行時にはチルトシリンダ6を縮動させ、各主梯子3は車体フレーム2の上辺部2aと平行な伏せた状態にする。また、スライド駆動シリンダ11を縮動させておくことで副梯子10を主梯子3内に引き込まれた状態とする。また、先端梯子40は裏返し状態で副梯子10上に重ねておく。
【0023】
梯子車の使用時には、まず、先端梯子40を副梯子10の先端側に展開する。次に、チルトシリンダ6を伸長させ、各主梯子3を車体フレーム2の上辺部2aから所定の仰角で起き上がった状態にする。航空機や低層建造物等への人員の送り込み、あるいは待避する目標高さに応じて仰角αを調整する。そして、スライド駆動シリンダ11を伸長させて主梯子3先端側から副梯子10を突出させ延ばす。チルトシリンダ6や、スライド駆動シリンダ11の長さ調整により、先端梯子40の先端位置を任意に調整できる。
【0024】
これにより、階段9、主梯子3、副梯子10及び先端梯子40の経路で航空機や建造物に人員を送り込んだり、逆の経路で人員を避難させたりすることが可能である。
【0025】
また、銃撃の危険性があるときは、板状の弾よけ部材50を手動で起立させておき、弾よけ部材50の背後に人員を退避させることができる。
【0026】
以上は梯子車の機構的な動作説明であるが、以下にリモートコントローラを用いる場合の主梯子3を回動させるチルトシリンダ6及び副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11の動作説明を行う。ここでは、チルトシリンダ6及びスライド駆動シリンダ11は油圧シリンダであるものとする。
【0027】
図6は実施の形態におけるコード付きリモートコントローラ20の平面図、図7はワイヤレス・リモートコントローラ30の平面図、図8は主梯子3を回動させるチルトシリンダ6及び副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11を作動させるための油圧回路図、図9はチルトシリンダ6及びスライド駆動シリンダ11を作動させるためのリモートコントローラを用いる電気回路図である。
【0028】
図6のコード付きリモートコントローラ20は、車両1の左側の主梯子3及び副梯子10を操作する左側「上」、「下」、「伸」、「縮」押しボタンを有するとともに、車両1の右側の主梯子3及び副梯子10を操作する右側「上」、「下」、「伸」、「縮」押しボタンを有する。コード付きリモートコントローラ20は接続コード21を介して図8の油圧回路中の電磁弁を制御する図9の電気回路に接続されている。
【0029】
図7のワイヤレス・リモートコントローラ30は、車両1の左側の主梯子3及び副梯子10を操作する左側「上」、「下」、「伸」、「縮」押しボタンを有するとともに、車両1の右側の主梯子3及び副梯子10を操作する右側「上」、「下」、「伸」、「縮」押しボタンを有する。ワイヤレス・リモートコントローラ30は無線(電波)で図9の電気回路中の受信機70に結合しており、ワイヤレス・リモートコントローラ30の特定の押しボタンを押すと、受信機70の対応する接点が閉じるようになっている。例えば、左側「上」の押しボタンを押したときは、受信機70の(左)上出力スイッチが閉じ、左側「下」の押しボタンを押したときは、受信機70の(左)下出力スイッチが閉じ、左側「伸」の押しボタンを押したときは、受信機70の(左)伸出力スイッチが閉じ、左側「縮」の押しボタンを押したときは、受信機70の(左)縮出力スイッチが閉じる。同様に、右側「上」の押しボタンを押したときは、受信機70の(右)上出力スイッチが閉じ、右側「下」の押しボタンを押したときは、受信機70の(右)下出力スイッチが閉じ、右側「伸」の押しボタンを押したときは、受信機70の(右)伸出力スイッチが閉じ、右側「縮」の押しボタンを押したときは、受信機70の(右)縮出力スイッチが閉じる。
【0030】
図8の油圧回路は、左側主梯子3を回動させるチルトシリンダ6及び左側副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11を作動させる油圧回路部80Lと、右側主梯子3を回動させるチルトシリンダ6及び右側副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11を作動させる油圧回路部80Rとを備える。油圧回路部80Lと油圧回路部80Rは同じ構成であり、パワーユニット(エンジン駆動)の作動油供給ポートPから作動油の供給を受けるようになっている。
【0031】
左側主梯子3を回動させるチルトシリンダ6の上下駆動の切り換えのために電磁切換弁81が、左側副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11の伸縮の切り換えのために電磁切換弁82がそれぞれ設けられている。同様に、右側主梯子3を回動させるチルトシリンダ6の上下駆動の切り換えのために電磁切換弁83が、右側副梯子10を摺動させるスライド駆動シリンダ11の伸縮の切り換えのために電磁切換弁84がそれぞれ設けられている。電磁切換弁81~84は非励磁状態では停止状態となり、直前の状態を保持する。
【0032】
図9はコード付きリモートコントローラ20又はワイヤレス・リモートコントローラ30の押しボタン操作に対応させて、梯子車のバッテリーBTの電圧を、左右のチルトシリンダ6及び左右のスライド駆動シリンダ11の上下及び伸縮の切り換えを行う電磁切換弁81,82,83,84のソレノイド81a又は81b,82a又は82b,83a又は83b,84a又は84bに選択的に印加して励磁する回路構成となっている。
【0033】
例えば、図6のコード付きリモートコントローラ20の左側の「上」の押しボタンを押せば、図9の電気回路で電磁切換弁81のソレノイド81aが励磁され、油圧回路部80Lのチルトシリンダ6が伸長するように作動油が供給される。この結果、左側主梯子3は起立方向に回動する。
【0034】
コード付きリモートコントローラ20の左側の「下」の押しボタンを押せば、電磁切換弁81のソレノイド81bが励磁され、油圧回路部80Lのチルトシリンダ6が縮動するように作動油が供給される。この結果、左側主梯子3は水平に伏せる方向に回動する。
コード付きリモートコントローラ20の左側の「伸」の押しボタンを押せば、電磁切換弁82のソレノイド82aが励磁され、油圧回路部80Lのスライド駆動シリンダ11が伸長するように作動油が供給される。この結果、副梯子10は突出方向にスライド駆動される。
【0035】
コード付きリモートコントローラ20の左側の「縮」の押しボタンを押せば、電磁切換弁82のソレノイド82bが励磁され、油圧回路部80Lのスライド駆動シリンダ11が縮動するように作動油が供給される。この結果、副梯子10は引き込み方向にスライド駆動される。
【0036】
右側の「上」、「下」、「伸」、「縮」押しボタンを押した場合も、電磁切換弁83,84のソレノイド83a又は83b,84a又は84bを選択的に励磁することで、同様にチルトシリンダ6及びスライド駆動シリンダ11を介して右側の主梯子3及び副梯子10を作動させることができる。
【0037】
図7のワイヤレス・リモートコントローラ30の押しボタンを操作した場合も、図9の回路図中の受信機70(コード付きリモートコントローラ20と同じ接点構成を有する)の対応する接点が閉じ、コード付きリモートコントローラ20を操作した場合と同様の効果が得られる。
【0038】
例えば、図7のワイヤレス・リモートコントローラ30の左側の「上」の押しボタンを押せば、図9の電気回路中の受信機70の受信機70の(左)上出力スイッチが閉じて電磁切換弁81のソレノイド81aが励磁され、油圧回路部80Lのチルトシリンダ6が伸長するように作動油が供給される。この結果、左側主梯子3は起立方向に回動する。ワイヤレス・リモートコントローラ30におけるその他の押しボタン操作の場合もコード付きリモートコントローラ20の場合と同様になる。
【0039】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0040】
(1) 車体フレーム2に対して起伏自在に枢着された主梯子3と、主梯子3に沿って摺動自在に取り付けられて主梯子3の先端側に突出可能な副梯子10と、副梯子10の先端部に枢着された先端梯子40とを備える構成において、板状の弾よけ部材50を主梯子3に起伏自在に設けたことで、梯子3,10,40を昇降しようとする者を銃撃から守り、銃撃に対する安全性の向上を図ることができる。
【0041】
(2) 板状の弾よけ部材50を起立方向に付勢するストッパー付きガスダンパー60が、弾よけ部材50と主梯子3のフレーム3a間に設けられているため、弾よけ部材50を手動で起立させる際の操作力を軽減可能である。また、ストッパー付きガスダンパー60を用いることで、弾よけ部材50の任意の起立角度でストッパー付きガスダンパー60をロックでき(ロック解除も任意位置で可能)、操作性も良い。
【0042】
(3) コード付きリモートコントローラ20又はワイヤレス・リモートコントローラ30を用いることで、主梯子3や副梯子10の遠隔操作が可能であり、作業性、操作性の改善を図ることができる。
【0043】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0044】
上記実施の形態において、各チルトシリンダ6や、スライド駆動シリンダ11は油圧シリンダであっても、電動シリンダであってもよい。
【0045】
先端梯子40の回動を手動で行う代わりに、油圧シリンダや電動シリンダで行うようにしてもよい。
【0046】
主梯子3に対する弾よけ部材50の取り付け位置は、主梯子3の末端部(基部)に限定されず、先端側や中間位置等でもよく、複数箇所に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両
2 車体フレーム
3 主梯子
5 キャビン
6 チルトシリンダ
10 副梯子
11 スライド駆動シリンダ
20 コード付きリモートコントローラ
30 ワイヤレス・リモートコントローラ
40 先端梯子
50 弾よけ部材
60 ストッパー付きガスダンパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9