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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220825BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20220825BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20220825BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
G01R31/28 K
G01R1/06 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018141446
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017701
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友子
(72)【発明者】
【氏名】末山 敬雄
(72)【発明者】
【氏名】金田 圭子
(72)【発明者】
【氏名】津村 路子
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-175094(JP,A)
【文献】特開2007-163159(JP,A)
【文献】特開2005-026265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
G01R 31/28
G01R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバー内で露出したプローブを有するプローブカードと、
前記チャンバー内で試験対象物を支持する支持台と、
前記試験対象物が前記プローブに接触する試験位置と、前記試験対象物が前記プローブから水平方向に離れたクリーニング位置との間で前記支持台を移動させる移動機構と、
前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブカードを通じて前記チャンバー内に第1ドライエアーを導入するエアーチューブと、を備え
前記支持台が前記試験位置に配置されているときに前記エアーチューブが前記プローブカードを通じて前記チャンバー内に第2ドライエアーを導入し、前記第2ドライエアーの流量は、前記第1ドライエアーの流量よりも小さい、試験装置。
【請求項2】
前記支持台と一体または前記支持台から離れて設けられた屑受け部材をさらに備え、
前記移動機構は、前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記屑受け部材を前記プローブの下方に配置させる、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記屑受け部材は、前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブに対向する表面に、粘着シートを有する、請求項に記載の試験装置。
【請求項4】
前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブの下方で静電気を発生させる静電気発生器をさらに備える、請求項1に記載の試験装置。
【請求項5】
前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブが浸漬する液体を貯留する容器と、
前記液体を超音波振動させる超音波発生器と、をさらに備える、請求項1に記載の試験装置。
【請求項6】
チャンバーと、
前記チャンバー内で露出したプローブを有するプローブカードと、
前記チャンバー内で試験対象物を支持する支持台と、
前記試験対象物が前記プローブに接触する試験位置と、前記試験対象物が前記プローブから水平方向に離れたクリーニング位置との間で前記支持台を移動させる移動機構と、
前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブの下方で静電気を発生させる静電気発生器と、
を備え
前記静電気発生器は、前記支持台に支持された前記試験対象物と前記プローブカードとの間で前記水平方向に延伸および短縮することが可能な一対の伸縮部材と、前記一対の伸縮部材の先端にそれぞれ設けられた一対の板状部材と、を有し、
前記試験対象物が前記クリーニング位置に配置されているときに前記一対の板状部材をこすり合わせることによって前記静電気を発生させる、試験装置。
【請求項7】
チャンバーと、
前記チャンバー内で露出したプローブを有するプローブカードと、
前記チャンバー内で試験対象物を支持する支持台と、
前記試験対象物が前記プローブに接触する試験位置と、前記試験対象物が前記プローブから水平方向に離れたクリーニング位置との間で前記支持台を移動させる移動機構と、
前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記プローブが浸漬する液体を貯留する容器と、
前記液体を超音波振動させる超音波発生器と、
前記支持台と一体に設けられた蓋部材と、
を備え
前記蓋部材は、前記支持台が前記試験位置に配置されているときに前記容器の上端開口を塞ぎ、前記支持台が前記クリーニング位置に配置されているときに前記上端開口を開放する、試験装置。
【請求項8】
前記液体が揮発性液体である、請求項に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上に形成された金属パッドにプローブカードのプローブ(針)を接触させて電気的特性を試験することが知られている。このような試験を繰り返すと、金属屑がプローブに付着する場合がある。この場合、試験精度が低下するおそれがあるので、プローブは、定期的にクリーニングシートでクリーニングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-120961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリーニングシートでクリーニングすると、プローブは、研磨されて摩耗する。そのため、プローブの寿命が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の実施形態は、試験精度を維持しつつ、プローブの寿命低下を回避することが可能な試験装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る半導体装置は、チャンバーと、チャンバー内で露出したプローブを有するプローブカードと、チャンバー内で試験対象物を支持する支持台と、試験対象物がプローブに接触する試験位置と、試験対象物がプローブから水平方向に離れたクリーニング位置との間で支持台を移動させる移動機構と、支持台がクリーニング位置に配置されているときにプローブカードを通じてチャンバー内に第1ドライエアーを導入するエアーチューブと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る試験装置の概略的な構成を示す模式図である。
図2】プローブカードの概略的な平面図である。
図3】(a)は第1実施形態に係る試験装置を用いた試験状態を示す模式図であり、(b)は、当該試験装置を用いたクリーニング状態を示す模式図である。
図4】(a)は、変形例1に係る試験装置を用いた試験状態を示す模式図であり、(b)は当該試験装置を用いたクリーニング状態を示す模式図である。
図5】変形例2に係る試験装置を用いた試験状態を示す模式図であり、(b)は当該試験装置を用いたクリーニング状態を示す模式図である。
図6】変形例3に係る屑受け部材の構造を簡略的に示す模式図である。
図7】(a)は、第2実施形態に係る試験装置の概略的な構成を示す模式図であり、(b)は(a)に示す点線領域の拡大図である。
図8】(a)は、変形例4に係る試験装置を用いた試験状態を示す模式図であり、(b)は当該試験装置を用いたクリーニングの準備状態を示す模式図である。
図9】変形例2に係る試験装置を用いたクリーニング状態を示す模式図であり、(b)は、(a)に示す点線領域の拡大図である。
図10】(a)は、第3実施形態に係る試験装置を用いた試験状態を示す模式図であり、(b)は当該試験装置を用いたクリーニング状態を示す模式図である。
図11図10(b)に示す点線領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る試験装置の概略的な構成を示す模式図である。図1に示す試験装置1は、チャンバー10と、プローブカード20と、テストヘッド30と、エアーチューブ40と、支持台50と、屑受け部材60と、移動機構70と、を備える。
【0010】
チャンバー10は、プローブカード20、支持台50、および屑受け部材60を収容する。本実施形態では、試験対象物100が、チャンバー10内で種々の温度条件で試験される。試験対象物100は、例えば半導体ウェハである。この半導体ウェハ表面には、金属パッド(不図示)が形成されている。金属パッドは、例えばアルミニウムを用いて形成される。
【0011】
プローブカード20は、チャンバー10の内面上部に固定されている。プローブカード20には、開口部21が形成されている。また、図2に示すように、複数のプローブ22が開口部21に沿って並ぶように設けられている。上方から見たとき、プローブ22の先端は開口部21に配置されている。プローブ22は、上記金属パッドに接触できるようにチャンバー10内で露出している。
【0012】
テストヘッド30は、チャンバー10の外面上部でプローブカード20と電気的に接続されている。テストヘッド30は、試験対象物100の試験に関する電気的な条件に応じて、プローブへの信号の送受信を行う。また、テストヘッド30には、開口部21が形成されている。開口部21は、プローブカード20に形成された開口部21と連通する。
【0013】
エアーチューブ40は、テストヘッド30の開口部31およびプローブカード20の開口部21を通じてドライエアー200(第1ドライエアー)をチャンバー10内に導入する。ドライエアー200の露点は、例えば-60~-70℃である。ドライエアー200は、プローブ22に付着した金属屑(本実施形態ではアルミニウム屑)を吹き落すために用いられる。
【0014】
支持台50は、試験対象物100を支持する。支持台50は、移動機構70により水平方向および鉛直方向に移動可能である。
【0015】
屑受け部材60は、支持台50と一体に設けられている。具体的には、屑受け部材60は、支持台50の外周部から水平方向に張り出している。屑受け部材60は凹状に形成されている。屑受け部材60内には、ドライエアー200によってプローブ22から吹き落された金属屑が回収される。
【0016】
移動機構70は、試験対象物100の試験時およびプローブ22のクリーニング時に応じて支持台50および屑受け部材60の位置を調整する。移動機構70は、支持台50および屑受け部材60を駆動するためのモータや、このモータの駆動回路等を有する。
【0017】
図3(a)は、試験対象物100の試験状態を示す模式図である。図3(b)は、プローブ22のクリーニング状態を示す模式図である。
【0018】
試験対象物100を試験するとき、図3(a)に示すように、移動機構70は支持台50を試験位置まで鉛直方向に移動させる。試験位置では、支持台50に支持された試験対象物100の金属パッド(不図示)が、プローブ22に接触する。金属パッドとプローブ22とが接触した状態で、テストヘッド30が、プローブ22を通じて試験対象物100に通電する。これにより、試験対象物100の電気的特性が試験される。
【0019】
上記のような試験を繰り返すと、金属パッドの金属が、金属屑としてプローブ22に付着し得る。そこで、本実施形態では、試験対象物100の試験が終了すると、移動機構70は、毎回または定期的に支持台50をクリーニング位置まで水方向に移動させる。クリーニング位置では、支持台50に支持された試験対象物100がプローブ22から水平方向に離れる一方で、屑受け部材60がプローブ22の下方に配置される。
【0020】
続いて、ドライエアー200が、エアーチューブ40からテストヘッド30の開口部31を通過する。さらに、ドライエアー200は、プローブカード20の開口部21からチャンバー10内に流れ込む。開口部21に沿ってプローブ22が設けられているので、プローブ22に付着した金属屑は、ドライエアー200によって、吹き落される。吹き落された金属屑は、プローブ22の真下に配置された屑受け部材60に回収される。
【0021】
以上説明した本実施形態によれば、ドライエアー200によって、プローブ22に付着した金属屑を除去している。そのため、クリーニングシート等のクリーニング部材をプローブに接触させなくても金属屑を除去でき、試験対象物100の試験精度を維持できる。また、クリーニング時におけるプローブ22の摩耗も防ぐことができるので、プローブ22の寿命低下を回避することが可能となる。
【0022】
(変形例1)
変形例1について説明する。上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0023】
図4(a)は、変形例1に係る試験装置1aを用いた試験対象物100の試験状態を示す模式図である。図4(b)は、試験装置1aを用いたプローブ22のクリーニング状態を示す模式図である。
【0024】
図4(a)および図4(b)に示すように、本変形例に係る試験装置1aでは、屑受け部材60が、支持台50から離れて設けられている。また、移動機構70が支持台50を単独で移動させ、移動機構71が屑受け部材60を単独で移動させる。すなわち、支持台50および屑受け部材60がそれぞれ独立して移動することができる。
【0025】
本変形例では、試験対象物100を試験するとき、図4(a)に示すように、試験対象物100がプローブ22に接触するように、移動機構70が支持台50を上昇移動させる。
【0026】
一方、プローブ22をクリーニングするとき、図4(b)に示すように、試験対象物100がプローブ22から水平方向に離れるように、移動機構70が支持台50を水平移動させる。また、移動機構71がプローブ22の下方に屑受け部材60を移動させる。その後、ドライエアー200がエアーチューブ40からチャンバー10内に導入されると、プローブ22に付着した金属屑が吹き落される。
【0027】
以上説明した本変形例によれば、第1実施形態と同様に、ドライエアー200によって、プローブ22に付着した金属屑を除去できる。そのため、試験対象物100の試験精度を維持しつつ、プローブ22の寿命低下を回避することが可能となる。
【0028】
また、本変形例では、試験対象物100を支持する支持台50と屑受け部材60とがそれぞれ独立して移動できる。そのため、試験対象物100および屑受け部材60の各々の位置調整が容易になる。
【0029】
(変形例2)
図5(a)は、変形例2に係る試験装置1bを用いた試験対象物100の試験状態を示す模式図である。図5(b)は、試験装置1bを用いたプローブ22のクリーニング状態を示す模式図である。
【0030】
図5(a)および図5(b)に示すように、本変形例に係る試験装置1bの構成は、上述した第1実施形態と同様であるが、上記変形例1と同様に、移動機構70および移動機構71を備えていてもよい。この場合、試験対象物100を支持する支持台50と屑受け部材60とをそれぞれ独立して移動させることができる。
【0031】
本変形例では、試験対象物100の試験中に図5(a)に示すように、ドライエアー201(第2ドライエアー)が、エアーチューブ40からテストヘッド30およびプローブカード20を通じてチャンバー10内へ導入される。換言すると、ドライエアー201は、ドライエアー200と同じ流路でチャンバー10内へ導入される。
【0032】
試験対象物100の試験温度、すなわちチャンバー10の内部温度が、例えば-40℃のような低温である場合、プローブカード20の上面に存在する湿気が結露を引き起こす可能性がある。また、チャンバー10の内部温度が、例えば150~200℃のような高温である場合、プローブ22が膨張して、試験対象物100に対する位置ずれが起こり得る。
【0033】
しかし、本変形例のように低温試験中にドライエアー201をチャンバー10内へ導入すると、結露を回避できる。また、高温試験中にドライエアー201をチャンバー10内へ導入すると、プローブ22の温度上昇を抑制して、上記位置ずれを軽減することが可能となる。また、試験中のドライエアー201の流量を、クリーニング時に使用するドライエアー200の流量よりも小さく設定することで、試験中には金属屑を落とさず、クリーニング時に金属屑を落とす構成とすることができる。
【0034】
(変形例3)
図6は、変形例3に係る屑受け部材60の構造を簡略的に示す模式図である。屑受け部材60以外の構成については、第1実施形態または変形例1、2と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0035】
本変形例では、図6に示すように、粘着シート61が屑受け部材60の表面に設けられている。粘着シート61は、金属と接着可能な接着剤を含んでいる。屑受け部材60がクリーニング位置に配置されているとき、粘着シート61は、プローブ22と対向している。
【0036】
そのため、プローブ22のクリーニング中にドライエアー200がエアーチューブ40からチャンバー10内へ導入されると、プローブ22から吹き落された金属屑300は、粘着シート61に固定される。これにより、金属屑300がチャンバー10内で拡散することを防止できる。
【0037】
(第2実施形態)
図7(a)は、第2実施形態に係る試験装置の概略的な構成を示す模式図である。図7(b)は、図7(a)に示す点線領域の拡大図である。なお、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る試験装置2は、移動機構72および静電気発生器80を備える点で第1実施形態に係る試験装置1と異なる。移動機構72は、静電気発生器80を水平方向および鉛直方向に移動させることができる。
【0039】
試験対象物100を試験するとき、移動機構70は、試験対象物100がプローブ22に接触する試験位置へ支持台50を上昇移動させる。一方、プローブ22をクリーニングするとき、図7(a)に示すように、移動機構70は、試験対象物100がプローブ22から水平方向に離れるように支持台50を水平移動させる。また、移動機構72は、プローブ22の下方に静電気発生器80を水平移動させる。
【0040】
静電気発生器80は、プローブ22に接触しない状態でプローブ22の下方に配置されたときに高電圧を出力する。これにより、静電気発生器80とプローブ22との間に静電気Qが発生する。その結果、図7(b)に示すように、プローブ22に付着した金属屑300は、静電気発生器80に吸着される。クリーニング後、テストヘッド30はプローブ22に0Vの電圧を印加する。これにより、プローブ22はディスチャージされる。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、静電気発生器80で発生させた静電気Qにより、プローブ22に付着した金属屑300が除去される。そのため、クリーニングシート等のクリーニング部材をプローブ22に接触させることなく金属屑300を除去できる。これにより、クリーニング中にプローブ22の摩耗を防止できるので、試験対象物100の試験精度を維持しつつ、プローブ22の寿命低下を回避することが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態では、プローブ22をクリーニングするときに、静電気発生器80の静電気Qだけでなく、第1実施形態で説明したドライエアー200も用いて金属屑300を除去してもよい。この場合、金属屑300の除去効果を高めることができる。
【0043】
(変形例4)
図8(a)は、変形例4に係る試験装置2aを用いた試験対象物100の試験状態を示す模式図である。図8(b)は、試験装置2aを用いてプローブ22をクリーニングする前の準備状態を示す模式図である。
【0044】
本変形例に係る試験装置2aは、図8(a)および図8(b)に示すように、屑受け部材62を備えること、および静電気発生器80の構成が第2実施形態に係る試験装置2と異なる。屑受け部材62は、支持台50に一体に設けられている。なお、屑受け部材62の上面には、図6に示す粘着シート61が貼付されていてもよい。
【0045】
本変形例に係る静電気発生器80は、一対の伸縮部材81a、81bと、一対の板状部材82a、82bと、を有する。一対の伸縮部材81a、81bの後端は、チャンバー10内部の側面に固定され、先端には、一対の板状部材82a、82bが取り付けられている。一対の板状部材82a、82bは、例えばアクリル等の絶縁部材で形成されている。
【0046】
本変形例に係る試験装置2aを用いて試験対象物100を試験するとき、図8(a)に示すように、一対の伸縮部材81a、81bは短縮状態となっている。一方、プローブ22をクリーニングするとき、図8(b)に示すように、支持台50に支持された試験対象物100がプローブ22から水平方向に離れ、屑受け部材62がプローブ22の下方に配置される。
【0047】
さらに、一対の伸縮部材81a、81bが、支持台50に支持された試験対象物100とプローブカード20との間で、自動的に水平方向に延伸する。さらに、一対の板状部材82a、82bをこすり合わせるように一対の伸縮部材81a、81bが鉛直方向に振動する。
【0048】
図9(a)は、試験装置2aを用いたプローブ22のクリーニング状態を示す模式図である。図9(b)は、図9(a)に示す点線領域の拡大図である。一対の板状部材82a、82bがプローブ22の下方空間を挟んで互いに水平方向に対向するように一対の伸縮部材81a、81bが自動的に短縮すると、図9(a)に示すように、静電気Qが上記下方空間に発生する。その結果、図9(b)に示すように、プローブ22に付着した金属屑300は、静電気発生器80に吸着されるか、または、屑受け部材62に回収される。
【0049】
以上説明した本変形例によれば、第2実施形態と同様に、静電気Qにより、プローブ22に付着した金属屑300を除去できる。そのため、試験対象物100の試験精度を維持しつつ、プローブ22の寿命低下を回避することが可能となる。さらに、本変形例によれば、一対の板状部材82a、82bをこすり合わせることによって静電気Qを発生させている。これにより、高電圧の出力が不要になるので、装置の消費電力を抑制することができる。
【0050】
(第3実施形態)
図10(a)は、第3実施形態に係る試験装置3を用いた試験対象物100の試験状態を示す模式図である。図10(b)は、試験装置3を用いたプローブ22のクリーニング状態を示す模式図である。図11は、図10(b)に示す点線領域の拡大図である。なお、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る試験装置3は、移動機構73、容器90、超音波発生器91、および蓋部材92を備える点で第1実施形態に係る試験装置1と異なる。移動機構73は、容器90を水平方向および鉛直方向に移動させることができる。容器90は、液体400を貯留する。液体400は、例えばアルコール等の揮発性液体である。超音波発生器91は、容器90に設置されている。超音波発生器91は、液体400を超音波振動させる発振器等で構成されている。蓋部材92は、支持台50に一体に設けられている。
【0052】
本実施形態に係る試験装置3を用いて試験対象物100を試験するとき、図10(a)に示すように、容器90の上端開口は、蓋部材92によって覆われている。そのため、試験対象物100の試験中に、容器90に貯留された液体400がチャンバー10内に拡散することを防止できる。
【0053】
一方、プローブ22をクリーニングするときには、図10(b)に示すように、蓋部材92が容器90の上端開口を開放するように移動機構70が支持台50を水平移動させる。次に、プローブ22が液体400に浸漬するように移動機構73が容器90を移動させる。
【0054】
次に、超音波発生器91が発振することによって、液体400が超音波振動する。液体400の振動は、プローブ22に伝達される。これにより、プローブ22は、超音波でクリーニングされる。その結果、図11に示すように、プローブ22に付着した金属屑300は、除去されて液体400内に沈殿する。
【0055】
プローブ22のクリーニングが終了すると、移動機構73が、容器90を下降移動させるので、プローブ22は、液体400から離れる。このとき、液体400は揮発性液体であるので、プローブ22に残った液体400は、蒸発しやすい。よって、プローブ22のクリーニング時間を短縮することができる。なお、移動機構73が、容器90を下降移動させた後、第1実施形態で説明したドライエアー200を用いてプローブ22を乾燥させてもよい。この場合、プローブ22に残った液体400を迅速に蒸発できるので、クリーニング時間をより一層短縮することができる。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、超音波により、プローブ22に付着した金属屑300が除去される。そのため、クリーニングシート等のクリーニング部材をプローブ22に接触させることなく金属屑300を除去できる。これにより、クリーニング中にプローブ22の摩耗を防止できるので、試験対象物100の試験精度を維持しつつ、プローブ22の寿命低下を回避することが可能となる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1~3 試験装置、10 チャンバー、20 プローブカード、22 プローブ、40 エアーチューブ、50 支持台、60、62 屑受け部材、61 粘着シート、70~73 移動機構、80 静電気発生器、81a、81b 伸縮部材、82a、82b 板状部材、90 容器90 超音波発生器、92 蓋部材、100 試験対象物、200 第1ドライエアー、201 第2ドライエアー、400 液体
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