(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】デシカント空調機
(51)【国際特許分類】
F24F 3/147 20060101AFI20220825BHJP
F24F 3/153 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F24F3/147
F24F3/153
(21)【出願番号】P 2018159832
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104836
【氏名又は名称】クボタ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 勇信
(72)【発明者】
【氏名】山本 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】森田 英和
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257588(JP,A)
【文献】特開昭54-034536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0300123(US,A1)
【文献】特許第5669587(JP,B2)
【文献】特開2016-040506(JP,A)
【文献】特開2004-008914(JP,A)
【文献】特開昭62-190347(JP,A)
【文献】特開2017-194232(JP,A)
【文献】実開昭49-088563(JP,U)
【文献】特開2013-231556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/00-3/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーを備え、
外気冷房時の過冷却防止運転モードにおいて、
デシカントロータの回転を停止し、
給気ファンが、給気ダンパーを開放する状態で、給気バイパス経路を通ってデシカントロータを迂回する外気を、給気経路を通して室内へ給気し、
排気ファンが、第1還気ダンパーを開放する状態で、還気経路の還気を、デシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路を通して排気し、
再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、
第2還気ダンパーが、還気経路から第2還気バイパス経路を通して給気経路の外気に混合される還気の量を調整して、室内に給気する外気の温度を調整する
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項2】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、
デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予冷コイルと、
デシカントロータより下流側の給気経路に介装した冷却コイルを備え、
冷房時のデシカント運転モードにおいて、
給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予冷コイルとデシカントロータと冷却コイルを通して外気を室内へ給気し、
予冷コイルが給気経路を通る外気を予冷し、
デシカントロータが除湿用定格回転数の低速で回転して予冷コイルを通った外気の湿気を収着して除湿し、
冷却コイルがデシカントロータを通った外気を冷却し、
排気ファンが、第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖する状態で、再生コイルとデシカントロータを通して室内からの還気を排気し、
再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、
再生コイルで加熱した還気でデシカントロータを再生する
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項3】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーを備え、
デシカントロータより下流側の給気経路に介装した冷却コイルと、
再生コイルより上流側の還気経路と冷却コイルより上流側でデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第3還気バイパス経路と、
第3還気バイパス経路に介装した第3還気ダンパーを備えた
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項4】
冷房時ウォーミングアップ運転モードにおいて、
給気ダンパーと第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖し、第3還気ダンパーを開放し、排気ファンを停止する状態で、給気ファンが還気経路の全還気を、第3還気バイパス経路と給気経路を通して室内に給気し、
冷却コイルが給気経路を通る全還気を冷却する
ことを特徴とする請求項3に記載のデシカント空調機。
【請求項5】
還気経路に介装した還気中のCO2濃度を計測するCO2センサを備える
ことを特徴とする請求項3に記載のデシカント空調機。
【請求項6】
冷房時のCO2制御下のデシカント運転モードにおいて、
給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予冷コイルとデシカントロータと冷却コイルを通して外気を室内へ給気し、
予冷コイルが給気経路を通る外気を予冷し、
デシカントロータが予冷コイルを通った外気の湿気を収着して除湿し、
冷却コイルがデシカントロータを通った外気を冷却し、
排気ファンが、第1還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、
再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、
再生コイルで加熱した還気でデシカントロータを再生し、
第3還気ダンパーが、CO2センサで検出する還気のCO2濃度が設定値より低い場合に、CO2濃度に応じた開度に開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給する
ことを特徴とする請求項5に記載のデシカント空調機。
【請求項7】
給気経路に介装した外気温度を計測する外気温度センサおよび外気湿度を計測する外気湿度センサと、
還気経路に介装して還気温度を計測する還気温度センサおよび還気湿度を計測する
還気湿度センサを備える
ことを特徴とする請求項3に記載のデシカント空調機。
【請求項8】
冷房時の外気冷房運転モードにおいて、
デシカントロータは、外気温度と外気湿度から決まる外気露点が外気露点温度上限値以下の場合に、回転を停止し、
給気ファンが、給気ダンパーを開放する状態で、給気バイパス経路を通ってデシカントロータを迂回する外気を、給気経路を通して室内へ給気し、
排気ファンが、第1還気ダンパーを開放する状態で、還気経路を通る室内からの還気を、デシカントロータを迂回する
第1還気バイパス経路を通して排気し、
第3還気ダンパーは、外気温度と外気湿度から決まる外気エンタルピーが還気温度と還気湿度から決まる還気エンタルピーより低く、外気温度が還気温度より低い場合に、第2還気ダンパーを閉鎖した状態で、外気温度と還気温度の差に応じた開度に開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給し、室内に給気する外気の温度を調整する
ことを特徴とする請求項7に記載のデシカント空調機。
【請求項9】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーを備え、
デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルを備え、
暖房時ウォーミングアップ運転モードにおいて、
給気ファンが、給気ダンパーと第1還気ダンパーを閉鎖し、第2還気ダンパーを開放し、排気ファンを停止する状態で、還気経路の全還気を、第2還気バイパス経路および給気経路を通して室内に給気し、再生コイルおよび加熱コイルが給気経路を通る全還気を加熱する
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項10】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、
デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルと、
デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予熱コイルを備え、
暖房時全熱交換運転モードにおいて、
排気ファンが、第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、
給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予熱コイルとデシカントロータと加熱コイルを通して外気を室内へ給気し、
予熱コイルが給気経路を通る外気を予熱し、
デシカントロータが、全熱交換用定格回転数の高速で回転して、還気位置で還気の湿気を収着するとともに還気の熱を蓄熱し、給気位置で外気中に湿気を放出するとともに放熱し、
加熱コイルが外気を加熱する
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項11】
給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、
排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、
給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、
デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、
給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、
デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、
第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、
再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、
第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、
デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルと、
デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予熱コイルを備え、
再生コイルより上流側の還気経路と加熱コイルより上流側でデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第3還気バイパス経路と、
第3還気バイパス経路に介装した第3還気ダンパーと、
還気経路に介装した還気中のCO2濃度を計測するCO2センサを備える
ことを特徴とするデシカント空調機。
【請求項12】
暖房時のCO2制御下の全熱交換運転モードにおいて、
排気ファンが、第1還気ダンパー
と第2還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、
給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予熱コイルとデシカントロータと加熱コイルを通して外気を室内へ給気し、
予熱コイルが給気経路を通る外気を予熱し、
デシカントロータが、全熱交換用定格回転数の高速で回転して、還気位置で還気の湿気を収着するとともに還気の熱を蓄熱し、給気位置で外気中に湿気を放出するとともに放熱し、
加熱コイルが外気を加熱し、
第3還気ダンパーが、CO2センサで検出する還気のCO2濃度が設定値より低い場合に、CO2濃度に応じた開度に開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給する
ことを特徴とする請求項11に記載のデシカント空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデシカント空調機に係り、寒冷地向けの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、空調システムであり、外気を除湿する除湿可能ロータと、前記除湿可能ロータを通った外気を冷却し、居室側に送風するアフタークーラーと、前記除湿可能ロータを通り前記アフタークーラーに送風される前の外気に前記居室から送風される還気を混合する混合部とを備えており、前記除湿可能ロータが、デシカントロータまたは全熱交換ロータからなり、あるいは前記除湿可能ロータが、回転数を変更することによりデシカントロータと全熱交換ロータの機能を有するものである。
【0003】
また、特許文献2に記載するものは、低温再生デシカント空調機であり、系内へ流入する外気の潜熱を制御する潜熱制御部と外気の顕熱を制御する顕熱制御部を有し、潜熱制御部および顕熱制御部を通して外気を室内へ給気し、室内からの還気を、潜熱制御部を通して排気するものであって、潜熱制御部は、外気経路側で外気から湿気を収着して還気経路側で還気により湿気を脱着させて再生するデシカントロータと、冷房時にデシカントロータへ通気する外気を冷却し、暖房時にデシカントロータへ通気する外気を加熱する冷温水コイルと、潜熱制御部を制御する指標としての還気の湿度を検知する還気湿度センサを備えており、潜熱制御部の下流側において還気経路と外気経路とを連通する還気の戻り経路を有するものである。
【0004】
また、特許文献3に記載するものは、暖房対応型デシカント空調装置であり、2つの流路からなる向流型流路と、顕熱交換器及び除湿器と、ヒータと、2つの流路のエア導入側にそれぞれ接続され、2つの流路をそれぞれ屋外にまた室内にそれぞれ交互に切り替えて連通させる第1の流通切替手段と、2つの流路のエア導出側にそれぞれ接続され、2つの流路を屋外にまたは室内にそれぞれ交互に切替えて連通させる第2の流通切替手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-180843
【文献】特許第5669587号
【文献】特開2002-349905
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なデシカント空調機は、夏期には冷房においてデシカントロータが機能して外気を除湿するが、冬期には暖房において除湿を必要としない。このため、省エネルギー化を図るためには、別途の全熱交換器を必要としている。
【0007】
また、寒冷地において夏期にデシカント空調機を運転し、外気を外気温度のままで室内に供給して外気冷房を行う場合に、室内の冷房負荷に対して外気温度が低すぎると、給気温度が設定値より低くなり、冷却能力が過剰となって室内が過冷却となる課題があった。
【0008】
また、冬期のオフィス等において休日明け日には室内が冷え切っており、暖房運転の開始時に室内温度を設定値まで上昇させるためのウォーミングアップの時間が長くなる課題があった。
【0009】
本発明は上記した課題を解決するものであり、デシカント空調機において、夏期の外気冷房時に給気温度が過剰に低温度になることを防止する。また、冬期の暖房運転時のウォーミングアップの時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーを備え、外気冷房時の過冷却防止運転モードにおいて、デシカントロータの回転を停止し、給気ファンが、給気ダンパーを開放する状態で、給気バイパス経路を通ってデシカントロータを迂回する外気を、給気経路を通して室内へ給気し、排気ファンが、第1還気ダンパーを開放する状態で、還気経路の還気を、デシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路を通して排気し、再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、第2還気ダンパーが、還気経路から第2還気バイパス経路を通して給気経路の外気に混合される還気の量を調整して、室内に給気する外気の温度を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、 デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予冷コイルと、デシカントロータより下流側の給気経路に介装した冷却コイルを備え、冷房時のデシカント運転モードにおいて、給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予冷コイルとデシカントロータと冷却コイルを通して外気を室内へ給気し、予冷コイルが給気経路を通る外気を予冷し、デシカントロータが除湿用定格回転数の低速で回転して予冷コイルを通った外気の湿気を収着して除湿し、冷却コイルがデシカントロータを通った外気を冷却し、排気ファンが、第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖する状態で、再生コイルとデシカントロータを通して室内からの還気を排気し、再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、再生コイルで加熱した還気でデシカントロータを再生することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーを備え、デシカントロータより下流側の給気経路に介装した冷却コイルと、再生コイルより上流側の還気経路と冷却コイルより上流側でデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第3還気バイパス経路と、第3還気バイパス経路に介装した第3還気ダンパーを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るデシカント空調機では、冷房時ウォーミングアップ運転モードにおいて、給気ダンパーと第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖し、第3還気ダンパーを開放し、排気ファンを停止する状態で、給気ファンが還気経路の全還気を、第3還気バイパス経路と給気経路を通して室内に給気し、冷却コイルが給気経路を通る全還気を冷却することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るデシカント空調機では、還気経路に介装した還気中のCO2濃度を計測するCO2センサを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るデシカント空調機では、冷房時のCO2制御下のデシカント運転モードにおいて、給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予冷コイルとデシカントロータと冷却コイルを通して外気を室内へ給気し、予冷コイルが給気経路を通る外気を予冷し、デシカントロータが予冷コイルを通った外気の湿気を収着して除湿し、冷却コイルがデシカントロータを通った外気を冷却し、排気ファンが、第1還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、再生コイルが還気経路を通る還気を加熱し、再生コイルで加熱した還気でデシカントロータを再生し、第3還気ダンパーが、CO2センサで検出する還気のCO2濃度が設定値より低い場合に、CO2濃度に応じた開度開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給することを特徴とする。
【0018】
本発明に係るデシカント空調機では、給気経路に介装した外気温度を計測する外気温度センサおよび外気湿度を計測する外気湿度センサと、還気経路に介装して還気温度を計測する還気温度センサおよび還気湿度を計測する還気湿度センサを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るデシカント空調機では、冷房時の外気冷房運転モードにおいて、デシカントロータは、外気温度と外気湿度から決まる外気露点が外気露点温度上限値以下の場合に、回転を停止し、給気ファンが、給気ダンパーを開放する状態で、給気バイパス経路を通ってデシカントロータを迂回する外気を、給気経路を通して室内へ給気し、排気ファンが、第1還気ダンパーを開放する状態で、還気経路を通る室内からの還気を、デシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路を通して排気し、第3還気ダンパーは、外気温度と外気湿度から決まる外気エンタルピーが還気温度と還気湿度から決まる還気エンタルピーより低く、外気温度が還気温度より低い場合に、第2還気ダンパーを閉鎖した状態で、外気温度と還気温度の差に応じた開度に開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給し、室内に給気する外気の温度を調整することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルを備え、暖房時ウォーミングアップ運転モードにおいて、給気ファンが、給気ダンパーと第1還気ダンパーを閉鎖し、第2還気ダンパーを開放し、排気ファンを停止する状態で、還気経路の全還気を、第2還気バイパス経路および給気経路を通して室内に給気し、再生コイルおよび加熱コイルが給気経路を通る全還気を加熱することを特徴とする。
【0023】
本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、
デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルと、デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予熱コイルを備え、暖房時全熱交換運転モードにおいて、排気ファンが、第1還気ダンパーと第2還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予熱コイルとデシカントロータと加熱コイルを通して外気を室内へ給気し、予熱コイルが給気経路を通る外気を予熱し、デシカントロータが、全熱交換用定格回転数の高速で回転して、還気位置で還気の湿気を収着するとともに還気の熱を蓄熱し、給気位置で外気中に湿気を放出するとともに放熱し、加熱コイルが外気を加熱することを特徴とする。
【0024】
本発明に係るデシカント空調機は、給気ファンを有して外気を室内へ給気する給気経路と、排気ファンを有して室内からの還気を室外へ排気する還気経路と、給気経路に対応する給気位置と還気経路に対応する還気位置とにわたって回転するデシカントロータと、デシカントロータより上流側の還気経路に設けた再生コイルと、デシカントロータの上流側および下流側で給気経路に連通してデシカントロータを迂回する給気バイパス経路と、給気バイパス経路に介装した給気ダンパーと、デシカントロータの上流側および下流側で還気経路に連通してデシカントロータを迂回する第1還気バイパス経路と、第1還気バイパス経路に介装した第1還気ダンパーと、再生コイルより下流側でデシカントロータより上流側の還気経路とデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第2還気バイパス経路と、第2還気バイパス経路に介装した第2還気ダンパーと、デシカントロータより下流側の給気経路に介装した加熱コイルと、デシカントロータより上流側の給気経路に介装した予熱コイルを備え、再生コイルより上流側の還気経路と加熱コイルより上流側でデシカントロータより下流側の給気経路とを連通する第3還気バイパス経路と、第3還気バイパス経路に介装した第3還気ダンパーと、還気経路に介装した還気中のCO2濃度を計測するCO2センサを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るデシカント空調機では、暖房時のCO2制御下の全熱交換運転モードにおいて、排気ファンが、第1還気ダンパーを閉鎖する状態で、デシカントロータを通して室内からの還気を排気し、給気ファンが、給気ダンパーを閉鎖する状態で、予熱コイルとデシカントロータと加熱コイルを通して外気を室内へ給気し、予熱コイルが給気経路を通る外気を予熱し、デシカントロータが、全熱交換用定格回転数の高速で回転して、還気位置で還気の湿気を収着するとともに還気の熱を蓄熱し、給気位置で外気中に湿気を放出するとともに放熱し、加熱コイルが外気を加熱し、第3還気ダンパーが、CO2センサで検出する還気のCO2濃度が設定値より低い場合に、CO2濃度に応じた開度に開いて、還気経路の還気の一部を、第3還気バイパス経路を通して給気経路に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、夏期の外気冷房時に、再生コイルによって還気経路を通る還気を加熱し、還気経路から第2還気バイパス経路を通して給気経路の外気に混合される還気の量を第2還気ダンパーによって調整することにより、室内に給気する外気の温度を調整することで、給気温度が過剰に低温度になることを防止できる。
【0027】
冬期の暖房運転時に、還気経路の全還気を、第2還気バイパス経路および給気経路を通して室内に給気し、再生コイルおよび加熱コイルが給気経路を通る全還気を加熱することで、ウォーミングアップの時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態に係るデシカント空調機の冷房時におけるウォーミングアップ運転モードを示すフロー図
【
図2】同デシカント空調機の冷房時における全外気運転の通常デシカント運転モードを示すフロー図
【
図3】同デシカント空調機の冷房時におけるCO
2制御運転のデシカント運転モードを示すフロー図
【
図4】同デシカント空調機の冷房時におけるCO
2制御運転の外気冷房運転モードを示すフロー図
【
図5】同デシカント空調機の冷房時における低外気温度時の外気冷房運転モードを示すフロー図
【
図6】同デシカント空調機の暖房時におけるウォーミングアップ運転モードを示すフロー図
【
図7】同デシカント空調機の暖房時における全外気運転の通常全熱交換運転モードを示すフロー図
【
図8】同デシカント空調機の暖房時におけるCO
2制御運転の全熱交換運転モードを示すフロー図
【
図9】同デシカント空調機の運転モード切替空気線図
【
図10】同デシカント空調機の冷房時における全外気運転の通常デシカント運転モード空気線図
【
図11】同デシカント空調機の暖房時における全外気運転の通常全熱交換運転モード空気線図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(全体構造)
図1から
図8に示すように、デシカント空調機は、ケーシング100の内部に、還気RAが流れる還気室200と、外気OAが流れる給気室300を有している。
【0030】
給気室300は、外気OAを室内へ給気SAとして送気する給気経路2の一部を形成し、還気室200は、室内からの還気RAを室外へ排気EAとして送気する還気経路4の一部を形成している。
【0031】
給気経路2には、ケーシング100よりも上流側に外気OAの温度を測る外気温度センサ18および外気OAの湿度を測る外気湿度センサ19を介装し、ケーシング100よりも下流側に給気SAの温度を測る給気温度センサ31および給気SAの湿度を測る給気湿度センサ32を介装している。
【0032】
還気経路4には、ケーシング100よりも上流側に還気RAの温度を測る還気温度センサ20と、還気RAの湿度を測る還気湿度センサ21および還気中のCO2濃度を測るCO2センサ17を介装している。
【0033】
ケーシング100の内部の給気経路2には、上流側から下流側へ順次に、フィルタ33、予熱コイル23、予冷コイル13、デシカントロータ8、冷却コイル14、加熱コイル22、加湿器34、給気ファン1を介装している。
【0034】
ケーシング100の内部の還気経路4には、上流側から下流側へ順次に、フィルタ35、再生コイル5、制御温度センサ36、デシカントロータ8、排気ファン3を介装している。
【0035】
デシカントロータ8は、給気経路2に対応する給気位置と還気経路4に対応する還気位置とにわたって回転する。給気室300においてデシカントロータ8を迂回する給気バイパス経路9がデシカントロータ8の上流側および下流側で給気経路2に連通しており、給気バイパス経路9に給気ダンパー10を介装している。還気室200においてデシカントロータ8を迂回する第1還気バイパス経路11がデシカントロータ8の上流側および下流側で還気経路4に連通しており、第1還気バイパス経路11に第1還気ダンパー12を介装している。
【0036】
また、第2還気バイパス経路6が、再生コイル5および制御温度センサ36より下流側でデシカントロータ8より上流側の還気経路4と、デシカントロータ8より下流側で冷却コイル14より上流側の給気経路2とを連通しており、第2還気バイパス経路6に第2還気ダンパー7を介装している。
【0037】
さらに、第3還気バイパス経路15が、再生コイル5およびフィルタ35より上流側の還気経路4と、冷却コイル14より上流側でデシカントロータ8より下流側の給気経路2とを連通しており、第3還気バイパス経路15に第3還気ダンパー16を介装している。
【0038】
以下、上記した構成における作用を説明する。ここでは、参照する各図において空気の流れる経路を太線で表示する。
(冷房時のウォーミングアップ運転モード)
図1に示すように、冷房運転の開始時に、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第2還気ダンパー7を閉鎖し、第3還気ダンパー16を開放し、排気ファン3を停止する。この状態で、給気ファン1を駆動し、外気OAより温度の低い室内からの還気RAの全てを、還気経路4と第3還気バイパス経路15と給気経路2を通して室内に給気する。そして、冷却コイル14により給気経路2を通る全還気を冷却し、還気温度センサ20で測る還気RAが設定温度になるまで冷房時のウォーミングアップ運転モードを継続する。
【0039】
このとき、還気RAが第3還気バイパス経路15を通って給気経路2に至る場合には、第2還気バイパス経路6を通って給気経路2に至る場合に比べて、機内抵抗が小さいので、送風動力の低減により省エネルギーに寄与できる。
(冷房時の全外気運転の通常デシカント運転モード)
ウォーミングアップ運転によって室内の温度が設定温度に達したら、
図2に示すように、全外気運転の通常デシカント運転モードに移行する。また、
図9に示すように、外気露点は外気露点温度上限値以上である。
【0040】
ここでは、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第2還気ダンパー7と第3還気ダンパー16を閉鎖し、排気ファン3および給気ファン1を駆動する。
【0041】
この状態で、再生コイル5と予冷コイル13と冷却コイル14を稼働し、デシカントロータ8を除湿用定格回転数の低速で回転させ、給気ファン1により給気経路2を通して外気OAを室内へ給気する。
【0042】
このとき、外気OAは予冷コイル13とデシカントロータ8と冷却コイル14を通り、予冷コイル13が外気OAを予冷し、デシカントロータ8が除湿用定格回転数の低速で回転して予冷コイル13を通った外気OAの湿気を収着して除湿する。さらに、冷却コイル14がデシカントロータ8を通った外気OAを冷却する。
【0043】
そして、給気温度センサ31で測る給気温度を指標として冷却コイル14を制御して給気室300から出る給気SAを設定温度に調整し、給気湿度センサ32で測る給気湿度を指標として再生コイル5、予冷コイル13およびデシカントロータ8を制御して給気室300から出る給気SAを設定湿度に調整する。
【0044】
一方、第1還気ダンパー12を閉鎖する状態で、排気ファン3により還気経路4を通して還気RAを排気する。このとき、還気RAは再生コイル5とデシカントロータ8を通り、再生コイル5が還気経路4を通る還気を加熱し、再生コイル5で加熱した還気RAでデシカントロータ8を再生する。
【0045】
例えば、
図10に示すように、外気OAは、乾球温度が約31℃で、絶対湿度が約0.017kg/kg(DA)で給気経路2に入り、予冷コイル13で予冷されて、乾球温度が約17℃で、絶対湿度が約0.012kg/kg(DA)なる。予冷コイル13を出た外気OAはデシカントロータ8で除湿されて、乾球温度が約30℃で、絶対湿度が約0.008kg/kg(DA)となり、冷却コイル14で乾球温度18℃に冷却されて後に給気される。
【0046】
還気RAは、乾球温度が約28℃で、絶対湿度が約0.009kg/kg(DA)で還気経路4に入り、再生コイル5で加熱されて、乾球温度が約55℃となり、デシカントロータ8を再生して後に、乾球温度が約39℃で、絶対湿度が約0.014kg/kg(DA)となって排気される。
(冷房時のCO
2制御下のデシカント運転モード)
室内のCO
2濃度を制御指標とするCO
2制御運転のデシカント運転モードでは、
図2で説明した通常デシカント運転モードを行う設定に加えて以下の運転を行う。
【0047】
図3に示すように、CO
2センサ17で測るCO
2濃度が設定値よりも低い場合には、第3還気ダンパー16を開いて還気RAの一部を、第3還気バイパス経路15を通して給気経路2に混気する。
【0048】
第3還気ダンパー16は、CO2センサ17で測るCO2濃度に応じて開度を可変し、室内のCO2負荷が大きい場合には給気経路2に混気する還気RAの風量を少なくし、CO2負荷が小さくなるにつれて徐々に混気する還気RAの風量を多くする。
【0049】
従来においては、CO2負荷の減少時に給気ファン1の運転を抑制し、外気OAの風量を低減させていたので、室内に供給する給気SAの風量が低下した。しかし、本実施の形態では、CO2負荷に応じて給気経路2に混気する還気RAの風量を増減調整するので、外気量を抑制してデシカントロータ8に係る除湿負荷を抑制しつつ、室内に供給する給気SAに十分な風量を確保できる。
(冷房時の外気冷房運転モード)
寒冷地等において外気温度が低い場合には、外気OAのみにより室内の冷房を行う外気冷房運転モードで運転する。
【0050】
すなわち、
図9に示すように、外気温度センサ18で測る外気温度および外気湿度センサ19で測る外気湿度から決まる外気OAの外気露点が外気露点温度上限値以下で、外気露点温度下限値以上であり、外気温度センサ18で測る外気温度および外気湿度センサ19で測る外気湿度から決まる外気エンタルピーが、還気温度センサ31で測る還気温度および還気湿度センサ32で測る還気湿度から決まる還気エンタルピーより低く、かつ外気温度が還気温度より低い場合に、外気冷房運転を行う。
【0051】
図4に示すように、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第3還気ダンパー16を開き、第2還気ダンパー7を閉鎖し、デシカントロータ8を停止し、排気ファン3および給気ファン1を稼働させる。
【0052】
この状態で、外気OAは、給気ダンパー10を開放した給気バイパス経路9を通ってデシカントロータ8を迂回し、給気ファン1により給気経路2を通して室内へ給気する。また、還気RAは、第1還気ダンパー12を開放した第1還気バイパス経路11を通ってデシカントロータ8を迂回し、排気ファン3により還気経路4を通して排気する。
【0053】
第3還気ダンパー16は、外気温度と還気温度の差に応じた開度に開いて、還気経路4の還気の一部を、第3還気バイパス経路15を通して給気経路2に供給し、室内に給気する外気OAの温度を調整する。
【0054】
また、室内のCO2濃度を制御する場合には、CO2センサ17で測るCO2濃度に応じて第3還気ダンパー16の開度を可変し、室内のCO2負荷が大きい場合には給気経路2に混気する還気RAの風量を少なくし、CO2負荷が小さくなるにつれて徐々に混気する還気RAの風量を多くする。
(過冷却防止運転モード)
寒冷地等において外気冷房を行う場合にあって、外気温度が外気冷房を行うには低すぎるときには、過冷却防止運転モードで運転する。
【0055】
図5に示すように、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第2還気ダンパー7を開き、第3還気ダンパー16を閉鎖し、デシカントロータ8を停止し、再生コイル5を稼働し、排気ファン3および給気ファン1を稼働させる。
【0056】
この状態で、外気OAは、給気ダンパー10を開放した給気バイパス経路9を通ってデシカントロータ8を迂回し、給気ファン1により給気経路2を通して室内へ給気する。また、還気RAは、第1還気ダンパー12を開放した第1還気バイパス経路11を通ってデシカントロータ8を迂回し、排気ファン3により還気経路4を通して排気する。
【0057】
このとき、再生コイル5が還気経路4を通る還気RAを加熱し、第2還気ダンパー7は、外気温度センサ18で測る外気温度と還気温度センサ20で測る還気温度の差に応じた開度に開いて、加熱された還気経路4の還気の一部を、第2還気バイパス経路6を通して給気経路2に供給し、室内に給気する外気OAの温度を調整する。
(暖房時ウォーミングアップ運転モード)
図6に示すように、暖房運転の開始時に、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第3還気ダンパー16を閉鎖し、第2還気ダンパー7を開き、排気ファン3を停止し、給気ファン1を駆動し、再生コイル5および加熱コイル22を駆動する。
【0058】
この状態で、再生コイル5が還気経路4の全還気を加熱し、加熱した還気が第2還気バイパス経路6および給気経路2を通して室内に給気され、加熱コイル22が給気経路2を通る全還気を加熱し、再生コイル5および加熱コイル22で加熱された全還気が給気ファン1によって室内に送気される。そして、還気温度センサ20で測る還気RAが設定温度になるまで暖房時のウォーミングアップ運転モードを継続する。
(暖房時全熱交換運転モード)
ウォーミングアップ運転によって室内の温度が設定温度に達したら、
図7に示すように、全熱交換運転モードに移行する。
【0059】
ここでは、給気ダンパー10と第1還気ダンパー12と第2還気ダンパー7と第3還気ダンパー16を閉鎖し、排気ファン3および給気ファン1を駆動する。
【0060】
この状態で、予熱コイル23と加熱コイル22と加湿器34を稼働し、デシカントロータ8を全熱交換用定格回転数の高速で回転させる。
【0061】
そして、給気ファン1により給気経路2と予熱コイル23とデシカントロータ8と加熱コイル22と加湿器34を通して外気OAを室内へ給気し、排気ファン3により還気経路4およびデシカントロータ8を通して還気RAを排気する。
【0062】
このとき、デシカントロータ8が還気位置で還気RAの湿気を収着するとともに還気RAの熱を蓄熱する。外気OAは、予熱コイル23によって、デシカントロータ8の結露や凍結を防止する程度にまで、予熱される。そして、デシカントロータ8の給気位置では、外気OA中に湿気を放出するとともにデシカントロータ8に蓄熱した還気RAの熱を放熱する。
【0063】
そして、給気温度センサ31で測る給気温度を指標として加熱コイル22を制御して給気室300から出る給気SAを設定温度に調整し、還気湿度センサ21で測る還気湿度を指標として加湿器34を制御して給気室300から出る給気SAを設定湿度に調整する。
【0064】
例えば、
図11に示すように、外気OAは、乾球温度が約-13℃で、絶対湿度が約0.001kg/kg(DA)で給気経路2に入り、予熱コイル23で予熱されて、乾球温度が約10℃で、絶対湿度が約0.001kg/kg(DA)なる。予熱コイル23を出た外気OAはデシカントロータ8で熱交換されて、乾球温度が約17℃で、絶対湿度が約0.004kg/kg(DA)なり、加熱コイル22で乾球温度39℃に加熱され、加湿器34で加湿されて乾球温度が約32℃で、絶対湿度が約0.007kg/kg(DA)となって給気される。
【0065】
還気RAは、乾球温度が約22℃で、絶対湿度が約0.007kg/kg(DA)で還気経路4に入り、デシカントロータ8で熱交換されて、乾球温度が約15℃で、絶対湿度が約0.003kg/kg(DA)となって排気される。
(暖房時のCO
2制御下の全熱交換運転モード)
室内のCO
2濃度を制御指標とするCO
2制御下の全熱交換運転モードでは、
図7で説明した全熱交換運転モードを行う設定に加えて以下の運転を行う。
【0066】
図8に示すように、CO
2センサ17で測るCO
2濃度が設定値よりも低い場合には、第3還気ダンパー16を開いて還気RAの一部を、第3還気バイパス経路15を通して給気経路2に混気する。
【0067】
第3還気ダンパー16は、CO2センサ17で測るCO2濃度に応じて開度を可変し、室内のCO2負荷が大きい場合には給気経路2に混気する還気RAの風量を少なくし、CO2負荷が小さくなるにつれて徐々に混気する還気RAの風量を多くする。
【0068】
従来においては、CO2負荷の減少時に給気ファン1の運転を抑制し、外気OAの風量を低減させていたので、室内に供給する給気SAの風量が低下した。しかし、本実施の形態では、CO2負荷に応じて給気経路2に混気する還気RAの風量を増減調整するので、外気量を抑制して加熱コイル22および加湿器34の負荷を抑制しつつ、室内に供給する給気SAに十分な風量を確保できる。
【0069】
また、CO2制御により、デシカントロータ8を通過する処理風量は低下し、処理風量が低減することで全熱交換効率が上昇して省エネルギーに寄与できる。
【符号の説明】
【0070】
OA 外気
RA 還気
SA 給気
EA 排気
1 給気ファン
2 給気経路
3 排気ファン
4 還気経路
5 再生コイル
6 第2還気バイパス経路
7 第2還気ダンパー
8 デシカントロータ
9 給気バイパス経路
10 給気ダンパー
11 第1還気バイパス経路
12 第1還気ダンパー
13 予冷コイル
14 冷却コイル
15 第3還気バイパス経路
16 第3還気ダンパー
17 CO2センサ
18 外気温度センサ
19 外気湿度センサ
20 還気温度センサ
21 還気湿度センサ
22 加熱コイル
23 予熱コイル
31 給気温度センサ
32 給気湿度センサ
33 フィルタ
34 加湿器
35 フィルタ
36 制御温度センサ
37 フィルタ
100 ケーシング
200 還気室
300 給気室