(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】電源システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220825BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20220825BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220825BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 P ZHV
B60L58/18
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2018175731
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守屋 史之
(72)【発明者】
【氏名】水上 浩
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059161(JP,A)
【文献】特開2009-044930(JP,A)
【文献】特開平09-121463(JP,A)
【文献】特開2012-249462(JP,A)
【文献】特開2008-306900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
B60L 58/00-58/40
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用モータと接続される第1蓄電装置と、
前記第1蓄電装置と電圧変換機を介して接続される第2蓄電装置と、
前記第2蓄電装置と接続され、外部電源から送電される電力を受電可能な受電部と、
を備える電源システムの制御装置であって、
前記制御装置は、前記電圧変換機の動作を制御することによって、前記第1蓄電装置側と前記第2蓄電装置側との間での電力の供給を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記外部電源から前記受電部を介して供給される外部電力を用いた充電において、
前記電圧変換機を介した電力の供給を停止させた状態で、前記外部電力を用いて前記第2蓄電装置の充電を行い、
前記第2蓄電装置の最大許容充電電力が前記外部電力を下回ると判定された場合に、前記第2蓄電装置側から前記第1蓄電装置への電力の供給を開始させる、
電源システムの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記充電において、前記電圧変換機を介した電力の供給を停止させる前に、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置へ電力を供給させる、
請求項1に記載の電源システムの制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記充電において、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置への電力の供給を、前記第1蓄電装置の残存容量が基準容量を下回ると判定された場合に終了させる、
請求項2に記載の電源システムの制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記充電において、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置へ供給される電力を前記電圧変換機の効率を優先した電力に制御する、
請求項2又は3に記載の電源システムの制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記充電において、前記第2蓄電装置側から前記第1蓄電装置への電力の供給が行われているときに、前記外部電力を前記第2蓄電装置の最大許容充電電力と前記電圧変換機の最大出力との合計以下に制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電源システムの制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2蓄電装置の最大許容充電電力が前記外部電力を下回るか否かを前記第2蓄電装置の温度と相関を有する指標値に基づいて判定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電源システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駆動用モータを駆動源として備える電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HEV)等の電動車両が知られている。電動車両の電源システムには、駆動用モータに供給される電力を蓄電する蓄電装置が設けられている。蓄電装置の出力と容量とは一般にトレードオフの関係を有するため、1つの蓄電装置のみによっては、車両の加速性能と航続距離を両立させることが困難となる場合がある。そこで、車両の加速性能と航続距離を両立させるために、例えば特許文献1に開示されているように、2つの蓄電装置を組み合わせて用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2以上の蓄電装置を備える電源システムにおいて、一の蓄電装置を駆動用モータと接続し、当該一の蓄電装置と他の蓄電装置とを電圧変換機(具体的には、DCDCコンバータ)を介して接続することが考えられる。それにより、電圧変換機の動作を制御することによって、各蓄電装置の間での電力の供給を制御することができるので、電源システムにおける電力の供給が適切に制御されることが期待される。
【0005】
ここで、電動車両の外部の電源(以下、外部電源とも呼ぶ)から送電される電力を受電可能な受電部を電源システムに設け、外部電源から受電部を介して供給される電力(以下、外部電力とも呼ぶ)を利用することによって、蓄電装置の充電を行うことが考えられる。蓄電装置の充電では、蓄電装置により単位時間あたりに充電可能な電力量に相当する最大許容充電電力は蓄電装置の残存容量に依存する。ゆえに、外部電力を用いた充電において、電圧変換機を介した各蓄電装置の間での電力の供給が適切に制御されない場合、蓄電装置の最大許容充電電力の変化に起因して外部電力を低下させる必要性が生じやすくなる。それにより、蓄電装置を迅速に充電することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、2以上の蓄電装置を備える電源システムにおいて、蓄電装置を迅速に充電することが可能な、新規かつ改良された電源システムの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、駆動用モータと接続される第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置と電圧変換機を介して接続される第2蓄電装置と、前記第2蓄電装置と接続され、外部電源から送電される電力を受電可能な受電部と、を備える電源システムの制御装置であって、前記制御装置は、前記電圧変換機の動作を制御することによって、前記第1蓄電装置側と前記第2蓄電装置側との間での電力の供給を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記外部電源から前記受電部を介して供給される外部電力を用いた充電において、前記電圧変換機を介した電力の供給を停止させた状態で、前記外部電力を用いて前記第2蓄電装置の充電を行い、前記第2蓄電装置の最大許容充電電力が前記外部電力を下回ると判定された場合に、前記第2蓄電装置側から前記第1蓄電装置への電力の供給を開始させる、電源システムの制御装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、前記充電において、前記電圧変換機を介した電力の供給を停止させる前に、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置へ電力を供給させてもよい。
【0009】
前記制御部は、前記充電において、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置への電力の供給を、前記第1蓄電装置の残存容量が基準容量を下回ると判定された場合に終了させてもよい。
【0010】
前記制御部は、前記充電において、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置へ供給される電力を前記電圧変換機の効率を優先した電力に制御してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記充電において、前記第2蓄電装置側から前記第1蓄電装置への電力の供給が行われているときに、前記外部電力を前記第2蓄電装置の最大許容充電電力と前記電圧変換機の最大出力との合計以下に制御してもよい。
【0012】
前記制御部は、前記第2蓄電装置の最大許容充電電力が前記外部電力を下回るか否かを前記第2蓄電装置の温度と相関を有する指標値に基づいて判定してもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、2以上の蓄電装置を備える電源システムにおいて、蓄電装置を迅速に充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御装置を備える電源システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る制御部が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】外部電力を用いた充電における第1二次電池から第2二次電池への電力の供給が行われているときの電源システム内の電力の流れを概略的に示す図である。
【
図5】外部電力を用いた充電における電圧変換機を介した電力の供給が停止しているときの電源システム内の電力の流れを概略的に示す図である。
【
図6】第2SOCと第2二次電池の最大許容充電電力との関係を示す図である。
【
図7】外部電力を用いた充電における第2二次電池側から第1二次電池への電力の供給が行われているときの電源システム内の電力の流れを概略的に示す図である。
【
図8】同実施形態の電力供給制御及び参考例の電力供給制御が行われるそれぞれの場合における外部電力を用いた充電時の第1SOC及び第2SOCの推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<1.電源システムの構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100を備える電源システム1の構成について説明する。
【0017】
図1は、電源システム1の概略構成を示す模式図である。
図2は、制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
電源システム1は、具体的には、電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HEV)等の電動車両に搭載され、車両内の各装置に電力を供給するために用いられるシステムである。なお、電動車両は、駆動用モータを駆動源として備える車両であればよく、鉄道車両も含む。
【0019】
図1に示されるように、電源システム1は、第1二次電池10と、第2二次電池20と、受電部60と、制御装置100とを備える。さらに、電源システム1は、DCDCコンバータ30と、インバータ40と、駆動用モータ50と、第1バッテリセンサ71と、第2バッテリセンサ72と、外気温センサ73とを備える。電源システム1が搭載される車両は、駆動用モータ50を駆動源として走行する。
【0020】
電源システム1において、第1二次電池10は、本発明に係る第1蓄電装置の一例に相当する。また、第2二次電池20は、本発明に係る第2蓄電装置の一例に相当する。また、DCDCコンバータ30は、本発明に係る電圧変換機の一例に相当する。
【0021】
第1二次電池10は、駆動用モータ50と接続される蓄電装置である。具体的には、第1二次電池10は、インバータ40を介して駆動用モータ50と接続されている。第1二次電池10としては、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。なお、第1二次電池10は、このような例に特に限定されず、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよく、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置であってもよい。また、車両の加速性能を効果的に向上させる観点では、第1二次電池10は、第2二次電池20と比較して、高出力の(つまり、大きな出力密度を有する)蓄電装置であることが好ましい。
【0022】
駆動用モータ50は、車両の駆動輪を駆動させるための動力を出力可能であり、具体的には、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータである。駆動用モータ50は、第1二次電池10からインバータ40を介して供給される電力を用いて動力を生成する。また、駆動用モータ50は、車両の減速時に、駆動輪の回転エネルギを用いて発電する発電機としての機能(回生機能)を有してもよい。
【0023】
インバータ40は、直流と交流との間での電力の変換を双方向に実行可能な電力変換機であり、具体的には、多相ブリッジ回路を含む。インバータ40は、第1二次電池10から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用モータ50へ供給可能である。また、インバータ40は、駆動用モータ50により回生発電された交流電力を直流電力に変換して第1二次電池10へ供給可能である。インバータ40にはスイッチング素子が設けられ、スイッチング素子の動作が制御されることにより、第1二次電池10と駆動用モータ50との間での電力の供給が制御される。
【0024】
第2二次電池20は、第1二次電池10とDCDCコンバータ30を介して接続される蓄電装置である。第2二次電池20としては、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。なお、第2二次電池20は、このような例に特に限定されず、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよく、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置であってもよい。また、車両の航続距離を効果的に増大させる観点では、第2二次電池20は、第1二次電池10と比較して、高容量の(つまり、大きなエネルギ密度を有する)蓄電装置であることが好ましい。
【0025】
DCDCコンバータ30は、電圧の変換を双方向に実行可能な電圧変換機であり、例えば、チョッパ回路を含む。DCDCコンバータ30は、電圧の変換を適宜行うことによって、第1二次電池10に蓄電される電力を第2二次電池20へ供給可能である。また、DCDCコンバータ30は、電圧の変換を適宜行うことによって、第2二次電池20に蓄電される電力を第1二次電池10へ供給可能である。DCDCコンバータ30にはスイッチング素子が設けられ、スイッチング素子の動作が制御されることにより、第1二次電池10側と第2二次電池20側との間での電力の供給が制御される。
【0026】
受電部60は、第2二次電池20と接続され、電源システム1が搭載される車両の外部の外部電源から送電される電力を受電可能である。具体的には、駐車時に、受電部60による受電が行われ、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を用いて第1二次電池10及び第2二次電池20の充電が行われる。
【0027】
例えば、受電部60は、外部電源と接続された状態(つまり、物理的に接触した状態)において、外部電源から送電される電力を受電可能である。なお、受電部60には、電圧を変換可能な変圧器が設けられていてもよい。それにより、外部電源から送電される電力を変圧して第2二次電池20側へ供給することができる。また、受電部60には、交流電力を直流電力に変換可能な電力変換機が設けられていてもよい。それにより、外部電源が交流電源である場合に、外部電源から送電される交流電力を直流電力に変換して第2二次電池20側へ供給することができる。
【0028】
また、例えば、受電部60は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能であってもよい。その場合、受電部60には、具体的には、外部電源から送電される交流電力を受電可能な受電コイルと、交流電力を直流電力に変換可能な電力変換機とが設けられる。なお、送電コイルから受電コイルへの送電の方式としては、例えば、磁気共鳴方式又は電磁誘導方式が用いられる。
【0029】
第1バッテリセンサ71は、第1二次電池10の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。具体的には、第1バッテリセンサ71は、第1二次電池10の状態量として、第1二次電池10の残存容量(以下、第1SOCとも呼ぶ。)及び温度を検出する。
【0030】
第2バッテリセンサ72は、第2二次電池20の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。具体的には、第2バッテリセンサ72は、第2二次電池20の状態量として、第2二次電池20の残存容量(以下、第2SOCとも呼ぶ。)及び温度を検出する。
【0031】
外気温センサ73は、車両の外部の温度である外気温を検出し、制御装置100へ出力する。
【0032】
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0033】
また、制御装置100は、電源システム1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0034】
なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
【0035】
制御装置100は、例えば、
図2に示されるように、取得部110と、制御部120とを有する。
【0036】
取得部110は、制御部120が行う処理において用いられる各種情報を取得し、取得した情報を制御部120へ出力する。例えば、取得部110は、第1バッテリセンサ71、第2バッテリセンサ72及び外気温センサ73と通信することによって、これらの各センサから出力される各種情報を取得する。
【0037】
制御部120は、電源システム1における電力の供給を制御する。例えば、制御部120は、コンバータ制御部121と、インバータ制御部122と、外部電力制御部123とを含む。
【0038】
コンバータ制御部121は、DCDCコンバータ30の動作(具体的には、当該DCDCコンバータ30のスイッチング素子の動作)を制御することによって、第1二次電池10側と第2二次電池20側との間での電力の供給を制御する。具体的には、コンバータ制御部121は、第1二次電池10に蓄電される電力を第2二次電池20へ供給させ、又は第2二次電池20に蓄電される電力を第1二次電池10へ供給させることができる。さらに、コンバータ制御部121は、外部電源から受電部60を介して第2二次電池20側に供給される外部電力を第1二次電池10へ供給させることができる。
【0039】
インバータ制御部122は、インバータ40の動作(具体的には、当該インバータ40のスイッチング素子の動作)を制御することによって、第1二次電池10と駆動用モータ50との間での電力の供給を制御する。具体的には、インバータ制御部122は、第1二次電池10に蓄電される電力を駆動用モータ50へ供給させ、又は駆動用モータ50により回生発電される電力を第1二次電池10へ供給させることができる。それにより、インバータ制御部122は、駆動用モータ50による動力の生成及び発電を制御することができる。例えば、インバータ制御部122は、加速要求や車速等の車両の走行状態に応じて駆動用モータ50の出力を制御する。
【0040】
外部電力制御部123は、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を制御する。例えば、受電部60に交流電力を直流電力に変換可能な電力変換機が設けられる場合、外部電力制御部123は、当該電力変換機の動作を制御することによって、受電部60を介して供給される外部電力を制御することができる。また、例えば、外部電力制御部123は、外部電源に指令を出力することにより外部電源から受電部60に送電される電力を制御することによって、受電部60を介して供給される外部電力を制御してもよい。
【0041】
上記のように、電源システム1は、第2二次電池20と接続され、外部電源から送電される電力を受電可能な受電部60を備える。それにより、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を用いて第1二次電池10及び第2二次電池20を充電することができる。ここで、電源システム1の制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させた状態で、外部電力を用いて第2二次電池20の充電を行い、第2二次電池20の最大許容充電電力(つまり、第2二次電池20により単位時間あたりに充電可能な電力量)が外部電力を下回ると判定された場合に、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給を開始させる。それにより、第1二次電池10及び第2二次電池20を迅速に充電することが可能となる。このような、外部電力を用いた充電において制御部120により行われる電力の供給の制御(以下、電力供給制御とも呼ぶ)に関する処理の詳細については、後述にて説明する。
【0042】
<2.制御装置の動作>
続いて、
図3~
図8を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100の動作について説明する。
【0043】
図3は、制御部120が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3に示される制御フローは、具体的には、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を用いた充電が開始された際に開始される。なお、外部電力を用いた充電は、例えば、受電部60が外部電源から送電される電力を受電可能となった状態で、ドライバ等のユーザによる操作が車両又は外部電源に設けられる入力装置により受け付けられた際に開始される。
【0044】
図3に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS511において、制御部120は、第1SOCが基準SOC以上であるか否かを判定する。第1SOCが基準SOC以上であると判定された場合(ステップS511/YES)、ステップS513に進む。一方、第1SOCが基準SOC以上であると判定されなかった場合(ステップS511/NO)、ステップS517に進む。
【0045】
基準SOCは、現在の第1SOCが車両の走行を開始させることができる程度に高いか否かを適切に判断し得る値に設定され、例えば、車両の走行を開始させるために必要最低限な第1SOCの値に設定される。なお、基準SOCは、本発明に係る基準容量の一例に相当する。
【0046】
ステップS511でYESと判定された場合、ステップS513において、コンバータ制御部121は、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給を開始させる。
【0047】
図4は、外部電力を用いた充電における第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給が行われているときの電源システム1内の電力の流れを概略的に示す図である。
図4並びに後述にて参照する
図5及び
図7では、電源システム1内の電力の流れが矢印によって概略的に示されている。
【0048】
外部電力を用いた充電において、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給が開始されると、
図4に示されるように、第2二次電池20は、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力に加えて第1二次電池10からDCDCコンバータ30を介して供給される電力によって充電される状態になる。ゆえに、第2SOCが上昇し始める一方で、第1SOCは低下し始める。
【0049】
後述するように、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給が行われた後に、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させる処理が行われる。このように、コンバータ制御部121は、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させる前に、第1二次電池10から第2二次電池20へ電力を供給させることが好ましい。それにより、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止しているときに第1SOCを低い状態にしておくことができる。ゆえに、その後、第2SOCが上昇する過程で第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ったときに、第2二次電池20側から第1二次電池10へ電力を適切に供給させることができる。
【0050】
ここで、外部電力を用いた充電の効率を向上させる観点では、コンバータ制御部121は、第1二次電池10から第2二次電池20へ供給される電力をDCDCコンバータ30の効率を優先した電力に制御することが好ましい。なお、第1二次電池10と第2二次電池20との間で供給される電力に対するDCDCコンバータ30の効率の特性は、外気温、DCDCコンバータ30自体の温度又はDCDCコンバータ30の近傍の部品の温度等のDCDCコンバータ30の温度と相関を有する温度に応じて変化する。ゆえに、制御部120は、例えば、外気温センサ73の温度を利用することによって、第1二次電池10から第2二次電池20へ供給される電力を、DCDCコンバータ30の効率を優先した電力に適切に制御することができる。
【0051】
次に、ステップS515において、制御部120は、第1SOCが基準SOCを下回るか否かを判定する。第1SOCが基準SOCを下回ると判定された場合(ステップS515/YES)、ステップS517に進む。一方、第1SOCが基準SOCを下回ると判定されなかった場合(ステップS515/NO)、ステップS515の処理が繰り返される。
【0052】
なお、ステップS515では、制御部120は、第1SOCが基準SOCを実際に下回った場合にYESと判定する他に、第1SOCが基準SOCを下回ることが予測された場合にYESと判定してもよい。例えば、制御部120は、第1SOCの検出値の履歴に基づいて、第1SOCが基準SOCを下回ることを予測することができる。
【0053】
ステップS515でYESと判定された場合、ステップS517において、コンバータ制御部121は、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させる。それにより、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給は終了する。
【0054】
上記のように、コンバータ制御部121は、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給を、第1SOCが基準SOCを下回ると判定された場合に終了させることが好ましい。それにより、第1SOCが過度に低くなることを抑制することができるので、例えば、外部電力を用いた充電が途中で終了してしまった場合であっても、車両の走行を開始させることができる程度に第1SOCを高い状態にしておくことができる。
【0055】
図5は、外部電力を用いた充電におけるDCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止しているときの電源システム1内の電力の流れを概略的に示す図である。
【0056】
外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止すると、
図5に示されるように、第2二次電池20は、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力のみによって充電される状態になる。ゆえに、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止する前と比較して第2SOCの上昇速度は小さくなるものの、第2SOCは継続して上昇する。一方、第1二次電池10の充放電は停止した状態になるので、第1SOCは維持される。
【0057】
次に、ステップS519において、制御部120は、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かを判定する。第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定された場合(ステップS519/YES)、ステップS521に進む。一方、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定されなかった場合(ステップS519/NO)、ステップS519の処理が繰り返される。
【0058】
第2二次電池20の最大許容充電電力は、上述したように、第2二次電池20により単位時間あたりに充電可能な電力量に相当し、第2SOCに応じて変化する。ゆえに、制御部120は、具体的には、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かを第2SOCに基づいて判定する。
【0059】
図6は、第2SOCと第2二次電池20の最大許容充電電力との関係を示す図である。
【0060】
図6に示されるように、第2二次電池20の最大許容充電電力は、第2SOCが高くなるにつれて小さくなる。ゆえに、第2SOCが過度に高い場合、第2二次電池20の最大許容充電電力は、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を下回る。例えば、
図6では、第2SOCが閾値SOC_thより高いときに、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回っている。ゆえに、制御部120は、例えば、第2SOCが上昇する過程で閾値SOC_thを超えたと判断されるときに、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定することができる。
【0061】
ここで、第2二次電池20の最大許容充電電力は、第2SOCの他に第2二次電池20の温度に応じて変化する。具体的には、第2二次電池20の最大許容充電電力は第2二次電池20の温度が低くなるにつれて小さくなる。ゆえに、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かをより適切に判定する観点では、制御部120は、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かを第2二次電池20の温度と相関を有する指標値に基づいて判定することが好ましい。なお、第2二次電池20の温度と相関を有する指標値としては、第2二次電池20の温度を直接的に示す情報(例えば、第2バッテリセンサ72の検出結果)の他、例えば、外気温等が用いられてもよい。
【0062】
なお、ステップS519では、制御部120は、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を実際に下回った場合にYESと判定する他に、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ることが予測された場合にYESと判定してもよい。例えば、制御部120は、第2二次電池20の最大許容充電電力の算出値の履歴に基づいて、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ることを予測することができる。
【0063】
ステップS519でYESと判定された場合、ステップS521において、コンバータ制御部121は、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給を開始させる。
【0064】
図7は、外部電力を用いた充電における第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が行われているときの電源システム1内の電力の流れを概略的に示す図である。
【0065】
外部電力を用いた充電において、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が開始されると、
図7に示されるように、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力は、第1二次電池10及び第2二次電池20に分配されて供給される。ゆえに、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が開始される前と比較して第2SOCの上昇速度はさらに小さくなるものの、第2SOCは継続して上昇する。一方、第1二次電池10が外部電源から受電部60を介して供給される外部電力の一部によって充電され始めることに伴って、第1SOCは上昇し始める。
【0066】
コンバータ制御部121は、具体的には、外部電力のうち第2二次電池20に供給される電力が第2二次電池20の最大許容充電電力以下になるように、第2二次電池20側から第1二次電池10へ電力を供給させる。それにより、第2二次電池20に最大許容充電電力より大きな電力が供給されることに起因して第2二次電池20が損傷することを適切に抑制することができる。
【0067】
ここで、第1二次電池10と第2二次電池20との間で供給される電力の大きさは、DCDCコンバータ30の出力の大きさに相当する。また、DCDCコンバータ30の出力には、最大出力(つまり、上限値)が存在する。ゆえに、外部電力が第2二次電池20の最大許容充電電力とDCDCコンバータ30の最大出力との合計よりも大きい場合、第2二次電池20に最大許容充電電力より大きな電力が供給される状況、又は第2二次電池20側から第1二次電池10へ供給される電力がDCDCコンバータ30の最大出力を超える状況が生じ得る。これらの状況は、第2二次電池20又はDCDCコンバータ30が損傷する要因となる。ゆえに、電源システム1の各機器の損傷を適切に抑制する観点では、外部電力制御部123は、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が行われているときに、外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力とDCDCコンバータ30の最大出力との合計以下に制御することが好ましい。
【0068】
次に、ステップS523において、制御部120は、第1SOC及び第2SOCが目標SOCに到達したか否かを判定する。第1SOC及び第2SOCが目標SOCに到達したと判定された場合(ステップS523/YES)、ステップS525に進む。一方、第1SOC及び第2SOCが目標SOCに到達したと判定されなかった場合(ステップS523/NO)、ステップS523の処理が繰り返される。
【0069】
第2SOCの目標SOCは、例えば、100%(つまり、満充電時のSOC)に設定される。また、第1SOCの目標SOCは、例えば、100%よりも小さいSOC(例えば、70%)に設定される。第1SOCの目標SOCが100%よりも小さいSOCに設定される場合、第1SOCが100%よりも小さいSOCになった状態で充電が終了するので、車両の走行を開始した際に、駆動用モータ50により回生発電された電力を第1二次電池10に適切に供給させることができる状態にすることができる。
【0070】
ステップS523でYESと判定された場合、ステップS525において、外部電力制御部123は、受電部60による外部電源からの受電を終了させる。それにより、外部電力を用いた充電が終了する。
【0071】
【0072】
ここで、
図8を参照して、
図3の制御フローを参照して説明した本実施形態の電力供給制御(つまり、制御部120による制御)が行われる場合における外部電力を用いた充電時の第1SOC及び第2SOCの推移について説明する。
【0073】
図8は、本実施形態の電力供給制御及び参考例の電力供給制御が行われるそれぞれの場合における外部電力を用いた充電時の第1SOC及び第2SOCの推移の一例を示す図である。
図8では、本実施形態の電力供給制御が行われる場合における第1SOC及び第2SOCの推移が実線で示されており、参考例の電力供給制御が行われる場合における第1SOC及び第2SOCの推移が二点鎖線で示されている。
【0074】
参考例では、本実施形態と異なり、外部電力を用いた充電において、第2二次電池20の最大許容充電電力と外部電力との関係によらずに第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が行われる。具体的には、参考例では、外部電力を用いた充電の開始とともに、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が開始される。
【0075】
参考例では、例えば、
図8において二点鎖線で示されるように、外部電力を用いた充電が開始される時刻T0以降、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が行われるので、第1SOC及び第2SOCの双方がともに上昇する。ここで、第1二次電池10が、上述したように、第2二次電池20と比較して高出力の蓄電装置である場合、第1SOCは、第2SOCと比較して早く上昇し、時刻T91に目標SOC(例えば、70%)に到達する。その後、第2二次電池20のみが外部電力によって充電される状態になるので、第1SOCが維持された状態で第2SOCが上昇する。
【0076】
そして、時刻T92において、第2SOCが閾値SOC_thを超えるので、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回る。ゆえに、参考例では、時刻T92以降において、第2二次電池20を保護するために、外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力以下に低下させることが行われる。第2SOCは、時刻T92以降において、時刻T92以前と比較して小さな上昇速度で上昇し、時刻T93において、目標SOC(例えば、100%)に到達することによって、外部電力を用いた充電が終了する。
【0077】
一方、本実施形態では、例えば、
図8において実線で示されるように、外部電力を用いた充電が開始される時刻T0において、第1SOCが基準SOC以上である場合、まず、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給が開始される。それにより、時刻T0以降において、第2SOCが上昇する一方で、第1SOCは低下する。そして、時刻T11において、第1SOCが基準SOCを下回ると判定されることに伴い、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止し、第1SOCの低下が止まる。第2SOCは、時刻T11以降において、時刻T11以前と比較して小さな上昇速度で上昇し、時刻T12において、閾値SOC_thを超えるので、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回る。
【0078】
ここで、本実施形態では、時刻T12において、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定されることに伴い、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が開始される。それにより、外部電力が第1二次電池10及び第2二次電池20に分配されて供給されるので、外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力以下に低下させることなく充電を続けることができる。ゆえに、
図8では、時刻T12以降において、第2SOCの上昇速度が時刻T12以前と比較して小さくなっているものの、第1SOCが上昇している様子が示されている。その後、例えば、
図8に示されるように、時刻T13において、第2SOCが目標SOCに到達した後に、時刻T14において、第1SOCが目標SOCに到達することによって、外部電力を用いた充電が終了する。
【0079】
上記のように、本実施形態に係る制御部120は、外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させた状態で、外部電力を用いて第2二次電池20の充電を行い、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定された場合に、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給を開始させる。それにより、例えば上記の参考例と異なり、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ることに起因して外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力以下に低下させる必要性が生じることを抑制することができる。ゆえに、例えば、
図8に示される例では、本実施形態の電力供給制御が行われた場合に充電が終了する時刻T14は、参考例の電力供給制御が行われた場合に充電が終了する時刻T93よりも前の時刻になっている。このように、本実施形態の電力供給制御によれば、第1二次電池10及び第2二次電池20を迅速に充電することができる。
【0080】
また、上記のように、本実施形態に係る制御部120は、外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させる前に、第1二次電池10から第2二次電池20へ電力を供給させることが好ましい。それにより、上述したように、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止しているときに第1SOCを低い状態にすることができる。例えば、
図8に示される例では、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止している時刻T11と時刻T12の間において、第1SOCが基準SOCに維持されている。ゆえに、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ったとき(例えば、
図8における時刻T12)に、第2二次電池20側から第1二次電池10へ電力を適切に供給させることができる。
【0081】
<3.制御装置の効果>
続いて、本発明の実施形態に係る制御装置100の効果について説明する。
【0082】
本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、外部電源から受電部60を介して供給される外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させた状態で、外部電力を用いて第2二次電池20の充電を行い、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定された場合に、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給を開始させる。それにより、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ることに起因して外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力以下に低下させる必要性が生じることを抑制することができる。ゆえに、2以上の蓄電装置を備える電源システム1において、蓄電装置である第1二次電池10及び第2二次電池20を迅速に充電することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させる前に、第1二次電池10から第2二次電池20へ電力を供給させることが好ましい。それにより、DCDCコンバータ30を介した電力の供給が停止しているときに第1SOCを低い状態にすることができる。ゆえに、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ったときに、第2二次電池20側から第1二次電池10へ電力を適切に供給させることができる。よって、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ることに起因して外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力以下に低下させる必要性が生じることをより適切に抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、第1二次電池10から第2二次電池20への電力の供給を、第1SOCが基準SOCを下回ると判定された場合に終了させることが好ましい。それにより、第1SOCが過度に低くなることを抑制することができるので、例えば、外部電力を用いた充電が途中で終了してしまった場合であっても、車両の走行を開始させることができる程度に第1SOCを高い状態にしておくことができる。
【0085】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、第1二次電池10から第2二次電池20へ供給される電力をDCDCコンバータ30の効率を優先した電力に制御することが好ましい。それにより、外部電力を用いた充電の効率を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給が行われているときに、外部電力を第2二次電池20の最大許容充電電力とDCDCコンバータ30の最大出力との合計以下に制御することが好ましい。それにより、第2二次電池20に最大許容充電電力より大きな電力が供給される状況、及び第2二次電池20側から第1二次電池10へ供給される電力がDCDCコンバータ30の最大出力を超える状況が生じることを抑制することができる。ゆえに、電源システム1の各機器の損傷を適切に抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かを第2二次電池20の温度と相関を有する指標値に基づいて判定することが好ましい。それにより、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回るか否かをより適切に判定することができる。
【0088】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る電源システム1は、第2二次電池20と接続され、外部電源から送電される電力を受電可能な受電部60を備える。このような電源システム1の制御装置100では、制御部120は、外部電力を用いた充電において、DCDCコンバータ30を介した電力の供給を停止させた状態で、外部電力を用いて第2二次電池20の充電を行い、第2二次電池20の最大許容充電電力が外部電力を下回ると判定された場合に、第2二次電池20側から第1二次電池10への電力の供給を開始させる。それにより、2以上の蓄電装置を備える電源システム1において、蓄電装置である第1二次電池10及び第2二次電池20を迅速に充電することができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 電源システム
10 第1二次電池
20 第2二次電池
30 DCDCコンバータ
40 インバータ
50 駆動用モータ
60 受電部
71 第1バッテリセンサ
72 第2バッテリセンサ
73 外気温センサ
100 制御装置
110 取得部
120 制御部
121 コンバータ制御部
122 インバータ制御部
123 外部電力制御部