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特許7129303印刷媒体処理システムおよび印刷媒体の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】印刷媒体処理システムおよび印刷媒体の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20220825BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20220825BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20220825BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B26D5/00 F
B26D5/34 A
B65H37/00
B41J25/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018188020
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020055078
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】福澤 貴則
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 武美
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-184349(JP,A)
【文献】特開2013-224003(JP,A)
【文献】特開2002-346982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00
B26D 5/34
B65H 37/00
B41J 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面に画像が印刷された印刷媒体の切断、および、前記印刷媒体に罫線を形成するための前記印刷媒体の押圧の少なくともいずれか一方を行うカッティングプロッタと、前記カッティングプロッタを制御する上位制御装置とを備え、
前記上位制御装置に電気的に接続される前記カッティングプロッタの制御部または前記上位制御装置には、前記カッティングプロッタによって前記印刷媒体の裏面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのデータである裏面側処理データが予め記憶され、
前記印刷媒体の前記おもて面には、前記カッティングプロッタにセットされている前記印刷媒体の前記画像の向きを認識するための認識用マークと、前記裏面側処理データが紐付けされた処理用マークとが印刷され、
前記カッティングプロッタは、前記カッティングプロッタにセットされている前記印刷媒体の前記おもて面側から前記認識用マークおよび前記処理用マークを読み取る読取り機構を備え、前記読取り機構による前記認識用マークおよび前記処理用マークの読取り結果と、前記読取り機構による前記処理用マークの読取り結果に応じて前記制御部または前記上位制御装置から読み出される前記裏面側処理データとに基づいて、前記裏面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする印刷媒体処理システム。
【請求項2】
前記裏面側処理データは、前記上位制御装置に記憶され、
前記上位制御装置は、前記読取り機構が前記処理用マークを読み取ると、前記読取り機構が読み取った前記処理用マークに紐付けされる前記裏面側処理データを前記カッティングプロッタの前記制御部に送信することを特徴とする請求項1記載の印刷媒体処理システム。
【請求項3】
前記制御部または前記上位制御部には、前記カッティングプロッタによって前記おもて面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのデータであるおもて面側処理データが記憶され、
前記処理用マークには、前記おもて面側処理データが紐付けされ、
前記カッティングプロッタは、前記読取り機構による前記認識用マークおよび前記処理用マークの読取り結果と前記おもて面側処理データと前記裏面側処理データとに基づいて、前記おもて面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うとともに、前記裏面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷媒体処理システム。
【請求項4】
前記おもて面側処理データおよび前記裏面側処理データは、前記上位制御装置に記憶され、
前記上位制御装置は、前記読取り機構が前記処理用マークを読み取ると、前記読取り機構が読み取った前記処理用マークに紐付けされる前記おもて面側処理データおよび前記裏面側処理データを前記カッティングプロッタの前記制御部に送信することを特徴とする請求項記載の印刷媒体処理システム。
【請求項5】
前記印刷媒体の前記おもて面には、前記カッティングプロッタにセットされている前記印刷媒体の前記画像の位置を認識するための第2認識用マークが印刷され、
前記読取り機構は、前記おもて面側から前記第2認識用マークを読み取り、
前記カッティングプロッタは、前記読取り機構による前記処理用マークおよび前記第2認識用マークの読取り結果と前記おもて面側処理データとに基づいて、前記おもて面側から前記印刷媒体の、前記第2認識用マークが印刷された位置に前記印刷媒体を貫通する切込みを形成することを特徴とする請求項3または4記載の印刷媒体処理システム。
【請求項6】
前記印刷媒体の前記おもて面に前記画像と前記認識用マークと前記処理用マークとを印刷するとともに前記上位制御装置に制御されるプリンタを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷媒体処理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷媒体処理システムを用いて前記印刷媒体を処理する印刷媒体の処理方法であって、
前記カッティングプロッタによって前記切込みを形成した後に前記印刷媒体を裏返すとともに、前記裏面側から前記印刷媒体の位置を認識するための認識用部材を前記裏面側から前記切込みに挿入して前記カッティングプロッタに前記印刷媒体をセットする印刷媒体セット工程と、
前記印刷媒体セット工程後に前記読取り機構によって前記認識用部材を読み取る読取り工程と、
前記読取り工程後に、前記読取り機構による前記認識用マーク、前記処理用マークおよび前記認識用部材の読取り結果と前記裏面側処理データとに基づいて、前記カッティングプロッタによって前記裏面側から前記印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行う裏面処理工程とを備えることを特徴とする印刷媒体の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷後の印刷媒体の切断等を行うための印刷媒体処理システムに関する。また、本発明は、かかる印刷媒体処理システムを用いて印刷媒体を処理する印刷媒体の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おもて側の面(おもて面)に画像が印刷された印刷媒体(プリントメディア)を裏面側から切断するためのカッティングプロッタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカッティングプロッタは、印刷媒体が載置される平板状のベッドと、ベッドの上方に配置されるヘッドと、ヘッドに取り付けられるカッターとを備えている。カッティングプロッタは、ホストコンピュータに電気的に接続されており、ホストコンピュータによって制御されている。特許文献1に記載のカッティングプロッタで切断される印刷媒体のおもて面には、画像に加えて、画像の位置情報と配置情報とを示す複数のマークが印刷されている。複数のマークの大きさ、形状および/または色(複数のマークの大きさ等)は、互いに異なっている。
【0003】
特許文献1に記載のカッティングプロッタで印刷媒体の裏面側から印刷媒体を切断するときには、まず、カッティングプロッタのオペレータが、印刷媒体のおもて面が上側を向くように印刷媒体をベッドに載置する。印刷媒体がベッドに載置されると、マーク認識手段が複数のマークを順次読み取って、複数のマークの位置および大きさ等をホストコンピュータに認識させる。その後、ホストコンピュータに認識させた複数のマークの位置、大きさ等、および、ホストコンピュータに記憶されたマークのデータ等に基づいて、印刷媒体の、マークが形成された部分をカッターが順次切断して、印刷媒体の、マークが形成された部分にカットマークを順次形成する。
【0004】
その後、オペレータは、印刷媒体の裏面側からカットマークにサブマークを取り付けてから、印刷媒体の裏面が上側を向くように印刷媒体をベッドに載置する。印刷媒体がベッドに載置されると、サブマーク認識手段が複数のサブマークを順次読み取って、複数のサブマークの位置と、複数のサブマークの大きさ、形状および/または色(複数のサブマークの大きさ等)とをホストコンピュータに認識させる。その後、ホストコンピュータに認識させた複数のサブマークの位置、大きさ等、および、ホストコンピュータに記憶された画像のデータ等に基づいて、カッターが印刷媒体の裏面側から印刷媒体を所定形状に切断する。
【0005】
このように、特許文献1に記載のカッティングプロッタでは、カットマークが形成された後、オペレータがカットマークにサブマークを取り付けて、印刷媒体の裏面が上側を向くように印刷媒体をベッドに載置すれば、印刷媒体が裏面側から自動で所定形状に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-184349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のカッティングプロッタは、ホストコンピュータに記憶された画像のデータ等に基づいて、印刷媒体の裏面側から印刷媒体を所定形状に切断するため、印刷媒体に印刷された画像が一定の画像であって印刷媒体の切断形状が一定である場合には、オペレータが、サブマークが取り付けられた印刷媒体を裏面が上側を向くようにベッドに載置すれば、印刷媒体を裏面側から自動で所定形状に切断することが可能である。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のカッティングプロッタにおいて、たとえば、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体を順次切断する場合には、切断される印刷媒体の切断形状が変わるたびに、オペレータが、切断される印刷媒体の画像のデータをホストコンピュータに認識させないと、サブマークが取り付けられた印刷媒体がベッドに載置されても、印刷媒体の裏面側から印刷媒体を所定形状に適切に切断することはできない。そのため、特許文献1に記載のカッティングプロッタにおいて、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体を順次切断する場合には、オペレータの作業が煩雑になる。
【0009】
そこで、本発明の課題は、おもて面に画像が印刷された印刷媒体の切断、および、印刷媒体に罫線を形成するための印刷媒体の押圧の少なくともいずれか一方を行うカッティングプロッタを備える印刷媒体処理システムにおいて、オペレータが煩雑な作業をしなくても、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を裏面側から順次切断処理したり押圧処理したりすることが可能な印刷媒体処理システムを提供することにある。また、本発明の課題は、かかる印刷媒体処理システムを用いて印刷媒体を処理する印刷媒体の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の印刷媒体処理システムは、おもて面に画像が印刷された印刷媒体の切断、および、印刷媒体に罫線を形成するための印刷媒体の押圧の少なくともいずれか一方を行うカッティングプロッタと、カッティングプロッタを制御する上位制御装置とを備え、上位制御装置に電気的に接続されるカッティングプロッタの制御部または上位制御装置には、カッティングプロッタによって印刷媒体の裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのデータである裏面側処理データが予め記憶され、印刷媒体のおもて面には、カッティングプロッタにセットされている印刷媒体の画像の向きを認識するための認識用マークと、裏面側処理データが紐付けされた処理用マークとが印刷され、カッティングプロッタは、カッティングプロッタにセットされている印刷媒体のおもて面側から認識用マークおよび処理用マークを読み取る読取り機構を備え、読取り機構による認識用マークおよび処理用マークの読取り結果と、読取り機構による処理用マークの読取り結果に応じて制御部または上位制御装置から読み出される裏面側処理データとに基づいて、裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の印刷媒体処理システムでは、カッティングプロッタの制御部または上位制御装置に、カッティングプロッタによって印刷媒体の裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うための裏面側処理データが記憶されている。また、本発明では、印刷媒体のおもて面に、裏面側処理データが紐付けされた処理用マークが印刷されている。さらに、本発明では、カッティングプロッタは、印刷媒体のおもて面側から処理用マークを読み取る読取り機構を備えており、読取り機構による処理用マークの読取り結果と裏面側処理データとに基づいて、裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行っている。
【0012】
そのため、本発明では、カッティングプロッタが切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を裏面側から順次切断処理したり、押圧処理したりする場合であっても、読取り機構による処理用マークの読取り結果と裏面側処理データとに基づいて、処理される印刷媒体の種類に応じた適切な処理を印刷媒体に行うことが可能になる。したがって、本発明では、処理される印刷媒体の切断形状や押圧形状が変わるたびにオペレータが煩雑な作業をしなくても、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を裏面側から順次切断処理したり押圧処理したりすることが可能になる。
【0013】
本発明において、裏面側処理データは、上位制御装置に記憶され、上位制御装置は、読取り機構が処理用マークを読み取ると、読取り機構が読み取った処理用マークに紐付けされる裏面側処理データをカッティングプロッタの制御部に送信することが好ましい。このように構成すると、カッティングプロッタの制御部は、カッティングプロッタで処理される印刷媒体に対応する裏面側処理データのみを一時的に記憶すれば良く、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体のそれぞれに対応する複数の裏面側処理データを継続的に記憶している必要がなくなる。したがって、カッティングプロッタの制御部の記憶容量が小さくても、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を裏面側から順次切断処理したり押圧処理したりすることが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、制御部または上位制御部には、カッティングプロッタによっておもて面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのデータであるおもて面側処理データが記憶され、処理用マークには、おもて面側処理データが紐付けされ、カッティングプロッタは、読取り機構による認識用マークおよび処理用マークの読取り結果とおもて面側処理データと裏面側処理データとに基づいて、おもて面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うとともに、裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行う。
【0015】
本発明において、おもて面側処理データおよび裏面側処理データは、上位制御装置に記憶され、上位制御装置は、読取り機構が処理用マークを読み取ると、読取り機構が読み取った処理用マークに紐付けされるおもて面側処理データおよび裏面側処理データをカッティングプロッタの制御部に送信することが好ましい。このように構成すると、カッティングプロッタの制御部は、カッティングプロッタで処理される印刷媒体に対応するおもて面側処理データおよび裏面側処理データのみを一時的に記憶すれば良く、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体のそれぞれに対応する複数のおもて面側処理データおよび裏面側処理データを継続的に記憶している必要がなくなる。したがって、カッティングプロッタの制御部の記憶容量が小さくても、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を順次切断処理したり押圧処理したりすることが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、印刷媒体のおもて面には、カッティングプロッタにセットされている印刷媒体の画像の位置を認識するための第2認識用マークが印刷され、読取り機構は、おもて面側から第2認識用マークを読み取り、カッティングプロッタは、読取り機構による処理用マークおよび第2認識用マークの読取り結果とおもて面側処理データとに基づいて、おもて面側から印刷媒体の、第2認識用マークが印刷された位置に印刷媒体を貫通する切込みを形成する。
【0017】
本発明において、印刷媒体処理システムは、たとえば、印刷媒体のおもて面に画像と認識用マークと処理用マークとを印刷するとともに上位制御装置に制御されるプリンタを備えている。
【0018】
本発明の印刷媒体処理システムを用いて印刷媒体を処理する印刷媒体の処理方法は、たとえば、カッティングプロッタによって切込みを形成した後に印刷媒体を裏返すとともに、裏面側から印刷媒体の位置を認識するための認識用部材を裏面側から切込みに挿入してカッティングプロッタに印刷媒体をセットする印刷媒体セット工程と、印刷媒体セット工程後に読取り機構によって認識用部材を読み取る読取り工程と、読取り工程後に、読取り機構による認識用マーク、処理用マークおよび認識用部材の読取り結果と裏面側処理データとに基づいて、カッティングプロッタによって裏面側から印刷媒体の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行う裏面処理工程とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、おもて面に画像が印刷された印刷媒体の切断、および、印刷媒体に罫線を形成するための印刷媒体の押圧の少なくともいずれか一方を行うカッティングプロッタを備える印刷媒体処理システムにおいて、オペレータが煩雑な作業をしなくても、切断形状や押圧形状の異なる複数種類の印刷媒体を裏面側から順次切断処理したり押圧処理したりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかる印刷媒体処理システムの構成を説明するためのブロック図である。
図2図1に示すプリンタで印刷された後の印刷媒体のおもて面の平面図である。
図3】(A)は、図1に示すカッティングプロッタの構成を説明するための平面図であり、(B)は、図1に示すカッティングプロッタの構成を説明するための正面図である。
図4図1に示すカッティングプロッタで印刷媒体のおもて面側から印刷媒体の切断が行われた後の状態を示す平面図である。
図5図1に示すカッティングプロッタで印刷媒体の裏面側から印刷媒体の切断が行われる前の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(印刷媒体処理システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる印刷媒体処理システム1の構成を説明するためのブロック図である。図2は、図1に示すプリンタ3で印刷された後の印刷媒体2のおもて面2eの平面図である。図3(A)は、図1に示すカッティングプロッタ4の構成を説明するための平面図であり、図3(B)は、図1に示すカッティングプロッタ4の構成を説明するための正面図である。
【0023】
本形態の印刷媒体処理システム1は、印刷媒体2に印刷を行うプリンタ3と、プリンタ3で印刷された印刷後の印刷媒体2を所定形状に切断するカッティングプロッタ4とを備えている。また、印刷媒体処理システム1は、プリンタ3およびカッティングプロッタ4を制御する上位制御装置5を備えている。プリンタ3の制御部6およびカッティングプロッタ4の制御部7は、上位制御装置5に電気的に接続されている。
【0024】
印刷媒体2は、たとえば、長方形状に形成された印刷用紙等の紙媒体である。長方形状に形成される印刷媒体2の4個の端面のそれぞれを端面2a~2dとすると、端面2a~2dは、長方形状に形成される印刷媒体2の周方向においてこの順番で配置されている。印刷媒体2のおもて側の面(おもて面)2eには、文字や図形等の画像10が印刷されている。たとえば、印刷媒体2のおもて面2eには、図2に示すように、画像10として文字「F」が印刷されている。
【0025】
また、印刷媒体2のおもて面2eには、カッティングプロッタ4にセットされている印刷媒体2の画像10の位置を認識するためのトンボ11が印刷されている。本形態では、長方形状に形成される印刷媒体2の四隅のそれぞれに、正方形状のトンボ11が印刷されている。本形態のトンボ11は、第2識別用マークである。なお、トンボ11の形状は、正方形以外の形状であっても良い。
【0026】
また、印刷媒体2のおもて面2eには、カッティングプロッタ4にセットされている印刷媒体2の画像10の向き(角度)を認識するための認識用マークと、上位制御装置5に記憶される後述のおもて面側切断データおよび裏面側切断データが紐付けされた処理用マークとが印刷されている。本形態では、認識用マークと処理用マークとからなるバーコード12が印刷媒体2のおもて面2eに印刷されている。すなわち、バーコード12の一部分は、カッティングプロッタ4にセットされている印刷媒体2の画像10の向きを認識するためのコードである認識用マークとなっており、バーコード12の残りの部分は、おもて面側切断データおよび裏面側切断データが紐付けされたコードである処理用マークとなっている。
【0027】
本形態では、印刷媒体2の4個の端面2a~2dのそれぞれに沿うように4個のバーコード12が印刷されている。4個のバーコード12のそれぞれは、4個のトンボ11のそれぞれに隣接するように印刷されている。また、4個のバーコード12のそれぞれは、印刷媒体2の周方向において4個のトンボ11のそれぞれの一方側に配置されている。また、印刷媒体2の厚さ方向から見たときに、4個のバーコード12は、印刷媒体2の中心に対して略90°ピッチで配置されている。
【0028】
端面2aに沿って配置されるバーコード12の中の認識用マークは、たとえば、角度「0°」示すコードとなっている。また、たとえば、端面2bに沿って配置されるバーコード12の中の認識用マークは、角度「90°」を示すコードとなっており、端面2cに沿って配置されるバーコード12の中の認識用マークは、角度「180°」を示すコードとなっており、端面2dに沿って配置されるバーコード12の中の認識用マークは、たとえば、角度「270°」を示すコードとなっている。また、4個のバーコード12には、同じ処理用マークが含まれている。
【0029】
プリンタ3は、たとえば、インクジェットプリンタである。プリンタ3は、印刷媒体2のおもて面2eに、画像10とトンボ11とバーコード12とを印刷する。すなわち、プリンタ3は、印刷媒体2のおもて面2eに、画像10とトンボ11と認識用マークと処理用マークとを印刷する。なお、印刷媒体2の裏側の面(裏面)2f(図5参照)には、印刷がされておらず、プリンタ3は、印刷媒体2のおもて面2eのみに印刷を行う。
【0030】
カッティングプロッタ4は、印刷媒体2が載置されて固定されるテーブル(載置台)15と、印刷媒体2を切断するカッター16と、カッター16を保持するツールヘッド17と、ツールヘッド17を移動可能に保持するヘッド保持部材(図示省略)とを備えている。テーブル15の上面は、上下方向に直交する平面となっている。カッター16およびツールヘッド17は、テーブル15の上側に配置されている。
【0031】
ヘッド保持部材は、テーブル15に対して前後方向(図3等のY方向)へ移動可能となっている。ツールヘッド17は、ヘッド保持部材に対して左右方向(図3等のX方向)へ移動可能となっている。すなわち、ツールヘッド17は、テーブル15に対して前後左右方向へ移動可能となっている。カッター16は、ツールヘッド17に対して昇降可能となっている。
【0032】
また、カッティングプロッタ4は、テーブル15に対してヘッド保持部材を前後方向に移動させる移動機構と、ヘッド保持部材に対してツールヘッド17を左右方向に移動させる移動機構と、ツールヘッド17に対してカッター16を昇降させる昇降機構とを備えている。カッター16は、テーブル15に載置される印刷媒体2にカッター16の刃先が接触して印刷媒体2を切断する切断位置と、カッター16の刃先が印刷媒体2に接触しないように上方へ退避する退避位置との間で昇降可能となっている。
【0033】
また、カッティングプロッタ4は、カッティングプロッタ4にセットされている印刷媒体2のおもて面2e側からトンボ11と認識用マークと処理用マークとを読み取る読取り機構18を備えている。すなわち、カッティングプロッタ4は、テーブル15に載置された印刷媒体2のトンボ11およびバーコード12を読み取る読取り機構18を備えている。読取り機構18は、たとえば、撮像素子を有するデジタルカメラ、または、発光素子と受光素子とを有する反射型の光学式センサである。読取り機構18は、ツールヘッド17に取り付けられている。
【0034】
本形態では、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2のおもて面2e側から印刷媒体2の、トンボ11が印刷された位置に切込み2g(図4参照)を形成する。すなわち、カッティングプロッタ4は、おもて面2eが上側を向いた状態でテーブル15に載置されている印刷媒体2の、トンボ11が印刷された位置に切込み2gを形成する。切込み2gは、正方形状に形成されるトンボ11の2対の対角を結ぶ十字状に形成されている。また、切込み2gは、印刷媒体2を貫通している。
【0035】
また、本形態では、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2の裏面2f側から印刷媒体2を所定形状に切断する。すなわち、カッティングプロッタ4は、裏面2fが上側を向いた状態でテーブル15に載置されている印刷媒体2を所定形状に切断する。たとえば、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2の裏面2f側から画像10の輪郭に沿って印刷媒体2を切断する。
【0036】
上位制御装置5は、たとえば、パーソナルコンピュータであり、ROM、RAMおよびハードディスクドライブ等の記憶手段やCPU等の演算手段等の各種のハードウエアを備えている。上位制御装置5には、液晶ディスプレイ等のディスプレイおよびキーボード等が接続されている。また、上位制御装置5には、画像10を作成編集するための画像編集ソフトウエアと、プリンタ3を制御するためのプリンタドライバと、カッティングプロッタ4を制御するためのカッティングソフトウエアとがインストールされている。
【0037】
プリンタ3によって印刷媒体2のおもて面2eに印刷される画像10のデータは、上位制御装置5において画像編集ソフト上で作成される。また、プリンタ3によって印刷媒体2のおもて面2eに印刷されるトンボ11のデータも画像編集ソフト上で作成される。さらに、カッティングプロッタ4によって切断される印刷媒体2の位置を示す切断線のデータも画像編集ソフト上で作成される。具体的には、切込み2gを形成するための切断線のデータと画像10の輪郭線と一致する切断線のデータとが画像編集ソフト上で作成される。また、プリンタ3によって印刷媒体2のおもて面2eに印刷されるバーコード12のデータも画像編集ソフト上で作成される。
【0038】
画像編集ソフト上で画像10、トンボ11、バーコード12および切断線のデータが作成されると、上位制御装置5は、プリンタ3で印刷媒体2のおもて面2eに印刷を行うための印刷データを、これらのデータに基づいて作成し記憶する。プリンタ3で印刷媒体2のおもて面2eに印刷を行うときには、上位制御装置5は、プリンタ3の制御部6に印刷データを送信する。
【0039】
また、画像編集ソフト上で画像10、トンボ11、バーコード12および切断線のデータが作成されると、上位制御装置5は、カッティングプロッタ4で印刷媒体2を切断するための切断データ(カットデータ)を、これらのデータに基づいて作成し記憶する。切断データは、カッティングプロッタ4によって印刷媒体2のおもて面2e側から印刷媒体2の切断を行うためのデータであるおもて面側切断データと、カッティングプロッタ4によって印刷媒体2の裏面2f側から印刷媒体2の切断を行うためのデータである裏面側切断データとから構成されている。
【0040】
すなわち、上位制御装置5には、カッティングプロッタ4によって印刷媒体2のおもて面2e側から印刷媒体2の切断を行うためのおもて面側切断データと、カッティングプロッタ4によって印刷媒体2の裏面2f側から印刷媒体2の切断を行うための裏面側切断データとが記憶されている。具体的には、上位制御装置5には、印刷媒体2のおもて面2e側から切込み2gを形成するためのおもて面側切断データと、印刷媒体2の裏面2f側から画像10の輪郭に沿って印刷媒体2を切断するための裏面側切断データとが記憶されている。本形態のおもて面側切断データはおもて面側処理データであり、裏面側切断データは裏面側処理データである。
【0041】
おもて面側切断データには、トンボ11の位置を基準とする切込み2gの位置のデータが含まれている。裏面側切断データには、トンボ11の位置を基準とする切断線の位置のデータが含まれている。なお、おもて面側切断データには、切込み2gを形成する際のカッター16の移動速度の設定データおよびカッター16と印刷媒体2との接触圧の設定データ等が含まれていても良い。同様に、裏面側切断データには、切断線に沿って印刷媒体2を切断する際のカッター16の移動速度の設定データおよびカッター16と印刷媒体2との接触圧の設定データ等が含まれていても良い。
【0042】
上位制御装置5に記憶されるおもて面側切断データおよび裏面側切断データは、バーコード12の中の処理用マークに紐付けされている。すなわち、上位制御装置5に記憶されるおもて面側切断データおよび裏面側切断データに対応する処理用マークのデータが上位制御装置5で作成される。上位制御装置5は、カッティングプロッタ4で印刷媒体2を切断する前に、カッティングプロッタ4の制御部7におもて面側切断データおよび裏面側切断データを送信する。
【0043】
本形態では、大きさや形状等が異なる画像10が印刷されていて切断形状が異なる複数種類の印刷媒体2がカッティングプロッタ4で切断されることがある。この場合には、切断形状が異なる印刷媒体2ごとに異なるおもて面側切断データと裏面側切断データとが作成されて上位制御装置5に記憶されている。すなわち、この場合には、複数のおもて面側切断データと裏面側切断データとがセットで上位制御装置5に記憶されている。たとえば、3~5種類程度のおもて面側切断データと裏面側切断データとがセットで上位制御装置5に記憶されている。また、この場合、切断形状が異なる印刷媒体2には、異なる処理用マークを含むバーコード12が印刷される。異なる処理用マークのそれぞれには、異なるおもて面側切断データおよび裏面側切断データのそれぞれが紐付けされている。
【0044】
(印刷媒体の処理方法)
図4は、図1に示すカッティングプロッタ4で印刷媒体2のおもて面2e側から印刷媒体2の切断が行われた後の状態を示す平面図である。図5は、図1に示すカッティングプロッタ4で印刷媒体2の裏面2f側から印刷媒体2の切断が行われる前の状態を示す平面図である。
【0045】
印刷媒体処理システム1で印刷媒体2を処理するとき(具体的には、印刷媒体2に印刷を行って印刷媒体2を切断するとき)には、まず、オペレータがプリンタ3に印刷媒体2をセットして、プリンタ3によって、印刷媒体2のおもて面2eに画像10とトンボ11とバーコード12とを印刷する。その後、オペレータは、印刷後の印刷媒体2をプリンタ3からカッティングプロッタ4まで運んで、おもて面2eが上側を向くように印刷媒体2をカッティングプロッタ4にセットする。すなわち、オペレータは、おもて面2eが上側を向くように印刷媒体2をテーブル15に載置する。
【0046】
その後、オペレータが所定の操作を行うと、ツールヘッド17およびヘッド保持部材が移動して、読取り機構18が4個のトンボ11のうちの1個のトンボ11と、このトンボ11に隣接する1個のバーコード12を読み取るとともに、残りの3個のトンボ11の位置を順次読み取る。なお、たとえば、図4(A)に示すように、端面2a、2cが前後方向と略平行にはなっているが前後方向に対して傾いた状態でテーブル15に印刷媒体2が載置される場合や、図4(B)に示すように、端面2a、2cが左右方向と平行になっている状態でテーブル15に印刷媒体2が載置される場合もあるが、1個のバーコード12の中の認識用マークの読取り結果と、読み取られた4個のトンボ11の位置に基づいて、テーブル15に対する印刷媒体2の向き(角度)が特定される。
【0047】
読取り機構18がバーコード12を読み取ると(すなわち、バーコード12に含まれる処理用マークを読み取ると)、上位制御装置5は、上位制御装置5に記憶されたおもて面側切断データおよび裏面側切断データの中の、読取り機構18が読み取った処理用マークに紐付けされるおもて面側切断データおよび裏面側切断データをカッティングプロッタ4の制御部7に送信する。制御部7は、受信したおもて面側切断データおよび裏面側切断データを一時的に記憶する。
【0048】
その後、カッティングプロッタ4は、読取り機構18による処理用マークの読取り結果に基づいて上位制御装置5から送信されたおもて面側切断データと、読取り機構18によるトンボ11の読取り結果とに基づいて、おもて面2e側から切込み2gを形成する。すなわち、カッティングプロッタ4は、読取り機構18による処理用マークおよびトンボ11の読取り結果とおもて面側切断データとに基づいて、おもて面2e側から切込み2gを形成する。
【0049】
その後、オペレータは、印刷媒体2を裏返すとともに、裏面2f側から印刷媒体2の位置を認識するための認識用部材21を裏面2f側から切込み2gに挿入してカッティングプロッタ4に印刷媒体2をセットする(印刷媒体セット工程)。すなわち、オペレータは、裏面2f側から切込み2gに認識用部材21を挿入した後、裏面2fが上側を向くように印刷媒体2をテーブル15に載置する(図5参照)。
【0050】
このときには、オペレータは、印刷媒体2を一定方向に裏返してテーブル15に載置する。具体的には、オペレータは、印刷媒体2の前後の向きが略同じで、かつ、左右の向きが反転されるように、印刷媒体2を裏返してテーブル15に載置する。すなわち、図4(A)に示すように、印刷媒体2がテーブル15に載置されている場合には、オペレータは、図5(A)に示す状態となるように、印刷媒体2を裏返してテーブル15に載置し、図4(B)に示すように、印刷媒体2がテーブル15に載置されている場合には、オペレータは、図5(B)に示す状態となるように、印刷媒体2を裏返してテーブル15に載置する。あるいは、オペレータは、印刷媒体2の左右の向きが略同じで、かつ、前後の向きが反転されるように、印刷媒体2を裏返してテーブル15に載置する。
【0051】
その後、オペレータが所定の操作を行うと、ツールヘッド17およびヘッド保持部材が移動して、読取り機構18が4個の認識用部材21を順次読み取る。すなわち、読取り機構18によって認識用部材21を読み取る(読取り工程)。具体的には、読取り機構18によって認識用部材21の位置を読み取る。その後、カッティングプロッタ4は、読取り機構18による処理用マークの読取り結果に基づいて上位制御装置5から予め送信されている裏面側切断データと、読取り機構18による認識用マークおよび認識用部材21の読取り結果とに基づいて、裏面2f側から印刷媒体2を画像10の輪郭線に沿って切断する。すなわち、読取り機構18による認識用マーク、処理用マークおよび認識用部材21の読取り結果と裏面側切断データとに基づいて、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2を切断する(裏面処理工程)。
【0052】
このように、本形態では、カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるバーコード12の読取り結果とおもて面側切断データと裏面側切断データとに基づいて、おもて面2e側から印刷媒体2を切断するとともに、裏面2f側から印刷媒体2を切断している。より具体的には、カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるトンボ11、バーコード12および認識用部材21の読取り結果とおもて面側切断データと裏面側切断データとに基づいて、おもて面2e側から印刷媒体2を切断するとともに、裏面2f側から印刷媒体2を切断している。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上位制御装置5に、カッティングプロッタ4によっておもて面2e側から印刷媒体2を切断するためのおもて面側切断データと、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2を切断する裏面側切断データとが記憶されている。また、本形態では、印刷媒体2のおもて面2eに、おもて面側切断データおよび裏面側切断データが紐付けされた処理用マークが印刷されている。さらに、本形態では、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2のおもて面2e側から処理用マークを読み取る読取り機構18を備えており、読取り機構18による処理用マークの読取り結果とおもて面側切断データと裏面側切断データとに基づいて、おもて面2e側から印刷媒体2を切断するとともに、裏面2f側から印刷媒体2を切断している。
【0054】
そのため、本形態では、たとえば、カッティングプロッタ4が切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2を順次切断処理する場合であっても、読取り機構18による処理用マークの読取り結果とおもて面側切断データと裏面側切断データとに基づいて、切断される印刷媒体2の切断形状に応じた適切な切断処理を行うことが可能になる。したがって、本形態では、切断される印刷媒体2の切断形状が変わるたびにオペレータが煩雑な作業をしなくても、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2を裏面2f側から順次切断処理することが可能になる。
【0055】
本形態では、おもて面側切断データおよび裏面側切断データは、上位制御装置5に記憶されており、上位制御装置5は、読取り機構18が処理用マークを読み取ると、読取り機構18が読み取った処理用マークに紐付けされるおもて面側切断データおよび裏面側切断データをカッティングプロッタ4の制御部7に送信している。そのため、本形態では、カッティングプロッタ4の制御部7は、カッティングプロッタ4で切断される印刷媒体2に対応するおもて面側切断データおよび裏面側切断データのみを一時的に記憶すれば良く、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2のそれぞれに対応する複数のおもて面側切断データおよび裏面側切断データを継続的に記憶している必要がない。したがって、本形態では、制御部7の記憶容量が小さくても、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2を順次切断処理することが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、上位制御装置5は、読取り機構18がバーコード12を読み取る前の所定の段階でおもて面側切断データおよび裏面側切断データをカッティングプロッタ4の制御部7に送信しても良い。この場合には、制御部7に、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2のそれぞれに対応する複数のおもて面側切断データと裏面側切断データとがセットで記憶されることがある。また、上述した形態において、カッティングプロッタ4は、おもて面2e側から、印刷媒体2の、切込み2g以外の部分を切断しても良い。
【0058】
上述した形態において、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2の、トンボ11が印刷された位置に切込み2gを形成しなくても良い。この場合には、たとえば、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2のおもて面2e側からトンボ11の外周側を所定形状に切断する。また、オペレータは、その後、印刷媒体2を裏返すとともに、トンボ11の外周側が切断された切断後の印刷媒体2の端面が所定の基準面に突き当たるように裏面2fを上側に向けた状態で印刷媒体2をカッティングプロッタ4にセットする。
【0059】
また、上述した形態において、カッティングプロッタ4は、印刷媒体2の、トンボ11が印刷された位置に貫通穴が形成されるように、印刷媒体2のおもて面2e側から印刷媒体2を切断しても良い。この場合には、オペレータは、印刷媒体2に貫通穴が形成された後、裏面2fが上側を向くように印刷媒体2をテーブル15に載置する。また、その後、オペレータが所定の操作を行うと、ツールヘッド17およびヘッド保持部材が移動して、読取り機構18が4個の貫通穴の位置を順次読み取るとともに、カッティングプロッタ4は、読取り機構18による認識用マークおよび貫通穴の読取り結果と裏面側切断データとに基づいて、裏面2f側から印刷媒体2を画像10の輪郭線に沿って切断する。
【0060】
上述した形態において、印刷媒体2は、薄い樹脂板であっても良い。また、上述した形態において、印刷媒体2は、段ボール等の厚手の紙媒体であっても良い。この場合には、カッティングプロッタ4は、たとえば、印刷媒体2のおもて面2eおよび裏面2fの少なくともいずれか一方に罫線を形成するために印刷媒体2を押圧しても良い。この場合には、カッティングプロッタ4は、カッター16に代えて、または、カッター16に加えて、印刷媒体2を押圧して印刷媒体2に罫線を形成するための罫引ローラを備えており、罫引ローラは、ツールヘッド17に保持されている。
【0061】
また、この場合には、たとえば、上位制御装置5に、カッティングプロッタ4によっておもて面2e側から切込み2gを形成するためのおもて面側切断データと、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2を押圧して裏面2fに罫線を形成するための裏面側処理データとが記憶されており、カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるバーコード12等の読取り結果とおもて面側切断データと裏面側処理データとに基づいて、おもて面2e側から切込み2gを形成するとともに、裏面2f側から印刷媒体2を押圧して裏面2fに罫線を形成する。
【0062】
また、この場合には、たとえば、上位制御装置5に、カッティングプロッタ4によっておもて面2e側から切込み2gを形成するとともにおもて面2e側から印刷媒体2を押圧しておもて面2eに罫線を形成するためのおもて面側処理データと、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2を押圧して裏面2fに罫線を形成するための裏面側処理データとが記憶されており、カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるバーコード12等の読取り結果とおもて面側処理データと裏面側処理データとに基づいて、おもて面2e側から切込み2gを形成し、かつ、おもて面2e側から印刷媒体2を押圧しておもて面2eに罫線を形成するとともに、裏面2f側から印刷媒体2を押圧して裏面2fに罫線を形成しても良い。
【0063】
このように、上位制御装置5に、カッティングプロッタ4によっておもて面2e側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのおもて面側処理データと、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うための裏面側処理データとが記憶され、カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるバーコード12等の読取り結果とおもて面側処理データと裏面側処理データとに基づいて、おもて面2e側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うとともに、裏面2f側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行っても良い。
【0064】
上述した形態において、カッティングプロッタ4は、おもて面2e側から印刷媒体2の切断および押圧を行わなくても良い。この場合には、印刷媒体2にトンボ11が印刷されていない。また、この場合には、オペレータは、たとえば、印刷媒体2の端面2a(または端面2c)と端面2b(または端面2d)とが所定の基準面に突き当たるようにおもて面2eを上側に向けた状態で、印刷後の印刷媒体2をカッティングプロッタ4にセットする。この状態で、読取り機構18がバーコード12を読み取ると、その後、オペレータは、印刷媒体2の端面2a(または端面2c)と端面2b(または端面2d)とが所定の基準面に突き当たるように裏面2fを上側に向けた状態で、印刷媒体2をカッティングプロッタ4にセットする。
【0065】
また、この場合には、上位制御装置5に、カッティングプロッタ4によって裏面2f側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うための裏面側処理データは記憶されているが、カッティングプロッタ4によっておもて面2e側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方を行うためのおもて面側処理データは記憶されていない。また、この場合には、処理用マークに、裏面側処理データは紐付けされているが、おもて面側処理データは紐付けされていない。
【0066】
また、この場合には、上位制御装置5は、読取り機構18が処理用マークを読み取ると、読取り機構18が読み取った処理用マークに紐付けされる裏面側切断データをカッティングプロッタ4の制御部7に送信する。カッティングプロッタ4は、読取り機構18によるバーコード12の読取り結果と裏面側処理データとに基づいて、裏面2f側から印刷媒体2の切断および押圧の少なくともいずれか一方のみを行う。この場合であっても、切断される印刷媒体2の切断形状が変わるたびにオペレータが煩雑な作業をしなくても、切断形状の異なる複数種類の印刷媒体2を裏面2f側から順次切断処理することが可能になる。
【0067】
上述した形態では、認識用マークと処理用マークとからなるバーコード12が印刷媒体2のおもて面2eに印刷されているが、認識用マークと処理用マークとが別々に印刷媒体2のおもて面2eに印刷されていても良い。また、上述した形態において、印刷媒体2のおもて面2eに印刷されるトンボ11の数は、1個であっても良いし、2個または3個であっても良い。また、上述した形態において、媒体処理システム1は、プリンタ3を備えていなくても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 印刷媒体処理システム
2 印刷媒体
2e おもて面
2f 裏面
2g 切込み
3 プリンタ
4 カッティングプロッタ
5 上位制御装置
7 制御部
10 画像
11 トンボ(第2認識用マーク)
18 読取り機構
21 認識用部材
図1
図2
図3
図4
図5