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特許7129317ナビゲーションシステム、進行方向の規制を案内する方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム、進行方向の規制を案内する方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20220825BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220825BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220825BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/00 F
G09B29/10 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018213343
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020079757
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】何 青
(72)【発明者】
【氏名】高野 雄夫
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-208086(JP,A)
【文献】特開2000-137894(JP,A)
【文献】特開2005-343446(JP,A)
【文献】特開2003-240587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステムであって、
出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
車両の現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部により取得された前記現在位置に応じて、前記経路探索部により探索された前記経路を案内する案内部と、
を備え、
前記案内部は、
前記現在位置から導かれた進行中のリンクに、ノード通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、前記経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、前記規制の案内をするものであり、
前記規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、前記規制の案内をしない、ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記案内部は、前記規制を有する車線の長さが前記第2閾値よりも長い時は、前記現在位置と前記ノードとの間の距離が所定の第1閾値以下となった場合に、前記規制の案内をする、ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のナビゲーションシステムであって、
前記案内部は、前記経路上の次ノードと、次々ノードとの間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、前記次ノードと前記次々ノードとについての前記規制の案内を同時に行う、ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムであって、さらに、
地図画像を表す情報を記憶する地図情報記憶部を備え、
前記案内部は、
前記規制を有する車線の長さが前記第2閾値よりも長い時は、前記現在位置と前記ノードとの間の距離が所定の第1閾値以下となった場合に、前記規制の案内をするものであり、
前記現在位置取得部により取得された前記現在位置を用いて、前記地図情報記憶部から前記現在位置周辺の前記地図画像を逐次取得し、
前記現在位置と前記ノードとの間の距離が前記第1閾値となった地点における前記地図画像に欠落がある場合は、前記欠落のない地点まで前記規制の案内を延期する、ナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムであって、
前記規制は、道なりに進行することを禁ずる旨の規制である、ナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムであって、
前記案内部は、
前記進行中のリンクが第1車線と第2車線とを含み、前記第1車線が次のノードを介して第1リンクに接続され、前記第2車線が前記次のノードを介して第2リンクに接続されている場合に、
前記第1車線と前記第1リンクとが成す第1角度と、前記第2車線と前記第2リンクとが成す第2角度と、を比較し、
前記第1角度と前記第2角度のうち、角度が大きい方に対応する車線を、前記規制を有する車線であるとする、ナビゲーションシステム。
【請求項7】
進行方向の規制を案内する方法であって、情報処理装置が、
出発地から目的地までの経路を探索させる工程と、
車両の現在位置を表す現在位置情報を取得する工程と、
取得された前記現在位置に応じて、探索された前記経路を案内する工程と、
を備え、
前記案内する工程では、
前記現在位置から導かれた進行中のリンクに、ノード通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、前記経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、前記規制の案内をするものであり、
前記規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、前記規制の案内をしない、方法。
【請求項8】
コンピュータプログラムであって、情報処理装置に、
出発地から目的地までの経路を探索させるステップと、
車両の現在位置を表す現在位置情報を取得するステップと、
取得された前記現在位置に応じて、探索された前記経路を案内するステップと、
を実行させ、
前記案内するステップでは、
前記現在位置から導かれた進行中のリンクに、ノード通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、前記経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、前記規制の案内をするものであり、
前記規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、前記規制の案内をしない、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点における進行方向の規制を案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車線を有する大きな道路には、「右折専用」、「左折専用」、「直進専用」等、交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されており、指定された進行方向以外への通行が規制されている(以降「進行方向の規制」とも呼ぶ。)車線がある。このような進行方向の規制は、道路標識や路面に表示されている。しかし、自車両の前方を走行する他車両の車高や、道路の混雑状況等によっては、進行方向の規制の表示が視認できずに誤った車線を走行してしまうことがある。そして、誤った車線を走行し、交差点における進行方向の規制に従った結果、意図した方向とは異なる方向へ進まざるを得ない(例えば、右折専用車線を走行していたため、直進したいのに右折せざるを得ない)ことがある。例えば、特許文献1では、上述のように利用者が誤った車線を走行することを未然に防ぐために、経路と共に走行車線に関する案内をすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-137894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、経路(走行ルート)に基づく走行状態が交差点を所定方向に走行する場合であって、当該交差点に所定方向への走行を規制(禁止)する車線が設置されている際に、当該交差点にさしかかる以前に「走行可能な車線を走行しているか否か」を利用者に確認するための音声案内を行う。しかし、特許文献1に記載の技術では、一律に確認音声の発話が行われるため、例えば、右折を意図して右折専用車線を走行中においても、「右のレーンは右折専用です」などといった確認音声の発話がなされる。このため、確認音声が頻繁に発話されることとなり、利用者が確認音声を煩雑に感じる虞があった。なお、このような課題は、出発地から目的地までの経路案内と共に進行方向の規制を案内する技術に限らず、目的地を定めず走行(フリー走行)している場合において、進行方向の規制を案内する技術にも共通する課題であった。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、交差点における進行方向の規制を案内する技術において、利用者の使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。ナビゲーションシステムであって、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、車両の現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、前記現在位置取得部により取得された前記現在位置に応じて、前記経路探索部により探索された前記経路を案内する案内部と、を備え、前記案内部は、前記現在位置から導かれた進行中のリンクに、ノード通過時の進行方向の規制を有する車線であって当該車線の長さが所定の第2閾値よりも長い車線が含まれ、かつ、前記経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、前記規制の案内をするものであり、前記規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、前記規制の案内をしない、ナビゲーションシステム。そのほか、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、ナビゲーションシステムが提供される。このナビゲーションシステムは、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、車両の現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、前記現在位置取得部により取得された前記現在位置に応じて、前記経路探索部により探索された前記経路を案内する案内部と、を備え、前記案内部は、前記現在位置から導かれた進行中のリンクに、ノード通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、前記経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、前記規制の案内をする。
【0008】
この構成によれば、案内部は、現在位置から導かれた走行中のリンク(道路)に、ノード(交差点)通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、経路探索部により探索された経路において当該ノードを道なりに進行する場合に、進行方向の規制の案内をする。ここで、経路探索部により探索された経路は、利用者が意図する進行方向と同視できるため、案内部は、利用者が走行中の道路において進行方向の規制(例えば、右折専用、左折専用)のある車線が存在し、かつ、利用者が当該交差点を道なりに進行することを意図している場面において、進行方向の規制の案内をすることで、利用者に注意を喚起できる。また、案内部は、利用者が上述の交差点を右左折することを意図している場面においては、進行方向の規制の案内を行わないため、例えば、右折を意図して右折専用車線を走行中に「右のレーンは右折専用です」といった案内がされることを抑制でき、頻繁な案内により感じる煩わしさを低減できる。この結果、本構成によれば、交差点における進行方向の規制を案内可能なナビゲーションシステムにおいて、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0009】
(2)上記形態のナビゲーションシステムにおいて、前記案内部は、前記現在位置と前記ノードとの間の距離が所定の第1閾値以下となった場合に、前記規制の案内をしてもよい。この構成によれば、案内部は、現在位置とノード(交差点)との間の距離が所定の第1閾値となった場合に進行方向の規制の案内をする。このため、第1閾値を適切に定めることによって、案内部は、交差点の手前の適切な位置において進行方向の規制の案内をすることができる。
【0010】
(3)上記形態のナビゲーションシステムにおいて、前記案内部は、前記規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、前記規制の案内をしなくてもよい。この構成によれば、案内部は、規制を有する車線の長さが所定の第2閾値以下である場合、進行方向の規制の案内をしない。このため、第2閾値を適切に定めることによって、案内部は、短すぎる右左折専用車線について進行方向の規制の案内を省略することができるため、交差点の直前で規制の案内をすることによる危険運転の誘発(例えば、急な車線変更や、ふらつき運転)を抑制できると共に、利用者の使い勝手をより向上できる。
【0011】
(4)上記形態のナビゲーションシステムにおいて、前記案内部は、前記経路上の次ノードと、次々ノードとの間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、前記次ノードと前記次々ノードとについての前記規制の案内を同時に行ってもよい。この構成によれば、案内部は、経路上の次ノード(次の交差点)と、次々ノード(次の次の交差点)との間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、次ノードと次々ノードとについての進行方向の規制の案内を同時に行う。このため、第3閾値を適切に定めることによって、案内部は、連続する2つの交差点における進行方向の規制の案内をまとめて一時に実施できるため、頻繁な発話をより抑制し、利用者の使い勝手をより向上できる。
【0012】
(5)上記形態のナビゲーションシステムでは、さらに、地図画像を表す情報を記憶する地図情報記憶部を備え、前記案内部は、前記現在位置取得部により取得された前記現在位置を用いて、前記地図情報記憶部から前記現在位置周辺の前記地図画像を逐次取得し、前記現在位置と前記ノードとの間の距離が前記第1閾値となった地点における前記地図画像に欠落がある場合は、前記欠落のない地点まで前記規制の案内を延期してもよい。この構成によれば、案内部は、現在位置とノード(交差点)との間の距離が上記第1閾値となった地点における地図画像に欠落がある場合に、欠落のない地点に進むまで進行方向の規制の案内を延期する。このようにすれば、案内部が、例えばインターネット上にあるサーバから地図画像を逐次取得する構成において、通信上の問題等によって地図画像に欠落が生じた場合であっても、進行方向の規制の案内を実施できる。
【0013】
(6)上記形態のナビゲーションシステムにおいて、前記規制は、道なりに進行することを禁ずる旨の規制であってもよい。この構成によれば、案内部は、道なりに進行することを禁ずる旨の規制(例えば、右折専用、左折専用)を案内できる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、経路探索及び案内と、進行方向の規制の案内とを行う端末装置、サーバ装置、及びナビゲーションシステム、経路探索及び案内を行わずに進行方向の規制の案内をする端末装置、サーバ装置、及びナビゲーションシステム、これら各装置やシステムにおいて実行される方法、これら各装置やシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態としてのナビゲーションシステムの概略構成を示す図である。
図2】案内処理の手順を示すシーケンス図である。
図3】規制案内処理の手順を示すフローチャートである。
図4】規制案内処理の具体例を示す説明図である。
図5】規制案内処理の具体例を示す説明図である。
図6】規制案内処理の変形例を示す説明図である。
図7】規制案内処理の変形例を示す説明図である。
図8】規制案内処理の変形例を示す説明図である。
図9】規制案内処理の変形例を示す説明図である。
図10】地図情報欠落時の規制案内処理の一例を示す説明図である。
図11】地図情報欠落時の規制案内処理の一例を示す説明図である。
図12】規制案内処理の変形例を示す説明図である。
図13】第2実施形態のナビゲーションシステムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
<ナビゲーションシステムの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態としてのナビゲーションシステムの概略構成を示す図である。本実施形態のナビゲーションシステム1は、出発地から目的地までの経路の案内と共に、交差点における進行方向の規制を案内するシステムである。ここで、「進行方向の規制」とは、交差点において指定された進行方向に関する通行の区分(右折専用/左折専用/直進専用等)を意味する。進行方向の規制は、特に複数の車線を有する大きな道路においてなされることが多く、通常、道路標識や路面への表示によって示されている。
【0017】
本実施形態のナビゲーションシステム1は、交差点における進行方向の規制を事前に案内することによって、自車両の前方を走行する他車両の車高や、道路の混雑状況等によって進行方向の規制の表示を見落とし、誤った車線(意図しない進行方向へと通行を規制する車線)を走行することを抑制できる。なお、以降の実施形態では、進行方向の規制として、道なりに進行することを禁ずる旨の規制(例えば、右折専用車線/左折専用車線)を例示して説明する。
【0018】
ナビゲーションシステム1は、サーバ10と、端末装置30とを備えている。サーバ10は、有線通信によってインターネットINTに接続されている。端末装置30は、通信キャリアBSを介した無線通信によってインターネットINTに接続されている。通信キャリアBSには、送受信アンテナや、無線基地局、交換局が含まれる。すなわち、サーバ10と端末装置30とは、インターネットINTを介して相互に通信することができる。
【0019】
サーバ10は、端末装置30からの要求に応じて、出発地から目的地までの経路を探索する情報処理装置である。サーバ10は、CPU110と、通信部120と、ROM/RAM130と、記憶部140とを備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0020】
CPU110は、ROM130に格納されているコンピュータプログラムをRAM130に展開して実行することにより、サーバ10の各部を制御するほか、経路探索部112としても機能する。経路探索部112は、端末装置30と協働して後述の案内処理を実行する。
【0021】
通信部120は、他の装置との間における、図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。他の装置には、端末装置30のほか、図示しない他のサーバ等が含まれ得る。記憶部140は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。以降の説明では、データベースを単に「DB」とも呼ぶ。記憶部140は、地図情報DB142と、経路情報DB144とを含んでいる。地図情報DB142は、地図画像を表すデータを格納するデータベースである。地図画像を表すデータには、地形、建物、道路の形状等、地図表示のために必要な情報が含まれる。地図情報DB142は「地図情報記憶部」として機能する。
【0022】
経路情報DB144は、道路ネットワークデータが格納されたデータベースである。道路ネットワークデータには、交差点の位置や駅等のランドマークの位置を表す「ノード」に関するノード情報と、ノード間をつなぐ道路を表す「リンク」に関するリンク情報と、が含まれる。ノード情報には、ノードの位置情報、ノードの種類、ノードの名称、その他ノードの情報等が含まれる。リンク情報には、移動手段毎のリンクコスト(当該リンクが表す道路の平均移動時間)、リンクの種類、リンクの名称、リンクの状態、その他リンクの情報等が含まれる。また、本実施形態では、リンク情報内の各リンクに対して、車線の情報が関連付けて記憶されている。車線の情報には、車線数、各車線の長さ(車線長)、各車線における進行方向の規制の有無、及び進行方向の規制の内容(右折専用/左折専用/直進専用/Uターン可否等)が含まれる。
【0023】
端末装置30は、ナビゲーションシステム1の利用者に対して、出発地から目的地までの経路と、交差点における進行方向の規制とを案内する情報処理装置である。端末装置30は、例えば、図示するスマートフォンのほか、車載装置として構成してもよい。端末装置30は、CPU310と、通信部320と、ROM/RAM330と、記憶部340と、入出力部350と、現在位置取得部360とを備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0024】
CPU310は、ROM330に格納されているコンピュータプログラムをRAM330に展開して実行することにより端末装置30の各部を制御するほか、案内部312としても機能する。案内部312は、サーバ10と協働して後述の案内処理を実行する。
【0025】
通信部320は、サーバ10など他の装置との間における、図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。記憶部340は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。入出力部350は、端末装置30と利用者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出力部350としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、マイク、出力部としてのタッチパネル、液晶パネル、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)インジケータ等を採用できる。
【0026】
現在位置取得部360は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)やQZSS(Quasi-Zenith Satellite System/準天頂衛星システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信し、端末装置30の現在位置を表す現在位置情報(緯度および経度)を取得する。ここで、端末装置30は利用者が運転する車両に搭載されて使用されるため、現在位置取得部360により取得された現在位置は、利用者の現在位置及び自車両の現在位置と同視できる。
【0027】
<案内処理>
図2は、案内処理の手順を示すシーケンス図である。案内処理は、出発地から目的地までの経路の案内と共に、交差点における進行方向の規制を案内する処理であり、サーバ10と端末装置30とが協働して実現される。案内処理は、任意のタイミングで実行され得る。例えば、案内処理は、端末装置30に搭載されている所定のアプリケーションが起動している場合に実行されてよい。
【0028】
まず、ステップS102において、端末装置30の案内部312は、サーバ10に経路探索要求を送信する。経路探索要求には、利用者から取得された出発地と、目的地とが含まれている。なお、端末装置30は、利用者から出発地を取得することに代えて、所定の規定値(例えば、現在位置取得部360により取得された現在位置)を出発地としてもよい。ステップS104において、サーバ10の経路探索部112は、指定された出発地から目的地までの経路を探索する。経路の探索は、経路情報DB144に記憶された道路ネットワークデータを用いて、例えば周知のダイクストラ法に基づき実施できる。
【0029】
ステップS106において、サーバ10の経路探索部112は、ステップS104で探索した経路についての全経路情報を端末装置30へ送信する。ここで、「全経路情報」とは、指定された出発地から目的地までの経路情報の全てを意味する。全経路情報には、出発地から目的地までの経路に含まれる各リンクについての車線の情報(車線数、車線長、進行方向の規制の有無、進行方向の規制の内容)が含まれている。ステップS108において、端末装置30の案内部312は、サーバ10から取得した全経路情報を、記憶部140又はROM/RAM330内の記憶領域に記憶させる。
【0030】
ステップS110において、端末装置30の案内部312は、現在位置取得部360により現在位置を取得する。ステップS112において案内部312は、サーバ10に地図情報取得要求を送信する。地図情報取得要求には、ステップS110において取得された自車両の現在位置が含まれている。
【0031】
ステップS114において、サーバ10の経路探索部112は、ステップS112で指定された現在位置周辺(例えば、現在位置を中心とした所定範囲内)の地図情報を地図情報DB142から取得し、端末装置30へ送信する。ステップS116において、端末装置30の案内部312は、サーバ10から取得した地図情報を、記憶部140又はROM/RAM330内の記憶領域に記憶させる。
【0032】
ステップS118において、端末装置30の案内部312は、ステップS110で取得した現在位置(自車両の現在位置)を、ステップS108で記憶した経路上の位置と、ステップS116で記憶した地図上の位置と、のそれぞれにマッピング(対応付け)する。これにより、現在、経路上のどのリンク(地点)に自車両が存在するかが判別できる。
【0033】
ステップS200において、端末装置30の案内部312は、規制案内処理を行う。規制案内処理の詳細は、図3において後述する。ステップS300において、案内部312は、経路案内処理を行う。経路案内処理は、ステップS108で記憶した経路情報及びステップS116で記憶した地図情報を用いて、地図上に経路を重畳表示させ、現在位置取得部360により取得された現在位置に応じた経路の案内を行う周知の処理である。なお、案内部312は、ステップS200の規制案内処理と、ステップS300の経路案内処理とを並列にて処理する。
【0034】
ステップS400において、端末装置30の案内部312は、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件は任意に定めることができ、例えば、案内が目的地まで終了した場合や、利用者からの案内終了の操作を取得した場合等を終了条件とできる。終了条件が成立した場合(ステップS400:YES)、案内部312は、案内処理を終了する。一方、終了条件が成立していない場合(ステップS400:NO)、案内部312は、規制案内処理をステップS110へ遷移させ、新たな現在位置(ステップS110)にて、上述の処理を繰り返す。
【0035】
<規制案内処理>
図3は、規制案内処理の手順を示すフローチャートである。規制案内処理は、交差点における進行方向の規制を案内する処理であり、案内処理(図2)のステップS200において、端末装置30の案内部312により実行される処理である。なお、以降の規制案内処理において、「経路」及び「経路情報」とは、案内処理のステップS108において取得、記憶した経路情報を意味する。また、「地図」及び「地図情報」とは、案内処理のステップS116において取得、記憶した地図情報を意味する。また、以降の規制案内処理では、進行方向の規制として、道なりに進行することを禁ずる旨の規制(右左折専用車線)を例示して説明する。
【0036】
ステップS202において案内部312は、経路情報から、経路上の次ノード(次のノード、次の交差点)を抽出する。ステップS204において案内部312は、抽出した次ノードへの右左折専用車線があるか否かを判定する。具体的には、案内部312は、案内処理(図2)のステップS118において導かれた現在進行中のリンクに、抽出した次ノード通過時の右左折専用車線があるか否かを判定する。右左折専用車線がない場合(ステップS204:NO)、案内部312は処理をステップS214へ遷移させる。右左折専用車線がある場合(ステップS204:YES)、案内部312は処理をステップS206へ遷移させる。
【0037】
ステップS206において案内部312は、現在位置取得部360により現在位置を取得する。ステップS208において案内部312は、取得された現在位置と、ステップS202で抽出した次ノードとの間の距離が、予め定められた第1閾値Th1以下であるか否かを判定する。第1閾値Th1以下でない場合(ステップS208:NO)、案内部312は処理をステップS206へ遷移させ、現在位置の取得と、距離の判定とを繰り返す。第1閾値Th1以下である場合(ステップS208:YES)、案内部312は処理をステップS210へ遷移させる。
【0038】
ステップS210において案内部312は、経路上、ステップS202で抽出した次ノードを道なりに進行するか否かを判定する。道なりに進行しない場合、換言すれば、次ノードを右左折する場合(ステップS210:NO)、案内部312は処理をステップS214へ遷移させる。道なりに進行する場合(ステップS210:YES)、案内部312は処理をステップS212へ遷移させる。
【0039】
ステップS212において案内部312は、右左折専用車線の案内(すなわち、進行方向の規制の案内)を行う。右左折専用車線の案内は、任意の態様で実施できる。例えば、案内部312は、「右折(左折)専用車線があります」との音声発話を行ってもよい。案内部312は、タッチパネルや液晶画面に行われている経路表示に対して、右折(左折)専用車線を表す文字やアイコン等の画像表示を行ってもよい。案内部312は、音声発話と画像表示との両方を実施してもよい。
【0040】
ステップS214において案内部312は、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件は任意に定めることができ、例えば、案内処理(図2)のステップS116において取得、記憶した地図情報の終端が近づいた場合や、利用者からの案内終了の操作を取得した場合等を終了条件とできる。地図情報の終端によって規制案内処理を終了した場合、案内部312は、処理を案内処理のステップS110に遷移させ、新たな現在位置を取得し、新たな現在位置を用いた地図情報の取得、マッピング、規制案内処理、及び経路案内処理を継続する。一方、利用者からの案内終了の操作によって規制案内処理を終了した場合、案内部312は、規制案内処理及び案内処理を終了させる(図2、ステップS400:YES)。
【0041】
図4は、規制案内処理の具体例を示す説明図である。図4(A)は、次ノードを道なりに進む場合を図示している。図示のように、現在位置PLから導かれた進行中のリンクL1に、次ノードN1通過時の進行方向の規制を有する車線(右側:右折専用車線)が含まれ、かつ、経路RTにおいてノードN1を道なりに進行する場合、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になった時点で、案内部312は、案内MGを行う。
【0042】
図4(B)は、次ノードを右折する場合を図示している。図示のように、現在位置PLから導かれた進行中のリンクL1に、次ノードN1通過時の進行方向の規制を有する車線(右側:右折専用車線)が含まれる場合であっても、経路RTにおいてノードN1を右折する(道なりに進行しない)場合は、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になっても、案内MGは行われない。
【0043】
図5は、規制案内処理の具体例を示す説明図である。図5(A)は、次ノードを右折する場合を図示している。図4(B)と同様に、現在位置PLから導かれた進行中のリンクL1に、次ノードN1通過時の進行方向の規制を有する車線(右側:右折専用車線)が含まれる場合であっても、経路RTにおいてノードN1を右折する(道なりに進行しない)場合は、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になっても、案内MGは行われない。
【0044】
図5(B)は、次々ノードを右折する場合を図示している。現在位置PLから導かれた進行中のリンクL1に、次ノードN1通過時の進行方向の規制を有する車線(右側:右折専用車線)が含まれ、かつ、経路RTにおいてノードN1を道なりに進行する場合は、次々ノード(次の次のノード)N2を右折する場合であっても、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になった時点で、案内部312は、案内MGを行う。
【0045】
このように、上記実施形態のナビゲーションシステム1によれば、端末装置30の案内部312は、現在位置PLから導かれた走行中のリンクL1(道路L1)に、ノードN1(交差点N1)通過時の進行方向の規制を有する車線が含まれ、かつ、サーバ10の経路探索部112により探索された経路RTにおいて当該ノードN1を道なりに進行する場合に、進行方向の規制の案内MGをする。ここで、経路探索部112により探索された経路RTは、利用者が意図する進行方向と同視できるため、案内部312は、利用者が走行中の道路L1において進行方向の規制(例えば、右折専用、左折専用)のある車線が存在し、かつ、利用者が当該交差点N1を道なりに進行することを意図している場面において、進行方向の規制の案内MGをすることで、利用者に注意を喚起できる(図4(A)、図5(B))。
【0046】
また、案内部312は、利用者が上述の交差点N1を右左折することを意図している場面においては、進行方向の規制の案内MGを行わないため、例えば、右折を意図して右折専用車線を走行中に「右のレーンは右折専用です」といった案内がされることを抑制でき、頻繁な案内により感じる煩わしさを低減できる(図4(B)、図5(A))。この結果、本実施形態のナビゲーションシステム1によれば、交差点における進行方向の規制を案内可能なナビゲーションシステム1において、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0047】
また、上記実施形態のナビゲーションシステム1によれば、端末装置30の案内部312は、現在位置PLとノードN1(交差点N1)との間の距離が、所定の第1閾値Th1となった場合に進行方向の規制の案内MGをする。このため、第1閾値Th1を適切に定めることによって、案内部312は、交差点N1の手前の適切な位置において進行方向の規制の案内MGをすることができる。なお、第1閾値Th1を用いた案内タイミングの調整(図3:ステップS206、S208)は、省略してもよい。
【0048】
<規制案内処理の変形>
なお、図3図5で説明した規制案内処理は、種々の変形が可能であり、例えば、以下のような態様を採用することもできる。
【0049】
図6は、規制案内処理の変形例を示す説明図である。案内部312は、図6(A)~(C)で説明する各右側車線についても「右折専用車線」とみなして規制案内処理を行ってもよい。この場合、図6(A)~(C)の各右側車線は、経路情報DB144においてリンクL1に対応付けて記憶されている車線の情報に、進行方向の規制の有無:あり、進行方向の規制の内容:右折専用、と設定されている。
【0050】
図6(A)では、リンクL1には、次ノードN1を直進方向に脱出(分岐)する2つの車線が含まれている。左側車線はノードN1を左側のリンクL2へ脱出するための車線であり、右側車線はノードN1を右側のリンクL3へ脱出するための車線である。このような場合に、案内部312は、右側車線を右折専用車線とみなして規制案内処理を行ってもよい。図6(B)では、リンクL1には、次ノードN1を直進方向に脱出する左側車線と、ノードN1を斜め右方向に脱出する右側車線とが含まれている。このような場合に、案内部312は、右側車線を右折専用車線とみなして規制案内処理を行ってもよい。
【0051】
図6(C)では、リンクL1には、次ノードN1を斜め右方向に脱出する2つの車線が含まれている。左側車線は、ノードN1を左側のリンクL2へ脱出するための車線であり、右側車線はノードN1を右側のリンクL3へ脱出するための車線である。右側車線の脱出方位の角度は51度であり、左側車線の脱出方位の角度(50度)よりも大きい。このような場合に、案内部312は、右側車線を右折専用車線とみなして規制案内処理を行ってもよい。
【0052】
なお、図6では、右折専用車線について例示したが、左折専用車線についても同様に実施できる。この場合、例えば案内部312は、脱出方向が斜め右方向より右側にある場合に右折専用車線とみなし、脱出方向が斜め左方向よりも左側にある場合に左折専用車線とみなしてもよい。また、案内部312は、Uターン車線についても進行方向の規制を有する車線として扱ってよい。Uターン車線については、例えば、脱出方位の角度が180度以下である場合、右折専用車線とみなし、脱出方位の角度が180度より大きい場合は左折専用車線とみなしてもよい。端末装置30の案内部312は、種々の態様で右左折専用車線が設定されているリンク及びノードについて、規制案内処理を実施できる。
【0053】
図7は、規制案内処理の変形例を示す説明図である。案内部312は、進行方向の規制を有する車線の長さが短い場合は、進行方向の規制の案内MGをしなくてもよい。この場合、案内部312は、例えば、規制案内処理のステップS210の後に、経路情報DB144においてリンクL1に対応付けて記憶されている車線の情報に含まれる車線長が、予め定められた第2閾値Th2以下であるか否かを判定し、第2閾値Th2以下である場合に処理をステップS214へ遷移させればよい。
【0054】
図7(A)では、進行方向の規制を有する車線(右折専用車線)の車線長が第2閾値Th2より長い。この場合、図4(A)と同様に、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になった時点で、案内部312は、案内MGを行う。図7(B)では、進行方向の規制を有する車線(右折専用車線)の車線長が第2閾値Th2以下である。この場合、案内部312は、ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下になっても、案内MGを行わない。
【0055】
図8は、規制案内処理の変形例を示す説明図である。図8では、経路RT上の次ノードN1に至るリンクL1について、進行方向の規制を有する車線(右折専用車線)の車線長が第2閾値Th2以下である。一方、経路RT上の次々ノードN2に至るリンクL2について、進行方向の規制を有する車線(右折専用車線)の車線長は第2閾値Th2より長い。この場合、案内部312は、ノードN1についての案内MGは行わず、ノードN2からの距離が第1閾値Th1以下になった際に、ノードN2についての案内MGを行う。
【0056】
このようにすれば、端末装置30の案内部312は、規制を有する車線の長さ(車線長)が所定の第2閾値Th2以下である場合、進行方向の規制の案内MGをしない。このため、第2閾値Th2を適切に定めることによって、案内部312は、短すぎる右左折専用車線について進行方向の規制の案内MGを省略することができるため、交差点N1(ノードN1)の直前で規制の案内MGをすることによる危険運転の誘発(例えば、急な車線変更や、ふらつき運転)を抑制できると共に、利用者の使い勝手をより向上できる。
【0057】
図9は、規制案内処理の変形例を示す説明図である。図9(A)は、右折専用車線の案内と左折専用車線の案内を同時に実施する場合を例示する。案内部312は、1つのノードN1に繋がるリンクL1に、進行方向の規制を有する車線が複数存在する場合(図の場合、右折専用車線及び左折専用車線)、これら複数の規制について一時に案内してもよい。
【0058】
図9(B)は、連続したノードN1,N2についての進行方向の規制の案内を同時に実施する場合を例示する。案内部312は、経路上の次ノードN1と、次々ノードN2との間の距離が短い場合は、次ノードN1についての進行方向の規制の案内MGと、次々ノードN2についての進行方向の規制の案内MGとを一時に実施してもよい。この場合、案内部312は、例えば、規制案内処理のステップS210の後に、経路情報DB144において次々リンクL2に対応付けて記憶されている車線の情報に含まれる車線長が、予め定められた第3閾値Th3以下であるか否かを判定し、第3閾値Th3以下である場合に、次々ノードN2についてステップS202~S210の処理を繰り返して実施し、次々ノードN2についての案内要否を判定すればよい。
【0059】
このようにすれば、端末装置30の案内部312は、経路RT上の次ノードN1(次の交差点N1)と、次々ノードN2(次の次の交差点N2)との間の距離が所定の第3閾値Th3以下である場合に、次ノードN1と次々ノードN2とについての進行方向の規制の案内MGを同時に行う。このため、第3閾値Th3を適切に定めることによって、案内部312は、連続する2つの交差点における進行方向の規制の案内MGをまとめて一時に実施できるため、頻繁な発話をより抑制し、利用者の使い勝手をより向上できる。
【0060】
図10及び図11は、地図情報欠落時の規制案内処理の一例を示す説明図である。端末装置30の案内部312は、案内処理(図2)のステップS116において、サーバ10から地図情報を取得し、記憶する。この地図情報には、地図情報そのものの不備や、通信状況に起因して、欠落(データの少なくとも一部が足りない状態)が生じることがある。このような場合に、案内部312は、図10及び図11で説明する処理を実施してもよい。
【0061】
図10(A)では、次ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下となった地点(時刻t0における現在位置PL)における地図情報(地図画像)に欠落がある。このような場合、案内部312は、地図情報に欠落のない地点(時刻t1における現在位置PL)まで、進行方向の規制の案内MGを延期する。図10(B)では、次ノードN1(図示省略)からの距離が第1閾値Th1以下となった地点(時刻t0における現在位置PL)における地図情報に欠落がある。また、次々ノードN2からの距離が第1閾値Th1以下となった地点(時刻t1における現在位置PL)における地図情報も欠落している。このような場合、案内部312は、地図情報に欠落のない地点(時刻t2における現在位置PL)まで、進行方向の規制の案内MGを延期する。なお、時刻t2において実施される案内MGでは、今から通過する次々ノードN2についての案内MGを行い、既に通過済みの次ノードN1についての案内MGは実施しないことが好ましい。
【0062】
図11(A)では、次ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下となった地点(時刻t0における現在位置PL)における地図情報には欠落がない。このような場合、案内部312は、それ以降の地図情報に欠落がある場合であっても、次ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下となった時点で進行方向の規制の案内MGを行う。図11(B)では、次ノードN1からの距離が第1閾値Th1以下となった地点(時刻t0における現在位置PL)から次ノードN1通過後の地点に亘って、地図情報が欠落している。このような場合、案内部312は、進行方向の規制の案内MGを行わない。具体的には、案内部312は、進行方向の規制の案内MGを延期後、次ノードN1の通過をもって中止する。
【0063】
このようにすれば、端末装置30の案内部312は、現在位置PLとノードN1(交差点N1)との間の距離が上記第1閾値Th1となった地点における地図画像に欠落がある場合に、欠落のない地点に進むまで進行方向の規制の案内MGを延期する。このようにすれば、案内処理(図2)で例示したように、案内部312が、例えばインターネットINT上にあるサーバ10から地図画像を逐次取得する構成において、通信上の問題等によって地図画像に欠落が生じた場合であっても、進行方向の規制の案内MGを実施できる。
【0064】
図12は、規制案内処理の変形例を示す説明図である。案内部312は、図12において示す態様で進行方向の規制の案内MGを実施してもよい。なお、図12において、「項番」は各例を識別するために付した番号である。「説明図」欄のうち、白抜き矢印は、次ノードN1に至るリンクL1における車線の情報(進行方向の規制の内容)を表し、黒矢印は、経路RTを表す。「経路案内あり」欄は、図2で説明したように、サーバ10の経路探索部112により探索された経路RTを用いて規制案内処理を実施する場合の案内MGの一例を示す。「経路案内なし」欄は、経路探索部112により探索された経路RTを用いずに規制案内処理を実施する場合の案内MGの一例を示す。
【0065】
ここで、経路探索部112により探索された経路RTを用いない場合、案内部312は、以下のa1~a3のいずれかを「推定経路」として、経路探索部112により探索された経路RTと同様に取り扱うことで規制案内処理を実施できる。
(a1)過去に走行した走行履歴から、現在位置に応じて選択された一の走行履歴。
(a2)現在位置に至るまでの走行軌跡(ベクトルの動き)から推定した今後の走行軌跡。
(a3)現在位置と道路ネットワークデータとから推定した今後の走行経路。
【0066】
B.第2実施形態:
図13は、第2実施形態のナビゲーションシステム1aの概略構成を示す図である。第2実施形態のナビゲーションシステム1aは、端末装置30aにより構成されている。端末装置30aは、CPU310に経路探索部314を備え、記憶部340に地図情報DB342及び経路情報DB344を備えている。経路探索部314は、第1実施形態で説明したサーバ10の経路探索部112と同様の機能を有する。地図情報DB342及び経路情報DB344は、第1実施形態で説明したサーバ10の地図情報DB142及び経路情報DB144と同様の構成を有する。このようにすれば、サーバ10と通信しないスタンドアロンの構成で、ナビゲーションシステム1aを実現できる。なお、端末装置30aは、経路探索部314を有する一方で、地図情報と経路情報との少なくとも一方は、外部のサーバより取得することで、地図情報DB342及び経路情報DB344を備えない構成としてもよい。
【0067】
C.変形例:
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。その他、以下のような変形も可能である。
【0068】
・変形例1:
上記実施形態では、ナビゲーションシステム1の構成の一例を示した。しかし、ナビゲーションシステム1の構成は任意の態様を採用できる。例えば、サーバ10は、複数のサーバ装置により構成されたクラウドサーバであってもよい。例えば、端末装置30は、図1で例示したスマートフォンのほかにも、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション専用装置、ゲーム機、ウェアラブルデバイス等の種々の装置を採用できる。
【0069】
・変形例2:
上記実施形態では、案内処理(図2)及び規制案内処理(図3)について、処理手順の一例を挙げて説明した。しかし、これらの処理手順は種々の変更が可能であり、各ステップにおける処理内容の追加、省略、変更をしてもよく、各ステップの実行順序を変更してもよい。
【0070】
例えば、案内処理において案内部312は、ステップS108で取得した出発地から目的地までの経路に対応した全ての地図情報を一時に取得してもよい。例えば、案内処理において案内部312は、ステップS108で取得した経路情報や、ステップS116で取得した地図情報に欠落がある場合に、サーバ10に対して経路情報や地図情報の再送を求めてもよい。
【0071】
例えば、規制案内処理において案内部312は、「次ノード」に代えて、経路上において所定数先に通過予定の任意のノードについて、進行方向の規制の案内を実施してもよい。例えば、規制案内処理において案内部312は、第1~3閾値Th1~3のうちの少なくともいずれかを、走行中のリンクL1の大きさや種別(一般道路/高速道路)に応じて変更してもよい。案内部312は、第1~3閾値Th1~3のうちの少なくともいずれか、又は、進行方向の規制の案内MGの態様(音声/表示/発話又は表示パターン)を、利用者によって設定又は変更可能としてもよい。また、案内部312は、第1~3閾値Th1~3のうちの少なくともいずれかを、サーバ10から逐次取得してもよい。
【0072】
・変形例3:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,1a…ナビゲーションシステム
10…サーバ
30,30a…端末装置
110…CPU
112…経路探索部
120…通信部
130…ROM/RAM
140…記憶部
310…CPU
312…案内部
314…経路探索部
320…通信部
330…ROM/RAM
340…記憶部
350…入出力部
360…現在位置取得部
142…地図情報DB
144…経路情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13