(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20220825BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20220825BHJP
H01Q 9/42 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q1/24 Z
H01Q1/50
H01Q9/42
(21)【出願番号】P 2018246863
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】宮野 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】成田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】武田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 文仁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛司
(72)【発明者】
【氏名】石川 則之
(72)【発明者】
【氏名】莊司 研
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-071567(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047440(WO,A1)
【文献】特開2003-085523(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00932219(EP,A2)
【文献】特開2013-179694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/38
H01Q 1/24
H01Q 1/50
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のケースの内部に、電子部品が実装された回路基板と、外部との通信のためのアンテナ
素子と、が収納されているアンテナ装置において、
前記ケースの内部に、少なくとも一方向において前記回路基板の対向する一対の辺の距離よりも幅寸法が大きく、前記回路基板の板厚方向である高さ方向の寸法が、前記回路基板の板厚寸法よりも大きい合成樹脂製の内側部材が設
けられ、
前記回路基板が前記内側部材に支持され、前記内側部材に
前記アンテナ素子が固定され
ており、
前記アンテナ素子の素子表面が、前記回路基板の基板表面と交差する方向に向けられて、前記回路基板が、前記素子表面の高さ方向の寸法の範囲内に位置していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記回路基板は、前記内側部材の高さ方向の寸法の範囲内で、前記内側部材に収納されている請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、前記内側部材の高さ方向に延びる外側面に固定されている請求項
1または2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、前記回路基板の基板表面と平行な接合部を有し、前記基板表面に電極部が設けられており、前記接合部を前記電極部に圧接させる圧接機構が設けられている請求項
1ないし3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記圧接機構は、前記接合部と前記電極部を通過して、前記回路基板の一部と前記ケースの一部とを締結するねじ部材である
請求項4記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記内側部材に高さ方向に向けて窪む凹部と高さ方向に貫通する穴部の少なくとも一方が形成されており、前記回路基板に実装された前記電子部品が、前記凹部と前記穴部の少なくとも一方の内部に位置している請求項
1ないし5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記ケースの内部では、複数の内側部材によって、前記回路基板が高さ方向の上下から挟まれている請求項
1ないし6のいずれかに記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車載用として使用されるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にキーレスエントリー受信機に関する発明が記載されている。
このキーレスエントリー受信機は、共に合成樹脂材料で形成された上ケースと下ケースを有し、上ケースの内壁面に所定パターンを有するアンテナが一体に形成されている。上ケースと下ケースの内部にプリント基板が収納されており、プリント基板の表面に電極が設けられ、アンテナの端部と電極とが接触して導通している。
【0003】
特許文献2にルーフモジュールに関する発明が記載されている。
このルーフモジュールは、筐体を構成するベースとカバーが合成樹脂材料で形成されており、筐体の内部に、アンテナと金属パネルおよびモジュール基板が収納されている。アンテナは平面アンテナであり、絶縁基板の表面に印刷回路体によってアンテナパターンが形成されたものである。モジュール基板には電子部品が実装されている。金属パネルは、銀、銅、アルミニウムなどの板であり、アンテナとモジュール基板との間に設けられて、シールド効果を発揮する。
【0004】
特許文献3にアンテナシステムに関する発明が記載されている。
このアンテナシステムは、基板の上面に送受信機を構成する電子部品が実装されている。基板の上に電子部品を覆う保護部材が設置されており、保護部材の外面にアンテナが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-45625号公報
【文献】特開2017-200086号公報
【文献】特許第6365676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたキーレスエントリー受信機は、上ケースの内壁面にアンテナが一体に形成された構造であるため、上ケースの構造が複雑になり上ケースの製造コストが高くなる。また、プリント基板は、合成樹脂材料で形成された上ケースと下ケースの内部に収納された構造であるため、全体として強度が低く、大きな外力で内部の回路が破壊されやすい欠点がある。
【0007】
特許文献2に記載されたルーフモジュールは、筐体の内部に、アンテナと金属パネルおよびモジュール基板がそれぞれ独立した部品として収納されているため、全体に部品点数が多くなる。また筐体が合成樹脂材料で形成されて強度が低く、筐体の内部に位置するアンテナも、絶縁基板の表面にアンテナパターンが形成された平面アンテナであるために強度が低くなっている。そのため、全体として強度が低く、例えばTCU(Telematics Control Unit)などの緊急通報システムとして使用したときに、車両事故発生時に平面アンテナと内部回路が破損するおそれがある。
【0008】
特許文献3にアンテナシステムは、保護部材の外面にアンテナが形成された構造であるため、外力によってアンテナが損傷しやすく、緊急通報システムなどに使用するのが難しい。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、全体として強度を高くでき、アンテナの支持部の強度も高くすることでき、組立も容易に行うことができるアンテナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、合成樹脂製のケースの内部に、電子部品が実装された回路基板と、外部との通信のためのアンテナ素子と、が収納されているアンテナ装置において、
前記ケースの内部に、少なくとも一方向において前記回路基板の対向する一対の辺の距離よりも幅寸法が大きく、前記回路基板の板厚方向である高さ方向の寸法が、前記回路基板の板厚寸法よりも大きい合成樹脂製の内側部材が設けられ、
前記回路基板が前記内側部材に支持され、前記内側部材に前記アンテナ素子が固定されており、
前記アンテナ素子の素子表面が、前記回路基板の基板表面と交差する方向に向けられて、前記回路基板が、前記素子表面の高さ方向の寸法の範囲内に位置していることを特徴とするものである。
【0011】
本発明のアンテナ装置は、前記回路基板が、前記内側部材の高さ方向の寸法の範囲内で、前記内側部材に収納されていることが好ましい。
【0013】
本発明のアンテナ装置は、前記アンテナ素子が、前記内側部材の高さ方向に延びる外側面に固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明のアンテナ装置は、前記アンテナ素子が、前記回路基板の基板表面と平行な接合部を有し、前記基板表面に電極部が設けられており、前記接合部を前記電極部に圧接させる圧接機構が設けられているものとして構成できる。
【0015】
本発明のアンテナ装置は、例えば、前記圧接機構が、前記接合部と前記電極部を通過して、前記回路基板の一部と前記ケースの一部とを締結するねじ部材である。
【0016】
本発明のアンテナ装置は、前記内側部材に高さ方向に向けて窪む凹部と高さ方向に貫通する穴部の少なくとも一方が形成されており、前記回路基板に実装された前記電子部品が、前記凹部と前記穴部の少なくとも一方の内部に位置しているものである。
【0017】
本発明のアンテナ装置は、前記ケースの内部で、複数の内側部材によって、前記回路基板が高さ方向の上下から挟まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のアンテナ装置は、少なくとも一方向において回路基板よりも幅寸法が大きく且つ回路基板の板厚寸法よりも高さ寸法が大きい内側部材が設けられ、回路基板が内側部材に支持されているため、外力が作用したときに、回路基板を保護することができる。また、アンテナ素子が、内側部材に固定されているため、内側部材の強度を高めておくことによって、アンテナの固定強度も高めることができる。本発明は、内側部材が回路基板を支持する保護部材または補強部材として機能し、さらにアンテナ支持体として機能しているため、部品数を少なくでき、組立作業も容易である。
【0019】
特に、アンテナ素子を内側部材の外側面に固定するなどして、回路基板をアンテナ素子の高さ方向の寸法の範囲内に配置することで、内側部材で十分な強度を確保し、さらにアンテナ装置を薄型に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態のアンテナ装置の全体構造を示す斜視図、
【
図3】
図1に示すアンテナ装置をIII-III線で切断した断面図、
【
図4】
図1に示すアンテナ装置をIV-IV線で切断した断面図、
【
図5】
図2に示すアンテナ装置のV矢視部分を拡大して示す拡大分解斜視図、
【
図6】
図2に示すV矢視部分の構成部材の一部を示す部分拡大斜視図、
【
図7】
図2に示すV矢視部分において、回路基板とアンテナ素子以外の構成部材を省略した拡大分解斜視図、
【
図8】
図5に示すアンテナ装置をVIII-VIII線で切断した切断分解斜視図、
【
図9】アンテナ装置が組み立てられた状態をVIII-VIII線を含む面で切断した切断面を示す断面図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明の実施形態のアンテナ装置1が示されている。
図2に示すように、アンテナ装置1は、電子部品が実装された回路基板10と複数のアンテナ素子20を内蔵している。
実施形態のアンテナ装置1は、回路基板10に実装された電子部品とアンテナ素子20とで通信装置が構成されており、アンテナ装置1で単独に外部と通信することが可能である。あるいは本発明のアンテナ装置1は、単独で通信装置を構成せずに、別個に設けられた通信装置と連携して外部と通信するものであってもよい。
【0022】
実施形態のアンテナ装置1は車載用であり、複数のアンテナ素子20を使用して、ワイヤレスWAN、ワイヤレスLAN、衛星測位システム、携帯電話用の無線通信、衛星通信などの各種通信が行われる。また、回路基板10にTCU(Telematics Control Unit)やeCallなどの緊急通報システムが搭載されている。そのため、車両事故などによって外力や衝撃が与えられたときに損傷しない強度が求められる。
【0023】
アンテナ装置1は、直交座標においてZ方向が高さ方向、X方向が横幅方向、Y方向が縦幅方向である。
図1に示すように、アンテナ装置1はケース2を有している。ケース2は、横幅方向(X方向)および縦幅方向(Y方向)の寸法が高さ方向(Z方向)の寸法よりも大きく、縦幅方向(Y方向)の寸法が、横幅方向(X方向)の寸法よりも大きい。
図2に示すように、ケース2は、上部ケース3と下部ケース4を有しており、両ケース3,4はいずれも合成樹脂製である。
【0024】
図3と
図4の断面図に示すように、上部ケース3は立方体の箱形状で内部に収納空間5を有している。下部ケース4は、上部ケース3の収納空間5の下部に入り込むようにして、上部ケース3と下部ケース4とが組み合わされる。
図2に示すように、下部ケース4には複数か所に固定穴4bが開口し、回路基板10には、前記固定穴4bに対応する位置に貫通穴10bが形成されている。
図3に示すように、上部ケース3の内部では、収納空間5に向けて下向きに突出する複数の固定ボス3bが一体に形成されている。
図3に示すように、収納空間5の内部において、回路基板10が、下部ケース4と固定ボス3bの間に挟まれ、固定ねじ6が、下部ケース4の固定穴4bに挿入され、この固定ねじ6が回路基板10の貫通穴10bを通過し、上部ケース3の固定ボス3bに形成された雌ねじ穴3cに螺着される。これにより、回路基板10は上部ケース3と下部ケース4とで挟まれて収納空間5の内部に固定される。
【0025】
図2に示すように、上部ケース3の4か所の角部に固定用突出部3aが一体に形成され、下部ケース4の4か所の角部にも固定用突出部4aが一体に形成されている。上部ケース3の固定用突出部3aの内部構造は下方に開口部が向けられた凹部となっており、
図1と
図3および
図4に示すように、上部ケース3と下部ケース4とが組み合わされて互いに固定されたときに、下部ケース4の固定用突出部4aが上部ケース3の固定用突出部3aの凹部内に嵌め込まれる。この固定用突出部3a,4aが車体の一部にねじ止めされるなどして、アンテナ装置1が車両に搭載される。
【0026】
図2に示すように、回路基板10の図示上向きの上面には、大型の電子部品11,12や小型の電子部品13が複数実装されている。また回路基板10にはコネクタ14が固定されている。上部ケース3の1つの側面には切欠き部3gが形成されており、
図1に示すように、回路基板10がケース2の内部に収納されると、コネクタ14が切欠き部3gから外部に向けて突出する。
【0027】
図2に示すように、回路基板10と上部ケース3の天井部との間に内側部材30が収納されている。内側部材30は合成樹脂製である。ケース2の内部に収納される各種電子部品からの発せられる熱をケース2の外部に効果的に放出できるように、内側部材30とケース2は、空気よりも熱伝導率の高い合成樹脂材料で形成されることが好ましい。例えば、内側部材30とケース2はエポキシ系樹脂材料で形成される。
【0028】
図3と
図4に示すように、内側部材30は、上部ケース3の収納空間5に収納されて、上部ケース3の天井部と回路基板10とに挟まれている。
図2に示すように、内側部材30には、複数か所に高さ方向(Z方向)に貫通する嵌合穴30aが形成されている。上部ケース3には、収納空間5に向けて下向きに突出する
図3に示した複数の前記固定ボス3bと、さらに
図4に示す複数の固定ボス3dが一体に形成されており、それぞれの固定ボス3b,3dが嵌合穴30aに挿入されて、内側部材30が上部ケース3の内部に位置決めされて収納されている。
【0029】
図3に示すように、内側部材30の高さ方向(Z方向)の寸法Hは、回路基板10の高さ方向(Z方向)での板厚寸法よりも十分に大きく、回路基板10は、内側部材30の高さ寸法Hの範囲内に収納されている。
図3に示すように、回路基板10の横幅方向(X方向)で対向する一対の辺17,17の距離X10よりも、内側部材30の横幅方向(X方向)の幅寸法X30の方が大きく、
図4に示すように、回路基板10の縦幅方向(Y方向)で対向する一対の辺18,18の距離Y10よりも、内側部材30の縦幅方向(Y方向)の幅寸法Y30の方が大きくなっている。本発明では、幅寸法X30とY30の少なくとも一方が、距離X10または距離Y10よりも大きい。すなわち、少なくとも一方向において、回路基板10の対向する一対の辺の距離よりも内側部材30の同方向での幅寸法が大きくなっている。
【0030】
図2および
図3と
図4に示すように、内側部材30に高さ方向に貫通する穴部31と、下方に向けて解放された凹部32とが形成されている。アンテナ装置1が組み立てられた状態では、回路基板10に実装された大型の電子部品11,12が穴部31の内部に収納され、回路基板10に実装された小型の電子部品13が凹部32の内部に収められている。本発明では、内側部材30に、穴部31と凹部32の少なくとも一方が形成され、穴部31または凹部32の内部に電子部品が位置して、電子部品が内側部材30によって保護される。すなわち、内側部材30に高さ方向に向けて窪む凹部32と高さ方向に貫通する穴部31の少なくとも一方が形成され、回路基板10に実装された電子部品が、凹部と前記穴部の少なくとも一方の内部に位置している構造である。
【0031】
内側部材30は、高さ方向の寸法Hが回路基板10の板厚寸法よりも大きく、少なくとも一方向において回路基板10の対向する一対の辺の距離よりも内側部材30の同方向での幅寸法の方が大きい。そして、内側部材30に高さ方向に向けて窪む凹部32と高さ方向に貫通する穴部31の少なくとも一方が形成され、回路基板10に実装された電子部品が、凹部32と前記穴部31の少なくとも一方の内部に位置している。そのため、内側部材30によって回路基板10および電子部品11,12,13を保持でき、ケース2が合成樹脂製であっても、全体の強度を高く維持でき、車両の衝突事故など大きな衝撃が与えられても、内部の回路を保護することが可能である。さらに、内側部材30とケース2を、空気よりも熱伝導率の高い合成樹脂材料で形成することで、電子部品から発せられた熱の放熱も可能になる。
【0032】
図2に示すように、下部ケース4の底部と回路基板10の間に下方内側部材40が設けられている。下方内側部材40は内側部材30と同じ合成樹脂材料で形成されている。
図2に示すように、下方内側部材40の上面には、高さ方向(Z方向)に向けて突出する隆起部41が一体に形成されており、
図3と
図4に示すように、回路基板10が隆起部41によって下側から支えられている。内側部材30と共に下方内側部材40を設け、内側部材30と下方内側部材40とで回路基板10を上下から挟み込むことによって、さらに回路基板10と電子部品11,12,13を外部からの衝撃から保護できるようになる。
【0033】
図2に示すように、内側部材30は横幅方向(X方向)に向く2つの外側面33,33と、縦幅方向(Y方向)に向く2つの外側面33,33を有しており、それぞれの外側面33に、それぞれ1組のアンテナ素子20が固定されている。
図5ないし
図9には、
図2のV矢視部分に設けられた1組のアンテナ素子20の取付け構造の詳細が示されている。なお、他の3か所の外側面33に対するアンテナ素子20の取付け構造は、V矢視部分で示したアンテナ素子20の取付け構造と同じである。
【0034】
図5ないし
図7に示すように、1組のアンテナ素子20は、第1アンテナ21と第2アンテナ22を有している。第1アンテナ21と第2アンテナ22は、導電性の金属板の表面にニッケルメッキおよび金メッキが重ねられて形成されたものである。第1アンテナ21と第2アンテナ22は、その素子表面が、回路基板10の基板表面と交差する(直交する)X-Z平面と平行に配置されている。第1アンテナ21の素子表面の形状はミアンダ形状である。第1アンテナ21の一部には、Y方向に向けて直角に折り曲げられた接合部21aが形成され、接合部21aに穴部21bが形成されている。第2アンテナ22は、素子表面が四角形である。第2アンテナ22の一部には、Y方向に向けて直角に折り曲げられた接合部22aが形成されており、接合部22aに穴部22bが形成されている。
【0035】
図5に示すように、内側部材30の外側面33には、第1設置凹部34aと第2設置凹部34bが形成されている。
図6に示すように、第1アンテナ21は、素子表面が第1設置凹部34aの表面に密着するように設置され、第2アンテナ22は、素子表面が第2設置凹部34bの表面に密着するように設置される。好ましくは、第1アンテナ21が第1設置凹部34aの表面に接着されて固定され、第2アンテナ22が第2設置凹部34bの表面に接着されて固定される。
【0036】
図8と
図9に、上部ケース3の天井部から収納空間5に向けて下向きに一体に形成された前記固定ボス3dが拡大して示されている。この固定ボス3dは、
図4の断面図に現れているものと同じである。固定ボス3dの下端部には小径部3eが形成されており、固定ボス3dの中心部には雌ねじ穴3fが形成されている。固定ボス3dが内側部材30に形成された嵌合穴30aに挿入されることで、上部ケース3の収納空間5内で内側部材30が位置決めされている。
【0037】
図7ないし
図9に示すように、回路基板10には高さ方向(Z方向)に貫通する穴部15が形成されており、回路基板10の基板表面には、穴部15を囲むようにリング状の電極部16が形成されている。電極部16は、基板表面に形成された配線パターンの一部であり銅箔などで形成されている。第1アンテナ21に形成されている接合部21aと第2アンテナ22に形成されている接合部22aは、基板表面のそれぞれの電極部16に重ねられて設置される。
図9に示すように、上部ケース3に形成された固定ボス3dの下端面が、それぞれのアンテナ21,22の接合部21a,22aの上面に設置され、固定ボス3dの下端の小径部3eが、接合部21a,22aに形成された穴部21b,22bおよび、回路基板10に形成された穴部15,15の内部に挿入される。
【0038】
図8と
図9に示すように、回路基板10の下面にワッシャ24が設置され、圧接機構を構成するねじ部材25がワッシャ24の内部に挿入されて、固定ボス3dの雌ねじ穴3fに螺着されている。このねじ部材25の締め付け力により、回路基板10が、ねじ部材25およびワッシャ24と、上部ケース3の固定ボス3dとの間に挟まれて、回路基板10が内側部材30に支持される。また、それぞれのアンテナ21,22の接合部21a,22aと電極部16とが圧接されて個別に導通され、アンテナ21,22が、回路基板10に実装された電子回路に導通させられる。
図9に示すように、固定ボス3dの下端部の小径部3eが、接合部21a,22aの穴部21b,22bと回路基板10の穴部15の内部に入り込んでいるので、金属製のねじ部材25が、アンテナ21,22と電極部16に触れることがない。
【0039】
アンテナ素子20を構成する第1アンテナ21と第2アンテナ22は、保護部材または補強部材としての機能を発揮する内側部材30の外側面33に固定されているため、外部から衝撃や大きな力が与えられたとしてもアンテナ素子20が損傷しにくい。また、
図8と
図9に示すように、第1アンテナ21の素子面の高さ方向(Z方向)の幅寸法haは、内側部材30の外側面33の高さ寸法の幅寸法とほぼ一致しているため、内側部材30の外側面33を有効に利用してアンテナ素子20を設置できる。また、回路基板10が第1アンテナ21の素子面の高さ方向(Z方向)の幅寸法haの範囲内に収められているので、アンテナ素子20の素子面を広く確保でき、しかも、アンテナ装置1の全体を薄型化することが可能になる。
【0040】
実施形態のアンテナ装置1は、合成樹脂製のケース2の内部に回路基板10とアンテナ素子20が収納されているが、ケース2の内部の収納空間5に収まる内側部材30によって、回路基板10に実装された電子部品11,12,13が保護され、また内側部材30にアンテナ素子20が固定されているため、強度が高く、しかもケース内に各部品を効果的に収納できるようになる。
【0041】
前記実施形態では、アンテナ素子20を構成する第1アンテナ21と第2アンテナ22が、板金材料で形成されているが、それぞれのアンテナが、内側部材30の外側面33において、銅箔、導電性塗料、蒸着膜などによってパターン成形されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 アンテナ装置
2 ケース
3 上部ケース
3b,3d 固定用ボス
4 下部ケース
10 回路基板
11,12,13 電子部品
15 穴部
16 電極部
17,18 辺
20 アンテナ素子
21 第1アンテナ
21a 接合部
21b 穴部
22 第2アンテナ
22a 接合部
22b 穴部
25 ねじ部材(圧接機構)
30 内側部材
31 穴部
32 凹部
33 外側面
40 下方内側部材