(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】SEC14様タンパク質および同族リガンドのナノスフェア
(51)【国際特許分類】
C07K 14/47 20060101AFI20220825BHJP
C07K 1/02 20060101ALI20220825BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20220825BHJP
C07K 1/32 20060101ALI20220825BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20220825BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220825BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220825BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220825BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220825BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20220825BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220825BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220825BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220825BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20220825BHJP
【FI】
C07K14/47 ZNA
C07K1/02
C07K1/16
C07K1/32
C07K14/705
A61K9/14
A61K38/16
A61P15/00
A61P3/06
A61P3/02 109
A61P21/00
A61P17/02
A61P29/00
C12N15/63 Z
(21)【出願番号】P 2018538097
(86)(22)【出願日】2017-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2017051409
(87)【国際公開番号】W WO2017129555
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-17
(32)【優先日】2016-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514232904
【氏名又は名称】ウニヴェルジテート ベルン
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ストッカー, アヒム
【審査官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06268170(US,B1)
【文献】MITRAGOTRI, Samir et al.,Nature Reviews Drug Discovery,2014年08月08日,Vol. 13, No. 9,pp. 655-672
【文献】HELBLING, Rachel E. et al.,PLoS ONE,2012年11月13日,Vol. 7, No. 11,e49195
【文献】PANAGABKO, Candace et al.,Biochemistry,2003年05月09日,Vol. 42, No. 21,pp. 6467-6474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/47
C07K 1/02
C07K 1/16
C07K 1/32
C07K 14/705
A61K 9/14
A61K 38/16
A61P 15/00
A61P 3/06
A61P 3/02
A61P 21/00
A61P 17/02
A61P 29/00
C12N 15/63
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同数の
(i)ヒトSEC14様タンパク質であって、
(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)及び
(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)
から選択される、ヒトSEC14様タンパク質、
および
(ii)前記SEC14様タンパク質の同族リガンドであって、
前記α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の前記同族リガンドが、トコフェロールであって、前記CRALBPの前記同族リガンドが、シス-レチノールまたはシスレチナールである、SEC14様タンパク質の同族リガンド
を含み、
前記同数が3の倍数であり、かつ
前記同数が3~60である、ナノスフェア。
【請求項2】
前記SEC14様タンパク質がα-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)である、請求項1に記載のナノスフェア。
【請求項3】
前記同数は24である、請求項2に記載のナノスフェア。
【請求項4】
前記トコフェロールがα-トコフェロールである、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノスフェア。
【請求項5】
前記α-トコフェロールがR,R,R-α-トコフェロールである、請求項4に記載のナノスフェア。
【請求項6】
前記SEC14様タンパク質が細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)である、請求項1に記載のナノスフェア。
【請求項7】
前記シス-レチノールまたはシスレチナールが9-シス-レチナール、11-シス-レチナール、9,13-ジシス-レチナール、9-シス-レチノール、11-シス-レチノールおよび9,13-ジシス-レチノールから選択される、請求項6に記載のナノスフェア。
【請求項8】
前記シス-レチノールまたはシスレチナールが9-シス-レチナールである、請求項7に記載のナノスフェア。
【請求項9】
前記シス-レチノールまたはシスレチナールが11-シス-レチナールである、請求項7に記載のナノスフェア。
【請求項10】
同数の
(i)ヒトSEC14様タンパク質であって、
(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)及び
(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)
から選択される、ヒトSEC14様タンパク質、
および
(ii)前記SEC14様タンパク質の同族リガンドであって、
前記α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の前記同族リガンドが、トコフェロールであって、前記CRALBPの前記同族リガンドが、シス-レチノールまたはシスレチナールである、SEC14様タンパク質の同族リガンド、
を含み、
前記同数が3の倍数であり、かつ
前記同数が3~60である、ナノスフェアの製造方法であって、
(a)水溶液I中に前記SEC14様タンパク質を提供するステップであって、前記溶液I中の前記SEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、前記溶液IのpHが6~9であるステップと、
(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の前記同族リガンドを提供するステップであって、前記溶液I中のSEC14様タンパク質の前記同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、前記溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、
(c)前記溶液Iと前記溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、前記溶液III中の前記SEC14様タンパク質の前記濃度と前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドの前記濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、前記溶液III中の前記水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、
(d)前記SEC14様タンパク質および前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドがナノスフェアに集合できるようになるステップと、
(e)前記溶液IIIから前記ナノスフェアを分離するステップと、
(f)任意により前記ナノスフェアを精製するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記溶液Iが塩を含み、前記塩の濃度は10mM~500mMである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
同数の
(i)ヒトSEC14様タンパク質であって、
(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)及び
(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)
から選択される、ヒトSEC14様タンパク質、
および
(ii)前記SEC14様タンパク質の同族リガンドであって
前記α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の前記同族リガンドが、トコフェロールであって、前記CRALBPの前記同族リガンドが、シス-レチノールまたはシスレチナールである、SEC14様タンパク質の同族リガンド
を含み、
前記同数が3の倍数であり、かつ
前記同数が3~60である、ナノスフェアの製造方法であって、
(a)水溶液I中に前記SEC14様タンパク質を提供するステップであって、前記溶液I中の前記SEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、前記溶液IのpHが6~9であるステップと、
(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の前記同族リガンドを提供するステップであって、前記溶液I中のSEC14様タンパク質の前記同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、前記溶液IIが界面活性剤を含むステップと、
(c)前記溶液Iと前記溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、前記溶液III中の前記SEC14様タンパク質の前記濃度と前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドの前記濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、
(d)前記溶液IIIから前記界面活性剤を除去するステップであって、前記界面活性剤を前記溶液IIIから除去することにより、前記SEC14様タンパク質および前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドがナノスフェアに集合できるようになるステップと、
(e)前記溶液IIIから前記ナノスフェアを分離するステップと、
(f)任意により前記ナノスフェアを精製するステップと、を含む、方法。
【請求項13】
同数の
(i)ヒトSEC14様タンパク質であって、
(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)及び
(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)
から選択される、ヒトSEC14様タンパク質、
および
(ii)前記SEC14様タンパク質の同族リガンドであって、
前記α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の前記同族リガンドが、トコフェロールであって、前記CRALBPの前記同族リガンドが、シス-レチノールまたはシスレチナールである、SEC14様タンパク質の同族リガンド
を含み、
前記同数が3の倍数であり、かつ
前記同数が3~60である、ナノスフェアの製造方法であって、
(a)水溶液I中に前記SEC14様タンパク質を提供するステップであって、前記溶液I中の前記SEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、前記溶液IのpHが6~9であるステップと、
(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の前記同族リガンドを提供するステップであって、前記溶液I中のSEC14様タンパク質の前記同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、前記溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、
(c)前記溶液Iと前記溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、前記溶液III中の前記SEC14様タンパク質の前記濃度と前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドの前記濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、前記溶液III中の前記水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、
(d)前記SEC14様タンパク質および前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドが、前記SEC14様タンパク質のうちの1つおよび前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようにするステップと、
(e)前記溶液IIIから前記単量体複合体を分離するステップと、
(f)任意により前記単量体複合体を精製するステップと、
(g)水溶液IVを生成するステップであって、前記溶液IVが前記単量体複合体を含み、前記溶液IV中の前記単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、前記溶液IVのpHが6~9であるステップと、
(h)前記単量体複合体が前記ナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記溶液Iが塩を含み、前記塩の濃度は10mM~500mMである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液IVが塩を含み、前記塩の濃度は10mM~500mMである、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
同数の
(i)ヒトSEC14様タンパク質であって、
(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)及び
(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)
から選択される、ヒトSEC14様タンパク質、および
(ii)前記SEC14様タンパク質の同族リガンドであって、
前記α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の前記同族リガンドが、トコフェロールであって、前記CRALBPの前記同族リガンドが、シス-レチノールまたはシスレチナールである、SEC14様タンパク質の同族リガンド
を含み、
前記同数が3の倍数であり、かつ
前記同数が3~60である、ナノスフェアの製造方法であって、
(a)水溶液I中に前記SEC14様タンパク質を提供するステップであって、前記溶液I中の前記SEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、前記溶液IのpHが6~9であるステップと、
(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の前記同族リガンドを提供するステップであって、前記溶液I中のSEC14様タンパク質の前記同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、前記溶液IIが界面活性剤を含むステップと、
(c)前記溶液Iと前記溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、前記溶液III中の前記SEC14様タンパク質の前記濃度と前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドの前記濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、
(d)前記溶液IIIから前記界面活性剤を除去するステップであって、前記界面活性剤を前記溶液IIIから除去することにより、前記SEC14様タンパク質および前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドが前記SEC14様タンパク質のうちの1つおよび前記SEC14様タンパク質の前記同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようになるステップと、
(e)前記溶液IIIから前記単量体複合体を分離するステップと、
(f)任意により前記単量体複合体を精製するステップと、
(g)水溶液IVを生成するステップであって、前記溶液IVが前記単量体複合体を含み、前記溶液IV中の前記単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、前記溶液IVのpHが6~9であるステップと、
(h)前記単量体複合体が前記ナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記溶液IVが塩を含み、前記塩の濃度は10mM~500mMである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)請求項1~9のいずれか一項に記載のナノスフェアと、
(b)薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項19】
ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患の治療または予防方法において使用する
ための、請求項1~9のいずれか一項に記載のナノスフェアまたは請求項18に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同数のヒトSEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドを含むナノスフェア、ならびにそれらの製造方法およびナノスフェアの使用に関する。
関連技術
【0002】
SEC14遺伝子産物SEC14pは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)において最初に同定され、ゴルジ装置から原形質膜へのホスファチジルイノシトールの輸送タンパク質として働く。SEC14タンパク質中のドメインのX線構造は、脂質結合のための疎水性ポケットを有する特徴的なα-β-αサンドイッチを明らかにする。Sec14pは、脂質シグナル伝達事象を小胞の出芽に関与するタンパク質と統合することにより、トランスゴルジネットワークからの分泌小胞の生合成に必須である。SEC14p(SFH2、SFH3、SFH4、およびSFH5)の酵母相同体は、PtdInsキナーゼおよびホスホリパーゼD活性を調節し、ホスホイノシチドの産生を促進することによって補完的な機能を果たす(LLi,X.ら、Mol Biol Cell.2000 11:1989-2005およびその中に引用されている参考文献)。
【0003】
高等真核生物では、酵母SEC14pの機能的ホモログは、関連する機能を有するSEC14様タンパク質ファミリーを構成する(Peterman,T.K.ら、Plant Physiol.2004 136:3080-3094)。InterPro統合データベース(https://www.ebi.ac.uk/interpro/)によるタンパク質配列分析および分類は、SEC14様タンパク質ファミリーのメンバーすべてが、CRALBPおよび三重機能TRIOタンパク質の一次構造に由来し、特徴的なCRAL-TRIO(IPR001251)ドメインを共通して有すると予測している。CRAL-TRIOドメインは、小さい親油性分子を隔離するための構造的足場を表す(Panagabko Cら、Biochemistry 2003 42:6467-6474およびその中に引用されている参考文献)。ドメインは、SEC14様タンパク質のすべてを構成してもよく、またはその一部のみを構成してもよい。SEC14p、CRALBPまたはα-TTPなどのCRAL-TRIOのみのタンパク質は、それぞれホスファチジルイノシトール、11-シス-レチナールおよびα-トコフェロール(α-tol)の膜間輸送のための細胞質因子として同定されている(Panagabko Cら、Biochemistry 2003 42:6467-6474およびその中に引用されている参考文献)。
【0004】
α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)は、親水性媒体を通して親油性ビタミンE分子の輸送を促進し、生物によって同化される、細胞質ゾル32kDaタンパク質である。これは、脂質調節に関与することが公知であるSEC14様タンパク質ファミリーに属する(Panagabko Cら、Biochemistry 2003 42:6467-6474;L.Aravindら、Curr.Biol.1999 9:195-197およびその中に引用されている参考文献)。フォールドは、結合空洞の床、可変数のαヘリックス、および親油性同族リガンドが結合ポケットにアクセスできるカルボキシ末端領域の可動ヘリックスゲートを構成する5つの平行β鎖からなる(Stocker A.Ann N Y Acad Sci.2004 1031:44-59;Meier Rら、J Mol Biol 2003 331:725-734)。α-TTPは、ラットおよびヒトの両方で単離されており、肝臓で主に発現されるが、胎盤および脳にも存在する(Kaempf-Rotzollら、Placenta 2003 24,439-444およびその中に引用されている参考文献)。α-TTPは、肝細胞におけるビタミンEの調節において重要な役割を果たし、その不十分な発現または変異が、AVED遺伝病の発生に直接関連することから、生物の健康に不可欠である(Ouahchi K.ら、Nat.Genet.1995 9:141-145)。
【0005】
1987年には、細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)を、9-シス-レチナール(Kd=53nM)、11-シス-レチナール(Kd=20nM)および11-シス-レチノール(Kd=60nM)に対するナノモル親和性を有する高親和性バインダーとして同定した(Saari JC,and Bredberg DL.,J Biol Chem.1987 262:7618-22)。同じ研究は、CRALBPが13-シスまたはオールトランス-レチナールのいずれにも結合しないことを示した。CRALBPの付加的な機能は、その同族シス-同族リガンドを早期異性化から保護する能力によって付与される。CRALBPは、視覚サイクルのレチナールフラックス、オールトランス-レチナールから11-シス-レチナールへの眼の生化学的再生経路も増加させる。この経路において、CRALBは、RPE65のイソメラーゼ活性を刺激し(P.D.Kiserら、2015 Nature Chemical Biology 11:409-415)、11-シス-レチノールのRDH5デヒドロゲナーゼへの結合を促進する(Gamble MV1ら、J Lipid Res.1999 40:2279-92)。最後に、未知の機序による細胞外の細胞質を介したRDH5からの11-シス-レチナールの転位をシャペロンで行う。ヒトCRALBPの遺伝子突然変異の特徴は、このタンパク質がロッドおよびコーンにおける効果的な暗順応に必須であることを示し得る(M.S.Burstedtら、2003 Vision Res.43:2559-2571)。
【0006】
SEC14様Clavesin1および2は、両方とも、ニューロンにおいて排他的に発現する。これらのタンパク質は、細胞質ゾルであるが、エンドソーム膜において豊富なホスファチジルイノシトール3,5-ビスホスフェートと相互作用することによって、CRAL-TRIOドメインを介してエンドソーム/リソソームコンパートメントにも結合する(Katoh Yら、J Biol Chem.2009 284:27646-54)。Clavesinは、クラスリン被覆小胞上に豊富にあり、クラスリン重鎖およびアダプタータンパク質-1、クラスリン被覆小胞の主要な被覆成分と複合体を形成する。干渉RNAのレンチウイルス送達を用いたニューロン中のclavesinのアイソフォーム特異的ノックダウンは、後期エンドソーム/リソソーム形態の独特のニューロン特異的調節を示す(Katoh Yら、J Biol Chem.2009 284:27646-54)。
【0007】
α-TTPおよびCRALBPなどのSEC14様タンパク質は、低いナノモル親和性を有する特定の天然同族リガンドに結合する。このような同族リガンドは、血漿から隔離され、不溶性脂質の自由拡散を損なう熱力学的障壁を克服するように選択される(Cohn,W.,Am J Clin Nutr 1999 69:156-157)。眼におけるCRALBP媒介性細胞内11-シス-レチナール輸送は、持続的視力にとって不可欠である(M.S.Burstedtら、2003 Vision Res.43:2559-2571)。α-TTPは、最高の抗酸化効力を有するビタミンE異性体であるα-トコフェロールを選択的に保持することにより、成人男性のビタミンE恒常性にとって必須である(Kono,N.and Arai,H.Traffic 2015 16:19-34)。
【0008】
数多くの遺伝性疾患は、SEC14様タンパク質に関連している。TTPAのヒトα-TTP遺伝子産物の欠損が、常染色体劣性のビタミンE単独欠乏を伴う運動失調症(AVED)の表現型を引き起こすことが報告されている(Ouahchi K.ら、Nat.Genet.1995 9:141-145)。この疾患は、検出不能であるか、または顕著に低下したビタミンEの血漿レベル、脊髄小脳変性症、運動失調、反射消失、および固有受容感覚の喪失を特徴とする。関連する神経学的表現型を伴う運動失調の別の形態は、ATCAYのSEC14様Caytaxin遺伝子産物における突然変異によって引き起こされる(Bomar J.M.ら、Nat.Genet.2003 35:264-269)。RLBP1遺伝子のCRALBP遺伝子産物の欠損は、重度の網膜病変を引き起こす(Maw M.A.ら、1997 Nat.Genet.17:198-200)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、SEC14様タンパク質ファミリーおよびその同族リガンドのこれまでに知られていないナノ球状凝集体の驚くべき発見、その製造方法およびその使用に関する。
【0010】
従って、第1の態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアを提供する。好ましくは、同数は3~60であり、さらに好ましくは、同数は9~60である。本発明の非常に好ましい実施形態において、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、本発明のナノスフェアの製造方法および本発明のナノスフェアの使用を提供する。
【0012】
したがって、さらなる態様では、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であり、好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度が10mM~500mMであるステップと、(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、溶液III中の水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、(d)SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようにするステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む、方法を提供する。
【0013】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようになるステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む方法を提供する。
【0014】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であり、好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度が10mM~500mMであるステップと、(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、溶液III中の水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、(d)SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドが、SEC14様タンパク質のうちの1つおよびSEC14様タンパク質の同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようにするステップと、(e)溶液IIIから単量体複合体を分離するステップと、(f)任意により単量体複合体を精製するステップと、(g)水溶液IVを生成するステップであって、溶液IVが単量体複合体を含み、溶液IV中の単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、溶液IVのpHが6~9であり、好ましくは、溶液IVは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであるステップと、(h)単量体複合体がナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、含む方法を提供する。
【0015】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドが、SEC14様タンパク質のうちの1つおよびSEC14様タンパク質の同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようになるステップと、(e)溶液IIIから単量体複合体を分離するステップと、(f)任意により単量体複合体を精製するステップと、(g)水溶液IVを生成するステップであって、溶液IVが単量体複合体を含み、溶液IV中の単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、溶液IVのpHが6~9であり、好ましくは、溶液IVは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであるステップと、(h)単量体複合体がナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、含む方法を提供する。
【0016】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、(a)本発明のナノスフェアと、(b)薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療または予防方法、好ましくは治療方法において使用する、本発明のナノスフェアまたは医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明のさらなる態様および好ましい実施形態は、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】A)単量体α-TTP-α-Tolおよびα-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアからなる同族リガンド複合体の混合物の分取用SECトレースを示す図である。ピークSは、0.76Mdaの質量に相関する保持容量を中心とした、α-TTP-α-Tolナノスフェアを表し、ピークMは、32kDaの質量に相関する単量体α-TTP-α-Tolを表す。ピークVは、カラムの空隙容積を中心として、高度に凝集したタンパク質を含む。
【
図1B】B)アポ-α-TTP(黒色トレース)、ならびに単量体α-TTP-α-Tolおよびα-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアからなる同族リガンド複合体の混合物を表すホロ-α-TTP(灰色トレース)の分析用SECトレースを示す図である。アポ-α-TTP(黒いトレース)は、64kDaの質量と相関する保持容量を中心とした二量体アポ-α-TTP、および32kDaの質量と相関する保持容量を中心とした単量体のアポ-α-TTPの存在を示す。ホロ-α-TTP(灰色のトレース)は、0.76Mdaの質量と相関する保持容量を中心としたα-TTP-α-Tolナノスフェア、および32kDaの質量と相関する単量体α-TTP-α-Tolの存在を示す。軽微なピークDは、64kDaの質量に相関する保持容量を中心とした、同族リガンドを含まない二量体アポ-α-TTPからなることが最も目に見える可能性が高い。
【
図2】球状物体の物理的存在を明らかにした分取用SECによるピークSのピーク画分の陰性染色透過電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図3】組換えα-TTPの存在が抗6xHisおよび抗α-TTP抗体によって確認された分取用SECのピーク画分のウェスタンブロットである。
【
図4】分取用SECのピーク画分M、DおよびSの天然ポリアクリルアミドゲル電気泳動を示す図である。ピークSは、約0.80MDaの質量を有するオリゴマーα-TTP-α-Tolナノスフェアを含み、ピークDは、主に約64kDaの質量を有するホモ二量体アポ-α-TTPを含み、ピークMは、ほとんどが単量体なα-TTP-α-Tolを含む。
【
図5】単量体アポ-α-TTP(1)、単量体α-TTP-α-Tol(2)およびオリゴマーα-TTP-α-Tolナノスフェア(3)について、222nmでCD分光法によってモニターされた熱変性トレースを示す図である。
【
図6】オリゴマーα-TTP-α-Tolナノスフェアの二十四量体集合体の原子モデルを示す図である。左側には、3つの対称軸に沿った原子モデルの図が描かれている。挿入図は、α-TTP-α-Tolナノスフェアの酸化形態における2回対称軸に沿った菱面体チャネルにわたる2つの隣接するC80間のシスチン結合形成を示す。右側には、ノード上に置かれた単量体のリボン画を有するねじれてキャンテレーションされた(cantellated)立方体(TCC)の幾何学的表現が示されている。
【
図7A】A)3回軸上のタンパク質-タンパク質相互作用の概略図(A)、およびα-TTP-α-Tolナノスフェアの安定性に寄与するタンパク質-タンパク質相互作用の概要表(B)である。FoldX(Guerois R,Nielsen JE,Serrano L(2002),J Mol Bio 320:369-387)コンピュータアルゴリズムを使用して、タンパク質-タンパク質相互作用を評価した。このために、後のエネルギー計算および構造比較のための参照構造を生成するために、α-TTP-α-Tolナノスフェアが最小化された(298K、pH7、0.05Mのイオン強度)。
【
図7B】A)3回軸上のタンパク質-タンパク質相互作用の概略図(A)、およびα-TTP-α-Tolナノスフェアの安定性に寄与するタンパク質-タンパク質相互作用の概要表(B)である。FoldX(Guerois R,Nielsen JE,Serrano L(2002),J Mol Bio 320:369-387)コンピュータアルゴリズムを使用して、タンパク質-タンパク質相互作用を評価した。このために、後のエネルギー計算および構造比較のための参照構造を生成するために、α-TTP-α-Tolナノスフェアが最小化された(298K、pH7、0.05Mのイオン強度)。
【
図8A】A)主に疎水性な残基が、α-TTP-α-Tolナノスフェアの三量体形態をもたらす特徴的な配列パターンでクラスタ化されている。非常に類似したパターンの疎水性残基がCRALBPの一次配列(配列番号8および配列番号9)に存在する。
【
図8B】B)MULTALINウェブサービス(Corpet,F.;Nucleic Acids Res.1988 16:10881-10890)を用いた、他のSEC14様タンパク質におけるα-TTPのN末端セグメント(aa47~90)および関連セグメントの一次配列アラインメントを示す図である。保存されたまたは半保存された残基は明るい灰色で示されている。特徴的な配列パターン(配列番号10、配列番号11、配列番号12 配列番号13および配列番号14)の主に疎水性な残基は、黒い三角形によってマークされる。
【
図8C】C)α-TTP(aa47~90)およびCRALBP(aa91~123)の二次ヘリックス-ループ-ヘリックス構造のPSIPREDに基づく比較が、高い構造類似性(配列番号15および配列番号16)を示す図である。
【
図9】明るい灰色で強調表示されている特徴的な配列パターンの残基を有する、好ましいSEC14様タンパク質の一次配列が描写されている図である。
【
図10】分析用SECからのCRALBP-11-シス-レチナールナノスフェアのピーク画分の陰性染色透過電子顕微鏡(TEM)画像であり、9~48nmのサイズ範囲の球状物体の物理的存在を明らかにした。
【
図11A】単量体CRALBP-9-シス-レチナールおよびCRALBP-9-シス-レチナールナノスフェアとからなる同族リガンド複合体の混合物の分析用SECトレースを示す図である。A)保持容量17.5mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量420kDaに相関する。B)コール酸ナトリウムの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、13.5mlでのピークは、平均質量1700kDaに相関する。C)エタノールの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量540kDaに相関する。実線トレースは280nmで監視されたタンパク質の濃度を表し、破線トレースは405nmで監視された結合9-シス-レチナールの濃度を表す。数字の付いた矢印は、ホモオリゴマー複合体の多重度を示す。
【
図11B】単量体CRALBP-9-シス-レチナールおよびCRALBP-9-シス-レチナールナノスフェアとからなる同族リガンド複合体の混合物の分析用SECトレースを示す図である。A)保持容量17.5mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量420kDaに相関する。B)コール酸ナトリウムの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、13.5mlでのピークは、平均質量1700kDaに相関する。C)エタノールの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量540kDaに相関する。実線トレースは280nmで監視されたタンパク質の濃度を表し、破線トレースは405nmで監視された結合9-シス-レチナールの濃度を表す。数字の付いた矢印は、ホモオリゴマー複合体の多重度を示す。
【
図11C】単量体CRALBP-9-シス-レチナールおよびCRALBP-9-シス-レチナールナノスフェアとからなる同族リガンド複合体の混合物の分析用SECトレースを示す図である。A)保持容量17.5mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量420kDaに相関する。B)コール酸ナトリウムの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、13.5mlでのピークは、平均質量1700kDaに相関する。C)エタノールの存在下で予め添加したリガンドとの混合物:保持容量17.8mlでのピークは、平均質量36kDaに相関し、15mlでのピークは、平均質量540kDaに相関する。実線トレースは280nmで監視されたタンパク質の濃度を表し、破線トレースは405nmで監視された結合9-シス-レチナールの濃度を表す。数字の付いた矢印は、ホモオリゴマー複合体の多重度を示す。
【
図12A】単量体α-TTP-α-Tolのトランスサイトーシスおよびα-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアのトランスサイトーシスの(A)ヒト臍(umbelical)静脈内皮細胞(HUVEC)単層におけるトランスサイトーシス(斜線領域)の速度および傍細胞フラックス(暗領域)の速度の同時判定、(B)異種ヒト上皮性結腸直腸腺癌細胞(CaCo-2)単層におけるトランスサイトーシスおよび傍細胞フラックスの対応する速度を示す図である。
【
図12B】単量体α-TTP-α-Tolのトランスサイトーシスおよびα-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアのトランスサイトーシスの(A)ヒト臍(umbelical)静脈内皮細胞(HUVEC)単層におけるトランスサイトーシス(斜線領域)の速度および傍細胞フラックス(暗領域)の速度の同時判定、(B)異種ヒト上皮性結腸直腸腺癌細胞(CaCo-2)単層におけるトランスサイトーシスおよび傍細胞フラックスの対応する速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
ナノスフェア:本明細書で使用する用語「ナノスフェア」は、複数のSEC14様タンパク質および同数のSEC14様タンパク質の同族リガンドによって形成された、典型的に、かつ好ましくは多面体構造の組成物を指す。典型的に、かつ好ましくは、数は、少なくとも3で最大60である。さらに好ましくは、数は、少なくとも9で最大で60である。さらにより好ましくは、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドの同数は3の倍数であり、さらに好ましくは、同数は3、9、12、24、36、48および60であり、さらにより好ましくは9、12、24、36、48および60である。さらにより好ましくは、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドの同数は3の倍数であり、数は、少なくとも3で最大60であり、さらに好ましくは、同数は3、9、12、24、36、48および60であり、さらにより好ましくは9、12、24、36、48および60である。典型的に、かつ好ましくは、多面体構造体は、好ましくは本実施例3Eに記載されている様式で動的光散乱によって測定され、5nm~60nmのサイズ、好ましくは7nm~55nmのサイズ、さらに好ましくは9nm~48nmのサイズである。従って、本明細書で使用されるように、典型的に、かつ好ましくは、用語「ナノスフェア」は、好ましくは動的光散乱によって測定されるように、およびさらに好ましくは本実施例3Eに記載されているように、5nm~60nmのサイズ、好ましくは7nm~55nmのサイズ、さらに好ましくは9nm~48nmのサイズの多面体構造体を指し、多面体構造体は、少なくとも3、さらに好ましくは、多面体構造は、少なくとも9、さらに好ましくは少なくとも12、またはさらにより好ましくは少なくとも24、36、48または60コピーのSEC14様タンパク質および同数のSEC14様タンパク質の同族リガンドによって形成される。典型的に、かつ好ましくは、一定数の同数のSEC14様タンパク質は、好ましくは動的光散乱によって測定されるとおり、さらに好ましくは本実施例3Eに記載されるように、5nm~60nmのサイズ、好ましくは7nm~55nmのサイズ、さらに好ましくは9nm~48nmのサイズの多面体構造を有する中空タンパク質コートを形成し、多面体構造においては、同数のSEC14様タンパク質の同族リガンドが凝集される。したがって、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドのナノスフェアにおける化学量論比は1:1である。典型的に、かつ好ましくは、ナノスフェアは、1つのタイプのSEC14様タンパク質および同数のSEC14様タンパク質の同族リガンドから構成される。典型的に、かつ好ましくは、多面体構造を有する中空コートを形成する同数のSEC14様タンパク質構築ブロックは、本明細書において「プロトマー」とも呼ばれる。
【0022】
SEC14様タンパク質:用語「SEC14様タンパク質」または「SEC14様タンパク質ファミリー」は、本明細書において同義で使用されるように、タンパク質構造ドメインを指す(Sha B1ら、Nature.1998 391:506-10)、典型的に、かつ好ましくは小さな親油性分子に結合するCRAL-TRIO(Panagabko Cら、Biochemistry 2003 42:6467-6474)と命名される。CRAL-TRIO脂質結合ドメインは、α/βドメインであり、大きな疎水性ポケットを形成する。そのポケット床は、平行なベータシートを構成する鎖2、3、4および5を有する6つのβ鎖から構成され、鎖1および6は逆平行である。空洞の側面はα-ヘリックスによって形成される。CRAL-TRIOドメインは、タンパク質の全てまたはその一部のみを構成することができる(Sha B1ら、Nature.1998 391:506-10;Panagabko Cら、Biochemistry2003 42:6467-6474)。典型的に、かつ好ましくは、SEC14様タンパク質の同族リガンドを含まない形態は、本明細書では、SEC14様タンパク質の「アポ」形態とも呼ばれる。
【0023】
SEC14様タンパク質の同族リガンド:本明細書で使用される場合、用語「SEC14様タンパク質の同族リガンド」は、少なくとも、典型的に、かつ好ましくは、1~100nMのナノモル親和性を有し、さらに典型的に、かつ好ましくは6~60nMの親和性を有する、CRAL-TRIO脂質結合ポケットに結合する分子、典型的に、かつ好ましくは脂質を指し、この分子は典型的に、かつ好ましくはSEC14様タンパク質と機能的に会合している。機能的に会合している:本明細書で使用される場合、用語「機能的に会合している」は、少なくとも、典型的には、かつ好ましくは1~100nMのナノモルの親和性を有し、さらに典型的には、かつ好ましくは6~60nMの親和性を有する、本明細書で同族リガンドと呼ばれる生理的同族リガンドの結合に決定的に依存するSEC14様タンパク質の生理学的機能を指す。一例として、R,R,R-α-トコフェロールは、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドを表し、R,R,R-α-トコフェロールは、最も強力な脂溶性抗酸化物質のうちの1つを表す。
【0024】
結合:本明細書で使用される場合、用語「結合」は、2つの分子が一緒に結合されるすべての可能な方法、好ましくは化学的相互作用を指す。化学的相互作用には、共有結合および非共有結合による相互作用が含まれる。非共有結合相互作用の典型的な例は、イオン相互作用、疎水性相互作用または水素結合であるが、共有結合相互作用は共有結合に基づく。好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質の各々は、少なくとも1つの共有結合または少なくとも1つの非共有結合相互作用によってSEC14様タンパク質の少なくとも1つの同族リガンドのうちの1つに結合する。さらに好ましくは、SEC14様タンパク質の各々は、少なくとも1つの非共有結合相互作用によってSEC14様タンパク質の少なくとも1つの同族リガンドのうちの1つに結合する。
【0025】
配列同一性:2つの所与のアミノ酸配列の配列同一性は、両方の配列のアライメントに基づいて決定される。当業者は、配列同一性を決定するためのアルゴリズムを利用することができる。好ましくは、2つのアミノ酸配列の配列同一性は、「BLAST」プログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)または「CLUSTALW」(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)など、公的に利用可能なコンピュータホモロジープログラムを用いて、これにより、好ましくは、NCBIホームページ(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)で提供される「BLAST」プログラムによって、そこで提供されるデフォルト設定を用いて、決定される。典型的で、かつ好ましい標準設定は以下の通りである:期待閾値:10;ワードサイズ:3;クエリの範囲での最大一致:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11;拡張1;構成調整:条件付き構成スコアマトリクス調整。
【0026】
残基に対応する位置:別のアミノ酸配列の所与の残基に対応するアミノ酸配列の位置は、配列アラインメントによって、典型的に、かつ好ましくはBLASTPアルゴリズムを用いて、最も好ましくは標準設定を用いて同定することができる。典型的で、かつ好ましい標準設定は以下の通りである:期待閾値:10;ワードサイズ:3;クエリの範囲での最大一致:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11;拡張1;構成調整:条件付き構成スコアマトリクス調整。「残基に対応する位置」の非常に好ましい決定が、本発明の好ましい実施形態に対応するSEC14様タンパク質α-TTPおよびCRALBPによって、
図8Aおよび
図8Bに概説されている。
【0027】
有効量:本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、所望の生物学的効果を実現するために必要な、または十分な量を指す。好ましくは、用語「有効量」は、(i)特定の疾患、医学的状態、もしくは障害を治療もしくは予防する、(ii)特定の疾患、医学的状態、もしくは障害のうちの1つ以上の症状を軽減する、改善する、もしくは排除する、または(iii)本明細書に記載の特定の疾患、医学的状態、もしくは障害の1つ以上の症状の発症を予防または遅延させる本発明のナノスフェアの量を指す。本発明のナノスフェアまたは医薬組成物の有効量は、こうした選択された結果を達成する量であり、このような量は、当業者によって日常的に決定され得る。有効量は、投与される特定の組成物および対象のサイズに依存して変化し得る。当業者は、過度の実験を必要とせずに、本発明の特定の組成物の有効量を経験上、決定することができる。
【0028】
本発明は、SEC14様タンパク質ファミリーおよびその同族リガンドのこれまでに知られていないナノ球状凝集体の驚くべき発見、その製造方法およびその使用に関する。
【0029】
従って、第1の態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアを提供する。好ましくは、同数は3~60である。さらに好ましくは、同数は9~60である。
【0030】
本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数である。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、同数は3~60である。したがって、本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、同数は、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、または60である。
【0031】
本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3、9、12、24、36、48または60である。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は9、12,24,36,48または60である。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は24または48である。
【0032】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態において、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0033】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)であり、好ましくは、同数は24である。好ましくは、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドがトコフェロールであり、好ましくはトコフェロールがα-トコフェロールであり、さらに好ましくはα-トコフェロールがR,R,R-α-トコフェロールである。
【0034】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態において、SEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)であり、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドはα-トコフェロールであり、同数は3~60であり、好ましくは、α-トコフェロールは、R,R,R-α-トコフェロールである。
【0035】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態において、SEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)であり、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドはα-トコフェロールであり、同数は9~60であり、好ましくは、α-トコフェロールは、R,R,R-α-トコフェロールである。
【0036】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)であり、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドはR,R,R-α-トコフェロールであり、同数は3~60であり、好ましくは、同数は3、9、12、24、36、48または60である。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は24または48である。
【0037】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)であり、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)の同族リガンドは、R,R,R-α-トコフェロールであり、同数は9~60であり、好ましくは、同数は9、12、24、36、48または60である。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、同数は24または48である。
【0038】
もう1つの非常に好ましい実施形態では、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアを提供し、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0039】
本発明のもう1つの非常に好ましい実施形態において、SEC14様タンパク質は、細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)である。好ましくは、CRALBPの同族リガンドはシス-レチノールまたはシスレチナールであり、さらに好ましくはシス-レチノールまたはシスレチナールは、9-シス-レチナール、11-シス-レチナール、9,13-ジシス-レチナール、9-シス-レチノール、11-シス-レチノールおよび9,13-ジシス-レチノールから選択される。本発明の非常に好ましい実施形態では、CRALBPの同族リガンドは、9-シス-レチナールである。本発明のさらに非常に好ましい実施形態では、CRALBPの同族リガンドは11-シス-レチナールである。本発明の別の好ましい実施形態では、CRALBPの同族リガンドは9-シス-レチノールである。本発明のもう1つの別の好ましい実施形態では、CRALBPの同族リガンドは11-シス-レチノールである。本発明のもう1つの別の実施形態では、CRALBPの同族リガンドは、9,13-ジシス-レチナールである。本発明のもう1つの別の実施形態では、CRALBPの同族リガンドは、9,13-ジシス-レチノールである。
【0040】
本発明の好ましい実施形態において、SEC14様タンパク質は、(a)配列番号3(α-TTPヒト)、(b)配列番号4(CRALBPヒト)、(c)配列番号5(CLVS1ヒト)、(d)配列番号6(CLVS2ヒト)、および(e)配列番号7(TTPALヒト)から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質である。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質は、アミノ酸配列ストレッチを含み、アミノ酸配列ストレッチは、(a)配列番号3のアミノ酸56~74、(b)配列番号4のアミノ酸100~118、(c)配列番号5のアミノ酸80~98、(d)配列番号6のアミノ酸58~76、および(e)配列番号7のアミノ酸85~103から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質のアミノ酸配列は、(a)配列番号3の56位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置でLおよびIから選択されるアミノ酸残基、(b)配列番号3の61位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置のアミノ酸残基F、(c)配列番号3の63位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置でL、V、Q、HおよびYから選択されるアミノ酸残基、(d)配列番号3の67位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置でW、Y、FおよびLから選択されるアミノ酸残基、(e)配列番号3の70位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置のアミノ酸残基L、または(f)配列番号3の74位に対応するSEC14様タンパク質のアミノ酸配列の位置でY、V、FおよびHから選択されるアミノ酸残基、を含み、SEC14様タンパク質のアミノ酸配列は、(a)~(f)のアミノ酸残基のうちのいずれか1つを少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、さらに好ましくは少なくとも4つ、さらにより好ましくは少なくとも5つ含み、ナノスフェアに含まれる同数のSEC14様タンパク質の第1番目のアミノ酸配列の(a)~(f)のうちのいずれかの1つの、好ましくは少なくとも4つのアミノ酸残基が、ナノスフェアに含まれる同数のSEC14様タンパク質の第2番目および第3番目のアミノ酸配列の(a)~(f)のうちのいずれか1つの、少なくとも4つのアミノ酸残基に結合される。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質は、アミノ酸配列を含み、SEC14様タンパク質のアミノ酸配列は、(a)配列番号3の56位に対応する位置でLおよびIから選択されるアミノ酸残基、(b)配列番号3の61位に対応する位置のアミノ酸残基F、(c)配列番号3の63位に対応する位置でL、V、Q、HおよびYから選択されるアミノ酸残基、(d)配列番号3の67位に対応する位置でW、Y、FおよびLから選択されるアミノ酸残基、(e)配列番号3の70位に対応する位置のアミノ酸残基L、または(f)配列番号3の位置74に対応する位置でY、V、FおよびHから選択されるアミノ酸残基、を含み、SEC14様タンパク質のアミノ酸配列は、(a)~(f)のアミノ酸残基のうちのいずれか1つを少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、さらに好ましくは少なくとも4つ、さらにより好ましくは少なくとも5つ含み、ナノスフェアに含まれる同数のSEC14様タンパク質の第1番目のアミノ酸配列の(a)~(f)のうちのいずれかの1つの、好ましくは少なくとも4つのアミノ酸残基が、ナノスフェアに含まれる同数のSEC14様タンパク質の第2番目および第3番目のアミノ酸配列の(a)~(f)のうちのいずれか1つの、少なくとも4つのアミノ酸残基に結合される。
【0044】
この理論に拘束されるものではないが、前述のアミノ配列残基およびパターンは、SEC14様タンパク質の三量体凝集体の形成に有利であり、これは本発明のナノスフェアの形成に有利であると考えられる。さらに、この理論に拘束されるものではないが、SEC14様タンパク質の同族リガンドを隔離するプロセスは、そのSEC14様タンパク質の可動ゲートと呼ばれるそのC末端領域のヘリックスエレメントの閉鎖運動を含む、SEC14様タンパク質におけるコンフォメーションの再配列を伴うと考えられている。したがって、この理論に拘束されるものではないが、三量体凝集体および特に本発明のナノスフェアの形成は、上述のアミノ配列残基および他の方法では溶媒に接近できないパターンを保持するヘリックスターンヘリックスセグメントのアンマスキングに影響するSEC14様タンパク質のN末端領域内におけるコンフォメーションの再構成に依存すると考えられている。典型的には、SEC14様タンパク質の同族リガンドの装填手順により、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または陰イオン交換クロマトグラフィーなどの好適なクロマトグラフィー方法によって精製することができる単量体およびナノスフェアタンパク質-リガンド複合体の混合物が生じる。
【0045】
さらに、本発明者らは、本発明のナノスフェア、特にSEC14様タンパク質α-TTPの本発明のナノスフェアが、初代ヒト臍帯静脈内皮細胞を介して効率的にトランスサイトーシスが行われる(transcytose)ことを示した。このプロセスは、標準的な上皮細胞系を介する同じナノスフェアのトランスサイトーシスが欠如していることが実証されることによって非常に特異的であることが示された。結果として、本発明のナノスフェアは、血流に注入されたときに血液脳関門を克服するのに非常に好適であると予想される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質の同族リガンドの各々は、少なくとも1つの非共有結合的相互作用によってSEC14様タンパク質のうちの1つに結合し、好ましくは、SEC14様タンパク質の同族リガンドの各々は、少なくとも1つの非共有結合的相互作用によってSEC14様タンパク質のうちの1つのみに結合する。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は3~60である、ナノスフェアの製造方法を提供し、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であり、好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度が10mM~500mMであるステップと、(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、溶液III中の水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、(d)SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようにするステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む方法を提供する。
【0048】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0049】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は9~60である、ナノスフェアの製造方法を提供し、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であり、好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度が10mM~500mMであるステップと、(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、溶液III中の水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、(d)SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようにするステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む方法を提供する。
【0050】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.1mM~1mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.25mM~0.75mMである。
【0052】
さらに好ましい実施形態では、溶液IのpHは7~8である。好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMである。さらに好ましくは、塩の濃度は30mM~350mMであり、さらに好ましくは塩の濃度は100mM~250mMである。
【0053】
さらに好ましい実施形態において、塩は、一価、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらに好ましくは、塩は二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらにより好ましくは、塩は、HPO4
2-、SO4
2-、酒石酸塩、マロン酸塩、D-ミオ-イノシトール1,4,5-三リン酸およびD-ミオ-イノシトール1,3,4,5-テトラキス(リン酸)カリウム塩から選択される二価、三価または四価の陰イオンを含む。
【0054】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は30μM~300mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は200μM~200mMである。
【0055】
溶液IIの溶媒は水溶性溶媒である。典型的に、かつ好ましくは、水溶性溶媒が製造者によって供給されたときに、水溶性溶媒に典型的に含まれる少量の水以外に、任意の水の追加量は含まずに、溶液IIのために使用される水溶性溶媒が少量、すなわち10%(容量/容量)以下の水を含み得ることは、本発明の範囲内である。さらに好ましくは、水溶性溶媒は、8%(容量/容量)超、好ましくは7%(容量/容量)超、さらに好ましくは5%(容量/容量)超の水を含まない。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、水溶性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メチルペンタンジオールおよびグリセロールから選択され、さらに好ましくは、水溶性溶媒は、エタノール、イソプロパノール、およびジメチルスルホキシド(DMSO)から選択される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は、3:1~1:3(モル/モル)であり、好ましくは、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は2:1~1:2(モル/モル)である。
【0058】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶液III中の水溶性溶媒の容積は、1~5%(容量/容量)であり、好ましくは、溶液III中の水溶性溶媒の容積は、2~4%(容量/容量)である。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドをナノスフェアに集合させることができることは、溶液IIIを4~37℃の温度に、好ましくは室温で1時間から24時間、好ましくは12から24時間の期間、維持することによって行われる。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施形態では、ナノスフェアを溶液IIIから分離することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0061】
本発明の別の好ましい実施形態では、ナノスフェアを精製することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は3~60である、本明細書に記載の本発明のナノスフェアの製造方法を提供し、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようになるステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む方法を提供する。本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は9~60である、本明細書に記載の本発明のナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドがナノスフェアに集合できるようになるステップと、(e)溶液IIIからナノスフェアを分離するステップと、(f)任意によりナノスフェアを精製するステップと、を含む方法を提供する。本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0064】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.1mM~1mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.25mM~0.75mMである。さらに好ましい実施形態では、溶液IのpHは7~8である。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は30μM~300mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は200μM~200mMである。
【0067】
本発明の方法では、溶液IIは界面活性剤を含む。界面活性剤は、溶液II中のSEC14様タンパク質の同族リガンドを可溶化するのに役立つ。本発明の好ましい実施形態では、界面活性剤は、非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤から選択される。好ましくは、非イオン系界面活性剤は、オクチルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-グルコシド、デシルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトシド、ウンデシルβ-D-マルトシド、ドデシルβ-D-マルトシド、Tween 20(登録商標)、Tween 40(登録商標)、Tween 80(登録商標)、Triton X100(登録商標)、Nonidet P40、ポリエチレングリコール200から選択される。好ましくは、陰イオン系界面活性剤は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムから選択される。
【0068】
さらに好ましい実施形態では、非イオン系界面活性剤は、オクチルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-グルコシド、デシルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトシド、ウンデシルβ-D-マルトシド、ドデシルβ-D-マルトシド、Tween 20(登録商標)、Tween 40(登録商標)、Tween 80(登録商標)、Triton X100(登録商標)、Nonidet P40、ポリエチレングリコール200から選択される。
【0069】
さらなる非常に好ましい実施形態では、陰イオン系界面活性剤は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムから選択される。非常に好ましい実施形態では、界面活性剤は陰イオン系界面活性剤であり、陰イオン系界面活性剤はコール酸ナトリウムである。
【0070】
溶液II中で使用される界面活性剤の濃度は、当業者によって決定され得、溶液II中のSEC14様タンパク質の同族リガンドを可溶化するために当業者の知識に基づいており、濃度は使用される界面活性剤の性質に依存する。典型的に、かつ好ましくは溶液II中の界面活性剤の濃度は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)、典型的に、かつ好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度より高い。典型的に、かつ好ましくは、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)、典型的に、かつ好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度は、0.5mM以上であり、さらに好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)は10mM以上である。
【0071】
さらに好ましい実施形態において、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度と、SEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は、3:1~1:3(モル/モル)であり、好ましくは、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度と、SEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は2:1~1:2(モル/モル)である。
【0072】
さらに好ましい実施形態において、溶液IIIから界面活性剤を除去することは、透析によって実施され、好ましくは透析により溶液IIIから界面活性剤を除去することは、膜にわたって行われ、好ましくは、膜は1~25kD、好ましくは5~20kD、さらにより好ましくは10~15kDの分画分子量を含む。好ましくは、透析は第1の緩衝液を用いて行い、第1の緩衝液は、アルカリ金属のハロゲン化物を含み、好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであり、さらに好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物は、塩化ナトリウムであり、好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物の濃度、好ましくは、第1の緩衝液中の塩化ナトリウムの濃度は、1~1000mMであり、好ましくは10~500mMであり、より好ましくは50~250mMであり、最も好ましくは100~200mMである。
【0073】
透析は、4℃~37℃の温度で行うことが好ましく、透析は、4~24時間かけて行うことが好ましい。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、ナノスフェアを溶液IIIから分離することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、ナノスフェアを精製することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0076】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含む、好ましくはこれらからなるナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であり、好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度が10mM~500mMであるステップと、(b)溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIの溶媒が水溶性溶媒であるステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であり、溶液III中の水溶性溶媒の容量が0.5~8%(容量/容量)であるステップと、(d)SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドが、SEC14様タンパク質のうちの1つおよびSEC14様タンパク質の同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようにするステップと、(e)溶液IIIから単量体複合体を分離するステップと、(f)任意により単量体複合体を精製するステップと、(g)水溶液IVを生成するステップであって、溶液IVが単量体複合体を含み、溶液IV中の単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、溶液IVのpHが6~9であり、好ましくは、溶液IVは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであるステップと、(h)単量体複合体がナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、含む方法を提供する。
【0077】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.1mM~1mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.25mM~0.75mMである。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、溶液IのpHは7~8である。好ましくは、溶液Iは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMである。さらに好ましくは、塩の濃度は30mM~350mMであり、さらに好ましくは塩の濃度は100mM~250mMである。
【0080】
さらに好ましい実施形態において、塩は、一価、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらに好ましくは、塩は二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらにより好ましくは、塩は、HPO4
2-、SO4
2-、酒石酸塩、マロン酸塩、D-ミオ-イノシトール1,4,5-三リン酸およびD-ミオ-イノシトール1,3,4,5-テトラキス(リン酸)カリウム塩から選択される二価、三価または四価の陰イオンを含む。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は30μM~300mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は200μM~200mMである。
【0082】
溶液IIの溶媒は水溶性溶媒である。典型的に、かつ好ましくは、水溶性溶媒が製造者によって供給されたときに、水溶性溶媒に典型的に含まれる少量の水以外に、任意の水の追加量は含まずに、溶液IIのために使用される水溶性溶媒が少量、すなわち10%(容量/容量)以下の水を含み得ることは、本発明の範囲内である。さらに好ましくは、水溶性溶媒は、8%(容量/容量)超、好ましくは7%(容量/容量)超、さらに好ましくは5%(容量/容量)超の水を含まない。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、水溶性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メチルペンタンジオールおよびグリセロールから選択され、さらに好ましくは、水溶性溶媒は、エタノール、イソプロパノール、およびジメチルスルホキシド(DMSO)から選択される。
【0084】
本発明の好ましい実施形態において、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は、3:1~1:3(モル/モル)であり、好ましくは、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は2:1~1:2(モル/モル)である。
【0085】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶液III中の水溶性溶媒の容積は、1~5%(容量/容量)であり、好ましくは、溶液III中の水溶性溶媒の容積は、2~4%(容量/容量)である。
【0086】
本発明の別の好ましい実施形態では、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドで単量体複合体を形成できることは、溶液IIIを4~37℃の温度に、好ましくは室温で1時間から24時間、好ましくは12から24時間の期間、維持することによって行われる。
【0087】
本発明の別の好ましい実施形態では、単量体複合体を溶液IIIから分離することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0088】
本発明の別の好ましい実施形態では、単量体複合体を精製することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0089】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶液IV中の単量体複合体の濃度は10mg/ml~40mg/mlであり、好ましくは、溶液IV中の単量体複合体の濃度は10mg/ml~30mg/mlであり、さらに好ましくは、溶液IV中の単量体複合体の濃度は12mg/ml~22mg/mlである。好ましくは、溶液IVのpHは7~8であり、さらに好ましくは溶液IVのpHは7.2~7.8である。
【0090】
別の好ましい実施形態では、溶液IVは、塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであり、好ましくは、塩は、一価、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択される。さらに好ましくは、塩は、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらにより好ましくは、塩は、HPO4
2-、SO4
2-、酒石酸塩、マロン酸塩、D-ミオ-イノシトール1,4,5-三リン酸およびD-ミオ-イノシトール1,3,4,5-テトラキス(リン酸)カリウム塩から選択される二価、三価または四価の陰イオンを含む。
【0091】
別の好ましい実施形態では、溶液IVは、PEGを含み、PEGの濃度は1容量/容量%~30容量/容量%であり、好ましくは、PEGは、PEG200、400、800、2000、3350 4000、8000、12000、16000などの200~30,000、より好ましくは200~20000の重量平均分子量を有する。
【0092】
溶液IVに含まれる場合、塩およびPEGは、本発明の溶液IVに有益であり、かつ好ましい、両親媒性沈殿剤を表す。両親媒性沈殿剤および本発明のうちの好ましい1つなどの両親媒性沈殿剤の混合物は、当業者に公知である。他の両親媒性沈殿剤および両親媒性沈殿剤の混合物も本発明に包含される。
【0093】
別の好ましい実施形態では、単量体複合体をナノスフェアの結晶を形成させ得ることは、4℃~37℃の一定温度で行われ、好ましくは、一定温度は10℃~20℃であり、さらに好ましくは、温度は16℃~19℃である。
【0094】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は3~60である、本明細書に記載の本発明のナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドが、SEC14様タンパク質のうちの1つおよびSEC14様タンパク質の同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようになるステップと、(e)溶液IIIから単量体複合体を分離するステップと、(f)任意により単量体複合体を精製するステップと、(g)水溶液IVを生成するステップであって、溶液IVが単量体複合体を含み、溶液IV中の単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、溶液IVのpHが6~9であり、好ましくは、溶液IVは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであるステップと、(h)単量体複合体がナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、含む方法を提供する。本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0095】
さらなる態様において、本発明は、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は9~60である、本明細書に記載の本発明のナノスフェアの製造方法であって、(a)水溶液I中にSEC14様タンパク質を提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度が1μM~5mMであり、溶液IのpHが6~9であるステップと、(b)水溶液II中にSEC14様タンパク質の同族リガンドを提供するステップであって、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度が5μM~500mMであり、溶液IIが界面活性剤を含むステップと、(c)溶液Iと溶液IIとを混合することによって溶液IIIを生成するステップであって、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度とSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比が4:1~1:4(モル/モル)であるステップと、(d)溶液IIIから界面活性剤を除去するステップであって、界面活性剤を溶液IIIから除去することにより、SEC14様タンパク質およびSEC14様タンパク質の同族リガンドが、SEC14様タンパク質のうちの1つおよびSEC14様タンパク質の同族リガンドのうちの1つからなる単量体複合体を形成できるようになるステップと、(e)溶液IIIから単量体複合体を分離するステップと、(f)任意により単量体複合体を精製するステップと、(g)水溶液IVを生成するステップであって、溶液IVが単量体複合体を含み、溶液IV中の単量体複合体の濃度が5mg/ml~50mg/mlであり、溶液IVのpHが6~9であり、好ましくは、溶液IVは塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであるステップと、(h)単量体複合体がナノスフェアの結晶を形成できるようになるステップと、含む方法を提供する。本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。特に、本発明の非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0096】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、本発明のナノスフェアの好ましいおよび非常に好ましい実施形態を含む。
【0097】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.1mM~1mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の濃度は0.25mM~0.75mMである。さらに好ましい実施形態では、溶液IのpHは7~8である。
【0098】
さらに好ましい実施形態では、溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は30μM~300mMであり、さらに好ましくは溶液I中のSEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度は200μM~200mMである。
【0099】
本発明の方法では、溶液IIは界面活性剤を含む。界面活性剤は、溶液II中のSEC14様タンパク質の同族リガンドを可溶化するのに役立つ。本発明の好ましい実施形態では、界面活性剤は、非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤から選択される。好ましくは、非イオン系界面活性剤は、オクチルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-グルコシド、デシルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトシド、ウンデシルβ-D-マルトシド、ドデシルβ-D-マルトシド、Tween 20(登録商標)、Tween 40(登録商標)、Tween 80(登録商標)、Triton X100(登録商標)、Nonidet P40、ポリエチレングリコール200から選択される。好ましくは、陰イオン系界面活性剤は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムから選択される。
【0100】
さらに好ましい実施形態では、非イオン系界面活性剤は、オクチルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-グルコシド、デシルβ-D-グルコシド、ノニルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトシド、ウンデシルβ-D-マルトシド、ドデシルβ-D-マルトシド、Tween 20(登録商標)、Tween 40(登録商標)、Tween 80(登録商標)、Triton X100(登録商標)、Nonidet P40、ポリエチレングリコール200から選択される。
【0101】
さらなる非常に好ましい実施形態では、陰イオン系界面活性剤は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムから選択される。非常に好ましい実施形態では、界面活性剤は陰イオン系界面活性剤であり、陰イオン系界面活性剤はコール酸ナトリウムである。
【0102】
溶液II中で使用される界面活性剤の濃度は、当業者によって決定され得、溶液II中のSEC14様タンパク質の同族リガンドを可溶化するために当業者の知識に基づいており、濃度は使用される界面活性剤の性質に依存する。典型的に、かつ好ましくは溶液II中の界面活性剤の濃度は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)、典型的に、かつ好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度より高い。典型的に、かつ好ましくは、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)、典型的に、かつ好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度は、0.5mM以上であり、さらに好ましくは非イオン系界面活性剤または陰イオン系界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)は10mM以上である。
【0103】
さらに好ましい実施形態において、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度と、SEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は、3:1~1:3(モル/モル)であり、好ましくは、溶液III中のSEC14様タンパク質の濃度と、SEC14様タンパク質の同族リガンドの濃度との比は2:1~1:2(モル/モル)である。
【0104】
さらに好ましい実施形態において、溶液IIIから界面活性剤を除去することは、透析によって実施され、好ましくは透析により溶液IIIから界面活性剤を除去することは、膜にわたって行われ、好ましくは、膜は1~25kD、好ましくは5~20kD、さらにより好ましくは10~15kDの分画分子量を含む。好ましくは、透析は第1の緩衝液を用いて行い、第1の緩衝液は、アルカリ金属のハロゲン化物を含み、好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであり、さらに好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物は、塩化ナトリウムであり、好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物の濃度、好ましくは、第1の緩衝液中の塩化ナトリウムの濃度は、1~1000mMであり、好ましくは10~500mMであり、より好ましくは50~250mMであり、最も好ましくは100~200mMである。
【0105】
透析は、4℃~37℃の温度で行うことが好ましく、透析は、4~24時間かけて行うことが好ましい。
【0106】
さらに好ましい実施形態では、単量体複合体を溶液IIIから分離することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0107】
さらに好ましい実施形態では、単量体複合体を精製することは、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行われる。
【0108】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶液IV中の単量体複合体の濃度は10mg/ml~40mg/mlであり、好ましくは、溶液IV中の単量体複合体の濃度は10mg/ml~30mg/mlであり、さらに好ましくは、溶液IV中の単量体複合体の濃度は12mg/ml~22mg/mlである。好ましくは、溶液IVのpHは7~8であり、さらに好ましくは溶液IVのpHは7.2~7.8である。
【0109】
別の好ましい実施形態では、溶液IVは、塩を含み、塩の濃度は10mM~500mMであり、好ましくは、塩は、一価、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択される。さらに好ましくは、塩は、二価、三価または四価の無機または有機塩から選択され、さらにより好ましくは、塩は、HPO4
2-、SO4
2-、酒石酸塩、マロン酸塩、D-ミオ-イノシトール1,4,5-三リン酸およびD-ミオ-イノシトール1,3,4,5-テトラキス(リン酸)カリウム塩から選択される二価、三価または四価の陰イオンを含む。
【0110】
別の好ましい実施形態では、溶液IVは、PEGを含み、PEGの濃度は1容量/容量%~30容量/容量%であり、好ましくは、PEGは、PEG200、400、800、2000、3350 4000、8000、12000、16000などの200~30,000、より好ましくは200~20000の重量平均分子量を有する。
【0111】
溶液IVに含まれる場合、塩およびPEGは、本発明の溶液IVに有益であり、かつ好ましい、両親媒性沈殿剤を表す。両親媒性沈殿剤および本発明のうちの好ましい1つなどの両親媒性沈殿剤の混合物は、当業者に公知である。他の両親媒性沈殿剤および両親媒性沈殿剤の混合物も本発明に包含される。
【0112】
別の好ましい実施形態では、単量体複合体をナノスフェアの結晶を形成させ得ることは、4℃~37℃の一定温度で行われ、好ましくは、一定温度は10℃~20℃であり、さらに好ましくは、温度は16℃~19℃である。
【0113】
典型的に、かつ好ましくは、SEC14様タンパク質は、宿主においてSEC14様タンパク質の異種発現によって得られ、好ましくは、宿主は大腸菌であり、任意により異種発現SEC14様タンパク質は、好ましくはアフィニティークロマトグラフィー、さらに好ましくはNi-NTA樹脂上のアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。
【0114】
もう1つのさらなる態様において、本発明は、(a)本発明のナノスフェアと、(b)薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための本発明によるナノスフェアまたは医薬組成物を提供する。
【0116】
さらに別の態様において、本発明は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療または予防方法、好ましくは治療方法において使用する、本発明のナノスフェアまたは医薬組成物を提供する。好ましくは、治療または予防の方法は、ヒトに対するものである。さらに好ましいのは、高齢者における予防である。
【0117】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本発明によるナノスフェアまたは医薬組成物は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療または予防方法、好ましくは治療方法において使用するためのものである。
【0118】
別の態様において、本発明は、ヒトにおけるビタミンEのレベルを増加させることによって軽減される疾患を治療または予防する方法において使用するための本発明によるナノスフェアまたは医薬組成物を提供し、好ましくは、疾患は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症 創傷治癒障害または炎症性疾患(さらに好ましくは炎症性疾患は関節炎である)であり、ヒトSEC14様タンパク質は、α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)から選択される。
【0119】
本発明による創傷治癒の治療および/または予防は、好ましくは、手術後のケロイド形成の減少を増やすのに有益であると考えられる。
【0120】
別の態様では、本発明は、ヒトにおけるビタミンAのレベルを増加させることによって軽減される疾患を治療または予防する方法において使用するための本発明によるナノスフェアまたは医薬組成物を提供し、好ましくは、疾患は、眼疾患またはヒト不妊症であり、ヒトSEC-14様タンパク質は、細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)である。
【0121】
本発明によるヒト妊孕性の治療および/または予防、それ故に、特に、カップルの不妊症の治療および/または予防は、女性の子宮機能または精子数もしくは精子の運動性のいずれかの障害の軽減および/または排除に有益であると考えられている。
【0122】
別の態様では、本発明は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療または予防、好ましくは治療のための薬剤の製造において、本発明によるナノスフェアの使用または医薬組成物の使用を提供する。
【0123】
別の態様では、本発明は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療または予防、好ましくは治療のための、本発明によるナノスフェアの使用または医薬組成物の使用を提供する。
【0124】
別の態様では、本発明は、ビタミンE欠乏を伴う運動失調症(AVED)、筋ジストロフィー、低脂血症、低リポタンパク血症、異常脂質血症、ヒト不妊症、創傷治癒障害または炎症性疾患(好ましくは炎症性疾患は関節炎である)の治療および/または予防方法、好ましくは治療方法を提供し、ヒトにおいて、この方法は、有効量の本発明のナノスフェアまたは医薬組成物をヒトに投与することを含む。
【0125】
別の態様では、本発明は、ヒトにおけるビタミンAのレベルを増加させることによって軽減される疾患を治療または予防する方法において使用するための本発明によるナノスフェアまたは医薬組成物を提供し、好ましくは、疾患は、眼疾患であり、ヒトSEC-14様タンパク質は、細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)である。
【0126】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれか1つにより得ることができるナノスフェアを提供し、ナノスフェアは、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は3~60である。本発明のさらなる非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
【0127】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれか1つにより得ることができるナノスフェアを提供し、ナノスフェアは、同数の(i)ヒトSEC14様タンパク質、および(ii)SEC14様タンパク質の同族リガンドを含み、好ましくはこれらからなり、好ましくは、同数は9~60である。本発明のさらなる非常に好ましい実施形態では、同数は3の倍数であり、好ましくは、数は3~60であり、ヒトSEC14様タンパク質は、(a)α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)、(b)細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)、(c)Clavesin1(CLVS1)、(d)Clavesin2(CLVS2)、および(e)α-トコフェロール輸送タンパク質様(TTPAL)から選択される。
実施例
実施例1
単量体α-TTPの発現および精製
【0128】
ヒトcDNAライブラリー由来のPCR産物を、プライマー5’-GGGAATTCGCAGAGGCGC-GATCCCAG-3’(配列番号1)および5’-CCGTCATTGAATGCTCTCAGAAATGC-3’(配列番号2)を用いて、pET-28aベクター(Stratagene,CA.USA)のNdeIおよびXhoI部位にクローニングすることにより、N末端(His)6タグ付きα-TTP発現構築物を作製した。タンパク質の発現は、T7プロモーターの制御下で大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)株で行った。形質転換した細菌を37℃で光学密度(OD600)0.8まで増殖させ、330mMイソプロピル-チオガラクトピラノシドにより、30℃で一晩誘導させた。細菌は、7’300gおよび4℃で30分間遠心することによって収穫した。1リットルの培地から得られた細菌ペレットを、25mlの溶解緩衝液(20mMトリス、pH8.0、100mM NaCl、10mMイミダゾール、0.5(容量/容量)Triton X-100および1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド)に再懸濁した。収穫した細胞を、French pressure cellで2回破壊した。溶解物を39’000g、4℃で40分間遠心した。清澄化された上清を12mlのTALON Superflow(Clontech Laboratories,CA,USA)の入ったカラムに通過させた。280nmでのUV吸収がベースラインのレベルを回復するまで、洗浄緩衝液(20mMトリス、100mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)でカラムをすすぐことにより、非特異的に結合したタンパク質を除去した。溶出緩衝液(20mMトリス、100mM NaCl、150mMイミダゾール、pH8.0)でタンパク質を溶出した。溶出緩衝液(20mMトリス、100mM NaCl、150mMイミダゾール、pH8.0)中、4℃で一晩、トロンビン(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて(His)6タグを切断した。アポ-α-TTPの凝集を防ぐために、タンパク質溶出液をプールし、Vivaspin(Satorius,Goettingen,DE)遠心濃縮器(MWCO 10kDa)を用いて、≦2.5mg/mlまで濃縮した。
実施例2
単量体α-TTP-α-Tolおよびα-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアからなる同族リガンド複合体の混合物の調製
【0129】
α-TTP-α-Tol同族リガンド複合体の形成は、新たに調製したアポ-α-TTPを界面活性剤可溶化α-トコフェロールの存在下で透析することによって達成された。要するに、1mgのα-Tolの液滴に40.9mgの固体のコール酸ナトリウムを重層し、続いて1mlの溶出緩衝液(20mMトリス、100mM NaCl、150mMイミダゾール、pH8.0)に懸濁させた。全ての材料が溶解して透明溶液になるまで、懸濁液を超音波浴で処理した。アポ-α-TTP(≦2.5mg/mlで11ml)には、トコフェロール-コール酸ナトリウム溶液を9:1(容量/容量)比で補足し、12~14kDaのMWCO範囲を有するCelluSep T3透析管状膜(Membranes Filtration Products.TX,USA)に移した。透析は3リットルの緩衝液(20mMトリス、100mM NaCl、pH8.0)に対して4℃で6時間ずつ2段階にて行った。透析液(12ml)を最終濃度0.01%(容量/容量)のTriton X-100を添加したMillex GP0.22μmフィルタ(EMD Milipore,MA,USA)で濾過し、2mlまで減少させ、分取用サイズ排除クロマトグラフィーで分離した。単量体α-TTP-α-Tol同族リガンド複合体のサイズに対応する画分をプールし、Vivaspin濃縮器(MWCO10kDa;Satorius,Goettingen,DE)を用いて20mg/mlまで濃縮し、結晶化に直接使用した。α-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアのサイズに対応する画分をプールし、Vivaspin濃縮器(MWCO30kDa)を用いて10mg/mlまで濃縮し、分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により再精製した。
実施例3
α-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアの特徴
A.サイズ排除クロマトグラフィー
【0130】
α-TTP-α-Tolナノスフェアの分取および分析用SECを、それぞれ、HiLoad 16/60 Supersose 75 prep gradeおよびSuperose 6 10/300カラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)で実施した(両方ともAEKTA Purifierクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)に付属)。分析は、SEC緩衝液(10mMトリス、100mM NaCl、pH8.0)中、6℃で0.5ml/分(分析)から1.5ml/分(分取)の範囲の流速で実施した。SECカラムは、市販のタンパク質較正キット(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて較正した(
図1)。
B.陰性染色透過電子顕微鏡法
【0131】
300μg/mlの濃度でのα-TTP-α-Tolナノスフェアのサンプルを、事前に空気中で低圧でグロー放電により親水性にしておいたparlodion炭素被覆銅グリッドに1分間吸着させた。吸着後、グリッドを3滴の二回蒸留水で洗浄し、2滴の0.75%蟻酸ウラニルで染色した。Morada CCDカメラ(Soft Imaging System)を装備した、80kVで動作するPhilips CM12透過電子顕微鏡で電子顕微鏡写真を記録した。画像解析は、ImageJ画像処理プログラムV1.49o(NIH,MD,USA)を用いて行った(
図2)。
C.ウェスタンブロッティング
【0132】
端的にいえば、SDS-PAGEを12%PAGEゲル上で行った。ニトロセルロース膜でブロッティングする前に、転写緩衝液(25mMトリス、192mMグリシン、20%メタノール、pH8.3)中でゲルを20分間インキュベートした。ブロッティングは、半乾式ブロッティング装置(Bio-Rad Laboratories,CA,USA)を用いて130mAで50分間行った。分析のために、α-TTP(α-TTP抗体[C2C3]C-ターム、GeneTex Inc.,CA,USA)に対する市販の一次抗体を使用した。LI-CORのIRDye二次抗体をIRDye 800CWまたはIRDye 680RDのいずれかによる視覚化に用い、LI-COR Odyssey赤外線システム(LI-COR Biosystems,NE,USA)でスキャンを行った(
図3)。
D.ネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動
【0133】
ネイティブPAGEは、プレキャストNativePAGE Novex 4~16%Bis-Trisタンパク質ゲル(Life Technologies,CA,USA)を用いて行った。各タンパク質サンプル(20μl、0.5mg/ml)を等容量のネイティブPAGEローディングバッファ(62mMトリス、25%グリセロール、1%ブロモフェノールブルー、pH6.8)と混合した。ゲルをランニングバッファ(50mMトリシン、50mM BisTris、pH8.0)中、30分間4℃で、160V、次に、180Vで、ブロモフェノールブルーマーカがゲルの末端に達するまで作動させた。タンパク質の視覚化は、SYPROルビータンパク質ゲル染色(Life Technologies,CA,USA)で染色することによって達成された(
図4)。
E.動的光散乱
【0134】
分析用SEC(10mMトリス、100mM NaCl、pH8.0)から得られたα-TTP-α-Tolナノスフェア(濃度範囲0.1~0.2mg/ml)の新鮮なプール画分を動的光散乱(DLS)によって分析した。1cmの経路長さのUVettes(Eppendorf,Hamburg,DE)を用いて、DynaPro分子サイズ測定装置(Protein-Solutions)で各サンプルのサイズ分布プロファイルの測定を行った。各データセットは、最低100回の単一測定を含み、少なくとも5分間収集された。DLS三重測定から、流体力学的半径17.6±3.8nmが得られた。
F.熱力学的分析
【0135】
Peltier PFD-350S温度コントローラを備えたJasco J-175分光偏光計を用いて、アポ-α-TTP、単量体α-TTPおよびα-TTP-α-TolナノスフェアのCDスペクトルおよび温度依存性タンパク質アンフォールディングを測定した。このために、1mmの経路長の石英セル(100μlサンプル)を使用し、タンパク質濃度は0.1~0.5mg/mlの範囲であった。応答は、5nmの帯域幅で1秒に設定した。CDスペクトルの結果に続いて、温度依存性タンパク質アンフォールディング実験のために波長を222nmに調節した。温度は、2K/分の速度で、単量体α-TTPについては、20℃から80℃までで、α-TTP-α-Tolナノスフェアについては20℃から100℃までで、0.5Kずつ上昇させた。転移温度(Tm)は、アンフォールディング曲線の1次導関数から計算した(
図5)。
実施例4
α-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアの結晶化および構造決定
【0136】
結晶は、18℃で100mM Hepesナトリウム(pH7.5)中の10~15%PEG-4000、100~175mM硫酸アンモニウムの範囲のリザーバ溶液を用いて、ハンギングまたはシッティングドロップ蒸気拡散のいずれかによって成長させた。新たに調製した単量体α-TTP同族リガンド複合体を12~22mg/mlの濃度範囲で使用した。完全に還元された最高品質の結晶α-TTP-α-Tolナノスフェアは、3/1~2/1(容量/容量)の範囲のタンパク質の液滴比でリザーバ上に2週間以内に観察された。結晶は、20~80μmの範囲のエッジ長さを有する立方体形状を有していた。完全に酸化されたα-TTP-α-Tolナノスフェアの同形結晶は2ヶ月後に回収された。すべての結晶を、グリセロールを最終濃度20%(容量/容量)まで2段階で添加した後、窒素中で急速凍結した。回折データは、Dectris Pilatus 2M CCD検出器(DECTRIS Ltd.,Baden,Switzerland)を用いて、100KでSwiss Light Source(SLS)シンクロトロンビームラインX06DA(PSI Villigen)で収集した。すべてのデータは、XDSで指数付けされ、統合され、スケーリングされた(Kabsch W.;Acta Crystallographica Section D:Biological Crystallography.2010 66:125-132)。Phaser-MRは、検索構造として単量体α-TTP(PDB ID:1OIP)の短縮型構造モデル(残基47~275)を用いて、初期相を計算するために使用した。還元されたα-TTP-α-Tolナノスフェアおよび酸化されたα-TTP-α-Tolナノスフェアの原子モデルは、双方とも、COOTを用いた反復サイクルの手動モデル構築(Emsley P,Lohkamp B,Scott WG,Cowtan K.;Acta Crystallographica Section D:Biological Crystallography.2010 66:486-501)およびPhenixプログラムスイートを用いた制限付き精密化(Adams PDら、Acta Crystallographica Section D:Biological Crystallography.2010 66:213-221)により精密化された。両方の構造体の座標および構造因子は、IDコード5DI6および5DLUでRCSBタンパク質データバンクに寄託されている。
実施例5
α-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアの形成を導くタンパク質-タンパク質相互作用の特徴
【0137】
α-TTP-α-Tolナノスフェアは、単量体α-TTP-α-Tol同族リガンド複合体の単分散溶液から出発したときに、専ら結晶化した。ナノスフェアは、24個のプロトマーで構成され、それぞれに結合した1つのα-Tolがウイルスカプシドを連想させる回転楕円体のシェルに組み立てられている。両方のレドックス状態のα-TTP-α-TolナノスフェアのX線構造モデルは、可溶性調製物からのα-TTP-α-Tol粒子の測定とサイズが一致する16.8nmの外径を有する。この構造は、直径8.1nmの明らかに中空のキャビティによってさらに特徴付けられる。粒子のX線構造モデルのより詳細な検査により、各タンパク質モノマーの中心を頂点とし、それらをタンパク質-タンパク質接触界面を介して連結する、ねじれてキャンテレーションされた立方体(点対称群O、Schoenflies表記法)のトポロジーが明らかになった。その点群によれば、ナノスフェアの対称操作は、3つのC4軸、4つのC3軸、および6つのC2軸(
図6)の周りのみの本義回転である。
【0138】
それぞれのα-TTP-α-Tolモノマーは、最初の4つの隣接分子と接触している。それぞれのモノマーは、このような隣接分子のうちの2つを用いて、C3対称軸と交差する8つの三量体界面のうちの1つを形成し、第2の2つの隣接分子を用いて、C4軸のうちの1つと交差する6つの四量体界面のうちの1つを構築することを含む。四量体ユニットは、いずれにしても直接接していない第2の隣接ユニットによって完成する。12個の菱形面が、ナノケージを完成させ、それぞれがC2対称軸のうちの1つを横切る。このような界面の2つの非対称エッジは、三量体および四量体集合体のエッジに対応する。各単量体は、これらの界面のうちの2つに関与する。α-TTP-α-Tolナノスフェアの酸化形態は、本明細書では、菱面体チャネルを介して2つのα-TTP-α-TolユニットのC80を架橋するジスルフィド架橋を1つ提示する。したがって、酸化されたα-TTP-α-Tolナノスフェアは、すべての三量体サブユニットに共有結合する全部で12のSS架橋を含む。酸化は、ヘリックスセグメントの局部的なほぐれを伴う(aa65~79)。また、酸化は、隣接するC末端(aa275~278)の規則的なα-ヘリックスモチーフへの構造化を誘導する。α-TTP-α-Tolナノスフェアの還元形態と酸化形態との間には、他の重要な構造的差異は観察されない。
【0139】
高度に充填された三量体界面は、いくつかのタンパク質-タンパク質接触によって構成される。各ユニットは、ヘリックスセグメント49~56、57~64ループ、およびヘリックスセグメント65~79の最初のターンならびに残基R151を介して、以下のものと相互作用する。パートナータンパク質は、ヘリックスセグメント65~79内のアミノ酸67~74およびC末端残基(aa275~278)と相互作用する(
図7)。
【0140】
三量体界面は、疎水性の充填によって特徴付けられ、塩橋によってさらに安定化される。これらの静電的相互作用は、主に界面の外部に局在し、1つのタンパク質上の残基R57およびR151は、対向するユニットのC末端と相互作用する。残基D64およびK71は、界面のコアにより近く局在化して、1つの追加の塩橋(3.87Åを構成する。まさしく中央で、3つのW67残基は、ファンデルワールススタッキングによってT字型に互いに相互作用する。本発明者らの観察によれば、これは、全α-TTP-α-Tolナノスフェア内に2つ以上のタンパク質を含む唯一の接触点である。
【0141】
W67は、L63、F61およびL56と一緒に、界面全体の結合自由エネルギーのおよそ3/4(77%)を占める古典的な「ホットスポット」を構成する(Clackson T,Wells JA.Science 1995 267:383-386)。
実施例6
α-TTP-α-Tolナノスフェアの三量体形態を導くタンパク質-タンパク質相互作用モチーフ内に保存された配列パターンの同定
【0142】
α-TTP-α-Tolモノマーのα-TTP-α-Tolナノスフェアプロトマーとの3次元重なりは、単量体α-TTP-α-Tolにおいて、N末端セグメント(aa1~47)のフォールディングにより、三量体界面が溶媒に曝されないことを立証した。SEC14様ファミリーの異なるメンバーの既知の構造の比較により、N末端セグメント1~47がX線散乱によって常に完全に検出されるとは限らないことを立証しており、このことは、タンパク質のこの部分があまり構造化されず、リフォールディングする傾向があることを示している(Sha B1,Phillips SE,Bankaitis VA,Luo M.,Nature.1998 391:506-10;Meier R,Tomizaki T,Schulze-Briese C,Baumann U,Stocker A.,J Mol Biol 2003 331:725-734;He X,Lobsiger J,Stocker A.,Proceedings of the National Academy of Sciences 2009 106:18545-18550;Christen Mら、Journal of structural biology 2015 190:261-270)。三量体集合体の形成は、α-TTP-α-Tolナノスフェアの外側空間へのα-TTPのN末端尾部の移動による、三量体化モチーフのアンマスキングを必要とすると結論付けられた。従って、1~47セグメントは、恐らくコンフォメーションが定まっていないために、ナノスフェア上の構造において検出されなかった。
【0143】
PSIPREDウェブサービスを使用することによる二次構造の分析は、α-TTP(aa47~90)およびCRALBP(aa91~123)の対応するヘリックスターンヘリックスモチーフが非常に類似していることを示した。モチーフ内では、主に疎水性な残基の特徴的な配列パターンが、α-TTP-α-Tolナノスフェア内の三量体形態を導くことが決定された(
図8)。Multalin webservice(Corpet,F.,Nucleic Acids Res.1988 16:10881-10890)による、関連するSEC14様タンパク質の対応するセグメントとのα-TTPのN末端セグメント(aa47~90)の一次配列アライメントにより、ヘリックスセグメント49~56、57~64ループ、およびヘリックスセグメントの第1のターン65~79(
図8)内で残基が多く保存されていることが明らかになった。
【0144】
MULTALINアライメントに使用されたヒト起源の配列は以下の通りであった:sp|P49638|TTPA_ヒトα-トコフェロール輸送タンパク質、sp|Q9BTX7|TTPAL_ヒトα-トコフェロール輸送タンパク質様、sp|Q8IUQ0|CLVS1_ヒトClavesin-1、sp|Q5SYC1|CLVS2_ヒトClavesin-2およびsp|P12271|RLBP1_ヒトレチンアルデヒド結合タンパク質1(
図9)。
実施例7
単量体CRALBPの発現および精製
【0145】
ヒトRLBP1 cDNAは、Deutsches Ressourcenzentrum fur Genomforschung GmbH(JRAUp969D1020D)から得た。N末端(His)6タグ付きCRALBP過剰発現ベクターは、pET-28aベクター(Stratagene)のNdeIおよびXhoI部位にクローニングすることにより構築した。N末端(His)6タグ付き構築物を大腸菌BL21(DE3)(Invitrogen)に形質転換した。細胞を、30μg/mLのカナマイシンを含有するLB培地120mL中に、37℃で撹拌しながら一晩培養した。一晩培養物を使用して、6LのLB培地(30μg/mLカナマイシン)に播種した。培養物を20℃で0.7のOD600まで増殖させ、次いで1mMのイソプロピル-チオガラクトピラノシドで16時間誘導した。細胞を5000gで45分間遠心することによって収穫し、250mLの氷冷溶解緩衝液(20mMイミダゾール;100mM NaCl;20mMトリス-HCl、pH7.4;1重量/容量%Triton X-100)で再懸濁した。細胞を20分間の超音波処理により破壊し、溶解物を20,000gで35分間遠心して残渣を除去した。(His)6タグ付きCRALBPを、製造者の指示に従って、10mLのNi-NTA SUPERFLOW(Qiagen)でのアフィニティークロマトグラフィーにより、上清から精製した。簡潔に述べると、溶解物を予め溶解緩衝液中で平衡化したカラムに装填し、200mLの溶解緩衝液で洗浄し、35mLの溶出緩衝液(20mMトリス-HCl、pH7.4;200mMイミダゾール;100mM NaCl)で溶出した。典型的な収量は、SDS/PAGEにより判定した場合、純粋なCRALBP 35~40mgであった。アポ-CRALBPの凝集を防ぐために、タンパク質溶出液をプールし、Vivaspin(Satorius,Goettingen,DE)遠心濃縮器(MWCO 10kDa)を用いて10mg/ml以下まで濃縮した。
実施例8
単量体CRALBP-11-シス-レチナールおよびCRALBP-11-シス-レチナールホモオリゴマーの同族リガンド複合体からなる混合物の調製
【0146】
11-シス-レチナールを含むすべての手順は、明記されていない限り、4℃で暗赤色照明(40Wルビー電球)下において行った。CRALBPを、コール酸ナトリウム(55.7mM)の存在下で16.7mMの濃度でリガンドを添加し、混合物を4℃で15分間インキュベートすることにより、11-シス-レチナール(CRALBPよりも1.5倍モルが多い)に結合させた。あるいは、CRALBPを、エタノール中16.7mMの濃度でリガンドを添加し、混合物を4℃で15分間、または45分以内の間インキュベートすることにより、11-シス-レチナール(CRALBPより1.5倍モルが多い)に結合させた。(His)6タグをトロンビンプロテアーゼ(GE Healthcare)20ユニットを加え、その後、4℃で一晩インキュベートすることにより切断した。次いで、タンパク質溶液をNi-NTAカラムに通して、未切断物質を除去した。素通り画分をCentriprep-10(Millipore)により20mg/mLまで濃縮した。CRALBPの同族リガンド複合体をSuperose 6 SECカラム(GE Healthcare)で分離した。
実施例9
単量体CRALBP-9-シス-レチナールおよびCRALBP-9-シス-レチナールホモオリゴマーの同族リガンド複合体からなる混合物の調製
【0147】
9-シス-レチナールを含むすべての手順は、明記されていない限り、4℃で暗赤色照明(40Wルビー電球)下において行った。CRALBPを、コール酸ナトリウム(55.7mM)の存在下で16.7mMの濃度でリガンドを添加し、混合物を4℃で15分間インキュベートすることにより、9-シス-レチナール(CRALBPよりも1.5倍モルが過剰である)に結合させた。あるいは、CRALBPを、エタノール中16.7mMの濃度でリガンドを添加し、混合物を4℃で15分間インキュベートすることにより、9-シス-レチナール(CRALBPより1.5倍モルが多い)に結合させた。(His)
6タグを4℃で一晩トロンビンプロテアーゼ(GE Healthcare)20ユニットで切断し、タンパク質溶液をNi-NTAカラムに通した。素通り画分をCentriprep-10(Millipore)により20mg/mLまで濃縮した。CRALBPの同族リガンド複合体の混合物をSuperose 6 Increase SECカラム(GE Healthcare)で分離した(
図11A、
図11B、
図11C)。
実施例10
CRALBP-11-シス-レチナールホモオリゴマー複合体の特徴
A.サイズ排除クロマトグラフィー
【0148】
CRALBP-11-シス-レチナールホモオリゴマーの分取および分析用SECを、それぞれ、HiLoad 16/60 Supersose 75 prep gradeおよびSuperose 6 SECカラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)で実施した(両方ともAEKTA Purifierクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)に付属)。分析は、SEC緩衝液(20mMトリス、pH7.4、100mM NaCl)中、6℃で0.5ml/分(分析)から1.5ml/分(分取)の範囲の流速で実施した。SECカラムは両方とも、市販のタンパク質較正キット(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて較正した。単量体CRALBP-11-シス-レチナールおよびホモオリゴマーCRALBP-11-シス-レチナールを表すピーク画分をプールし、Centriprep-10(Millipore)により20mg/mLまで濃縮した。
B.陰性染色透過電子顕微鏡法
【0149】
0.3mg/mlの濃度でのCRALBP-11-シス-レチナールホモオリゴマーのサンプルを、事前に空気中で低圧でグロー放電により親水性にしておいたparlodion炭素被覆銅グリッドに1分間吸着させた。吸着後、グリッドを3滴の二回蒸留水で洗浄し、2滴の0.75%蟻酸ウラニルで染色した。Morada CCDカメラ(Soft Imaging System)を装備した、80kVで動作するPhilips CM12透過電子顕微鏡で電子顕微鏡写真を記録した。画像解析は、ImageJ画像処理プログラムV1.490(NIH,MD,USA)を用いて行った(
図10)。
実施例11
CRALBP-9-シス-レチナールホモオリゴマー複合体の特徴
A.サイズ排除クロマトグラフィー
【0150】
CRALBP-9-シス-レチナールホモオリゴマーの分取および分析用SECを、それぞれ、HiLoad 16/60 Supersose 75 prep gradeおよびSuperose 6 Increase SECカラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)で実施した(両方ともAEKTA Purifierクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)に付属)。分析は、SEC緩衝液(20mMトリス、pH7.4、100mM NaCl)中、6℃で0.5ml/分(分析)から1.5ml/分(分取)の範囲の流速で実施した。SECカラムは両方とも、市販のタンパク質較正キット(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて較正した。単量体CRALBP-9-シス-レチナールおよびホモオリゴマーCRALBP-9-シス-レチナールを表すピーク画分をプールし、Centriprep-10(Millipore)により20mg/mLまで濃縮した(
図11A、
図11B、
図11C)。
実施例12
α-TTP三量体を含むα-TTP-α-Tolナノスフェアによるトランスサイトーシス
【0151】
分析用ゲル濾過からの単量体および二十四量体タンパク質に対応するα-TTP画分を、Horisberger(Horisberger,M.(1984).,Polak,J.,Varndel,I.Ed.Elsevier:Amsterdam,p.98)によって以前に記述されたPIERCE法に従って、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識した。簡潔に述べると、炭酸塩緩衝液(0.1M、pH9.0)にタンパク質サンプルを移し、同じ緩衝液中で予め平衡化したPD-10脱塩カラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて標識した。FITCは、使用前に新たに無水DMSO(1mg/ml)に溶解した。標識反応は、1mlのタンパク質(1mg/ml)に50μlのFITC DMSO溶液を添加することによって開始させた。反応混合物を37℃で2時間インキュベートし、予めPBS(10mMリン酸塩、138mM NaCl、27mM KCl、pH7.4)で平衡化したPD-10カラムを用いて過剰のFITCを除去することにより停止させた。標識されたタンパク質サンプルを、PBS中のSuperose 6 10/300 GLカラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)で分析用SECにより最終的に精製した。トランスフェリンを同じ方法で標識し、トランスサイトーシス実験における陽性対照として使用した。α-TTP-α-Tolナノスフェアによるトランスサイトーシスの促進を実証するために、本発明者らはヒト臍静脈由来の内皮初代細胞(HUVEC)を使用した。HUVECは、Miltenyi Biotecプロトコールに従って、トリプシン/EDTAの補助により新鮮な臍帯から単離した。内皮起源の真正性は、フォン・ビルブラント因子(vWF)およびCD31の陽性免疫蛍光共染色によって確認された。HUVECは、ゼラチンを事前にコーティング(Sigma-Aldrich,Germany)した、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(PAN Biotech,Germany)を含む内皮細胞増殖培地(Promocell,Germany)において、トランズウェルシステム(0.4μmの孔径を有する浸透性ポリエステル膜;Corning,USA)で培養した。培地を隔日に交換しながら、細胞は、培養7日以内に緊密な単層を形成させた。トランスサイトーシスを測定するために、200μgのRITC-デキストラン70kDa(Sigma Aldrich,MO,USA)および200μgのFITC標識単量体α-TTP、α-TTP-α-Tolナノスフェアのいずれか、またはトランスフェリン(陽性対照として)を含む媒体を頂端チャンバ(apical chamber)にそれぞれ適用する。頂端チャンバにサンプルを添加した後の様々な時点(15、30、45、60、120、180および240分)で100μlの基底外側の培地をサンプリングすることにより、輸送を監視した。続いて、基底外側のアリコートを、Tecan infinite200マイクロプレートリーダ(Tecan,Maennedorf,CH)を用いて、蛍光について485nmの励起波長および535nmの発光波長(FITC)で分析した後、545nmの励起波長および発光波長590nm(RITC)で測定を行った。上皮細胞モデルとして表されるCaCo-2/TC7細胞株(ヒト結腸直腸腺癌細胞;Dr.G.Lietz(Newcastle University,UK)より厚意により提供)を、トランスサイトーシス実験における陰性対照として使用した。グルコース4.5g/l、L-グルタミン4mmol/l、ピルビン酸ナトリウム1mmol/l、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μμg/ml(PAN Biotec,Germany)、および20%(容量/容量)FCS(Gibco,Germany)を含有するダルベッコ変性イーグル培地中でCaCo-2細胞を維持した。CaCo-2細胞は、バリアおよび輸送研究のためのインビボモデルとして広く使用されている(Piegholdt Sら、Free Radical Biology and Medicine 2014 70:255-264;Kops SK,West AB,Leach J,Miller RH.,The Journal of nutrition 1997 127:1744-1751;Levy E,Mehran M,Seidman E.,The FASEB Journal 1995 9:626-635)。CaCo-2細胞は分化し、培養の10日以内に上記と同じトランズウェルシステムで堅密な上皮単層を形成する。トランスサイトーシス実験は、HUVEC実験に従って行った。フラックス速度は、Fisherらによって以前に記述されたとおり算出した(Fisher Jら、American Journal of Physiology-Cell Physiology 2007 293:C641-C649)。傍細胞フラックスの対照として、および密着結合の形成を保証するものとして、ローダミンイソチオシアネート(RITC)デキストラン(70kDa)を密着結合対照として各実験において頂端チャンバに同時に添加した。RITCがそれぞれ545nmの励起波長および590nmの発光波長で検出されたことを除いて、RITCデキストランによる傍細胞輸送レベルをFITC-α-TTPと同じ様式で測定した。RITCおよびFITCの異なる蛍光挙動により、目的のタンパク質およびデキストラン対照の同時分析が可能になった。デキストランは、内皮細胞によってかなりのレベルで内在化されないので、基底チャンバにおけるデキストランの蓄積はいずれも、傍細胞フラックスと相関する(
図12)。
実施例13
CRALBP三量体を含むCRALBP-シス-レチナールナノスフェアによるトランスサイトーシス
【0152】
分析ゲル濾過からの単量体およびホモオリゴマータンパク質に対応するCRALBP画分を、Horisbergerによって以前に記述されたPIERCE法に従ってフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識される(Horisberger,M.(1984).,Polak,J.,Varndel,I.編、Elsevier:Amsterdam,p.98)。簡潔に述べると、炭酸塩緩衝液(0.1M、pH9.0)にタンパク質サンプルを移し、同じ緩衝液中で予め平衡化したPD-10脱塩カラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いて標識する。FITCは、使用前に新たに無水DMSO(1mg/ml)に溶解する。標識反応は、1mlのタンパク質(1mg/ml)に50μlのFITC DMSO溶液を添加することによって開始させる。反応混合物を37℃で2時間インキュベートし、予めPBS(10mMリン酸塩、138mM NaCl、27mM KCl、pH7.4)で平衡化したPD-10カラムを用いて過剰のFITCを除去することにより停止させる。標識タンパク質サンプルを、PBS中のSuperose 6 10/300 GLカラム(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)で分析用SECにより最終的に精製する。トランスフェリンを同じ方法で標識し、トランスサイトーシス実験における陽性対照として使用する。CRALBP-シス-レチナールナノスフェアによるトランスサイトーシスの促進を実証するために、Miltenyi Biotecプロトコールに従って、トリプシン/EDTAの補助により、新鮮な臍帯から単離されたヒト臍静脈由来の内皮初代細胞(HUVEC)を使用する。内皮起源の真正性は、フォン・ビルブラント因子(vWF)およびCD31の陽性免疫蛍光共染色によって確認される。HUVECは、ゼラチンを事前にコーティング(Sigma-Aldrich,Germany)した、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(PAN Biotech,Germany)を含む内皮細胞増殖培地(Promocell,Germany)において、トランズウェルシステム(0.4μmの孔径を有する浸透性ポリエステル膜;Corning,USA)で培養する。培地を隔日に交換しながら、細胞は、培養7日以内に緊密な単層を形成させる。トランスサイトーシスを測定するために、200μgのRITC-デキストラン70kDa(Sigma Aldrich,MO,USA)および200μgのFITC標識単量体CRALBP、CRALBP-シス-レチナールナノスフェアのいずれか、またはトランスフェリン(陽性対照として)を含む媒体を頂端チャンバにそれぞれ適用する。頂端チャンバにサンプルを添加した後の様々な時点(15、30、45、60、120、180および240分)で100μlの基底外側の培地をサンプリングすることにより、輸送を監視する。続いて、基底外側のアリコートを、Tecan infinite200マイクロプレートリーダ(Tecan,Maennedorf,CH)を用いて、蛍光について485nmの励起波長および535nmの発光波長(FITC)で分析した後、545nmの励起波長および発光波長590nm(RITC)で測定を行う。上皮細胞モデルとして表されるCaCo-2/TC7細胞株(ヒト結腸直腸腺癌細胞;Dr.G.Lietz(Newcastle University,UK)より厚意により提供)を、トランスサイトーシス実験における陰性対照として使用する。グルコース4.5g/l、L-グルタミン4mmol/l、ピルビン酸ナトリウム1mmol/l、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml(PAN Biotec,Germany)、および20%(容量/容量)FCS(Gibco,Germany)を含有するダルベッコ変性イーグル培地中でCaCo-2細胞を維持した。CaCo-2細胞は、バリアおよび輸送研究のためのインビボモデルとして広く使用されている(Piegholdt Sら、Free Radical Biology and Medicine 2014 70:255-264;Kops SK,West AB,Leach J,Miller RH.,The Journal of nutrition 1997 127:1744-1751;Levy E,Mehran M,Seidman E.,The FASEB Journal 1995 9:626-635)。CaCo-2細胞は分化し、培養の10日以内に上記と同じトランズウェルシステムで堅密な上皮単層を形成する。トランスサイトーシス実験は、HUVEC実験に従って行う。フラックス速度は、Fisherらによって以前に記述されたとおり算出する(Fisher Jら、American Journal of Physiology-Cell Physiology 2007 293:C641-C649)。傍細胞フラックスの対照として、および密着結合の形成を保証するものとして、ローダミンイソチオシアネート(RITC)デキストラン(70kDa)を密着結合対照として各実験において頂端チャンバに同時に添加する。RITCがそれぞれ545nmの励起波長および590nmの発光波長で検出されることを除いて、RITCデキストランによる傍細胞輸送レベルをFITC-α-TTPと同じ様式で測定する。RITCおよびFITCの異なる蛍光挙動により、目的のタンパク質およびデキストラン対照の同時分析が可能になる。デキストランは、内皮細胞によってかなりのレベルで内在化されないことから、基底チャンバにおけるデキストランの蓄積はいずれも、傍細胞フラックスと相関する。
【配列表】