(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】道路復旧支援システム、道路復旧支援方法および道路復旧支援プログラム
(51)【国際特許分類】
E01C 23/01 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
E01C23/01
(21)【出願番号】P 2019042735
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168907
【氏名又は名称】本田 太久
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-004371(JP,A)
【文献】特開2017-020303(JP,A)
【文献】特開2018-018461(JP,A)
【文献】特開2002-041603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 21/00-23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装道路の表層および前記表層の一部に設けられた仮復旧用の仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記舗装面の画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定手段と、を備える、
ことを特徴とする道路復旧支援システム。
【請求項2】
前記舗装道路には、複数の前記仮表層が互いに隣接して設けられ、
前記道路復旧支援システムは、
前記画像に表された複数の前記仮表層の大きさの総和に対する各前記仮表層の大きさの比率を算出する仮表層比率算出手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の道路復旧支援システム。
【請求項3】
前記道路復旧支援システムは、
前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、
前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積に基づいて前記仮表層の復旧に要する費用を算出する費用算出手段と、
前記費用算出手段により算出された前記費用と前記仮表層比率算出手段により算出された前記比率とを乗算して前記費用を複数の前記仮表層に対応させて按分する費用按分手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の道路復旧支援システム。
【請求項4】
前記道路復旧支援システムは、
前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、
前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積と前記仮表層比率算出手段により算出された前記比率とを乗算して前記復旧範囲の面積を複数の前記仮表層に対応させて按分する面積按分手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の道路復旧支援システム。
【請求項5】
前記道路復旧支援システムは、
前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、
前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積に基づいて前記仮表層の復旧に要する費用を算出する費用算出手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の道路復旧支援システム。
【請求項6】
舗装道路の表層および前記表層の一部に設けられた仮復旧用の仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程をおこなうことにより撮像された前記舗装面の画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程をおこなうことによって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定工程と、を含む、
ことを特徴とする道路復旧支援方法。
【請求項7】
表層の一部に仮復旧用の仮表層が設けられた舗装道路の復旧を支援する道路復旧支援プログラムであって、
前記道路復旧支援プログラムは、
前記表層および前記仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像した画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップをおこなうことによって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定ステップと、
をコンピュータに実行させる、
ことを特徴とする道路復旧支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路復旧支援システム、道路復旧支援方法および道路復旧支援プログラムに関し、特に、仮復旧された舗装道路の復旧範囲を求めることが可能な道路復旧支援システム、道路復旧支援方法および道路復旧支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、舗装道路は、地表面から表層(例えば、アスファルト)、路盤(例えば、砕石)および路床(例えば、砂)の順で積層された積層構造からなり、国や地方公共団体等の道路管理者により管理されている。
このため、ガス管や水道管などの管路を敷設する場合には、道路管理者による占有許可等を受けたうえで、舗装道路の掘削をおこなわなければならないとされている。
【0003】
ここで、管路を敷設してから、舗装道路を最終的に復旧(以下、「本復旧」と称す)するまでの作業の流れについて説明する。
【0004】
まず、管路を敷設する作業(以下、「管路敷設工事」と称す)について説明すると、「管路敷設工事」では、一般に、
(a)まず、舗装道路を路床まで掘削して管路を敷設する、
(b)次に、管路の周囲に砂を埋め込んで仮舗装材としての仮アスファルトを設ける、
といった順で作業がおこなわれる。
すなわち、「管路敷設工事」においては、舗装道路を「本復旧」する作業(「以下、「本復旧工事」と称す」)まではおこなわず、原則として、一般人が利用することができるように、舗装道路の「仮復旧」までおこなうこととされている。
これは、「本復旧工事」については、現状、道路管理者の管理のもと、おこなうこととされているからである。
【0005】
次に、「本復旧工事」について説明すると、本工事では、埋設された管路の周囲に埋め込まれた砂が十分に「自然転圧」された後、
(a)まず、「管路敷設工事」において施された仮アスファルトおよび砂を撤去する、
(b)次に、(管路の周囲において「自然転圧」された)路床(砂)の上に、路盤および表層(アスファルト)を設ける、
といった順で作業がおこなわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、「舗装復旧工事」では、「仮復旧」された範囲(仮アスファルトが施された範囲)のみを「本復旧」するのではなく、道路管理者が現場確認等をおこなったうえで、これよりも広い範囲で「本復旧」する場合がほとんどである。
【0008】
これは、例えば、「仮復旧」された範囲に近接(例えば、「1m」)して舗装目地等が存在する場合において、その範囲のみを「本復旧」したとすると、舗装目地等と「本復旧」した部分との間に位置するアスファルトが剥がれてしまうおそれがあり、道路管理者による管理上、好ましくない結果を招くこととなるからである。
【0009】
ところで、実務上、「仮復旧」した比較的早い段階で、「本復旧」の範囲(面積)を事前に求めなければならないケース(例えば、「管路敷設工事」をおこなった会社が「舗装復旧工事」の費用を算出するケース)がしばしばある。
【0010】
しかしながら、道路管理者以外の者が「本復旧」の範囲を求める際に、「仮復旧」した場所の近くに舗装目地等があると、「本復旧」に関する知識を有する者の知見を得なければこれを求めることができない場合が少なくなく、かかる場合、その作業が煩雑になるうえ、時間がかかってしまう、といった問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、舗装道路の「本復旧」する範囲を容易かつ迅速に求めることが可能な道路復旧支援システム、道路復旧支援方法および道路復旧支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、本発明にかかる道路復旧支援ステムによれば、舗装道路の表層および前記表層の一部に設けられた仮復旧用の仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された前記舗装面の画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定手段と、を備える、ことにより解決される。
【0013】
また、上記課題は、本発明にかかる道路復旧支援方法によれば、舗装道路の表層および前記表層の一部に設けられた仮復旧用の仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像する撮像工程と、前記撮像工程をおこなうことにより撮像された前記舗装面の画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定工程と、前記判定工程をおこなうことによって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定工程と、を含む、ことによっても解決される。
【0014】
さらに、上記課題は、本発明にかかる道路復旧支援プログラムによれば、表層の一部に仮復旧用の仮表層が設けられた舗装道路の復旧を支援する道路復旧支援プログラムであって、前記道路復旧支援プログラムは、前記表層および前記仮表層を含む前記舗装道路の舗装面を撮像した画像に前記表層同士の継ぎ目および前記表層と他の構造物との境目を含む目地が存在するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップをおこなうことによって前記目地が存在すると判定されると、前記仮表層と前記目地との間の距離に基づいて前記仮表層を復旧する復旧範囲を決定する復旧範囲決定ステップと、をコンピュータに実行させる、ことによっても解決することができる。
【0015】
上記構成では、仮表層および舗装目地等を含む舗装面を撮像するだけで、仮表層を復旧する範囲が決定されるように構成されている。
このため、上記構成では、特別な知識を有する者でなくても、「本復旧」の範囲を容易かつ迅速に求めることができる。
【0016】
なお、上記道路復旧支援システムにかかる発明においては、前記舗装道路には、複数の前記仮表層が互いに隣接して設けられ、前記道路復旧支援システムは、前記画像に表された複数の前記仮表層の大きさの総和に対する各前記仮表層の大きさの比率を算出する仮表層比率算出手段をさらに備える、と好適である。
この場合、前記道路復旧支援システムは、前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積に基づいて前記仮表層の復旧に要する費用を算出する費用算出手段と、前記費用算出手段により算出された前記費用と前記仮表層比率算出手段により算出された前記比率とを乗算して前記費用を複数の前記仮表層に対応させて按分する費用按分手段と、を備えるか、または、前記道路復旧支援システムは、前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積と前記仮表層比率算出手段により算出された前記比率とを乗算して前記復旧範囲の面積を複数の前記仮表層に対応させて按分する面積按分手段と、を備える、とより好適である。
【0017】
また、上記道路復旧支援システムに係る発明においては、前記道路復旧支援システムは、前記復旧範囲の面積を算出する面積算出手段と、前記面積算出手段により算出された前記復旧範囲の面積に基づいて前記仮表層の復旧に要する費用を算出する費用算出手段をさらに備える、と好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明にかかる道路復旧支援システム、道路復旧支援方法および道路復旧支援プログラムによれば、簡易な構成でありながらも、「本復旧」する範囲を容易かつ迅速に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態にかかる舗装道路の概要を示す概要図である。
【
図2】本実施形態にかかる道路復旧支援システムの概略を示すブロック図である。
【
図3】道路復旧支援システムにおける制御処理1の内容を示すフローチャートである。
【
図4】道路復旧支援システムにおける制御処理2の内容を示すフローチャートである。
【
図5】道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、舗装道路の画像を読み込んだ直後の状態を示す図である。
【
図6】道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、舗装道路の画像に基準線分を入力した直後の状態を示す図である。
【
図7】道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、算出した面積を映し出している状態を示す図である。
【
図8】道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、積算条件を入力した直後の状態を示す図である。
【
図9】道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、積算結果を映し出している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかる舗装道路の概要を示す概要図、
図2は本実施形態にかかる道路復旧支援システムの概略を示すブロック図、
図3は道路復旧支援システムにおける制御処理1の内容を示すフローチャート、
図4は道路復旧支援システムにおける制御処理2の内容を示すフローチャート、
図5は道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、舗装道路の画像を読み込んだ直後の状態を示す図、
図6は道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、舗装道路の画像に基準線分を入力した直後の状態を示す図、
図7は道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、算出した面積を映し出している状態を示す図、
図8は道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、積算条件を入力した直後の状態を示す図、
図9は道路復旧支援システムにおける表示画像の一例を示す画像図であって、積算結果を映し出している状態を示す図である。なお、
図1中、「走行方向」は車両の走行する方向を、また、「反走行方向」はその反対方向をそれぞれ示している。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる道路復旧支援システム1(
図2参照)および道路復旧支援方法が適用される舗装道路Pの様子を示したものである。なお、上記道路復旧支援システム1と、道路復旧支援方法と、舗装道路Pとが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「道路復旧支援システム」と、「道路復旧支援方法」と、「舗装道路」とに該当する。
【0022】
(舗装道路Pの構成)
ここで、道路復旧支援システム1について説明する前に、本実施形態にかかる舗装道路Pについて
図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、舗装道路Pは、車両等が通行する車両用道路Rと、歩行者等が通行する歩行者用道路Sとを有し、砕石や砂が敷き詰められた路盤上に、表層としてのアスファルトTAが設けられたものである。なお、上記アスファルトTAが特許請求の範囲に記載の「表層」に該当する。
【0023】
車両用道路Rおよび歩行者用道路Sは、雨水等を排水するための側溝Gを境にして、その両側にそれぞれ設けられている。なお、以下においては、説明の便宜上、車両用道路Rと側溝Gとの境目を「境目B」と称することとする。
ここで、側溝Gについて説明すると、本実施形態にかかる側溝Gは、コンクリート製のいわゆるL型側溝からなり、複数のブロック(例えば、幅「600mm」(JIS規格))が連結されることにより形成されている。なお、上記側溝Gと、境目Bとが、特許請求の範囲に記載の「他の構造物」と、「境目」(「目地」)とに該当する。
【0024】
本実施形態にかかる車両用道路Rには、その中央に、車両等の通行を方向別に区分けするセンターラインCLが標示され、アスファルトTAには、センターラインCLに沿って、舗装目地PJ(隙間)が形成されている。なお、上記舗装目地PJが特許請求の範囲に記載の「継ぎ目」(「目地」)に該当する。
【0025】
また、本実施形態では、アスファルトTAの一部に、複数の仮アスファルトPA1~PA3が互いに隣接して設けられている。なお、上記仮アスファルトPA1~PA3が特許請求の範囲に記載の「仮表層」に該当する。
【0026】
仮アスファルトPA1~PA3は、何れも、埋設物(例えば、ガス管等の管路)を敷設した後に施工されたもので、それぞれ、異なる会社(例えば、仮アスファルトPA1は水道会社、仮アスファルトPA2はガス会社、また、仮アスファルトPA3は下水道会社)により施工されたものである。
【0027】
また、仮アスファルトPA1~PA3は、何れも、直線状の外周部を有し、仮アスファルトPA1,PA3が矩形状に、また、仮アスファルトPA2がT字状に、それぞれ、形成されている。
【0028】
本実施形態では、
(a)仮アスファルトPA1の「走行方向」側の外周ラインと、仮アスファルトPA3の「反走行方向」側の外周ラインとの間の距離が「6m」、
(b)仮アスファルトPA1~PA3のうち、
・最もセンターラインCL側に位置している仮アスファルトが、仮アスファルトPA2で、舗装目地PJとの間の距離が「2.5m」、
・最も側溝G側に位置する仮アスファルトが、仮アスファルトPA1で、これらの間の距離が「1.5m」、
となっている。
【0029】
なお、本実施形態にかかるアスファルトTAおよび仮アスファルトPA1~PA3は、一般的な「黒色」のものが用いられ、アスファルトTAの一部に仮アスファルトPA1~PA3を施した状態で、アスファルトTAは「薄い灰色」、また、仮アスファルトPA1~PA3は「黒色」となっている。
【0030】
(道路復旧支援システム1の構成)
次に、本実施形態にかかる道路復旧支援システム1について
図1および
図2を参照しつつ説明する。
図1および
図2に示すように、道路復旧支援システム1は、舗装道路Pの舗装面を撮像することが可能な撮像装置10と、管理サーバ20とを備え、これらは、公衆通信回線2を介して互いに通信することができるように構成されている。なお、上記撮像装置10が特許請求の範囲に記載の「撮像手段」に該当する。
【0031】
(撮像装置10)
本実施形態にかかる撮像装置10は、「写真撮像機能」、および、公衆通信回線2を介して他の通信機器と通信することが可能な「データ通信機能」等が設けられた公知の携帯端末(本実施形態では、いわゆる「スマートフォン」)である。
【0032】
詳しくは後述するが、本実施形態では、撮像装置10で舗装道路Pの舗装面を撮像した後、その画像データが管理サーバ20に送信されるように構成されている。なお、本実施形態では、撮像装置10として携帯端末を例にとって説明するが、他の撮像装置(例えば、デジタルカメラ)であってもよい。また、以下においては、撮像装置10から、直接、管理サーバ20に画像データを送信する場合を例にとって説明するが、例えば、撮像装置10により撮像された画像データを他の通信機器(例えば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer))に記憶させた後、この通信機器から(間接的に)管理サーバ20に送信することも可能である。
【0033】
(管理サーバ20の構成)
管理サーバ20は、例えば、ガスを供給するガス会社に設けられ、主として、制御装置21と、通信部24と、表示部25と、入力部26とを備えている。なお、上記制御装置21が特許請求の範囲に記載の「コンピュータ」に該当する。
【0034】
(制御装置21の構成)
制御装置21は、中央処理部22(CPU:Central Processing Unit)と、記憶部23とを有し、通信部24、表示部25および入力部26と電気的に接続されている。なお、上記中央処理部22が特許請求の範囲に記載の「判定手段」、「復旧範囲決定手段」、「仮表層比率算出手段」、「面積算出手段」、「費用算出手段」、「費用按分手段」および「面積按分手段」に該当する。
【0035】
(中央処理部22)
中央処理部22は、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み込み、所定の演算処理をおこなって、表示部25に所定の画像を表示等させる制御をおこなう。
【0036】
詳しくは後述するが、中央処理部22は、撮像装置10から送信された舗装道路Pの画像データを読み込んだ後、
(a)その画像データから仮アスファルトPA1~PA3、舗装目地PJおよび境目Bを抽出する(以下、この処理を「画像認識処理」と称す)、
(b)仮アスファルトPA1~PA3を復旧(以下、「本復旧」と称す)する範囲(
図1の「本復旧範囲SR」参照)を決定する、
(c)本復旧範囲SRおよび仮アスファルトPA1~PA3の面積をそれぞれ算出する、
(d)仮アスファルトPA1~PA3の面積の総和(以下、「総面積」と称す)に対する仮アスファルトPA1~PA3の面積の各比率(以下、「面積比率」と称す)を算出する、
(e)本復旧範囲SRの面積に基づいて「本復旧」の概算費用(以下、「本復旧費用」と称す)を算出する、
(f)仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」に基づいて「本復旧費用」を按分する、
等の処理をおこなうように構成されている。
【0037】
なお、中央処理部22において実行される「画像認識処理」については、今や公知であるため、詳しい説明を省略するが、本実施形態においても、表示部25に映し出された画像から特定の認識対象の特徴を特定して、認識することができるようになっている。
【0038】
ところで、本実施形態では、画像から認識する認識対象が、
(a)仮アスファルトPA1~PA3等の仮アスファルト、
(b)舗装目地PJおよび境目B(以下、「目地」と称す)等の目地、
といった、画像上、比較的「黒色」で表されやすいものであることから、例えば、いわゆる二値化処理をおこなったうえで「画像認識処理」をおこなうことも可能である。
【0039】
この場合、中央処理部22は、舗装道路Pの画像データを読み込んだ後、
(a)仮アスファルトや舗装目地が「黒色」、その他の部分は「白色」で表示されるように二値化処理する、
(b)二値化処理された画像データのうちの「黒色」の部分(「0」、「1」による画素データのうちの「0」)が予め定めた形状等(特徴要素)であるか否かを判定する、
(c)「黒色」の部分が予め定めた特徴要素に合致する場合、その部分を仮アスファルトや「目地」と認識する、
といった制御をおこなえばよい。
【0040】
(記憶部23)
記憶部23は、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーからなり、
・本システムの基本動作を司る基本動作プログラムや、後述する「道路復旧支援処理」を実行するためのプログラム(以下、「道路復旧支援プログラム」と称す)が記憶された記憶領域を有するほか、
・舗装復旧基準データ記憶領域23A、仮アスファルト画像認識データ記憶領域23B、目地画像認識データ記憶領域23Cおよび舗装復旧費データ記憶領域23D等を有している。なお、上記「道路復旧支援プログラム」が特許請求の範囲に記載の「道路復旧支援プログラム」に該当する。
【0041】
(舗装復旧基準データ記憶領域23A)
舗装復旧基準データ記憶領域23Aは、仮アスファルトPA1~PA3を「本復旧」する際に、本復旧範囲SRを決定するための基準データが記憶される領域である。
具体的に、舗装復旧基準データ記憶領域23Aには、
・原則、仮アスファルトの外周ラインから「+1.0m」まで「本復旧」する、
・「目地」から仮アスファルトの外周ラインまでの距離が「2.0m」以内の場合は、「目地」まで「本復旧」する、
・複数の仮アスファルトが点在する場合において、これらの間隔が「5.0m」以下であるとき、その間の部分も「本復旧」する、
等のデータが記憶されている。
【0042】
(仮アスファルト画像認識データ記憶領域23B)
仮アスファルト画像認識データ記憶領域23Bは、表示部25に映し出された画像(舗装道路Pの画像データ)から仮アスファルトを抽出(仮アスファルトの特徴を特定して認識)するための基準データが記憶される領域である。
例えば、上述したような二値化処理をおこなったうえで「画像認識処理」をおこなう場合にあっては、仮アスファルト画像認識データ記憶領域23Bには、一般的に想定される仮アスファルトの形状(例えば、矩形状やT字状)等のデータを記憶させておけばよい。
【0043】
(目地画像認識データ記憶領域23C)
目地画像認識データ記憶領域23Cは、表示部25に映し出された画像(舗装道路Pの画像データ)から「目地」を抽出(「目地」の特徴を特定して認識)するための基準データが記憶される領域である。
例えば、上述したような二値化処理をおこなったうえで「画像認識処理」をおこなう場合にあっては、目地画像認識データ記憶領域23Cには、一般的に想定される「目地」の形状(例えば、線形状)等のデータを記憶させておけばよい。
【0044】
(舗装復旧費データ記憶領域23D)
舗装復旧費データ記憶領域23Dは、決定された本復旧範囲SRの面積(この点については後述する)に基づいて、「本復旧費用」を算出するための基準データが記憶される領域である。
舗装復旧費データ記憶領域23Dには、例えば、
・「20,000円/m2」
といったデータが記憶されている。
【0045】
(通信部24)
通信部24は、公衆通信回線2を介して、撮像装置10等の通信機器と通信可能なインターフェイスである。
【0046】
(表示部25)
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)からなり、中央処理部22からの指令に基づいて所定の画像を表示する(
図5等参照)。
【0047】
(入力部26)
入力部26は、例えば、公知のキーボードやタッチパネルからなり、所定の情報を入力することが可能な装置である。
【0048】
(道路復旧支援システム1における制御処理)
次に、道路復旧支援システム1において実行される「道路復旧支援プログラム」を用いた処理(以下、「道路復旧支援処理」と称す)について
図1~
図9を参照しつつ説明する。
なお、以下においては、説明の便宜上、
(a)撮像装置10を用いて仮アスファルトPA1~PA3を含む舗装道路Pの舗装面が撮像されている(この作業が特許請求の範囲に記載の「撮像工程」に該当)、
(b)舗装道路Pの舗装面の画像データが撮像装置10から管理サーバ20に送信されている、
ことを前提として説明する。
【0049】
(画像データ読込判定処理S100)
図3および
図4に示すように、本実施形態にかかる「道路復旧支援処理」は、主に、中央処理部22において実行され、画像データ読込判定処理S100をおこなうことから始まる。
【0050】
図2、
図3および
図5に示すように、中央処理部22は、ステップS100において、撮像装置10から仮アスファルトPA1~PA3を含む舗装道路Pの画像データの読み込みがおこなわれたか否かを判定する処理(画像データ読込判定処理)をおこなう。
本実施形態では、例えば、舗装道路Pの画像データが、ドラッグアンドドロップ等をすることで、表示部25の画像表示領域25Aに映し出されたか否かをもってして、画像データ読込判定処理S100がおこなわれるように構成されている(
図5参照)。
中央処理部22は、画像データの読み込みがおこなわれたと判定すると、ステップS200に処理を移し、画像データの読み込みがおこなわれていないと判定すると、この処理を繰り返し実行する。
【0051】
(本復旧範囲算出要求判定処理S200)
図2~
図5に示すように、中央処理部22は、ステップS200において、本復旧範囲SRの算出要求があったか否かを判定する処理(本復旧範囲算出要求判定処理)をおこなう。
本実施形態では、表示部25に映し出された「本復旧範囲を算出しますか?「Yes」、「No」」の何れかが選択されることをもってして、本復旧範囲SRの算出要求があったか否かを判定するように構成されている(
図5参照)。
中央処理部22は、本復旧範囲SRの算出要求があると判定すると(「Yes」を選択)、ステップS300に処理を移し、本復旧範囲SRの算出要求がないと判定すると(「No」を選択)、本「道路復旧支援処理」を終了する。
【0052】
(平面化画像表示処理S300)
図2、
図3、
図5および
図6に示すように、中央処理部22は、ステップS300において、舗装道路Pの画像データ(歪みのある画像データ)を平面化して、その画像データを表示部25に表示する処理(平面化画像表示処理)をおこなう。なお、このような歪みのある画像データを平面化する技術は、今や公知であるため、詳しい説明を省略するが、本実施形態においても、立体的な画像データを立体補正して平面化する処理をおこなう。
【0053】
本実施形態では、
図5に示す画像の画像データを平面化して、その平面化された画像データを表示部25に表示するように構成されている(
図6参照)。
中央処理部22は、平面化画像表示処理S300をおこなった後、ステップS400に処理を移す。
【0054】
(基準線分入力判定処理S400)
図2、
図3および
図6に示すように、中央処理部22は、ステップS400において、平面化された画像に対して基準線分(縦基準線分BL1,横基準線分BL2)の入力があったか否かを判定する処理(基準線分入力判定処理)をおこなう。
本実施形態では、
(a)画像表示領域25Aに映し出された画像のうち、実際に長さのわかる表示画像(例えば、側溝Gの画像)上をドラッグすることで、縦基準線分BL1および横基準線分BL2を入力する、
(b)縦基準線分BL1の長さ(例えば、側溝Gの立上部の奥行:「100mm」)、横基準線分BL2の長さ(例えば、一個の側溝Gの幅:「600mm」(JIS規格))を、それぞれ、入力する、
(c)表示部25に映し出された「次へ」を選択する、
といった作業がおこなわれたことをもってして、基準線分の入力があったか否かを判定するように構成されている(
図6参照)。
中央処理部22は、縦基準線分BL1および横基準線分BL2の入力があったと判定すると、ステップS500に処理を移し、これらの入力がないと判定すると、この処理を繰り返し実行する。
【0055】
(画像認識処理S500)
中央処理部22は、ステップS500において、舗装道路Pの画像の中から仮アスファルトPA1~PA3および「目地」を抽出する処理(画像認識処理)をおこなう。
例えば、中央処理部22は、上述したように、
(a)舗装道路Pの画像データを二値化処理する、
(b)仮アスファルト画像認識データ記憶領域23Bおよび目地画像認識データ記憶領域23Cに記憶された各種データに基づいて、二値化処理された画像の中から仮アスファルトおよび「目地」の画像を抽出する、
といった処理をおこなう。
中央処理部22は、画像認識処理S500をおこなった後、ステップS600に移す。なお、画像認識処理S500をおこなった結果、仮アスファルトの画像や「目地」の画像が抽出されない場合も考えられるが、このような場合、表示部25に「画像を認識することができません」等の表示をおこなって、本「道路復旧処理」を終了するように構成してもよい。
【0056】
(目地画像判定処理S600)
中央処理部22は、ステップS600において、画像認識処理S500をおこなった結果、「目地」の画像が抽出されたか否かを判定する処理(目地画像判定処理)をおこなう。なお、この点について、本実施形態を例にとっていえば、舗装道路Pの画像に「目地」が存在するため(
図1参照)、目地画像判定処理S600において「Yes」と判定されることとなる。
中央処理部22は、「目地」の画像が抽出されたと判定すると、ステップS700に処理を移し、「目地」の画像が抽出されないと判定すると、ステップS800に処理を移す。なお、上記目地画像判定処理S600が特許請求の範囲に記載の「判定工程」および「判定ステップ」に該当する。
【0057】
(仮アスファルト・目地間距離算出処理S700)
図1~
図3および
図6に示すように、中央処理部22は、ステップS700において、仮アスファルトPA1~PA3と「目地」との間の距離を算出する処理(仮アスファルト・目地間距離算出処理)をおこなう。
例えば、中央処理部22は、
(a)画像認識処理S500において抽出された仮アスファルトPA1~PA3の画像の中から、
・舗装目地PJに最も接近する仮アスファルトを選定(本実施形態では、仮アスファルトPA2)するとともに、
・境目Bに最も接近する仮アスファルトを選定(本実施形態では、仮アスファルトPA1)する、
(b)入力された縦基準線分BL1および横基準線分BL2の長さに基づいて(基準線分入力判定処理S400)、
・仮アスファルトPA2と舗装目地PJとの間の距離を算出(本実施形態では、「2.5m」)するとともに、
・仮アスファルトPA1と境目Bとの間の距離を算出(本実施形態では、「1.5m」)する、
処理をおこなう。
【0058】
なお、このような距離の算出は、例えば、
(a)縦基準線分BL1の長さ(「100mm」)を、縦基準線分BL1の画素数で除算して、単位画素当たりの長さを算出する、
(b)仮アスファルトPA2の画像と、舗装目地PJの画像との間の画素数を求めて、これに単位画素当たりの長さを乗算する、
ことによっておこなうことが可能である。
中央処理部22は、仮アスファルト・目地間距離算出処理S700をおこなった後、ステップS800に処理を移す。
【0059】
(本復旧範囲決定処理S800)
中央処理部22は、ステップS800において、本復旧範囲SRを決定する処理(本復旧範囲決定処理)をおこなう。
具体的に、中央処理部22は、
(a)「目地」である舗装目地PJと仮アスファルトPA2との間の距離が「2.5m」、および、
(b)「目地」である境目B(側溝Gの端部)と仮アスファルトPA1との間の距離が「1.5m」、
(c)仮アスファルトPA1~PA3が互いに近接して配置されている(例えば、「5m」以内)、
といった条件のもと、舗装復旧基準データ記憶領域23Aに記憶されたデータ、例えば、
・原則、仮アスファルトの外周ラインから「+1.0m」まで「本復旧」する、
・仮アスファルトの外周ラインまでの距離が「2.0m」以内の場合は「目地」まで「本復旧」する、
・複数の仮アスファルトが点在する場合において、これらの間隔が「5.0m」以下であるとき、その間の部分も「本復旧」する、
といったデータに基づいて、本復旧範囲SRを決定する処理をおこなう。
【0060】
図1の例において、中央処理部22は、
(a)「走行方向」にあっては、仮アスファルトPA1の「走行方向」側の外周ラインから「1m」離れた位置、
(b)「反走行方向」にあっては、仮アスファルトPA3の「反走行方向」側の外周ラインから「1m」離れた位置、および、
(c)「走行方向」と交叉する方向(以下、「幅方向」と称す)にあっては、側溝Gから「6m」の位置、
で区画される範囲を、本復旧範囲SRとして決定するようになる。
本実施形態では、本復旧範囲決定処理S800をおこなった後、ステップS900に処理を移す。なお、上記本復旧範囲決定処理S800が特許請求の範囲に記載の「復旧範囲決定工程」および「復旧範囲決定ステップ」に該当する。
【0061】
(本復旧範囲面積算出処理S900)
中央処理部22は、ステップS900において、本復旧範囲決定処理S800で決定された本復旧範囲SRの面積を算出する処理(本復旧範囲面積算出処理)をおこなう。
具体的に、中央処理部22は、公知の手法、例えば、
(a)「走行方向」の距離(「8m」)と「幅方向」の距離(「6m」)と乗算して、本復旧範囲SRの面積を算出するか、または、
(b)本復旧範囲SR内の画素数に基づいてその面積を算出するか、
処理をおこなう(本実施形態では、本復旧範囲SRの面積:「48m2」(「6m」×「8m」)。
本実施形態では、本復旧範囲面積算出処理S900をおこなった後、ステップS1000に処理を移す。
【0062】
(仮アスファルト面積算出処理S1000)
図1~
図3および
図7に示すように、中央処理部22は、ステップS1000において、本復旧範囲面積算出処理S900でおこなった手法と同様な手法で、仮アスファルトPA1~PA3の各面積を算出する処理(仮アスファルト面積算出処理)をおこなう(本実施形態では、仮アスファルトPA1の面積:「2m
2」、仮アスファルトPA2の面積:「6m
2」、仮アスファルトPA3の面積:「4m
2」)。
中央処理部22は、仮アスファルト面積算出処理S1000をおこなった後、ステップS1100に処理を移す。
【0063】
(本復旧範囲・面積表示処理S1100)
中央処理部22は、
(a)本復旧範囲決定処理S800で決定した本復旧範囲SR、
(b)本復旧範囲面積算出処理S900で算出した本復旧範囲SRの面積、および、
(c)仮アスファルト面積算出処理S1000で算出した仮アスファルトPA1~PA3の各面積、
を表示部25に表示する処理(本復旧範囲・面積表示処理)をおこなう(
図7参照)。
中央処理部22は、本復旧範囲・面積表示処理S1100をおこなった後、ステップS1200に処理を移す。なお、本実施形態では、表示部25に、本復旧範囲SRおよび各面積情報を表示するように構成したが、これに加えて、寸法情報(
図1参照)も表示するように構成することも可能である。
【0064】
(積算要求判定処理S1200)
中央処理部22は、ステップS1200において、「本復旧費用」の積算要求があったか否かを判定する処理(積算要求判定処理)をおこなう。
本実施形態では、表示部25に映し出された「積算しますか?「Yes」、「No」」の何れかが選択されることをもってして、積算要求があったか否かを判定するように構成されている(
図7参照)
中央処理部22は、積算要求があったと判定すると(「Yes」を選択)、ステップS1300に処理を移し、積算処理がないと判定すると(「No」を選択)、本「道路復旧支援処理」を終了する。
【0065】
(積算条件受付処理S1300)
図1~
図3および
図8に示すように、中央処理部22は、ステップS1300において、「本復旧費用」を積算するための積算条件の指定があったか否かを判定する処理(積算条件受付処理)をおこなう。
【0066】
ところで、本実施形態では、上述したように、「本復旧」する前(道路管理者等による「本復旧」の工事が実際におこなわれる前)に、仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」に基づいて「本復旧費用」(概算費用)を按分することができるように構成されている。
すなわち、本実施形態では、本復旧範囲SRに異なる会社で施工された仮アスファルト(仮アスファルトPA1~PA3)が複数含まれている場合であっても、「本復旧費用」の費用分担に関する情報を、各会社に前もって提示することが可能となっている。
【0067】
このため、本実施形態では、例えば、
(a)仮アスファルトPA1~PA3が互いに異なる会社で施工された場合でも、また、
(b)仮アスファルトPA1および仮アスファルトPA2が同じ会社で、また、仮アスファルトPA3が異なる会社で施工された場合でも、
各会社(仮アスファルト)ごとに「本復旧費用」の積算をおこなえるようにするため、「AND」および「OR」の何れか一方を選択することができるように構成されている(
図8参照)。
【0068】
この点について具体的に説明すると、
・上記「a」の場合では、「仮アスファルトPA1「OR」仮アスファルトPA2「OR」仮アスファルトPA3」といったように、また、
・上記「b」の場合では、「仮アスファルトPA1「AND」仮アスファルトPA2「O」仮アスファルトPA3」といったように、
「AND」および「OR」の何れか一方を選択すればよい。
【0069】
さらに、本実施形態では、
(a)上述したような指定があった後、表示部25に映し出された「Yes」が選択されることをもってして、積算条件の指定があったと判定する一方、
(b)「No」が選択されることをもってして、積算条件の指定がないと判定する、
ように構成されている。なお、上述したような指定がない場合において「Yes」が選択される場合も考えられるが、この場合は、「積算条件を入力してください。」などの積算条件の入力を促す表示をおこなえばよい。また、本復旧範囲SRに仮アスファルトが1つしかないような場合には、「AND」および「OR」の何れか一方を選択する必要がないため、「Yes」および「No」の何れか一方の選択のみで積算条件の指定があったか否かを判定すればよい。
中央処理部22は、積算条件の入力があったと判定すると、ステップS1400に処理を移し、積算条件の入力がないと判定すると、本「道路復旧支援処理」を終了する。
【0070】
(仮アスファルト面積比率算出処理S1400)
中央処理部22は、ステップS1400において、仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」を算出する処理(仮アスファルト面積比率算出処理)をおこなう。
【0071】
具体的に、中央処理部22は、
(a)まず、仮アスファルト面積算出処理S1000で算出した仮アスファルトPA1~PA3の各面積の合計を算出する(本実施形態では、仮アスファルトPA1~PA3の合計:「12m2」(「2m2」+「6m2」+「4m2」)、
(b)次に、仮アスファルトPA1~PA3の合計に対する仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」を算出する(本実施形態では、仮アスファルトPA1の「面積比率」:「17%」(「2m2」/「12m2」)、仮アスファルトPA2の「面積比率」:「50%」(「6m2」/「12m2」、仮アスファルトPA3の「面積比率」:「33%」(「4m2」/「12m2」))、
処理をおこなう。なお、本復旧範囲SRに仮アスファルトが1つしかない場合も考えられるが、この場合、「面積比率」は「100%」になることとなる。
中央処理部22は、仮アスファルト面積比率算出処理S1400をおこなった後、ステップS1500に処理を移す。
【0072】
(本復旧面積按分処理S1500)
中央処理部22は、ステップS1500において、仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」に基づいて本復旧範囲SRの面積を按分する処理(本復旧面積按分処理)をおこなう。
【0073】
具体的に、中央処理部22は、本復旧範囲面積算出処理S900で算出した本復旧範囲SRの面積と、仮アスファルト面積比率算出処理S1400で算出した「面積比率」とを乗算して、仮アスファルトPA1~PA3ごとに本復旧範囲SRの面積を按分する処理をおこなう(本実施形態では、仮アスファルトPA1に対応する面積:「8.16m2」(「48m2」×「17%」)、仮アスファルトPA2に対応する面積:「24m2」(「48m2」×「50%」)仮アスファルトPA1に対応する面積:「15.84m2」(「48m2」×「33%」)。
中央処理部22は、本復旧面積按分処理S1500をおこなった後、ステップS1600に処理を移す。
【0074】
(積算処理S1600)
中央処理部22は、仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」に基づいて「本復旧費用」を按分する処理(積算処理)をおこなう。
【0075】
具体的に、中央処理部22は、
(a)まず、舗装復旧費データ記憶領域23Dに記憶されたデータと、本復旧範囲面積算出処理S900で算出した本復旧範囲SRの面積とに基づいて、「本復旧費用」を算出する(本実施形態では、「960,000円」(「20,000円/m2」×「48m2」))、
(b)次に、「本復旧費用」と、仮アスファルト面積比率算出処理S1400で算出した「面積比率」とを乗算して、仮アスファルトPA1~PA3ごとに「本復旧費用」を按分する(本実施形態では、仮アスファルトPA1に対応する費用:「163,200円」(「960,000円」×「17%」)、仮アスファルトPA2に対応する費用:「480,000円」(「960,000円」×「50%」)仮アスファルトPA1に対応する費用:「316,800円」(「960,000円」×「33%」))、
処理をおこなう。
【0076】
(積算結果表示処理S1700)
図1~
図3および
図9に示すように、中央処理部22は、表示部25に、本復旧範囲・面積表示処理S1100で表示した情報に加え(
図7参照)、
(a)仮アスファルト面積比率算出処理S1400で求めた「面積比率」、
(b)本復旧面積按分処理S1500で求めた面積、および、
(c)積算処理S1600で求めた「本復旧費用」、
を表示する処理(積算結果表示処理)をおこなう(
図9参照)。
【0077】
これにより、
(a)仮アスファルトPA1を施工した会社(例えば、水道会社)は、「面積比率」が「17%」、それに基づいて按分された「本復旧費用」が「163,200円」等の情報を、
(b)仮アスファルトPA2を施工した会社(例えば、ガス会社)は、「面積比率」が「50%」、それに基づいて按分された「本復旧費用」が「480,000円」等の情報を、また、
(c)仮アスファルトPA3を施工した会社(例えば、下水道会社)は、「面積比率」が「33%」、それに基づいて按分された「本復旧費用」が「316,800円」等の情報を、
それぞれ、知得できるようになっている。
中央処理部22は、積算結果表示処理S1700をおこなった後、本「道路復旧支援処理」を終了する。
【0078】
以上のように、本実施形態では、仮アスファルトPA1~PA3を含む舗装道路Pの舗装面を撮像するだけで、本復旧範囲SRが自動的に決定されるように構成されているため、「本復旧」に関する知識を有する者でなくても、本復旧範囲SRを、「本復旧」する前に、容易かつ迅速に求めることができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、仮アスファルトPA1~PA3の各「面積比率」に基づいて「本復旧費用」が事前に按分されるように構成されている。
すなわち、本実施形態では、本復旧範囲SRに異なる会社で施工された仮アスファルトPA1~PA3が含まれる場合であっても、「本復旧費用」の分担に関する情報を、各会社に対して、理にかなった形で事前に提示することが可能である。
この点、本実施形態は、従来、「本復旧」後におこなっていた費用分担の調整(各会社間でとかく揉めがちな作業)を、「本復旧」前に、公平性を保ちつつ、おこなうことができるため、作業の効率化を図ることができる、ものといえる。
【0080】
なお、本実施形態では、撮像装置10で撮像された舗装道路Pの画像データを管理サーバ20に送信した後、管理サーバ20側で本復旧範囲SRの決定および本復旧費の積算等の処理をおこなうように構成したが、管理サーバ20側でおこなう処理を撮像装置10側でおこなうように構成することも可能である。
例えば、このような構成は、管理サーバ20に記憶された「道路復旧支援プログラム」や、舗装復旧基準データ記憶領域23A~本復旧費データ記憶領域23Dに記憶された各種データを撮像装置10に記憶させることによって実現することが可能である。
【0081】
また、本実施形態では、本復旧範囲SRを決定した後、「本復旧費用」の積算をおこなうように構成したが、このような「本復旧費用」の積算を省略することも可能である。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により、本発明は限定されるものではない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることはもちろんであることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0083】
1 道路復旧支援システム
2 公衆通信回線
10 撮像装置
20 管理サーバ
21 制御装置
22 中央処理部
23 記憶部
23A 舗装復旧基準データ記憶領域
23B 仮アスファルト画像認識データ記憶領域
23C 目地画像認識データ記憶領域
23D 舗装復旧費データ記憶領域
24 通信部
25 表示部
25A 画像表示領域
26 入力部
P 舗装道路
R 車両用道路
S 歩行者用道路
TA アスファルト
PA1~PA3 仮アスファルト
CL センターライン
G 側溝
PJ 舗装目地
B 境目
SR 本復旧範囲
BL1 縦基準線分
BL2 横基準線分