(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 5/06 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
E02F5/06 A
(21)【出願番号】P 2019153100
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茅根 征勲
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-331695(JP,A)
【文献】特開平08-291536(JP,A)
【文献】特開平09-316920(JP,A)
【文献】特開平03-295935(JP,A)
【文献】特開平04-016720(JP,A)
【文献】特開昭55-057365(JP,A)
【文献】特開平06-248630(JP,A)
【文献】実開昭54-149101(JP,U)
【文献】米国特許第05070632(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/00-7/10
E02F 9/00-9/18
E02F 9/20-9/22
E02F 3/28-3/43
E02F 3/84-3/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に支持されて、地面を掘削して溝を生成するトレンチャーと、
前記トレンチャーに支持されて、前記トレンチャーによって掘削された土砂を、前記トレンチャーによって生成された溝の側方に排土するシュートと、
前記車両本体及び前記トレンチャーを操作する操作装置を有し、前記車両本体に支持されたキャブとを備える作業車両において、
前記キャブは、前記車両本体の幅方向における前記トレンチャーの一方側において、前記車両本体に支持され、
前記シュートは、前記幅方向における前記トレンチャーの他方側に土砂を排土
し、
前記シュートは、
前記幅方向における前記トレンチャーの一方側に配置される側面板と、
溝の生成方向の上流側において前記側面板に接続され、前記トレンチャーで掘削された土砂を前記幅方向における前記トレンチャーの他方側に排土する排土受板と、
溝の生成方向において、前記トレンチャー及び前記排土受板の間を仕切る仕切板とを有し、
前記排土受板は、前記幅方向における前記トレンチャーの他方側の先端で且つ前記仕切板より前記幅方向の他方側において、前記仕切板より溝の生成方向の下流側にまで延びる舌部を有することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両において、
前記キャブには、前記トレンチャーによって生成された溝の深さを測定するために、レーザ発信装置から発信されるレーザ光を受光するレーザ受光装置が取り付けられていることを特徴とする作業車両。
【請求項3】
請求項1に記載の作業車両において、
前記トレンチャーは、
前記車両本体に対して俯仰するブームに支持されたフレームと、
前記フレームに支持されて回転する無端環状のチェーンと、
前記チェーンの周方向に離間した位置に取り付けられた複数の掘削爪とを有し、
前記シュートは、一端が前記フレームに接続され、他端が前記シュートの下面に接続された支持棒によって、前記フレームに支持されていることを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項3に記載の作業車両において、
前記シュートは、前記作業車両の前後方向に離間した複数の前記支持棒によって、前記フレームに支持されていることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチャーを備える作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
深さに対して相対的に幅が狭い溝を生成する方法として、従来より、建設や農業用の走行車両にトレンチャーを取り付け、走行車両を走行させながらトレンチャーで地面を掘削する方法が知られている。
【0003】
より詳細には、溝を生成する作業車両は、地面を掘削して溝を掘るトレンチャーと、トレンチャーによって掘削された土砂を溝の側方に排土するシュートとを備える(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、トレンチャーで掘削された土砂を溝の側方に確実に排土するには、作業車両の幅方向にシュートを張り出す必要がある。しかしながら、キャブの前面にまでシュートが張り出すと、キャブに搭乗するオペレータの視界を遮るという課題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、キャブに搭乗するオペレータの視界を遮ることなく、トレンチャーで掘削した土砂を確実に排土可能な作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、走行可能な車両本体と、前記車両本体に昇降可能に支持されて、地面を掘削して溝を生成するトレンチャーと、前記トレンチャーに支持されて、前記トレンチャーによって掘削された土砂を、前記トレンチャーによって生成された溝の側方に排土するシュートと、前記車両本体及び前記トレンチャーを操作する操作装置を有し、前記車両本体に支持されたキャブとを備える作業車両において、前記キャブは、前記車両本体の幅方向における前記トレンチャーの一方側において、前記車両本体に支持され、前記シュートは、前記幅方向における前記トレンチャーの他方側に土砂を排土し、前記シュートは、前記幅方向における前記トレンチャーの一方側に配置される側面板と、溝の生成方向の上流側において前記側面板に接続され、前記トレンチャーで掘削された土砂を前記幅方向における前記トレンチャーの他方側に排土する排土受板と、溝の生成方向において、前記トレンチャー及び前記排土受板の間を仕切る仕切板とを有し、前記排土受板は、前記幅方向における前記トレンチャーの他方側の先端で且つ前記仕切板より前記幅方向の他方側において、前記仕切板より溝の生成方向の下流側にまで延びる舌部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャブに搭乗するオペレータの視界を遮ることなく、トレンチャーで掘削した土砂を確実に排土することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】シュートが装着されたトレンチャーの拡大図である。
【
図6】作業車両に搭載されるコントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業車両1の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る作業車両1の側面図である。なお、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、作業車両1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。すなわち、作業車両1の前後進方向(
図1の左右方向)を「前後方向」と定義し、前後方向と直交し且つ地面に平行な方向を「幅方向(左右方向)」と定義する。
【0011】
本実施形態に係る作業車両1は、暗渠排水用管類の埋設溝或いは深根性根葉類の収穫用溝のように、比較的幅が狭くて深い溝を掘るのに好適に用いられる。作業車両1は、
図1に示すように、下部走行体2と、上部旋回体3と、フロント作業機4とを主に備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、本発明の「車両本体」を構成する。但し、本発明の車両本体は、上部旋回体3を備えていなくてもよい。
【0012】
下部走行体2は、上部旋回体3及びフロント作業機4を支持した状態で、自走(前進、後退、旋回)可能に構成されている。下部走行体2は、一対のクローラ5を備える。エンジン(図示省略)の駆動力が伝達されて走行モータ(図示省略)が回転することによって、クローラ5が回転する。これにより、下部走行体2が走行する。但し、下部走行体2は、クローラ5に代えて、装輪式であってもよい。
【0013】
上部旋回体3は、旋回可能な状態で下部走行体2に支持されている。より詳細には、上部旋回体3は、エンジンの駆動力が伝達されて旋回モータ(図示省略)が回転することによって、下部走行体2に対して旋回する。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム6と、旋回フレーム6の前部に配置されるキャブ7と、旋回フレーム6の後部に配置されるカウンタウエイト8と、作業車両1を動作させる駆動力を発生させるエンジンとを主に備える。また、旋回フレーム6の前部には、フロント作業機4が配置されている。
【0014】
フロント作業機4は、作業車両1の前端で且つ作業車両1の幅方向の中央において、俯仰動可能な状態で旋回フレーム6に支持されている。フロント作業機4は、ブーム9と、トレンチャー10と、シュート20とを主に備える。ブーム9は、基端が旋回フレーム6に支持されている。また、ブーム9は、エンジンの駆動力が伝達されてブームシリンダ9aが伸縮することによって俯仰する。そして、ブーム9の俯仰動によって、トレンチャー10が昇降する。
【0015】
キャブ7は、作業車両1の前端で且つ作業車両1の幅方向の左端において、旋回フレーム6に支持されている。すなわち、キャブ7は、作業車両1の幅方向において、トレンチャー10より左方に配置されている。キャブ7には、作業車両1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部には、オペレータが着席するシート(図示省略)と、シートに着席したオペレータが操作する操作装置51(
図6参照)が配置されている。
【0016】
キャブ7に搭乗したオペレータが操作装置51を操作すると、当該操作に対応する操作信号がコントローラ40(
図6参照)に出力される。これにより、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。操作装置51は、例えば、ステアリング、ペダル、レバー、スイッチなどで構成される。
【0017】
次に、
図2~
図5を参照して、トレンチャー10及びシュート20の詳細を説明する。
図2は、トレンチャー10の側面図である。
図3は、シュート20の斜視図である。
図4は、シュート20が装着されたトレンチャー10の拡大図である。
図5は、作業車両1の正面図である。
【0018】
トレンチャー10は、ブーム9の先端に回動可能に支持されている。より詳細には、トレンチャー10は、エンジンの駆動力が伝達されてトレンチャーシリンダ10aが伸縮することによって、ブーム9に対して回動する。トレンチャー10は、地面に当接した状態で駆動することによって、地面を掘削して溝Tを生成する。トレンチャー10は、フレーム11と、モータ12と、駆動輪13と、従動輪14と、チェーン15と、複数の掘削爪16と、複数の排土板17とを主に備える。
【0019】
フレーム11は、ブーム9及びトレンチャーシリンダ10aに連結される基部11aと、チェーン15を回転可能に支持するチェーン支持部11bと、シュート20を支持する支持棒18、19の一端が連結されるシュート支持部11cとで構成される。
【0020】
基部11aは、ブーム9の先端が回動可能に連結されるブーム連結部11dと、トレンチャーシリンダ10aのロッドの先端が回動可能に連結されるロッド連結部11eとを備える。ブーム連結部11d及びロッド連結部11eは、基部11aの後端に設けられている。また、ロッド連結部11eは、ブーム連結部11dより上方に配置されている。
【0021】
チェーン支持部11bは、上下方向に沿って延設された状態で基部11aに支持されている。チェーン支持部11bは、その上端でモータ12及び駆動輪13を支持し、その下端で従動輪14を支持する。また、駆動輪13及び従動輪14には、無端環状のチェーン15が巻回されている。そして、モータ12の駆動力が伝達されて駆動輪13が回転すると、駆動輪13及び従動輪14に巻回されたチェーン15が、チェーン支持部11bの廻りを、
図2の時計回りに回転する。
【0022】
シュート支持部11cは、基端が基部11aに支持され、前方に向けて延設されている。また、シュート支持部11cは、上下方向において、駆動輪13と従動輪14との間に配置されている。さらに、シュート支持部11cは、作業車両1の幅方向において、チェーン15から外れた位置(チェーン15の右方)に配置されている。
【0023】
複数の掘削爪16は、周方向に離間した位置においてチェーン15に取り付けられている。複数の排土板17は、複数の掘削爪16それぞれに対応して、周方向に離間した位置においてチェーン15に取り付けられている。掘削爪16及び排土板17は、例えば、チェーン15の周方向に等間隔に配置されている。
【0024】
掘削爪16は、チェーン15が回転することによって土砂を掘削する鉄片である。排土板17は、対応する掘削爪16が掘削した土砂を保持する箱型に形成されている。排土板17は、チェーン15の回転方向の下流側が開放され、内部空間に掘削爪16を収容している。
【0025】
支持棒18、19は、一端がシュート支持部11cに接続され、他端がシュート20(後述する排土受板23)の下面に接続されている。すなわち、支持棒18、19は、フレーム11(シュート支持部11c)に対してシュート20を支持している。また、支持棒18、19は、作業車両1の前後方向に離間している。なお、支持棒18、19の数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0026】
本実施形態に係る支持棒18、19は、シュート支持部11cからシュート20に向けて斜め上方に延設されている。また、支持棒18、19は、平行に延設されている。また、支持棒19は、支持棒18より作業車両1の前方において、シュート支持部11c及びシュート20に接続されている。さらに、支持棒19の他端は、支持棒18よりシュート支持部11cから離れた位置において、シュート20に接続されている。
【0027】
作業車両1を後進させながらモータ12を駆動すると、トレンチャー10が地面を掘削して溝Tを生成する。より詳細には、上方に移動する掘削爪16(すなわち、チェーン支持部11bより作業車両1の後方に位置する掘削爪16)が土砂を掘削する。
【0028】
掘削爪16によって掘削された土砂は、排土板17に保持された状態でチェーン支持部11bの廻りを移動し、駆動輪13の廻りを回る過程(すなわち、上方から下方に移動方向を変える過程)で、作業車両1の前方に排出される。そして、作業車両1の前方に排出された土砂は、シュート20によって溝Tの側方に導かれる。
【0029】
シュート20は、トレンチャー10によって掘削された土砂を、トレンチャー10によって生成された溝Tの側方に排土する役割を担う。本実施形態に係るシュート20は、溝Tの右方に土砂を排土する。
【0030】
すなわち、作業車両1の幅方向において、キャブ7及びシュート20は、
図5に示すように、トレンチャー10を挟んで反対側に配置されている。換言すれば、キャブ7及びシュート20は、作業車両1の前後方向において、互いに対面していない。
【0031】
図4に示すように、シュート20は、トレンチャー10の上部領域(より詳細には、駆動輪13の周囲)を覆うカバーである。
図3に示すように、シュート20は、例えば、側面板21と、屋根板22と、排土受板23と、仕切板24とを主に備える。シュート20は、単一の板を曲げ加工して形成されてもよいし、複数の板を接合して形成されてもよい。
【0032】
側面板21は、トレンチャー10(駆動輪13の周辺)の側方を覆う板である。より詳細には、側面板21は、トレンチャー10の左方を覆っている。側面板21は、作業車両1の前後方向及び上下方向に延設されている。そして、側面板21は、チェーン支持部11bの上端に、シートスクリュ(図示省略)などを介して接続されている。
【0033】
すなわち、シュート20は、チェーン支持部11bと、シュート支持部11cとによって、トレンチャー10に支持されている。チェーン支持部11bによるシュート20の支持位置は、シュート支持部11cによるシュート20の支持位置より上方に位置する。また、チェーン支持部11bによるシュート20の支持位置と、シュート支持部11cによるシュート20の支持位置とは、作業車両1の前後方向及び幅方向に離間している。
【0034】
屋根板22は、側面板21の上端を覆う板である。屋根板22は、側面板21の上端から作業車両1の幅方向(右方向)に突出し、且つ側面板21の外縁に沿って作業車両1の前後方向に延設されている。屋根板22は、概ね円弧形状に構成されている。
【0035】
排土受板23は、側面板21の前端(溝Tの生成方向の上流側)に接続されている。排土受板23は、掘削爪16で掘削された土砂を溝の側方(右方)に排土する役割を担う。排土受板23は、受け部25と、ガイド部26と、舌部27とで構成される。
【0036】
受け部25は、側面板21の前端において、トレンチャー10に対面している。すなわち、受け部25は、側面板21の前端から作業車両1の幅方向(右方向)に突出し、且つ側面板21の外縁に沿って上下方向に延設されている。
【0037】
ガイド部26は、側面板21の下端と受け部25の下端とに接続されている。また、ガイド部26は、側面板21から作業車両1の幅方向(右方向)に延設されている。さらに、ガイド部26は、側面板21から遠ざかる向きに下り傾斜となっている。
【0038】
舌部27は、ガイド部26の先端に設けられている。また、舌部27は、ガイド部26の先端から作業車両1の後方側(溝Tの生成方向の下流側)に延設されている。さらに、舌部27は、作業車両1の後方側に向けて下り傾斜となっている。
【0039】
仕切板24は、作業車両1の前後方向において、トレンチャー10と受け部25との間に配置されている。また、仕切板24は、側面板21から作業車両1の幅方向(右方向)に突出し、且つ上下方向に延設されている。すなわち、仕切板24は、トレンチャー10と受け部25との間を、作業車両1の前後方向に仕切っている。
【0040】
また、仕切板24の下端は、ガイド部26に接続されている。さらに、仕切板24は、作業車両1の幅方向において、側面板21と舌部27との間に配置されている。換言すれば、舌部27は、仕切板24より側面板21から離れた位置において、ガイド部26から作業車両1の後方側に延設されている。
【0041】
トレンチャー10から作業車両1の前方に排出された土砂は、受け部25に当たって下方に導かれる。また、受け部25に当たってトレンチャー10側に跳ね返った土砂は、仕切板24に当たって下方に導かれる。次に、受け部25及び仕切板24によって下方に導かれた土砂は、ガイド部26によって溝Tの側方(右方)に導かれる。そして、ガイド部26上の土砂は、ガイド部26の先端及び舌部27を通じて、シュート20から排出されて、溝Tの側方に積み上げられる。
【0042】
また、作業車両1は、レーザ発信装置31及びレーザ受光装置32を用いて溝Tの深さを測定し、測定結果をキャブ7内の表示装置52(
図6参照)に表示させることができる。本実施形態では、レーザ発信装置31を作業車両1の外に設置し、レーザ受光装置32を作業車両1に搭載する例を説明する。但し、レーザ発信装置31及びレーザ受光装置32の設置位置は、逆転していてもよい。
【0043】
図1及び
図5に示すように、レーザ発信装置31は、作業車両1の前方で且つ既に生成された溝Tの側方において、地面に載置された三脚に支持されている。より詳細には、レーザ発信装置31は、作業車両1の前後方向において、キャブ7に対面する位置に設置される。レーザ発信装置31は、レーザ光を溝Tの底面に向けて発信する。
【0044】
レーザ受光装置32は、作業車両1に搭載される。レーザ受光装置32は、作業車両1の幅方向において、トレンチャー10を挟んでシュート20の反対側(すなわち、トレンチャー10の左方)に配置されるのが望ましい。より詳細には、レーザ受光装置32は、
図1に示すようにキャブ7の側面に取り付けられてもよいし、
図5に示すようにキャブ7の前面に取り付けられてもよい。
【0045】
レーザ受光装置32は、レーザ発信装置31から発信され、且つ溝Tの底面で反射されたレーザ光を受光する。そして、レーザ受光装置32は、レーザ光の到達時間(レーザ発信装置31でレーザ光が発信されてから受光するまでの経過時間)、レーザ光の受光角度(レーザ光の入射方向と水平方向とのなす角度)など検出し、検出結果を示す検出信号をコントローラ40(
図6参照)に出力する。
【0046】
図6は、作業車両1に搭載されるコントローラ40のブロック図である。コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、及びRAM(Random Access Memory)43を備える。コントローラ40は、ROM42に格納されたプログラムコードをCPU41が読み出して実行することによって、後述する処理を実現する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0047】
但し、コントローラ40の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0048】
コントローラ40は、レーザ受光装置32から出力される検出信号に基づいて、溝Tの深さを演算する。そして、コントローラ40は、演算した溝Tの深さを、キャブ7に設置された表示装置(ディスプレイ)52に表示させる。排水用管類を埋設する溝Tを掘削する場合、溝Tに勾配を持たせる必要がある。そこで、オペレータは、表示装置52に表示された溝Tの深さを見ながら操作装置51を操作する。
【0049】
そして、コントローラ40は、操作装置51から出力される操作信号に基づいて、アクチュエータ(走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ9a、トレンチャーシリンダ10a、及びモータ12)53を駆動する。より詳細には、コントローラ40は、油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間の油路に設置された電磁弁を操作したり、電動モータに電流を供給したりする。これにより、所定の勾配を持った溝Tが生成される。
【0050】
上記の実施形態によれば、例えば、以下の作用効果を奏する。
【0051】
図5に破線で示すように、作業車両1の前後方向において、キャブ7及びシュート20’を対面させて配置すると、キャブ7に搭乗するオペレータの視界を遮ることになる。そこで上記の実施形態のように、作業車両1の幅方向において、キャブ7及びシュート20をトレンチャー10を挟んで反対側に配置することにより、オペレータの視界を確保することができる。
【0052】
また、上記の実施形態のように、キャブ7及びシュート20を幅方向の反対側に配置することにより、レーザ発信装置31とレーザ受光装置32との間のレーザ光の光路を、シュート20が遮るのを防止することができる。
【0053】
また、上記の実施形態のように、キャブ7及びシュート20を幅方向の反対側に配置することにより、シュート20の幅方向(右方向)への張り出し量を大きくすることができる。その結果、トレンチャー10が掘削した土砂を溝Tの側方に確実に排土することができる。すなわち、シュート20によって排土された土砂が溝Tに戻るのを防止することができる。
【0054】
また、上記の実施形態によれば、溝Tの生成方向の下流側に延びる舌部27をガイド部26の先端に設けたので、未だ溝Tが形成されていない領域に土砂を排土することができる。その結果、シュート20によって排土された土砂が溝Tに戻るのを、さらに効果的に防止することができる。
【0055】
一方、シュート20の張り出し量を大きくすると、作業車両1の駆動時におけるシュート20の振動が大きくなる。そこで上記の実施形態によれば、側面板21に加えて、支持棒18、19によって、シュート20がフレーム11に支持されるので、作業車両1から伝搬する振動に対してシュート20を適切に支持することができる。また、支持棒18、19を作業車両1の前後方向に離間して配置することにより、シュート20をより適切に支持することができる。
【0056】
なお、上記の実施形態では、トレンチャー10の左方にキャブ7を配置し、シュート20がトレンチャー10の右方に土砂を排土する例を説明した。しかしながら、キャブ7及びシュート20の位置関係は前述の例に限定されず、左右逆転していてもよい。すなわち、キャブ7は、作業車両1の幅方向におけるトレンチャー10の一方側において、上部旋回体3に支持されていればよい。また、シュート20は、作業車両1の幅方向におけるトレンチャー10の他方側に土砂を排土すればよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、下部走行体2及び上部旋回体3を備える車両本体にトレンチャー10及びシュート20を取り付ける例を説明した。これにより、既存の油圧ショベルのアーム及びバケットを取り外して、トレンチャー10及びシュート20を取り付けることができる。但し、トレンチャー10及びシュート20を取り付ける車両本体の具体例は油圧ショベルに限定されず、トラクタ等であってもよい。
【0058】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 作業車両
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
5 クローラ
6 旋回フレーム
7 キャブ
8 カウンタウエイト
9 ブーム
9a ブームシリンダ
10 トレンチャー
10a トレンチャーシリンダ
11 フレーム
11a 基部
11b チェーン支持部
11c シュート支持部
11d ブーム連結部
11e ロッド連結部
12 モータ
13 駆動輪
14 従動輪
15 チェーン
16 掘削爪
17 排土板
18,19 支持棒
20,20’ シュート
21 側面板
22 屋根板
23 排土受板
24 仕切板
25 受け部
26 ガイド部
27 舌部
31 レーザ発信装置
32 レーザ受光装置
40 コントローラ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
51 操作装置
52 表示装置
53 アクチュエータ