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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】野菜を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20220825BHJP
   A23B 7/14 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23B7/14
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019188679
(22)【出願日】2019-10-15
(62)【分割の表示】P 2016530009の分割
【原出願日】2014-11-18
(65)【公開番号】P2020031643
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2019-11-01
(31)【優先権主張番号】1320418.5
(32)【優先日】2013-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516135531
【氏名又は名称】フルグリーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】パーカー ナイジェル
(72)【発明者】
【氏名】ミサ-ハリス ジョアンナ
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-528887(JP,A)
【文献】特開2000-308456(JP,A)
【文献】特開2002-360232(JP,A)
【文献】特開2001-231525(JP,A)
【文献】特開平01-225441(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0025426(KR,A)
【文献】特開平05-103587(JP,A)
【文献】特開2005-013069(JP,A)
【文献】特開2005-151939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00
A23L 5/00
A23L 19/00
A23B 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜を処理する方法であって、
i)前記野菜を機械的破砕に供するステップを含む、ダイスカットステップ;
ii)事前に決定された期間、前記野菜を加熱または冷凍するステップを含む、軟化ステップ;および
iii)前記の軟化された野菜産物を、過酸化物および超過酸化物から選択される1または複数の活性酸素種と接触させるステップを含む、処置ステップ、
を含み、
ここで、前記野菜は、Brassica oleracea種に属する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記の軟化ステップは、前記野菜を、焼くステップ、揚げるステップ、蒸すステップ、茹でるステップ、湯通しするステップ、または、電子レンジ調理するステップを含む、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記の軟化ステップは、前記野菜を乾煎りするステップを含む、
方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記の軟化ステップは、前記野菜を湯通しするステップを含む、
方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、
前記活性酸素種は過酸化水素である、
方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、
前記方法は、前記のダイスカットステップの前に、洗浄ステップをさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記の洗浄ステップは、前記野菜を抗菌性組成物と接触させるステップと、その後のすすぎステップ、を含む、
方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の方法であって、
前記方法は、事前に決定された温度で、事前に決定された時間、前記の処置された野菜産物を加熱する、調理ステップをさらに含む、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記の調理ステップの後に、前記の調理された野菜産物を急速に冷却して、前記の調理処理を止める、急速冷却ステップが続く、
方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法であって、
前記方法は、前記の処置された野菜産物を食品グレードの容器内に密封する、包装ステップをさらに含む、
方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
前記野菜は、キャベツ、芽キャベツ、ケール、ブロッコリー、および、コラードの葉から選択される、
方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法により調製される、
処理された野菜産物であって、
前記野菜は、Brassica oleracea種に属する、
野菜産物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜(特にカリフラワー)を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カリフラワーは、Brassicaceaeファミリーにおける、Brassica oleracea種内の、様々な野菜のうちの1つである。それは種により繁殖する一年生植物である。典型的に、頭部(白い花蕾)のみ食される。カリフラワーの頭部は、白い花序分裂組織からなる。カリフラワーの頭部は、ブロッコリーの頭部に似ている(花蕾を有する点が異なる)。その名称は、ラテン語の「caulis」(キャベツ)および花に由来する。Brassica oleraceaは、キャベツ、芽キャベツ、ケール、ブロッコリー、およびコラードの葉も含むが、それらは異なる栽培品種グループである。
【0003】
カリフラワーの4つの主なグループが存在する(Crisp,P.(1982).“The use of an evolutionary scheme for cauliflowers in screening of genetic resources”.Euphytica 31(3):725)。
【0004】
イタリアのもの
外見が多様であり、二年生および一年生のタイプがあり、このグループは、ホワイト、ロマネスコ、様々なグリーン、パープル、ブラウンおよびイエローの栽培品種を含む。このタイプは祖先型であり、そこから他のものが派生した。
【0005】
北西欧の二年生
欧州で冬および初春の収穫に用いられ、19世紀にフランスで開発された。古い栽培品種RoscoffおよびAngersを含む。
【0006】
北欧の一年生
欧州および北米で夏および秋の収穫に用いられ、18世紀にドイツで開発された。古い栽培品種ErfurtおよびSnowballを含む。
【0007】
アジアのもの
中国およびインドで用いられる熱帯カリフラワーであり、19世紀中にインドで開発された。古い品種Early PatnaおよびEarly Benarasを含む。
【0008】
世界中で用いられる、何百もの歴史上および現在市販される品種が存在する。
【0009】
カリフラワーは、異なる色が入手可能である:
【0010】
i.ホワイトは、最も一般的なカリフラワーの色である。
【0011】
ii.オレンジ(B.oleracea L.var.botrytis)は、ホワイトの品種よりも25%多くビタミンAを含む。この特性は、カナダのカリフラワー畑で見つかった天然の突然変異体から生じた(Dickson,M.H.,Lee C.Y.,Blamble A.E.(1988),“Orange-curd high carotene cauliflower inbreds,NY 156,NY 163,and NY 165”.HortScience 23:778-779)。栽培品種は、「Cheddar」および「Orange Bouquet」を含む。
【0012】
iii.B.oleracea botrytisのグループのグリーンカリフラワーは、ブロッコフラワーと呼ばれることがある。それは、標準的な花蕾の形状、および、ロマネスコブロッコリーと呼ばれる異形の先端の尖った花蕾の、両方で入手可能である。両方のタイプは、米国および欧州で、1990年代初期から市販されている。グリーンの花蕾である品種は、「Alverda」、「Green Goddess」および「Vorda」を含む。ロマネスコの品種は、「Minaret」および「Veronica」を含む。
【0013】
iv.バーブルカリフラワーは、その色は、赤キャベツおよび赤ワインにも見ることができる抗酸化基アントシアニンの存在に起因する(Chiu, L.,Prior,R.L.,Wu,X.,Li,L.(July 16,2005),“Toward Identification of the Candidate Gene Controlling Anthocyanin Accumulation in Purple Cauliflower(Brassica oleracea L.var.botrytis)”.米国植物生物学会年次会議628頁)。品種は、「Graffiti」および「Purple Cape」を含む。英国および南イタリアでは、極めて小さい花芽を有するブロッコリーは、「パープルカリフラワー」という名称の下で野菜として売られている。しかしながら、それは、パープルの花蕾を有するカリフラワーと同じものではない。
【0014】
カリフラワーは低脂肪、低糖質であるが、食物繊維、葉酸、水分、およびビタミンCが多い。それは高い栄養密度を有する。概算の栄養データを表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
カリフラワーは、スルフォラファンのようなヒトの健康に有益であり得る、キャベツファミリーに一般的な様々な植物化学物質を含む(Liu,RH(2004)“Potential synergy of phytochemicals in cancer prevention:mechanism of action”,The Journal of nutrition 134(12 Suppl):3479S-3485S)。カリフラワーの高摂取は、侵襲性の前立腺癌のリスク低減と関連している(Kirsh VA,Peters U,Mayne ST,Subar AF,Chatterjee N,Johnson CC,Hayes RB(2007),“Prospective study of fruit and vegetable intake and risk of prostate cancer,.Journal of the National Cancer Institute 99(15):1200-9)。
【0017】
カリフラワーは、あぶり焼くこと、茹でること、揚げること、蒸すこと、電子レンジ調理すること、または生で食べることができる。蒸すステップ、または電子レンジ調理するステップは、茹でるステップよりも、潜在的な抗癌化合物を良好に保つ(Warwick Medical School,University of Warwick(2007-05-15)。“Research Says Boiling Broccoli Ruins Its Anti Cancer Properties”,http://www2.warwick.ac.uk/newsandevents/pressreleases/research_says_boiling/)。茹でるステップは、これらの化合物のレベルを、5分後に20~30%、10分後に40~50%、および、30分後に75%の喪失で低減させる。しかしながら、他の調製方法、例えば、蒸すステップ、電子レンジ調理するステップ、および、かき混ぜながら強火で素早く炒めるステップは、化合物に対して重大な作用を有さない。
【0018】
調理するときは、外側の葉および太い茎は取り除き、房だけ残す。葉も食べられるが、ほとんどの場合は捨てられる。房は、それらが均一に調理されるように、同じサイズのピースに分けるべきである。
【0019】
カリフラワーは、米の代用品として用いられ得る。カリフラワーは、米と同様の歯ごたえ、または食感を生じさせることができるが、でんぷんが無い。カリフラワーの低脂肪、低糖質および高栄養の特性のおかげで、これは特に、糖質、脂肪および/またはカロリーの食事摂取が制限される人、または植物化学物質の食事摂取を増加させる人に適している。典型的に、新鮮なカリフラワー花蕾は、フードプロセッサ、ハンドヘルドおろし金、またはナイフのいずれかを用いて、米のサイズになるまで処理される。この米様カリフラワーはそれから、従来の方法を用いて調理され、調理された米様カリフラワー由来の産物(以降、「カリフラワー米」)が生産される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、産物が生産されるとすぐに、続いて変色し始め、消費者にとって好ましくない臭気の揮発性の化学物質を産生することは、カリフラワー米を生産する公知の方法での問題である。したがって、産物は長期保管に適さない。
【0021】
調理されたホワイトカリフラワーの花蕾は、黄褐色からピンクまで様々な色に変色し始める。呈色は、調理前のホワイトカリフラワーでは休止状態の遺伝子による、オレンジ、グリーンおよびパープルカリフラワーの品種に存在する、カロテン、クロロフィルおよびアントシアニン前駆体の発現に起因する。
【0022】
処理されたカリフラワーに観察され得る黒変は、細胞内のポリフェノール化合物(特にフラボノール)と外因の金属イオンとの間の相互作用に起因し得ることも知られている。細胞壁破壊が相互作用に必要であることが見いだされている(Advances in Food Research,Volume 19,Emil Marcel Mrak,C.O.Chichester,George Franklin Stewart,Academic Press,29 Oct 1971)。
【0023】
調理されたカリフラワーと関連する特徴的な臭気は、グルコシノレートの分解産物と関連する。これらは、アルキルシアニド、例えば、4-(メチルチオ)ブチルシアニドおよび4-(メチルチオ)ブチルイソチオシアネート(グルコエルシン(glucoerucin)由来)、および、3-(メチルチオ)プロピルシアニドおよび3-(メチルチオ)プロピルイソチオシアネート(グルコイベベリン(glucoibeverin)由来)を含む。
【0024】
特定の野菜の臭気および/または味を不快であると感じる人もいる。したがって、低減された臭気および/または味を有する野菜ベースの産物は、有益である。さらに、またはあるいは、保管時の期間のあいだ、変色またはそれ以外の劣化、悪化または腐敗しない野菜ベースの産物もまた、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第一の態様によれば、
i)野菜を機械的破砕に供するステップを含む、ダイスカットステップ;
ii)事前に決定された期間、野菜を加熱または冷凍するステップを含む、軟化ステップ;および
iii)軟化された野菜産物を、過酸化物;超過酸化物;およびオゾンから選択される1または複数の活性酸素種と接触させるステップを含む、処置ステップ、
を含む、野菜を処理する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ダイスカットステップは、野菜のサイズを、穀物サイズの小粒に適切に低減させる。適切には、小粒は米サイズである。換言すれば、小粒は、適切には長軸と短軸を有し、小粒の長軸は、適切には、約1~約10mmの平均長を有する。本発明の文脈において、ダイスカットされた野菜は、1~10mmの平均小粒サイズを有すると言うことができる。本発明の一実施態様では、ダイスカットされた野菜は、3~8mmの平均小粒サイズを有する。これは、野菜産物が米の代用品として機能することを可能にする。
【0027】
ダイスカットされた野菜産物へ活性酸素種が浸透するのを可能にするために野菜の繊維を開くことが、軟化ステップの目的である。したがって、軟化ステップは、ダイスカットされた野菜産物の浸透を増大させる。一実施態様では、軟化ステップは、事前に決定された期間、ダイスカットされた野菜産物を加熱するステップを含む。代替の実施態様では、軟化ステップは、事前に決定された期間、ダイスカットされた野菜産物を冷凍するステップを含む。
【0028】
軟化ステップの目的は、野菜産物を、活性酸素種に対して、より浸透性にさせることであることが理解されよう。したがって、軟化ステップを完了するのに要する時間は、加熱または冷凍の方法、および、ダイスカットステップ後の個々の野菜小粒のサイズに依存する。したがって、相対的に小さい(例えば5mm)平均小粒サイズを有するダイスカットされた野菜粒子は、相対的により大きな平均小粒サイズ(例えば10mm)を有するダイスカットされた野菜粒子よりも、軟化ステップに供するのに要する時間は短い。
【0029】
一実施態様では、軟化ステップは、1または複数の従来の調理方法、例えば、焼くステップ、茹でるステップ、揚げるステップ、蒸すステップ、湯通しするステップ、および/または、電子レンジ調理するステップを含む。軟化ステップは、標準的な大気圧(すなわち1気圧)で行なってよく、または、大気圧よりも高い圧力または大気圧よりも低い圧力で行なってよい。
【0030】
ダイスカットされた野菜産物を軟化させるために用いられる加熱方法は、軟化ステップを完了するのに要する時間にも影響する。例えば、所定の平均小粒サイズに関して、大気圧で蒸されたダイスカットされた野菜産物は、典型的に、大気圧よりも高い圧力で蒸されたダイスカットされた野菜産物よりも、長い軟化ステップを要する。
【0031】
さらなる実施態様では、軟化ステップは、乾煎りするステップを含む。また、さらなる実施態様では、軟化ステップは、バッチの乾煎りするステップを含む。また、さらなる実施態様では、バッチの乾煎りするステップは、焦げ付き防止の加熱セラミックベッド付きの可逆振動コンベヤーを可変周波数で用いて達成される。非常に均一な産物の調理をもたらし、コンベヤーが、軟化された野菜産物を処置ステップに直接送ることが可能であることは、この特定の実施態様の利点である。
【0032】
さらなる実施態様では、軟化ステップは、湯通しするステップを含む。またさらなる実施態様では、軟化ステップは、バッチの湯通しするステップを含む。
【0033】
軟化ステップが、事前に決定された期間、野菜を冷凍するステップを含む、代替の実施態様では、軟化ステップは、標準的な大気圧(すなわち1気圧)で行なってよく、または、大気圧よりも高い圧力、または、大気圧よりも低い圧力で行なってよく、特に、大気圧よりも低い圧力である。
【0034】
誤解を避けるために、当業者は、本明細書において、用語「活性酸素種」は、過酸化物、超過酸化物、オゾンおよびヒドロキシルを含む、酸素を含有する化学反応性分子を意味することを理解するであろう。
【0035】
本発明において、1または複数の活性酸素種は、過酸化物;超過酸化物;およびオゾンから選択される。適切には、1または複数の活性酸素種は、過酸化物および超過酸化物から選択される。
【0036】
一実施態様では、活性酸素種は過酸化水素である。
【0037】
適切には、活性酸素種は、溶液の形態である。活性酸素種の溶液形態はよく知られているが、活性酸素種は、分解産物に分解する前に、溶液中で相対的に短い寿命である場合がある。したがって、処理は、処置ステップの前に、活性酸素種の溶液を調製するステップを含んでよい。
【0038】
一実施態様では、処置ステップは、軟化された野菜産物を、過酸化水素溶液と接触させるステップを含む。軟化された野菜産物は、活性酸素種が実質的に野菜小粒全体に浸透するのに十分な時間、活性酸素種で適切に処置される。
【0039】
野菜は、ダイスカットステップの前に、適切に洗浄される。したがって、本発明の方法は、洗浄ステップを含んでよい。洗浄ステップは、野菜産物を、抗菌剤を含む溶液と接触させるステップを含んでよい。抗菌剤は、単一の抗菌化合物を含んでよく、または、2以上の抗菌化合物の組み合わせを含んでよい。
【0040】
抗菌剤が、生じる産物の味に対して負または有害の作用を有し得る実施態様では、洗浄ステップは、すすぎステップを含んでよい。
【0041】
当該方法は、処置された野菜産物が調理または部分的に調理される、調理ステップまたは事前調理ステップをさらに含んでよい。そのような実施態様では、当該方法は、適切には、調理処理を止めるための冷却ステップも含む。冷却ステップは、急速冷却ステップであってよく、調理処理を直ちに停止するために、処置された産物の温度が急速に低下される。
【0042】
調理ステップまたは事前調理ステップは、事前に決定された期間、行なってよい。したがって、処置された産物は、ある温度まで加熱され、それから、調理ステップまたは事前調理ステップの時間のあいだ、その温度で維持される。調理ステップまたは事前調理ステップに必要とされる時間は、産物が調理されるのが目的とされる程度(完全に調理されるか、または部分的に調理されるか)に依存し、また、調理温度にも依存することが理解されよう。
【0043】
本発明の一実施態様では、当該方法は、包装ステップを含み、産物は食品グレードの容器内に置かれる。この実施態様では、各容器内に置かれた産物の量は、重量または体積により決定され得る。したがって、包装ステップ中に、事前に決定された重量の処置された産物が容器内に置かれてよく、または、事前に決定された体積の処置された野菜産物が容器内に置かれてよい。容器は、処置された野菜産物がその中に配置された後に、適切に密封される。
【0044】
一実施態様では、当該方法は、処置された野菜産物をレトルトパウチ内に置く包装ステップを含み、パウチは、産物がその中に配置された後に密封される。レトルトパウチは、無菌処理により作られる一種の食品包装であり、複数層のフレキシブル積層板から作られ、多種多様の食品および飲料の滅菌包装を可能にする。レトルトパウチは、典型的に、プラスチックおよび金属箔の積層パウチであり、伝統的な産業用の缶詰方法の代替として用いられる。
【0045】
当該方法が、調理ステップまたは事前調理ステップおよび包装ステップの両方を含む実施態様では、調理ステップは包装ステップの前に生じてよく、または、包装ステップは調理(または事前調理)ステップの前に生じてよい。さらに、包装ステップが調理ステップの前に行なわれる実施態様では、包装は、調理ステップの前または調理ステップの後のいずれかに密封してよい。したがって、処置された野菜産物は、密封された包装内で調理され得て、または、開いた包装内で調理され得て、それから密封される。
【0046】
一実施態様では、処置された野菜産物は、レトルトパウチ内へ密封され;それからパウチは、レトルト機またはオートクレーブ機内で、高圧で数分間、100~150℃、特に115~125℃に加熱される。食品の内側は、圧力調理と同様に調理される。この処理は、一般に生じる微生物(特にボツリヌス菌)を確実に殺し、腐敗から予防する。この包装処理は、包装自体がフレキシブルである点を除き、缶詰に非常に似ている。代替の実施態様では、処置された野菜産物は、金属缶の中に密封され;それから缶は、高圧で数分間、100~150℃、特に115~125℃に加熱される。
【0047】
適切には、当該方法は、カリフラワー米を調製するために、カリフラワーを処理するステップに関する。したがって、当該野菜はカリフラワーであってよく、適切には、カリフラワーの頭部または房である。
【0048】
第二の態様によれば、本発明は、本発明の方法により調製された、処理された野菜産物を提供する。本発明の第二の態様の一実施態様では、処理された野菜は、カリフラワーである。さらなる一実施態様では、処理された野菜産物は、カリフラワー米である。
【0049】
本発明の一実施態様は、例としてのみ、ここに記載される:
以下のステップを含む、カリフラワー米を調製する方法:
i)傷んだ材料を切り取り、取り除き、そして、原材料をカリフラワーの半分の花蕾頭部に減らすための、基本的な手による調製。このステップは、傷んでいないカリフラワー材料が、便利なサイズで次のステップへ進むことを確実にする。
ii)30分の接触時間で、およそ150ppmの利用可能な塩素で、次亜塩素酸ナトリウム溶液中でのカリフラワーの半分の花蕾頭部の浸漬。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、抗菌剤である。
iii)12時間、2℃~5℃の温度制御条件下で排水して、次亜塩素酸ナトリウム溶液からの半分の花蕾頭部の取り出し。このステップは、次亜塩素酸ナトリウムを除去し、ダイスカットステップの前にカリフラワー材料の分解を防止する。
iv)穀物サイズ小粒への機械的破砕。これらは適切には、平均小粒長が1~10mmであり、適切には3~8mmであり、ここで長さは、小粒の最長寸法により決定される。
v)240秒の期間を超える、均一な85℃に対する、粒状産物の、バッチの乾煎りするステップ。これは、カリフラワー小粒の細胞構造を軟化させて浸透を増大させる。
vi)10分の接触時間での、過酸化水素の0.5%溶液中での、乾煎りされた産物の即時のバッチ浸漬。このステップは、カリフラワー小粒を処置して、後に続く変色を防止または最小限化し、および、特徴的なカリフラワーの臭気および味を低減させる。
vii)過酸化水素溶液からの、産物の取り出し。
viii)30分間、水中での、産物のすすぎ、または、撹拌浸漬。このステップは、過酸化水素を除去する。
ix)6時間、2℃~5℃の温度制御条件下での、遠心分離または遠心脱水および保管。
x)自動充填および250gでレトルトパウチに密封。
xi)121℃、および大気圧より高い15psiで、172秒間、レトルト調理。
xii)レトルトからのパウチの取り出し。
xiii)調理処理を止めるための、冷水中での即時の急速冷却。
【0050】
本発明のさらなる実施態様は、例としてのみ、ここに記載される:
以下のステップを含む、カリフラワー米を調製する方法:
i)傷んだ材料を切り取り、取り除き、そして、原材料をカリフラワーの半分の花蕾頭部に減らすための、基本的な手による調製。このステップは、傷んでいないカリフラワー材料が、便利なサイズで次のステップへ進むことを確実にする。
ii)30分の接触時間で、およそ150ppmの利用可能な塩素で、次亜塩素酸ナトリウム溶液中でのカリフラワーの半分の花蕾頭部の浸漬。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、抗菌剤である。
iii)12時間、2℃~5℃の温度制御条件下で排水して、次亜塩素酸ナトリウム溶液からの半分の花蕾頭部の取り出し。このステップは、次亜塩素酸ナトリウムを除去し、ダイスカットステップの前にカリフラワー材料の分解を防止する。
iv)穀物サイズ小粒への機械的破砕。これらは適切には、平均小粒長が1~10mmであり、適切には3~8mmであり、ここで長さは、小粒の最長寸法により決定される。
v)210秒の接触期間での、季節および品種によって57.0℃と63.5℃の間の均一な温度に対する、粒状産物の、バッチの湯通しするステップ。これは、カリフラワー小粒の細胞構造を軟化させて浸透を増大させる。
vi)10分の接触時間での、過酸化水素の0.5%溶液中での、湯通しされた産物の即時のバッチ浸漬。このステップは、カリフラワー小粒を処置して、後に続く変色を防止または最小限化し、および、特徴的なカリフラワーの臭気および味を低減させる。
vii)過酸化水素溶液からの、産物の取り出し。
viii)30分間、水中での、産物のすすぎ、または、撹拌浸漬。このステップは、過酸化水素を除去する。
ix)6時間、2℃~5℃の温度制御条件下での、遠心分離または遠心脱水および保管。
x)自動充填および250gでレトルトパウチに密封。
xi)121℃、および大気圧より高い15psiで、172秒間、レトルト調理。
xii)レトルトからのパウチの取り出し。
xiii)調理処理を止めるための、冷水中での即時の急速冷却。
【0051】
本発明の方法により調製されるカリフラワー米は、米と同様の歯ごたえおよび食感を有するが、米形状の小粒の形態での未処置のカリフラワーと比較して、著しく低減された臭気および味を有することが見いだされた。さらに、密封された容器は、少なくとも3ヶ月、適切には少なくとも6ヶ月、適切には少なくとも12ヶ月の、貯蔵寿命を有する。