(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】メモリスタベースのセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/12 D
G01N27/12 C
(21)【出願番号】P 2019515232
(86)(22)【出願日】2017-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2017056113
(87)【国際公開番号】W WO2018065914
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-02
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511150067
【氏名又は名称】オックスフォード ブルックス ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】519088373
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ローマ トルヴェルガタ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャービル,アブサレハ
(72)【発明者】
【氏名】オッタビ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー,ジムソン
(72)【発明者】
【氏名】マーティネリ,エウジェニオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ ナターレ,コラード
(72)【発明者】
【氏名】アディエモ,アデドチューン
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-029652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0236623(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0130261(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223490(US,A1)
【文献】C. Nyenke et al,Fabrication of a W/CuxO/Cu memristor with sub-micron holes for passive sensing of oxygen,Microelectronic Engineering,2016年,164,48-52,published on 01. Oct. 2016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイに配置された複数のセンサ素子を含み、
各センサ素子は、メモリスタであり、かつ、検知すべき種への曝露に関連した電気抵抗特性を有し、
前記センサ素子は、少なくとも1つのセンサ素子が少なくとも1つの他のセンサ素子と並列に接続されるように、接続可能に配置され、
前記アレイは2次元アレイであり、
複数の導電行ワイヤと複数の導電列ワイヤとを含み、センサ素子が各導電行ワイヤと各導電列ワイヤとの間に接続され、
さらに、複数の導電行ワイヤを相互に電気的に接続するための接続及び複数の導電列ワイヤを相互に電気的に接続するための接続を含み、
選択された1つを除いて全ての導電行ワイヤが相互に接続され、かつ、選択された1つを除いて全ての導電列ワイヤが相互に接続される、センサ。
【請求項2】
前記接続が切替え可能であり、論理回路によって制御される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
各導電行ワイヤ及び各導電列ワイヤが個々にアドレス可能である、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
アレイに配置された前記複数のセンサ素子がマイクロエレクトロニクス構造の形である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
アレイに配置された前記センサ素子を接続するためのクロスバーアーキテクチャをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
チップ上に提供された、請求項1~
5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記センサは、ガスセンサ、液体センサ、及び液体中に存在する種を検知するためのセンサのうちの少なくとも1つである、請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
センサを読み取る方法であって、
前記センサは、アレイに配置された複数のセンサ素子を含み、
各センサ素子がメモリスタであり、検知すべき種への曝露に関連した電気抵抗特性を有し、
前記センサ素子は、少なくとも1つのセンサ素子が少なくとも1つの他のセンサ素子と並列に接続されるように配置され、
前記アレイが2次元アレイであり、
前記センサは、さらに、
センサ素子が各導電行ワイヤと各導電列ワイヤとの間に接続された、複数の導電行ワイヤおよび複数の導電列ワイヤと、
さらに、複数の導電行ワイヤを相互に電気的に接続するための接続及び複数の導電列ワイヤを相互に電気的に接続するための接続と、
を含み、
前記方法は、全ての導電行ワイヤを、選択された1つを除いて、相互に接続することと、全ての導電列ワイヤを、選択された1つを除いて、相互に接続することと、前記
アレイの電気特性を前記選択された行ワイヤ及び前記選択された列ワイヤを通して測定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学種の検知用などの、メモリスタのセンサ素子のアレイを含むセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
単一のメモリスタ(「記憶抵抗:memory-resistor」の省略)のガスセンサとしての使用が提案されてきた。複数の測定を同じセンサから、又は、異なる独立したセンサから取得することにより、測定誤差が統計的に低減されることができる。しかしながら、測定の信頼性は、複数の測定を単一のセンサから取得することによって確認することはできない。複数のセンサから冗長なサンプル測定を取得すると信頼性を確実にすることができる。
【0003】
メモリスタのアレイがデジタルメモリアーキテクチャとして提案されてきた。しかしながら、メモリスタ素子は、典型的には(従来型の半導体メモリ構造とは異なり)双方向導体なので、センサとして機能している場合、かかるアレイ内の単一のメモリスタ素子の抵抗の読取りには問題がある。この導電特性は、「ぬけ道」が存在する(すなわち、アレイを通る意図しない伝導経路)ことを意味し、それは、アレイ内の選択されたメモリスタ素子の抵抗の誤った検知につながり得る。デバイスがメモリとして使用される場合、1及び0を表すために大きく異なる抵抗値を有し得るメモリスタの2つの2進状態を区別する必要があるだけであり、その結果、抜け道の存在はあまり問題でない(しかしながら、それは依然として問題であり得、格納された情報の最終的な劣化となり得る)。しかしながら、化学センシング測定のために、一連の抵抗値を検知する必要があり得、そのため、センシングマージンは、抜け道の存在によって著しく低下する。抜け道の存在下でアレイサイズが増加するにつれて読み出しマージが著しく低下するので、抜け道は最大アレイサイズも制限する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、前述の問題を考慮して考案されている。
【0005】
従って、本発明の一態様は、
アレイに配置された複数のセンサ素子を含み、
各センサ素子は、メモリスタであり、検知すべき種への曝露に関連した電気抵抗特性を有し、
センサ素子は、少なくとも1つのセンサ素子が少なくとも1つの他のセンサ素子と並列に接続されるように、接続可能に配置される、センサを提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、センサを読み取る方法を提供し、本センサは、アレイに配置された複数のセンサ素子を含み、各センサ素子はメモリスタであり、検知すべき種への曝露に関連した電気抵抗特性を有し、
本方法は、少なくとも1つのセンサ素子が少なくとも1つの他のセンサ素子と並列に接続されるように、センサ素子を接続することを含む。
【0007】
本発明のさらなる態様は、従属クレームで定義される。
【0008】
本発明の実施形態がここで、添付の図を参照して、ほんの一例として説明され、図中:
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に従った、クロスバーアレイ内のメモリスタのセンサ素子の拡大概略図である。
【
図2】異なるガス濃度に対して本発明の一実施形態で使用されるメモリスタのセンサ素子のIV特性のグラフを示す。
【
図3】本発明の一実施形態に従った、メモリスタ素子の2次元アレイを含むセンサの簡略回路図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に従った、メモリスタ素子の2次元アレイを含むセンサの簡略回路図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に従った、メモリスタ素子の1次元アレイを含むセンサの簡略回路図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従った、各アレイが異なる種を検知するための、メモリスタ素子の複数の1次元アレイを含むセンサの簡略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
メモリスタは当技術分野では、その電気抵抗がデバイスを通って流れる電流によって変化されるデバイスとして知られる。抵抗は、最小値RON及び最大値ROFFを有する。抵抗は適切な電圧又は電流の印加によって切り替えることができ、不揮発性(抵抗値が「記憶される」)であり、そのためメモリスタはメモリ素子として使用されることができる。
【0011】
メモリスタは、様々な材料で、例えば:TiO2(例えば、ドープ領域及び非ドープ領域があり、Pt電極を備えている);Ag/Ag5In5Sb60Te30/Ta;Ag-a-LSMO-Pt(非結晶質水マンガン鉱薄膜内のAgナノフィラメント);酸化アルミニウム、酸化銅、酸化シリコン、酸化亜鉛、タンタル酸化物、酸化ハフニウムなどの他の金属酸化物半導体;非結晶質ペロブスカイト酸化物(a-SrTiO3など);並びに他の強誘電材料及びドープポリマー材料、並びにグラフェンオキシドでも、製造されることができる。本発明の実施形態は、メモリスタ特性が存在するという条件で、任意の特定の材料に制限されない。メモリスタとして機能する成分は、本明細書ではメモリスタであるとして記述される。
【0012】
本発明の一実施形態は、メモリチップ(集積回路、IC)製造用などのマイクロエレクトロニクスで使用されるリソグラフィー技術によって製作される、ナノスケールメモリスタの高密度アレイを含む。本アレイは、クロスバーアーキテクチャを使用して構築され、第1の平行ナノワイヤのセットに対して垂直な別の平行ナノワイヤのセット上に配置された平行ナノワイヤのセットから成る。メモリスタは、ワイヤの全ての交点に配置される。行及び列は、ワイヤの平行するセット(デジタル電子メモリでビット線及びワード線とも呼ばれる)によって規定され、各メモリスタは、1つの行及び1つの列のワイヤ間に接続される。アレイ内の各メモリスタは、センサデバイス全体に対するセンサ素子として機能できる。
【0013】
図1は、アレイ内の1つのかかる交点における1つのメモリスタを例示する。上位ワイヤ10は、下位ワイヤ12と垂直な一方向に延びており、これらのワイヤは、メモリスタ14の電極を形成し、例えば、白金から形成されることができる。この実施形態におけるメモリスタ14は、その間にドーピング壁20がある上部16及び下部18を含む、酸化チタンの薄膜を含む。上部16は、TiO
2-xなどの不定比であり、下部は二酸化チタン(TiO
2)である。薄膜の上面22は、上位ワイヤ10のいずれかの側に曝露されたままで、検知される環境とメモリスタ14との間の容易な相互作用を可能にする。
【0014】
メモリスタ、又はチップ上のメモリスタの全アレイは、必要に応じて検知すべき化学種に対して、その温度を適切な動作温度に上げるために加熱器(図示せず)を備えることができる。加熱器は、一貫した測定のために温度を一定値に安定化することもできる。
【0015】
酸化チタン膜の表面22上の分子の吸着は、メモリスタの電気抵抗特性における変化をもたらす。
図2は、本発明の一実施形態で使用されるメモリスタの電流対電圧(IV)特性のプロットを示す。全体的な形は、高抵抗状態(緩勾配、ほぼ200キロオーム)及び低抵抗状態(高勾配、ほぼ100オーム)を有するメモリスタの特性であり、2つの間で切替え可能である。いくつかの異なるプロットが、図のように、0ppm~1000ppmの範囲の異なるガス濃度に対して、
図2で重ね合わされている。図に示すように、ガス濃度の存在がメモリスタの電気抵抗特性を変化させる。このように、メモリスタはガスセンサ素子として機能できる。使用される特定の「特性」は、ピーク抵抗、若しくは勾配、若しくは高抵抗と低抵抗との間の差などの単一値にできるか、又は、複数のかかる値の組合せにできる。
【0016】
ガス濃度は、状況に応じて、例えば、メモリスタの絶対抵抗(高若しくは低抵抗状態、又は両方において);高抵抗対低抵抗の比率;ピーク電流;微分抵抗などにより、様々な方法で検知又は測定できる。抵抗特性測定は、DC及び/又はAC技術を使用して、かつバイアス電圧の有無にかかわらず、実行できる。抵抗値は既知のガス濃度に対して較正でき、センサが電気測定をガス濃度に変換するためのルックアップテーブルとして、又は等式として提供される。
【0017】
一般に、標的化学種の、メモリスタの表面との相互作用は、抵抗力における変化となり、関連付けられた読取り回路(図示せず)の出力に変化を引き起こす。前述の酸化物、及び同様にポリマー又はポルフィリンなどの、メモリスタ用の材料の選択は、センサの標的種及び感受性パターンを選択することが可能であることを意味する。メモリスタは、他ではなく、1つの種又は特定群の種だけを検知するように選択的にすることもできる。例えば、本発明を具現化するセンサは、窒素酸化物、一酸化炭素、アルコール、アミン、テルペン、炭化水素、若しくはケトン、及び/又は様々な異なるガス(酸化又は還元性)などの、揮発性化合物及びガスを検出するために使用でき得る。前述の実施形態は気相における種の検知に言及したが、それは、本発明にとって本質的ではなく;本発明の実施形態は、液体又は液体中の種(例えば、Hg、Ca、Pb、Crのイオン)を検知するため、及びバイオセンサ(例えば、殺虫剤、特定のタンパク質、アミノ酸、又はDNAを検知するため)としても使用できる。本明細書で説明するセンサの構造及び測定技術は、原理上は、化学種の代わりに物性を感知するため;例えば、温度を感知するためのサーミスタとして、又は光を感知するための光導電体としてなど、他の実施形態で使用できる。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に従ったクロスバーアレイセンサの回路を示す。本アレイは、列ワイヤX1、X2、...Xn、及び行ワイヤY1、Y2、...Ymをもつn×mである。メモリスタは、各行/列の交点に接続されている。この実施形態では、1つの特定のメモリスタが、読取り電圧Vreadを関連する行に接続し、対応する列ワイヤと接地との間の負荷抵抗器RLを接続することにより、検知のために読み取るように選択される(この事例ではX1、Y1においてであるが、アレイ内の任意の1つにできる)。しかしながら、
図3に見られるように、Vreadが印加される端子と負荷抵抗器RLとの間に、X1、Y1における選択されたメモリスタを単純に通る伝導に加えて、他のメモリスタを経由した(それらはいずれの方向にも伝導できるので)、多種多様な抜け道がある。これは、
図3と合わせて検討される場合、
図4に示す等価回路で分析される。選択されたメモリスタ30aは、抵抗R
X1Y1をもつ抵抗器30によって表される。抜け道抵抗は、抵抗器30と並列であり、直列の3つの構成要素:(i)行Y1に接続されたメモリスタの抵抗32(
図3に点線のボックス32aで示されている);(ii)ボックス34a内に示されるメモリスタ網の抵抗34;及び(iii)列X1に接続されたメモリスタの抵抗36(
図3に点線のボックス36aで示されている);を含む。選択されていないメモリスタの全部が同じ抵抗Rをもつ場合、抵抗32は並列接続のn-1メモリスタ、すなわち、
【数1】
であり;抵抗34は、
【数2】
であり;抵抗36は、
【数3】
である。全抜け道抵抗R
sneakは、直列のこれら3つの抵抗32、34、36の総計である:
【数4】
【0019】
また、Vreadと固定負荷抵抗RLとの間のアレイの全抵抗は、選択されたメモリスタ及びアレイ抜け道の残りの並列の組み合わせである:
【数5】
【0020】
この全抵抗Rtotal及び負荷抵抗RLは、分圧器を形成し、そのためRtotal値は、端子Voutで電圧を測定して、負荷抵抗値RL及びVreadの値を知ることにより、判断されることができる(すなわち、アレイの全IV特性がVreadを変更することにより取得されることができる)。
【0021】
値Rtotalは、単一点からの単一の読取りサイクルでアレイ内の全てのメモリスタに関する情報を取得し、そのため、検知している種の濃度を判断するために使用されることができる。このようにして、抜け道抵抗は実際には、利用されて検知に寄与する。本構造は、抜け道を利用して、アレイ全体を単一センサとして使用する。
【0022】
この実施形態では、選択されていない行及び列ワイヤが接続40によって短絡される。これは、電流がアレイへの1つのエントリ点及び出口だけを有することを確実にするのに役立つ。好ましくは、これらの接続40は、任意でスイッチ又は切替え構成要素を通る、低抵抗配線経路などの、直接接続である。理想的な回路では、これらの選択されていない行及び列は、同じ電位であり、そのため接続40は不必要であるが、実際の超大型アレイでは、これらの接続は電流を均一に分配するのを支援することができる。
【0023】
一般に、アレイ内のメモリスタは全て同じ状態(高又は低抵抗)に設定されるが、必ずしもその必要はない。例えば、「選択された」メモリスタは、アレイの残りとは異なる状態に設定できる。各メモリスタは、個々にアドレス可能である。
【0024】
一連の測定は、測定精度を向上させて、測定信頼性を確認するために、毎回、異なる選択されたメモリスタを使用して実行されることができる。選択されたメモリスタは、アレイ内でランダムに選択できるか、又は系統的な順番で循環させることができる。
【0025】
一貫性のない測定が取得される場合、その測定に対して選択されたメモリスタが故障していることを示し得る。その場合、特定の接続40を行わず、かつ/又は特定の隣接したメモリスタを高抵抗状態に設定することにより、特定の行若しくは列又はメモリスタを非選択状態にすることができる。
【0026】
全ての実施形態で、アレイをアドレス指定する(電圧Vreadを所望の行又は列に印加する、負荷抵抗RLを接続するなど)ため、及び行ワイヤと列ワイヤとの間の接続40を行うため、及びVout検出端子を提供する回路は、配線で接続され得るが、好ましくは、メモリチップに関連して当技術分野で周知のように、全てチップ上に、例えば、周辺に、統合された論理回路で作られる。
【0027】
代替実施形態が
図5に例示されている。この事例では、全ての列ワイヤが接続50によって相互に接続され、全ての行ワイヤが接続52によって相互に接続されている。これは、アレイ内の全てのメモリスタが単純に相互に並列であることを意味し、そのため、すべてのメモリスタが抵抗Rを有すると仮定すると、全抵抗R
totalは、
【数6】
である。
【0028】
メモリスタの1次元アレイ(1×nアレイ)を含む、さらなる実施形態が
図6に例示されている。この事例では、全ての列ワイヤが、負荷抵抗RLが接続されている出力線に接続され、そのためメモリスタは単純に並列に配置される。
【0029】
図6の構造は、複数の1次元アレイを提供することにより、さらなる実施形態で拡張できる。これは、
図7に示すように2次元アレイを接続することによって達成でき、そのため、この例では、列ワイヤが一緒に短絡されるが、行ワイヤは別々であり、各々に独立して印加される読取り電圧を有することができる。好ましい変形では、各1次元アレイは、異なる標的種に敏感であり(例えば、ガス中のある成分が検知される);これは、そのアレイの、又はそのアレイと関連付けられた構造の、メモリスタの物理的若しくは化学的変更によって達成できる。行はそれぞれの抵抗R
1、R
2、...R
mを有する。読取り電圧を端子G
c1に印加すると、第1の種の濃度が検知できるようになり、そのプロセスは、他の種を検知するために端子G
c2~G
cmに連続して反復される。行の全てが固有の種を検知するように適合される必要はなく;いくつかの行は、同じ種の複数の読取りを提供するために重複可能である。1次元アレイは、この例では行として示されているが、それらは同等に、列として構成されることができる。
【0030】
前述の実施形態の全ては、必要な電圧を印加し、必要な接続を行い、出力を測定し、電気測定のガス濃度値又は複数の値への変換などの検知機能を提供するために、制御回路(図示せず)を含むことができる。制御回路は、専用論理及びハードウェアにでき、かつ/又は、適切なソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどの、汎用回路を含むことができる。
【0031】
本発明の実施形態は、例えば、超小型電子チップ上の、メモリスタのセンサ素子の高密度アレイを利用できる。アレイは、数十又は数百の素子を含むことができるが、1024×1024又はそれ以上の素子など、はるかに多数にもできる。これは、センサをコンパクト、ロバスト及び低出力にする。本センサは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はハンドヘルドセンサへの統合など、携帯機器での使用に特に適している。