(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】複数の装置にわたる画像を表示するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63J 17/00 20060101AFI20220825BHJP
G01S 5/26 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A63J17/00
G01S5/26
(21)【出願番号】P 2019534710
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 CA2017051555
(87)【国際公開番号】W WO2018112632
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-25
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519223011
【氏名又は名称】アピックス プロジェクト インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPIX PROJECT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイリー,アーロン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイリー,ベンジャミン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】テュモンド,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ボーン,ルーク ケアリー
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0105466(US,A1)
【文献】国際公開第2014/096861(WO,A2)
【文献】特表2014-529844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192622(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0247352(US,A1)
【文献】特開2013-004323(JP,A)
【文献】国際公開第2016/018929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J 1/00-99/00
A63K 1/00-99/00
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
G06F 3/14-3/153
G09G 5/00-5/40
G01S 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピクセル装置にわたるライトショーを上演するためのライトショー制御システムであって、
ライトショーのオペレータからの入力を受け入れ、このような入力に基づいて複数のライトショーパラメータを生成するように構成されたコントローラと、
ライトショーのコントローラと通信し、ライトショーのコントローラから複数のライトショーのパラメータを受信
し、複数のライトショーのパラメータをビーコン信号に符号化し、ビーコン信号を複数のピクセル装置にブロードキャストする
ように構成されたビーコン信号送信器
であって、複数のピクセル装置のそれぞれは、ビーコン信号を受信して復号化し、
複数のライトショーパラメータに基づいて、ライトショーのための1つまたは複数のディスプレイ動作を実行するように構成された
ビーコン信号送信器と、を含み、該ビーコン信号送信器は、複数のピクセル装置にわたる
1つまたは複数のディスプレイ動作の実行を同期させるために、ビーコン信号にタイミング基準を符号化するように構成され
ており、さらに、
位置決め信号送信器と、位置決め信号送信器と通信する複数のスピーカーノードを含み、位置決め信号送信器はトーン発生信号を複数のスピーカーノードのそれぞれに送信し、スピーカーノードは、トーン発生信号の受信に応答して、複数のピクセル装置による三辺測量及び/または多辺測量のための音響信号を射出して、複数のピクセル装置がそのピクセル位置を決定し、複数のライトショーパラメータ及びその自己決定されたピクセル位置に基づいて実行すべき1つまたは複数のディスプレイ動作を選択することを可能にし、
ビーコン信号送信器は、ビーコン信号をBleutooth(登録商標) Low Energy(BLE)信号として送信するように構成されたBLEビーコン信号送信器を含み、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号をデータパケットの1つまたは複数のバッチとしてブロードキャストするように構成され、
ビーコン信号送信器は、データパケットのそれぞれのバッチについて、送信器のメディアアクセス制御(MAC)アドレスを更新し、ビーコン信号上に新規のMACアドレスを符号化し、ビーコン信号に新規の識別番号を符号化するように構成される、ライトショー制御システム。
【請求項2】
タイミング基準は、開始基準ポイントからの時間を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
開始基準ポイントは、ライトショーの第1拍または現在のライトショーのシーンの第1拍を含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ビーコン信号送信器は、それぞれのバッチ内での引き続く2つのデータパケットの間の例えば15msと30msの間である時間をt
mとし、第1のデータパケットに続く複数のデータパケットのそれぞれに符号化されるタイミング基準が、先行するデータパケットに符号化されたタイミング基準からt
mだけ増大するように、ビーコン信号をブロードキャストするように構成される、ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
データパケットのそれぞれのバッチは、15から20のデータパケットを含むことを特徴とする請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号にシーン再生コマンドを符号化するように構成され、シーン再生コマンドは、シーン種別、1組の色ID、グラデーション速度、シーン遷移、及びBPMのうちの1つまたは複数によって定義されることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号にハートビートメッセージを符号化するように構成され、ハートビートメッセージは、タイミング基準、並びに、BPM、ビートモード種別、拍子、及び音速のうちの1つまたは複数によって定義されることを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
音響信号は超音波音響信号であることを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
音響信号は、16kHzから24kHzの範囲の周波数によって特徴付けられることを特徴とする請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
複数のスピーカーノードのそれぞれは、他のスピーカーノードと同時に音響信号を射出するように構成されることを特徴とする請求項
8または
9に記載のシステム。
【請求項11】
複数のスピーカーノードのそれぞれは、音響信号を作るように構成されたトーン信号発生器、増幅器、及び無指向性のスピーカーアレイを含み、音響信号は、他のスピーカーノードとは異なる周波数によって周波数によって特徴付けられるトーン信号を含む、ことを特徴とする請求項1
0に記載のシステム。
【請求項12】
複数のスピーカーノードのそれぞれは、音響信号を作るように構成されたトーン信号発生器、増幅器、及び無指向性のスピーカーアレイを含み、音響信号は、他のスピーカーノードとは異なるように経時的に増大及び/または減少する周波数によって特徴付けられるチャープ信号を含む、ことを特徴とする請求項1
0に記載のシステム。
【請求項13】
位置決め信号送信器は、トーン発生信号を高周波(RF)信号として送信するように構成された高周波(RF)送信器を含み、複数のスピーカーノードのそれぞれは、位置決め信号送信器からのRF信号を受信するためのRF受信器を含む、ことを特徴とする請求項
1から1
2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
位置決め信号送信器は、トーン発生信号を等しい時間間隔をおいた複数のRF信号として複数のスピーカーノードに送信するように構成され、複数のスピーカーノードのそれぞれは、それぞれのRF信号を受信すると、前の時間間隔の開始からの経過時間を記録し、記録された時間の集合に基づいて信号発生時間を定める、ことを特徴とする請求項1
3に記載のシステム。
【請求項15】
複数のスピーカーノードのそれぞれは、記録された時間の集合の最小値を信号発生時間として取るように構成され、スピーカーノードは、次の時間間隔の開始に続いて信号発生時間が経過したとき、音響信号を生成して射出する、ことを特徴とする請求項1
4に記載のシステム。
【請求項16】
複数のスピーカーノードのそれぞれは、記録された時間の集合内の時間が、特定のしきい値よりも大きい広がりを有する場合、音響信号の射出を停止するように構成されることを特徴とする請求項1
4または1
5に記載のシステム。
【請求項17】
複数のスピーカーノードは、4以上のスピーカーノードを含むことを特徴とする請求項
1から
16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
複数のスピーカーノードは、6のスピーカーノードを含むことを特徴とする請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
複数のスピーカーノードのうちの少なくとも1つは、他のスピーカーノードとは異なる高さに配置されることを特徴とする請求項
17または
18に記載のシステム。
【請求項20】
複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号に会場構成メッセージを符号化するように構成され、会場構成メッセージは、1組のスピーカーノードの位置、1組のスピーカーノードのトーンID、及び原点オフセットのうちの1つまたは複数によって定義される、ことを特徴とする請求項
1から
19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号にピクセル位置決めメッセージを符号化するように構成され、複数のピクセル装置のそれぞれは、ピクセル位置決めメッセージの受信に基づいて、複数のスピーカーノードによって射出された音響信号の録音を開始する、ことを特徴とする請求項
1から2
0のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
コントローラは、ディスプレイを含み、該ディスプレイを介して、ライトショーのオペレータからの入力を受け入れ、このような入力に基づいて複数のライトショーのパラメータの動的及び実時間の生成及び修正を可能にするグラフィカルユーザインタフェースを提供するように構成される、請求項1から2
1のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
ピクセル装置によって、複数のこのようなピクセル装置にわたるライトショーのディスプレイに寄与するために実行される方法であって、
ピクセル装置で
、1つまたは複数のデータパケットのバッチとしてビーコン信号をブロードキャストするように構成されたBLEビーコン信号送信器を含むビーコン信号送信器からブロードキャストされるビーコン信号をスキャン及び受信するステップと、
ビーコン信号を復号化し、複数のライトショーのパラメータを定めるステップと、
複数のライトショーのパラメータに基づいてライトショーのための1つまたは複数のディスプレイ動作を実行するステップと、を含み、さらに、
ビーコン信号送信器からブロードキャストされるハートビート信号をスキャン及び受信するステップと、ハートビート信号からタイミング基準を復号化するステップと、1つまたは複数のディスプレイ動作をタイミング基準に基づく開始時点で開始するステップと、
ピクセル装置で録音開始信号を受信するステップと、
録音開始信号の受信に応答して、複数のスピーカーノードから同時に射出された複数の音響信号を録音するステップと、を含み、それぞれのスピーカーノードは、他のスピーカーノードとは異なる周波数で音響信号を射出し、さらに、
音響信号を、その異なる周波数に基づいて、音響信号の到着時間差(TDOA)を定めるためにフィルタリング及び処理するステップと、
複数のスピーカーノードのそれぞれの位置情報を受信するステップと、
TDOA及び位置情報の少なくとも一部に基づいて、三辺測量及び/または多辺測量を使用してピクセル装置の位置を定めるステップと、
複数のライトショーパラメータ及びその自己決定されたピクセル位置に基づいて、実行される1つまたは複数のディスプレイ動作を選択するステップと、
を含む方法。
【請求項24】
1つまたは複数のディスプレイ動作は、ピクセル装置のディスプレイスクリーンに少なくとも1つの画像または一連の画像を表示すること、ピクセル装置の光源をフラッシュさせること、及びピクセル装置を振動させることのうちの1つまたは複数を含む、ことを特徴とする請求項2
3に記載の方法。
【請求項25】
1つまたは複数のディスプレイ動作は、ライトショーのシーンを表示することを含み、シーンは、ピクセル装置のディスプレイスクリーンに表示される色の順次的表示を含むことを特徴とする請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
シーンは、シーン種別、1組の色ID、グラデーション速度、シーン遷移、及びBPMのうちの1つまたは複数によって特徴づけられることを特徴とする請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
ピクセル装置でビーコン信号送信器からブロードキャストされるハートビート信号をスキャン及び受信するステップと、ハートビートタイムアウト時間内にハートビート信号を受信しなかったことに応答して、1つまたは複数のディスプレイ動作の停止及び/またはBluetooth(登録商標)受信器の再始動をするステップと、を含むことを特徴とする請求項2
3から
26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
タイミング基準は、開始基準ポイントからの時間を含むことを特徴とする請求項2
3から
27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
開始基準ポイントは、ライトショーの第1拍または現在のライトショーのシーンの第1拍を含むことを特徴とする請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
ピクセル装置は、例えばスマートフォンまたはタブレットのような携帯型モバイル機器を含むことを特徴とする請求項2
3から
29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
位置情報は、ビーコン信号送信器から送信されたビーコン信号から復号化されることを特徴とする請求項
23から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
複数の音響信号は、少なくとも4つのスピーカーノードによって射出されることを特徴とする請求項
23から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
複数の音響信号は、6つのスピーカーノードによって射出されることを特徴とする請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
1つまたは複数のディスプレイ動作を実行することは、アニメートされたシーンのための表示コマンドを受信すること、及び、ピクセル装置によって実行される1つまたは複数のディスプレイ動作を、アニメートされたシーンの表現の表示内でのピクセル装置に対応する位置に基づいて特定すること、を含むことを特徴とする請求項
23から33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2016年12月20日に出願された『複数の装置にわたる画像を表示するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR DISPLAYING IMAGES ACROSS MULTIPLE DEVICES)』と称する米国特許出願第62/436652号の優先権を主張するものである。米国においては、本出願は、2016年12月20日に出願された『複数の装置にわたる画像を表示するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR DISPLAYING IMAGES ACROSS MULTIPLE DEVICES)』と称する米国特許出願第62/436652号の、35 U.S.C. 第119条に基づく利益を主張するものであり、この文献は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ライブイベントにおいて観客参加型のライトショーを上演するための技術に関連する。
【背景技術】
【0003】
コンサート、ショー、公演、スポーツイベント、または他のライブイベントにおいて、イベント出席者は、ライブイベントの体験を充実させるため、観客参加型または群衆参加型のライトショーへの参加を促される場合がある。このようなライトショーを上演するため、典型的には、観客の構成員は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を有する装置を備えており、この装置はLEDによりイベントの間に点灯または点滅する。このような装置は、例えばリストバンドまたはネックレスのようなウェアラブル装置であってもよい。あるいは、このような装置は、観客の構成員が保持可能であるか、または群衆の上に浮かぶように設計されたボールまたは他の物体を含むものであってもよい。この装置は、ライブイベントの間装置のLEDを点滅させるために無線制御されるものであってもよい。ライブイベントに配備された送信器は、コマンドにより変調された赤外線(IR)信号または高周波(RF)信号を、装置に組み込まれた受信器に送信するものであってもよい。この装置は、受信器で検出された信号に基づいてLEDを制御するマイクロプロセッサを有するものであってもよい。この装置は、このようにして制御されて、ショーの間点灯または点滅するものであってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの群衆参加のための装置は、多くの場合、1回使用型の物品であり、イベントの度に新たに製造しなければならない。これによって、イベントに群衆参加型のライトショーを提供する費用が増大する。加えて、一回または数回のみ使用可能な物品を製造することに関連する環境コストも存在する。さらに、赤外線制御型の装置に特有の制限には、ステージのスモークが信号に干渉し、これによって全体的な照明効果に影響を及ぼすことが含まれる。赤外線信号は、携帯電話または他のカメラからのショーの見え方にも悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
ワム・シティー・ライツ社(Wham City Lights Inc.)の米国特許出願公開第2015/0081071号には、ライブイベントにおいてイベント出席者が携帯するモバイル機器を使用してライトショーを上演することが開示されている。データにより変調された音響信号がスピーカーからコンピュータ装置に送信される。データによって生じるコンピュータ装置上の動作は、音響信号が受信されたのはいつかに基づいている。したがって、信号を搬送するために光速で伝わる他の無線信号に比べて非常に低い速度で伝わる音響信号を使用するという制約のため、複数のコンピュータ装置が様々に異なる時点に音響信号を受信した場合、ライトショーは、複数の装置にわたる同期を欠くものとなるだろう。この参考文献には、会場での各装置の位置をどのようにして定めるのかも開示されておらず、ショーの進行中にライトショーの効果を修正する機能を提供するものでもない。
【0006】
幾つかのシステムでは、各装置に対して、会場内で観客の構成員がいることが予想される位置に対応するアドレスが割り当てられる。例えば、このアドレスは、観客の構成員に割り当てられた座席番号、または観客の構成員の座席番号が位置するアリーナの一般区画であってもよい。装置は、割り当てられたアドレスに基づいて制御され、これによって、観客の構成員に割り当てられた位置に応じて異なる照明効果を作り出すことを可能とするものであってもよい。しかし、これらの方法は、観客の構成員がその装置に割り当てられたアドレスに対応する位置にいることに依存している。この方法は、観客の構成員がライブイベントの間に様々な位置に動き回った場合、機能しない。これらの方法は、自由席方式(自由席の領域内でショーの間に観客の構成員がどこにいるのかを予測する方法がない)においても機能しない。
【0007】
装置、特に全球測位衛星(GPS:Global Positioning Satellite)に対応した装置のアドレス指定を行う別の方法は、GPS情報を使用して装置の位置を定めることである。しかし、GPS衛星からブロードキャストされる電波信号は建物の壁を透過し難いため、GPS信号は、建物内のモバイル機器の位置を定めるために信頼できない場合がある。GPS信号が装置によって受信可能な場合でも、GPS信号を使用して定められる位置座標は、高精度または高確度ではない。例えば、特定のGPS信号により可能とすることができるのは、装置の位置を、95%の信頼度で装置の実際の位置の約8m範囲内で示すことである。このように、GPS信号で可能なのは、高々装置の近似的な位置を特定することであり、時には位置の特定を誤るものである。あるいは、GPS信号は、それが建物の壁で遮られた場合には、装置の位置を全く特定することができない。
【0008】
装置のアドレス指定を行う他の方法は、例えばBluetooth(登録商標)送信器またはWiFi(登録商標)送信器のような送信器に対する相対位置を、装置における信号強度を測定することにより定めることである。しかし、これらの方法により定められる位置は、多くの場合、不正確である。例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy iBeacon(登録商標)のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値は、3つの距離測度、すなわち遠い、近い、及び中間、のみを提供することが意図されている。ビーコン信号は、壁で反射しかつ人間を含む様々な物体で吸収されるため、これらの3段階のフィードバックを使用してライトショーのために意味のあるレベルの精度で三角測量することは、困難または非現実的である。意味のある測定値を得るためには、ビーコンを、約3から4メートル毎に配置する必要がある。これは、スタジアム環境において事実上不可能である。これらの位置にビーコンを配置した場合でも、位置決めの正確性は、依然として約1から2メートルでしかない。加えて、環境中に同時に流れるBluetooth(登録商標)信号の量は、一般に、携帯電話が処理するためには多すぎるものとなる。信号強度に基づいて位置を推定するためにWiFi(登録商標)送信器を使用する場合、同様の困難が生じる。さらに、WiFi(登録商標)ネットワークを、イベントの間にそのネットワークに接続する必要がある全ての装置を取り扱うように構築することには、負荷の影響及び問題が存在する。
【0009】
上述した関連技術またはそれに関連する制約の例は、説明を目的とするものであり、排他的であることを意図するものではない。関連技術の他の制約は、明細書を読み、図面を吟味することにより、当業者には明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定しない例及び説明であることが意図されたシステム、ツール、及び方法と関連させて記載及び図示される。様々な実施形態において、1つまたは複数の上述した問題は低減した、または解消された。一方、他の実施形態は他の改善に取り組むものである。
【0011】
本発明の一態様は、複数のピクセル装置にわたるライトショーを上演するためのライトショー制御システムを提供するものである。このライトショーは、観客の構成員がライトショーのディスプレイの王クセルを保持、携帯、または装着しているライブイベント(例えば、音楽のコンサート、ショー、公演、スポーツもしくはレースのイベント、花火大会)の観客または群衆を参加させるために使用される。特定の実施形態において、ピクセル装置は、例えばスマートフォンまたはタブレットのような携帯型モバイル機器を含む。システムは、ライトショーのオペレータからの入力を受け入れ、このような入力に基づいて複数のライトショーパラメータを生成するように構成されたコントローラを含む。システムは、さらに、ライトショーのコントローラと通信し、ライトショーのコントローラから複数のライトショーのパラメータを受信するように構成され、複数のライトショーのパラメータをビーコン信号に符号化し、ビーコン信号を複数のピクセル装置にブロードキャストする1つまたは複数のビーコン信号送信器を含む。例えば、複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号にシーン再生コマンドを符号化するように構成され、シーン再生コマンドは、シーン種別、1組の色ID、グラデーション速度、シーン遷移、及びBPM(Beats Per Minute:一分当たりの拍数)のうちの1つまたは複数によって定義されるものであってもよい。ライトショーコントローラは、そのディスプレイを介して、ライトショーのオペレータからの入力を受け入れ、このような入力に基づいて複数のライトショーのパラメータの動的及び実時間の生成及び修正を可能にするグラフィカルユーザインタフェースを提供するように構成されるものであってもよい。複数のピクセル装置のそれぞれは、ビーコン信号を受信して復号化し、復号化されたビーコン信号に基づいて、ライトショーのための1つまたは複数のディスプレイ動作を実行するように構成される。ビーコン信号送信器は、Bleutooth(登録商標) Low Energy(BLE)ビーコン信号送信器を含むものであってもよい。複数のビーコン信号送信器は、ライブイベントの会場において、信号の到達範囲を確保し、また、1つまたは複数の送信器に故障が生じた場合の冗長性を備えるために、使用されるものであってもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、複数のピクセル装置にわたるディスプレイ動作の実行を同期させるために、ビーコン信号にタイミング基準が符号化される。タイミング基準は、例えばライトショーの第1拍または現在のライトショーのシーンの第1拍のような開始基準ポイントからの時間を含むものであってもよい。複数のライトショーのパラメータに基づいて、ビーコン信号送信器は、ビーコン信号にハートビートメッセージを符号化するように構成されるものであってもよい。ハートビートメッセージは、タイミング基準、並びに、BPM、ビートモード種別、拍子、及び音速のうちの1つまたは複数によって定義される。
【0013】
ビーコン信号送信器は、繰り返されるデータパケットの1つまたは複数のバッチとして(例えば、15から25のデータパケットを有するバッチとしてとして)ビーコン信号をブロードキャストするように構成されるものであってもよい。特定の実施形態において、引き続く2つのデータパケットの間の時間tmは、15msから30msであり、第1のデータパケットに続く複数のデータパケットのそれぞれに符号化されるタイミング基準は、先行するデータパケットに符号化されたタイミング基準からtmだけ増大する。幾つかの実施形態において、それぞれのビーコン信号送信器は、送信器のメディアアクセス制御(MAC)アドレスを更新し、データパケットのそれぞれのバッチに対して新規のMACアドレスを符号化するように構成される。加えて、それぞれのビーコン信号送信器は、データパケットのそれぞれのバッチのためのビーコン信号に新規の識別番号を符号化するように構成されるものであってもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、ピクセル装置によって、複数のこのようなピクセル装置にわたるライトショーのディスプレイに寄与するために実行される方法が提供される。このような方法の特定の実施形態は、ピクセル装置でビーコン信号送信器からブロードキャストされるビーコン信号をスキャン及び受信するステップと、ビーコン信号を復号化し、複数のライトショーのパラメータを定めるステップと、複数のライトショーのパラメータに基づいてライトショーのための1つまたは複数のディスプレイ動作を実行するステップと、を含む。ディスプレイ動作は、ピクセル装置のディスプレイスクリーンに少なくとも1つの画像または一連の画像を表示すること、ピクセル装置の光源をフラッシュさせること、及びピクセル装置を振動させることのうちの1つまたは複数を含むものであってもよい。それに加えて、または、その代わりに、ディスプレイ動作は、ライトショーのシーンを表示することを含み、シーンは、ピクセル装置のディスプレイスクリーンに表示される色の順次的表示を含むものであってもよい。シーンは、シーン種別、1組の色ID、グラデーション速度、シーン遷移、及びBPMのうちの1つまたは複数によって特徴づけられる。
【0015】
幾つかの実施形態において、ピクセル装置は、ビーコン信号送信器からブロードキャストされるハートビート信号をスキャン及び受信し、ハートビートタイムアウト時間内にハートビート信号を受信しなかったことに応答して、1つまたは複数のディスプレイ動作の停止及び/またはBluetooth(登録商標)受信器の再始動をするように構成される。ハートビート信号を受信した場合、ピクセル装置は、ハートビート信号からタイミング基準を復号化し、ディスプレイ動作をタイミング基準に基づく開始時点で実行する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、ピクセル装置によって実行されるディスプレイ動作がピクセルの個々の位置に基づいているライトショーを上演するためのシステム及び方法を提供するものである。したがって、全てのピクセルにわたるライトショーのディスプレイは、動く線、螺旋、渦、光輪、または他の効果を表示するように制御され得る。ピクセルが自身の位置を特定可能となるように、ピクセル位置決めシステムが備えられる。このシステムは、位置決め信号送信器と、位置決め信号送信器と通信する複数のスピーカーノードとを含む。位置決め信号送信器からスピーカーノードへの通信は、高周波(RF)信号を介して実現されるものであってもよい。位置決め信号送信器はトーン発生信号を複数のスピーカーノードのそれぞれに送信し、それぞれのスピーカーノードは、トーン発生信号の受信に応答して、固有の音響信号を生成して射出する。固有の音響信号が、ピクセル装置により録音及び再生されることによって、ピクセル装置によって位置を定めるための到着時間差(TDOA)に基づく三辺測量及び/または多辺測量が可能となる。特定の実施形態において、音響信号は超音波(可聴音の周波数よりも周波数の高い)音響信号である。例えば、音響信号は、16kHzから24kHzの範囲の周波数を有する(但し、他の実施形態において、周波数範囲は異なるものであってもよい)。複数のスピーカーノードのそれぞれは、他のスピーカーノードと同時に音響信号を射出するように構成される。音響信号は、トーン信号、チャープ信号、または他の音響信号を含むものであってもよい。特定の実施形態では、ライブイベントの会場において4から6のスピーカーノードを有するスピーカーノード群が使用され、スピーカーノードは異なる高さに配置される。これによって、個々のピクセル装置によるTDOA三辺測量及び/または多辺測量を使用した三次元の位置決めが可能となる。
【0017】
幾つかの実施形態において、位置決め信号送信器は、トーン発生信号を等しい時間間隔をおいた複数のRF信号としてスピーカーノード群に送信するように構成される。複数のスピーカーノードのそれぞれは、それぞれのRF信号を受信すると、前の時間間隔の開始からの経過時間を記録し、記録された時間の集合に基づいて信号発生時間を定めるように構成される。例えば、複数のスピーカーノードのそれぞれは、記録された時間の集合の最小値を信号発生時間として取るように構成され、スピーカーノードは、次の時間間隔の開始に続いて信号発生時間が経過したとき、音響信号を生成して射出するように構成されるものであってもよい。記録された時間の集合内の時間が、特定のしきい値(例えば、10ms)よりも大きい広がりを有する場合、スピーカーノードは、音響信号の射出を停止することによって、高周波(RF)信号を1ラウンド待つように構成されるものであってもよい。
【0018】
ピクセル装置によって実行される、ピクセル実親の位置を定めるための方法の一実施形態において、この方法は、ピクセル装置で録音開始信号を受信するステップと、録音開始信号の受信に応答して、複数のスピーカーノードから同時に射出された複数の音響信号を録音するステップと、を含む。それぞれのスピーカーノードは、他のスピーカーノードとは異なる周波数で音響信号を射出する。また、この方法は、音響信号を、その異なる周波数に基づいて、音響信号の到着時間差(TDOA)を定めるためにフィルタリング及び処理するステップと、複数のスピーカーノードのそれぞれの位置情報を受信するステップと、TDOA及び位置情報の少なくとも一部に基づいて、三辺測量及び/または多辺測量を使用してピクセル装置の位置を定めるステップと、を含む。三辺測量及びは多辺測量の計算のためにピクセルによって使用されるスピーカーノードの位置情報、スピーカーノードのトーンID、及び/または、音速の値は、ビーコン信号送信器からピクセル装置に送信されたビーコン信号から復号化されるものであってもよい。複数のピクセル装置のそれぞれは、アニメートされたシーンのための表示コマンドを受信し、ピクセル装置によって実行される1つまたは複数のディスプレイ動作を、アニメートされたシーンの表現の表示内でのピクセル装置に対応する位置に基づいて特定する。
【0019】
上述した例示的な態様及び実施形態に加えて、図面の参照及び以下の詳細な説明の検討により、さらなる態様及び実施形態が明らかとなるであろう。
【0020】
例示的な実施形態が、図面中の参照図として図示されている。開示される実施形態及び図は、限定的ではなく例示的なものであると考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本明細書に記載された方法及びシステムに従ってライトショーを上演するための会場を模式的に示す上面図である。
【
図2】
図2は、ライブイベントの会場において複数のピクセルを使用してライトショーを実行するための一実施形態に従うシステムを示す図である。
【
図3A】
図3Aは、ライトショーを実行するために他のモバイル機器と共に使用され得る代表的なモバイル機器を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aのモバイル機器のハードウェア及び/またはソフトウェアの構成要素を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に従って、ビーコン信号送信器によって複数のバッチに分けて送信されるデータパケットの複数のコピーを模式的に示す図である。
【
図5A】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、一実施形態に従って、それぞれハートビートメッセージ、ライトショーのコマンドメッセージ、及び会場構成メッセージのためにビーコン信号送信器によって送信されるデータパケットを示す図である。
【
図5B】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、一実施形態に従って、それぞれハートビートメッセージ、ライトショーのコマンドメッセージ、及び会場構成メッセージのためにビーコン信号送信器によって送信されるデータパケットを示す図である。
【
図5C】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、一実施形態に従って、それぞれハートビートメッセージ、ライトショーのコマンドメッセージ、及び会場構成メッセージのためにビーコン信号送信器によって送信されるデータパケットを示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に従って、ビーコン信号を復号化し、モバイル機器でライトショーを上演するための方法を示す図である。
【
図7】
図7は、ライトショーコントローラで入力パラメータを受け取り、このパラメータに基づいてビーコン信号を符号化するための方法を示す図である。
【
図8A】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、一実施形態に従って、ライトショーコントローラを制御するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェースのスクリーンショットである。
【
図8B】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、一実施形態に従って、ライトショーコントローラを制御するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェースのスクリーンショットである。
【
図8C】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、一実施形態に従って、ライトショーコントローラを制御するために使用され得るグラフィカルユーザインタフェースのスクリーンショットである。
【
図9】
図9は、三辺測量及び/または多辺測量の方法を使用してピクセルの位置を定めるための一実施形態に従うスピーカーノード群を模式的に示す上面図である。
【
図10】
図10は、モバイル機器の位置を定めるために、モバイル機器のプロセッサによって実行される方法を示す図である。
【
図11】
図11は、異なるライトショーが行われている複数のジオフェンス領域を有する会場を模式的に示す上面図である。
【
図12】
図12は、変動する四角形表示領域を備える会場の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明を通じて、当業者により完全な理解を提供するために、具体的詳細が記載される。但し、開示を不必要に分かりにくくすることを避けるために、周知の要素は示されていないか、または詳細には説明されていない場合がある。したがって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきものである。
【0023】
特定の実施形態は、同期されたライトショーを上演するための方法及びシステムを提供する。このライトショーは、コンサート、ショー、公演、スポーツまたはレースのイベント、花火大会、または他のライブイベントにおける群衆を参加させるために製作されるものであってもよい。ライトショーのシーンは、ライトショーに参加している複数のモバイル機器上で上演される。参加している複数のモバイル機器は、集団として多ピクセル型ディスプレイを与え、このディスプレイの各ピクセルは、1つのモバイル機器を含む。ライトショーのシーンのディスプレイに対するライトショーのコマンドは、複数のピクセルに対してブロードキャストされる。上演の間、ライトショーの製作者は、表示される様々なシーンを実時間で作り出し、複数のピクセルにブロードキャストされるライトショーのシーンのパラメータを動的に設定することができる。ライトショーのシーンのパラメータは、ライブイベントの会場に配置された1つまたは複数の送信器(ビーコン)によってブロードキャストされるBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)信号により、複数のピクセルに送信されるものであってもよい。各ピクセルは、ビーコンからのBLE信号をスキャンするとともに、BLE信号の受信に応答して、受信されたBLE信号を復号化し、BLE信号に含まれる情報に基づいて1つまたは複数の特定の動作を実行するように構成される。
【0024】
幾つかの実施形態において、ビーコンから複数のピクセルに、ハートビート信号も周期的にブロードキャストされる。ハートビート信号は、ライトショーにおける複数のピクセルの同期を容易にするために使用することができる。特定の実施形態において、ハートビート信号に符号化される情報は、BPM(Beats Per Minute:一分当たりの拍数)、拍子(例えば、2/4、3/4、または4/4拍子、等々)、与えられた会場の温度及び海抜高度(平均界面からの(AMSL:above mean sea level)高度)での現在の音速、及び、第1拍または何らかの他のタイミング基準からの時間といった情報を含むものであってもよい。この情報を復号化すると、ピクセルは、自身が次のシーンの再生を開始しなければならないのはいつか(時間内に正確に、すなわち、特定の実施形態では、例えば5ミリ秒以内に)を、決定することができる。ハートビート信号は、ピクセルの応答性を監視し、ピクセルがタイミング基準として使用する新しいハートビート信号を検出したことを保証するために使用することもできる。ピクセルでハートビート信号が受信されない時間(ハートビートのタイムアウト時間)が経過した結果、そのピクセルが新しいハートビート信号を検出するまで、そのピクセルがライトショーから除外されるものであってもよい。
【0025】
ライトショーのディスプレイの各ピクセルは、ピクセルの自己決定された位置に基づいて制御されるものであってもよい。特定の実施形態において、ライブイベントの会場の様々な位置に複数のスピーカーノードが配備され、音響信号を射出するように構成される。音響信号は、超音波周波数域の周期的トーン信号または同種のものを含むものであってもよい。特定の実施形態において、トーン信号は、複数のスピーカーから同時に射出される。複数のスピーカーは、それぞれのスピーカーが、他のスピーカーから射出されるトーン信号とは異なる固有の所定のトーン信号を射出するように制御されるものであってもよい。これによって、トーン信号は、そのスピーカーの固有のID(識別情報)として機能する。各ピクセルは、複数のスピーカーからのトーン信号を受信及び録音し、録音されたトーン信号を再生及び処理して各トーン信号の到着時間差(TDOA:time difference of arrival)を定め、TDOA式双曲型三辺測量及び/または多辺測量の方法及びスピーカーノードの既知の位置を使用してピクセルの位置を算出する、ように構成される。他の実施形態において、他の音響信号が、スピーカーの固有の識別情報としてそのスピーカーから射出されるものであってもよい。例えば、スピーカーは、経時的に周波数が増大する(アップチャープ)または減少する(ダウンチャープ)音響チャープ信号を射出するものであってもよい。それぞれのスピーカーは、様々な持続時間及び/または様々な開始周波数及び/または終了周波数で、音響チャープ信号を射出するものであってもよい。
【0026】
特定の実施形態において、4以上のスピーカーノードがトーン信号射出装置として使用される。幾つかの実施形態において、6つのスピーカーノードが使用される。さらに他の実施形態において、最大で16のスピーカーノードが使用される。スピーカーノードは、ライブイベントの会場において特定の配置構成で配置されるものであってもよい。ライトショーのディスプレイの複数のピクセルが多様な高さに位置している場合、各ピクセルが三次元位置決め情報を定めることを可能にするために、複数のスピーカーノードも様々な高さに配置されるものであってもよい。自己決定された位置情報によって、ピクセルは、多ピクセルディスプレイの自己アドレス指定されたピクセルとして独立に機能することが可能となる。これによって、複数のピクセルに対して、それらの位置に基づいて、ディスプレイ中の他のピクセルとは異なる動作を実行するように指令することができる。このようにして、単に全てのピクセルに対して同じ色を表示する及び/または同時に点灯もしくは点滅することよりも複雑なシーンを表示することが可能となる。例えば、複数のピクセルは、動く線、螺旋、渦巻き、光輪、もしくは他の効果、または、任意の他のアニメーションもしくは複数のピクセルによって形成されるライトショーのディスプレイの全体にわたる画像、を表示するように制御されるものであってもよい。これは、ライトショーのディスプレイの表示に重なる効果レイヤを組み込むことによって、達成されるものであってもよい。効果レイヤは、シーンの各フレームに対して(ライトショーに参加している全てのピクセルを含む)ライトショーのディスプレイがどう見えるかについての表現を含むものである。1つのピクセルは、自身がライトショーのディスプレイ上のどこに位置しているかを知ること、及び、それぞれの特定のフレームにおいて全体的なライトショーのディスプレイの表示はどのようになるべきかを効果レイヤに基づいて知ることによって、所望のアニメーションまたは画像に寄与するために、それぞれのフレームに対して自身が実行する必要のある動作を決定することができる。
【0027】
図1は、上述した方法及びシステムを使用してライトショーを上演するための会場100を模式的に示す図である。会場100は、コンサート、スポーツイベントもしくはレースイベント、ショー、公演、花火大会、または他のライブイベントを開くために適切な屋内または屋外のスタジアム、アリーナ、ボウル、コンサートホール、劇場、円形劇場、メインスタンド、フィールド、ビーチ、または他の広場、もしくはこれらと同種の場所であってもよい。会場100内の様々な位置にピクセル102が示されており、これらのピクセルは、集団としてライトショーのためのディスプレイ103を構成する。典型的には、それぞれのピクセル102は、ライトショーに参加するイベント出席者のうちの対応する一人に関連付けられる。ピクセル102は、ライトショーに参加するために、ライトショー制御システム104によって制御されて点滅する。
図1には、図示を簡明にするために、代表的なピクセル102のみが示されているが、ピクセル102は、もっと密集していてもよく、また、図示よりも多くのピクセル102が、集団として、ライトショーの一連のシーンを表示する多ピクセルディスプレイ103を形成し、ライトショーに参加するものであってもよいことは理解されたい。ピクセル102は、全て水平面上に位置するものであってもよく、あるいは、段階的な、勾配の付いた、または多層の座席を有する会場100において、様々な高さに位置するものであってもよい。
【0028】
本明細書において「ピクセル」という用語は、ライトショーのディスプレイ103の最小のアドレス指定可能な要素または照明領域を指すものとして使用される。特定の実施形態において、それぞれのピクセル102は、イベント出席者のモバイル機器を含む。他の実施形態において、ピクセル102は、ビーコン信号送信器(または、ライトショーのコマンド信号をピクセルに通信するために使用される他の送信器)によってブロードキャストされる信号を受信する機能を有する他の種類の携帯型機器を含むものであってもよい。
図3Aを参照すると、ピクセル102として使用可能な代表的なモバイル機器130は、ディスプレイスクリーン131を有している。このディスプレイスクリーンは、ピクセルの光源として機能し、点灯する及び/または特定の色を表示し、それによって、ライトショーのディスプレイ103にその色のピクセル102を提供するように動作可能である。モバイル機器130によって表示されるカラー画像は、ディスプレイスクリーン131の一部または全領域を一色で埋めるものであってもよい。モバイル機器130は、ライトショーの間に様々な色を順次的に表示するように制御されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、モバイル機器130は、ディスプレイスクリーン131の領域を、例えば色のグラデーションのように、一度に多数の色で埋めるように制御されるものであってもよい。例えば、ディスプレイスクリーン131は、スクリーンがグラデーションの遷移にわたって次の色に移行するときに、一次的に複数の色を表示するものであってもよい。幾つかの実施形態において、モバイル機器130は、同時に、ディスプレイスクリーン131の一部を、画像及び/またはビデオキャプチャのユーザインタフェースで同時に埋めるように、制御されるものであってもよい。このユーザインタフェースは、例えば、モバイル機器130がディスプレイ103のピクセル102としても機能する間に、ライブイベントの画像及び/またはビデオを取得することを可能にするために使用されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、モバイル機器130には、1つまたは複数の他の光源(例えば、
図3Bに示されるLEDのカメラ用フラッシュ136)が組み込まれている。この光源は、ライトショーに別の視覚要素を追加するために起動されるものであってもよい。
【0029】
さらに、モバイル機器130は、バイブレータ135を有するものであってもよい。このバイブレータは、ライトショーの間に、ライトショー制御システム104のビーコンから受信したモバイル機器振動コマンドによって起動するものであってもよい。バイブレータ135の起動は、イベント出席者に触覚フィードバックを介して通信するために使用することができる。例えば、モバイル機器130の振動は、モバイル機器130を携帯するイベント出席者に、ライトショーが始まることを知らせるために使用されるものであってもよい。群衆参加型のライトショーへの参加を向上させるために、イベント出席者は、彼らがモバイル機器130の振動を感じたとき、そのモバイル機器130を持ち上げるように指示されるものであってもよい。
【0030】
図1に示すように、会場100は、1つまたは複数のステージ105、1つまたは複数の自由席エリア106、及び1つまたは複数の指定席エリア108(例えば、108A、108B、108C、等々)を含む複数の会場区画101を有するものであってもよい。
図1に例示する会場区画101は、見本を示すことをのみを目的とするものであり、異なる会場100及び異なるライブイベントの間で、その数、レイアウト、構成が変わるものであってもよい。ピクセル102は、イベント出席者が(そのモバイル機器130とともに)存在するこれらの会場区画101内に位置している。ピクセル102は、ライトショー制御システム104によって点滅する及び色を表示するように制御可能である。このような動作をディスプレイ103の複数のピクセル102にわたって同期させることにより、群衆を参加させるようにライトショーを上演し、ライブイベントを盛り上げることができる。ライトショーの幾つかのシーンにおいて、会場100の全てのピクセル102は、同じ動作を同期して実行するように制御される。他のシーンでは、ピクセル102は、多ピクセルディスプレイ103上に特定の画像(静止画または動画)を作り出すように制御される(これは、ピクセル102が、会場の他のエリア内のピクセル102とは異なる色を表示するものであってもよく、及び/または、ピクセル102が、そのディスプレイスクリーンを点灯させ、一方他のピクセル102はそのディスプレイスクリーンを消灯させるものであってもよい、ことを意味する)。このような画像を作り出すために、どの時点においても、モバイル機器のディスプレイスクリーン131を点灯させるかどうか、及び、ディスプレイスクリーン131上にどの色を表示させるべきかの決定は、ピクセルの位置情報(例えば、本明細書に記載された方法及びシステムを使用して取得される自己決定された位置情報)に基づくものであってもよい。
【0031】
図2には、ライブイベントの会場(例えば、
図1に示す会場100)において複数のピクセル102を使用してライトショーを実行するための一実施形態に従うライトショー制御システム104が示されている。システム104は、ライトショーコントローラ124、(個別的に言う)1つまたは複数のビーコン信号送信器122(また、これらを集合的にビーコン信号送信器122とも言う)、及び位置決め信号送信器125を含む。ライトショーコントローラ124は、ビーコン信号送信器122及び位置決め信号送信器125と通信し、それらを制御する。システム104は、複数のスピーカーノード126も含んでいる。スピーカーノードは、位置決め信号送信器125からの信号を受信し、位置決め信号送信器によって制御される。以下にさらに詳細に説明されるように、システム124の構成要素のそれぞれは、モバイル機器130を携帯するイベント出席者の群衆のためのライトショーを、それぞれのモバイル機器130を、会場100の少なくとも一部にわたって広がる大きな多ピクセルディスプレイ103のピクセル102に変えることによって、上演することを可能にすることに関与する。ディスプレイ103は、2次元ディスプレイを含むものであってもよい。2次元ディスプレイでは、全てのピクセル102が同一平面上にあるか、または(ピクセルの位置を平面上に投影することによって)同一平面上にあるかのように取り扱われる。他の実施形態において、ディスプレイ103は、三次元ディスプレイを含む。これは、例えばアリーナ、スタジアム、ボウル、円形劇場、劇場、メインスタンド、及び同種のもののような段階的なまたは多層の座席を有する会場であって、ピクセル102が様々な高さにあり、所望の効果を作り出すためにそれらの三次元空間内の位置に基づいて制御される場合であってもよい。
【0032】
ライトショーコントローラ124は、ビーコン信号送信器122に、一方向BLE信号を周期的にブロードキャストすることを指令するように構成される。例えば、光ファイバー、高周波(RF)、WiFi(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)接続または同種のものを、ライトショーコントローラ124からビーコン信号送信器122への1つまたや複数はメッセージを中継するために使用して、ビーコン信号送信器122からのビーコン信号を構成するものであってもよい。ビーコン信号送信器122からのビーコン信号は、ビーコン信号送信器122の伝送距離囲内に位置するピクセル102によって検出され得る。会場100で使用されるビーコン信号送信器122の数は、伝送距離及び/または冗長性の考慮に基づくものである。特定の実施形態において、ビーコン信号送信器122は、約10mから500mの伝送距離を有する。送信器が故障した場合の冗長性を与え、会場100を確実に伝送可能範囲とするために、会場100内に1より多くのビーコン信号送信器122を配置し、ライトショーを上演するために会場内のピクセル120に信号がブロードキャストされるものであってもよい。ピクセル102は、ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされるBLE信号をスキャンし、検出されたBLE信号を復号化し、復号化された情報に応答して、ライトショーを作り出すための特定の動作を実行するように構成される。
【0033】
ライトショーコントローラ124は、ライトショーのディスプレイ103のピクセル102として機能するモバイル機器130上でライトショーを上演するために、ビーコン信号送信器122に特定の情報をBLE信号上に符号化するように指令する。ピクセル102は、モバイル機器130を含むものであってもよい。このモバイル機器は、例えばスマートフォン、タブレット、及び同種のもの、または、ディスプレイスクリーンまたは光源を含み、ビーコン信号を受信及び復号化するとともに復号化信号に基づいて表示動作を実行することが可能な任意の他の携帯機器である。このようなモバイル機器130は、そのディスプレイスクリーンまたは光源がライトショーに参加していることが見えるように、観客の構成員が保持するか、または、そうでない場合には、観客の構成員が携帯するまたは装着する(例えば、ネックストラップまたはリストストラップから懸架する)ものであってもよい。
【0034】
特定の実施形態に従って、ビーコン信号送信器122からブロードキャストされる信号は、(1)ライトショーのコマンド信号、(2)ハートビート信号、及び(3)会場構成信号を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、信号によって伝達されるメッセージのデータパケット180の構造が、(個別的に言う)
図5A、5B、及び5C(また、これらを集合的に
図5とも言う)に示されている。データパケット180は、例えばEddystone(登録商標)ビーコンフォーマットのような、適切なBLEビーコン通信プロトコルに準拠するものであってもよい。ライトショーのコマンド信号(例えば、
図5Bに示すデータバケット180Bとして伝達されるものであってもよい)は、ライトショーを上演するために実行する特定の動作(例えば、シーン再生、シーン再生の停止、フレーズの最後までシーンを再生して停止、全てのピクセルの消灯、モバイル機器の振動、LEDフラッシュの起動、等々)をピクセル102に通信する。ハートビート信号(
図5Aに示されるデータパケット180Aとして伝達されるものであってもよい)は、タイミング基準を通信することによって、複数のピクセル102の同期を容易にすることを促進する。幾つかの実施形態において、2以上の種類のハートビート信号が送信される。それらは、1)タイミング基準を使用してピクセルの同期を容易にする第1のハートビート信号、及び2)ピクセルが位置認識モードで動作しているとき、そのピクセル102が自身の位置を定めることを促進するトーンID(それぞれのスピーカーノード126から発信されたトーン信号を識別する情報)を伝達することができる第2のハートビート信号またはより多くのハートビート信号である。幾つかの実施形態において、BLE信号を使用してライトショーのコマンドをモバイル機器130に動的に送信するのではなく、ライトショーを上演するための一連のコマンドが、ライブイベントの前にモバイル機器130に事前ロードされるものであってもよい。このような実施形態において、ハートビート信号は、モバイル機器130に事前ロードされたライトショーのコマンドの実行を同期させるために、ビーコン信号送信器122によりモバイル機器130にブロードキャストされる。例えば、ハートビート信号は、モバイル機器130が再生すべきシーンはどれか、及びそのシーンを開始するのはいつかを指示するタイミング基準を通信するために、送信されるものであってもよい。ライトショーのコマンドが動的に送信されるか、またはモバイル機器130に事前ロードされるかにかかわらず、ハートビート信号は、ノードの位置及び会場のサイズを伝達することもできる。会場構成信号(例えば、
図5Cに示すデータパケット180Cとして伝達されるものであってもよい)は、ピクセル102が自身の位置を定めることを促進するために、ピクセル102にスピーカーノード126の位置を通信する。他の実施形態において、トーンIDは会場構成信号で伝達されるものであってもよく、及び/または、スピーカーノードの位置は、ハートビート信号で伝達されるものであってもよい。
【0035】
ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされ得る別の種類の信号は、ピクセル位置決めメッセージである。この信号によって、ピクセル102は録音モードとなり、複数のスピーカーノード126によって射出された特徴のある位置決め音響信号(トーン、ビープ、チャープ、等々)を検出及び録音し、録音された音響信号のTDOAに基づいてピクセル102の位置を定めるものである。ピクセル位置決めメッセージには、どのスピーカーノード126からどの音響信号が発信される予定であるかについての情報が含まれるものであってもよい。その代わりに、またはそれに加えて、このような情報は、会場構成信号または他の信号で送信されるものであってもよい。
【0036】
ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされ得る他の種類の信号には、ピクセル102として機能するモバイル機器130に対して、各モバイル機器130のディスプレイスクリーン131に特定の画像、語、句、またはテキスト/英数字のメッセージを表示させる信号が含まれる。この種の信号は、イベント出席者に対してライブイベントに関する情報を動的に通信することに適用されるものであってもよい。例えば、ライブのスポーツイベントにおいて、あるチームが得点したとき、ピクセルのディスプレイスクリーン131に得点チームのロゴまたはチームカラーが表示されるものであってもよい。ディスプレイスクリーン131に表示され得る他の情報には、得点した選手の番号及び/または名前、両チームの現在の得点、ピリオド内の残り時間または同種のもの、ペナルティ情報、ゲーム統計、及び同種のものが含まれる。幾つかの実施形態において、ピクセルのディスプレイスクリーン131に広告及び/またはイベントスポンサーシップの媒体が表示されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、ピクセルのディスプレイスクリーン131に公共の安全に関するメッセージが表示されるものであってもよい。例えば、公共の安全に関するメッセージには、緊急事態、安全に対する脅威、非常口の位置、緊急時の対応、避難方法、封鎖手順、及び同種のものに関する情報を含むメッセージが含まれるものであってもよい。また、ビーコン信号は、モバイル機器130に対して、モバイル機器130で音響効果、音楽、可聴音声、及び/または同種のものを再生させるように生成及びブロードキャストされるものであってもよい。
【0037】
ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされる信号は、ライトショーコントローラ124の制御下にある。特定の実施形態において、ライトショーコントローラ124は、オペレータがビーコン信号送信器122を介してピクセル102の制御を容易にするためのコマンドを入力するGUI(Graphical User Interface: グラフィカルユーザインタフェース)123を提供するマスターコントローラ・アプリケーションを実行するように構成される。マスターコントローラ・アプリケーションとGUI123は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、位置決め信号送信器125及びスピーカーノード126を制御するためにも使用されるものであってもよい。ライトショーコントローラ124のオペレータは、GUI123を使用して、ライトショーのシーンを構成し、かつライトショーの進行中に後のシーンを編集することができる。加えて、ライトショーコントローラ124のオペレータは、GUI123を使用して、フレーズの最後で停止するまでシーンの再生を開始/停止する、全てのピクセルを消灯させる、モバイル機器を振動させる、LEDフラッシュを起動する、等々のために、ビーコン信号送信器122を介して特定のコマンドをピクセル102に送信することができる。オペレータは、GUI123を使用して、ビーコン信号送信器122によってピクセル102に送信される他の種類の信号を制御することもできる。他の種類の信号には、例えば、ハートビート信号、会場構成信号、ピクセル位置決めパケット、及び、特定の語、句、もしくはメッセージのピクセルのディスプレイスクリーンへの表示を指令する信号が含まれる。GUI123は、多数のビーコン信号を送信するためのパラメータを調整するためにも使用されるものであってもよい。マスターコントローラ・アプリケーショのソフトウェアは、ライトショーコントローラ124の一部であるかまたはライトショーコントローラ124にアクセス可能なプログラム記憶装置に保存されるものであってもよい。プログラム記憶装置に保存されたソフトウェア指令の実行によって、ライトショーコントローラ124は、GUI123を介してオペレータから様々な入力を受け入れ、ビーコン信号送信器による特定の信号の符号化及び送信を指令することになる。
【0038】
図3Bに示すように、ピクセル102として機能するモバイル機器130は、モバイル機器130に組み込まれた記憶装置またはコンピュータデータ保存装置134にロードされたソフトウェア指令133を実行するプロセッサ132を含む。記憶装置134は、例えば、RAM(Random Access Memory: ランダムアクセセスメモリ)を含むものであってもよい。記憶装置134にロードされたソフトウェア指令133は、例えば、ライトショーの前にモバイル機器130にダウンロードされたモバイルアプリケーション中に備えられるものであってもよい。代わりに、ソフトウェア指令133は、プロセッサ132にアクセス可能な別の場所の記憶装置に保存されるものであってよく、または、適切な無線接続または有線接続を介してプロセッサ132に利用可能となるもの(例えば、モバイルウェブアプリケーション)であってもよい。ソフトウェア指令133の実行によって、モバイル機器130は、
・ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされるビーコン信号のスキャン及び復号化のステップを実行し、
・それぞれ異なる情報を使用して符号化された異なる種類の情報(例えば、ライトショーのコマンド信号、ハートビート信号、会場構成信号、及びピクセル位置決め信号)を識別し、そして、
・復号化された情報に応答して特定の動作を実行する、
ことになる。
【0039】
特定の実施形態において、ライトショーは、シーン毎に作成されるものであってもよい。この際、それぞれのシーンは、ピクセル102によって実行される特定の一連の動作を含む。ライトショーは、順次的に再生される一連のシーンを含む。したがって、ビーコン信号に符号化される特定の種別のライトショーのコマンドは、「シーン再生」コマンドであってもよい。このコマンドは、モバイル機器130に対して、ディスプレイスクリーン131の点灯/消灯、及び/または、スクリーン131への特定の色の表を通知する様々なシーンパラメータを含む。ライトショーコントローラ124は、オペレータにより制御されて、マスターコントローラ・アプリケーションのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)123を通じてこのようなシーン再生コマンドを生成するものであってもよい。オペレータは、GUI123を使用して、様々な機能のうちとりわけ、ライトショーが開始する前にシーン用のパラメータを設定し、それらをシーンプレイリストに保存し、ライトショーの最中に(すなわち、ライトショーを開始した後に)、後のシーンのパラメータを設定または編集することができる。
【0040】
図8A、8B、8Cには、ライトショーコントローラ124上で実行されるマスターコントローラ・アプリケーション用のGUI(個別的に言う)123A、123B、123C(また、これらを集合的に、GUI123とも言う)のスクリーン表示の例が示されている。
図8Aに示すように、GUI123は、カラーパレット140を含み、オペレータは、1つのシーンの間に表示される色をこのカラーパレットから選択することができる。GUI123には、シーン再生コマンド用のシーンパラメータを設定するための2以上の制御レイヤも含まれる。具体的には、GUI123Aは、第1の画像制御レイヤ142を含む。第1の画像制御レイヤでは、1つのシーンのための色の順序146及び色間のグラデーション遷移148、及び一連の色(カラーシーケンス)が音楽の何小節でループする(1回りする)か(すなわち、カラーシーケンスの速度)が決定される。GUI123Aには、第2の画像制御レイヤ144も含まれる。第2の画像制御レイヤは、ディスプレイスクリーンの点滅が決定される(例えば、点滅の速度が、点滅が発生する一小節の部分、ディスプレイが点灯する時間と消灯する時間、フィルイン/フィルアウト、等々によって決定される)。
【0041】
それぞれのシーンは、画像制御レイヤ142、144で設定されたパラメータを使用して構成されるものであってもよい。画像制御レイヤ142、144は、モバイル機器130でシーンを再生するとき、組合せられるものであってもよく、または並置されるものであってもよい。例えば、第1の画像制御レイヤ142が、シーンの間に赤、青、及び黄色の色の表示をループするように設定され、第2の画像制御レイヤ144が、シーンの間に特定のパターンで点滅するように設定された場合、画像制御レイヤ142、144の組み合わせを含むシーン再生コマンドに対して、モバイル機器130のディスプレイスクリーン131は、第1のレイヤ142による指定に従って色(赤、青、または黄色)を表示するが、これらの色が可視になる(すなわち、スクリーンがこれらの色を表示する)のは、第2のレイヤ144による指定に従って点滅が「点灯」である時間のみである。
【0042】
このように、ライトショーのコマンド信号中に符号化される「シーン再生」コマンドのシーンパラメータは、次の複数のパラメータまたはそれらの部分集合を含むものであってもよい。それらは、
・固有のソフトウェアID、
・現在のショーID、
・固有のメッセージID、
・メッセージ種別、
・再生種別(ストレート、ランダムグラデーション、ランダム点滅、ランダムグラデーション及びランダム点滅)、
・シーンにわたって順次的にまたはランダムな順序で再生される色を指定する1組の色ID(例えば、色ID 1、2、3、4、5、6、等々)、
・グラデーション速度(例えば、シーン中の特定の一連の色がループする小節数。小節数で表現される)、
・グラデーション遷移(例えば、特定の色への遷移及び色からの遷移。パーセンテージとして表現される)、
・点滅速度、
・点滅フィル、
・点滅イン/点滅アウト(特定の点滅のフェードイン/フェードアウトを決定する。パーセンテージとして表現される)、
・シーン番号、
・BPM(Beats Per Minute: 一分当たりの拍数)、
・フレーズフラグ(オン/オフ)(フレーズフラグが「オン」の場合、モバイル機器130は、フレーズ(例えば、1つのシーンまたは複数の一連のシーン)の最後まで再生して停止する。そうでない場合、モバイル機器130は、1つまたは複数のシーンを通じて連続してループする)、
・及び/または同種のもの、
である。
【0043】
図5Bには、特定の実施形態に従うライトショーのコマンドのメッセージのためのデータパケット180Bの構造の一例が示されている。ビーコン信号送信器122によって送信される全てのデータパケット180と同様に、データパケット180Bは、プロトコル管理のための1バイトのプリアンブル181から開始し、続いて、4バイトのアクセスアドレス182となる。データパケット180Bは、アクセスアドレス182の後に、PDU(Packet Data Unit: パケットデータユニット)183を含んでいる。データパケット180Bは、誤り検査のためのCRC(Cyclic Redundancy Check: 巡回冗長検査)で終了する。
図5Bに示すように、PDU183は、2バイトのヘッダ185と、ライトショーのコマンドのメッセージの内容を有する可変長のペイロード187’(例えば、6バイトから37バイトの長さ)とを含んでいる。ペイロードの長さは、ヘッダ185中に定義されるものであってもよい。ペイロード187’は、複数のフィールド187を含み、メッセージの異なる部分に対してそれぞれのフィールドが指定されている。図示された代表的なフィールド187は、メッセージ種別187A(例えば、メッセージが「シーン再生」コマンドまたはライトショーの本明細書で説明される他の種類のコマンドであることを特定する)、再生種別187B(例えば、メッセージ種別が「シーン再生」コマンドの場合、再生されるシーンの種類を特定する)、シーンにわたって再生される色を定める1組の色ID187C、グラデーション速度187D(スクリーンが次の色に遷移する速度)、及び、BPM(Beats Per Minute)187Eを含む。
図5Bには、ライトショーのコマンドのメッセージのためのペイロード187’中に定義可能な全てのフィールド187が示されているわけではない。ライトショーのコマンドのメッセージを与えるために必要な他のフィールド(図示は省略する)が、ペイロード187’に定義されるものであってもよい。
【0044】
第3の画像制御レイヤ149が、GUI123A(
図8A参照)によって備えられるものであってもよい。画像制御レイヤ149には、会場の鳥瞰的なプレビューの表示が含まれる。この表示は、ライトショーのコマンド信号をピクセル102に送信すると、それぞれの特定のフレームに対して全体的なディスプレイ103がどう見えるかを表すものである。第3の画像制御レイヤは、シーン種別の画像表現を選択及び見せるために使用されるものであってもよい。ここで、それぞれのシーン種別は、動く線、螺旋、渦巻、光輪、及び/または他の効果、もしくは任意の他のアニメーションまたは画像のような特定の所定のシーンを指定するものである。モバイル機器130は、シーン種別のライブラリからシーン種別を検索するものであってもよい。このライブラリは、各モバイル機器130に保存されるか、または無線接続または有線接続(例えば、インターネットまたはWiFi(登録商標)無線接続)を介してモバイル機器130にアクセス可能とされている。それぞれのピクセル102は、画像制御レイヤ142、144、149を組み合わせること、及び、会場内での自身の位置を知ること、そして、それによって画像制御レイヤ149による表現に従ってディスプレイ103内での自身の位置を位置決めすることによって、ディスプレイ103によって表示されるアニメーションまたは画像に寄与するために何を表示しなければならないかを決定することができる。特定の実施形態に従ってピクセルを位置決めするための装置及び方法については、以下で詳細に説明される。
【0045】
幾つかの実施形態において、1つまたは複数の画像制御レイヤ142、144、149は、省略されるか、無効化されるか、または省略時設定に構成される。例えば、画像制御レイヤ149は、無効化されるものであってもよく、または、このレイヤに対する入力がない場合、「全て表示」モードに省略時設定されるものであってもよい。このモードは、それぞれのピクセル102が、その位置に関わらず、画像制御レイヤ142、144によって与えられたように、全ての他のピクセル102と同じ画像を表示することを意味する。言い換えれば、モバイル機器130は、全てそのディスプレイスクリーン131で同じシーンを再生する。このモードにおいて、画像制御レイヤ149の影響はない。
【0046】
ビーコン信号送信器122によって周期的にブロードキャストされ得る別の種類の信号は、ハートビート信号である。特定の実施形態において、ハートビート信号は、5秒から15秒毎にブロードキャストされるものであってもよい。ハートビート信号によって、ピクセル102を、ライトショーの音楽の拍(ビート)と同期させ、シーンを正しい時点で開始させることが可能となる。ハートビート信号中に符号化されるパラメータには、次の複数のパラメータまたはその部分集合が含まれるものであってもよい。それらは、
・固有のソフトウェアID、
・現在のショーID、
・固有のメッセージID、
・メッセージ種別、
・BPM(Beats Per Minute: 一分当たりの拍数)、
・最後のBPMのリセットからのハートビート数、
・ビートモード種別、
・拍子、
・第1拍からの時間(例えば、ミリ秒単位の数字で表現される)、
・音速(音速は、会場内の温度と会場の海抜高度(平均界面からの(AMSL:above mean sea level)高度)に基づいて変化する可能性があるパラメータである。したがって、ピクセルの位置の正確な位置決めを可能にするため、与えられた室温と海抜高度に対して、特定の会場におけるライトショーのための音速が定められてピクセルに対して通信されるものであってもよい。特定の実施形態において、音速は、ハートビート信号の一部として送信されるものであってもよく、他の実施形態では、音速は、会場構成信号またはピクセル位置決めメッセージのような別の種類のメッセージの一部として送信されるものであってもよい)、
・及び/または同種のもの、
である。ハートビート信号を復号化して第1拍からの時間及びBPMを確認すると、ピクセル102は、現在のシーンが終わった後、次のシーンを開始するのはいつかを定めることができる。
【0047】
図5Aには、特定の実施形態に従うハートビート信号のためのデータパケット180Aの構造の一例が示されている。データパケット180Aの構造は、データパケット180B(
図5B)と全体的には同様の構造を有するが、その可変長のペイロード186’に対して異なるフォーマットを有している。
図5Aに示すように、ペイロード186’は、例えば、メッセージ種別186A(例えば、このメッセージがハートビートであることを特定する)、BPM(Beats Per Minute)186B、ビートモード種別186C(シーンをいつ、どのように再生するかを指定する)、拍子186D(例えば、2/4、3/4、4/4拍子)、第1拍からの時間186E(タイミング基準ポイントとして機能するものであってもよい)、音速186F(特定の会場に応じて設定することができる)。ペイロード185’には、ハートビートメッセージを与えるために必要な他のフィールド186(図示は省略する)も定義することができる。幾つかの実施形態において、ビートモード種別186Cは、ピクセル102がデータパケット180Aを受信するとすぐにシーンを再生する「フリーモード」、ピクセル102が小節の最後(例えば、拍子186が4/4拍子の場合、第4拍の終わり)でシーンを再生する、フレージングする、または停止する「ビートモード」、及び、ピクセル102が進行中の総小節数の最後でシーンを再生する、フレージングする、または停止する「小節モード」であってもよい。この代わりに、またはこれに加えて、時間モードのパラメータを定義することができる。時間モードにおいて、ライトショーのオペレータは、拍数及び小節数ではなく、秒単位で定義された時間に基づいてピクセル102を制御することができる。例えば、ピクセル102は、ライトショーのオペレータがマスターコントローラ・アプリケーションを使用して指定した特定の秒数だけシーンを再生するように制御されるものであってもよい。
【0048】
ハートビート信号は、複数のピクセル102の同期を容易にする(例えば、複数のピクセルが確実にシーンを同時に開始するようにする)ことに加えて、ピクセルの応答性を監視するためにも使用されるものであってもよい。モバイル機器130のBluetooth(登録商標)受信器は、時折、ハングアップまたはフリーズする場合がある。例えば、Android(登録商標)デバイスが有するBluetooth(登録商標)ハードウェアの中には、多数のBluetooth(登録商標)信号がそれに送信された後、無反応になるものもある。モバイル機器130は、モバイル機器130でハートビート信号を受信することなくある時間、すなわちハートビートのタイムアウト時間(例えば、12秒)、が経過した後、モバイル機器130で、現在表示されているシーンの表示が停止され、ピクセル上のディスプレイスクリーンがクリアされ及び/または空白スクリーンが表示され、Bluetooth(登録商標)ハードウェアが再始動され、及び/または、Bluetooth(登録商標)スキャンが再始動される、ように構成されるものであってもよい。
【0049】
ビーコン信号送信器122によって周期的にブロードキャストされ得るさらに別の種類の信号は、会場構成信号である。会場構成信号は、例えば、10秒から20秒毎にブロードキャストされるものであってもよい。会場構成信号は、スピーカーノード126の位置を使用して符号化される。スピーカーノードの位置は、GUI123B(
図8B参照)のノード位置フィールド154に入力されるものであってもよい。以下に詳細に説明するように、ピクセル102は、ノードの位置を知り、そしてノードからの音響信号を受信することによって、自身の位置を算出するように構成されるものであってもよい。会場構成信号中に符号化され得る他の情報には、ディスプレイ103の基準系を別の基準系(例えば、スピーカーノード群の中心に基づく基準系)にずらすことを可能にする原点オフセット、及び、それぞれのスピーカーノード126によって生成される音響信号の周波数または他の特性を指定するトーン情報またはトーンID188Dが含まれる。このような他の情報も、ピクセル120によって、自身の位置を定めるために使用されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、上に挙げた情報の幾つか(例えば、トーンID188D)は、ハートビート信号で送信されるものであってもよく、その代わりに、またはそれに加えて、会場構成信号で送信されるものであってもよい。
【0050】
図5Cには、特定の実施形態に従う会場構成信号のためのデータパケット180Cの構造の一例が示されている。データパケット180Cの構造は、データパケット180A(
図5A)及びデータパケット180B(
図5B)と全体的には同様の構造を有するが、その可変長のペイロード188’に対して異なるフォーマットを有している。
図5Cに示すように、ペイロード188’には、例えば、メッセージ種別188A(例えば、このメッセージが会場構成メッセージであることを特定する)、原点オフセット188B、1組のノート位置188C、及び各ノードのトーンID188D(トーン特性を指定する)が含まれる。ペイロード188’には、ハートビートメッセージを与えるために必要な他のフィールド188(図示は省略する)も定義することができる。
【0051】
イベントの間、それぞれのピクセルのディスプレイスクリーン(例えば、モバイル機器130のディスプレイスクリーン)に、個別の画像が表示されるものであってもよい。
図8Cに示されるように、モバイル機器130に表示されるライブイベントに対応する画像は、GUI123Cのライブイベント選択フィールド190を使用して選択されるものであってもよい。イベント画像、または、広告もしくはスポンサーシップの画像のプレビューが、プレビューフィールド191とプレビューフィールド193にそれぞれ示される。イベント画像は、GUI123Cのボタン194をクリックすることによって、モバイル機器130に表示されるように送信されるものであってもよい。広告もしくはスポンサーシップの画像は、GUI123Cのボタン196をクリックすることによって、モバイル機器130に表示されるように送信されるものであってもよい。
【0052】
上述したように、データパケット180のために使用されるビーコン通信のプロトコルは、Eddystone(登録商標)プロトコルであってもよい。Eddystone(登録商標)プロトコルによって、データをカスタム化されたフォーマットで符号化し、iOS(登録商標)またはAndroid(登録商標)のモバイル・オペレーティングシステムを実行するモバイル機器のどちらとでも通信することが可能となる。Eddystone(登録商標)は、iOS(登録商標)デバイスまたはAndroid(登録商標)デバイスのどちらとでも通信するために使用できるため、ビーコン信号送信器122によってブロードキャストされる必要があるのは1組の信号のみである。これによって、異なる種類の機器用に異なる信号フォーマットで符号化された複数組の信号を送信することから発生する可能性のあるタイミングまたはデータ通信の問題が軽減される。他の実施形態において、データパケット180は、他の適切な通信プロトコルに準拠するものであってもよい。
【0053】
BLEビーコン信号を操作して受信側のモバイル機器130に特定の動作を実行させることには、幾つかの課題がある。例えば、個々のBLE信号の全てがモバイル機器130によって一般に受信されるわけではない。この原因の少なくとも一部は、Bluetooth(登録商標)信号が、一般にスマートフォンのようなモバイル機器130のスキャンレートよりも短い時間で送信されるという事実である。この問題に対処するため、複数のバッチに分けてビーコン信号を送信することにより、冗長性が備えられるものであってもよい。この際、それぞれのバッチには、同じメッセージの複数のコピーが(例えば、全て同じ「シーン再生」コマンドまたは他のコマンドを送信する、繰り返されるBLEデータパケットの形で)含まれる。1つのバッチ内のそれぞれのデータパケットは、一定の時間だけ分離されている。例えば、幾つかの実施形態において、同じメッセージは、それぞれ20msの間隔をおいて15回から25回(すなわち、バッチ毎に15から20のコピーが)送信される。
図4には、繰り返される複数のデータパケットを有する第1のバッチ150Aと第2のバッチ150Bが示されている。幾つかの実施形態において、バッチ毎に15のデータパケットが存在する。引き続く2つのデータパケット153の間の時間t
mは、例えば、25msであってもよい。バッチ150Aの開始と次のバッチ150Bの開始との間の時間t
bは、例えば、500msであっても(すなわち、2つのバッチ150は、500ms毎に送信されるものであっても)よい。バッチ150毎のデータパケット153の数、引き続く2つのデータパケット153の間の時間、及び引き続く2つのバッチの間の時間は、ビーコン信号送信器122またはライトショー制御システム104の異なる構成に応じて異なるものであってもよい。引き続く2つのバッチ間の時間t
b(または、バッチ送信の周波数)、それぞれのメッセージに対するバッチ送信の数、バッチ毎のデータパケットの数、1つのバッチ内での引き続く2つのデータパケット間の時間t
m、等々を含む特定のデータパケット送信パラメータは、
図8Bに示すGUI123Bのビーコンメッセージ送信制御パネル156を使用して構成されるものであってもよい。同じメッセージの複数のコピーを複数のバッチに分けて送信することにより、モバイル機器130がそれぞれのコマンドを取得する可能性は、それぞれのメッセージを1回だけ送信する場合よりも大幅に増大する。幾つかの実施形態において、バッチ毎のデータパケットの数及び引き続き2つのメッセージのコピーの間の時間t
mは、モバイル機器130の受信率が95%以上となるように構成される。
【0054】
送信器からの距離が様々であるために複数のピクセル102が同じ音響信号の通信を様々な時間に受信する可能性がある音響信号を使用する場合とは異なり、BLE信号は光速で伝搬するため、BLE信号通信の伝搬時間から生じる同期の問題は一般にはどれも無視できる。信号の速度を要因とする送信の遅延によって生じる可能性のある問題以外の同期の問題の他の発生源の方が重要となる可能性が高い。例えば、遅延の発生源は、モバイル機器130のハードウェアもしくはファームウェアの制約またはデータ処理の制約、あるいは、異なるモバイル機器130の間のビーコン信号受信/処理能力のばらつきに関連する場合がある。これらの問題に対処するための幾つかの方法は、本明細書でさらに詳細に説明される。
【0055】
1つのタイミングの問題は、上述したように、冗長性のために繰り返されるデータパケットが複数のバッチに分けて送信される場合、1つのバッチ内で複数のデータパケットがわずかに異なる時点で送信されるため、ハートビート信号中のタイミング基準情報がデータパケットの全ての事例に対してもはや正確ではないことである。加えて、例えば異なるモデルのスマートフォンのような異なるモバイル機器の間で応答時間がばらつく場合があり、これによって、データパケットを僅かに異なる時点で受信しかつ応答する様々なモバイル機器にわたってライトショーを再生するときに、同期の問題が発生する可能性がある。これらの問題に対処するため、同じバッチ内のそれぞれのパケット毎にタイミング基準情報(例えば、第1拍からの時間)が増大され、モバイル機器130によって受信されたパケットに第1拍と正確に同期したタイミング基準情報が含まれることを確実にする。例えば、1つバッチ内の引き続く2つのデータパケットがtm=25msで間隔をおいており、第1のデータパケットのタイミング基準がtRであったとすると、そのバッチ内の後続のデータパケットのタイミング基準は、tR+25ms、tR+50ms、tR+75ms、等々となる。ハートビート信号で送信されるこのような細かタイミング基準によって、複数のモバイル機器130のより高精度な同期が可能となる。
【0056】
BLEビーコン信号の使用に伴うさらなる問題は、ビーコン装置から発生するBLEビーコン信号のデータパケットが、典型的には、同じMACアドレスを有するように構成されるという事実から生じる。特定のモバイル機器では、モバイル機器130が1つのビーコン信号送信器から一度データパケットを受信すると、後続のデータパケット中に同じMACアドレスが存在することをモバイル機器130が認識することにより、同じビーコン信号送信器からの後続のデータパケットを無視する可能性がある。モバイル機器130が、新規の情報を含む後続の一群のBLEビーコン信号を無視しないことを確実にするため、特定の実施形態において、ビーコン信号送信器122は、マスターコントローラ・アプリケーションのGUI123によって、送信器のMACアドレスを更新して、新規メッセージを伝達するそれぞれのバッチのパケット群について信号に新規のMACアドレスを符号化し、これによって、受信側のモバイル機器130のオペレーティングシステムにこれらのバッチを新規のビーコン装置から発生したものとして解釈させる。これによって、モバイル機器130は、それぞれの後続の信号群を読み取るようになる。送信器122のMACアドレスを更新することは、ビーコン信号送信器122にインストールされたカスタムファームウェア、または他の適切な手段によって達成されるものであってもよい。
【0057】
モバイル機器130のオペレーティングシステムが、(例えば、少なくとも幾つかのiOS(登録商標)デバイスのように)ビーコンのMACアドレスへのアクセスを備えていない場合、モバイル機器130が(新規のMACアドレスがあるという事実を認識する場合はあるけれども)MACアドレスを読み取ることができないため、コマンドと前のコマンドが同じ場合、そのコマンドを認識するまたはコマンドを前のコマンドと区別することが事実上妨げられる可能性がある。これは、ライトショーのオペレータが、同じシーンを2回表現したいまたは見せたいため、同じライトショーのコマンドを2回送信した場合に生じる可能性がある。両方のコマンドの認識を容易にし、モバイル機器130が後続の同一のコマンドを無視する(これは、iOS(登録商標)のモバイル機器130をAndroid(登録商標)のモバイル機器130と同期していない状態にする可能性がある)ことを防止するために、それぞれのメッセージは、固有の識別番号を使用して符号化される。この識別番号は、例えば、データパケットのペイロードに含まれるものであってもよい。このようにして、ビーコン信号からMACアドレスを読み取れないために後続のコマンドを無視する性質があるモバイル機器130は、コマンドを、コマンドとともに送信される異なる識別番号により、前のコマンドとは異なるものとして認識するようになる。
【0058】
図6には、一実施形態に従って、ビーコン信号を復号化し、モバイル機器でライトショーを上演するための方法160が示されている。方法160は、ソフトウェア指令を実行するモバイル機器130によって実行されるものであってもよい。ソフトウェア指令は、モバイル機器130の記憶装置またはデータ保存装置からロードされるか、そうでなければ、無線接続または有線接続介してモバイル機器130に利用可能となるもの(例えば、ウェブモバイルアプリケーション)であってもよい。記憶装置にロードされるソフトウェア指令は、例えばライトショーの前にモバイル機器130にダウンロードされたモバイルアプリケーション中に備えられるものであってもよい。方法160の各ステップは、モバイル機器130によって新規のビーコンメッセージのバッチが検出される度に実行されるものであってもよい。例えば、方法160は、幾つかの実施形態において、複数のパケット153(
図4参照)を有する引き続く2つのバッチ150の間の時間を含む20msから30ms毎に実行されるものであってもよい。それぞれのモバイル機器130は、ライトショーのコマンドによって制御され、このコマンドは、ライトショーの最中にライトショーコントローラ124のオペレータによって生成されるものであってもよい。方法160では、それぞれのモバイル機器130は、それぞれのシーンの直前にライトショーのコマンドを受信及び復号化し、このようなコマンドに基づいて、シーンを表示するために自身が実行する必要がある動作を定めるため、ライトショーのシーンのパラメータを、ライトショーコントローラ124で実行されるマスターコントローラ・アプリケーションとのインタフェースを取るGUI123を通じて動的または実時間で更新することが容易になる。
【0059】
方法160は、ブロック162で開始され、ここでは、ビーコン信号送信器122からの信号をスキャン及び受信する。ビーコン信号が検出されると、この方法はブロック164に進み、ここでは、受信したデータパケットからモバイル機器130で(例えば、ライトショーのコマンド、ハートビート、会場構成信号、及びピクセルの位置決めのような)メッセージ種別を復号化する。データパケットの内容を解析及び解釈することを可能にするため、データパケットから他のデータが復号化されるものであってもよい。ブロック166において、データパケットのペイロードの残りの内容が、少なくともメッセージ種別に基づいて復号化される。データパケットのペイロードの内容は、モバイル機器130に本明細書で記載されたような特定の動作を実行するための指令を与えるものである。例えば、メッセージ種別がライトショーのコマンドの場合、復号化された内容は、「シーン再生」コマンドに対する特定のライトショーのコマンドのパラメータ(例えば、色ID、グラデーション速度、等々)を含むものであってもよい。このパラメータは、ライトショーの各シーンに対してモバイル機器130のディスプレイスクリーン131上で何が再生されるかを制御するものである。
【0060】
ブロック168で、方法160は、ハートビートのタイムアウト時間と等しい時間内にハートビート信号が受信されたかどうかを確認するステップに進む。ハートビート信号は、本明細書に記載されたような時間基準情報を含む。タイムアウト時間内にハートビート信号が受信されなかった場合、モバイル機器130は、特定の動作を実行するように指令される。この特定の動作は、例えば、現在表示されているシーンの表示を停止すること、モバイル機器のディスプレイスクリーンをクリアし、モバイル機器に空白スクリーンを表示させること、及び/または、ビーコン信号のスキャンを再始動することである。ブロック168で実行される確認は、ハートビートのタイムアウト時間の度に1回だけ実行される(すなわち、ハートビートのタイムアウト時間が経過していなかった場合、方法160は、次のステップ170に飛ぶ)ものであってもよい。幾つかの実施形態において、ブロック168におけるステップは、省略される。他の実施形態において、ブロック168におけるステップは、任意選択であり、ライトショーコントローラ124のオペレータは、ハートビート信号の送信の無効化を選択することができる。例えば、オペレータは、GUI123B(
図8B)を使用して、「ハートビート有効化」バー155を選択し、ハートビート信号のブロードキャストを有効化/無効化することができる。ハートビート信号を無効化するには、信号通信がモバイル機器130に送信され、その結果、このような機器がハートビートのタイムアウト時間内のハートビート信号の欠落に対する応答を停止する(例えば、そのディスプレイスクリーン131を自動的にクリアしない、または、そのBluetooth(登録商標)ハードウェアは、ハートビート信号の受信の欠落時に再起動されない、等々)ように制御されるものであってもよい。ハートビート信号を再有効化するには、ハートビート信号を探索させ、かつハートビートのタイムアウト時間内にそれを受信しなかった場合には適切に応答させる信号通信がモバイル機器130に送信されるものであってもよい。
【0061】
次いで、方法160は、ブロック170に進み、ここで、ライトショーを表示するために、ブロック166で復号化されたパラメータまたはコマンドが適用または実行される。特定のメッセージ種別(例えば、ピクセル位置決め及び会場構成)は、モバイル機器130に、情報(例えば、モバイル機器またはピクセルの位置及びスピーカーノード126の位置)を定めるように動作させる。他のメッセージ種別(例えば、ライトショーのコマンド)は、モバイル機器130に、定められたピクセル位置及びスピーカーノードの位置を適用させ、ライトショーのパラメータに基づいて、モバイル機器130のディスプレイスクリーン131でシーンを再生させる。ブロック170においてモバイル機器130によって実行されるライトショーの表示動作は、タイミング基準ポイントを提供するハートビート信号を使用して、他のモバイル機器130の表示動作と同期されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、それぞれのモバイル機器130は、複数の動作を待ち行列に入れ、ライトショーを表示する前に(タイミング基準情報に基づいて)次のシーン及び正確に正しい時点まで待つ。特定の実施形態において、タイミングの精度は、それぞれのモバイル機器130が、ハートビートのタイミング基準ポイントの±5ミリ秒内で同期するというものである。
【0062】
別の潜在的な同期の問題は、適切な信号がモバイル機器130に到達したとき、符号中の視認オブジェクトをコンパイルして記憶装置またはデータ保存装置に保存するために時間がかかることである。モバイル機器がシーンのための視認オブジェクトを作成している間、モバイル機器130の応答に遅延があるため、これによって、ライトショーのためにモバイル機器130が同期するようにハートビート符号が使用されているときでも、ライトショーの効果が同期しない状態となる場合がある。この問題に対処するため、モバイル機器130のプロセッサ132は、モバイル機器130がライトショーのコマンド信号(例えば、シーン再生コマンド)を受信したとき、シーンが再生されるべき拍に先行して、符号から視認オブジェクトをコンパイルし、効果を事前に生成して視認オブジェクトのファイルを記憶装置(例えば、RAM)または不揮発性のデータ保存装置(例えば、フラッシュメモリ)に保存するように構成されるものであってもよい。タイミング基準情報に関して決定される適切な拍が到着したとき、モバイル機器130のプロセッサ132は、事前生成された視認オブジェクトを瞬時に呼び出して実行し、シーンを再生する。これによって、プロセッサ132が十分な事前の時間なしにシーンのための視認オブジェクトを生成しなければならない場合に生じる可能性があるモバイル機器130の応答時間の遅延が、回避または最小化される。さらなる視認オブジェクトのために記憶装置のスペースを確保するため、視認オブジェクトは、シーンを再生するためにそれらが一度使用され/呼び出され、不要となった時点で消去されるものであってもよい。
【0063】
幾つかの実施形態において、モバイル機器130上のライトショーの表示は、フラッシュのハードウェア機能を使用してカメラのフラッシュまたはモバイル機器の他の光源を点灯/消灯させ、ライトショーのための視覚効果を生成する、モバイル機器130で実行されるモバイルアプリケーションによって容易になる。このフラッシュ機能は、モバイル機器130の「カラーモード」での動作、すなわち、上述したように、ライトショーのシーンを再生するためにモバイル機器130のディスプレイスクリーン131に色を表示すること、に加えられるものであってもよい。幾つかのモバイル機器130、特にAndroid(登録商標)のスマートフォンは、フラッシュのハードウェアを動作させると発熱する場合がある。この作用を軽減するため、モバイルアプリケーションは、モバイル機器130が、全時間にわたってハードウェアを動作させて使える状態にしておく必要性を軽減するために、モバイル機器130が「フラッシュモード」で実行されているときにのみフラッシュのハードウェアを動作させる、ようにプログラムされるものであってもよい。フラッシュのハードウェアは、モバイル機器130が、フラッシュモードでも動作することなく「カラーモード」でのみ動作しているとき、無効化されるものであってもよい。
【0064】
図7は、シーンのパラメータを決定し、そのシーンのパラメータを使用してビーコン信号を符号化する方法200を示す図である。方法200を実行した結果として生成及びブロードキャストされる符号化されたビーコン信号は、モバイル機器130によって受信され、ライトショーを表示するためにモバイル機器130用のコマンドを生成するため、
図6に示す方法160を使用して復号化されるものであってもよい。
図6に示す方法160と同様に、
図7に示す方法200は、ライトショーのシーンのパラメータを、ライトショーコントローラ124で実行されるマスターコントローラ・アプリケーションとのインタフェースを取るGUI123を通じて動的または実時間で更新することを容易にするものである。方法200は、ブロック202で開始され、ここで、ライトショーコントローラ124のオペレータからの入力がGUI123で受け取られる。この入力は、ライトショーを定義及び構成するためのシーンのパラメータ及び他のパラメータ(例えば、会場特有のパラメータ及びハートビート信号のパラメータ)に対応するものであってもよい。方法200は、ブロック204及びブロック206に進み、ここで、ビーコン信号のデータパケットの内容が、ブロック123で受け取られた入力に基づいて決定される。これらのステップは、例えば、メッセージ種別の特定、及び、メッセージ種別に応じた特有のパラメータの特定、を含むものであってもよい。例えば、ブロック204で復号化されるメッセージ種別がライトショーの「シーン再生」コマンドであった場合、ブロック206において、方法200は、ブロック202で受け取られた入力に基づいて、再生種別(ストレート、ランダムグラデーション、ランダム点滅、ランダムグラデーション及びランダム点滅)、シーンにわたって再生される色のための1組の色ID、グラデーション速度、グラデーション遷移、等々を特定するステップに進む。次いで、ブロック208において、パラメータは、ビーコン信号送信器122によってBLE信号で符号化される。ブロック210において、符号化された信号は、ビーコン信号送信器によってブロードキャストされる。
【0065】
以上の説明では、多数のピクセル102にわたるライトショーのディスプレイを作る装置及び方法を、ビーコン信号送信器122からブロードキャストされてモバイル機器130で受信されるBLE信号の使用に関連させて説明したが、他の実施形態において、上述した方法と同様の方法に従って(例えば、ライトショーのコマンド、会場構成、及びピクセルの位置決めのような様々な種類のメッセージを送信することによって)ピクセル装置を制御するために、他の種類の無線信号が使用されるものであってもよい。ライトショーを作り出すために、例えば、WiFi(登録商標)信号、音響信号、Bluetooth(登録商標) Low Energyではなく通常のBluetooth(登録商標)またはBluetooth(登録商標) Classic、及び同種ものものが、1つまたは複数のメッセージをモバイル機器130に中継するために使用されるものであってもよい。ピクセル102として使用される装置がRF受信器またはIR受信器を含む場合、(場合に応じて)RF送信器またはIR送信器を使用して、本明細書に記載された方法に従って、(RF信号またはIR信号として)ライトショー通信を装置に中継するものであってもよい。
【0066】
図2には、ピクセル102の位置を定めることを可能にする装置が示されている。ライトショー制御システム124は、複数のスピーカーノード126を制御する位置決め信号送信器125を含む。それぞれのスピーカーノード126は、受信器127、トーン信号発生器128、増幅器118、及び無指向性のスピーカーアレイ119を含む。幾つかの実施形態では、4つのスピーカーノード126が存在する。さらに他の実施形態では、例えば
図9に示すように、6つのスピーカーノード126が存在する。ライトショー制御システム124の特定の実施形態において、最大で16のスピーカーノード126が使用される。位置決め信号送信器125は、それぞれの受信器127に信号を伝達し、それぞれの受信器127は、トーン信号発生器128を制御して、トーン信号のための電気信号を生成し、この信号は、音響増幅器118に提供される。音響増幅器118の出力は、スピーカーアレイ119を駆動するために使用されて、スピーカーノード126に固有の音響信号が生成される。これによって、それぞれのスピーカーノード126が、音響信号によって識別可能となる。位置決め信号送信器125からそれぞれの受信器125へ信号を伝達するために、例えば、光ファイバー、高周波(RF)、WiFi(登録商標)、またはイーサネット(登録商標)接続及び同種のものが使用されるものであってもよい。スピーカーノード126によって射出される音響信号は、周期的なトーン信号であってもよい。それぞれのノード126のトーン信号発生器128は、異なる所定のトーン信号または他の音響信号(例えば、アップチャープ、ダウンチャープ)を発生する。特定の実施形態において、トーン信号は、一般的に人間の耳には聞こえないが、モバイル機器130の音響変換器によって検出可能となるように、16~24kHzの範囲または他の特定の範囲にある。特定の実施形態において、それぞれのスピーカーノード126は、電気音響変換器を含む。電気音響変換器は、明確な非可聴音響信号を射出する。それぞれのピクセル102は、モバイル機器130に組み込まれた記憶装置またはデータ保存装置134に保存されたソフトウェア133を実行するプロセッサ132を有するモバイル機器130を含むものであってもよい。このソフトウェアは、モバイル機器130に、複数スピーカー126からの所定のトーン信号を受信及び録音するステップ、録音された信号を再生及び処理してそれぞれのトーン信号の到着時間差(TDOA:time difference of arrival)を定めるステップ、及び、TDOA式双曲型三辺測量及び/または多辺測量の方法を使用してピクセル102の位置を算出するステップ、を実行させるものである。記憶装置またはデータ保存装置134に保存されるソフトウェア指令133は、例えば、ライトショーの前にモバイル機器130にダウンロードされたモバイルアプリケーション中に備えられるものであってもよい。あるいは、ソフトウェア指令133は、プロセッサ132にアクセス可能な他の場所の記憶装置またはデータ保存装置に保存されるものであってもよく、または、適切な無線接続を介してプロセッサ132に利用可能となるものであってもよい。
【0067】
それぞれのトーン信号によるスピーカーノード126の識別を可能にするため、それぞれのトーンIDが特定のトーン信号に対応するように、1組のトーンIDが定義されるものであってもよい。特定の実施形態は、総数で16の個別のトーン信号に対して、最大で16のトーンIDを備えている。それぞれのスピーカーノード126は、トーン信号のリストから1つの特定のトーン信号を射出するように構成される。スピーカーノード群129によって射出されるトーン信号は、会場100の音響状態に基づいてライトショーのオペレータによって選択されるものであってもよい。例えば、異なる環境では、三辺測量及び多辺測量の目的に対して、特定の複数のトーン信号がお互いに組合せられて良好に機能する場合がある。典型的には、特定のスピーカーノード126から射出されるトーン信号は、ライトショーを通じて同一となるように維持される。
【0068】
特定の実施形態において、複数のスピーカーノード126からなるスピーカーノード群129が、ライブイベントの会場に特定の配置構成で、それぞれのピクセル102が三次元の位置決め情報を定めることが可能となるように様々な高さに配置される。本明細書に記載された方法及びシステムを使用して、それぞれのピクセルによって定められる位置情報は、GPSで定められる位置よりも高精度である。例えば、GPSが位置座標を実際の位置の約8メートル内まで定めるのに対して、本明細書に記載された双曲型三辺測量及び多辺測量の方法及びシステムの適用により、ピクセル102の位置は、ピクセルの実際の位置の約1メートル内まで定められた。本明細書に記載された双曲型三辺測量及び多辺測量の方法及びシステムの特定の実施形態の適用では、ピクセル102の位置は、ピクセルの実際の位置の10cm内(または、それよりも小さい範囲内)まで定められた。
【0069】
スピーカーノード126の位置は、レーザ距離及び角度計または対象の位置を測定するための適切な装置もしくは方法を使用して定められるものであってもよい。スピーカーノードの既知の座標は、GUI123を使用してライトショー制御システム124に入力されるものであってもよい。それぞれのスピーカーノード126の既知の座標は、それぞれのピクセルの位置を定めることが可能となるように、(例えば、
図5Cに示すデータパケット構造を有する)会場構成信号に符号化され、上述したようにビーコン信号送信器122によってピクセル102にブロードキャストされるものであってもよい。幾つかの実施形態において、所定の既知の位置に固定された複数のスピーカーノード126が、会場100内の他のスピーカーノードが自身の位置を定めることを支援するための音響信号を射出するものであってもよい。これらのスピーカーノードは、ピクセル102が自身の位置を定める方法と同様の方法で、複数のスピーカーノード126から射出され、録音された音響信号のTDOAに基づいて、自身の位置を定める。これらの他のスピーカーノード126が自身の位置の座標を定めたならば、このような情報は、会場構成信号に符号化される1組のスピーカーノードの座標に含めるために、ライトショーコントローラ124に送信されるものであってもよい。
【0070】
図9には、6つのスピーカーノード(個別的に言う)126A、126B、126C、126D、126E、126F(また、これらを集合的に、スピーカーノード126とも言う)を含む会場100のためのスピーカーノード群129の一例の上面図が示されている。それぞれのスピーカーノード126は、スピーカーノード126に対してスピーカーノード固有の音響信号を射出させるトーン信号発生器128(
図2参照)を含む。特定の実施形態において、音響信号は、スピーカーノード群129内の全てのスピーカーノード126により同時に射出される。ポイントxに位置するピクセル102は、複数のスピーカーノード126により射出された音響信号を受信することによってポイントxの座標を定める。ピクセル102がたまたま全てのスピーカーノード126に対して等距離に位置していない限り、ピクセル102は、音響信号がピクセル102まで伝搬するためにかかる時間により、複数の音響信号をわずかに異なる時点で受信する。それぞれのスピーカーノード126の位置、それぞれのスピーカーノード126により射出された信号の特性(トーンIDによって伝達されるものであってもよい)、及び会場内の音速を知ることにより、ピクセル102は、それぞれのスピーカーノード126からの距離dを算出することができる。音速は、マスターコントローラ・ソフトウェアアプリケーションへの入力としての現在の室温及び海抜(AMSL)の測定値から定めることができ、また、上述したようにハートビート信号の一部として送信することができる。この算出された距離dは、スピーカーノード126を囲む球面121を定義する。この球面は、スピーカーノードに対して可能なピクセル102の位置の集合を表す。例えば、
図9では、ピクセル102は、スピーカーノード126Aを囲む球面121A上の点であるポイントP
2から距離d
2に位置している。ピクセル102は、スピーカーノード126Bを囲む球面121B上の点であるポイントP
3から距離d
3に位置している。
図9では、それぞれの球面121は、図示を容易にするため、円として示されている。複数の球面121の交差部分を求めることによって、三次元空間におけるピクセル102の座標を、多辺測量法を使用して定めることができる。
【0071】
ピクセル102とスピーカーノード126の位置は、三次元直交基準系(x,y,z)に基づいて定められるものであってもよい。例えば、
図9には、原点151に基準点を有する直交座標基準系(x,y,z)が示されている。ピクセル102の位置を算出する目的のために、初期の基準系の原点を、原点オフセット(x
o,y
o,z
o)により(x+x
o,y+y
o,z+z
o)へずらした方が便利な場合もある。原点オフセット情報は、会場構成メッセージの一部としてモバイル機器130に送信されるものであってもよい。他の実施形態において、基準系のために、例えば球面座標系または円筒座標系のような、異なる種類の座標系が使用されるものであってもよい。幾つかの実施形態では、三次元座標系は不要である。例えば、ライトショーのディスプレイ103を構成するモバイル機器130が、全体的に同じ平面(例えば、屋外フィールド、またはアリーナ内の平坦床面のみの座席/入場許可箇所)上に位置している場合がある。このような場合、平面(x,y)における直交座標系または極座標系に基づく基準系のような、別の適切な基準系が使用されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、全てのモバイル機器130が同じ平面上に位置しているわけではない場合、単一の平面上に投影されたそれらの位置が、二次元ディスプレイ103上の位置と同一視するために使用されるものであってもよい。
【0072】
図10には、モバイル機器の位置を定めるためにモバイル機器130のプロセッサ132によって実行され得る方法250が示されている。方法250の各ステップは、モバイルアプリケーションが備え、モバイル機器130の記憶装置133に保存されたソフトウェア指令として実装されるものであってもよい。方法250は、モバイル機器が位置認識モードで動作している間(及び、したがって、モバイル機器130が自身の位置を定めるために必要なトーンID、スピーカーノード位置、及び/または、音速に関する情報を、ハートビート信号及び/または会場構成信号を通じて受信している間)に、モバイル機器130によって実行されるものであってもよい。方法250は、ブロック252で開始され、ここで、ビーコン信号送信器122からの電話機位置決め信号251がモバイル機器130で受信される。この信号は、モバイル機器130に、スピーカーノード126が間もなく音響信号を射出することを通知する。電話機位置決め信号は、ビーコン信号送信器122によって、例えば、2秒間の録音時間に対して10秒毎にブロードキャストされるものであってもよい。この信号によって、モバイル機器130は、ブロック254において、録音モードとなる。モバイル機器130は、録音モードの間、(すなわち、2秒間録音することによって)、モバイル機器で受信された音響信号またはトーン信号253を録音し、それをモバイル機器130の記憶装置またはデータ保存装置に保存する。本明細書に記載したように、音響信号253は同時に射出され、それぞれのスピーカーノード126は、固有の音響信号を射出する。音響信号が録音された後、モバイル機器130は録音モードを終了し(録音を停止し)、方法250は、ブロック256に進む。ここで、モバイル機器130は、フィルタ処理及び音響認識機能を使用して録音された音響信号253を処理し、それぞれの音響信号の周波数及びそれぞれの音響信号のTDOAを特定する。次いで、方法250は、ブロック258に進み、ここで、モバイル機器130の位置を定めるために、モバイル機器130のプロセッサ132によって三辺測量及び多辺測量機能が実行される。ブロック258で実行される機能は、ブロック256で定められたTDOA値255、スピーカーノード126の既知のノード位置259、トーンID(それぞれのスピーカーノード126によって射出されたトーン信号)、及び、温度及び海抜(AMSL)が与えられた会場の音速257を入力として受け入れる。既知のスピーカーノードの位置259、トーンID、及び音速257は、会場構成メッセージ、ハートビート信号メッセージ、及び/または、ピクセル位置決めメッセージのうちの1つまたは複数を通じて、モバイル機器130に通信されるものであってもよい。ブロック258の出力、すなわちモバイル機器130に対して定められたピクセルの位置261は、ブロック260において、記憶装置またはデータ保存装置のいずれかに保存され、これによって、所望の動画のシーンを上演するために、任意の与えられた時点でモバイル機器130により何の動作が実行されるか及び/または何の画像が表示されるかを決定するために、後に適用することが可能となる。
【0073】
図2に示すように、それぞれのスピーカーノード126は、トーン信号発生器128を含んでいる。トーン信号発生器は、位置決め信号送信器125からの信号の受信に応答して、スピーカーノードに、他の全てのスピーカーノードの音響信号とは異なる固有の音響信号を射出させる。本明細書における説明のため、音響信号は「トーン信号」と呼ばれ、音響信号発生器128は、「トーン信号発生器」と呼ばれる。但し、音響信号は、その代わりに、ビープ、チャープ、及び同種のもの、または、TDOA三辺測量及び多辺測量の技法を実行するためにスピーカーノード126によって射出可能でありかつモバイル機器130によって検出可能な任意の他の適切な音響信号を含むものであってもよい。トーン信号発生器128は、マスターコントローラ・アプリケーション(上述したように、ビーコン信号送信器122を介してモバイル機器130を制御するためにも使用されるものであってもよい)によって与えられるコマンドにより制御される。マスターコントローラ・アプリケーションは、GUI123を通じてライトショーコントローラからの入力またはコマンドを受け入れるものであってもよい。マスターコントローラ・アプリケーションによって生成されたコマンドは、実行されると、位置決め信号送信器125によってスピーカーノード126の受信器127に信号が送信される。位置決め信号送信器125から受信器127に送信される信号は、高周波(RF)信号であってもよく、この場合、位置決め信号送信器125は、高周波(RF)送信器である。他の実施形態において、この信号は、WiFI(登録商標)信号、またはBleutooth(登録商標)送信、または他の適切な無線技術を使用した信号であってもよい。上述したように、複数のスピーカーノード126によって射出されるトーン信号は、三辺測量及び多辺測量を実行するためにTDOAを特定することが可能となるように、好ましくは、正確に同時(例えば、互いに2msの範囲内。特定の実施形態では、互いに1msの範囲内)に開始する音響を射出するように制御される。それぞれのスピーカーノード126には、構成可能な設定が組み込まれている。この設定は、スピーカーノード126がどんなトーン信号を発生させるのかを定めるものである。特定の実施形態において、この設定は、スピーカーノードへの光ファイバー、高周波(RF)、WiFi(登録商標)、イーサネット(登録商標)の接続及び同種の接続を介して、ライトショーコントローラ124によって構成されるものであってもよい。
【0074】
高周波(RF)信号及びBluetooth(登録商標)信号では、信号送信の間に遅延時間が生じる場合がある。これは、ライトショーのために表示される画像の正確性に悪影響を及ぼす可能性がある。発明者が、特に高周波(RF)信号の場合に、開発したこの問題に対する1つの解決策は、位置決め信号送信器124からスピーカーノード126に、等間隔に分かれた複数の高周波(RF)信号を送信することである。スピーカーノード126は、それぞれの送信を受信して記録し、それぞれが到着したとき、スピーカーノード126は、1秒間のうちのどのミリ秒で信号を受信したのかを定める。例えば、スピーカーノード126は、最新の1秒の開始から50msで第1の信号を記録し、次の1秒の開始から56msで第2の信号を記録し、第3のまたは最終の1秒の開始から46msで第3の信号を記録するかもしれない。これらの3つの時間のミリ秒値は、スピーカーノード126によって解析のために保存される。スピーカーノード126は、保存された時間値の集合中の最も低い値(上述の例では、46ms)を最も正確な値として取り、次の1秒が経過するとき、スピーカーノード126は、最も正確な時間値(ms単位)に達するまで待つ。そして、スピーカーノード126は、保存された時間値の最も正確な値が来た時、音響信号を生成し、射出する。それぞれのノード126のクロックは他のノードのクロックから分離されており、他のノードと同期していない可能性があるため、上述した方法によれば、複数のノードが音響信号を正確に同時に(すなわち、典型的には互いに2msの範囲内で、より詳細には、幾つかの実施形態において、互いに1msの範囲内で)射出することが確保される。
【0075】
ビープ時間における誤り及び誤射出を防止するため、受信された送信の最新のラウンドからの保存されたミリ秒値が特定の所定のしきい値(例えば、10ミリ秒)よりも大きな広がりを有することをスピーカーノード126が認識した場合、スピーカーノード126は、そのラウンドの音響信号の射出を中止する。但し、それでも他のスピーカーノード126は、音響信号の射出を続けるものであってもよい。三辺測量に最低限必要な4つのスピーカーよりも多数のスピーカーを使用する(例えば、
図9に示すような6つのスピーカーを有するスピーカーノード群を準備する)ことによって、スピーカーノード群129に冗長性が備えられるものであってもよい。この場合、受信された送信信号群が良好ではないことにより、1つまたは2つのスピーカーノード126が、あるラウンドの参加から離脱する必要があると決定したとしても、残りのスピーカーノード126によって射出される音響信号を、モバイル機器130の位置を定めるために使用できるため、一般に、このような1つまたは2つのスピーカーノード126がスピーカーノード群の効果的な動作を妨げることはない。それぞれのスピーカーノード126は、シングルボート型コンピュータ、マイクロコントローラ、または、上述したように他のスピーカーノード126と同期した音響信号の生成を制御するために高周波(RF)信号の到着時点を記録、保存、及び処理可能に構成された任意の他の適切な処理及び制御ユニットを含むものであってもよい。
【0076】
幾つかの場合、位置決め信号送信器125から受信した信号に応答して、スピーカーノード126によって、(トーン信号発生器126が射出するトーン信号に対応する)トーンオブジェクトが生成される。その場でトーンオブジェクトを生成することにより、遅延時間が発生する場合がある。これは、表示される画像の正確性に悪影響を及ぼす可能性がある。この問題に対処するため、スピーカーノードによって音響信号が再生されたとき、そのトーンオブジェクトは記憶装置から消去される。新規のトーンオブジェクトは、前もってトーン信号発生器のスクリプトを実行することによって事前に生成され、次の適切な信号が受信されるとすぐに瞬時に再生するために、記憶装置に保存される。この結果、幾つかの実施形態において、トーンオブジェクトが一度使用された後にそれを記憶装置から消去し、かつ呼び出されたときに瞬時に再生するために新規のトーンオブジェクトを事前に生成するタイミングの信頼性が向上する。
【0077】
別の問題は、会場100のスピーカーノード126によって射出されるトーン信号のエコーが、ディスプレイ103に表示される画像の正確性に悪影響を及ぼす可能性があることである。ピクセル102において、トーン信号のエコーを録音することによって、TDOAの特定が不正確となり、これによって、三辺測量及び多辺測量を使用して誤った位置が算出されることになる。エコーの作用を軽減するために、それぞれのピクセル102は、それぞれのトーン信号の開始部分のみを受信するように構成されるものであってもよい。ピクセル102は、トーン信号が検出された後、次のラウンドのトーン信号が射出されるまで、トーン信号の探索を継続しないように構成される。
【0078】
特定の実施形態において、それぞれのスピーカーノード126によって射出される音響信号は、例えば短い線形正弦波掃引のようなチャープ信号の形をとる。例えば、第1のスピーカーノード126Aのトーン信号発生器128からの信号1は、100msで19500Hzから19600Hzまで掃引し、第2のスピーカーノード126Bのトーン信号発生器128からの信号2は、100msで19750Hzから19850Hzまで掃引する、等々であってもよい。他の実施形態において、他の掃引範囲が使用されるものであってもよい。定常状態のトーン信号に対してチャープ信号を使用することの1つの利点は、複数のチャープ信号に対して録音された音響データの相互相関が、より顕著なピークを有することである。定常状態の正弦波の相互相関は、テスト信号の幅の三角形に似ている。別の利点は、チャープ信号を使用する場合、チャープ信号を検出してTDOS多辺測量を実行するために要求されるのは、それぞれのスピーカーからの約100msの短音のみであることである。スピーカーノード126のシステムには、トーン信号発生機128によって発生するトーン、ビープ、またはチャープの信号に対して必要な明確な高周波出力を生成するために、適切な音響用回路が組み込まれるものであってもよい。
【0079】
図10に示す方法250を実行することによって得られる、自己決定された位置情報によって、複数のピクセル102は、それぞれ独立に多ピクセルディスプレイ103の自己アドレス指定可能なピクセルとして機能する。これによって、ピクセル102に対して、その位置に基づいて、ディスプレイ103中の他のピクセル102とは異なる動作を実行するように指令することが可能となる。このようにして、単に全てのピクセル102にモノクロの色を表示させる、または全てのピクセル102を同時に点滅させることよりも複雑なシーンが表示可能となる。例えば、ピクセル102には、動く螺旋を表示させることができる。これは、マスターコントローラ・アプリケーションに、
図8Aを参照して上述したようにディスプレイ103に表示される画像の表現を含む制御レイヤ149を組み込むことによって、達成されるものであってもよい。画像は、ライトショーのコマンド信号に符号化され、シーンの一連のフレームにわたってディスプレイ103がどう見えるべきかを特定するシーン種別に関連付けることができる。制御レイヤ149上のディスプレイ103の表現内での位置を知ることによって、それぞれのピクセル02は、シーンのそれぞれのフレームに対して何を表示すべきかを決定することができる。ディスプレイ103は、三次元ディスプレイを含むものであってもよい。三次元ディスプレイは、モバイル機器130が会場100内の様々な高さに配置されており、モバイル機器130を(例えば、会場の上方に位置するモバイル機器を、会場の下方に位置するモバイル機器とは異なる態様で制御することによって)、それらの三次元空間中の位置に基づいて制御することが望ましいものである。あるいは、ディスプレイ103は、二次元ディスプレイを含むものであってもよい。二次元ディスプレイは、モバイル機器130が会場内100の同一平面上に配置されるか、または、同一平面上に配置されてはいないけれども、モバイル機器を、(例えば、ピクセル位置の(x,y)直交座標を考慮することによって、)それらの位置が同一のディスプレイ平面上に投影されているかのように制御することが望ましいものである。
【0080】
現在の携帯電話のハードウェアの処理能力制約のため、典型的には、周波数検出のための音響信号の実時間処理に関連する課題がある。モバイル機器の能力に適応させるため、スピーカーノード126によって射出される音響信号は、受信側のモバイル機器130に生の音響データとして録音されるものであってもよい。モバイル機器130が録音モードではなくなり音響信号の録音を停止した後、録音された音響データに基づいて周波数検出及び位置決めが同時に生じるものであってもよい。
【0081】
ハードウェアの処理能力は、(例えば、スマートフォンの異なるモデルのような)様々なモバイル機器に応じて変化する。これによって、照明の効果が、短時間の後に同期しなくなる可能性がある。説明として、アニメーション、コンピュータグラフィックス、及び映像作成におけるキーフレームは、任意の滑らかな遷移の開始点と終了点を定めるドローイングである。これらのドローイングは、それらの時間的位置がフレーム単位で図られるため、「フレーム」と呼ばれる。本明細書に記載された技術の実施形態によって上演されるライトショーのために。キーフレームは、ソリッドカラーまたは様々な形によって表されるものであってもよい(例えば、1つのキーフレームは緑のソリッドカラーを有し、次のキーフレームは赤のソリッドカラーを有する)。アニメーションが1つのキーフレームから次のキーフレームまで進行するためにかから時間は、フレームレートによって定まる。フレームレートは、モバイル機器のハードウェアによって定まる。すべての機器のハードウェアが同じというわけではないため、多くの危機でフレームレートは同じではあるものの、特定の時間複数の機器にわたる効果(例えば、赤と緑のグラデーションをループする)が再生された後、複数の機器の間でグラデーションのタイミングに目立つずれがあり、これによって、汚いまたは同期していない視覚効果が作られる可能性がある。アニメーションを、典型的なアニメーションでするようにフレームレートで動作させる代わりに、特にモバイルアプリケーションがライトショーのコマンドに従ってモバイル機器でアニメーションを実行させている実施形態は、モバイル機器の低レベルのシステムクロックに基づくものであってもよい。システムクロックは、特定の周波数で振動し、通常はMHz(メガヘルツ、または毎秒百万サイクル)で測られ、典型的には、任意の開示時点から発生したティック(またはサイクル)の数で計数されるように実装されている。システム時間は、モバイル機器の間で非常に正確であるため、複数の機器にわたる効果のタイミングを調和させるために使用することができる。キーフレーム同士の間で、例えば25ミリ秒毎に、アニメーションがどこでその進行ラインに現れるかが、時間に関して算出されるものであってもよい。アニメーションがスケジュールよりも進んでいるか、またはシステムクロックに対して存在すべき位置から遅れている場合、アニメーションをスケジュール通りに留めるために、アニメーションが再計算され、再描画される。これによって、それぞれのモバイル機器のアニメーションの他の全てのモバイル機器のアニメーションとの同期が維持される。
【0082】
上述したように、マスターコントローラ・アプリケーションは、ライトショーのオペレータが、1つまたは複数のビーコン信号送信器122、スピーカーノード126、及び/または位置決め信号送信器125のうちの1つまたは複数を制御可能となるように備えられるものであってもよい。GUI123は、マスターコントローラ・アプリケーションによって、この制御を容易にするように備えられている。特定の実施形態において、ビーコン信号送信器122、スピーカーノード126、及び位置決め信号送信器125に対するマスター制御は、適切な入力デバイスまたはハードウェア(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、MIDI(登録商標)ハードウェア、またはDMXハードウェア)を介して実時間で機能するものであってもよい。幾つかの実施形態において、マスターコントローラから発行されるコマンドは、事前プログラムされている、及び/または、MIDI(登録商標)シーケンサーまたはプログラム可能なDMXハードウェア/ソフトウェアにおいて操作されるものであってもよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、ビーコン信号送信器122は、人あるいは(例えば、ドローンのような)移動体または輸送手段によって保持されるモバイルビーコン信号送信器を含む。この場合、ライブイベントの会場100内のビーコン信号送信器122の位置は、変動する可能性がある。モバイルビーコン信号送信器122は、ライブイベントを通じて不変であってもよく、または、モバイルビーコン信号送信器の範囲内にあるモバイル機器130だけが、ビーコン信号送信器の信号を受信しそれに応答することが可能であるため、ビーコン信号送信器122の領域内で局所的なライトショー効果を作るためにライブイベントを通じて周期的にまたは定常的に移動するものであってもよい。ライブイベントの間に複数の動く局所的なライトショー効果を作り出すために、1より多くのこのようなモバイルビーコン信号送信器122が、ライトショーのコマンド信号及び上述したようにライトショーを上演するための他の信号をブロードキャストするために、会場100内で使用され、人あるいは移動体または輸送手段により保持されるものであってもよい。
【0084】
図11に示すような特定の実施形態において、会場100では、複数のショーが行われているものであってもよい。このようなショーは、複数のステージ(個別的に言う)105A、105B、105C(また、これらを集合的にステージ105とも言う)にわたって同時に行われるものであってもよい。これらのショーのそれぞれが、異なるライトショーのディスプレイ(個別的に言う)103A、103B、103C(また、これらを集合的にライトショーのディスプレイ103とも言う)に関連するものであってもよい。それぞれのディスプレイ103の境界は、ジオフェンス領域(仮想的な地図上の境界線で区切られた領域)によって定められる。特定のジオフェンス領域内のピクセルは、他のジオフェンス領域内の表ウイされる画像とは異なる画像を表示するように制御可能である。それぞれのディスプレイ103A、103B、103C内にそれぞれ配置されたビーコン信号送信器(個別的に言う)122A、122B、122C(また、これらを集合的にビーコン信号送信器122とも言う)は、ディスプレイのために特定の画像を作るように制御する信号をブロードキャストする。例えば、ビーコン信号送信器122Aは、ディスプレイ103Aのジオフェンス領域内のピクセル102に対してディスプレイ103A上の画像を作るように指令する信号をブロードキャストする。同様に、ビーコン信号送信器122Bは、ディスプレイ103Bのジオフェンス領域内のピクセル102に対してディスプレイ103B上の画像を作るように指令する信号をブロードキャストする。
【0085】
場合によっては、ピクセル102を与えるモバイル機器130は、異なるジオフェンス領域のビーコン信号送信器122からの信号を受信する範囲内にある可能性がある。モバイル機器130がどの信号を使用するかを決定することができるように、ビーコン信号送信器122によって射出される信号は、特定のディスプレイIDを使用して符号化されるものであってもよい。ディスプレイIDは、送信器が関連するディスプレイ103の1つを特定するものである。
図11に示す例では、ピクセル102Aは、ディスプレイ103Aに対応するディスプレイIDを使用して符号化されたビーコン信号送信器122Aからの信号と、ディスプレイ103Bに対応するディスプレイIDを使用して符号化されたビーコン信号送信器122Bからの信号の両方を受信する。ピクセル102Aを与えるモバイル機器130にロードされたライトショーのモバイルアプリケーションは、そのモバイル機器に、ピクセル102Aの位置を定めるための方法を実行し、その位置を使用してそのモバイル機器が応答すべきなのはどのビーコン信号なのかを判別するように指令するものであってもよい。
図11に示した例では、ピクセル102Aの定められた位置が、それぞれのディスプレイ130の所定の境界と比較され、ピクセル102Aがディスプレイ103A内に位置することが判別される。したがって、モバイル機器130上のライトショーのモバイルアプリケーションが備える指令は、そのモバイル機器に、ディスプレイ103Aに一致しないディスプレイIDを有する全てのビーコン信号を無視するように指令することができる。したがって、ピクセル102Aは、ビーコン信号送信器122Bからのビーコン信号を無視し、ビーコン信号送信器122Aからのビーコン信号にのみ応答する。したがって、ピクセル102は、ライトショーのディスプレイ103Bではなく、ライトショーのディスプレイ103Aの上演に参加する。
【0086】
ピクセル102の位置は、本明細書の他の箇所で記載した1つまたは複数の方法を使用して定めることができる。例えば、会場100が、本明細書に記載したように複数のスピーカーノードを備えるように構成されている場合、ピクセル102を与えるモバイル機器130によって、
図10に示す位置認識方法250が、自身の位置を定めるために使用されるものであってもよい。他の実施形態において、王クセル103に位置を定めるために1つまたは複数の他の方法が使用されるものであってもよい。例えば、ピクセル102を与えるモバイル機器130が、GPS(Global Positioning System)対応の機器である場合、それぞれのディスプレイ103の所定のジオフェンス境界に基づいてピクセル102が応答すべきなのはどのビーコン信号なのかを選択するために、機器の緯度及び経度のGPS座標の決定が使用されるものであってもよい。位置決めのためにGPSを使用することが適切なのは、会場100が屋外の会場であり、例えば、GPS衛星からの信号の到達範囲内にある場合である。
【0087】
ジオフェンス領域は、単一のショーが行われる(例えば、大きな屋内または屋外の会場で単一のショーが行われる)イベントでも使用することができる。このような実施形態において、会場のスペースは2以上のディスプレイ103(例えば、
図11に示したようなジオフェンスで区切られたディスプレイ103A、103B、103C)に分割され、それぞれのディスプレイに異なる画像が表示されるものであってもよい。上述した方法と同様に、様々なジオフェンス領域のビーコン信号送信器122からの信号を受信するモバイル機器130が、応答すべき信号を選択できるように、それぞれのジオフェンス領域内のビーコン信号送信器122によってブロードキャストされる信号は、送信器に関連するディスプレイを特定するディスプレイIDを使用して符号化されるものであってもよい。
【0088】
特定の実施形態において、
図12に示すように、ディスプレイ103のピクセル102として使用されるモバイル機器130は、変動する四角形領域300を含むライトショーシーケンスを上演するように指令されるものであってもよい。四角形領域300は、それぞれのフレームまたはライトショーのそれぞれのシーンの間で変動する(例えば、寸法、ディスプレイ103にわたる位置及び/または回転角度における変動)ものであってもよい。四角形領域300は、本明細書に記載されたシステム及び方法を使用して、ブロードキャストされるビーコン信号を介して定義され、モバイル機器130に通信されるものであってもよい。四角形領域300は、特定の実施形態において、第1の角310の座標、対角的に対抗する第2の角320の座標、及び回転値によって定義されるものであってもよい。回転値は、対角的に対抗する角310、320が組み込まれた四角形領域300の形とサイズを定めるものである。例えば、
図12に示すように、四角形領域300A、300B、300Cは、同じ角310、320を有するが、異なる回転値を有している。ピクセル102を与えるモバイル機器130が、自身の位置が四角形領域内にあると判別した場合、モバイル機器130のモバイルアプリケーションを介してモバイル130に備えられた指令は、モバイル機器に、ビーコン信号に符号化されたライトショーのコマンドに応答する(例えば、そのディスプレイスクリーンを点灯する)ように指令するものであってもよい。逆に、モバイル機器130が、自身の位置が四角形領域300内にないと判別した場合、モバイル130に備えられた指令は、モバイル機器に別の動作を実行する(例えば、そのディスプレイスクリーンを消灯する)ように指令するものであってもよい。
図12の実施形態に示された会場100は、屋外の会場であってもよい。モバイル機器130によって自身の位置を定めるためにGPS信号が使用されている場合、四角形領域の角310、320は、緯度及び経度のGPS座標によって定義されるものであってもよい。四角形領域300を2つの角と回転値で表すことの1つの利点は、例えば、四角形領域300の4つの全ての角度の緯度及び経度のGPS座標を送信する場合と比較して、それぞれのモバイル機器130に中継されて処理される必要があるデータの量が低減することである。
【0089】
幾つかの実施形態において、モバイル機器130のディスプレイスクリーン131は、ライブイベントを視聴するために使用されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、ディスプレイスクリーン131は、ライブイベントのビュー上に拡張現実メディアを表示するものであってもよい。拡張現実メディアは、例えば、画像、螺旋、渦、動く線、三次元アニメーション、及び/または他の効果、または任意の他のアニメーションもしくは画像を含むものであってもよい。幾つかの実施形態において、拡張現実メディアは、ビーコン信号送信器122を使用してモバイル機器130に通信されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、拡張現実メディアは、モバイル機器130に事前ロードされるものであってもよい。幾つかの実施形態において、ディスプレイスクリーン131に表示される拡張現実メディアは、モバイル機器130の位置に依存するものであってもよい。例えば、会場100内の異なる位置にあるモバイル機器130は、異なるメディア、視野角、シーケンス、及び/または同種のものを有する拡張現実メディアを表示するものであってもよい。モバイル機器130の位置を定めるために、上述した任意の方法を使用することができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、モバイル機器130は、ライブイベントの参加者に関連する人口統計情報を収集することが可能なものであってもよい。例えば、イベントの参加者がモバイル機器130をピクセル102として使用するためにソーシャルメディアのアカウントを使用してサインインしたとき、モバイル機器130は、匿名的な人工統計情報(例えば、イベントの参加者のソーシャルメディアからのデータを使用して年齢、性別、及び/または同種のもの)を収集するものであってもよい。人口統計データは、幾つかの実施形態において、保存及び解析のために中央データベースに通信されるものであってもよい。幾つかの実施形態において、人口統計データは、イベントの主催者に通信されるものであってもよい。
【0091】
本明細書に記載した技術の実施形態は、遠隔地の観客の構成員が、遠隔地の観客の構成員に対してストリーミングまたはブロードキャストされるライブイベントに遠隔地から参加することを可能にするために適用されるものであってもよい。例えば、遠隔地の観客の構成員は、ライブイベントの会場100から距離をおいた1つまたは複数の異なる会場(例えば、レストラン、パブ、住居、コミュニティセンター、屋内もしくは屋外のスタジアム、アリーナ、ボウル、コンサートホール、劇場、円形劇場、メインスタンド、フィールド、ビーチ、もしくは他の広場、または、ライブイベントが行われている会場100から遠隔地に位置する任意の他の会場)に位置するものであってもよい。これらの遠隔地の観客の構成員は、ディスプレイスクリーン(例えば、テレビ、プロジェクタのスクリーン、コンピュータのスクリーン、または他のディスプレイ)でイベントのブロードキャストまたはライブストリーミングを視聴しているものであってもよい。ビーコン信号送信器122からライブイベントの会場100にいる観客の構成員のモバイル機器130に送信される信号は、遠隔地の会場にいる遠隔地の観客の構成員のモバイル機器130への通信にも適用されるものであってもよい。例えば、ビーコン信号送信器122によって会場100のモバイル機器130にブロードキャストされるライトショーのコマンド信号及びハートビート信号に含まれる特定の情報は、適切な通信手段を通じて遠隔地の観客の構成員のモバイル機器130にも送信されるものであってもよい。これには、例えばWiFi(登録商標)または携帯電話網を通じたインターネット通信、または、モバイル機器130と通信するための任意の他の適切な通信ネットワークが含まれるものであってもよい。遠隔地のモバイル機器130は、モバイル機器130が、特定の動作を実行するための信号を受信、解釈、及び処理することを可能にするためのモバイルアプリケーションを実行するものである。特定の動作には、ライブイベントの会場100に物理的に存在するモバイル機器130によって実行されるライトショー参加動作と同様に、ディスプレイスクリーンを点滅するまたは点灯/消灯すること、点灯しているとき特定の色を表示することが含まれる。同様のハートビート信号情報が、遠隔地のモバイル機器130に通信され、それによって、それらのライトショーのディスプレイの動作のタイミングが他の遠隔地のモバイル機器及び会場100に位置するモバイル機器と同期することが可能となるものであってもよい。このようにして、ライブイベントの会場100に物理的に存在していない人でも、観客参加型のライトショーに遠隔地から参加し、そのモバイル機器130を使用して自分と自分の周りの人々の体験を充実させることに寄与するものであってもよい。ライブイベントが事前に録画されたものであるか、またはライブストリーミングに遅延がある及び/または異なる地域で異なる時間に配信されている場合、ライトショーのコマンド信号及びハートビート信号の送信は、信号のストリーミングがイベントのブロードキャストまたはライブストリーミングのタイミングに一致する適切な時点でモバイル機器130に通信されることを確保することによって、遅延または時間差が考慮されるものであってもよい。この判別は、例えば、モバイル機器130の既知の地理的位置に基づくものであってもよい。この地理的位置は、モバイル機器130のタイムゾーン及びモバイル機器130のオペレータによって視聴されるブロードキャスト/ライブストリーミングの予想されるタイミングを特定するために使用され得るものである。
【0092】
(用語の解釈)
文脈から例外であることが要求されることが明らかでない限り、本明細書及び請求項を通じて、
・「~を含む」、「~を含んでいる」、及び同種の表現は、排他的または網羅的な意味とは反対に、非排他的な意味で解釈されるものであり、言い換えれば、「~を含むが、それによって限定されない」という意味で解釈されるべきものである。
・「ここで」、「上記、前記、上述、前述」、「下記、後記、後述」、及び同様の意味を有する表現は、本明細書を記述するために使用されるとき、本明細書の全体を指すものであり、本明細書のどの特定の部分を指すものでもない。
・2つまたはそれより多くの項目のリストに関する「または」という表現は、リスト中の任意の項目、リスト中の全ての項目、リスト中の項目の任意の組み合わせ、の全ての解釈を含むものである。
・単数で表される名詞は、複数の場合の意味も含むものである。
【0093】
本発明の実施形態は、専用に設計されたハードウェア、構成可能なハードウェア、データ処理を実行可能なソフトウェア(任意選択で「ファームウェア」を含むものであってもよい)を備えることによってプログラム可能なプロセッサ、本明細書で詳細に説明された方法の1つまたは複数のステップを実行するために専用にプログラム、構成、または構築された専用のコンピュータまたはデータプロセッサ、及び/または、これらの2以上の組み合わせを使用して実現されるものであってもよい。専用に設計されたハードウェアの例は、論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、大規模集積回路(LSI)、超大規模集積回路(VLSI)、及び同種のものである。構成可能なハードウェアの例は、例えばプログラマブルアレイロジック(PAL)、プログラママブルロジックアレイ(PLA)、及びフィールドプログラママブルゲートアレイ(FPGA)のような1つまたは複数のプログラママブルロジックデバイスである。プログラム可能なデータプロセッサの例は、マイクロプロセッサ、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)、埋め込みプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、数値演算コプロセッサ、汎用コンピュータ、サーバコンピュータ、クラウドコンピュータ、メインフレームコンピュータ、コンピュータワークステーション、及び同種のものである。例えば、機器のためのコンピュータシステム内の1つまたは複数のデータプロセッサは、プロセッサに対してアクセス可能なプログラム記憶装置ちゅうのソフトウェア指令を実行することによって、本明細書に記載された方法を実現するものであってもよい。
【0094】
処理は、集中型または分散型であってもよい。処理が分散されている場合、ソフトウェア及び/またはデータを含む情報は、集中的にまたは分散されて保持されるものであってもよい。このような情報は、通信ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、有線もしくは無線のデータリンク、電磁信号、または他のデータ通信チャネル)によって、異なる機能ユニットの間で交換されるものであってもよい。
【0095】
例えば、工程またはブロックは、所定の順序で表されているが、別の例は、異なる順序のスッテプを有するルーチンを実行する、または異なる順序のブロックを有するシステムを使用するものであってもよく、また、別の例または部分的組み合わせを提供するために、幾つかの工程またはブロックは、削除、移動、追加、分割、結合、及び/または変更されるものであってもよい。これらの工程またはブロックのそれぞれは、様々に異なる態様で実現されるものであってもよい。また、複数の工程またはブロックは、しばしば順次的に実行されるものとして示されているが、これらの工程またはブロックは、代わりに、並行して実行されるものであってもよく、または異なる時点で実行されるものであってもよい。
【0096】
加えて、要素は、しばしば順次的に実行されるものとして示されているが、これらの要素は、代わりに、同時にまたは異なる順序で実行されるものであってもよい。したがって、添付請求項は、全てのこのような変形例がその意図された範囲に含まれるものとして解釈されることが意図されている。
【0097】
本発明の実施形態は、プログラム製品の形でも提供され得るものである。プログラム製品は、データプロセッサによって実行されたときにデータプロセッサに本発明の方法を実行させる1組のコンピュータ可読指令を保持する任意の非一時的媒体を含むものであってもよい。本発明に従うプログラム製品は、広範な形式のうちのいずれであってもよい。例えば、プログラム製品は、フロッピーディスク、ハードディスクドライブを含む磁気データストレージ媒体、CD ROM、DVDを含む光データストレージ媒体、ROM、フラッシュRAM、EPROM、ハードワイヤードのまたはプログラムされたチップ(例えば、EEPROM半導体チップ)、ナノテクノロジーメモリーを含む電子的データストレージ媒体、及び同種のもののような非一時的媒体を含むものであってもよい。プログラム製品のコンピュータ可読信号は、任意選択で、圧縮または暗号化されていてもよい。
【0098】
本発明は、ソフトウェアとして実現されるものであってもよい。より明確には、「ソフトウェア」は、プロセッサで実行される任意の指令を含んでおり、ファームウェア、常駐型ソフトウェア、マイクロコード、及び同種のものを含む(但し、これに限定されない)。当業者に知られているように、処理用ハードウェア及びソフトウェアの両方は、全体または一部が、集中型または分散型(または、これらの組み合わせ)であってもよい。例えば、ソフトウェア及び他のモジュールは、ローカルな記憶装置、ネットワーク、ブラウザまたは分散型コンピューティング環境における他のアプリケーション、または、上述した目的のために適切な他の手段を介してアクセス可能なものであってもよい。
【0099】
上記において、構成要素(例えば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、サーバ、クライアント、モバイル機器、ピクセル装置、スピーカー、送信器、受信器、ビーコン、等々)に言及した箇所は、そうでないことが明示されていない限り、これらの構成要素(「手段」についての言及を含む)は、上述した構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素であるその構成要素の均等物を含むものとして解釈されるべきものであり、これには、本発明の例示的な実施形態における機能を実行する開示される構造と構造的に同等ではない構成要素も含まれる。
【0100】
以上、多くの例示的な多様及び実施形態について説明したが、当業者であれば、これらの特定の修正、置換、追加、及び部分的組み合わせを理解するであろう。したがって、添付請求項及び今後導入される請求項は、本明細書全体の最も広い意味での解釈と矛盾しない全てのこのような修正、置換、追加、及び部分的組み合わせを含むものとして解釈される。