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特許7129417血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置
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  • 特許-血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置 図1
  • 特許-血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置 図2
  • 特許-血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置 図3
  • 特許-血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220825BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M25/09
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019544886
(86)(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018013316
(87)【国際公開番号】W WO2018151880
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/461,006
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/865,346
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508132034
【氏名又は名称】カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARDIOVASCULAR SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1225 Old Highway 8 NW St. Paul MN 55112 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ジョセフ・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】リュードベリ,ニコラス・ダブリュ
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518618(JP,A)
【文献】国際公開第2016/210000(WO,A1)
【文献】米国特許第05047040(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0216554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208222(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓破壊および除去システムであって、
近位端、遠位端およびその間のルーメンを規定する本体を含むカテーテルと、
近位端、遠位端、インペラおよびガイドワイヤルーメンを規定する中空軸とを備え、
前記インペラは前記中空軸の遠位端近傍に取付けられ、
前記ガイドワイヤルーメンは、前記中空軸および前記インペラによって規定され、
前記システムは、
前記中空軸の近位端と結合され、前記インペラを回転させるとともに、前記インペラを前記カテーテル本体の遠位端に対して平行移動させるように適合された原動機と、
前記原動機と動作通信し、前記インペラの平行移動可能な位置を決定するように適合されたコントローラとを備え、
前記インペラの少なくとも一部が前記カテーテルの前記ルーメンおよび前記カテーテル本体の遠位端の外に位置するように前記インペラが平行移動されていない場合、前記コントローラは前記原動機および前記インペラの回転を抑制し、
前記インペラは、軟性プラークおよび/または血栓の破砕後に吸引によって前記カテーテルの遠位の開口部および前記ルーメンに向かって近位に引かれるように構成されている、血栓破壊および除去システム。
【請求項2】
前記インペラは細長いねじ構造をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インペラはらせん構造をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記インペラは、設定された距離制限の範囲内で、ガイドワイヤ上を、近位または遠位に平行移動されることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記設定された距離制限は、前記インペラの長さよりも大きい、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記設定された距離制限は15cmである、請求項4に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者
Joseph P. Higgins、ミネトンカ、ミネソタ州、アメリカ合衆国国民。
Nichloas W. Rydberg、スティルウォーター、ミネソタ州、アメリカ合衆国国民。
【0002】
関連出願との相互参照
本願は、「血栓および/または軟性プラークの除去のためのシステム、方法および装置」と題された、2017年2月20日に出願された、米国仮出願番号62/461,006号の利益を主張し、その全体が参照によりここに引用される。
【0003】
連邦政府資金による研究開発の記載
該当なし。
【0004】
発明の背景
発明の分野
この発明は、解剖学的導管における血栓および軟性プラーク物質の除去のためのシステム、装置および方法に関するものである。より特定的には、アテローム切除術および/または血管形成術のような補助装置および方法と共に用いることができる血栓切除術装置および方法に関する。
【背景技術】
【0005】
関連技術の説明
動脈および類似の身体通路内の組織の除去または修復において用いるために、さまざまな技術および器具が開発されてきた。このような技術および器具のよくある目的は、患者の動脈のアテローム性動脈硬化プラークの除去である。アテローム性動脈硬化症は、患者の血管の血管内膜層(すなわち内皮の下)の脂肪性沈着物(アテローム)の集積により特徴づけられる。元々は比較的柔らかく、コレステロールに富んだアテローム性物質として沈殿するものは、時間が経つと非常に頻繁に石化し、石灰化アテローム性動脈硬化プラークとなる。このようなアテロームは、血液の流れを制限し、それゆえしばしば狭窄病変または狭窄と呼ばれ、阻害する物質は狭窄物と呼ばれる。もし治療されないまま放置されると、このような狭窄は、狭心症、高血圧、心筋梗塞、脳卒中等の原因となりうる。
【0006】
多くの場合、血栓および/または軟性プラーク物質は除去されなくてはならない。ここに記載される発明は、このような除去を可能にし、交換可能なハンドルまたはカートリッジ、および、同じ交換可能なハンドルまたはカートリッジを用いる補助手術(例えばアテローム切除術および血管形成術)と共に用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の血栓切除術装置は、単にジェネリックのカテーテルを通して粒子を引き出す吸引を用いる傾向がある。しばしば、これらのカテーテルにおいては、中規模の血栓粒子さえも障害となりうる。流れの吸引に基づくシステムにより障害を除くことは、粒子を除去するための高圧を用いることを意味する。これは、次に、高いレベルの血液損失と手術リスクが増すことの原因となる。
【0008】
この発明の様々な実施の形態は、数ある中でもとりわけ、医者に装置先端を障害のない状態に保つことを可能にしながら、はるかに低い吸引の圧力を可能にすること、および、血栓または軟性プラークのより広いまたはより長い部分または領域の治療を可能にすることに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な要約
様々な実施の形態で、血栓切除術システムには、ガイドワイヤに沿った制限の範囲内で、かつ、カテーテルの範囲内で平行移動されることが可能な回転インペラが設けられる。回転インペラは、手術の間、カテーテルのルーメンの遠位端の完全に外に、または、少なくとも一部がカテーテルのルーメンの遠位端の外になるように位置される。
【0010】
以降に続く図および詳細な説明は、本発明のこれらのまたはその他の実施の形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図の複数の視点からの詳細な説明
図1】本発明の1つの実施の形態の斜視図である。
図2】本発明の1つの実施の形態の透視図である。
図3】本発明の1つの実施の形態の部分切取斜視図である。
図4】本発明の1つの実施の形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明が様々な変更および代替的な形態に適する一方で、その詳細は、図面および本明細書中に詳細に例として示されている。しかしながら、説明された特定の実施の形態に本発明を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。むしろ、すべての変更、同等および代替される実施の形態は、本発明の趣旨および範囲内であることが意図されている。
【0013】
図を参照して、本発明の1つの実施の形態は、遠位端15を有する本体10を含むカテーテル12を備える。カテーテル12は、カテーテル12を通してルーメン14を規定する。回転可能かつカテーテルルーメン14の中に平行移動可能なインペラ装置16が設けられる。インペラ装置16は、近位端20および遠位端22、インペラ24を規定する中空軸18を含む。インペラ24は、中空軸18の遠位端22もしくはその近傍に取付けられる。ガイドワイヤルーメン26は、インペラ装置を通して、すなわち、中空軸18を通して規定され、また、いくつかの例では、中空軸18の遠位端22もしくはその近傍に取付けられたインペラ24によって規定される。ガイドワイヤルーメン26は、ガイドワイヤ28をその中に通して受けるように適合される。それによって、ガイドワイヤルーメン26は、インペラ装置16を回転させるとともに、インペラ装置16をカテーテルルーメン14の中を通って、ガイドワイヤ28上を血管中の治療部位まで平行移動させることを可能にする。
【0014】
図1のインペラ装置16はカテーテル本体の遠位端15およびカテーテルルーメン14の遠位端に対する位置に固定されてもよい。当該インペラ装置において、インペラ24の遠位部分はカテーテル本体10の遠位端15から遠位に伸長する。すなわち、インペラ24は部分的にカテーテルルーメン14の外側に伸長する。これにより、とりわけカテーテルの挿入が容易になる。また、着目する部位へのカテーテル12およびインペラ装置16の挿入及び位置決め時における、インペラ24を回転することによる挿入の間の、血栓および/または軟性プラークの破砕が可能になる。
【0015】
図4は、血栓切除術システム100の1つの実施の形態の概略的なブロック図を示している。血栓切除術システム100は、例えば電動機またはタービンである原動機102、または同等物で、コントローラ104と動作通信するものを備える。コントローラ104は、当技術分野で周知のように、メモリおよびディスプレイと通信するプロセッサ、および、キーボード等のデータ入力とを有する。原動機102は、インペラ装置16の中空軸18と回転結合されている。中空軸18は次に、上述されたようにインペラ24に連通して取り付けられている。コントローラ104は、その中、例えばメモリの中に記憶され、プロセッサにより実行される実行可能命令を含む。実行可能命令は少なくとも(1)原動機から伸びる中空軸の長さについての情報、(2)中空軸18に沿う原動機102からのインペラ24の遠位端25の距離、(3)カテーテルのルーメン14内のインペラ24の遠位端25の位置が、完全にルーメン14内であり、それゆえ、カテーテル本体10の遠位端15を超えては伸びていない場合に、原動機102の回転を抑止し、それにより原動機102に取付けられる中空軸18およびインペラ24の回転を抑止する命令、(4)インペラ24の少なくとも一部がカテーテル本体10の遠位端15を超えて遠位に伸展し、それゆえに、少なくとも一部がカテーテルルーメン14の外側に伸展する場合にのみ、原動機102、中空軸18およびインペラ24の回転を許可する命令、を含む。
【0016】
それゆえに、インペラ24の少なくとも一部がカテーテル本体10を超えて遠位に伸展している図1の実施の形態では、上記の命令に従って、コントローラ104の実行命令により回転することが許可される。
【0017】
インペラ24は、その遠位端もしくはその近傍に細長いねじ構造を備えてもよい。ねじ構造は、少なくとも1つの細長い糸状の構造を有する。糸状の構造は、血栓および/または軟性組織を軟化し、一方で組織/血栓を、近位にカテーテルに向かって引き出し、カテーテルを通過して吸引されるように設計されている。
【0018】
図2は、インペラ装置16、および、特にインペラ24がカテーテル12の遠位端15から遠位に移動された状態を示す。インペラ装置16、および、特にインペラ24は、少なくともインペラの一部がカテーテル12またはカテーテル本体10の遠位端15より遠位に伸展し続ける限りは回転を持続しながら、軟性プラークおよび/または血栓を軟化または破砕し、破砕後に吸引によってカテーテルの遠位の開口部およびルーメンに向かって近位に引くことができる。
【0019】
図3は、完全にカテーテル12のルーメン14の中に近位に移動された位置のインペラ24を含むインペラ装置16が示されている。インペラ24は、カテーテルの遠位端より近位に位置されている。この場合、コントローラ104の実行可能命令は、インペラ24が回転することを抑止している。
【0020】
さらに、後続する特許および出願の開示が提供される。各々の特許および出願は、Cardiovascular Systems, Inc.に割り当てられるものであり、ここにその全体が引用される。各々の特許および出願は、現在開示される主題の様々な実施の形態において用いることができるシステム、方法および/または装置を含む。
【0021】
米国特許第9468457号、「偏心したクラウンを伴うアテローム切除装置」、
米国特許第9439674号、「交換可能な駆動軸およびかみ合わせ歯車を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許第9220529号、「電動機を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許第9119661号、「電動機を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許第9119660号、「電動機を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許第9078692号、「回転式アテローム切除装置」、
米国特許第6295712号、「回転式アテローム切除装置」、
米国特許第6494890号、「偏心した回転式アテローム切除装置」、
米国特許第6132444号、「アテローム切除装置のための偏心した駆動軸およびその製造方法」、
米国特許第6638288号、「アテローム切除装置のための偏心した駆動軸およびその製造方法」、
米国特許第5314438号、「回転式アテローム切除術のための研削駆動軸装置」、
米国特許第6217595号、「回転式アテローム切除装置」、
米国特許第5554163号、「アテローム切除装置」、
米国特許第7507245号、「研削クラウンを有する回転式血管形成装置」、
米国特許第6129734号、「放射状に拡張可能な原動機連結を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許出願11/761128、「高速回転式アテローム切除装置のための偏心した研磨頭部」、
米国特許出願11/767725、「閉塞部分を切開するためのシステム、器具および方法」、
米国特許出願12/130083、「高速回転式アテローム切除装置のための偏心した研磨要素」、
米国特許出願12/363914、「側方に変位した重心を有するアテローム切除装置のためのマルチマテリアル研磨頭部」、
米国特許出願12/578222、「事前に湾曲された駆動軸を伴う回転式アテローム切除装置」、
米国特許出願12/130024、「高速回転式アテローム切除装置のための偏心した研磨および切削頭部」、
米国特許出願12/580590、「高速回転式アテローム切除装置のための偏心した研磨および切削頭部」、
米国特許出願29/298320、「回転式アテローム切除術研磨クラウン」、
米国特許出願29/297122、「回転式アテローム切除術研磨クラウン」、
米国特許出願12/466130、「回転式アテローム切除装置のための双方向に伸長可能な頭部」、
米国特許出願12/388703、「回転式アテローム切除術のセグメント化された研磨頭部および研磨効率を改善する方法」。
【0022】
ここに記載される実施形態およびその適用は、実例と解釈されるべきであり、開示される範囲を限定することを意図されるものではない。さまざまな実施形態の特徴は、開示される境界内において、他の実施形態および/またはその特徴と結合されてもよい。この開示を研究する上で、ここで開示された実施形態の変形および変更が可能である。実施形態のさまざまな要素の実用的な代替物および均等物は、当業者によって理解され、かつ明らかになるであろう。ここで開示された実施形態のこのような変形や変更は、発明の範囲および趣旨から逸脱することなく実施され得る。それゆえ、当業者が思いつく程度の全ての代替案、変化、変更等は、本開示の境界の中であると考えられる。
図1
図2
図3
図4