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特許71294194-アミノ-3-クロロ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジルの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】4-アミノ-3-クロロ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジルの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/803 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
C07D213/803
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019551496
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017064833
(87)【国際公開番号】W WO2018111639
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/433,415
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フィスク,ジェイソン エス.
(72)【発明者】
【氏名】コーリング,デイビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スキュートマン,エイブラハム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ドナルドソン,メーガン イー.
(72)【発明者】
【氏名】マードック,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ロナルド ビー.
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-508143(JP,A)
【文献】特開昭50-62978(JP,A)
【文献】上木 達生 他,プロセス化学,第1版,日本,丸善株式会社,2008年07月30日,pp. 233-259
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/803
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物を調製する方法であって、
【化1】
a) 式IIの化合物と無水アンモニアと、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、トルエン、キシレン、THF、ジオキサン、モノ-およびジ-エチレングリコールエーテル、モノ-およびジ-プロピレングリコールエーテル、またはそれらの組合せから選択される溶媒とを混合し、圧力を無水アンモニアを用いて一平方インチ当たり40~150ポンドゲージ圧(psig)(275.8~1034.2kPaゲージ圧)に維持する工程、
【化2】
b) 式IIIの化合物を前記工程a)の混合物から単離する工程、
【化3】
c) 前記工程b)の単離された式IIIの化合物と無水HClを混合して、式IVのHCl塩を形成させる工程、
【化4】
d) 前記工程c)の式IVの化合物を単離し、そして前記式IVの単離化合物と塩基を混合して前記式IIIの化合物を再形成させる工程、
e) 塩素化剤を前記工程d)の混合物に添加する工程、および
f) 前記式Iの化合物を単離する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
工程d)の後、前記工程e)で塩素化剤を添加する前に、前記式IIIの化合物を再単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒はアセトニトリルである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記工程a)の混合が、無水アンモニアを用いて一平方インチ当たり0~00ポンドゲージ圧(psig)(482.6~689.5kPaゲージ圧)で維持される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程a)の混合が0~30℃の温度で維持される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)の混合が0~20℃の温度で維持される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程b)が、フッ化アンモニウム、および残留アンモニアを工程a)の混合物から除去する工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記フッ化アンモニウムがろ過または遠心により除去される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記残留アンモニアが、蒸留により、または不活性ガスの注入により除去される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程d)における式IVの化合物を単離する工程が、ろ過または遠心により前記式IVの化合物を単離する工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記式IIIの化合物を再単離する工程が、水非混和性溶媒をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記水非混和性溶媒が、トルエン、キシレン、キシレン類混合物、またはベンゾニトリルから選択される芳香族炭化水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記工程d)の塩基は、トリエチルアミン化合物を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記式IIIの化合物を再単離する工程が、水で洗浄する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記工程e)の塩素化剤が、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントインである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記工程d)の混合が、一相溶媒系を含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記一相溶媒系が、トルエン、キシレン、キシレン類混合物、アセトニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル、THF、ジオキサン、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、および塩素化炭化水素を含む群から選択される一種以上の溶媒を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程f)の単離後、前記式Iの化合物が、C-C12アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、またはそれらの混合物を含む溶媒からの結晶化により精製される、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記C-C12アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノールを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程f)の単離後、前記式Iの化合物が、ヘキサンまたはヘキサン類混合物である脂肪族炭化水素と、トルエン、又は、2-エチル-1-ヘキサノール、ヘプタンおよびトルエンを含む溶媒混合物である芳香族炭化水素とを含む溶媒混合物からの結晶化により精製される、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/433,415号の利益を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
フロルピラウキシフェン-ベンジル(4-アミノ-3-クロロ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジル;I)を調製するための現行の方法は、米国特許第8,609,855号および米国特許第8,871,943号に記載されている。
【0003】
【化1】
【発明の概要】
【0004】
フロルピラウキシフェン-ベンジル(すなわち式Iの化合物)の調製方法が提供される。具体的には、当該方法は、4,5-ジフルオロ-6-アリールピコリン酸塩(式IIの化合物)をフロルピラウキシフェン-ベンジル(式Iの化合物)に変換することを含む。当該方法は、以下の工程を含む:
a) 式IIの化合物と無水アンモニアを混合する工程、
【化2】
b) 式IIIの化合物を工程a)の混合物から単離する工程、
【化3】
c) 工程b)の単離された式IIIの化合物と無水HClを混合して、式IVのHCl塩を形成させる工程、
【化4】
d) 工程c)の式IVの化合物を単離し、そして式IVの単離化合物と塩基を混合して式IIIの化合物を再形成させる工程、
e) 塩素化剤を工程d)の混合物に添加する工程、および
f) 式Iの化合物を単離する工程。
【0005】
あるいは当該方法は、工程d)の後、工程e)で塩素化剤を添加する前に、式IIIの化合物を再単離する工程をさらに含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
式IIの4,5-ジフルオロ-6-アリールピコリン酸塩から、フロルピラウキシフェン-ベンジル(式I)を調製するための方法が提供される。スキーム1に図示されるように、当該方法は、(1)アンモニアを用いて式IIの化合物をアミノ化することにより4-アミノ基を導入し、および(2)N-クロロ化合物を用いた塩素化により3-クロロ基を導入する化学的プロセスの工程を含む。
【0007】
スキーム1:
【化5】

I. 定義
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語、ならびに例えばアリールオキシなどの派生用語は、6~14個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基を含む基を意味する。アリール基は、単一の環または複数の縮合環を含み得る。いくつかの実施形態では、アリール基は、C-C10アリール基を含む。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェニルシクロプロピル、及びインダニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は、フェニル、インダニルまたはナフチル基であり得る。「ヘテロアリール」という用語、ならびに例えば「ヘテロアリールオキシ」などの派生用語は、一つ以上のヘテロ原子、すなわちN、OもしくはSを含む5員または6員の芳香族環を指す。これらの芳香族複素環は他の芳香族系と縮合されてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、ピリジル、ピリミジルまたはトリアジニル基であり得る。アリール置換基またはヘテロアリール置換基は、非置換であってもよく、または一つ以上の化学部分で置換されてもよい。適切な置換基の例としては、例えば、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cハロアルキル、C-Cハロアルコキシ、C-Cアシル、C-Cアルキルチオ、C-Cアルキルスルフィニル、C-Cアルキルスルホニル、C-C10アルコキシカルボニル、C-Cカルバモイル、ヒドロキシカルボニル、C-Cアルキルカルボニル、アミノカルボニル、C-Cアルキルアミノカルボニル、C-Cジアルキルアミノカルボニルなどが挙げられるが、ただしそれら置換基は立体適合性があり、化学結合規則およびひずみエネルギー規則が満たされていることが条件である。好ましい置換基としては、ハロゲン、C-Cアルキル、C-C10アルコキシカルボニル、およびC-Cハロアルキルが挙げられる。
【0008】
本明細書で使用される場合、化学構造(すなわち式I、II、III、IIIa、IIIb、またはIVの化合物)の図において使用される場合の「Bn」という用語は、ベンジル基を指し、これはPhCHとも表され得る。
【0009】
本明細書において記載される場合、式IIIの化合物は、以下である。
【0010】
【化6】
式IIIの化合物は、別の方法で調製されてもよい。説明の明確化を目的として、異なる方法で形成された化合物を、それがどのように調製されたかに応じて式IIIaの化合物または式IIIbの化合物として表される場合がある。式IIIの化合物が、式IIのジフルオロピコリン酸塩化合物をアンモニアを用いてアミノ化することにより調製された場合は、式IIIaの化合物と呼称される。式IIIの化合物が、式IVの化合物のHCl塩を塩基を用いて中和することにより調製された場合には、式IIIbの化合物と呼称される。
【0011】
II. ジフルオロピコリン酸塩IIのアミノ化
式Iの化合物を調製する方法の第一の工程は、式IIのジフルオロピコリン酸塩を、アンモニアを用いて式IVの塩酸(HCl)塩へアミノ化することにより変換し、次いで無水HClで処理することを含む(スキーム3)。
【0012】
スキーム3:
【化7】
最初にジフルオロピコリン酸塩を圧力下で無水アンモニアと反応させることで、式IIIaの4-アミノピリジンと副産物のNHFを得ることができる(スキーム4)。NHFと余剰アンモニアを除去した後、式IIIaの4-アミノピリジンを無水HClで処置して、式IVの4-アミノ-3-フルオロピコリン酸HCl塩を生成する(スキーム3)。式IVのHCl塩を形成させることで、生成物の単離が簡便となる。
【0013】
スキーム4:
【化8】
アミノ化反応での使用に適し得る溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、トルエン、キシレン、キシレン類混合物、例えばTHF、ジオキサン、モノ-およびジ-エチレングリコールエーテル、ならびにモノ-およびジ-プロピレングリコールエーテルなどのエーテル、ならびにそれらの混合物といった非プロトン性溶媒が挙げられるがこれらに限定されない。
【0014】
式IIIaの化合物を生成するためのアミノ化反応のための反応性溶媒としてのアセトニトリル(CHCN)の使用は、例えばDMSOやNMPなどの非常に極性の溶媒など、他の溶媒よりも利点があることが判明している。これら非常に極性の溶媒を使用することで、低温で急速な式IIの化合物のアミノ化が行われるが、生成物を単離するためには、極めて非効率的な水性の拡張手順が必要とされる。さらにこれら非常に極性の溶媒中での式IVのHCl塩の形成と単離は実現可能なものではない。ゆえにこれら非常に極性の溶媒を使用しても、式IIIaの化合物または式IVのHCl塩を調製するための効率的で拡張性のあるアミノ化方法は提供されない。
【0015】
無水アンモニアの高圧下、高い反応温度でアセトニトリル溶媒中、式IIのジフルオロピコリン酸塩のアミノ化を行うことで、許容可能な反応サイクル時間、非常に良好な生成物の収率、および不純物形成の低下がもたらされる。表1は、様々な温度、圧力および反応時間で式IIの化合物のアミノ化を実施した結果を示す。表1に示されるように、式IIの化合物のアミノ化の最適な実施条件は驚くべきことに、約100℃の温度、約100psigのアンモニア圧、および約2時間の反応時間であることが見いだされ、これにより85%の収率で式IIIaの4-アミノピコリン酸塩が生成された(97%の変換率)。
【0016】
表1.300mLのパールリアクター(Parr Reactor)における、CHCN中、アンモニアを用いたジフルオロピコリン酸塩IIの反応。
【表1】

驚くべきことに、反応温度を50℃まで下げつつ、アンモニア圧を100psigに維持することで(エントリー5)、変換率は99%であったにもかかわらず、式IIIaの化合物の収率は低下した。
【0017】
式IIIaの化合物を生成するためのアミノ化反応は、圧力リアクターにおいてアセトニトリル溶媒中、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃、または少なくとも約115℃の温度で、無水アンモニアを用いて行われてもよい。あるいは式IIIaの化合物を生成するためのアミノ化反応は、アセトニトリル中、約60℃~約130℃、または約80℃~約120℃の温度で行うことができる。別の例では、式IIIaの化合物を生成するためのアミノ化反応は、約90℃~約110℃の温度で、アセトニトリル中で行うことができる。
【0018】
式IIIaの化合物を精製するためのアミノ化反応は、圧力リアクターにおいてアセトニトリル溶媒中、無水アンモニアを用いて行ってもよく、この場合においてリアクターに無水アンモニアを添加することによるリアクター内の圧力は、一平方インチ当たり約40~約150ポンドゲージ圧(psig)、約50~約140psig、約50~約120psig、約50~約100psig、約60~約130psig、約70~約120psig、約80~約110psig、または約90~約110psigである。アミノ化反応中、リアクター内の圧力は、定期的な無水アンモニアの添加やリアクター内の無水アンモニアの消費があるために、これらの圧力範囲から多少変化してもよい。
【0019】
式IIIaの化合物を生成するための式IIの化合物のアミノ化が完了した後、圧力リアクターを冷却し、圧力を放出させ、反応混合液をろ過または遠心して副産物のフッ化アンモニウムを除去し、ろ過液を取得した。次いでろ過液に蒸留(すなわち、大気圧または減圧の蒸留)を行って、実質的に全ての残留アンモニアを除去し、式IIIaの粗化合物を含む溶液を、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、または約5重量%以下の式IIIaの化合物の濃度にまで濃縮した。またろ過液を例えば窒素ガスなどの不活性ガスの流れに注入して、残留アンモニアを除去、または残留アンモニア量を減少させてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「実質的にすべての残留アンモニアを除去する」という語句は、ろ過液から充分な量のアンモニアを除去して、ろ過液中の最終アンモニア濃度を約500ppm未満に到達させることを意味することが意図される。さらに最終アンモニア濃度は、約250ppm未満、約125ppm未満、約63ppm未満、約32ppm未満、または約16ppm未満であってもよい。
【0021】
副産物のNHFをろ過または遠心により除去した後、および実質的にすべての残留アンモニアを蒸留または窒素ガス注入により除去した後の、式IIIaの粗化合物を含有するアミノ化後反応混合物を、無水HClで処理した。次いで得られた混合物をろ過または遠心して、式IVのHCl塩を得た。一部の例では、式IIIaの化合物に対して、約1.0~約5.0、約1.0~約2.0、約1.0~約1.5、または約1.0~約1.2のモル当量の無水HClを使用して、式IVのHCl塩を調製してもよい。
【0022】
式IVのHCl塩の調製は、約25℃~約75℃、約25℃~約65℃、約35℃~約65℃、約45℃~約65℃、約45℃~約55℃、約45℃~約75℃、または約55℃~約75℃の温度で行われてもよい。あるいは式IVのHCl塩の形成は、約40℃~約60℃の温度で行われてもよい。
【0023】
単離された式IVのHCl塩の純度は、少なくとも約75重量%(wt%)、少なくとも約80wt%、少なくとも約85wt%、少なくとも約87wt%、少なくとも約89wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約91wt%、少なくとも約92wt量%、少なくとも約93wt%、少なくとも約94重量%、または少なくとも約95重量%であり得る。
【0024】
式IIIaの化合物の酸由来塩の調製に適し得る他の酸としては、HBr、MeSOH、HSO、HPO、HNO、およびHBFが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
III. 4-アミノピコリン酸塩IIIbの塩素化
式Iの化合物を調製する方法の次の工程は、式IVのHCl塩をフロルピラウキシフェン-ベンジル(式I)へ変換することを含む。この変換はスキーム5に示され、式IVのHCl塩を塩基を用いて中和して式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を生成し、次いでN-クロロ化合物である塩素化剤を利用して式IIIbの化合物を式Iの化合物へと変換することを含む。
【0026】
スキーム5:
【化9】
A. IVを中和し、IIIbを単離するための二相溶媒系
式IVのHCl塩を塩基を用いて中和し、式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を再単離するために二相溶媒系を使用してもよい。二相溶媒系は水(すなわち水性の液相)と、例えばトルエン、キシレンおよびキシレン類混合物、ベンゾニトリルなどの芳香族炭化水素、例えば酢酸エチルなどのエステル類、例えばtert-アミルメチルエーテル(TAME)およびメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などのエーテル類、例えばジクロロメタンおよび1,2-ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ならびにそれらの混合物から選択される有機溶媒(すなわち水非混和性の液相)を含んでもよい。二相溶媒系を使用する場合の、式IVのHCl塩を中和して式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を生成するための適切な塩基としては、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、アンモニア、ならびに例えばピリジンおよびN-メチルイミダゾールなどの複素環アミンが挙げられるが、これらに限定されない。二相溶媒系を使用する場合の、式IVのHCl塩の中和に使用され得る追加の塩基としては、例えば限定されないが、NaOHおよびKOHなどの無機塩基、ならびに例えばNaCOおよびKCOなどの炭酸塩が挙げられる。
【0027】
二相溶媒系の水部分は、塩基添加の前または後のいずれかで中和反応に添加されてもよい。中和反応の間に生成された塩(すなわちEtN.HCl、NaClまたはKCl)は水を利用して洗い流すことにより簡単に除去することができ、それにより水非混和性溶媒中の溶液としての式IIIbの4-アミノピコリン酸塩の再単離が可能となる。
【0028】
二相溶媒系中和反応は、約25℃~約100℃、約25℃~約90℃、約35℃~約90℃、約45℃~約90℃、約55℃~約90℃、約60℃~約90℃、または約70℃~約90℃の範囲の温度で行うことができる。
【0029】
二相中和反応混合物からの水相の除去(IIIbの再単離)の後、式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を含有する残りの有機溶液に蒸留を行い、すべての水および/または残留塩基を除去し、そして溶液を濃縮することができる。
【0030】
B. 再単離されたIIIbの塩素化
次いで本明細書に記載されるように調製された式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を含む濃縮溶液を塩素化剤で処理して、塩素基を式IIIbの4-アミノピコリン酸塩のピリジン環上に導入して、最終生成物の式Iを生成することができる。
【0031】
式Iの最終生成物を生成する塩素化反応は、約25℃~約120℃、約40℃~約120℃、約50℃~約120℃、約60℃~約110℃、約70℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、または約75℃~約85℃の範囲の温度で行われてもよい。
【0032】
式Iの化合物を式IIIbの4-アミノピコリン酸塩から調製するために使用される塩素化剤は、N-クロロ化合物であってもよい。Iを調製するために使用され得る適切なN-クロロ化合物としては、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)、N-クロロスクシンイミド、1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリアジントリオン、N-クロロサッカリン、およびN-クロロフタルイミドが挙げられるがこれらに限定されない。式Iの化合物を調製するために使用される有用な塩素化剤は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントインである。
【0033】
B. IVを中和し、IIIbを塩素化するための一相溶媒系
一相溶媒系(すなわち、単一の有機液相があり、水性の第二液相が無い)を、塩基を用いた式IVのHCl塩の中和に使用して、式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を生成してもよい。一相溶媒系は、限定されないが、例えばトルエン、キシレンおよびキシレン類混合物、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの芳香族炭化水素、例えば酢酸エチルなどのエステル類、例えばTHF、ジオキサン、tert-アミルメチルエーテル(TAME)およびメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などのエーテル類、例えばジクロロメタンおよび1,2-ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ならびにそれらの混合物などの有機溶媒を含んでもよい。一相溶媒系を使用する場合の、式IVのHCl塩を中和して式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を生成するための適切な塩基としては、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、アンモニア、ならびに例えばピリジンおよびN-メチルイミダゾールなどの複素環アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
一相溶媒系中和反応は、約25℃~約100℃、約25℃~約90℃、約35℃~約90℃、約45℃~約90℃、約55℃~約90℃、約60℃~約90℃、または約70℃~約90℃の範囲の温度で行うことができる。
【0035】
一相溶媒系を使用し、塩基を用いて式IVのHCl塩を中和して式IIIbの4-アミノピコリン酸塩を生成した後、得られた混合液を塩素化剤で処理し、4-アミノピコリン酸塩IIIbのピリジン環上に塩素基を導入し、最終生成物の式Iを生成することができる。一例として、一相溶媒系を使用して式IIIbの4-アミノピコリン酸塩から式Iの化合物を調製するために使用される塩素化剤は、N-クロロ化合物であってもよい。Iを調製するために使用され得る適切なN-クロロ化合物としては、本明細書に記載されるものが挙げられる。
【0036】
一相溶媒系を使用して最終生成物の式Iを生成する塩素化反応は、約25℃~約120℃、約40℃~約120℃、約50℃~約120℃、約60℃~約110℃、約70℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、または約75℃~約85℃の範囲の温度で行われてもよい。
【0037】
III.単離/精製
本明細書に記載されるプロセスにより式Iの化合物を調製した後、生成物は、標準的な単離技術および精製技術を採用して単離されてもよい。例えば粗生成物は、本明細書に記載される標準的な方法を使用して単離され、単一溶媒、または二種以上の溶媒の混合物を使用した結晶化によって精製されてもよい。結晶化で使用される溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、およびアルコールのうちの一種以上を含んでもよい。
【0038】
式Iの粗生成物は、例えばトルエン、キシレン、キシレン類混合物、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-メチル-1-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、および1-ドデカノールなど、芳香族炭化水素およびC-C12アルコールを含む群から選択される単一溶媒からの結晶化により精製されてもよい。一つの実施形態では、式Iの粗生成物は2-エチル-1-ヘキサノールからの結晶化によって精製されてもよい。別の実施形態では、式Iの粗生成物は、溶媒交換(すなわち、一つの溶媒を除去し、第二の溶媒と置き換える)、および第二の溶媒からの結晶化によって精製されてもよい。例えば、式Iの粗生成物のトルエン溶液に蒸留を行い、トルエンを除去し、2-エチル-1-ヘキサノールである第二の溶媒と置き換えてもよい。
【0039】
式Iの粗生成物は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、およびC-C12アルコールを含む群から選択される二種以上の溶媒の組み合わせからの再結晶化によっても精製され得る。例えば式Iの粗生成物の結晶化は、ヘキサンまたはヘキサン類混合物などの脂肪族炭化水素と、トルエンなどの芳香族炭化水素の組み合わせを用いて行ってもよい。さらに、式Iの粗生成物の再結晶化は、芳香族炭化水素とC-C12アルコールの組み合わせを用いて行ってもよい。さらに、式Iの粗生成物の再結晶化は、脂肪族炭化水素とC-C12アルコールの組み合わせを用いて行ってもよい。
【0040】
また式Iの粗生成物は、一つの溶媒中に溶解させて溶液を形成させ、次いでその溶液に第二の溶媒を添加し、その二種の溶媒混合物からの式Iの生成物の結晶化を生じさせることにより精製されてもよい。式Iの粗生成物の、例えばトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒の溶液を、例えばヘキサンまたはヘキサン類混合物などの脂肪族炭化水素溶媒を用いて処理して、その二種の溶媒混合物からの式Iの生成物の結晶化を生じさせてもよい。
【0041】
以下の実施例は、本明細書に記載される方法および組成物の解説のために提示される。
【実施例
【0042】
実施例1. 4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸ベンジルの調製
A. 300mLのパールリアクターに、4,5-ジフルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジル(15グラム、78.9重量%、29.1mmol)と125グラムのアセトニトリルを入れた。リアクターに加圧し、次いで350psiの窒素を用いて三回排気させ、酸素をしっかりと除去した。攪拌を開始し、溶液を100℃に加熱した。温度に達した時点で、6分間かけてリアクターにアンモニアを供給して、リアクターを80psiの最終圧とした。反応混合液を5時間攪拌させ、その間、必要に応じてさらにアンモニアを供給することによりリアクターの圧力を80psiに維持した。HPLCにより反応の完了が確認された時点で、溶液を冷却し、排気させて、余剰アンモニアを除去した。粗溶液をろ過して、フッ化アンモニウム副産物を除去し、得られたリアクター溶液をHPLCにより分析した。HPLCにより、定量的内部標準法を使用して決定したところ、4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジルの中間物のイン-ポット(in-pot)収率が85%であったことが示された。この溶液を一時的に82℃に加熱し、大気圧で蒸留させ、残留アンモニアをすべて除去し、溶液を約20重量%の固体量に濃縮した。次いで溶液を50℃まで冷却し、12.3 wt%のHClのアセトニトリル溶液(26.4mmol)を用いて3分かけて滴下して加えることで処理した。得られたスラリーを1時間攪拌し、次いで50℃でろ過した。湿潤ケーキを室温のアセトニトリルで洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥させ、所望の4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸塩を褐色固形物(91.7重量%、収率70%)として得た。
【0043】
B.5リットルのHastelloy C圧入リアクターに、4,5-ジフルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジル(325グラム、81.3重量%、0.65mmol)と2395グラムのアセトニトリルを入れた。窒素で175psigまでリアクターを加圧し、次いで三回排気させ、しっかりと酸素を除去した。攪拌を開始し、溶液を100℃に加熱した。温度に達した時点で、30分間かけてリアクターにアンモニアを供給して、リアクターを80psigの最終圧とした。反応混合液を4時間攪拌させ、その間、必要に応じてさらにアンモニアを供給することによりリアクターの圧力を80psigに維持した。HPLCにより反応の完了が確認された時点で、溶液を冷却し、排気させて、余剰アンモニアを除去した。粗溶液をろ過してフッ化アンモニウム副産物を除去し、5リットルのガラス圧入リアクターに移した。フッ化アンモニウムの湿潤ケーキを415gの追加アセトニトリルで洗浄した。洗浄ろ過液を、5リットルのガラスリアクター内で元のリアクター溶液と混合した。混合溶液をHPLCにより分析した。HPLCにより、定量的内部標準法を使用して決定したところ、4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジルの中間物のイン-ポット(in-pot)収率が83%であったことが示された。この溶液を一時的に60℃に加熱し、真空下(365mmHg)で蒸留させ、残留アンモニアをすべて除去し、溶液を約14重量%の所望の生成物量に濃縮した。次いで溶液を50℃まで冷却し、50分間かけてHClを注入した(24.8g、無水物、0.68モル)。得られたスラリーを30分間攪拌し、次いで50℃で濾過した。湿潤ケーキを室温のアセトニトリル(321g)で洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥させ、所望の4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸塩238gを褐色固形物(93.2重量%、収率77%)として得た。
【0044】
実施例2.4-アミノ-3-クロロ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸ベンジルの調製
A.200.0gの4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸塩(93.2重量%、0.42モル)と1440gのトルエンの混合物を、コンデンサーとオーバーヘッド撹拌器を備えた5リットルの圧入リアクター内に入れた。溶液を窒素雰囲気下に置き、トリエチルアミン(44.9g、0.44mol)で処理した。次いで混合物を80℃に加熱し、さらに0.5時間攪拌した。得られた溶液を1780gの水で二回洗浄した。洗浄水を捨て、リアクター溶液を80℃に加熱し、真空下(300mmHg)で蒸留し、残留水とトリエチルアミンをすべて除去した。次いで溶液をDCDMH(1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、51.0g、0.25モル)で処理し、75℃で2.5時間攪拌させた。HPLC解析により反応の完了が決定された時点で、冷却された溶液を1290gの重亜硫酸ナトリウム水溶液(0.7wt%、0.08mol)で洗浄し、その後1500gの水で洗浄した。混合洗浄水を捨て、次いで有機溶液を80℃に加熱し、真空下(300mmHg)で再び蒸留し、溶液を濃縮して残留水をすべて除去した。溶液を生成品がおよそ17重量%となるまで濃縮し、70℃に冷却し、次いでおよそ790gのヘキサンを90分間かけて溶液に滴下して加え、引き続きこれを室温まで冷却した。得られた混合液を濾過し、得られた湿潤ケーキを300gのトルエンと300gのヘキサンからなる混合液で洗浄した。次いで湿潤ケーキを真空オーブン中、70℃で一晩乾燥させ、黄色固形物として所望の生成物を84%の収率で得た(166g、92.2重量%)。
【0045】
B.200.4gの4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸塩(80.2%の純度)、38.9gのTEAおよび2038gのトルエンからなる混合物を、4.5Lの圧入リアクターに入れた。得られたスラリーを窒素雰囲気下に置き、80℃まで加熱した。次いで溶液を1511gの水で洗浄し、その後1302gの水で二回目の洗浄を行った。得られた有機層を、124gのトルエンでリンスしながら、3.5Lの圧入リアクターに吸引移送した。次いで溶液を真空下で蒸留させ、余剰な水を除去した。水を除去した時点で、約43.9gの1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(0.6当量)を、12分間かけてアクターに加えた。溶液を75℃で4時間攪拌し、追加の1.35gの1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(0.02当量)を加え、反応を完了させた。90分後、19gの40%(w/w)の重亜硫酸ナトリウム水溶液と1000gの温水からなる混合物をリアクターに加えた。リアクターを80℃に加熱し、水層をデカントした。二回目の水相抽出のために追加の1000gの温水を加えた。従前のように混合液を80℃に加熱し、水層をデカントした。この時点でトルエンを真空下、80℃で蒸留させ、溶媒交換を行った。トルエンのバルクを取り除き、595gの2-エチル-1-ヘキサノールをリアクターに注いだ。リアクター内の最終圧が53mmHgとなり、最終温度が91.6℃となるまで蒸留を80分間再開させた(およそ60mLの収集負荷となる)。この時点で、追加の563gの2-エチル-1-ヘキサノールをリアクターに注ぎ、溶液を82℃に加熱し、次いで20℃に冷却した。得られたスラリーをろ過し、収集された湿潤ケーキ固形物を207gの2-エチル-1-ヘキサノールで洗浄し、次いで192gのヘキサンで洗浄し、真空オーブン中で部分的に乾燥させた。部分的に乾燥した湿潤ケーキ固形物をヘキサンで再スラリー化させ、真空オーブン内で最終的に完全に乾燥させた。最終的に単離された4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルの生産量は142.0g(収率84%)、純度95.2%であった。
【0046】
C.4-アミノ-5-フルオロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピコリン酸塩酸塩(50.0g、88.6重量%、100.3mmol)および253gのトルエンからなる混合物を1Lの圧入リアクターに入れた。得られたスラリーを窒素雰囲気下に置き、83℃まで加熱した。次いで溶液を50重量%のトリエチルアミンのトルエン溶液(23.3g、115.5mmol)で処理した。次いで溶液を40℃まで冷却し、続いて1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(13.5g、67.8mmol)で処理した。溶液を1時間かけて80℃まで再加熱し、その後248gの水で二回洗浄した。この時点でトルエンを真空下、80℃で蒸留させ、溶媒交換を行った。トルエンのバルクを取り除き、148gの2-エチル-1-ヘキサノールをリアクターに注いだ。リアクター内の最終圧が75mmHgとなり、最終温度が87℃となるまで蒸留を再開させて残りのトルエンを除去した。次に追加の153gの2-エチル-1-ヘキサノールをリアクターに注ぎ、溶液をゆっくりと6℃まで冷却した。スラリーをろ過し、得られた湿潤ケーキを145gのヘプタンで洗浄した。洗浄された湿潤ケーキを真空オーブン中で一晩乾燥させ、所望生成物の4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルを39.9g(収率84%)、92.9重量%の純度で得た。
【0047】
D.精製:13.0重量%の4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルを含有するトルエン溶液の74.18gの試料を、250mLの圧入リアクターに加え、それとともに14.5gのトルエンを加えた。スラリーを80℃に加熱し、真空下で蒸留して一部のトルエンを除去した。リアクター内の液体レベルが充分に低くなったら、18.1gの2-エチル-1-ヘキサノール(2EH)をリアクターに加えて、溶液をさらに蒸留してさらにトルエンを除去した。蒸留状態が84mmHgの真空、および88℃に達した時、蒸留を停止させ、17.2gの2EHをリアクターに加え、LCおよびGCの両方により溶液をサンプル採取して、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルのアッセイを行い、溶媒組成を決定した。これらの結果に基づいて、26.69gの2EH、17.58gのヘプタン、および4.47gのトルエンをリアクターに加えた。混合物を81℃に加熱し、次いで6時間かけて20℃に冷却した。得られたスラリーをろ過し、40gのヘキサンで洗浄し、16.33gの4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルの湿潤ケーキを生成した。この固形物を真空オーブン中で一晩乾燥させ、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-5-フルオロピコリン酸ベンジルを9.08g(収率87%)、93.8重量%の純度で得た。
【0048】
特許請求の範囲に記載の組成物及び方法の範囲は、本明細書に記載の特定の組成物及び方法によって限定されない。本明細書に記載の特定の組成物及び方法は、添付の特許請求の範囲におけるいくつかの態様を例示することを目的とし、機能的に等価である任意の組成物及び方法は、特許請求の範囲に入ることが意図されている。本明細書に示し記載したものに加えて、当該組成物及び方法の様々な変更形態も添付の特許請求の範囲に入ることが意図されている。さらに、本明細書で開示されるある特定の代表的な組成物質及び方法ステップのみが具体的に記載されているが、組成物質及び方法ステップの他の組み合わせも、具体的に挙げられていない場合であっても、添付の請求の範囲に入ることが意図されている。したがって、ステップ、要素、構成成分、または構成要素は、本明細書で明示的に言及されている場合もあるが、例え明示的に記述されていない場合であっても他のステップ、要素、構成成分、及び構成要素の組み合わせも含まれる。本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語及びこの変形形態は、「含む(including)」という用語及びこの変形形態と同義的に使用され、オープンで非限定的な用語である。本明細書では「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は様々な実施形態を説明するために使用されているが、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」という用語も、より具体的な本発明の実施形態を示すために「含む(comprising)」及び「含む(comprising)」の代わりに使用される場合があり、これらも開示される。