(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01P 3/08 20060101AFI20220825BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01P3/08 200
H01P3/08 300
H05K1/02 B
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2020077352
(22)【出願日】2020-04-24
(62)【分割の表示】P 2018518296の分割
【原出願日】2017-05-16
【審査請求日】2020-04-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2016098850
(32)【優先日】2016-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016160664
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017000843
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 貴博
(72)【発明者】
【氏名】趙 麗君
(72)【発明者】
【氏名】徐 楚
(72)【発明者】
【氏名】小山 展正
(72)【発明者】
【氏名】松浦 智史
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】赤穂 美香
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-185219(JP,A)
【文献】特開2014-192384(JP,A)
【文献】特開平11-054943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有し、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体と、
前記複数の絶縁性基材のいずれかに形成された、第1信号線路、第2信号線路、第1グランド導体、第2グランド導体、第3グランド導体、第4グランド導体、第1層間接続導体、第2層間接続導体、および第3層間接続導体と、
前記第1信号線路に接続される第1外部接続電極と、
前記第2信号線路に接続される第2外部接続電極と、
第1中間グランド導体と、
を備える伝送線路基板と、
前記伝送線路基板が面実装される回路基板と、
を備えており、
前記積層体は、前記第1信号線路および第2信号線路が延伸する伝送方向に長尺状であり、
前記第1信号線路と、前記第1グランド導体と、前記複数の絶縁性基材のうち前記第1信号線路および前記第1グランド導体で挟まれる絶縁性基材と、を含んで第1伝送線路が構成され、
前記第2信号線路と、前記第2グランド導体と、前記複数の絶縁性基材のうち前記第2信号線路および前記第2グランド導体で挟まれる絶縁性基材と、を含んで第2伝送線路が構成され、
前記第2信号線路は、前記第1信号線路とは異なる層に形成され、前記複数の絶縁性基材の積層方向から視て前記第1信号線路に並走し、
前記第1グランド導体は、前記第2信号線路と同じ層に形成され、前記積層方向から視て前記第1信号線路に重なり、
前記第2グランド導体は、前記積層方向から視て前記第2信号線路に重なり、
前記第3グランド導体は、前記第2グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第1信号線路を挟んで前記第1グランド導体に対向して配置され、
前記第4グランド導体は、前記第1グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第2信号線路を挟んで前記第2グランド導体に対向して配置され、
前記第1層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを導通させ、
前記第2層間接続導体は、前記第2グランド導体と前記第3グランド導体とを導通させ、
前記第3層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第4グランド導体とを導通させ、
前記第1外部接続電極および前記第2外部接続電極は、前記積層体の前記伝送方向における両端付近にそれぞれ配置され、
前記第1中間グランド導体は、前記積層方向に対し、前記第1信号線路が形成された層と前記第2信号線路が形成された層との間に位置する層に形成されており、
前記第1信号線路および前記第2信号線路のうち、前記第1信号線路は、前記回路基板の実装面に最も近接して配置され、
前記伝送線路基板は、
前記積層方向に対し、前記実装面と、前記第1信号線路が形成された層との間に形成される第2中間グランド導体を備え、
前記第2中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1信号線路と前記第2信号線路との間に配置される、
電子機器。
【請求項2】
前記複数の絶縁性基材のいずれかに形成された、第5グランド導体および第6グランド導体をさらに備え、
前記第5グランド導体は、前記第1信号線路および前記第2グランド導体と同じ層に形成され、前記第1信号線路に並走し、且つ、前記第1信号線路に対して前記第2グランド導体とは反対側に配置され、
前記第6グランド導体は、前記第2信号線路および前記第1グランド導体と同じ層に形成され、前記第2信号線路に並走し、且つ、前記第2信号線路に対して前記第1グランド導体とは反対側に配置される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数の絶縁性基材は、それぞれ熱可塑性樹脂である、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1伝送線路および前記第2伝送線路は、前記積層方向に曲げられた曲げ部を有する、
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記積層体は、可撓性を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記積層体の前記積層方向に直交する第1主面には、
前記積層方向に視て、全ての信号線路に重なるグランド導体を備える、
請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2グランド導体は、前記第1信号線路と同じ層に形成され、
前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1信号線路と前記第2信号線路との間に配置される、
請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1中間グランド導体は、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、前記第1信号線路または前記第2信号線路から離間している、
請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第2グランド導体よりも前記第1信号線路側に延出して、前記第2グランド導体に重ならない部分を有する、
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1グランド導体よりも前記第2信号線路側に延出して、前記第1グランド導体に重ならない部分を有する、
請求項8または9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1中間グランド導体は、他のグランド導体よりも前記積層方向における厚みが薄い、
請求項1から10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記第2信号線路に並走する第3信号線路を備え、
前記第3信号線路は、
前記積層方向において、前記第2信号線路と同じ位置に配置されており、
前記積層方向および並走する方向に直交する幅方向において、前記第1グランド導体を挟んで前記第2信号線路と反対側に配置されており、
前記第1グランド導体の幅方向の中心を通り、並走する方向および前記積層方向に平行な基準面に対して、前記第2信号線路と対称の位置に配置されている、
請求項1から11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記第3信号線路を含んで構成される第3伝送線路と、前記第2伝送線路とは、前記第1グランド導体の幅方向の中心を通り、並走する方向および前記積層方向に平行な基準面に対して対称の位置に配置されている、
請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第1信号線路に並走する第4信号線路を備え、
前記第4信号線路は、前記積層方向において、前記第1グランド導体を基準にして、前記第1信号線路と対称の位置に配置されている、
請求項1から13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記第4信号線路を含んで構成される第4伝送線路と、前記第1伝送線路とは、前記第1グランド導体を基準にして対称の位置に配置されている、
請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記第1伝送線路から前記第4伝送線路を含む5個以上の所定数の伝送線路を備え、
前記所定数の伝送線路は、前記積層方向および該積層方向に直交する第1方向において、対称形に配置されている、
請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第2中間グランド導体は、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、前記第1信号線路から離間している、
請求項1から請求項16のいずれかに記載の電子機器。
【請求項18】
前記第2中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第2グランド導体よりも前記第1信号線路側に延出して、前記第2グランド導体に重ならない部分を有する、
請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
前記第2中間グランド導体は、他のグランド導体よりも前記積層方向における厚みが薄い、
請求項1から請求項18のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線路基板に関し、特に複数の伝送線路を備える伝送線路基板と該伝送線路基板を含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体に、複数の伝送線路が設けられた多層基板が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の絶縁性基材の積層方向に配置されたストリップライン構造の第1伝送線路および第2伝送線路が設けられた多層基板が示されている。この多層基板では、第1グランド導体、第1信号線路、中間グランド導体、第2信号線路および第2グランド導体が、それぞれ異なる絶縁性基材に形成されている。上記第1伝送線路は上記第1グランド導体、第1信号線路および中間グランド導体によって構成され、上記第2伝送線路は上記中間グランド導体、第2信号線路および第2グランド導体によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示される多層基板の構造では、大面積の平面状のグランド導体(特に、複数の絶縁性基材の積層方向において、第1信号線路と第2信号線路との間に配置される中間グランド導体)が絶縁性基材に形成されている。一般に、絶縁性基材と導体との接合強度は、絶縁性基材同士の接合強度よりも弱い。そのため、上記グランド導体が形成された絶縁性基材とそれ以外の絶縁性基材との間の接合強度が弱くなり、積層体を構成する絶縁性基材同士が剥離しやすくなる。その結果、多層基板自体の強度や耐久性が不十分となる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体に、複数の伝送線路が設けられた構成において、積層体を構成する絶縁性基材同士の剥離を抑制することにより、機械的強度や外力等に対する耐久性を高めた伝送線路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の伝送線路基板は、
第1主面を有し、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体と、
前記複数の絶縁性基材のいずれかに形成された、第1信号線路、第2信号線路、第1グランド導体、第2グランド導体、第3グランド導体、第4グランド導体、第1層間接続導体、第2層間接続導体、および第3層間接続導体と、
前記第1信号線路に接続される第1外部接続電極と、
前記第2信号線路に接続される第2外部接続電極と、
を備え、
前記積層体は、前記第1信号線路および第2信号線路が延伸する伝送方向に長尺状であり、
前記第1信号線路と、前記第1グランド導体と、前記複数の絶縁性基材のうち前記第1信号線路および前記第1グランド導体で挟まれる絶縁性基材と、を含んで第1伝送線路が構成され、
前記第2信号線路と、前記第2グランド導体と、前記複数の絶縁性基材のうち前記第2信号線路および前記第2グランド導体で挟まれる絶縁性基材と、を含んで第2伝送線路が構成され、
前記第2信号線路は、前記第1信号線路とは異なる層に形成され、前記複数の絶縁性基材の積層方向から視て前記第1信号線路に並走し、
前記第1グランド導体は、前記第2信号線路と同じ層に形成され、前記積層方向から視て前記第1信号線路に重なり、
前記第2グランド導体は、前記第1信号線路と同じ層に形成され、前記積層方向から視て前記第2信号線路に重なり、
前記第3グランド導体は、前記第2グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第1信号線路を挟んで前記第1グランド導体に対向して配置され、
前記第4グランド導体は、前記第1グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第2信号線路を挟んで前記第2グランド導体に対向して配置され、
前記第1層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを導通させ、
前記第2層間接続導体は、前記第2グランド導体と前記第3グランド導体とを導通させ、
前記第3層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第4グランド導体とを導通させ、
前記第1外部接続電極および前記第2外部接続電極は、前記積層体の前記伝送方向における両端付近にそれぞれ配置される、
ることを特徴とする。
【0008】
この構成では第1伝送線路および第2伝送線路が積層体の幅方向に配置され、絶縁性基材の略全面に亘って大面積のグランド導体が形成されていない。すなわち、絶縁性基材の略全面に亘って大面積のグランド導体が形成される場合に比べ、絶縁性基材同士の接合面が相対的に広い。したがって、この構成により、絶縁性基材同士の部分的または全体的な接合強度の低下は抑制され、積層体を構成する絶縁性基材同士の剥離が抑制されるため、機械的強度や外力等に対する耐久性を高めた多層基板を実現できる。
【0009】
また、この構成では、信号線路と同じ層に、伝送線路を構成するグランド導体が形成されるため、信号線路とグランド導体とが異なる層に形成される場合に比べて、複数の伝送線路を構成するのに必要な絶縁性基材の数を少なくできる。したがって、この構成により、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体に、複数の伝送線路が設けられる構成において、信号線路とグランド導体とが異なる層に形成される場合に比べて、薄型の多層基板を実現できる。
【0010】
(2)上記(1)において、前記複数の絶縁性基材のいずれかに形成された、第3グランド導体、第4グランド導体、第2層間接続導体および第3層間接続導体をさらに備え、前記第3グランド導体は、前記第2グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第1信号線路を挟んで前記第1グランド導体と対向して配置され、前記第4グランド導体は、前記第1グランド導体とは異なる層に形成され、前記積層方向に対し前記第2信号線路を挟んで前記第2グランド導体と対向して配置され、前記第2層間接続導体は、前記第2グランド導体と前記第3グランド導体とを導通させ、前記第3層間接続導体は、前記第1グランド導体と前記第4グランド導体とを導通させることが好ましい。この構成では、第1信号線路の周囲3方向にグランド導体が配置され、第1信号線路が周囲3方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。また、この構成では、第2信号線路の周囲3方向にグランド導体が配置され、第2信号線路が周囲3方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。したがって、この構成により、第1信号線路と第2信号線路との間のアイソレーションが十分に確保され、クロストークの抑制効果が高まる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)おいて、前記複数の絶縁性基材のいずれかに形成された、第5グランド導体および第6グランド導体をさらに備え、前記第5グランド導体は、前記第1信号線路および前記第2グランド導体と同じ層に形成され、前記第1信号線路に並走し、且つ、前記第1信号線路に対して前記第2グランド導体とは反対側に配置され、前記第6グランド導体は、前記第2信号線路および前記第1グランド導体と同じ層に形成され、前記第2信号線路に並走し、且つ、前記第2信号線路に対して前記第1グランド導体とは反対側に配置されることが好ましい。この構成では、第1信号線路の周囲4方向にグランド導体が配置され、第1信号線路は周囲4方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。また、この構成では、第2信号線路の周囲4方向にグランド導体が配置され、第2信号線路は周囲4方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。したがって、この構成により、第1信号線路と第2信号線路との間のアイソレーションがさらに確保され、クロストークの抑制効果がさらに高まる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記複数の絶縁性基材は、それぞれ熱可塑性樹脂であることが好ましい。この構成により、実装状態に合わせて形状を容易に塑性加工が可能な多層基板を実現できる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記第1伝送線路および前記第2伝送線路は、前記積層方向に曲げられた曲げ部を有していてもよい。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記積層体は、可撓性を有することが好ましい。このような構成の場合、本願発明の特徴がより効果的に作用する。
【0015】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記積層体の前記積層方向に直交する第1主面には、前記積層方向に視て、全ての信号線路に重なるグランド導体を備えることが好ましい。
【0016】
この構成では、全ての信号線路からの不要輻射がより確実に抑制される。
【0017】
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記積層方向に対し、前記第1信号線路が形成された層と、前記第2信号線路が形成された層との間に形成される第1中間グランド導体を備え、前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1信号線路と前記第2信号線路との間に配置されることが好ましい。この構成により、第1信号線路と第2信号線路との間のアイソレーションがさらに高まり、クロストークの抑制効果がさらに高まる。
【0018】
(9)上記(8)において、前記第1中間グランド導体は、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、前記第1信号線路または前記第2信号線路から離間していることが好ましい。この構成により、第1信号線路と他のグランド導体との間に生じる容量に大きな影響を与えることなく、第1信号線路と第2信号線路とのアイソレーションを高めることができる。
【0019】
(10)上記(9)において前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第2グランド導体よりも前記第1信号線路側に延出して、前記第2グランド導体に重ならない部分を有することが好ましい。この構成により、第1中間グランド導体が第1信号線路に近接して配置されるため、第1信号線路の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路と第2信号線路とのアイソレーションをより高めることができる。
【0020】
(11)上記(9)または(10)において、前記第1中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1グランド導体よりも前記第2信号線路側に延出して、前記第1グランド導体に重ならない部分を有することが好ましい。この構成により、第1中間グランド導体が第2信号線路に近接して配置されるため、第2信号線路の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路と第2信号線路とのアイソレーションをより高めることができる。
【0021】
(12)上記(8)から(11)のいずれかにおいて、前記第1中間グランド導体は、他のグランド導体よりも前記積層方向における厚みが薄いことが好ましい。第1中間グランド導体は、積層方向において多数の導体と重なる位置に配置されているため、積層体を形成後、多層基板の表面には凹凸が形成されやすい。しかし、この構成により、多層基板の表面に凹凸が形成されることを抑制できる。
【0022】
(13)上記(1)から(12)のいずれかにおいて、前記第2信号線路に並走する第3信号線路を備え、前記第3信号線路は、前記積層方向において、前記第2信号線路と同じ位置に配置されており、前記積層方向および並走する方向に直交する幅方向において、前記第1グランド導体を挟んで前記第2信号線路と反対側に配置されており、前記第1グランド導体の幅方向の中心を通り、並走する方向および前記積層方向に平行な基準面に対して、前記第2信号線路と対称の位置に配置されているとよい。
【0023】
この構成では、第2信号線路と第3信号線路とが、積層体の幅方向において対称に配置されるので、積層体内での幅方向の物理的、電磁気的なバランスが良くなる。
【0024】
(14)上記(13)において、前記第3信号線路を含んで構成される第3伝送線路と、前記第2伝送線路とは、前記第1グランド導体の幅方向の中心を通り、並走する方向および前記積層方向に平行な基準面に対して対称の位置に配置されていることが好ましい。
【0025】
この構成では、第2伝送線路と第3伝送線路とが、積層体の幅方向において対称に配置されるので、積層体内での幅方向の物理的、電磁気的なバランスが良くなる。
【0026】
(15)上記(1)から(14)のいずれかにおいて、前記第1信号線路に並走する第4信号線路を備え、前記第4信号線路は、前記積層方向において、前記第1グランド導体を基準にして、前記第1信号線路と対称の位置に配置されているとよい。
【0027】
この構成では、第1信号線路と第4信号線路とが、積層体の積層方向において対称に配置されるので、積層体内での積層方向の構造的なバランスが良くなり、電磁気的なバランスが良くなる。そのため、多層基板の不均一な凹凸の発生は抑制され、回路基板等への多層基板の実装性は高まる。また、多層基板の積層方向における反りの発生は抑制される。
【0028】
(16)上記(15)において、前記第4信号線路を含んで構成される第4伝送線路と、前記第1伝送線路とは、前記第1グランド導体を基準にして対称の位置に配置されていることが好ましい。
【0029】
この構成では、第1伝送線路と第4伝送線路とが、積層体の積層方向において対称に配置されるので、積層体内での積層方向の物理的、電磁気的なバランスが良くなる。
【0030】
(17)上記(16)において、前記第1伝送線路から前記第4伝送線路を含む5個以上の所定数の伝送線路を備え、前記所定数の伝送線路は、前記積層方向および該積層方向に直交する第1方向において、対称形に配置されているとよい。
【0031】
この構成では、積層体内の全ての伝送線路が対称形に配置されるので、物理的、電磁気的なバランスがより良くなる。
【0032】
(18)電子機器は、上記(1)から(17)のいずれかの多層基板と、前記多層基板が面実装される回路基板と、を備える。
【0033】
この構成では、信頼性が高く、多層基板と回路基板との電磁界的な結合が抑制された電子機器が実現される。
【0034】
(19)上記(18)において、前記第1信号線路および前記第2信号線路のうち、前記第1信号線路は、前記回路基板の実装面に最も近接して配置され、前記多層基板は、前記積層方向に対し、前記実装面と、前記第1信号線路が形成された層との間に形成される第2中間グランド導体を備え、前記第2中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第1信号線路と前記第2信号線路との間に配置されることが好ましい。この構成により、第1信号線路の周囲に発生する磁界によって、第1信号線路と回路基板に形成される導体との結合が抑制される。
【0035】
(20)上記(19)において、前記第2中間グランド導体は、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、前記第1信号線路から離間していることが好ましい。この構成により、第1信号線路と他のグランド導体との間に生じる容量に大きな影響を与えることなく、第1信号線路と回路基板に形成される導体との結合を抑制できる。
【0036】
(21)上記(20)において、前記第2中間グランド導体は、前記積層方向から視て、前記第2グランド導体よりも前記第1信号線路側に延出して、前記第2グランド導体に重ならない部分を有することが好ましい。この構成により、第2中間グランド導体が第1信号線路に近接して配置されるため、第1信号線路の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路と回路基板に形成される導体との結合を抑制できる。
【0037】
(22)上記(19)から(21)のいずれかにおいて、前記第2中間グランド導体は、他のグランド導体よりも前記積層方向における厚みが薄いことが好ましい。第2中間グランド導体は、積層方向において多数の導体と重なる位置に配置されているため、積層体を形成後、多層基板の表面には凹凸が形成されやすい。しかし、この構成により、多層基板の表面に凹凸が形成されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体に、複数の伝送線路が設けられた構成において、積層体を構成する絶縁性基材同士の剥離を抑制することにより、機械的強度や外力等に対する耐久性を高めた伝送線路基板を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1(A)は第1の実施形態に係る多層基板101の斜視図であり、
図1(B)は多層基板101の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1(A)における多層基板101のA-A断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電子機器201の主要部の断面図である。
【
図4】
図4は、多層基板101Aの製造工程を順に示す断面図である。
【
図5】
図5(A)は第2の実施形態に係る多層基板102の斜視図であり、
図5(B)は多層基板102の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5(A)における多層基板102のB-B断面図である。
【
図7】
図7(A)は第3の実施形態に係る多層基板103の斜視図であり、
図7(B)は多層基板103の線路部SLにおける分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7(A)における多層基板103のC-C断面図である。
【
図9】
図9は第4の実施形態に係る多層基板104の斜視図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る多層基板105の線路部の断面図である。
【
図11】
図11は、第6の実施形態に係る多層基板106の分解平面図である。
【
図12】
図12は、第6の実施形態に係る多層基板106の断面図である。
【
図13】
図13は、第7の実施形態に係る多層基板107の分解平面図である。
【
図14】
図14は、第8の実施形態に係る多層基板108の分解平面図である。
【
図15】
図15は、第9の実施形態に係る多層基板109の断面図である。
【
図16】
図16は、第10の実施形態に係る多層基板110の断面図である。
【
図17】
図17は、第10の実施形態に係る電子機器202の外観斜視図である。
【
図18】
図18(A)は第11の実施形態に係る多層基板111の断面図であり、
図18(B)は
図18(A)のおけるZP部分の拡大断面図である。
【
図19】
図19は、第11の実施形態に係る電子機器203の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0041】
《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係る多層基板101の斜視図であり、
図1(B)は多層基板101の分解斜視図である。
図2は、
図1(A)における多層基板101のA-A断面図である。
【0042】
多層基板101は、複数の絶縁性基材11,12,13,14を積層してなる積層体10と、複数の絶縁性基材11,12,13,14のいずれかに形成された導体(第1信号線路41、第2信号線路42、第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4グランド導体34、第1層間接続導体V1、第2層間接続導体V2および第3層間接続導体V3等)と、保護層1と、を備える。
図1(A)に示すように、多層基板101は、線路部SL、第1接続部CP1および第2接続部CP2を有する。
【0043】
積層体10は、長手方向がX軸方向に一致する直方体であり、互いに対向する第1主面VS1および第2主面VS2を有する。
図1(B)に示すように、積層体10は、絶縁性基材11,12,13,14の順に積層して形成される。積層体10の第1主面VS1には保護層1が形成されている。
【0044】
複数の絶縁性基材11,12,13,14は、それぞれ平面形状が矩形の平板であり、長手方向がX軸方向に一致する。絶縁性基材11,12,13,14は、例えば熱可塑性樹脂の平板であり、液晶ポリマーを主材料とし、可撓性を有するシートである。
【0045】
絶縁性基材11の表面には、第3グランド導体33が形成される。第3グランド導体33は、絶縁性基材11の中央から第1辺(
図1(B)における絶縁性基材11の下辺)寄りに配置され、長手方向がX軸方向に一致する矩形の導体である。第3グランド導体33は例えばCu箔等の導体パターンである。
【0046】
絶縁性基材12の表面には、第1信号線路41および第2グランド導体32が形成される。第1信号線路41は、絶縁性基材12の中央から第1辺(
図1(B)における絶縁性基材12の下辺)寄りに配置され、X軸方向に延伸する導体である。第2グランド導体32は、絶縁性基材12の中央から第2辺(絶縁性基材12の上辺)寄りに配置され、長手方向がX軸方向に一致する矩形の導体である。第1信号線路41および第2グランド導体32は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0047】
また、絶縁性基材12には、6個の第2層間接続導体V2が形成される。6個の第2層間接続導体V2は、絶縁性基材12のY軸方向における中央に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。
図1(B)に示すように、第2層間接続導体V2は、第2グランド導体32と第3グランド導体33とを導通させる。第2層間接続導体V2は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0048】
絶縁性基材13の表面には、第2信号線路42、第1グランド導体31および第1信号導体51,52が形成される。第2信号線路42は、絶縁性基材13の中央から第2辺(
図1(B)における絶縁性基材13の上辺)寄りに配置され、X軸方向に延伸する導体である。第1グランド導体31は、絶縁性基材13の中央から第1辺(絶縁性基材13の下辺)寄りに配置される導体である。第1信号導体51は絶縁性基材13の第1端(
図1(B)における絶縁性基材13の左端)付近に配置される矩形の導体であり、第1信号導体52は絶縁性基材13の第2端(絶縁性基材13の右端)付近に配置される矩形の導体である。第2信号線路42、第1グランド導体31および第1信号導体51,52は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0049】
また、絶縁性基材13には、8個の第1層間接続導体V1および層間接続導体V11,V12が形成される。8個の第1層間接続導体V1は、絶縁性基材13のY軸方向における中央に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。第1層間接続導体V1は、第1グランド導体31と第2グランド導体32とを導通させる。層間接続導体V11は、第1信号導体51と第1信号線路41の第1端(
図1(B)における第1信号線路41の左端)とを導通させる。層間接続導体V12は、第1信号導体52と第1信号線路41の第2端(第1信号線路41の右端)とを導通させる。第1層間接続導体V1および層間接続導体V11,V12は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0050】
絶縁性基材14の表面には、第4グランド導体34、第1信号導体61,62および第2信号導体71,72が形成される。第4グランド導体34は、絶縁性基材14の中央から第2辺(
図1(B)における絶縁性基材14の上辺)寄りに配置される導体である。第1信号導体61および第2信号導体71は、絶縁性基材14の第1端(
図1(B)における絶縁性基材14の左端)付近に配置される矩形の導体である。第1信号導体62および第2信号導体72は、絶縁性基材14の第2端(絶縁性基材14の右端)付近に配置される矩形の導体である。第4グランド導体34、第1信号導体61,62および第2信号導体71,72、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0051】
また、絶縁性基材14には、10個の第3層間接続導体V3および層間接続導体V13,V14,V21,V22が形成される。10個の第3層間接続導体V3は、絶縁性基材14のY軸方向における中央に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。第3層間接続導体V3は、第1グランド導体31と第4グランド導体34とを導通させる。層間接続導体V13は、第1信号導体61と第1信号導体51とを導通させ、層間接続導体V14は、第1信号導体62と第1信号導体52とを導通させる。層間接続導体V21は、第2信号導体71と第2信号線路42の第1端(
図1(B)における第2信号線路42の左端)とを導通させる。層間接続導体V22は、第2信号導体72と第2信号線路42の第2端(第2信号線路42の右端)とを導通させる。第3層間接続導体V3および層間接続導体V13,V14,V21,V22は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0052】
保護層1は、平面形状が絶縁性基材14と同じであり、絶縁性基材14の上面に積層される。保護層1は、第1信号導体61,62の位置に応じた位置に開口部AP2,AP6を有し、第2信号導体71,72の位置に応じた位置に開口部AP1,AP5を有する。また、保護層1は、開口部AP1,AP2の近傍で、且つ、第4グランド導体34の位置に応じた位置に開口部AP3,AP4を有する。さらに、保護層1は、開口部AP5,AP6の近傍で、且つ、第4グランド導体34の位置に応じた位置に開口部AP7,AP8を有する。保護層1は例えばソルダーレジスト膜である。
【0053】
そのため、積層体10の第1主面VS1に保護層1が形成(絶縁性基材14の上面に保護層1が積層)されることにより、第1信号導体61,62、第2信号導体71,72および第4グランド導体34の一部(
図1(A)中のグランド導体81,82,83,84)が、積層体10の第1主面VS1に露出する。
【0054】
本実施形態では、第1接続部CP1が、第1信号導体61、第2信号導体71およびグランド導体81,82が形成される直方体状の積層体10の第1端(
図1(A)における積層体10の左端)付近に形成される。また、本実施形態では、第2接続部CP2が、第1信号導体62、第2信号導体72およびグランド導体83,84が形成される積層体10の第2端(積層体10の右端)付近に形成される。言い換えると、多層基板101では、第1接続部CP1、線路部SLおよび第2接続部CP2がX軸方向に順に配置される。
【0055】
図1(B)および
図2等に示すように、第2信号線路42は、第1信号線路41とは異なる層に形成され、複数の絶縁性基材11,12,13,14の積層方向(Z軸方向)から視て第1信号線路41に並走している。
【0056】
また、
図2等に示すように、第1グランド導体31は、第2信号線路42と同じ層に形成され、Z軸方向から視て第1信号線路41に重なる。第2グランド導体32は、第1信号線路41と同じ層に形成され、Z軸方向から視て第2信号線路42に重なる。
【0057】
さらに、
図2等に示すように、第3グランド導体33は、第2グランド導体32とは異なる層に形成され、Z軸方向に対し第1信号線路41を挟んで第1グランド導体31に対向して配置されている。第4グランド導体34は、第1グランド導体31とは異なる層に形成され、Z軸方向に対し第2信号線路42を挟んで第2グランド導体32に対向して配置されている。
【0058】
本実施形態では、
図2に示すように、第1信号線路41、第1グランド導体31、第3グランド導体33、第1信号線路41および第1グランド導体31で挟まれる絶縁性基材13、第1信号線路41および第3グランド導体33で挟まれる絶縁性基材12、を含んだ第1伝送線路CL1が構成される。また、本実施形態では、第2信号線路42、第2グランド導体32、第4グランド導体34、第2信号線路42および第2グランド導体32で挟まれる絶縁性基材13、第2信号線路42および第4グランド導体34で挟まれる絶縁性基材14、を含んだ第2伝送線路CL2が構成される。
【0059】
本実施形態に係る多層基板101によれば、次のような効果を奏する。
【0060】
(a)多層基板101では、第1伝送線路CL1および第2伝送線路CL2が積層体10の幅方向(Y軸方向)に配置され、絶縁性基材の略全面に亘って大面積のグランド導体が形成されていない。すなわち、絶縁性基材の略全面に亘って大面積のグランド導体が形成される場合に比べ、絶縁性基材同士の接合面が相対的に広い。したがって、この構成により、絶縁性基材同士の部分的または全体的な接合強度の低下は抑制され、積層体10を構成する絶縁性基材同士の剥離が抑制されるため、機械的強度や外力等に対する耐久性を高めた多層基板を実現できる。特に、可撓性を有する積層体を用いる場合には、変形時の層間剥離が抑制され、本実施形態の構成の効果がより有効になる。
【0061】
(b)また、本実施形態では、第1伝送線路CL1および第2伝送線路CL2がY軸方向に配置され、信号線路(第1信号線路41または第2信号線路42)と同じ層に、伝送線路を構成するグランド導体(第1グランド導体31または第2グランド導体32)が形成されている。そのため、Z軸方向に複数の伝送線路が配置される構成(信号線路とグランド導体とが異なる層に形成される場合)に比べて、複数の伝送線路を構成するのに必要な絶縁性基材の数を少なくできる。したがって、この構成により、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体に、複数の伝送線路が設けられる構成において、信号線路とグランド導体とが異なる層に形成される場合に比べて、薄型の多層基板を実現できる。
【0062】
また、信号線路(第1信号線路41または第2信号線路42)と同じ層にグランド導体(第1グランド導体31または第2グランド導体32)が形成されるため、信号線路と異なる層にグランド導体が形成される場合に比べて、第1信号線路41と第2信号線路42との間のアイソレーションを高めることができる。
【0063】
(c)本実施形態では、
図2等に示すように、信号線路間(第1信号線路41と第2信号線路42との間)に、第1層間接続導体V1が配置されているため、信号線路間のアイソレーションが高まる。なお、本実施形態に係る多層基板101のように、信号線路間に複数の第1層間接続導体V1を配置することで、アイソレーションがさらに高まる。さらに、本実施形態では、積層方向における第1グランド導体31と第2グランド導体32との距離が近いため、第1層間接続導体V1の断線を起こり難くできる。
【0064】
(d)本実施形態では、第1信号線路41の周囲3方向(
図2中の第1信号線路41に対して+Y方向、+Z方向および-Z方向)にグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第1層間接続導体V1および第2層間接続導体V2)が配置され、第1信号線路41が周囲3方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。また、本実施形態では、第2信号線路42の周囲3方向(
図2中の第2信号線路42に対して-Y方向、+Z方向および-Z方向)にグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第4グランド導体34、第1層間接続導体V1および第3層間接続導体V3)が配置され、第2信号線路42が周囲3方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。したがって、この構成により、第1信号線路41と第2信号線路42との間のアイソレーションが十分に確保され、クロストークの抑制効果が高まる。
【0065】
(e)本実施形態では、積層体10を形成する複数の絶縁性基材11,12,13,14が、それぞれ熱可塑性樹脂である。この構成により、後に詳述するように、実装状態(実装先の凹凸等)に合わせて形状を容易に塑性加工が可能な多層基板を実現できる。
【0066】
次に、本発明の多層基板の実装例について、図を参照して説明する。
図3は、第1の実施形態に係る電子機器201の主要部の断面図である。
【0067】
本実施形態に係る電子機器201は、多層基板101Aおよび回路基板301を備える。多層基板101Aの第1伝送線路および第2伝送線路は、Z軸方向に曲げられた曲げ部(後に詳述する)を有する点で多層基板101と異なる。その他の構成については多層基板101と実質的に同じである。回路基板301は、第1面PS1および第2面PS2を有する。第1面PS1および第2面PS2は、いずれもXY平面に平行な面であり、Z軸方向における高さが互いに異なる面である。
【0068】
図3に示すように、多層基板101Aは回路基板301に実装される。回路基板301の第1面PS1には、導体91,92等が形成されており、第2面PS2には導体93,94等が形成されている。多層基板101Aのグランド導体81および第2信号導体71等は、はんだ等の導電性接合材4を介して、第1面PS1に形成される導体91,92等にそれぞれ接続される。多層基板101Aの第2信号導体72およびグランド導体84等は、はんだ等の導電性接合材4を介して、第2面PS2に形成される導体93,94等にそれぞれ接続される。なお、図示はしていないが、第1信号導体も、回路基板301の表面に形成される導体に接続される。
【0069】
このように、多層基板101A(第1伝送線路および第2伝送線路)は、Z軸方向に曲げられた曲げ部を有するため、Z軸方向における高さが互いに異なる面を有する回路基板301への実装が容易である。
【0070】
本実施形態に係る多層基板101Aは、例えば次の工程で製造される。
図4は、多層基板101Aの製造工程を順に示す断面図である。
【0071】
(1)まず、信号線路およびグランド導体等をパターンニングした集合基板状態の絶縁基材層(熱可塑性樹脂)および保護層を積層し、集合基板状態の積層体を構成し、その集合基板状態の積層体から個々の素体を分離して
図4中の(1)に示すような多層基板101を得る。
【0072】
(2)次に、
図4中の(2)に示すように、上部金型5および下部金型6を用いて、Z軸方向に向かって、積層体10の第1主面VS1および第2主面VS2を加熱・加圧する(
図4中の矢印参照)。なお、加熱・加圧する位置は、
図4に示すように、積層体10の長手方向(X軸方向)の中央付近である。上部金型5および下部金型6は、断面形状がL字形の構造である。
【0073】
積層体10の熱可塑性樹脂が冷えて固化した後、上部金型5および下部金型6から積層体10を取り外して多層基板101Aを得る。このような製造方法により、曲げ加工された形状を維持(保持)した多層基板101Aを得ることができる。
【0074】
このように、本実施形態に係る多層基板101は、積層体10を構成する絶縁性基材が熱可塑性樹脂であるため、実装状態(実装先の凹凸等)に合わせて形状を容易に塑性加工できる。
【0075】
なお、本実施形態では、積層体10の長手方向(X軸方向)の中央付近に、Z軸方向に曲げられた曲げ部を有する多層基板の例を示したが、この構成に限定されるものではない。多層基板は、X軸方向またはY軸方向に曲げられた曲げ部を有する構造であってもよい。また、多層基板は、積層体10の長手方向(X軸方向)の中央以外の位置(例えば、積層体10の長手方向の中央から第1接続部CP1寄りの位置)に曲げ部が有する構造であってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、多層基板101の第1接続部CP1および第2接続部CP2に、導体(第1信号導体61,62、第2信号導体71,72およびグランド導体81,82,83,84)が形成される例を示したが、これに限定されるものではない。多層基板の第1接続部CP1および第2接続部CP2に、コネクタが実装されていてもよい。
【0077】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、2つの絶縁性基材および保護層を積層して形成される積層体10Aを備える多層基板について示す。
【0078】
図5(A)は第2の実施形態に係る多層基板102の斜視図であり、
図5(B)は多層基板102の分解斜視図である。
図6は、
図5(A)における多層基板102のB-B断面図である。
【0079】
多層基板102は、複数の絶縁性基材12,13を積層してなる積層体10Aと、複数の絶縁性基材12,13のいずれかに形成された導体と、保護層1と、を備える。積層体10Aは、
図5(B)に示すように、2つの絶縁性基材12,13の順に積層して形成される。積層体10Aの第1主面VS1には保護層1が形成されている。
【0080】
絶縁性基材12の表面には、第1信号線路41および第2グランド導体32が形成される。第1信号線路41および第2グランド導体32の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。なお、本実施形態に係る絶縁性基材12には、第2層間接続導体(
図1(B)における第2層間接続導体V2)が形成されていない。
【0081】
絶縁性基材13の表面には、第2信号線路42、第1グランド導体31および第1信号導体51,52が形成される。また、絶縁性基材13には、8個の第1層間接続導体V1および層間接続導体V11,V12が形成される。第2信号線路42、第1グランド導体31および第1信号導体51,52、第1層間接続導体V1および層間接続導体V11,V12の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0082】
保護層1は、平面形状が絶縁性基材13と同じであり、絶縁性基材13の上面に積層される。保護層1は、第1信号導体51,52の位置に応じた位置に開口部AP2,AP6を有し、第2信号線路42の第1端および第2端の位置に応じた位置に、開口部AP1,AP5を有する。また、保護層1は、開口部AP1,AP2の近傍で、且つ、第1グランド導体31の位置に応じた位置に開口部AP3,AP4を有する。さらに、保護層1は、開口部AP5,AP6の近傍で、且つ、第1グランド導体31の位置に応じた位置に開口部AP7,AP8を有する。
【0083】
そのため、絶縁性基材13の上面に保護層1が積層されることにより、第1信号導体51,52、第2信号線路の一部(
図5(A)中の第2信号導体73,74)および第1グランド導体31の一部(グランド導体85,86,87,88)が、積層体10Aの第1主面VS1に露出する。
【0084】
本実施形態では、
図6に示すように、第1信号線路41、第1グランド導体31、第1信号線路41および第1グランド導体31で挟まれる絶縁性基材13、を含んだ第1伝送線路CL1が構成される。また、本実施形態では、第2信号線路42、第2グランド導体32、第2信号線路42および第2グランド導体32で挟まれる絶縁性基材13、を含んだ第2伝送線路CL2が構成される。
【0085】
本実施形態では、積層体を構成する絶縁性基材の数が、第1の実施形態に係る積層体10よりも少ないため、第1の実施形態に係る多層基板101よりも薄型の多層基板を実現できる。但し、第1伝送線路CL1と第2伝送線路CL2との間のアイソレーションの確保の点では、第1の実施形態に係る構成が好ましい。
【0086】
なお、本実施形態では、第1信号線路41および第2グランド導体32が絶縁性基材12の表面に形成され、第2信号線路42および第1グランド導体31が絶縁性基材13の表面に形成される例を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、第2信号線路42および第1グランド導体31が絶縁性基材13の表面に形成され、第1信号線路41および第2グランド導体32が絶縁性基材13の裏面に形成されていてもよい。
【0087】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、第5グランド導体および第6グランド導体をさらに備える多層基板について示す。
【0088】
図7(A)は第3の実施形態に係る多層基板103の斜視図であり、
図7(B)は多層基板103の線路部SLにおける分解斜視図である。
図8は、
図7(A)における多層基板103のC-C断面図である。
【0089】
多層基板103は、複数の絶縁性基材11,12,13,14のいずれかに形成された導体(第5グランド導体35、第6グランド導体36、第4層間接続導体V4、第5層間接続導体V5、第6層間接続導体V6および第7層間接続導体V7)をさらに備える点で、第1の実施形態に係る多層基板101と異なる。その他の構成については、多層基板101と実質的に同じである。
【0090】
図7(B)に示すように、絶縁性基材12の表面には、第1信号線路41、第2グランド導体32および第5グランド導体35が形成される。第5グランド導体35は、絶縁性基材12の第1辺(
図7(B)における絶縁性基材12の下辺)近傍に配置され、X軸方向に延伸する導体である。第5グランド導体35は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0091】
また、絶縁性基材12には、複数の第2層間接続導体V2、および複数の第6層間接続導体V6が形成される。複数の第6層間接続導体V6は、絶縁性基材12の第1辺近傍に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。
図7(B)に示すように、第6層間接続導体V6は、第5グランド導体35と第3グランド導体33とを導通させる。第6層間接続導体V6は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0092】
絶縁性基材13の表面には、第2信号線路42、第1グランド導体31および第6グランド導体36等が形成される。第6グランド導体36は、絶縁性基材13の第2辺(
図7(B)における絶縁性基材13の上辺)近傍に配置され、X軸方向に延伸する導体である。第6グランド導体36は、例えばCu箔等の導体パターンである。
【0093】
また、絶縁性基材13には、複数の第1層間接続導体V1、複数の第4層間接続導体V4、および複数の第5層間接続導体V5が形成される。複数の第4層間接続導体V4は、絶縁性基材13の第1辺(
図7(B)における絶縁性基材13の下辺)近傍に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。複数の第5層間接続導体V5は、絶縁性基材13の第2辺近傍に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。
図7(B)に示すように、第4層間接続導体V4は、第1グランド導体31と第5グランド導体35とを導通させる。また、第5層間接続導体V5は、第6グランド導体36と第2グランド導体32とを導通させる。第4層間接続導体V4および第5層間接続導体V5は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0094】
また、絶縁性基材14には、複数の第3層間接続導体V3、および複数の第7層間接続導体V7が形成される。複数の第7層間接続導体V7は、絶縁性基材14の第2辺(
図7(B)における絶縁性基材14の上辺)近傍に配置され、且つ、X軸方向に配列される導体である。第7層間接続導体V7は、第4グランド導体34と第6グランド導体36とを導通させる。第7層間接続導体V7は例えばビア導体またはスルーホール等である。
【0095】
図7(B)および
図8に示すように、第5グランド導体35は、第1信号線路41および第2グランド導体32と同じ層に形成される。また、第5グランド導体35は、第1信号線路41に並走し、且つ、第1信号線路41に対して第2グランド導体32とは反対側(
図8における第1信号線路41の左側)に配置されている。
【0096】
さらに、
図7(B)および
図8に示すように、第6グランド導体36は、第2信号線路42および第1グランド導体31と同じ層に形成される。また、第6グランド導体36は、第2信号線路42に並走し、且つ、第2信号線路42に対して第1グランド導体31とは反対側(
図8における第2信号線路42の右側)に配置されている。
【0097】
本実施形態に係る多層基板103によれば、第1の実施形態で述べた効果以外に、次のような効果を奏する。
【0098】
(f)本実施形態では、第1信号線路41の周囲4方向(
図8中の第1信号線路41に対して+Y方向、-Y方向、+Z方向および-Z方向)にグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第5グランド導体35、第1層間接続導体V1、第2層間接続導体V2、第4層間接続導体V4および第6層間接続導体V6)が配置され、第1信号線路41は周囲4方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。また、本実施形態では、第2信号線路42の周囲4方向(
図8中の第2信号線路42に対して+Y方向、-Y方向、+Z方向および-Z方向)にグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第4グランド導体34、第6グランド導体36、第1層間接続導体V1、第3層間接続導体V3、第5層間接続導体V5および第7層間接続導体V7)が配置され、第2信号線路42は周囲4方向に亘って上記グランド導体で囲まれる。したがって、この構成により、第1信号線路41と第2信号線路42との間のアイソレーションがさらに確保され、クロストークの抑制効果が高まる。
【0099】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、第1接続部および第2接続部において、複数の伝送線路が分岐する構造の多層基板について示す。
【0100】
図9は第4の実施形態に係る多層基板104の斜視図である。
【0101】
多層基板104は、複数の絶縁性基材を積層してなる積層体10Bと、複数の絶縁性基材のいずれかに形成された導体と、を備える。多層基板104は、第1伝送線路と第2伝送線路とを線路部SLからY字状に分岐した第1接続部CP1と、第1伝送線路と第2伝送線路とを線路部SLからT字状に分岐した第2接続部CP2と、を有する点で、第1の実施形態に係る多層基板101と異なる。それ以外の構成については、多層基板101と実質的に同じである。
【0102】
図9に示すように、第1信号導体61,62、第2信号導体71,72およびグランド導体81,82,83,84,85,86,87,88は、積層体10Bの第1主面VS1に露出している。第1信号導体61およびグランド導体81,82は、第1接続部CP1における第1伝送線路の接続部であり、第2信号導体71およびグランド導体83,84は、第1接続部CP1における第2伝送線路の接続部である。また、第1信号導体62およびグランド導体85,86は、第2接続部CP2における第1伝送線路の接続部であり、第2信号導体72およびグランド導体87,88は、第2接続部CP2における第2伝送線路の接続部である。
【0103】
このように、本発明の多層基板は、複数の伝送線路が分岐する構造であってもよい。なお、本実施形態では、第1伝送線路と第2伝送線路とに分岐する多層基板について示したが、この構成に限定されるものではない。後に詳述するように、3個以上の伝送線路が設けられた多層基板の場合には、1個の伝送線路とそれ以外の伝送線路とに分岐する構成であってもよい。例えば、第1伝送線路、第2伝送線路および第3伝送線路が設けられた多層基板の場合、第1伝送線路および第2伝送線路と、第3伝送線路とに分岐する構成であってもよい。
【0104】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、2個以上の伝送線路を備える多層基板について示す。
【0105】
図10は、第5の実施形態に係る多層基板105の線路部の断面図である。
【0106】
多層基板105は、複数の絶縁性基材11,12,13,14,15,16を積層してなる積層体10Cと、複数の絶縁性基材11,12,13,14,15,16のいずれかに形成された導体(第1信号線路41、第2信号線路42、第3信号線路43、第4信号線路44、第5信号線路45、第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4グランド導体34、第5グランド導体35、第6グランド導体36、第7グランド導体37、第1層間接続導体V1、第2層間接続導体V2、第3層間接続導体V3、第8層間接続導体V8、第9層間接続導体V9および第10層間接続導体V10等)と、保護層1,2と、を備える。
【0107】
図10に示すように、積層体10Cは、絶縁性基材11,12,13,14,15,16の順に積層して形成される。積層体10Cの第1主面VS1には保護層1が形成され、第2主面VS2には保護層2が形成されている。
【0108】
図10に示すように、第1信号線路41、第2信号線路42、第3信号線路43、第4信号線路44および第5信号線路45は、それぞれ異なる層に形成され、Z軸方向から視て互いに並走している。
【0109】
また、
図10に示すように、第1グランド導体31は、第2信号線路42と同じ層に形成され、Z軸方向から視て第1信号線路41および第3信号線路43に重なる。第2グランド導体32は、第1信号線路41と同じ層に形成され、Z軸方向から視て第2信号線路42および第4信号線路44に重なる。
【0110】
第3グランド導体33は、
図10に示すように、積層体10Cの第2主面VS2の略全面に形成される導体である。そのため、第3グランド導体33は、Z軸方向に対し第1信号線路41を挟んで第1グランド導体31に対向して配置され、Z軸方向に対し第4信号線路44を挟んで第2グランド導体32に対向して配置されている。
【0111】
第4グランド導体34は、第1グランド導体31とは異なる層に形成され、Z軸方向に対し第2信号線路42を挟んで第2グランド導体32に対向して配置されている。
【0112】
第5グランド導体35は、
図10に示すように、積層体10Cの第1主面VS1の略全面に形成される導体である。そのため、第5グランド導体35は、Z軸方向に対し第3信号線路43を挟んで第1グランド導体31に対向して配置され、Z軸方向に対し第5信号線路45を挟んで第4グランド導体34に対向して配置されている。
【0113】
第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4グランド導体34、第5グランド導体35、第6グランド導体36および第7グランド導体37は、層間接続導体(第1層間接続導体V1、第2層間接続導体V2、第3層間接続導体V3、第8層間接続導体V8、第9層間接続導体V9および第10層間接続導体V10)を介して、互いに導通している。
【0114】
本実施形態では、第1信号線路41、第1グランド導体31、第3グランド導体33、第1信号線路41および第1グランド導体31で挟まれる絶縁性基材13、第1信号線路41および第3グランド導体33で挟まれる絶縁性基材11,12、を含んだ第1伝送線路が構成される。本実施形態では、第2信号線路42、第2グランド導体32、第4グランド導体34、第2信号線路42および第2グランド導体32で挟まれる絶縁性基材13、第2信号線路42および第4グランド導体34で挟まれる絶縁性基材14、を含んだ第2伝送線路が構成される。
【0115】
さらに、本実施形態では、第3信号線路43、第1グランド導体31、第5グランド導体35、第3信号線路43および第1グランド導体31で挟まれる絶縁性基材14、第3信号線路43および第5グランド導体35で挟まれる絶縁性基材15,16、を含んだ第3伝送線路が構成される。本実施形態では、第4信号線路44、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4信号線路44および第2グランド導体32で挟まれる絶縁性基材12、第4信号線路44および第3グランド導体33で挟まれる絶縁性基材11、を含んだ第4伝送線路が構成される。本実施形態では、第5信号線路45、第4グランド導体34、第5グランド導体35、第5信号線路45および第4グランド導体34で挟まれる絶縁性基材15、第5信号線路45および第5グランド導体35で挟まれる絶縁性基材16、を含んだ第5伝送線路が構成される。
【0116】
本実施形態では、
図10に示すように、第1信号線路41と第3グランド導体33との間には2つの絶縁性基材11,12が挟まれる構成である。そのため、1つの絶縁性基材が信号線路とグランド導体との間に挟まれる構成に比べて、第1信号線路41と第3グランド導体33との間隙は大きくなり、第1信号線路41と第3グランド導体33との間に生じる容量を低減できる。したがって、この構成により、第1信号線路41の線幅(Y軸方向の幅)を、他の信号線路(例えば第2信号線路42、第4信号線路44、第5信号線路45)の線幅よりも大きくできるため、第1信号線路41の直流抵抗を低減できる。
【0117】
同様に、本実施形態では、
図10に示すように、第3信号線路43と第5グランド導体35との間には2つの絶縁性基材15,16が挟まれる構成である。したがって、この構成により、第3信号線路43の線幅(Y軸方向の幅)を、他の信号線路(例えば第2信号線路42、第4信号線路44、第5信号線路45)の線幅よりも大きくできるため、第3信号線路43の直流抵抗を低減できる。
【0118】
図10に示すように、本実施形態では、保護層1が、積層体10Cの第1主面VS1(絶縁性基材16)の略全面に形成された第5グランド導体35全体を被覆している。そのため、保護層1と積層体10Cとの接合強度が弱くなって、保護層1が積層体10Cから剥離しやすくなるが、保護層1が剥離しても多層基板の電気的特性の変化は小さい。
【0119】
同様に、本実施形態では、保護層2が、積層体10Cの第2主面VS2(絶縁性基材11)の略全面に形成された第3グランド導体33全体を被覆している。そのため、保護層2が積層体10Cから剥離しやすくなるが、保護層2が剥離しても多層基板の電気的特性の変化は小さい。
【0120】
また、本実施形態では、5個の伝送線路を備える多層基板の例を示したが、この構成に限定されるものではない。多層基板が備える伝送線路の数は、2個以上であれば適宜変更可能である。
【0121】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、3個の伝送線路を備える多層基板について示す。
図11は、第6の実施形態に係る多層基板106の分解平面図である。
図12は、第6の実施形態に係る多層基板106の断面図である。
図12は、
図11に示すD-D断面を示している。
【0122】
第6の実施形態に係る多層基板106は、第1の実施形態に係る多層基板101が第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2を備えるのに対して、第3伝送線路CL3をさらに備える点で異なる。多層基板106の各構成要素の材料等、基本的な構成は、第1の実施形態に係る多層基板100と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0123】
多層基板106は、積層体10、第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4グランド導体34、第8グランド導体38、第1信号線路41、第2信号線路42、および、第3信号線路43を備える。多層基板106は、第1信号導体51,52、および、外部接続用導体711,712,721,722,731,732を備える。積層体10は、絶縁性基材11,12,13,14の順に積層して形成される。
【0124】
絶縁性基材11における絶縁性基材12側と反対側の面には、第3グランド導体33が形成されている。第3グランド導体33は、この面の全面に形成されている。
【0125】
絶縁性基材12における絶縁性基材13側の面には、第1信号線路41、第2グランド導体32、および、第8グランド導体38が形成されている。第1信号線路41、第2グランド導体32、および、第8グランド導体38は、X軸方向を長手方向とする矩形である。第2グランド導体32の幅(Y軸方向に沿った長さ)と、第8グランド導体38の幅(Y軸方向に沿った長さ)は、略同じである。第1信号線路41の幅(Y軸方向に沿った長さ)は、第2グランド導体32の幅および第8グランド導体38の幅よりも小さい。
【0126】
第1信号線路41、第2グランド導体32、および、第8グランド導体38は、Y軸方向に間隔を空けて配置され、X軸方向に沿って並走している。Y軸方向において、第1信号線路41は、第2グランド導体32と第8グランド導体38との間に配置されている。第2グランド導体32と第8グランド導体38とは、第1信号線路41の幅方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して、対称の位置に配置されている。なお、
図12に示す断面図において、第2グランド導体32と第8グランド導体38とは、第1信号線路41の幅方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して、線対称の位置に配置されている。この基準面は、絶縁性基材12の幅方向の中心を通りX軸方向に延びる基準面も意味する。
【0127】
絶縁性基材13における絶縁性基材14側の面には、第2信号線路42、第3信号線路43、第1グランド導体31、および、第1信号導体51,52が形成されている。
【0128】
第2信号線路42、第3信号線路43、および、第1グランド導体31は、X軸方向を長手方向とする矩形である。第2信号線路42の幅(Y軸方向に沿った長さ)と、第3信号線路43の幅(Y軸方向に沿った長さ)は、略同じである。第1グランド導体31の幅(Y軸方向に沿った長さ)は、第2信号線路42の幅および第3信号線路43の幅よりも大きい。
【0129】
第2信号線路42、第3信号線路43、および、第1グランド導体31は、Y軸方向に間隔を空けて配置され、X軸方向に沿って並走している。Y軸方向において、第1グランド導体31は、第2信号線路42と第3信号線路43との間に配置されている。第2信号線路42と第3信号線路43とは、第1グランド導体31の幅方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して、対称の位置に配置されている。なお、
図12に示す断面図において、第2信号線路42と第3信号線路43とは、第1グランド導体31の幅方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して、線対称の位置に配置されている。
【0130】
積層方向に視て、第2信号線路42は、長手方向(X軸方向)の全長に亘って、第2グランド導体32に重なっている。積層方向に視て、第3信号線路43は、長手方向(X軸方向)の全長に亘って、第8グランド導体38に重なっている。
【0131】
積層方向に視て、第1グランド導体31は、長手方向(X軸方向)の全長に亘って、第1信号線路41に重なっている。さらに、積層方向に視て、第1グランド導体31は、第2グランド導体32の第1信号線路41側の端部および第8グランド導体38の第1信号線路41側の端部に重なっている。
【0132】
第1信号導体51,52はそれぞれ矩形である。積層方向に視て、第1信号導体51は、第1信号線路41の長手方向(X軸方向)の一方端部に重なっており、第1信号導体52は、第1信号線路41の長手方向(X軸方向)の他方端部に重なっている。
【0133】
絶縁性基材14における絶縁性基材13側と反対側の面には、第4グランド導体34、および、外部接続用導体711,712,721,722,731,732が形成されている。第4グランド導体34は、絶縁性基材14における絶縁性基材13側と反対側の面の略全面に形成されている。
【0134】
外部接続用導体711,712,721,722,731,732は矩形であり、それぞれに、開口部(導体非形成部)AP11,AP12,AP21,AP22,AP31,AP32を介して、第4グランド導体34から離間されている。
【0135】
外部接続用導体711,721,731は、絶縁性基材14における長手方向(X軸方向)の一方端付近に形成されている。積層方向に視て、外部接続用導体711は、第1信号導体51に重なっており、外部接続用導体721は、第2信号線路42に重なっており、外部接続用導体731は、第3信号線路43に重なっている。
【0136】
外部接続用導体712,722,732は、絶縁性基材14における長手方向(X軸方向)の他方端付近に形成されている。積層方向に視て、外部接続用導体712は、第1信号導体52に重なっており、外部接続用導体722は、第2信号線路42に重なっており、外部接続用導体732は、第3信号線路43に重なっている。
【0137】
絶縁性基材11には、複数の層間接続導体V31が形成されている。絶縁性基材12における第2グランド導体32および第8グランド導体38に重なる部分には、複数の第2層間接続導体V2が形成されている。積層方向に視て、層間接続導体V31の配置パターンと第2層間接続導体V2の配置パターンとは同じであり、同じ位置にある層間接続導体V31と第2層間接続導体V2は接続されている。これにより、第2グランド導体32と第3グランド導体33とは、複数箇所で接続されており、第8グランド導体38と第3グランド導体33とは、複数箇所で接続されている。
【0138】
絶縁性基材13における第1グランド導体31に重なる部分には、複数の第1層間接続導体V1が形成されている。より具体的には、積層方向に視て、複数の第1層間接続導体V1は、第1グランド導体31と第2グランド導体32および第8グランド導体38とが重なる部分に形成されている。これにより、第1グランド導体31と第2グランド導体32とは、複数箇所で接続され、第1グランド導体31と第8グランド導体38とは、複数箇所で接続される。
【0139】
さらに、積層方向に視て、複数の第1層間接続導体V1の配置パターンは、複数の層間接続導体V31および複数の第2層間接続導体V2の配置パターンと同じである。
【0140】
絶縁性基材13における第1信号導体51に重なる部分には、層間接続導体V32が形成されている。これにより、第1信号導体51と第1信号線路41とは、接続される。絶縁性基材13における第1信号導体52に重なる部分には、層間接続導体V33が形成されている。これにより、第1信号導体52と第1信号線路41とは、接続される。
【0141】
絶縁性基材14における第4グランド導体34に重なる部分には、複数の第3層間接続導体V3が形成されている。より具体的には、積層方向に視て、複数の第3層間接続導体V3は、第4グランド導体34と第1グランド導体31とが重なる部分に形成されている。これにより、第4グランド導体34と第1グランド導体31とは、複数箇所で接続される。
【0142】
なお、積層方向に視て、複数の第3層間接続導体V3は、少なくとも複数の第1層間接続導体V1の配置位置と重なる位置に配置されている。さらに、第3層間接続導体V3は、積層方向に視て、外部接続用導体721,731の間と、外部接続用導体722,732の間にそれぞれ配置されている。
【0143】
絶縁性基材14における外部接続用導体711,712,721,722,731,732に重なる部分には、層間接続導体V34,V35,V41,V42,V43,V44がそれぞれ形成されている。これにより、外部接続用導体711は、第1信号導体51に接続され、外部接続用導体712は、第1信号導体52に接続される。外部接続用導体721,722は、第2信号線路42に接続され、外部接続用導体731,732は、第3信号線路43に接続される。
【0144】
このような構成とすることによって、多層基板106は、第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2、および、第3伝送線路CL3を備える。第1伝送線路CL1は、第1信号線路41が第1グランド導体31と第3グランド導体33との間に配置されることで実現されている。第2伝送線路CL2は、第2信号線路42が第2グランド導体32と第4グランド導体34との間に配置されることで実現されている。第3伝送線路CL3は、第3信号線路43が第4グランド導体34と第8グランド導体38との間に配置されることで実現されている。
【0145】
このように、多層基板106に形成される第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2、および、第3伝送線路CL3の全ては、積層方向において、信号導体の両側にグランド導体が配置される構成であるので、全ての伝送線路による外部への不要輻射が確実に抑制される。
【0146】
また、多層基板106では、積層方向に視て、第1信号線路41、第2信号線路42、および、第3信号線路43の全てに対して重なる第3グランド導体33を積層体10の第2主面VS2に備え、第4グランド導体34を積層体10の第1主面VS1に備えている。これにより、第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2、および、第3伝送線路CL3の全てに対して、外部への不要輻射がさらに確実に抑制される。
【0147】
また、多層基板106では、第1信号線路41は、Y軸方向において、第2グランド導体32と第8グランド導体38との間に配置されているので、Y軸方向の不要輻射も抑制される。さらに、第1信号線路41のY軸方向には、X軸方向に並ぶ複数の層間接続導体(第1層間接続導体V1、第2層間接続導体V2、層間接続導体V31)が配置され、これら複数の層間接続導体が第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、および、第8グランド導体38に接続されているので、Y軸方向の不要輻射がさらに抑制される。
【0148】
また、Y軸方向における第2信号線路42と第3信号線路43との間には、これらよりもY軸方向の長さが大きな第1グランド導体31が配置されているので、第2信号線路42と第3信号線路43とのアイソレーションをより高くできる。
【0149】
また、多層基板106では、第2信号線路42と第3信号線路43とが、多層基板106のY軸方向(幅方向)の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。さらに、各伝送線路を構成するグランド導体の配置もこの基準面に対して対称である。したがって、第2伝送線路CL2と第3伝送線路CL3も、この基準面に対して対称である。これにより、多層基板106内での幅方向(Y軸方向)の構造的および電磁界的なバランスがよくなる。また、この構成によって、多層基板106の表面(第1主面VS1または第2主面VS2)の不均一な凹凸の発生が抑制され、多層基板の曲げ加工性や、回路基板等への実装性が高まる。
【0150】
《第7の実施形態》
図13は、第7の実施形態に係る多層基板107の分解平面図である。本実施形態に係る多層基板107は、第1グランド導体31F、第2信号線路42F、および、第3信号線路43Fの構成において、第6の実施形態に係る多層基板106と異なる。多層基板107の他の構成は、多層基板106と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0151】
第1グランド導体31Fは、突起部312F,313Fを備える。突起部312F,313Fは、第1グランド導体31FのX軸方向の所定位置において部分的にY軸方向に突起している。
【0152】
第1グランド導体31Fの幅(Y軸方向の長さ)は、第6の実施形態で説明した多層基板106の第1グランド導体31の幅(Y軸方向の長さ)よりも小さい(
図11を参照)。
【0153】
突起部312Fは、第1グランド導体31Fにおける第2信号線路42F側に突起している。突起部313Fは、第1グランド導体31Fにおける第3信号線路43F側に突起している。
【0154】
第2信号線路42Fは、屈曲部420Fを備えている。第2信号線路42Fは、
図11に示す多層基板106の第2信号線路42と比較して、Y軸方向において、第1グランド導体31F側、絶縁性基材13におけるY軸方向の中心位置側に配置されている。第2信号線路42Fにおける屈曲部420Fを除く長手方向の殆どの部分は、Y軸方向において、第1グランド導体31Fの突起部312Fに重なっている。屈曲部420Fは、突起部312Fの外周に沿って配置されている。言い換えれば、屈曲部420Fは、Z軸方向に視て、突起部312Fを迂回する形状で形成されている。
【0155】
第3信号線路43Fは、複数の屈曲部430Fを備えている。第3信号線路43Fは、
図11に示す多層基板106の第3信号線路43と比較して、Y軸方向において、第1グランド導体31F側、絶縁性基材13におけるY軸方向の中心位置側に配置されている。第3信号線路43Fにおける屈曲部430Fを除く長手方向の殆どの部分は、Y軸方向において、第1グランド導体31Fの突起部313Fに重なっている。屈曲部430Fは、突起部313Fの外周に沿って配置されている。言い換えれば、屈曲部430Fは、Z軸方向に視て、突起部313Fを迂回する形状で形成されている。
【0156】
このような構成とすることによって、積層体10すなわち多層基板107の幅(Y軸方向の長さ)を小さくできる。
【0157】
《第8の実施形態》
図14は、第8の実施形態に係る多層基板108の分解平面図である。本実施形態に係る多層基板108は、第1信号線路41F、第2グランド導体32F、および、第8グランド導体38Fの構成において、第6の実施形態に係る多層基板106と異なる。多層基板108の他の構成は、多層基板106と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0158】
第2グランド導体32Fは、突起部321Fを備える。突起部321Fは、第2グランド導体32FのX軸方向の所定位置において部分的にY軸方向に突起している。突起部321Fは、第1信号線路41F側に突起している。
【0159】
第8グランド導体38Fは、複数の突起部381Fを備える。複数の突起部381Fは、第8グランド導体38FのX軸方向の所定位置において部分的にY軸方向に突起している。複数の突起部381Fは、第1信号線路41F側に突起している。
【0160】
第1信号線路41Fは、屈曲部412F,413Fを備えている。屈曲部412Fは、第8グランド導体38Fの突起部381Fの外周に沿って配置されている。言い換えれば、屈曲部412Fは、Z軸方向に視て、突起部381Fを迂回する形状で形成されている。屈曲部413Fは、第2グランド導体32Fの突起部321Fの外周に沿って配置されている。言い換えれば、屈曲部413Fは、Z軸方向に視て、突起部321Fを迂回する形状で形成されている。
【0161】
このような構成とすることによって、第7の実施形態に係る多層基板107と同様に、積層体10すなわち多層基板108の幅(Y軸方向の長さ)を小さくできる。
【0162】
《第9の実施形態》
図15は、第9の実施形態に係る多層基板109の断面図である。本実施形態に係る多層基板109は、第6の実施形態に係る多層基板106に対して、さらに第4伝送線路CL4を追加した点で異なる。多層基板109の他の構成は、多層基板106と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0163】
多層基板109は、多層基板106の構成に加えて、第4信号線路44、第9グランド導体392,393、および、複数の層間接続導体V40を備える。第4信号線路44、第9グランド導体392,393、および、複数の層間接続導体V40は、積層体10に形成されている。
【0164】
第4信号線路44は、Z軸方向において、第1グランド導体31と第4グランド導体34との間に形成されている。Y軸方向における第4信号線路44の位置は、第1信号線路41の位置と同じである。第4信号線路44の形状は、長手方向の端部を除き、第1信号線路41の形状と略同じである。
【0165】
第9グランド導体392は、Z軸方向において、第2信号線路42と第4グランド導体34との間に形成されている。Z軸方向における第9グランド導体392の位置は、第4信号線路44の位置と略同じである。Y軸方向における第9グランド導体392の位置は、第2グランド導体32と略同じである。第9グランド導体392の形状は、第2グランド導体32と略同じである。
【0166】
第9グランド導体393は、Z軸方向において、第3信号線路43と第4グランド導体34との間に形成されている。Z軸方向における第9グランド導体393の位置は、第4信号線路44の位置と略同じである。Y軸方向における第9グランド導体393の位置は、第8グランド導体38と略同じである。第9グランド導体393の形状は、第8グランド導体38と略同じである。
【0167】
複数の層間接続導体V40は、積層体10をY軸方向に視て、第3層間接続導体V3と重なっている。複数の層間接続導体V40は、第9グランド導体392,393と第4グランド導体34とを接続する。また、複数の第3層間接続導体V3は、第9グランド導体392、393と第1グランド導体31とを接続する。
【0168】
本実施形態の多層基板109の構成とすることによって、多層基板109は、第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2、第3伝送線路CL3、および、第4伝送線路CL4を備える。第1伝送線路CL1は、第1信号線路41が第1グランド導体31と第3グランド導体33との間に配置されることで実現されている。第2伝送線路CL2は、第2信号線路42が第2グランド導体32と第9グランド導体392との間に配置されることで実現されている。第3伝送線路CL3は、第3信号線路43が第8グランド導体38と第9グランド導体393との間に配置されることで実現されている。第4伝送線路CL4は、第4信号線路44が第1グランド導体31と第4グランド導体34との間に配置されることで実現されている。
【0169】
本実施形態の多層基板109の構成とすることによって、多層基板106で得られる作用効果からさらに次の作用効果が得られる。
【0170】
多層基板109では、第1信号線路41と第4信号線路44が、多層基板109のZ軸方向(積層方向)の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。なお、
図15に示す断面図において、第1信号線路41と第4信号線路44とは、多層基板109のZ軸方向(積層方向)の中心でY軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。さらに、各伝送線路を構成するグランド導体の配置もこの基準面に対して対称である。したがって、第1伝送線路CL1と第4伝送線路CL4も、この基準面に対して対称である。これにより、多層基板109内での積層方向の構造的(物理的)なバランスが良くなり、電磁界的なバランスが良くなる。
【0171】
なお、積層方向の構造的(物理的)なバランスが良くなることで、多層基板の不均一な凹凸の発生は抑制され、回路基板等への多層基板の実装性は高まる。また、多層基板109の積層方向における反りの発生が抑制される。
【0172】
《第10の実施形態》
図16は、第10の実施形態に係る多層基板110の断面図である。本実施形態に係る多層基板110は、第9の実施形態に係る多層基板109に対して、さらに複数の伝送線路CL5~CL12を追加した点で異なる。多層基板110の他の基本構成は、多層基板109と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0173】
図16に示すように、多層基板110は、12個の信号線路40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40J,40K,40L,40M、第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33、第4グランド導体34、第8グランド導体38、第9グランド導体392,393,394,395,3961,3962,397,398,3991,3992を備える。
【0174】
信号線路40A,40E、第2グランド導体32、第8グランド導体38、および、第9グランド導体3961は、Y軸方向に沿って並んでいる。この層を、第1横方向導体列層と称する。この際、これらは、Y軸方向の第1端から第2端に向かって、第8グランド導体38、信号線路40A、第2グランド導体32、信号線路40E、第9グランド導体3961の順に配置されている。
【0175】
信号線路40C,40B,40F、第1グランド導体31、および、第9グランド導体395は、Y軸方向に並んでいる。この層を、第2横方向導体列層と称する。この際、これらは、Y軸方向の第1端から第2端に向かって、信号線路40C、第1グランド導体31、信号線路40B、第9グランド導体395、信号線路40F、の順に配置されている。
【0176】
信号線路40D,40G、および第9グランド導体392,393,3962は、Y軸方向に沿って並んでいる。この層を、第3横方向導体列層と称する。この際、これらは、Y軸方向の第1端から第2端に向かって、第9グランド導体393、信号線路40D、第9グランド導体392、信号線路40G、第9グランド導体3962の順に配置されている。
【0177】
信号線路40H,40J,40K、第9グランド導体394,397は、Y軸方向に並んでいる。この層を、第4横方向導体列層と称する。この際、これらは、Y軸方向の第1端から第2端に向かって、信号線路40H、第9グランド導体394、信号線路40J、第9グランド導体397、信号線路40K、の順に配置されている。
【0178】
信号線路40L,40M、および第9グランド導体398,3991,3992は、Y軸方向に沿って並んでいる。この層を、第5横方向導体列層と称する。この際、これらは、Y軸方向の第1端から第2端に向かって、第9グランド導体398、信号線路40L、第9グランド導体3991、信号線路40M、第9グランド導体3992の順に配置されている。
【0179】
第1横方向導体層から第5横方向導体列層は、積層体10の第2主面VS2から第1主面VS1に向かって、第1横方向導体層、第2横方向導体層、第3横方向導体層、第4横方向導体層および第5横方向導体層の順に配列されている。
【0180】
信号線路40Cと信号線路40Hは、Z軸方向に視て重なる位置に配置されている。信号線路40A、信号線路40D、および信号線路40Lは、Z軸方向に視て重なる位置に配置されている。信号線路40Bと信号線路40Jは、Z軸方向に視て重なる位置に配置されている。信号線路40E、信号線路40G、および信号線路40Mは、Z軸方向に視て重なる位置に配置されている。信号線路40Fと信号線路40Kは、Z軸方向に視て重なる位置に配置されている。
【0181】
第1グランド導体31は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Aと信号線路40Dとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Aと信号線路40Dに重なっている。
【0182】
第2グランド導体32は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Bと第3グランド導体33との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Bと第3グランド導体33に重なっている。
【0183】
第8グランド導体38は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Cと第3グランド導体33との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Cと第3グランド導体33に重なっている。
【0184】
第9グランド導体392は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Bと信号線路40Jとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Bと信号線路40Jに重なっている。
【0185】
第9グランド導体393は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Cと信号線路40Hとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Cと信号線路40Hに重なっている。
【0186】
第9グランド導体394は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Dと信号線路40Lとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Dと信号線路40Lに重なっている。
【0187】
第9グランド導体395は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Eと信号線路40Gとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Eと信号線路40Gに重なっている。
【0188】
第9グランド導体3961は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Fと第3グランド導体33との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Fと第3グランド導体33に重なっている。
【0189】
第9グランド導体3962は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Fと信号線路40Kとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Fと信号線路40Kに重なっている。
【0190】
第9グランド導体397は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Gと信号線路40Mとの間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Gと信号線路40Mに重なっている。
【0191】
第9グランド導体398は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Hと第4グランド導体34との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Hと第4グランド導体34に重なっている。
【0192】
第9グランド導体3991は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Jと第4グランド導体34との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Jと第4グランド導体34に重なっている。
【0193】
第9グランド導体3992は、積層体10のZ軸方向において、信号線路40Kと第4グランド導体34との間に配置されており、Z軸方向に視て、信号線路40Kと第4グランド導体34に重なっている。
【0194】
言い換えると、12個の信号線路40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40J,40K,40L,40Mと第1グランド導体31、第2グランド導体32、第8グランド導体38、第9グランド導体392,393,394,395,3961,3962,397,398,3991,3992とは、積層体10におけるY軸方向とZ軸方向との二次元において、互いに交互に配置されている。そして、12個の信号線路40A~40Mと第1グランド導体31、第2グランド導体32、第8グランド導体38、第9グランド導体392,393,394,395,3961,3962,397,398,3991,3992の全てが、積層体10をZ軸方向に視て、第3グランド導体33および第4グランド導体34に重なっている。
【0195】
層間接続導体V11は、Y軸方向において、信号線路40C,40Hの位置と、信号線路40A,40D,40Lの位置との間に配置されている。層間接続導体V11の延びる方向の一方端は、第3グランド導体33に接続され、他方端は、第4グランド導体34に接続されている。層間接続導体V11は、第8グランド導体38、第1グランド導体31、第9グランド導体393、第9グランド導体394、第9グランド導体398に接続されている。
【0196】
層間接続導体V12は、Y軸方向において、信号線路40A,40D,40Lの位置と、信号線路40B,40Jの位置との間に配置されている。層間接続導体V12の延びる方向の一方端は、第3グランド導体33に接続され、他方端は、第4グランド導体34に接続されている。層間接続導体V12は、第2グランド導体32、第1グランド導体31、第9グランド導体392、第9グランド導体394、第9グランド導体3991に接続されている。
【0197】
層間接続導体V13は、Y軸方向において、信号線路40B,40Jの位置と、信号線路40E,40G,40Mの位置との間に配置されている。層間接続導体V13の延びる方向の一方端は、第3グランド導体33に接続され、他方端は、第4グランド導体34に接続されている。層間接続導体V13は、第2グランド導体32、第9グランド導体395、第9グランド導体392、第9グランド導体397、第9グランド導体3991に接続されている。
【0198】
層間接続導体V14は、Y軸方向において、信号線路40E,40G,40Mの位置と、信号線路40F,40Kの位置との間に配置されている。層間接続導体V14の延びる方向の一方端は、第3グランド導体33に接続され、他方端は、第4グランド導体34に接続されている。層間接続導体V14は、第9グランド導体3961、第9グランド導体395、第9グランド導体3962、第9グランド導体397、第9グランド導体3992に接続されている。
【0199】
このような構成とすることによって、多層基板110は、第1伝送線路CL1、第2伝送線路CL2、第3伝送線路CL3、第4伝送線路CL4、第5伝送線路CL5、第6伝送線路CL6、第7伝送線路CL7、第8伝送線路CL8、第9伝送線路CL9、第10伝送線路CL10、第11伝送線路CL11、および、第12伝送線路CL12を備える。
【0200】
第1伝送線路CL1は、信号線路40Aが第1グランド導体31と第3グランド導体33との間に配置されることで実現されている。第2伝送線路CL2は、信号線路40Bが第2グランド導体32と第9グランド導体392との間に配置されることで実現されている。第3伝送線路CL3は、信号線路40Cが第8グランド導体38と第9グランド導体393との間に配置されることで実現されている。第4伝送線路CL4は、信号線路40Dが第1グランド導体31と第9グランド導体394との間に配置されることで実現されている。第5伝送線路CL5は、信号線路40Eが第9グランド導体395と第3グランド導体33との間に配置されることで実現されている。第6伝送線路CL6は、信号線路40Fが第9グランド導体3961と第9グランド導体3962との間に配置されることで実現されている。第7伝送線路CL7は、信号線路40Gが第9グランド導体395と第9グランド導体397との間に配置されることで実現されている。第8伝送線路CL8は、信号線路40Hが第9グランド導体393と第9グランド導体398との間に配置されることで実現されている。第9伝送線路CL9は、信号線路40Jが第9グランド導体392と第9グランド導体3991との間に配置されることで実現されている。第10伝送線路CL10は、信号線路40Kが第9グランド導体3962と第9グランド導体3992との間に配置されることで実現されている。第11伝送線路CL11は、信号線路40Lが第9グランド導体394と第4グランド導体34との間に配置されることで実現されている。第12伝送線路CL12は、信号線路40Mが第9グランド導体397と第4グランド導体34との間に配置されることで実現されている。
【0201】
本実施形態の多層基板110の構成とすることによって、12個の伝送線路の全てが、
図16に示すいずれかを基準面に対して、対称(
図16に示すいずれかの一点鎖線に対して線対称)に配置されている。さらに、12個の伝送線路、すなわち、多層基板110に形成される伝送線路の全体の配置パターンは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通りX軸方向およびZ軸方向に平行な基準面(
図16において、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通りZ軸方向に延びる一点鎖線)、および、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通りX軸方向およびY軸方向に平行な基準面(
図16において、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通りY軸方向に延びる一点鎖線)に対して対称である。
【0202】
具体的には、Y軸方向には、次に示す対称形が実現されている。第1伝送線路CL1と第5伝送線路CL5とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第1伝送線路CL1と第5伝送線路CL5とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第4伝送線路CL4と第7伝送線路CL7とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に延びる基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第4伝送線路CL4と第7伝送線路CL7とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第11伝送線路CL11と第12伝送線路CL12とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第11伝送線路CL11と第12伝送線路CL12とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0203】
第3伝送線路CL3と第2伝送線路CL2とは、信号線路40A,40D,40LのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第3伝送線路CL3と第2伝送線路CL2とは、信号線路40A,40D,40LのY軸方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第2伝送線路CL2と第6伝送線路CL6とは、信号線路40E,40G,40MのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第2伝送線路CL2と第6伝送線路CL6とは、信号線路40E,40G,40LのY軸方向の中心を通り、Z軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第3伝送線路CL3と第6伝送線路CL6とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第3伝送線路CL3と第6伝送線路CL6とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通りZ軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0204】
第8伝送線路CL8と第9伝送線路CL9とは、信号線路40A,40D,40LのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第8伝送線路CL8と第9伝送線路CL9とは、信号線路40A,40D,40LのY軸方向の中心を通りZ軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第9伝送線路CL9と第10伝送線路CL10とは、信号線路40E,40G,40MのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第9伝送線路CL9と第10伝送線路CL10とは、信号線路40E,40G,40MのY軸方向の中心を通りZ軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第8伝送線路CL8と第10伝送線路CL10とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通り、X軸方向およびZ軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第8伝送線路CL8と第10伝送線路CL10とは、信号線路40B,40JのY軸方向の中心を通りZ軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0205】
また、Z軸方向には、次に示す対称形が実現されている。第3伝送線路CL3と第8伝送線路CL8とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第3伝送線路CL3と第8伝送線路CL8とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第2伝送線路CL2と第9伝送線路CL9とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第2伝送線路CL2と第9伝送線路CL9とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第6伝送線路CL6と第10伝送線路CL10とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第6伝送線路CL6と第10伝送線路CL10とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0206】
第1伝送線路CL1と第4伝送線路CL4とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第1伝送線路CL1と第4伝送線路CL4とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第4伝送線路CL4と第11伝送線路CL11とは、信号線路40H,40J,40KのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第4伝送線路CL4と第11伝送線路CL11とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第1伝送線路CL1と第11伝送線路CL11とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第1伝送線路CL1と第11伝送線路CL11とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0207】
第5伝送線路CL5と第7伝送線路CL7とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第5伝送線路CL5と第7伝送線路CL7とは、信号線路40C,40B,40FのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第7伝送線路CL7と第12伝送線路CL12とは、信号線路40H,40J,40KのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第7伝送線路CL7と第12伝送線路CL12とは、信号線路40H,40J,40KのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。第5伝送線路CL5と第12伝送線路CL12とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、X軸方向およびY軸方向に平行な基準面に対して対称である。
図16に示す断面図において、第5伝送線路CL5と第12伝送線路CL12とは、信号線路40D,40GのZ軸方向の中心を通り、Y軸方向に延びる一点鎖線に対して線対称である。
【0208】
これにより、多層基板109と同様に、多層基板110内での構造的および電磁界的なバランスがよくなる。
【0209】
なお、本実施形態では、12個の伝送線路を積層体10に形成する態様を示したが、12個よりも多い個数の伝送線路を、同様の構成によって積層体10に形成できる。
【0210】
また、上述したが、各実施形態に示した多層基板を用いることで、
図17に示すような電子機器を実現できる。
図17は、第10の実施形態に係る電子機器202の外観斜視図である。なお、
図17では、多層基板106を用いる態様を示しているが、他の実施形態の多層基板も同様の構造を実現できる。
【0211】
電子機器202は、多層基板106、回路基板302、および、複数の実装部品320を備える。回路基板302の表面には、多層基板106および複数の実装部品320が実装されている。多層基板106は、第1主面VS1が回路基板302の表面に対向するように配置されている。多層基板106の各外部接続用導体は、回路基板302の表面に形成されたランド導体に接合されている。この際、各外部接続用導体は、ランド導体に対して、はんだ等の導電性接合材のみを介して接合される。すなわち、多層基板106は、回路基板302に対して面実装されている。
【0212】
このように、多層基板106を回路基板302に面実装する場合、多層基板106と回路基板302の表面との距離が、コネクタ等を用いる態様と比較して近くなる。しかしながら、上述のように、多層基板106は、第1主面VS1に、積層体10内の全ての信号線路に対して重なる第4グランド導体34を備えている(
図12を参照)。したがって、多層基板106から回路基板302への不要輻射は抑制される。これにより、多層基板106と回路基板302との電磁界的な結合が抑制される。また、積層体10内の全ての信号線路に対して重なる第4グランド導体34を備えることにより、多層基板106の表面(第1主面VS1または第2主面VS2)の不均一な凹凸の発生が抑制され、回路基板302等に表面実装する際の実装性が高まる。
【0213】
《第11の実施形態》
図18(A)は第11の実施形態に係る多層基板111の断面図であり、
図18(B)は
図18(A)のおけるZP部分の拡大断面図である。本実施形態に係る多層基板111は、第1中間グランド導体M31A,M31B、第2中間グランド導体M32A,M32Bを備える点で、第6の実施形態に係る多層基板106と異なる。また、多層基板111の積層体10は、5つの絶縁性基材を積層して形成される点で、多層基板106と異なる。多層基板111の他の構成は、多層基板106と実質的に同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0214】
図18(A)に示すように、第1中間グランド導体M31Aは、積層方向(Z軸方向)に対し、第1信号線路41が形成された層と、第2信号線路42が形成された層との間に形成されている。第1中間グランド導体M31Aは、積層方向から視て、第1信号線路41と第2信号線路42との間に配置されている。第1中間グランド導体M31Aは、第1信号線路41および第2信号線路42に沿って、連続的に並走している(図示省略)。第1中間グランド導体31Aの少なくとも一部は、積層方向から視て、第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33および第4グランド導体34に重なっている。第1中間グランド導体M31Aは、層間接続導体V1Aを介して第1グランド導体31に接続され、層間接続導体V1Bを介して第2グランド導体32に接続されている。
【0215】
第1中間グランド導体M31Bは、積層方向に対し、第1信号線路41が形成された層と、第3信号線路43が形成された層との間に形成されている。第1中間グランド導体M31Bは、積層方向から視て、第1信号線路41と第3信号線路43との間に配置されている。第1中間グランド導体M31Bは、第1信号線路41および第3信号線路43に沿って、連続的に並走している(図示省略)。第1中間グランド導体31Bの少なくとも一部は、積層方向から視て、第1グランド導体31、第3グランド導体33、第4グランド導体34および第8グランド導体38に重なっている。第1中間グランド導体M31Bは、層間接続導体V1Aを介して第1グランド導体31に接続され、層間接続導体V1Bを介して第8グランド導体38に接続されている。
【0216】
以下、主に第1中間グランド導体M31Aについてのみ説明するが、第1中間グランド導体M31Bの構成も同様である。
【0217】
図18(B)に示すように、第1中間グランド導体M31Aは、積層方向から視て、第2グランド導体32よりも第1信号線路41側に延出し、第2グランド導体32に重ならない部分を有する。なお、第1中間グランド導体M31Aは、他のグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33等)の少なくとも一つよりも、第1信号線路41から離間している。具体的には、
図18(B)に示すように、第1信号線路41と第1グランド導体31との間隔をL11、第1信号線路41と第2グランド導体32との間隔をL12、第1信号線路41と第3グランド導体33との間隔をL13、第1信号線路41と第1中間グランド導体M31Aとの間隔をLM1としたときに、間隔LM1は間隔L11,L12,L13のいずれか一つよりも大きい。
【0218】
また、
図18(B)に示すように、第1中間グランド導体M31Aは、積層方向から視て、第1グランド導体31よりも第2信号線路42側に延出し、第1グランド導体31に重ならない部分を有する。なお、第1中間グランド導体M31Aは、他のグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第4グランド導体34等)の少なくとも一つよりも、第2信号線路42から離間している。具体的には、
図18(B)に示すように、第2信号線路42と第1グランド導体31との間隔をL21、第2信号線路42と第2グランド導体32との間隔をL22、第2信号線路42と第4グランド導体34との間隔をL24、第2信号線路42と第1中間グランド導体M31Aとの間隔をLM2としたときに、間隔LM2は間隔L21,L22,L24のいずれか一つよりも大きい。
【0219】
さらに、第1中間グランド導体M31Aは、他のグランド導体(第1グランド導体31、第2グランド導体32、第3グランド導体33および第4グランド導体34)よりも積層方向における厚みが薄い。
【0220】
図18(A)および
図18(B)に示すように、第2中間グランド導体M32Aは、積層方向に対し、第1信号線路41が形成された層と、第2主面VS2との間に形成されている。第2中間グランド導体M32Aは、第1信号線路41に沿って、連続的に並走している(図示省略)。第2中間グランド導体M32Aは、層間接続導体V2Aを介して第2グランド導体32に接続され、層間接続導体V2Bを介して第3グランド導体33に接続されている。
【0221】
第2中間グランド導体M32Bは、積層方向に対し、第1信号線路41が形成された層と、第2主面VS2との間に形成されている。第2中間グランド導体M32Bは、第1信号線路41に沿って、連続的に並走している(図示省略)。第2中間グランド導体M32Bは、層間接続導体V2Aを介して第8グランド導体38に接続され、層間接続導体V2Bを介して第3グランド導体33に接続されている。
【0222】
本実施形態の多層基板111によれば、さらに次の作用効果が得られる。
【0223】
多層基板111では、第1中間グランド導体M31Aが、積層方向に対し、第1信号線路41が形成された層と、第2信号線路42が形成された層との間に形成されている。また、第1中間グランド導体M31Aは、積層方向から視て、第1信号線路41と第2信号線路42との間に配置されている。この構成により、第1信号線路41と第2信号線路42との間のアイソレーションがさらに高まり、クロストークの抑制効果がさらに高まる。なお、本実施形態では、第1中間グランド導体M31Bが設けられているため、第1信号線路41と第3信号線路43との間のアイソレーションがさらに高まり、クロストークの抑制効果がさらに高まる。
【0224】
また、本実施形態では、第1中間グランド導体M31Aが、積層方向から視て、第2グランド導体32よりも第1信号線路41側に延出し、第2グランド導体32に重ならない部分を有する。この構成により、第1中間グランド導体M31Aが第1信号線路41に近接して配置されるため、第1信号線路41の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路41と第2信号線路42とのアイソレーションをより高めることができる。
【0225】
なお、本実施形態では、第1中間グランド導体M31Aが、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、第1信号線路41から離間している。そのため、第1信号線路41と他のグランド導体との間に生じる容量に大きな影響を与えることなく、第1信号線路41と第2信号線路42とのアイソレーションを高めることができる。
【0226】
また、本実施形態では、第1中間グランド導体M31Aが、積層方向から視て、第1グランド導体31よりも第2信号線路42側に延出し、第1グランド導体31に重ならない部分を有する。この構成により、第1中間グランド導体M31Aが第2信号線路42に近接して配置されるため、第2信号線路42の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路41と第2信号線路42とのアイソレーションをより高めることができる。
【0227】
なお、本実施形態では、第1中間グランド導体M31Aが、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、第2信号線路42から離間している。そのため、第2信号線路42と他のグランド導体との間に生じる容量に大きな影響を与えることなく、第1信号線路41と第2信号線路とのアイソレーションを高めることができる。
【0228】
さらに、第1中間グランド導体M31A,M31Bの積層方向における厚みは、他のグランド導体の積層方向における厚みよりも薄い。本実施形態では、第1中間グランド導体M31A,M31Bが、積層方向において多数の導体と重なる位置に配置されているため、積層体10を形成後、多層基板の表面には凹凸が形成されやすい。しかし、この構成により、多層基板の表面に凹凸が形成されることを抑制できる。
【0229】
本実施形態に係る多層基板111を用いることで、次のような電子機器を実現できる。
図19は、第11の実施形態に係る電子機器203の外観斜視図である。
【0230】
電子機器203は、多層基板111Aおよび回路基板303等を備える。
【0231】
多層基板111Aは、第2主面VS2に保護層2が形成されている点で、多層基板111と異なる。多層基板111Aのその他の構成は、多層基板111と同じである。保護層2には開口が形成されており、保護層2が第2主面VS2に形成されることによって第3グランド導体33の一部が露出している。回路基板303の表面には導体95が形成されており、回路基板303の内部には、導体96,97等が形成されている。
【0232】
多層基板111Aは、第2主面VS2が回路基板303の表面に対向するように配置されている。
図19に示すように、多層基板111Aの第3グランド導体33は、回路基板303に、はんだ等の導電性接合材4を介して接合される。すなわち、多層基板111Aは、回路基板303に対して面実装されている。
【0233】
そのため、第1信号線路41、第2信号線路42および第3信号線路43のうち、第1信号線路41は、回路基板303の実装面(表面)に最も近接して配置される。また、第2中間グランド導体M32A,M32Bは、積層方向(Z軸方向)に対し、実装面と、第1信号線路が形成された層との間に形成される。
【0234】
本実施形態の電子機器203の構成とすることによって、第10の実施形態で説明した電子機器202で得られる作用効果からさらに次の作用効果が得られる。以下、主に第2中間グランド導体M32Aについてのみ説明するが、第2中間グランド導体M32Bの構成も実質的には同じである。
【0235】
電子機器203では、第1信号線路41、第2信号線路42および第3信号線路43のうち、第1信号線路41が回路基板303の実装面に最も近接して配置されている。また、第2中間グランド導体M32Aが、積層方向に対し、回路基板303の実装面と、第1信号線路41が形成された層との間に形成されている。さらに、第2中間グランド導体M32Aは、積層方向から視て、第1信号線路41と第2信号線路42との間(第1信号線路41の+Y方向側)に配置されている。この構成により、第1信号線路41の周囲に発生する磁界によって、第1信号線路41と回路基板303に形成される導体との結合が抑制される(
図19に示す第1信号線路41の周囲に発生する磁束φ1を参照)。
【0236】
また、本実施形態では、第2中間グランド導体M32Aが、積層方向から視て、第2グランド導体32よりも第1信号線路41側に延出し、第2グランド導体32に重ならない部分を有する。この構成により、第2中間グランド導体M32Aが第1信号線路41に近接して配置されるため、第1信号線路41の周囲に生じる磁界が効果的に遮蔽され、第1信号線路41と回路基板303に形成される導体との結合を抑制できる。
【0237】
さらに、本実施形態では、第2中間グランド導体M32Aが、他のグランド導体の少なくとも一つよりも、第1信号線路41から離間している。そのため、第1信号線路41と他のグランド導体との間に生じる容量に大きな影響を与えることなく、第1信号線路41と回路基板303に形成される導体との結合を抑制できる。
【0238】
また、第2中間グランド導体M32A,M32Bの積層方向における厚みは、他のグランド導体の積層方向における厚みよりも薄い。本実施形態では、第2中間グランド導体M32A,M32Bが、積層方向において多数の導体と重なる位置に配置されているため、積層体10を形成後、多層基板の表面には凹凸が形成されやすい。しかし、この構成により、多層基板の表面に凹凸が形成されることを抑制できる。
【0239】
なお、本実施形態では、第1中間グランド導体M31A,M31Bおよび第2中間グランド導体M32A,M32Bが、第1信号線路41および第2信号線路42に沿って、連続的に並走している例を示したが、この構成に限定されるものではない。第1中間グランド導体および第2中間グランド導体は、第1信号線路41および第2信号線路42に沿って、断続的に並走する構成でもよい。その場合には、第1中間グランド導体および第2中間グランド導体は、層間接続導体等によって他のグランド導体に接続されることが好ましい。
【0240】
《その他の実施形態》
以上に示した各実施形態では、積層体が直方体である例を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。積層体の平面形状は、矩形に限定されるものではなく、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。積層体の平面形状は、例えば円形、楕円形、多角形、L字形、クランク形、T字形、Y字形等であってもよい。
【0241】
以上に示した各実施形態では、2つ、4つまたは6つの絶縁性基材を積層して形成される積層体を備える多層基板について示したが、この構成に限定されるものではない。積層体を形成する絶縁性基材の層数は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。
【0242】
また、以上に示した各実施形態では、積層体の第1主面VS1のみに保護層1が形成される構造の多層基板や、積層体の第1主面VS1および第2主面VS2の両方に保護層1,2が形成される構成の多層基板について示したが、これに限定されるものではない。積層体の第2主面VS2のみに保護層が形成される構成の多層基板であってもよい。なお、本発明の多層基板において、保護層は必須ではない。
【0243】
以上に示した各実施形態では、積層体の長手方向の端部(第1端および第2端)付近に、接続部(第1接続部CP1および第2接続部CP2)が形成される例について示したが、この構成に限定されるものではない。接続部の位置は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能であり、例えば積層体の長手方向の中央付近に形成されていてもよい。
【0244】
以上に示した各実施形態では、積層体の第1主面VS1のみに接続部(第1接続部CP1および第2接続部CP2)が形成される構成の多層基板について示したが、これに限定されるものではない。積層体の第2主面VS2のみに接続部が形成される構成の多層基板であってもよい。また、積層体の第1主面VS1および第2主面VS2の両方に接続部が形成される構成であってもよい。
【0245】
以上に示した各実施形態では、第1接続部CP1、線路部SLおよび第2接続部CP2がX軸方向に順に配置される多層基板について示したが、この構成に限定されるものではない。接続部(第1接続部CP1、第2接続部CP2等)および線路部SLの配置は、本発明の作用・効果を奏する範囲において適宜変更可能である。また、以上に示した各実施形態では、線路部SL(第1信号線路41および第2信号線路42等)がX軸方向に延伸する導体である例を示したが、この構成に限定されるものではない。線路部(第1信号線路41および第2信号線路42等)は、X軸方向に延伸するような直線状に限定されず、例えばY軸方向に曲がっていてもよい。
【0246】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0247】
AP1,AP2,AP3,AP4,AP5,AP6,AP7,AP8,AP11,AP12,AP21,AP22,AP31,AP32:開口部
CL1:第1伝送線路
CL2:第2伝送線路
CL3:第3伝送線路
CL4:第4伝送線路
SL:線路部
CP1:第1接続部
CP2:第2接続部
PS1:回路基板の第1面
PS2:回路基板の第2面
V11,V12,V13,V14,V21,V22、V32,V33、V34、V35、V40:層間接続導体
V1:第1層間接続導体
V2:第2層間接続導体
V3:第3層間接続導体
V4:第4層間接続導体
V5:第5層間接続導体
V6:第6層間接続導体
V7:第7層間接続導体
V8:第8層間接続導体
V9:第9層間接続導体
V10:第10層間接続導体
VS1:積層体の第1主面
VS2:積層体の第2主面
1,2:保護層
4:導電性接合材
5:上部金型
6:下部金型
10,10A,10B,10C:積層体
11,12,13,14,15,16:絶縁性基材
31,31F:第1グランド導体
32,32F:第2グランド導体
33:第3グランド導体
34:第4グランド導体
35:第5グランド導体
36:第6グランド導体
37:第7グランド導体
38,38F:第8グランド導体
392,393,394,395,3961,3962,397,3991,3992:第9グランド導体
M31A,M31B:第1中間グランド導体
M32A,M32B:第2中間グランド導体
40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40J,40K,40L,40M:信号線路
41,41F:第1信号線路
42,42F:第2信号線路
43,43F:第3信号線路
44:第4信号線路
45:第5信号線路
51,52,61,62:第1信号導体
71,72,73,74:第2信号導体
81,82,83,84,85,86,87,88:グランド導体
91,92,93,94,95,96,97:導体
101,101A,102,103,104,105、106、107、108、109、110,111:多層基板
201,202,203:電子機器
301,302:回路基板
312F,313F,321F,381F:突起部
412F,413F,420F,430F:屈曲部
320:実装部品
711,712,721,722,731,732:外部接続用導体