(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ゴルフボール用のディンプルパターン
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
A63B37/00 116
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153658
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール. マッドソン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-222601(JP,A)
【文献】特開2016-10422(JP,A)
【文献】特開2016-20447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188327(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0311533(US,A1)
【文献】米国特許第5890975(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0165043(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0190584(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0018072(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球形の外面に複数のディンプルを配置させたゴルフボールにおいて、
上記複数のディンプルは、最小ディンプル直径、最大ディンプル直径、および少なくとも1つの追加のディンプル直径を含む、少なくとも3つの異なるディンプル直径を有し、
上記ゴルフボールは、赤道によって分離された2つの半球で構成され、上記2つの半球は実質的に同一のディンプル配置を具備し、
各半球ディンプル配置は、4つの三角形セクションからなり、上記4つの三角形セクションは、四角錐の4つの面を半球に投影して、もって、上記4つの三角形セクションの各々が、上記ボールの上記赤道の部分に対応する線形赤道縁と、上記赤道縁の各端部を上記ボールの極に連結する2つの線形側縁とからなる境界線によって定義されるようになし、
各半球の上記4つの三角形セクションは、サイズとディンプルの配置とが実質的に同一であり、
上記4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、
当該4つの三角形セクションのそれぞれが、それぞれの2つの側縁の頂点に幾何中心が横たわる
、他の3つの三角形セクションと共有する極ディンプルを含み、上記共有
する極ディンプルの直径
は、上記最小ディンプル直径でも上記最大ディンプル直径でもなく、
上記4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、上記セクションの中心に対して回転対称ではなく、
上記4つの三角形セクションのそれぞれは、緯度角0°から緯度角30°までの極領域、緯度角30°から緯度角60°までの中間領域、および緯度角60°から緯度角90°までの赤道領域に分割でき、緯度角度0°は極であり、緯度角度90°は赤道であり、
上記極領域は、上記最小ディンプル直径を有する少なくとも1つの非極ディンプルを含み、上記最大ディンプル直径を有するディンプルを含まず、
上記赤道領域は、上記最大ディンプル直径を持つ少なくとも1つのディンプルを含み、上記最小ディンプル直径を持つディンプルを含まないことを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記複数のディンプルが少なくとも5つの異なるディンプル直径を有し、上記中間領域に存在する異なるディンプル直径の数は、上記極領域に存在する異なるディンプル直径の数よりも大きく、上記赤道領域に存在する異なるディンプル直径の数よりも大きい請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記極領域に存在する異なるディンプル直径の数が、上記赤道領域に存在する異なるディンプル直径の数に等しい請求項2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記中間領域が、上記最小ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルと、上記最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルとを含む請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
球形の外面に複数のディンプルを配置させたゴルフボールにおいて、
上記複数のディンプルは、最小ディンプル直径、最大ディンプル直径、および少なくとも1つの追加のディンプル直径を含む、少なくとも3つの異なるディンプル直径を有し、
上記ゴルフボールは、赤道によって分離された2つの半球で構成され、上記2つの半球は実質的に同一のディンプル配置を具備し、
各半球ディンプル配置は、4つの三角形セクションからなり、上記4つの三角形セクションは、四角錐の4つの面を半球に投影して、もって、上記4つの三角形セクションの各々が、上記ボールの上記赤道の部分に対応する線形赤道縁と、上記赤道縁の各端部を上記ボールの極に連結する2つの線形側縁とからなる境界線によって定義されるようになし、
各半球の上記4つの三角形セクションは、サイズとディンプルの配置とが実質的に同一であり、
上記4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、
当該4つの三角形セクションのそれぞれが、それぞれの2つの側縁の頂点に幾何中心が横たわる
、他の3つの三角形セクションと共有する極ディンプルを含み、上記共有
する極ディンプルの直径は、これが存在する場合、上記最小ディンプル直径でも上記最大ディンプル直径でもなく、
上記4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、上記セクションの中心に対して回転対称ではなく、
上記4つの三角形セクションのそれぞれは、緯度角0°から緯度角30°までの極領域、緯度角30°から緯度角60°までの中間領域、および緯度角60°から緯度角90°までの赤道領域に分割でき、緯度角度0°は極であり、緯度角度90°は赤道であり、
上記極領域はディンプル表面被覆率Spを具備し、
上記中間領域はディンプル表面被覆率Siを具備し、
上記赤道領域はディンプル表面カバレッジSeを具備し、
Sp≠Si≠Se
であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項6】
Sp<Si<Seである、請求項5に記載のゴルフボール。
【請求項7】
Si-Sp≧7、Se-Si≧7、かつ、Se-Sp≧8である請求項5に記載のゴルフボール。
【請求項8】
球形の外面に複数のディンプルを配置させたゴルフボールにおいて、
複数のディンプルは、最小ディンプル直径、最大ディンプル直径、および少なくとも1つの追加のディンプル直径を含む、少なくとも3つの異なるディンプル直径を有し、
上記ゴルフボールは、赤道によって分離された2つの半球で構成され、上記2つの半球は実質的に同一のディンプル配置を具備し、
各半球ディンプル配置は、4つの三角形セクションからなり、上記4つの三角形セクションは、四角錐の4つの面を半球に投影して、もって、上記4つの三角形セクションの各々が、上記ボールの上記赤道の部分に対応する線形赤道縁と、上記赤道縁の各端部を上記ボールの極に連結する2つの線形側縁とからなる境界線によって定義されるようになし、
各半球の4つの上記三角形セクションは、サイズとディンプルの配置とが実質的に同一であり、
上記4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、上記セクションの中心に対して回転対称ではなく、
上記4つの三角形セクションのそれぞれは、緯度角0°から緯度角30°までの極領域、緯度角30°から緯度角60°までの中間領域、および緯度角60°から緯度角90°までの赤道領域に分割でき、緯度角度0°は極であり、緯度角度90°は赤道であり、
上記ディンプルの2%から10%は楕円形の平面形状を具備し、
楕円形の平面形状を具備する各ディンプルは、上記極領域に位置決めされることを特徴とするゴルフボール。
【請求項9】
楕円形の平面形状を有する上記ディンプルの第1の部分について、長軸の長さと短軸の長さとの差は、0.0762mm(0.003インチ)から0.127mm(0.005インチ)であり、楕円形の平面形状を有する上記ディンプルの第2の部分でについて、長軸の長さと短軸の長さとの差は、0.127mm(0.005インチ)から0.508mm(0.020インチ)である請求項8に記載のゴルフボール。
【請求項10】
楕円形の平面形状を具備する上記ディンプルの第1の部分について、長軸の長さの短軸の長さに対する比が1.02から1.04であり、楕円形の平面形状を具備する上記ディンプルの第2の部分について、長軸の長さと短軸の長さの比は、1.04から1.10である請求項8に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、四角錐(square dipyramid)に基づくゴルフボールのディンプルパターンに関するものであり、ディンプルは、ボールの2つの半球のそれぞれの上に4つの実質的に同一の三角形のセクション内に配置される。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールメーカーは、ゴルフボールの空力効率を最大化するために多大な努力を払っているけれども、それらはゴルフの国内統治組織である全米ゴルフ協会(U.S.G.A.)によって厳密に管理されている。1つのU.S.G.A.要件は、ゴルフボールが空気力学的対称性を持っていることである。空力対称性により、ゴルフボールがティーや地面にどのように配置されていても、ボールは非常に小さな変動で飛ぶことができる。空力対称性を改善するために、多くのディンプルパターンは、たとえば、幾何学的形状、5つの正多面体、および13の半正多面体に基づいている。ディンプルパターンの設計に役立つ対称ソリッドプレーンシステムの数は限られているため、新しい対称パターンを考案するのは難しい場合がある。さらに、いくつかの幾何学的形状に基づくディンプルパターンは、最適な表面被覆率および他の不利なディンプル配置をもたらす。
【0003】
したがって、独特の特性を有するゴルフボールを提供するために、サイズ、形状、数、体積、または配置などのディンプル特性の独特の組み合わせを組み込んだ新しいディンプルパターンが引き続き必要とされている。
【発明の開示】
【0004】
この発明は、ボールの球形外面に投影された四角錐によって定義されるパターンで配置された複数のディンプルを有するゴルフボールに関する。複数のディンプルは、最小ディンプル直径、最大ディンプル直径、および少なくとも1つの追加のディンプル直径を含む、少なくとも3つの異なるディンプル直径を有する。このゴルフボールは、赤道によって分離された2つの半球で構成される。2つの半球は実質的に同一のディンプル配置を具備する。各半球ディンプル配置は、4つの三角形セクションからなり、これら4つの三角形セクションは、四角錐の4つの面を半球に投影して、もって、上記4つの三角形セクションの各々が、上記ボールの上記赤道の部分に対応する線形赤道縁と、上記赤道縁の各端部を上記ボールの極に連結する2つの線形側縁とからなる境界線によって定義されるようになす。各半球の4つの三角形セクションは、サイズとディンプルの配置とが実質的に同一である。これら4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、オプションとして、これらセクションの2つの側縁の頂点に幾何中心が横たわる共有極ディンプルを含む。この共有極ディンプルの直径は、これが存在する場合、最小ディンプル直径でも最大ディンプル直径でもない。これら4つの三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、これらセクションの中心に対して回転対称ではない。これら4つの三角形セクションのそれぞれは、極領域、中間領域、および赤道領域に分割できる。極領域は緯度角0°から緯度角30°までの三角形セクションの領域である。中間領域は、緯度角30°から緯度角60°までの三角形セクションの領域である。赤道領域は、緯度角60°から緯度角90°までの三角形セクションの領域である。
【0005】
具体的な実施例において、この極領域は、最小のディンプル直径を有する少なくとも1つの非極ディンプルを含み、最大のディンプル直径を有するディンプルを含まない。中間領域が、最小ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルと、最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルとを含む。赤道領域は、最大ディンプル直径を持つ少なくとも1つのディンプルを含み、最小ディンプル直径を有するディンプルを含まない。この実施例の他の具体的な側面において、中間領域は、最小ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルを含む。この実施例の他の具体的な側面において、中間領域は、最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルを含む。この実施例の他の具体的な側面において、中間領域は、最小ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルと、最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルとを含む。
【0006】
他の具体的な実施例において、極領域はディンプル表面被覆率Spを有し、中間領域はディンプル表面被覆率Siを有し、赤道領域はディンプル表面被覆率Seを有し、Sp≠Si≠Seである。
【0007】
他の具体的な実施例において、ディンプルの2%から10%が楕円形の平面形状を有する。この実施例の具体的な側面において、楕円形の平面形状を有する各ディンプルは、極領域に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この発明を特徴付ける新規な技術は、添付の特許請求の範囲に示される。しかしながら、この発明の好ましい実施例が、他の目的、および付随する効果とともに、添付図面と関連する以下の詳細な説明を参照して最も良好に理解される。
【
図2】
図1の4つの面のうちの1つを3つの地域に分けて示す。
【
図3】ディンプルの直径を測定する方法を示す概略図である。
【
図4A】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図4B】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図4C】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図5A】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図5B】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図5C】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図6A】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【
図6B】この発明の実施例に基づき
図2の面内に配置されたディンプルを示す。
【詳細な説明】
【0009】
四角錐は、正方形の底面の4つの頂点のそれぞれを頂点に接続することによって形成される多面体である。結果として得られるソリッドは、正方形の底面とサイズが等しい4つの三角形の面で構成され、正方形の底面と頂点の4つの頂点を含む5つの頂点がある。4つの三角形の面には、それぞれ2つの側縁と1つのベース縁がある。隣接する面には共通の側縁がある。したがって、四角錐には、4つの側縁と4つのベース縁を含む8つの線形縁がある。
【0010】
四角錐は、2つの四角錐を基部で結合して形成された多面体である。結果として得られるソリッドは、サイズが等しい8つの三角形の面で構成され、2つの四角錐が結合されるベースの4つの頂点と、2つの四角錐のそれぞれの頂点を含む6つの頂点がある。8つの三角形の面のそれぞれには、2つの側縁と1つのベース縁がある。四角錐の同じ側にある隣接する面には共通の側縁があり、四角錐の反対側にある隣接する面には共通のベース縁がある。したがって、四角錐には、8つの側縁と4つのベース縁を含む12の線形縁がある。
【0011】
この発明のゴルフボールディンプルパターンは、四角錐に基づいている。
図1に示されるように、ボールの各半球は、四角錐の4つの面を半球に投影することによって定義される4つの三角形のディンプルセクション10からなる。4つの三角形のディンプルセクションのそれぞれは、四角錐の面の側縁およびベースに対応する2つの線形側縁13および線形赤道縁11からなる境界によって定義される。したがって、ボールの2つの半球は、ゴルフボールの球形の外面に投影された四角錐を形成するためにそれらの基部で結合された2つの四角錐に対応する。四角錐の各ベース縁は、ボールの球形の外面に投影されると、ボールの赤道の一部に対応する。四角錐の2つの頂点のそれぞれは、ボールの球形の外面に投影されると、ボールの極に対応する。
【0012】
ボールの2つの半球は、実質的に同じディンプル配置を具備する。本開示の目的のために、ディンプルの幾何中心の相対位置が当業者によって理解されるようにほぼ同じである場合、ディンプルの配置は実質的に同一である。ゴルフボールの全体的なディンプルパターンは、最大45°の2つの半球間の回転オフセットを有して良い。
【0013】
ボールの2つの半球のそれぞれの4つの三角形のディンプルセクションのそれぞれの中のディンプルの配置は、実質的に同一である。本開示の目的のために、ディンプルが配置される三角形のセクションは、ディンプルの幾何中心の位置に基づいて決定される。したがって、ボール上の各ディンプルは、側縁または赤道縁に沿って配置された幾何中心を有するディンプルを除いて、単一のディンプルセクションに配置されていると言われる。
【0014】
縁に沿って位置決めされた幾何中心を有するディンプルは、ここでは共有ディンプルと呼ばれる。幾何中心が側縁に横たわるけれども、四角錐の2つの頂点の1つ、または2つの四角錐が結合されている基部の4つの頂点の1つには横たわらない共有ディンプルは、ここでは側縁ディンプルと呼ばれる。したがって、側縁ディンプルは、当該側縁ディンプルの幾何中心が横たわる共通の側縁を持つ1つの半球の隣接するセクション間で共有される。幾何中心が赤道縁に横たわるけれども、2つの四角錐が結合されているベースの4つの頂点の1つには横たわらない共有ディンプルは、ここでは共有赤道ディンプルと呼ばれる。したがって、共有赤道ディンプルは、共有赤道ディンプルの幾何中心が横たわる共通の赤道縁を持つ異なる半球の隣接するセクション間で共有される。幾何中心が頂点にある共有ディンプル、つまり、1つの半球の4つのセクションによって共有され、極に対応する単一の点は、ここでは極ディンプルと呼ばれる。したがって、極ディンプルは、その幾何中心が存在する極を含む半球の4つのセクション間で共有される。幾何中心が2つの四角錐が結合されているベースの4つの頂点の1つにある共有ディンプルは、ここではベース頂点ディンプルと呼ばれる。したがって、ベース頂点ディンプルは、他の半球の2つの隣接するセクションと共通の赤道縁を持つ1つの半球の2つの隣接するセクションを含む4つのセクション間で共有される。
【0015】
この発明のディンプルは、共有ディンプルまたは非共有ディンプルのいずれかである。したがって、この発明の非共有ディンプルは、縁に沿って配置されていない幾何中心を有するディンプルである。この発明の非共有ディンプルには、ここでは非交差ディンプルと呼ばれる、どの縁とも交差しない周囲を有するディンプル、および赤道縁と交差するが側縁とは交差しない周囲を有し、ここでは非共有赤道ディンプルと呼ばれるディンプルが含まれる。この発明のディンプルパターンは、側縁と交差する周囲を有する非共有ディンプルを含まない。
【0016】
三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、複数の交差していないディンプル、およびオプションとして、以下の1つまたは複数を含む。すなわち、極ディンプル、1つまたは複数の側縁ディンプル、1つまたは複数の非共有赤道ディンプル、1つまたは複数の共有赤道ディンプル、または1つ以上のベース頂点ディンプルである。
【0017】
この発明の具体的な実施例において、三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、複数の交差していないディンプル、少なくとも1つの側縁ディンプル、少なくとも1つの非共有赤道ディンプル、およびオプションとして極ディンプルからなる。この実施例の具体的な側面において、ボールの外面にディンプルのない大円はない。言い換えれば、この具体的な側面において、ボールの外面上のすべての大円は、少なくとも1つのディンプルと交差する。
【0018】
この発明の他の具体的に実施例において、三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、複数の交差していないディンプル、少なくとも1つの非共有赤道ディンプル、およびオプションとしての極ディンプルからなる。この実施例の具体的な側面において、三角形のセクションは極ディンプルを含み、ボールの外面にはディンプルのない大円はない。この実施例の他の具体的な側面において、三角形セクションは極ディンプルを含まず、ボールの外面は、三角形セクションの側縁によって定義されるディンプルのない2つの大円を有する。
【0019】
この発明の他の具体的な実施例において、三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、複数の交差していないディンプル、少なくとも1つの側縁ディンプル、およびオプションとしての極ディンプルからなる。この実施例の具体的な側面において、ボールの外面は、赤道に対応する、ディンプルのない大円を有する。
【0020】
この発明の他の具体的な実施例において、三角形セクションのそれぞれの内部のディンプル配置は、複数の交差していないディンプルからなる。この実施例の具体的な側面において、ボールの外面は、赤道に対応するディンプルのない大円と、三角形のセクションの側縁によって定義されるディンプルのない2つの大円とを有する。
【0021】
再び
図1を参照すると、4つの三角形のディンプルセクション10のそれぞれの内部のディンプル配置は、ボールの各半球上のディンプル配置が極軸5の周りで4方向の回転対称性を有するように、実質的に同一である。具体的な三角形のディンプルセクション内で、その半球の他の3つのディンプルセクションのそれぞれに対応する非共有ディンプルがある。側縁ディンプルを含むこの発明のディンプルパターンの場合、特定の側縁に沿って配置された幾何中心を有する各側縁ディンプルについて、その半球の他の3つの側縁のそれぞれに沿って配置された対応する側縁ディンプルがある。共有赤道ディンプルを含むこの発明のディンプルパターンの場合、特定の赤道縁に沿って配置された幾何中心を有する各共有赤道ディンプルについて、他の3つの赤道縁のそれぞれに沿って配置された対応する共有赤道ディンプルが存在する。
極ディンプルを含むこの発明のディンプルパターンの場合、一方の半球上の
極ディンプルは、他方の半球上に対応する
極ディンプルを有する。ベース頂点ディンプルを含むこの発明のディンプルパターンの場合、2つの四角錐が結合されるベースの特定の頂点に位置するセントロイドを有する各ベース頂点ディンプルについて、他の3つのベース頂点の各々に位置付けられる、対応するベース頂点ディンプルがそれぞれある。対応するディンプルの各セットについて、それぞれのセクション内のディンプルセントロイドの相対位置はほぼ同じであり、具体的な実施例において、対応するディンプルのそのセット内の各ディンプルは、実質的に同じディンプル特性(例えば、平面図形状、断面形状、直径、縁角度など)を有する。
【0022】
各三角形セクション内のディンプル配置は、セクションの中心を中心にして回転対称ではない。
【0023】
三角形の各セクションは、極域、中間領域、赤道域の3つの領域に分割できる。極域は、緯度角0°から緯度角30°までの三角形セクションの領域である。中間領域は、緯度角30°から緯度角60°までの三角形セクションの領域である。赤道域は、緯度角60°から緯度角90°までの三角形の領域である。緯度角0°が極である。緯度角90°は赤道である。例えば、
図2は、
図1の三角形のディンプルセクション10のうちの1つを示す。三角形のセクションは、極領域15、中間領域17、および赤道領域19に分割される。
【0024】
ディンプルが配置される領域は、ディンプルの重心の位置に基づいて決定されます。本開示の目的のために、緯度角30°に位置する重心を有するディンプルは、中間領域内にあると定義され、緯度角60°に位置する重心を有するディンプルは、赤道領域内にあると定義される。以下でさらに説明するように、領域のディンプル表面被覆率を計算するために、ディンプルの平面形状の全面積が、ディンプルの重心が位置する領域のディンプル表面被覆率の計算に含まれる。これはディンプルの一部が別の領域にある場合でもそうである。ディンプルパターンが側縁ディンプルを含むこの発明の実施例においては、単一の三角形セクションの極、中間、および赤道領域のディンプル表面被覆率を計算する場合、各側縁ディンプルについては、全体の平面形状の面積の半分のみが計算に含まれることに留意されたい。
【0025】
各三角形セクションの極領域は、ディンプル表面被覆率Spを有し、これは、この発明においては、以下のように決定される。各三角形セクションの極領域の表面積(ディンプルが存在しない場合)Apは、次のように計算される。
Ap=(2πR・hp)/4、
ここで、Rはボールの半径(つまり、R=(ボールの直径)/2)、およびhp=R(1-cos(π/6))である。各三角形セクションの極領域に配置された(つまり、幾何中心が配置された)すべてのディンプルの平面形状面積の合計ADpが計算される。次に、各三角形セクションの極領域のディンプル表面カバレッジSpは、次のように計算される。
Sp=ADp/Ap×100
【0026】
各三角形セクションの中間領域は、ディンプル表面被覆率Siを有し、これは、この発明においては、以下のように決定される。各三角形セクションの中間領域(ディンプルが存在しない場合)の表面積Aiは、次のように計算される。
Ai=(2πR・hi)/4-Ap
ここで、Rはボールの半径(つまり、R=(ボールの直径)/2)、hi=R(1-cos(π/3))、Apは各三角形セクションの極領域の表面積であり(ディンプルが存在しない場合)、先の式に従って計算される。各三角形セクションADiの中間領域にある(つまり、幾何中心が位置付けられる)すべてのディンプルの平面形状面積の合計が計算される。次に、各三角形セクションの中間領域Siのディンプル表面被覆率は、次のように計算される。
Si=ADi/Ai×100
【0027】
各三角形セクションの赤道領域は、ディンプル表面被覆率Seを有し、これは、この発明において、以下のように決定される。各三角形セクションの赤道領域の表面積(ディンプルが存在しない場合)Aeは、次のように計算される。
Ae=(2πR・he)/4-Ap-Ai
ここで、Rはボールの半径(つまり、R=(ボールの直径)/2)、he=R(1-cos(π/2))、ApおよびAiは、それぞれ、各三角形セクションの極領域の表面積(ディンプルが存在しない場合)および各三角形セクションの中間領域の表面積(ディンプルが存在しない場合)であり、先の式に従って計算される。各三角形セクションの赤道領域に配置された(つまり、幾何中心が位置決めされた)すべてのディンプルの平面形状面積の合計ADeが計算される。次に、各三角形セクションの赤道領域のディンプル表面被覆率Seは、次のように計算される。
Se=ADe/Ae×100
【0028】
具体的な実施例において、この発明のディンプルパターンは、以下の特性のうちの1つまたは複数を有する。
a)Sp≠Si≠Se;
b)Sp<Si<Se;
c)Si-Sp≧1または≧4または≧7;
d)Se-Si≧1または≧4または≧7;
e)Se-Sp≧5または≧8
【0029】
各三角形のセクションは、少なくとも3つの異なるディンプル直径を含み、これは最大ディンプル直径、最小ディンプル直径、および少なくとも1つの追加ディンプル直径を含む。具体的な実施例において、各三角形セクションは、少なくとも4つの異なるディンプル直径を含む。他の具体的な実施例において、各三角形セクションは、少なくとも5つの異なるディンプル直径を含む。他の具体的な実施例において、各三角形セクションは、少なくとも6つの異なるディンプル直径を含む。好ましくは、極ディンプルが存在するこの発明のディンプルパターンにおいては、極ディンプルは最小ディンプル直径を有さない。異なるディンプル直径の数を決定する際には、製造上の偏差を考慮に入れる必要があることを理解する必要がある。本開示の目的のために、実質的に同じ直径を有するディンプルは、ここでは「同じ直径」ディンプルとも呼ばれ、製造上の偏差のためにそれぞれの直径が0.005インチ未満しか異ならない完成ボール上のディンプルを含む。
【0030】
具体的な実施例において、この発明のディンプルパターンは、以下の特性のうちの1つまたは複数を有する。
(a)各三角形セクションの極領域は、最小ディンプル直径を有し、極ディンプルではない少なくとも1つのディンプルを含み、また、オプションとして、極領域に位置付けられ、最小ディンプル直径を具備する少なくとも1つの非極ディンプルの緯度角が20°未満である。
(b)各三角形セクションの極領域は、最大ディンプル直径を持つディンプルを含まない。
(c)各三角形セクションの赤道領域は、最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルを含む。
(d)各三角形セクションの赤道領域に、最小のディンプル直径を持つディンプルを含まない。
(e)各三角形セクションの中間領域は、最小ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルを含む。
(f)各三角形セクションの中間領域は、最大ディンプル直径を有する少なくとも1つのディンプルを含む。
【0031】
この発明のディンプルパターンは、オプションとして、以下の追加の特性のうちの1つまたは複数を有する。
(a)ゴルフボールの全体的な表面被覆率が75%以上、または78%以上、または80%以上である。
(b)極ディンプルがある。
(c)極ディンプルがない。
(d)各三角形セクションは、少なくとも4つ、または少なくとも5つの異なるディンプル直径を含む。
(e)各三角形セクション内で、中間領域にある異なるディンプル直径の数は、極領域にある異なるディンプル直径の数よりも多く、赤道領域にある異なるディンプル直径の数よりも多い。
(f)各三角形セクション内で、極領域にある異なるディンプル直径の数は、赤道領域にある異なるディンプル直径の数に等しい。
(g)最小ディンプル直径を有するディンプルの総数が、最大ディンプル直径を有するディンプルの数よりも多い。
h)最小ディンプル直径を有するディンプルの総数が、最大ディンプル直径を有するディンプルの数より少ない。
i)ボールの外面にディンプルのない大円がない。
j)ボールの外面には、赤道に対応するディンプルのない大円がある。
k)ボールの外面には、赤道に対応するディンプルのない大円と、三角形のセクションの側縁によって定義されるディンプルのない2つの大円がある。
【0032】
この発明のディンプルは、特定の平面形状またはプロファイル形状に限定されない。特に適切な平面形状には、円形、多角形、楕円形、および不規則な形状が含まれるが、これらに限定されない。特に適切なプロファイル形状には、円形、カテナリー、楕円形、および円錐形が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
具体的な実施例において、この発明のディンプルパターンは、楕円形の平面形状を有する複数のディンプルを含む。楕円形の平面形状には、長軸と短軸があり、長軸の長さは短軸の長さよりも長くなっている。この発明のディンプルの楕円形平面形状の短軸の長さは、必ずしもそうである必要はないが、好ましくは0.120インチから0.160インチである。この発明のディンプルの楕円平面形状の長軸の長さと短軸の長さの差は、必ずしもではないが、好ましくは0.020インチ以下であるか、または差が0.003インチまたは0.005インチまたは0.020インチであり、または差がこれらの値から選択された下限と上限を有する範囲内にある。1つのディンプルの楕円形の平面形状の長軸と短軸の長さの差は、別のディンプルの楕円形の平面形状と同じでも異なっていてもよい。例えば、楕円形の平面形状を有するディンプルは、長軸の長さと短軸の長さとの差が0.003インチから0.005インチであるディンプルの第1の部分と、長軸の長さと短軸の長さの差が0.005インチから0.020インチディンプルである第2の部分とを含んで良い。この発明のディンプルの楕円形平面形状の長軸の長さと短軸の長さの比は、必ずしもではないが、好ましくは1.02から1.10、1.02から1.04、または1.04から1.10である。1つのディンプルの楕円形の平面形状の長軸の長さと短軸の長さの比は、別のディンプルの楕円形の平面形状の長さと同じでも異なっていてもよい。例えば、楕円形の平面形状を有するディンプルは、短軸の長さに対する長軸の長さの比が1.02から1.04であるディンプルの第1の部分と、長軸から短軸までの長さは1.04から1.10であるディンプルの第2の部分とを含んで良い。
【0034】
この実施例の具体的な側面において、ディンプルの少なくとも2%、または2%から10%、または4%から8%は、楕円形の平面形状を有する。この実施例の他の具体的な側面において、残りのディンプルは、円形の平面形状を有するディンプルからなる。この実施例のさらに他の側面において、残りのディンプルは、非楕円形、非円形の平面形状を有するディンプルからなる。この実施利絵のさらに他の側面において、残りのディンプルは、円形の平面形状を有するディンプルの第1の部分と、非楕円形かつ非円形の平面形状を有するディンプルの第2の部分とを含む。
【0035】
この実施例の他の具体的な側面において、楕円形の平面形状を有する各ディンプルは、極領域に配置されている。この実施例の他の具体的な側面において、極ディンプルは、存在する場合、円形の平面形状を有する。
【0036】
ボールの外面の各ディンプルは、好ましくは、0.050または0.060または0.070または0.080または0.090または0.100または0.110または0.120または0.130または0.150または0.160または0.170または0.180または0.190または0.200または0.205または0.210または0.220または0.250インチ、またはこれらの値から選択された下限と上限を持つ範囲内の直径を有する。具体的な実施例において、ボール上の任意の2つのディンプル直径間の最大差は、0.055インチ未満である。非円形の平面形状を持つディンプルの直径は、同等の直径deによって定義され、これは次のように計算される。
d
e=2(A/π)
1/2
ここで、Aはディンプルの平面形状面積である。用語「平面形状面積」は、ゴルフボールの中心とディンプルの幾何中心を結ぶ軸に視平面が垂直になるように、ディンプル平面形状の平面図に基づく面積を意味する。直径の測定値は、
図3に従って完成したゴルフボールで決定される。一般に、ディンプルとボールの乱されていないランド表面とを分ける境界の性質が不明瞭であるため、ディンプルの直径を測定するのは難しい場合がある。ペイントやディンプルのデザイン自体の影響により、ランド表面とディンプルとの接合部は鋭い角ではなく、不明瞭になる場合がある。これにより、ディンプルの直径の測定がややあいまいになる可能性がある。この問題を解決するために、完成したゴルフボールのディンプル直径を、
図3に示す方法に従って測定する。
図3は、ディンプル中心線31からディンプル
30の外側のランド表面
33まで延びるディンプルの半分のプロファイ
ルを示している。ボール仮想表面32は、ランド表面33の続きとしてディンプルの上に構築されている。第1の接線T1は、次に、
仮想表面32から半径方向内側に0.003インチ間隔を置いたディンプル側壁上の点で構築される。T1は、公称ディンプル縁位置を定義する点P1
で仮想表面32と交差する。次に、P1で、仮想表面32に接する第2の接線T2が構築される。エッジ角度は、T1とT2の間の角度である。ディンプルの直径は、P1とディンプルの周囲に沿って正反対の同等の点との間の距離である。あるいは、中心線31に垂直な方向で測定されたP1とディンプル中心線31との間の距離の2倍である。ディンプル深さは、ボールの
仮想表面
32からディンプルの最も深い点までのボール半径に沿って測定された距離である。ディンプル体積は、仮想表面32とディンプル表
面との間に囲まれた空間である(仮想表面と交差するまでT1に沿って拡張される)。
【0037】
具体的な実施例において、この発明のゴルフボールの外面上のディンプルの大部分は、球形ディンプル、すなわち、円形平面形状、および、球形関数に基づくプロファイル形状を有するディンプルである。この実施例の具体的な側面において、球形ディンプルは、以下から選択される1つまたは複数の特性/特性を有する。
(a)各球形ディンプルのエッジ角度が10°または11°または12°または13°または14°または15°または16°であるか、これらの値から選択された下限と上限を有する範囲内にある。
(b)球形ディンプルの任意の2つの間のエッジ角度の最大差は1°である。
(c)すべての球形ディンプルのエッジ角は実質的に同じである(本開示の目的のために、完成したボールのエッジ角は、それらが0.25°未満しか異ならない場合、実質的に同じである)。
【0038】
好ましくは、ボールの外面上のディンプルのいずれも、重なり合ったり接触したりしない。
【0039】
この発明によって生成されたディンプルパターンは、高いパーセンテージの表面被覆を達成することができる。具体的な実施例において、この発明は、約75%以上の表面被覆率を生成する。他の具体的な実施例において、この発明は、約78%以上の表面被覆率を生成する。
【0040】
ゴルフボール上のディンプルの総数は、好ましくは、約250から約500の間の偶数である。具体的な実施例において、ディンプルの総数は、320または322または328または330または336または338または344または346または352または354または360または362または368または370であり、または、ディンプルの総数は、これらの値から選択された下限および上限を有する範囲内にある。
【0041】
この発明のゴルフボールは、特定のゴルフボール構造によって制限されない。ゴルフボールは、固体、液体、糸巻などの任意のタイプのコアを有して良く、ワンピース、ツーピース、または多層ボールであって良い。ゴルフボールの各層は、当業者に知られている任意の適切な熱硬化性または熱可塑性材料から構築することができる。必要に応じて、カバーは、ベースコート、トップコート、ペイント、または他の任意の所望のコーティングなど、任意の数の層でコーティングすることができる。当業者によって理解されるように、ゴルフボールの様々な部分を構築するために任意の製造技術を使用することができる。具体的な実施例において、ゴルフボールは、ソリッドの単層コア、内側カバー層、および外側カバー層を含む多層ボールである。この実施例の具体的な側面において、コアは熱硬化性ゴムから形成され、内側カバー層はアイオノマー組成物から形成され、外側カバー層はポリウレタン組成物から形成される。
【0042】
[例]
以下の非限定的な例は、この発明に従って作製されたゴルフボールのディンプルパターンを示している。例は、この発明の好ましい実形例の単なる例示であり、この発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0043】
[非制約的事例ディンプルパターン1]
この発明の具体的な実施例に従う四角錐に基づくディンプルパターンの三角形セクションが、
図4A~4Cに図説される。
図4A~4Cは、ディンプルをディンプルパターンにパックした三角形ディンプルセクション10を示し、このディンプルパターンは、32個の非交差ディンプル、1個の極ディンプル、10個の側縁ディンプル、および6個の非共有赤道ディンプルからなる。したがって、ゴルフボールは、四角錐に基づくディンプルパターンを有し、各三角形ディンプルセクションは
図4A~4Cに示すディンプルパターンを具備し、このゴルフボールは、合計346個のディンプルを具備し、表面被覆率は約82.1%である。ゴルフボールは、各赤道縁の経路に沿って非線形セグメント11を描くことによって定義される非平面のパーティングラインを有する。周囲が赤道縁と交差するパターンのディンプルを提供するために、ディンプルパターンは2つの半球間に約45°の回転オフセットを持っている。ボールの外面にはディンプルのない大円はない。
【0044】
図4A~4Bにおいて、ディンプル内の数値ラベルは、同じ直径のディンプルを示している。つまり、1とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、2とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、以下同様である。
図4A~4Cで図説される実施例の具体的な側面において、同じ直径のディンプルも、また、実質的に同じコード深さおよび実質的に同じエッジ角度を有する。
図4A~4Cで図説される実施例の他の具体的な側面において、1~5とラベル付けされたディンプルは、以下の表1に示される直径を有する。
【表1】
【0045】
したがって、
図4A~4Bに示される実施例によれば、 、ディンプルが表1による特性を有する場合、ディンプルは、0.128インチの最小ディンプル直径および0.180の最大ディンプル直径を含む、合計5つの異なるディンプル直径を有する。最小ディンプル直径を有するボール上のディンプルの総数は40であり、最大ディンプル直径を有するボール上のディンプルの総数は64である。
【0046】
図4Bおよび4Cは、緯度角30°および緯度角60°で引かれた線を示し、それにより、三角形のディンプルセクション10を極領域15、中間領域17、および赤道領域19に分割する。
図4Cでは、ディンプル内のアルファベットのラベルは、ディンプルが配置されている領域を示している。すなわち、Aとラベル付けされたすべてのディンプルは極域15に位置し、Bとラベル付けされたすべてのディンプルは中間領域17に位置し、Cとラベル付けされたすべてのディンプルは赤道領域19に位置する。
【0047】
したがって、
図4A~4Cに示される実施例によれば、ディンプルが表1による特性を有する場合、三角形のディンプルセクション10は、以下の特性を有する。
(a)極域15は、最小ディンプル直径を有し、その緯度角が約15°である1つのディンプルを含む。
(b)極領域15は、最大ディンプル直径を有するディンプルを含まない。
(c)中間領域17は、最小ディンプル直径を有する4つのディンプルを含む。
(d)中間領域17は、最大ディンプル直径を有する2つのディンプルを含む。
(e)赤道領域19は、4つの非共有赤道ディンプルおよび4つの側縁ディンプルを含む、最大ディンプル直径を有する8つのディンプルを含む。
(f)赤道領域19は、最小ディンプル直径を有するディンプルを含まない。
(g)中間領域17は5つの異なるディンプル直径を含み、極領域15は3つの異なる直径を含み、赤道領域19は3つの異なる直径を含む。したがって、中間領域17に位置する異なるディンプル直径の数は、極領域15に位置する異なるディンプル直径の数よりも大きく、赤道領域19に位置する異なるディンプル直径の数よりも大きく、また、極域15に位置する異なるディンプル直径の数は、赤道領域19に位置する異なるディンプル直径の数に等しい。
(h)極域15は、69.4%の表面被覆率S
pを有する。
(i)中間領域17は、79.2%の表面被覆率S
iを有する。
(j)赤道領域19は87.1%の表面被覆率S
eを有する。
【0048】
[非制約的事例ディンプルパターン2]
この発明の具体的な実施例に従う、四角錐に基づくディンプルパターンの三角形セクションが、
図5A~5Cに図説される。
図5A~5Cは、32個の非交差ディンプル、1個の
極ディンプル、10個の側縁ディンプル、および6個の非共有赤道ディンプルからなるディンプル配置にディンプルが詰め込まれた三角形ディンプルセクション10を示す。したがって、ゴルフボールは、四角錐に基づくディンプルパターンを有し、各三角形のディンプルセクションは、
図5A~5Cに示されるディンプル配列を有し、合計346個のディンプルを有し、表面被覆率は約80.3%である。ゴルフボールは、各赤道縁の経路に沿って非線形セグメント11を描くことによって定義される非平面のパーティングラインを有する。周囲が赤道縁と交差するパターンのディンプルを提供するために、ディンプルパターンは2つの半球間に約45°の回転オフセットを持っている。ボールの外面にはディンプルのない大円はない。
【0049】
図5A~5Bにおいて、ディンプル内の数値ラベルは、同じ直径のディンプルを示している。つまり、1とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、2とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、以下同様である。
図5A~5Cに図説される実施例の具体的な側面において、同じ直径のディンプルは、また、実質的に同じコード深さおよび実質的に同じエッジ角度を有する。
図5A~5Cに図説される実施例の他の具体的な側面において、1~5とラベル付けされたディンプルは、以下の表2に示される直径を有する。
【表2】
【0050】
したがって、
図5A~5Bに示される実施例によれば、ディンプルが表2による特性を有する場合、ディンプルは、0.128インチの最小ディンプル直径および0.180の最大ディンプル直径を含む、合計5つの異なるディンプル直径を有する。最小ディンプル直径を有するボール上のディンプルの総数は40であり、最大ディンプル直径を有するボール上のディンプルの総数は64である。
【0051】
図5Bおよび5Cは、緯度角30°および緯度角60°で描かれた線を示し、それにより、三角形のディンプルセクション10を極領域15、中間領域17、および赤道領域19に分割する。
図5Cでは、ディンプル内のアルファベットのラベルは、ディンプルが配置されている領域を示している。すなわち、Aとラベル付けされたすべてのディンプルは極域15に位置し、Bとラベル付けされたすべてのディンプルは中間領域17に位置し、Cとラベル付けされたすべてのディンプルは赤道領域19に位置する。
【0052】
したがって、
図5A~5Cに示される実施例によれば、ディンプルが表2による特性を有する場合、三角形のディンプルセクション10は、以下の特性を有する。
(a)極域15は、最小ディンプル直径を有し、その緯度角が約15°である1つのディンプルを含む。
(b)極領域15は、最大ディンプル直径を有するディンプルを含まない。
(c)中間領域17は、最小ディンプル直径を有する4つのディンプルを含む。
(d)中間領域17は、最大ディンプル直径を有するディンプルを含まない。
(e)赤道領域19は、6つの非共有赤道ディンプルおよび4つの側縁ディンプルを含む、最大ディンプル直径を有する10個のディンプルを含む。
(f)赤道領域19は、最小ディンプル直径を有するディンプルを含まない。
(g)中間領域17は4つの異なるディンプル直径を含み、極領域15は3つの異なる直径を含み、赤道領域19は3つの異なる直径を含む。したがって、中間領域17に位置する異なるディンプル直径の数は、極領域15に位置する異なるディンプル直径の数よりも大きく、赤道領域19に位置する異なるディンプル直径の数よりも大きく、また、極領域15に位置する異なるディンプル直径の数は、赤道領域19に位置する異なるディンプル直径の数に等しい。
(h)極域15は、64.2%の表面被覆率S
pを有する。
(i)中間領域17は、74.8%の表面被覆率S
iを有する。
(j)赤道領域19は88.1%の表面被覆率S
eを有する。
【0053】
[非制約的事例ディンプルパターン3]
この発明の具体的な実施例による四角錐に基づくディンプルパターンの三角形セクションが、
図6A~6Bに図説されている。
図6A~6Bは、32個の非交差ディンプル、1個の
極ディンプル、10個の側縁ディンプル、および6個の非共有赤道ディンプルからなるディンプル配置にディンプルが詰め込まれた三角形ディンプルセクション10を示す。したがって、ゴルフボールは四角錐に基づくディンプルパターンを有し、各三角形ディンプルセクションは、
図6A~6Bに示されるディンプル配置を有し、このゴルフボールは、合計346個のディンプルを具備し、表面被覆率は約81.0%である。ゴルフボールは、各赤道縁の経路に沿って非線形セグメント11を描くことによって定義される非平面のパーティングラインを有する。周囲が赤道縁と交差するパターンのディンプルを実現するために、ディンプルパターンは2つの半球間に約45°の回転オフセットを持っている。ボールの外面にはディンプルのない大円はない。
【0054】
図6A~6Bにおいて、数値ラベルを有するディンプルは円形の平面形状を有し、ディンプル内の数値ラベルは同じ直径のディンプルを示す。つまり、1とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、2とラベル付けされたすべてのディンプルは実質的に同じ直径を持ち、以下同様である。
図6A~6Bに図説される実施例の具体的な側面において、1~6とラベル付けされたディンプルは、以下の表2に示される直径を有する。
【表3】
【0055】
図6A~6Bにおいて、では、英数字ラベルを有するディンプルは楕円形の平面形状を有し、ディンプル内の英数字ラベルは、実質的に同じ長さの長軸および短軸を有するディンプルを示す。すなわち、N1とラベル付けされたすべてのディンプルは、実質的に同じ長さの長軸および実質的に同じ長さの短軸を有し、N2とラベル付けされたすべてのディンプルは、実質的に同じ長さの長軸および実質的に同じ長さの短軸を有し、以下同様である。
図6A~6Bに図説される実施例尾具体的な側面において、N1およびN2とラベル付けされたディンプルは、以下の表2に示される特性を有する。
【表4】
【0056】
したがって、
図6A~6Bに示される実施例によれば、また、ディンプルが表3および4による特性を有する場合、ディンプルは、0.128インチの最小ディンプル直径および0.180の最大ディンプル直径を含む、合計6つの異なるディンプル直径を有する円形平面形状のディンプルと、第1のタイプN1および第2のタイプN2の楕円形の平面形状のディンプルとを含み、第1のタイプN1は、長軸の長さと短軸の長さの差が0.004インチであり、長軸の長さの比が短軸の長さは1.03であり、第2のタイプN2は、長軸の長さと短軸の長さの差が0.013インチであり、長軸の長さと短軸の長さの比が1.09である。
【0057】
図6Bは、緯度角30°および緯度角60°で描かれた線を示し、それにより、三角形のディンプルセクション10を極領域15、中間領域17、および赤道領域19に分割する。
図6Bに示されるように、楕円形の平面形状を有する各ディンプルは、極領域15に配置されている。
図6A~6Bに示され、ディンプルが表3および4による特性を有する場合、三角形のディンプルセクション10は、以下の特性を有する。
(a)極域15は、70.0%の表面被覆率S
pを有する。
(b)中間領域17は、79.2%の表面被覆率S
iを有する。
(c)赤道領域19は、85.4%の表面被覆率S
eを有する。
【0058】
数値の下限および数値の上限がここに記載されている場合、これらの値の任意の組み合わせを使用することができると解釈される。
【0059】
優先権書類を含む、ここで引用されるすべての特許、刊行物、試験手順、および他の参考文献は、そのような開示がこの発明と矛盾しない範囲で、およびそのような組み込みが許可されるすべての管轄区域について、参照により完全に組み込まれる。
【0060】
この発明の例示的な実施例が詳細に説明されてきたけれども、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の修正が当業者に明らかであり、容易に行うことができることが理解される。したがって、ここに添付される特許請求の範囲がここに記載の例および説明に限定されることを意図するのではなく、特許請求の範囲は、すべてを含む、この発明に関連する特許性のある新規のもののすべての特徴を包含すると解釈されることを意図し、これは、この発明が関係する当業者によってその均等物として扱われるすべての特徴を含む。
[符号の説明]
5 極軸
10 三角形ディンプルセクション
11 赤道縁
13 側縁
15 極領域
17 中間領域
19 赤道領域