(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20220825BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
E06B9/42 Z
E06B9/17 W
(21)【出願番号】P 2020177929
(22)【出願日】2020-10-23
(62)【分割の表示】P 2019229627の分割
【原出願日】2015-06-07
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2015082748
(32)【優先日】2015-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015092631
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】山岸 万人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 文彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】裏井 繁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 準
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-120242(JP,A)
【文献】実公平04-048316(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを昇降させて室内への採光量を調節可能とするロールスクリーンであって、
スクリーンを巻き取り可能に吊下支持する巻取手段と、
前記巻取手段を支持する固定手段と、
前記巻取手段の上側に発生する光漏れを抑制する遮光フィンとを備え、
前記遮光フィンの回動時の速度を低減するための回動減速部が、前記遮光フィンに設けられ、
前記遮光フィンは、前記回動減速部によって前記スクリーンの錘部材との干渉により緩やかに回動するよう前記固定手段に回動可能に軸支されていることを特徴とするロールスクリーン。
【請求項2】
前記回動減速部は、前記遮光フィンの回動時の振動を低減するダンパー作用を有することを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記回動減速部は、前記遮光フィンの軸部に対して貼付した部材で構成されているか、又は前記遮光フィンの軸部に対して一体成形されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロールスクリーン。
【請求項4】
前記巻取手段は、操作コードの引き操作によって、スクリーンを巻き取り可能とされ、
前記遮光フィンは、前記巻取手段の前後方向にて当該操作コードの引き操作を行なう側に設けられるとともに、前記固定手段に対し直接的又は間接的に回動可能に支持され、該引き操作時に当該操作コードが前記遮光フィンと当接したとき当該操作コードのテンションにより回動するよう構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のロールスクリーン。
【請求項5】
前記遮光フィンは、前記
スクリーンの巻き取り又は巻き戻しを当該操作コードにより操作可能とする操作手段の少なくとも一部を覆うよう設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のロールスクリーン。
【請求項6】
前記遮光フィンは、当該操作コードと当接可能とする曲面状に隆起させている曲面状隆起部を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンを昇降させて室内への採光量を調節可能とするロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンを昇降させて室内への採光量を調節可能とするロールスクリーンがある。
【0003】
ロールスクリーンは、天井面等の取付面に対してブラケットを介して取着された枠体(例えば取付フレーム)により巻取パイプを支持し、スクリーンの上縁部を巻取パイプに取着して垂下させ、巻取パイプによってスクリーンの巻取り又は巻戻しを行うことにより室内への採光量を調節可能に構成される。
【0004】
そこで、スクリーンを巻き取る巻取軸(即ち、巻取パイプ)と、この巻取パイプを支持する枠体の下面との間の隙間からの光漏れを防止するために、枠体の下面に基端縁を回動可能に支持して巻取パイプの周面上に垂下させる隙間防止部材を設ける技法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示される技法では、当該隙間防止部材により巻取軸と枠体(即ち、取付フレーム)の下面との間の隙間を塞ぐことができるため、スクリーンを下降させて遮蔽状態としているときの遮光性を高めることができる点で有効である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技法では、枠体の下面に取着された当該隙間防止部材は、錘部材(ウェイトバー)の衝突で破損するおそれのある構造をしており、改善の余地がある。また、スクリーンを比較的硬質な材料を用いて構成すると、このスクリーンが当該隙間防止部材に接触した際に、その接触音が操作者に不快感を生じさせることもあり、改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、実用性の高い態様で光漏れを抑制可能とするロールスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による一態様のロールスクリーンは、スクリーンを昇降させて室内への採光量を調節可能とするロールスクリーンであって、スクリーンを巻き取り可能に吊下支持する巻取手段と、前記巻取手段を支持する固定手段と、前記巻取手段の上側に発生する光漏れを抑制する遮光フィンとを備え、前記遮光フィンの回動時の速度を低減するための回動減速部が、前記遮光フィンに設けられ、前記遮光フィンは、前記回動減速部によって前記スクリーンの錘部材との干渉により緩やかに回動するよう前記固定手段に回動可能に軸支されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による更に別の一態様のロールスクリーンにおいて、前記回動減速部は、前記遮光フィンの回動時の振動を低減するダンパー作用を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による更に別の一態様のロールスクリーンにおいて、前記回動減速部は、前記遮光フィンの軸部に対して貼付した部材で構成されているか、又は前記遮光フィンの軸部に対して一体成形されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による一態様のロールスクリーンにおいて、前記巻取手段は、操作コードの引き操作によって、スクリーンを巻き取り可能とされ、前記遮光フィンは、前記巻取手段の前後方向にて当該操作コードの引き操作を行なう側に設けられるとともに、前記固定手段に対し直接的又は間接的に回動可能に支持され、該引き操作時に当該操作コードが前記遮光フィンと当接したとき当該操作コードのテンションにより回動するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による一態様のロールスクリーンにおいて、前記遮光フィンは、前記スクリーンの巻き取り又は巻き戻しを当該操作コードにより操作可能とする操作手段の少なくとも一部を覆うよう設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による一態様のロールスクリーンにおいて、前記遮光フィンは、当該操作コードと当接可能とする曲面状に隆起させている曲面状隆起部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、錘部材(ウェイトバー)の衝突で破損するおそれのない構造で遮光フィンを取着し、巻取パイプと取付フレームとの間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。また、遮光フィンと錘部材との衝突に係る接触音も低減させることができ、操作上の不快感を低減させることができる。また、スクリーンを比較的硬質な材料を用いて構成した場合に、このスクリーンが遮光フィンに接触した際の接触音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による第1実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィン周辺の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンの構成を示す側面図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンの動作を説明する側面図である。
【
図5】(a),(b)は、それぞれ比較例の遮光フィンの構成とその動作を説明する側面図である。
【
図6】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンに係る支持部材とサイドカバーを説明する側面図である。
【
図7】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンに係るサイドカバーを説明する部分的な背面図及び側面図であり、(c),(d)は、それぞれ比較例のサイドカバーを説明する部分的な背面図及び側面図である。
【
図8】本発明による第2実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
【
図9】本発明による第2実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す部分的な側面透視図である。
【
図10】本発明による第3実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す部分的な側面透視図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ本発明による各実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンの軸支構造に関する別例を示す側面図である。
【
図12】(a),(b)は、それぞれ本発明による各実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンの軸支構造に関する更なる別例を示す側面図である。
【
図13】本発明による第4実施形態のロールスクリーンの構成を部分的に示す部分的な側面図である。
【
図14】本発明による第5実施形態のロールスクリーンの構成を部分的に示す部分的な側面図である。
【
図15】本発明による第6実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す部分的な側面透視図である。
【
図16】(a),(b)は、それぞれ本発明による各実施形態のロールスクリーンの変形例を包括的、且つ部分的に示す正面図及び斜視図である。
【
図17】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンに関する回動規制部及び回動減速部の有無を説明する側面図である。
【
図18】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンに関する回動規制部及び回動減速部の位置を例示的に説明する斜視図である。
【
図19】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける変形例の遮光フィンを説明する側面図である。
【
図20】本発明による第7実施形態のロールスクリーンの概略構成を部分的に示す正面図である。
【
図21】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による第7実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィンの動作を説明する図である。
【
図22】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による第7実施形態のロールスクリーンにおける変形例の遮光フィンの動作を説明する図である。
【
図23】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による第7実施形態のロールスクリーンにおける更なる変形例の遮光フィンを示す部分的な側面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態のロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、
図1に示すロールスクリーン1の正面図に対して、図示上方及び図示下方をスクリーン4の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をロールスクリーン1の左側、及び、図示右方向をロールスクリーン1の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1に示すロールスクリーン1の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とし、ロールスクリーン1の前後方向と称するときは、
図1の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
【0021】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
まず、
図1を参照して、本発明による第1実施形態のロールスクリーン1の構成を説明する。
図1は、本発明による第1実施形態のロールスクリーン1の概略構成を示す正面図である。
【0022】
図1に示すロールスクリーン1は、取付フレーム2の両端に支持部材2a,2bが固定され、その支持部材2a,2bから延びる固定軸(図示せず)によって、支持部材2a,2b間に円筒状の巻取パイプ3が回転可能に支持される。取付フレーム2は、ブラケット6により取着面に固定される。各支持部材2a,2bは、サイドカバー10によって収容され、後述するが、その意匠性と、遮光フィン9の回動動作に関する機能性を向上させている。
【0023】
巻取パイプ3の右端部には操作プーリー8が設けられ、この操作プーリー8に掛回される無端状の操作コード7が垂下されている。そして、操作コード7の操作により巻取パイプ3を回転操作可能となるよう構成されており、操作コード7が掛回される操作プーリー8の表面は高摩擦性の表面形状を有する。尚、この操作コード7をボールチェーンで構成し、このボールチェーンが掛回される操作プーリー8の表面を、そのボールチェーンのボール部に適合する形状の凹凸を有するように構成することもできる。
【0024】
巻取パイプ3は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持している。スクリーン4の他端は、錘部材として機能するウェイトバー5に取着されている。従って、スクリーン4はウェイトバー5の重量に基づいて張設される。
【0025】
そして、操作コード7を操作して巻取パイプ3をスクリーン巻取り方向へ回転させるとウェイトバー5が上昇し、巻取パイプ3をスクリーン巻戻し方向へ回転させるとウェイトバー5が下降する。
【0026】
また、巻取パイプ3内において、その左端側にはスクリーン4の巻上時の操作力を軽減するスプリングモーター、右端側にはスクリーン4の自重降下を防止するストッパー置等が収容されている(図示せず)。
【0027】
そこで、本発明に係るロールスクリーン1では、ウェイトバー5の衝突で破損するおそれのない構造で遮光フィン9が取付フレーム2の背面側に取着され、巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽するようになっており、以下、一実施例の遮光フィン9について詳細に説明する。
【0028】
(遮光フィン)
図2は、本発明による第1実施形態のロールスクリーン1における遮光フィン9周辺の概略構成を示す分解斜視図である。
図2を参照するに、遮光フィン9は、全体として略L字状の断面形状を有しており、取付フレーム2の背面側で回動可能に軸支されている。遮光フィン9の左右方向幅Lsは、取付フレーム2の左右方向幅Lfよりもわずかに短い構成となっている。遮光フィン9は遮光性の高いものとし、例えば合成樹脂で形成されているときに、左右方向幅Lsとして取付フレーム2の左右方向幅Lfよりもわずかに短くしておくことで、例えば熱膨張で左右方向幅が変化しても、その回動がスムーズに軸支されるようになっている。
【0029】
取付フレーム2の背面下方には、その長手方向に延在する略C字断面形状の軸受部20が形成されている。この軸受部20に遮光フィン9の軸部91が係合しており、これにより遮光フィン9は、取付フレーム2の背面側で回動可能に支持される。取付フレーム2の長手方向の両端部には支持部材2a,2bが取着されている。
【0030】
尚、支持部材2a,2bには、取付フレーム2の軸受部20の略C字断面形状とほぼ合致する大きさの切欠き23が設けられている。この切欠き23は、取付フレーム2を支持部材2a,2bによって固定した後で、遮光フィン9の軸部91を左右方向からスライドさせて軸受部20に挿入して支持可能にするために設けられている。そして、遮光フィン9をスライドさせて取り外し可能とし、このスライド以外は取り外し不可として、ウェイトバー5の衝突で遮光フィン9が取付フレーム2から外れないようになっている。尚、遮光フィン9の取り外しに関して、室外側に切欠き23がある支持部材2a(ただし、支持部材2bの室外側に切欠き23を設けてもよい)における当該切欠き23の位置に対して、遮光フィン9を跳ね上げ、或る一定の位置になった際に遮光フィン9を左右幅方向にスライドさせて取り外すことができる。
【0031】
また、支持部材2a,2bには、取付ネジを用いて取付フレーム2を固定するためのネジ孔21や、巻取パイプ3を回転可能に支持するための固定軸(図示せず)を固定するためのネジ孔22が、複数個所に設けられている。その意匠性の観点からサイドカバー10を取着しているが、このサイドカバー10には、遮光フィン9の回動動作に関する機能性を向上させる作用もある。
【0032】
即ち、詳細は後述するが、サイドカバー10には、遮光フィン9のスムーズな回動を可能とするべく、遮光フィン9の回動範囲で遮光フィン9の左右方向の両端位置を規制するよう高さを持たせた壁部10aが形成されている。この壁部10aの高さは、支持部材2a,2bの厚みを収容するのに十分な高さとなっている。そして、サイドカバー10は合成樹脂で形成され、金属材料で成形された支持部材2a,2bの外形に倣って狭圧して取着できるようになっており、壁部10aには支持部材2a,2bを掴持可能な内方に突出する爪部10bが形成されている。つまり、遮光フィン9の回動動作に関して、爪部10bや切欠き23がその回動動作を阻害しないよう壁部10aに高さを持たせている。詳細は
図7を参照して後述するが、サイドカバー10の壁部10aは、支持部材2a,2bに当接するより先に遮光フィン9が当接して、遮光フィン9を回動可能に規制するよう構成しており、即ち遮光フィン9の左右方向の両端部を規制することで、その意匠性を確保し、光漏れ効果を高めつつ回動弊害を防止できるようにしている。尚、本例では、遮光フィン9の左右方向幅Lsを取付フレーム2の左右方向幅Lfよりもわずかに短い構成とし、サイドカバー10の壁部10aで遮光フィン9を回動可能に規制するよう構成する例を示しているが、遮光フィン9の形状により支持部材2a,2bやサイドカバー10を避けるようにしてもよい。
【0033】
図3は、本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィン9の構成を示す側面図である。尚、
図3において、発明の理解を高めるために、取付フレーム2の側断面形状も破線で図示している。取付フレーム2の背面下方には、その長手方向に延在する略C字断面形状の軸受部20が形成されている。より具体的には、軸受部20は、取付フレーム2の底部から上方に延びる回動規制片20aの先端に折曲軸20fを形成し、遮光フィン9の軸部91を支持可能にしている。回動規制片20aは、遮光フィン9の下方への回動を規制する機能を有する。また、取付フレーム2の背面における軸受部20の上方には、遮光フィン9の上方への回動を規制する回動規制片20bが形成されている。図示する例では、回動規制片20aは取付フレーム2の本体背面から後方に突出する略C字状で形成され、回動規制片20bは後方に突出する略板状で形成されている。そして、遮光フィン9の軸部91が軸受部20に軸支されている状態では、遮光フィン9の上下方向への回動が規制され、遮光フィン9をどのように回動させても背面方向へ軸受部20から外れないようになっている。
【0034】
遮光フィン9は、全体として略L字状の断面形状を有しており、ウェイトバー5との干渉による衝突力を緩和するよう複曲面形状の一部材で形成されている。遮光フィン9は、主に、軸部91、遮蔽部93、生地接触部94、及び干渉緩和部95から構成されている。
【0035】
軸部91は軸受部20によって軸支される部位である。遮蔽部93は取付フレーム2と巻取パイプ3との間の隙間から生じる光漏れを防ぐ部位である。生地接触部94は巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4に当接又は近接させる部位である。干渉緩和部95はスクリーン4の巻取りによってウェイトバー5が上昇し衝突する際の干渉を緩和する部位である。
【0036】
そして、遮光フィン9は、スクリーン4の全閉時の光漏れ防止効果のために、生地接触部94とスクリーン4との近接量を高めるよう重量バランスがとられている。
【0037】
遮光フィン9の軸部91は軸受部20によって軸支され、全体として略C字断面形状で形成されている。軸部91の先端は略T字断面形状で形成され、軸受部20に対して空間的余裕を持たせた状態で係合させることで、遮光フィン9が軸受部20から外れにくくするとともに、遮光フィン9の回動自由度を高めている。一方、このように回動自由度を高めた態様で遮光フィン9の軸部91を軸受部20に軸支させると、遮光フィン9と回動規制片20bの回動干渉により不快な干渉音(接触音)を生じさせることから、軸部91には、
図3で示すように軸部91の厚みを変化させ、回動範囲で肉厚を持たせた曲部92を形成するのが好適である。このように、遮光フィン9の軸部91は、回動負荷を軽減するのに十分な空間を保持しつつ、回動時のガタツキによる音を軽減できるようになっている。
【0038】
生地接触部94は巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4に当接又は近接させる部位であり、
図4(a)に示すようにスクリーン4が巻取パイプ3に巻き取られると、スクリーン4の巻太りに倣って遮光フィン9を回動させることができる。生地接触部94は丸みを持たせた断面形状としており、これにより遮光フィン9の回動をスムーズにしている。ただし、
図4(b)に示すように、ウェイトバー5の上昇によりウェイトバー5が遮光フィン9に当接する状態ではスクリーン4に対して非当接となる。
【0039】
遮蔽部93は、軸部91と生地接触部94との間の部位であり、取付フレーム2と巻取パイプ3との間の隙間から生じる光漏れを防ぐ長さで形成されている。また、遮蔽部93は、概ね上に凸とするように曲線状の断面形状で形成されている。このように遮蔽部93を形成することで、ウェイトバー5が最上位に位置する際に必要とされる遮光フィン9の回動に伴う高さをより低くして(
図4(b)に示す距離d2)、この遮光フィン9の跳ね上がりに起因する損傷を防ぐとともに、この遮光フィン9の跳ね上がりに要する取付フレーム2の背面側の必要距離をより短くすることができる(
図4(b)に示す距離d1)。尚、本例で示すウェイトバー5の最上位は、ウェイトバー5が取付フレーム2に当接する位置である。
【0040】
例えば、
図5(a)に示す比較例1の遮光フィン109のように、遮蔽部93を概ね下に凸とするように曲線状の断面形状で形成すると、ウェイトバー5が最上位に位置する際に必要とされる遮光フィン109の回動に伴う高さが高くなり(
図5(a)に示す距離d2’)、この遮光フィン109の跳ね上がりに起因して遮光フィン109の先端が天井面に衝突し損傷するおそれが生じる。また、
図5(b)に示す比較例2の遮光フィン209のように、遮蔽部93を概ね直線状の断面形状で形成すると、この遮光フィン209の跳ね上がりに要する取付フレーム2の背面側の必要距離が本発明に係る遮光フィン9の場合よりも長くなり設置効率が悪くなる(
図5(b)に示す距離d1’)。
【0041】
また、遮蔽部93には、
図3及び
図4に示すように、軸部91近傍に遮光フィン9の上方への回動を規制する上側突起部97を設けるのが好適である。上側突起部97は、取付フレーム2の回動規制片20bと当接可能に形成され、これにより遮光フィン9の上方への回動を規制することができる。また、遮蔽部93には、軸部91近傍に遮光フィン9の下方への回動を規制する下側突起部98を設けるのが好適である。この下側突起部98については設けなくともよいが、スクリーン4との接触圧を緩和(又は非当接)とし、スクリーン4の昇降時の摩擦によるスクリーン4の損傷を抑制したいときに有効となる。そして、遮光フィン9の軸部91が軸受部20に支持されている状態では、これらの上側突起部97及び下側突起部98によっても遮光フィン9の上下方向への回動が規制され、遮光フィン9をどのように回動させても背面方向へ軸受部20から外れないようになっている。
【0042】
干渉緩和部95はスクリーン4の巻取りによってウェイトバー5が上昇し衝突する際の干渉を緩和するよう波状の曲面形状(曲線状の断面形状)で形成される。特に、干渉緩和部95の先端部96は、
図4(a)に示すように、ウェイトバー5の開口部51への差し込み防止のために上方へと逃れる曲面形状とするのが好適である。
【0043】
このように構成された遮光フィン9は、
図4に示すように、ウェイトバー5の衝突で破損するおそれのない構造を有し、巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。また、上述したように、遮光フィン9とウェイトバー5との衝突に係る接触音も低減させる構造を有するため、操作上の不快感を低減させることができる。
【0044】
また、サイドカバー10により、その意匠性と、遮光フィン9の回動動作に関する機能性を向上させている。
図6(a)に示すように、支持部材2b(2a)には、取付ネジを用いて取付フレーム2を固定するためのネジ孔21や、巻取パイプ3を回転可能に支持するための固定軸(図示せず)を固定するためのネジ孔22が、複数個所に設けられている。そして、遮光フィン9が取付フレーム2の軸受部20に軸支された状態では、
図6(b)に示すように、切欠き23も視認可能な状態となり意匠性が悪い。このため、
図6(c)に示すように、サイドカバー10を支持部材2b(2a)に取着することで、その意匠性を改善することができる。
【0045】
また、サイドカバー10には、
図7(a),(b)の本発明に係るサイドカバー10の部分的な背面図及び側面図に示すように、遮光フィン9の回動範囲で遮光フィン9の左右方向の両端位置を規制するよう高さ(図示する斜線部)を持たせた壁部10aが形成されている。そして、壁部10aに支持部材2a,2bを掴持可能な内方に突出する爪部10bが形成されている。
【0046】
一方、このように壁部10aを形成せず、短いカバー側壁とした場合、
図7(c),(d)の比較例のサイドカバー100の部分的な背面図及び側面図に示すように、遮光フィン9の回動動作に伴い、遮光フィン9が爪部10bや切欠き23に乗り上げ、遮光フィン9が閉じきらない状態となり遮光不良の原因となるおそれがある。このため、本発明では、遮光フィン9の左右方向幅Lsは、取付フレーム2の左右方向幅Lfよりもわずかに短い構成とし(
図2参照)、爪部10bや切欠き23がその回動動作を阻害しないよう壁部10aに高さを持たせ、サイドカバー10の壁部10aで遮光フィン9の左右方向の両端部を摺動させるようにすることで、光漏れ効果を高めつつ回動弊害を防止することができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、
図8及び
図9を参照して、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1aの構成を説明する。
図8は、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1aの概略構成を示す正面図である。
図9は、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1aの概略構成を示す部分的な側面透視図である。尚、第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0048】
図8に示すロールスクリーン1aは、第1実施形態と比して、操作コード7及び操作プーリー8を設ける代わりに、ウェイトバー5aに設けたプルグリップ12によりスクリーン4の開閉動作を行うよう構成した例であり、第1実施形態と同様な構成要素の更なる説明は省略する。
【0049】
巻取パイプ3は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持している。スクリーン4の他端は、錘部材として機能するプルサポート付きのウェイトバー5aに取着されている。従って、スクリーン4はウェイトバー5aの重量に基づいて張設される。
【0050】
また、巻取パイプ3内において、スクリーン4の自動巻上げを行う巻上機構(例えば、スプリングモーター)と、スクリーン4の自重降下を防止するストッパー装置等が収容されている(図示せず)。従って、ストッパー装置が作動していないとき、巻取パイプ3は、その巻上機構により、スクリーン巻取り方向へ回転するよう作動する。
【0051】
そして、ウェイトバー5aの略中央部の下端部には、下方に引っ張り可能なプルグリップ12が取着されている。プルグリップ12は、
図9に示すように、ウェイトバー5aの一部からプルコード12aを介して垂下されている。
【0052】
即ち、プルグリップ12を下方に引っ張ることで巻取パイプ3はスクリーン巻戻し方向へ回転してウェイトバー5aが下降して、任意位置でプルグリップ12を手放すとストッパー装置によりスクリーン4が引き出された状態で停止する。この状態からプルグリップ12を僅かに下方に引っ張り手放すと、ストッパー装置によるロックが解除され巻取パイプ3はスクリーン巻取り方向へ回転してウェイトバー5aが上昇する。このようにして、巻取パイプ3によってスクリーンの巻取り又は巻戻しを行うことにより室内への採光量を調節可能に構成される。
【0053】
このようにプルグリップ12を用いたロールスクリーン1aに対しても、第1実施形態で説明した遮光フィン9を共通して用いることができ、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。そして、操作コード7及び操作プーリー8を設けた第1実施形態のロールスクリーン1と、ウェイトバー5aに設けたプルグリップ12によりスクリーン4の開閉動作を行うよう構成した第2実施形態のロールスクリーン1aとで、遮光フィン9を共用可能とするため、その部品コストを削減することができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、
図10を参照して、本発明による第3実施形態のロールスクリーン1bの構成を説明する。
図10は、本発明による第3実施形態のロールスクリーン1bの概略構成を示す部分的な側面透視図である。尚、第1及び第2実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0055】
図10に示すロールスクリーン1bは、第2実施形態の変形例として、取付フレーム2の背面下方に設けられた軸受部20の形状と、この軸受部20に係合する遮光フィン9aにおける軸部91の形状を、
図9に示すものと比して上下に反転させて構成した例であり、第1及び第2実施形態と同様な構成要素の更なる説明は省略する。本例の軸受部20は、取付フレーム2の一側部から下方に屈曲させて延びる回動規制片20bの先端に折曲軸20fを形成しており、この折曲軸20fにより遮光フィン9aの軸部91を軸支させることができる。また、
図10に示す回動規制片20aは、フレーム2の底部から上方に延びるよう形成され、遮光フィン9aの下方への回動を規制するとともに、ウェイトバー5との当接を受ける機能を有する。このように形成した場合も、ウェイトバー5aの衝突で破損するおそれのない構造で遮光フィン9が取付フレーム2の背面側に取着され、巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。
【0056】
従って、操作コード7及び操作プーリー8を設けた第1実施形態の変形例として、取付フレーム2の背面下方に設けられた軸受部20の形状と、この軸受部20に係合する遮光フィン9aの軸部91の形状を、
図4(b)に示すものと比して上下に反転させて構成することができる。
【0057】
尚、遮光フィン9(又は9a)は、取付フレーム2の背面側に取着して軸支させるための軸支構造は、様々な形態が想定される。例えば、
図11(a)にて破線で側断面形状を図示するように取付フレーム2の軸受部20を構成し、
図3で示したものと同一構造の遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。より具体的には、軸受部20は、取付フレーム2の底部から上方に延びる回動規制片20aの先端に丸軸20eを形成しており、この丸軸20eにより遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。
【0058】
或いはまた、
図11(b)にて破線で側断面形状を図示するように取付フレーム2の軸受部20を構成し、
図10で示したものと同一構造の遮光フィン9aの軸部91を軸支させることができる。より具体的には、軸受部20は、取付フレーム2の一側部から下方に屈曲して延びる回動規制片20bの先端に折曲軸20fを形成しており、この折曲軸20fにより遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。
図11(b)に示す例では、
図10に示す例と比較して、回動規制片20aを形成していない。この場合、遮光フィン9aによりウェイトバー5との当接を受けることとなるが、遮光フィン9aの軸部91近傍でウェイトバー5との当接を受けるため、ウェイトバー5の衝突による遮光フィン9aの損傷は生じない。また、回動規制片20aを形成していないため、
図10に示す例と比較して、取付フレーム2の本体背面における遮光フィン9aの背面側の必要距離をより短くすることができる。
【0059】
或いはまた、
図12(a)にて破線で側断面形状を図示するように取付フレーム2の軸受部20を構成し、
図3で示したものと同一構造の遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。より具体的には、軸受部20は、取付フレーム2の底部から上方に延びる回動規制片20aの先端に折曲軸20fを形成しており、この折曲軸20fにより遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。尚、この折曲軸20fの代わりに
図11(a)に示す丸軸20eとすることもできる。また、取付フレーム2の背面における軸受部20の上方には、遮光フィン9の上方への回動を規制するとともに、遮光フィン9の回動に伴うガタツキを抑制する回動規制片20bが略C字断面形状で形成されている。従って、図示するように取付フレーム2の背面側を開口させて軸受部20を形成して、
図3で示したものと同一構造の遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。
【0060】
或いはまた、
図12(b)にて破線で側断面形状を図示するように取付フレーム2の軸受部20を構成し、
図3で示したものと同一構造の遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。より具体的には、軸受部20は、取付フレーム2の底部を開口させ、取付フレーム2の室内側底部から上方に延びる突出片の先端に折曲軸20fを形成しており、この折曲軸20fにより遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。尚、この折曲軸20fの代わりに
図11(a)に示す丸軸20eとすることもできる。また、軸受部20の上方には、取付フレーム2の室外側底部から上方に延び、遮光フィン9の回動範囲を規制し、この回動に伴うガタツキを抑制する回動規制片20bが略C字断面形状で形成されている。従って、図示するように取付フレーム2の底面側を開口させて軸受部20を形成して、
図3で示したものと同一構造の遮光フィン9の軸部91を軸支させることができる。本例では、特に、遮光フィン9が破線で示す状態から実線で示す状態まで回動したとき、遮光フィン9によりウェイトバー5との当接を受けることとなるが、遮光フィン9の遮蔽部93が取付フレーム2の底面の比較的広い範囲の面で当接して、ウェイトバー5との当接を受けるため、ウェイトバー5の衝突による遮光フィン9aの損傷は生じない。また、
図12(a)等に示すような取付フレーム2の本体背面に遮光フィン9(又は9a)を軸支させるものと比較して、取付フレーム2の本体背面における遮光フィン9aの背面側の必要距離をより短くすることができる。
【0061】
〔第4実施形態〕
次に、
図13を参照して、本発明による第4実施形態のロールスクリーン1cの構成を説明する。
図13は、本発明による第4実施形態のロールスクリーン1cの概略構成を示す部分的な側面透視図である。尚、上述した各実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0062】
図13に示すロールスクリーン1cは、取付フレーム2の前面側部に軸受部20を形成し、取付フレーム2の室内側底部で遮光フィン9bにおける軸部91を軸支するよう構成される。遮光フィン9bは、主に、上述した遮光フィン9(又は9a)と同様に、軸部91、遮蔽部93、生地接触部94、及び干渉緩和部95から構成され、その構造及び機能をほぼ同様に構成することができ、遮光フィン9b全体として復曲面形状で形成されている。干渉緩和部95の先端部96は、
図13に示すように、ウェイトバー5の開口部51への差し込み防止のために上方へと逃れる曲面形状を有している。ただし、遮光フィン9bは、上述した例えば
図4に示す遮光フィン9や
図10に示す遮光フィン9aと比較して、遮蔽部93でも巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4との当接を許容するよう遮蔽部93を平坦な形状で構成している点で特に相違している。
【0063】
本例の軸受部20は、取付フレーム2の前面側部から下方に屈曲して延びる先端に折曲軸20fを形成しており、この折曲軸20fにより遮光フィン9bの軸部91を軸支させることができる。本例では、特に、遮光フィン9bが破線で示す状態から実線で示す状態まで回動したとき、遮光フィン9bによりウェイトバー5との当接を受けることとなるが、その際に遮光フィン9bの生地接触部94は取付フレーム2の底面端部に当接し、この遮光フィン9bの生地接触部94近傍でウェイトバー5との当接を受けるため、ウェイトバー5の衝突による遮光フィン9bの損傷は生じない。また、本例では、
図13から明らかなように、
図4や
図10に示す遮光フィン9(又は9a)の例と比較して、取付フレーム2の本体背面における遮光フィン9bの背面側の必要距離をより短くすることができる。
【0064】
〔第5実施形態〕
次に、
図14を参照して、本発明による第5実施形態のロールスクリーン1dの構成を説明する。
図14は、本発明による第5実施形態のロールスクリーン1dの概略構成を示す部分的な側面透視図である。尚、上述した各実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0065】
図14に示すロールスクリーン1dは、取付フレーム2の底部に筒状の軸受部20を形成し、取付フレーム2の室内側底部で遮光フィン9cにおける丸軸状の軸部91を覆うとともに、遮光フィン9cの左右両端から丸軸状の軸部91を突出させて、支持部材2a,2bに設けた軸支持部24で支持するよう構成される。遮光フィン9cは、主に、上述した遮光フィン9(又は9a)と同様に、軸部91、遮蔽部93、生地接触部94、及び干渉緩和部95から構成され、その構造及び機能をほぼ同様に構成することができ、遮光フィン9b全体として復曲面形状で形成されている。干渉緩和部95の先端部96は、
図13に示すように、ウェイトバー5の開口部51への差し込み防止のために上方へと逃れる曲面形状を有している。ただし、遮光フィン9cは、上述した例えば
図4に示す遮光フィン9や
図10に示す遮光フィン9aと比較して、丸軸状の軸部91としている点と、遮蔽部93でも巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4との当接を許容するよう遮蔽部93を平坦な形状で構成している点で特に相違している。
【0066】
本例の軸受部20は、遮光フィン9cの丸軸状の軸部91を覆うよう筒状に形成されており、遮光フィン9cの丸軸状の軸部91の左右両端は、丸軸状の軸部91が支持部材2a,2bに設けた軸支持部24で支持可能に突出している(図示せず)。これにより、遮光フィン9cは、回動可能に支持部材2a,2bに支持させることができる。本例では、特に、遮光フィン9cが破線で示す状態から実線で示す状態まで回動したとき、遮光フィン9cによりウェイトバー5との当接を受けることとなるが、その際に遮光フィン9の遮蔽部93は取付フレーム2の底面の比較的広い範囲の面で当接して、ウェイトバー5との当接を受けるため、ウェイトバー5の衝突による遮光フィン9cの損傷は生じない。また、本例では、
図14から明らかなように、
図4や
図10に示す遮光フィン9(又は9a)の例と比較して、取付フレーム2の本体背面における遮光フィン9cの背面側の必要距離をより短くすることができる。
【0067】
以上のように、第1乃至第5実施形態のロールスクリーンでは、ウェイトバー5(又は5a)の衝突で破損するおそれのない構造で遮光フィン9(又は9a乃至9c)が取付フレーム2の背面側又は底面側に取着され、巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。
【0068】
〔第6実施形態〕
次に、
図15を参照して、本発明による第6実施形態のロールスクリーン1eの構成を説明する。
図15は、本発明による第6実施形態のロールスクリーン1eの概略構成を示す部分的な側面透視図である。尚、第1乃至第5実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0069】
第6実施形態のロールスクリーン1eは、第1乃至第5実施形態で説明したものとは、取付フレーム2の背面下方に設けられた軸受部20の形状と、この軸受部20に係合する遮光フィン9dの構造が相違しているが、他の構成要素は同様であり、その更なる説明は省略する。
【0070】
第6実施形態のロールスクリーン1eでは、取付フレーム2の背面下方に設けられた軸受部20の形状が、遮光フィン9dの下方への回動を規制する回動規制片20aと、遮光フィン9dの上方への回動を規制する回動規制片20bと、略半円状に凹みを持たせた凹部20cとを有するよう構成される。
【0071】
そして、遮光フィン9dは、ウェイトバー5との干渉による衝突力を緩和するよう屈曲可能な連結式の多部材構成としており、主に、軸部91a、遮蔽部93a、生地接触部94a、及び干渉緩和部95aから構成されている。遮光フィン9bは、生地接触部94aの位置で、軸部91a及び遮蔽部93aを構成する部材と、干渉緩和部95aを構成する部材とを屈曲可能とする連結式の2部材構成としている。
【0072】
軸部91aは軸受部20によって軸支される部位である。遮蔽部93aは取付フレーム2と巻取パイプ3との間の隙間から生じる光漏れを防ぐ部位である。生地接触部94aは当該屈曲可能とする連結部位であるとともに、巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4に当接又は近接させる部位である。干渉緩和部95aはスクリーン4の巻取りによってウェイトバー5が上昇し衝突する際の干渉を緩和する部位である。
【0073】
そして、遮光フィン9dは、スクリーン4の全閉時の光漏れ防止効果のために、生地接触部94aとスクリーン4との近接量を高めるよう重量バランスがとられている。
【0074】
遮光フィン9dの軸部91aは軸受部20によって軸支され、全体として略円断面形状で形成されている。軸部91aは、軸受部20に対してガタツキの生じない態様で係合させることで、遮光フィン9dが軸受部20から外れにくくするとともに、遮光フィン9dの回動自由度を高めている。このようにガタツキの生じない態様で係合させることで、遮光フィン9dの遮蔽部93aと回動規制片20bとの回動干渉による不快な干渉音(接触音)が生じないようにしている。
【0075】
生地接触部94aは、軸部91a及び遮蔽部93aを構成する部材と、干渉緩和部95aを構成する部材とを屈曲可能に連結し、且つ巻取パイプ3によって巻取り又は巻戻すスクリーン4に当接又は近接させる部位であり、スクリーン4の巻太りに倣って遮光フィン9dを回動させることができる。生地接触部94aは、軸部91a及び遮蔽部93aを構成する部材の略C字断面形状の端部と、干渉緩和部95aを構成する部材の略円断面形状の端部とを相対回動可能に連結している。これにより遮光フィン9dの回動をスムーズにしている。尚、この生地接触部94aによる連結形態は、軸部91a及び遮蔽部93aを構成する部材と干渉緩和部95aを構成する部材とが相対回動可能であれば任意であり、例えば、これら部材をテープ等で連結してもよい。本実施形態の例では、このように2部材構成で屈曲可能としているが3部材以上としてもよい。
【0076】
遮蔽部93aは、軸部91aと生地接触部94aとの間の部位であり、取付フレーム2と巻取パイプ3との間の隙間から生じる光漏れを防ぐ長さで形成されている。また、遮蔽部93aは、曲部92aで屈曲した概ね上に凸とするように曲線状の断面形状で形成されている。このように遮蔽部93aを形成することで、ウェイトバー5が最上位に位置する際に必要とされる遮光フィン9dの回動に伴う高さをより低くして、この遮光フィン9dの跳ね上がりに起因する損傷を防ぐとともに、この遮光フィン9dの跳ね上がりに要する取付フレーム2の背面側の必要距離をより短くすることができる点で、第1実施形態と同様である。
【0077】
また、遮蔽部93aは、曲部92aで屈曲した形状を有しているため、
図15に示すように、曲部92aと軸部91aとの間の領域で、取付フレーム2の回動規制片20bと当接可能となり、これにより遮光フィン9bの上方への回動を規制することができる。そして、遮光フィン9dの軸部91aが軸受部20に支持されている状態では、遮光フィン9dをどのように回動させても軸受部20から外れないようになっている。尚、取付フレーム2の軸受部20に対する遮光フィン9dの軸部91aの取付方法は、第1実施形態と同様である。
【0078】
干渉緩和部95aは、生地接触部94aの位置で屈曲されて、スクリーン4の巻取りによってウェイトバー5が上昇し衝突する際の干渉を緩和する。特に、干渉緩和部95aの先端部96aは、
図15に示すように、ウェイトバー5の開口部51への差し込み防止のために丸みを持たせた曲面形状とするのが好適である。
【0079】
このように構成された遮光フィン9dは、ウェイトバー5の衝突で破損するおそれのない構造を有し、巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。また、上述したように、遮光フィン9dとウェイトバー5との衝突に係る接触音も低減させる構造を有するため、操作上の不快感を低減させることができる。
【0080】
そして、
図15に示す遮光フィン9dは、第2実施形態で説明したようなプルグリップ12を用いるロールスクリーンにも適用可能であることは勿論である。
【0081】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、各実施形態において、主に、スクリーン4を巻取パイプ3の室外側から垂下するロールスクリーンに、本発明に係る遮光フィンを適用する例を説明したが、本発明に係る遮光フィンは、スクリーン4を巻取パイプ3の室内側から垂下するロールスクリーンにも共通の部材で用いるよう構成することができる。
【0082】
また、各実施形態のロールスクリーンにおいて、それぞれ遮光フィンの軸部の形状を異なる形状で説明した例があるが、それぞれの実施形態における遮光フィンの軸部の形状のうち1つを用いた形態とすればよい。
【0083】
また、第2乃至第6実施形態のいずれにおいても、第1実施形態のように、サイドカバーを設けるのが好適であり、このため、遮光フィンの左右方向幅は、取付フレームの左右方向幅よりもわずかに短い構成とし、サイドカバーの爪部や支持部材の切欠きがその回動動作を阻害しないようサイドカバーの壁部に高さを持たせるのが好適である。
【0084】
このように、各実施形態のロールスクリーンにおいて、遮光フィンの軸部91を軸支するために、取付フレーム2の背面下方、又は底面側に軸受部20を設けることができる。
【0085】
また、各実施形態のロールスクリーンの変形例として、
図16(a)に示すように、支持部材2a,2bによりスクリーン4を巻取り可能な巻取パイプ3を支持して、取付フレームを用いることなく支持部材2a,2bを天井面に固定するよう構成したロールスクリーン1fとすることができる。この場合、前述した遮光フィン9などの各実施形態における遮光フィンを、支持部材2a,2bにより軸支させて設けることができる。例えば、代表して第1実施形態の遮光フィン9を支持部材2a,2bにより軸支させる際の構成例を
図16(b)に示している。支持部材2a,2bは、天井面に固定可能に略くの字に折り曲げられた板状部材で構成され、それぞれ丸孔状の軸支持部24が形成されている。各支持部材2a,2bの丸孔状の軸支持部24に円柱軸25が支持される。この円柱軸25に遮光フィン9の軸部91を軸支させることで、上述した第1実施形態の遮光フィン9の作用・効果を発揮させることができる。
【0086】
尚、ロールスクリーン1fにおいて、遮光フィン9を軸支させる形態は様々な変形例が想定される。例えば、支持部材2a,2bのそれぞれに所定長で突出する円柱軸を固着させ、これら円柱軸に遮光フィン9を軸支させてもよいし、丸軸状の軸部91で構成した遮光フィン9cの左右両端から丸軸状の軸部91を突出させて、支持部材2a,2bに設けた軸支持部24で支持するよう構成してもよい。また、
図16(a)では、第1実施形態と同様に、操作コード7によるスクリーン4の昇降操作を可能とする例を示しているが、第2実施形態のように、プルグリップ12による昇降操作を可能とするよう構成することができる。そして、
図16に示す実施形態においても、第1実施形態のように、サイドカバーを設けるのが好適である。
【0087】
また、好適には、各実施形態における遮光フィンを、スクリーン4が巻取パイプ3から下限位置まで垂下されている状態で巻取パイプ3の上部(例えば、取付フレーム2と巻取パイプ3との間や、天井面と巻取パイプ3との間)の隙間を全て覆うよう構成することで、その遮光性を高めることができる。
【0088】
また、好適には、各実施形態における遮光フィンを、スクリーン4が巻取パイプ3から下限位置まで垂下されている状態で巻取パイプ3及び/又はスクリーン4に非接触となるよう構成することで、その遮光性を高めた状態で、巻取パイプ3やスクリーン4との接触で生じてしまうような損傷を防止することができる。
【0089】
また、好適には、各実施形態における遮光フィンを、スクリーン4が上限位置にある状態で巻取パイプ3及び/又はスクリーン4に非接触となるよう構成することで、その遮光性を高めた状態で、巻取パイプ3やスクリーン4との接触で生じてしまうような損傷を防止することができる。
【0090】
そして、好適には、上述した実施形態の一例として説明したように、遮光フィンの軸部91(又は91a)が取付フレーム2における前端縁近傍、又は後端縁近傍にて軸支するよう構成することで、その遮光性を高めた状態で巻取パイプ3やスクリーン4との接触で生じてしまうような損傷を防止するとともに、遮光フィンの回動に伴う必要距離の最小化、即ち必要設置面積の縮小化を図ることができる。
【0091】
更に、好適には、上述した実施形態の一例として説明したように、取付フレーム2に遮光フィンの軸部91(又は91a)の回転を規制しながら軸支する片(上述の実施形態の例では、取付フレーム2の下方又は上方から延びる回動規制片20a,20bであり、先端に丸軸20eや折曲軸20fが形成されたものでもよい)を形成することで、遮光フィンの回動時のガタツキや音を軽減させることができる。尚、
図16で示したように、取付フレーム2を用いずに、遮光フィンを支持部材2a,2bで軸支する場合も、支持部材2a,2bに遮光フィンの軸部91(又は91a)の回転を案内する突出片を所定長で突出させて形成することができる。
【0092】
更に、好適には、上述した実施形態の一例として説明したように、巻取パイプ3によるスクリーン4の巻き取りが、取付フレーム2に対するウェイトバー5の当接により停止するよう構成することで、ウェイトバー5との当接による遮光フィンの跳ね上がりを軽減可能となる。
【0093】
〔回動減速部及び回動規制部〕
次に、遮光フィン9がスクリーン4とはその最大巻取径時にも非接触となるよう遮光フィン9を取付フレーム2に軸支させるロールスクリーンの構成と、遮光フィン9がスクリーン4のウェイトバー5との干渉により緩やかに回動するよう遮光フィン9を取付フレーム2に軸支させるロールスクリーンの構成について説明する。
【0094】
例えば竹筒など、比較的硬質で長尺な筒状の素材を編み込んで形成されるスダレによりスクリーン4を構成することがある。このようなスダレは凹凸があるため、遮光フィン9と常時接触させて遮光するよう遮光フィン9を取付フレーム2に軸支させると、スクリーン4の巻取り時に、遮光フィン9とスダレによるスクリーン4との擦れによる接触音や、遮光フィン9のガタツキに伴う取付フレーム2との接触音が比較的大きく発生し、操作者に不快感を生じさせることがある。
【0095】
そこで、この接触音をより低減させるために、遮光フィン9の回動を規制可能とする回動規制部80を設けるのが好適であり、これに代えて、或いはこれに加えて、遮光フィン9の回動時の速度を低減する回動減速部81を設けるのが好適である。以下、
図17及び
図18を参照して、回動規制部80及び回動減速部81を順に説明する。
図17(a)は、本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける遮光フィン9に関して、回動規制部80及び回動減速部81を設けていないときの側面図であり、一方、
図17(b)は、遮光フィン9に関して回動規制部80及び回動減速部81を設けたときの側面図である。また、
図18は、回動規制部80及び回動減速部81の位置を例示した図である。
【0096】
また、以下の説明では、主として、回動規制部80を取付フレーム2に貼付可能な部材として構成し、更に、回動減速部81を遮光フィン9の軸部91に対して貼付可能な部材として構成した例を挙げている。
【0097】
(回動規制部)
まず、上述した実施形態の作用を改めて言及すると、
図17(a)に代表して示す第1実施形態のロールスクリーンにおいて、軟質生地で構成したスクリーン4の場合では、その最大巻取径(
図17(a)に図示する矢印H)時や全閉状態時に、遮光フィン9における生地接触部94をスクリーン4の周面に接触するよう(
図17(a)の図示A)、遮光フィン9の軸部91を取付フレーム2の軸受部20に軸支させると、その遮光性を高めることができる。尚、光漏れが無視できる限りにおいて、必ずしも遮光フィン9における生地接触部94をスクリーン4の周面に接触させる必要はなく、近接させた状態で遮光フィン9を構成してもよい。
【0098】
即ち、軟質生地で構成したスクリーン4の場合では、その最大巻取径時で、遮光フィン9の下側突起部98が取付フレーム2の軸受部20における回動規制片20aに当接又は近接するよう(
図17(a)の図示B)、遮光フィン9を構成すればよい。また、軟質生地で構成したスクリーン4の場合では、
図3を参照して前述したように、遮光フィン9の軸部91を取付フレーム2の軸受部20に対して空間的余裕を持たせた状態で係合させることで(
図17(a)の図示C)、遮光フィン9が軸受部20から外れにくくするとともに遮光フィン9の回動自由度を高め、且つ軸部91の厚みを変化させ回動範囲で肉厚を持たせた曲部92を形成している。このため、遮光フィン9と回動規制片20bの回動干渉に起因する不快な干渉音(接触音)は無視できるほど軽減させることができる。
【0099】
これに対して、例えば竹筒など、比較的硬質で長尺な筒状の素材を編み込んで形成されるスダレによりスクリーン4を構成した場合、その最大巻取径時や全閉状態時に関わらず、遮光フィン9における生地接触部94をスクリーン4の周面に接触するよう遮光フィン9の軸部91を取付フレーム2の軸受部20に軸支させてしまうと、スクリーン4の巻取り時に、特にスクリーン4を巻取るほど、遮光フィン9と凹凸の有るスダレによるスクリーン4との擦れによる接触音が比較的大きく発生し、操作者に不快感を生じさせる。
【0100】
そこで、
図17(b)に示すように、スダレによりスクリーン4を構成した場合では、回動規制部80を構成する部材を取付フレーム2の軸受部20における回動規制片20aに貼付して、スクリーン4の最大巻取径(
図17(b)に図示する矢印H)時でも、遮光フィン9における生地接触部94がスクリーン4の周面に接触しないように(
図17(b)の図示D)、遮光フィン9の角度を調整する。このような回動規制部80を構成する部材は、合成樹脂により任意形状でシート状に形成し、その一面に粘着剤を塗布したシール状のものとすることができる。
【0101】
そして、この回動規制部80を構成する部材は、取付フレーム2の左右方向幅のほぼ全長に亘って貼付してもよいが、取付フレーム2の左右方向幅にて複数個所に点在するよう貼付すればよい。例えば、
図18にて誇張して示すように、取付フレーム2の左右方向における両端部近傍と中央部の合計三箇所にて回動規制部80を構成する部材を貼付すればよい。また、スダレの生地厚に応じて、回動規制部80を構成する部材の厚みも複数種用意するのが好適であり、シール状に形成することで重ねて貼付可能に構成するのが望ましい。これにより、スクリーン4の最大巻取径時や全閉状態時の光漏れが無視できるほど小さくすることを考慮して、この回動規制部80を構成する部材によって遮光フィン9における生地接触部94とスクリーン4の周面との間の間隔を調整することができる。
【0102】
このような回動規制部80を構成する部材は、取付フレーム2の軸受部20における回動規制片20aに貼付する代わりに、遮光フィン9の下側突起部98に貼付してもよい。そして、回動規制部80を適用する取付フレーム2及び/又は遮光フィン9は、必ずしもスダレによりスクリーン4を構成した場合に限らず、軟質生地で構成したスクリーン4の場合にも利用可能である。
【0103】
(回動減速部)
次に、回動減速部81について詳細に説明する。遮光フィン9の軸部91を取付フレーム2の軸受部20に対して空間的余裕を持たせた状態で係合させた状態では(
図17(a)の図示C)、例えば竹筒など、比較的硬質で長尺な筒状の素材を編み込んで形成されるスダレによりスクリーン4を構成した場合、そのスダレの凹凸で遮光フィン9のバタツキが生じ、このため、遮光フィン9の軸部91と取付フレーム2の軸受部20との接触音が大きく生じることがある。
【0104】
そこで、
図17(b)に示すように、スダレによりスクリーン4を構成した場合では、回動減速部81を構成する部材を遮光フィン9の軸部91における曲部92に貼付して、回動規制片20bに接触させるようにする。このような回動減速部81を構成する部材は、発砲ゴムにより任意形状でシート状に形成し、その一面に粘着剤を塗布したテープ状のものとした発砲ゴムテープとすることができる。この回動減速部81は、取付フレーム2の回動規制片20bと接触して、遮光フィン9とウェイトバー5との接触で遮光フィン9が回動する際も緩やかに回動するようになり、更に遮光フィン9の回動時の振動を低減するダンパー作用を呈して遮光フィン9のバタツキを抑えることができる。この回動減速部81を構成する部材は、取付フレーム2の左右方向幅のほぼ全長に亘って貼付してもよいが、取付フレーム2の左右方向幅にて複数個所に点在するよう貼付すればよい。例えば、
図18にて誇張して示すように、取付フレーム2の左右方向における両端部近傍の合計二箇所にて回動減速部81を構成する部材を貼付すればよい。また、軸部91(より具体的には軸部91における曲部92)と回動減速部81とを2色成形で一体成形して当該遮光フィン9を構成することもできる。
【0105】
回動減速部81を構成する部材を発砲ゴムで形成することで、遮光フィン9が軸受部20から外れにくくするとともに遮光フィン9の回動自由度を損なうことは無く、遮光フィン9と回動規制片20bの回動干渉により不快な干渉音(接触音)が無視できるほど軽減させることができる。従って、回動減速部81を適用する遮光フィン9は、必ずしもスダレによりスクリーン4を構成した場合に限らず、軟質生地で構成したスクリーン4の場合にも利用可能である。
【0106】
また、上記の作用を生じさせる回動減速部81は、発砲ゴムや発砲ゴムテープなどの部材で構成する他、グリスダンパー、又はオイルダンパーにより構成してもよい。
【0107】
以上のように、回動規制部80及び/又は回動減速部81を設けることにより、遮光フィン9に関する接触音を低減させるようロールスクリーンを構成することができる。
【0108】
尚、別部材として回動規制部80を遮光フィン9と取付フレーム2のいずれか一方、又は双方に設けることなく、このような回動規制部80の機能を持つよう、遮光フィン9の下側突起部98、及び/又は取付フレーム2の回動規制片20aを形成させた構成としてもよい。例えば、
図19は、本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける変形例の遮光フィン9を説明する側面図である。
図19に示す例は、
図17(b)に示す構成と比して、前述した回動規制部80の機能を遮光フィン9の下側突起部98に持たせた例である。本例では、下側突起部98が、スクリーン4の全閉状態(
図19に示す破線の状態)時だけでなく、スクリーン4の最大巻取径(
図19に図示する矢印H)時でも、遮光フィン9における生地接触部94がスクリーン4の周面に接触しないように下側突起部98が遮光フィン9の下方で突起して、遮光フィン9の角度が調整されたものとなっており、この下側突起部98が回動規制部80として機能する。
【0109】
特に、遮光フィン9を、取付フレーム2と巻取パイプ3との間の少なくとも仰角0度以上の直接入射光を防止し、且つ下限から所定の高さまでスクリーン4とは接触しないよう、上下方向に可動(上下方向の直線移動や回動を含む)に軸支させることで、その光漏れを効果的に遮蔽することができ、遮光フィン9に係る接触音も低減させることができる。
【0110】
好適には、上述したように、遮光フィン9をスクリーン4とはその最大巻取径時にも非接触となるようにすることで、遮光フィン9に係る接触音を確実に低減させることができる。
【0111】
図17(b)及び
図19に示す構成では、
図3に示す遮光フィン9の場合を例に代表して説明したが、このような回動規制部80及び回動減速部81の機能を有するようロールスクリーンを構成するには、前述した遮光フィン9a,9b,9c,9dの場合にも適用可能である。
【0112】
また、
図17(b)及び
図19に示す構成では、生地接触部94がスクリーン4の周面に接触しないが、図示するように曲面状に隆起させているため、光漏れを抑制するのに好適な形状となっている点に留意する。従って、生地接触部94は、このようなスクリーン4の周面との接触を必ずしも必要としない「曲面状隆起部」として構成される。
【0113】
〔第7実施形態〕
ここで、上述した各実施形態及びその変形例において、遮光フィン9(或いは9a)を正面側(室内側)に配置する構成とすることもできる。例えば第1実施形態のロールスクリーン1に対して、
図3に示す遮光フィン9を室内側に配置した例を第7実施形態として、以下に説明する。ここで、第7実施形態のロールスクリーン1は、巻取パイプ3の一端部に操作プーリー8が設けられ、この操作プーリー8に掛回される無端状の操作コード7が垂下されている。
図20は、本発明による第7実施形態のロールスクリーン1の概略構成を部分的に示す正面図である。また、
図21(a),(b),(c)は、それぞれ本発明による第7実施形態のロールスクリーン1における遮光フィン9の動作を説明する図である。尚、上述した各実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付しており、同様な構成要素の更なる詳細な説明は省略する。
【0114】
即ち、
図20に示す第7実施形態のロールスクリーン1は、
図3を参照して説明したように遮光フィン9が全体として略L字状の断面形状を有しているが、その軸部91が取付フレーム2の正面側(室内側)に設けられた軸受部20に対して回動可能に軸支されている。そして、
図21(a)に示すように、ウェイトバー5が下限位置にあるときの非操作時のスクリーン4は、巻取パイプ3の背面側(室外側)から垂下されている。特に、第7実施形態のロールスクリーン1では、遮光フィン9が、操作プーリー8の少なくとも一部を覆うように設けられており、これによりその意匠性を向上させている。
【0115】
また、このように遮光フィン9を操作プーリー8の少なくとも一部を覆うように設けたときに、
図21(b)に示すように、例えば
図21(a)に示す非操作状態から操作コード7を正面側(室内側)に角度をつけて引くことで巻取パイプ3によるスクリーン4の巻き上げを行う際に、操作コード7が遮光フィン9の生地接触部(曲面状隆起部)94と当接しても遮光フィン9が回動するため、その引き操作を妨げることが無い。
【0116】
また、遮光フィン9の生地接触部(曲面状隆起部)94は、その曲面状に隆起させた形状を有することから、操作コード7が遮光フィン9と当接しても、その摩擦抵抗を軽減させることができ、これにより引き操作に要する負荷が大きく増大しないようになっている。操作コード7とは組紐以外にも、多数のボールが紐に固着されたボールチェーンや数珠繋ぎされた金属チェーンを含む。
【0117】
尚、第7実施形態のロールスクリーン1において、引き操作により巻取パイプ3で巻き取るスクリーン4が所定の巻取径に達すると、操作コード7は遮光フィン9と当接しなくなり、遮光フィン9はそのスクリーン4の巻取りに応じて回動するため、遮光フィン9の機能及びその操作性を妨げることはない。例えば、ウェイトバー5が上限位置にあるときの非操作時のスクリーン4は、
図21(c)に示すような状態となる。
【0118】
このように、第7実施形態のロールスクリーン1によれば、遮光フィン9により意匠性を向上させつつ、引き操作に要する負荷も大きく増大させることなく、遮光機能を作用させることができる。
【0119】
ここで、上述した各実施形態の遮光フィン9(或いは9a)は、室内側でも室外側でも共通に配置利用可能とすることを意図して説明したが、例えば、室内側専用に遮光フィン9を配置する構成とすることもできる。例えば、
図21と対比可能に
図22に示すように、
図3に示す遮光フィン9の形状から、干渉緩和部95とその先端部96を排除した形状とすることもできる。これにより、上述の作用・効果を有しながら前後方向の寸法がコンパクトとなり設置効率を更に改善することができる。
【0120】
また、上述した各実施形態の遮光フィン9(或いは9a)を室内側に配置したロールスクリーンを構成する際に、前述した
図16(b)に示したように、取付フレーム2に支持せず各支持部材2a,2bに支持させてもよい。より具体的には、各支持部材2a,2bの丸孔状の軸支持部24に円柱軸25を支持させて、この円柱軸25に遮光フィン9の軸部91を軸支させても、上述した第7実施形態の遮光フィン9の作用・効果を発揮させることができる。
【0121】
尚、遮光フィン9を取付フレーム2や支持部材2a,2bに対して直接的又は間接的に回動可能に支持するよう構成することができる。例えば、
図23(a)に示すように、間接支持の一例として、遮光フィン9を各支持部材2a,2bの軸支持部24に対し回動可能に支持しつつ取付フレーム2により遮光フィン9の軸部91下面側を支持し、遮光フィン9中央部(遮蔽部93)に対する撓みを阻止するよう構成してもよい。より具体的には、取付フレーム2の前端縁下方に、遮光フィン9上部の円柱状の軸部91に沿う円弧状に突出する回動規制片20aを設けて遮光フィン9の軸部91を支持し、遮光フィン9の軸部91に円柱軸25aを一体化させて各支持部材2a,2bの丸孔状の軸支持部24に回動可能に支持させる形態とすることもできる。
【0122】
或いは、間接支持の別例として、
図23(b)に示すように、取付フレーム2に固定されるブラケット6に回動支持部60を設け、遮光フィン9を回動可能に支持してもよい。より具体的には、ブラケット6aの室内側端部に下方が一部開放した凹状の回動支持部60を設け、遮光フィン9の上端(軸部91)を円柱状として所定角度回転可能に支持することができる。このようなブラケット6aを取付フレーム2の複数個所で嵌合し各ブラケット6aに遮光フィン9を支持することが好ましい。ブラケット6aは天井面等の躯体に固定するためのブラケット6と兼ねてもよいし、この躯体に固定する為のブラケット6とは別の部材としてもよい。
【0123】
尚、遮光フィン9の直接支持の別例として、
図23(c)に示すように、軸受部20の形状を取付フレーム2から延びる丸軸で形成し、この丸軸の軸受部20を掴持して軸支させるよう遮光フィン9の軸部91を形成することもできる。
【0124】
このように、遮光フィン9を巻取パイプ3の前後方向にて操作コード7の引き操作を行なう側に設け、取付フレーム2や支持部材2a,2bに対して直接的又は間接的に回動可能に支持し、該引き操作時に操作コード7が遮光フィン9と当接したとき当該操作コード7のテンションにより回動するよう構成することで、引き操作に要する負荷も大きく増大させることなく、遮光機能を作用させることができる。特に、遮光フィン9の生地接触部(曲面状隆起部)94は、その曲面状に隆起させた形状とすることで、操作コード7が遮光フィン9と当接しても、その摩擦抵抗を軽減させることができる。そして、遮光フィン9を操作プーリー8の少なくとも一部を覆うよう設けることで、その意匠性を向上させることができる。尚、第7実施形態で示した形態は先の実施形態にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明によれば、巻取パイプと取付フレームとの間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる遮光フィンを構成できるので、任意の形態のロールスクリーンの用途に有用である。
【符号の説明】
【0126】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f ロールスクリーン
2 取付フレーム
2a,2b 支持部材
3 巻取パイプ
4 スクリーン
5,5a ウェイトバー
7 操作コード
8 操作プーリー
9,9a,9b,9c,9d 遮光フィン
10 サイドカバー
10a 壁部
20 軸受部
20a,20b 回動規制片
91,91a 軸部
92, 92a 曲部
93, 93a 遮蔽部
94,94a 生地接触部
95,95a 干渉緩和部
96,96a 先端部
80 回動規制部
81 回動減速部