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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】歩行性害虫捕獲装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/14 20060101AFI20220825BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A01M1/14 J
A01M1/02 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020528841
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2019025864
(87)【国際公開番号】W WO2020009032
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018128595
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591121513
【氏名又は名称】クラレトレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 英治
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0077917(US,A1)
【文献】特開2006-136296(JP,A)
【文献】実開平06-015477(JP,U)
【文献】特開2015-084718(JP,A)
【文献】特開2013-172660(JP,A)
【文献】特表2013-544514(JP,A)
【文献】特開2007-209337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部シートと、
前記上部シート上に設けられ、歩行性害虫の背面と接触する粘着シートと、
前記粘着シートに対向して設けられ、前記歩行性害虫が歩行する歩行用シートと
を備え、
前記粘着シートの一端部が前記歩行用シートの一端部に接続された接続部を有するとともに、前記粘着シートの他端部が前記歩行用シートの他端部から離間して配置され、
前記粘着シートと前記歩行用シートの間に前記歩行性害虫を収容する空間部が形成されるとともに、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との間に、前記歩行性害虫が前記空間部に侵入可能な侵入口が形成され、
前記粘着シートと前記歩行用シートとの離間距離が前記侵入口から前記接続部に向けて漸減するテーパー形状を有し、
前記上部シートが、光透過性を有し、前記上部シートの外表面上に光遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、歩行性害虫捕獲装置。
【請求項2】
前記歩行用シートの長さをL、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離をHとした場合に、tanθ=H/Lの値が、0.01≦tanθ≦0.25であることを特徴とする、請求項1に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項3】
上部シートと、
前記上部シート上に設けられ、歩行性害虫の背面と接触する粘着シートと、
前記粘着シートに対向して設けられ、前記歩行性害虫が歩行する歩行用シートと
を備え、
前記粘着シートの一端部が前記歩行用シートの一端部から離間して配置されるとともに、前記粘着シートの他端部が前記歩行用シートの他端部から離間して配置され、
前記粘着シートと前記歩行用シートの間に前記歩行性害虫を収容する空間部が形成されるとともに、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との間に、前記歩行性害虫が前記空間部に侵入可能な侵入口が形成され、
前記粘着シートと前記歩行用シートとの離間距離が前記侵入口から前記粘着シートの一端部及び前記歩行用シートの一端部に向けて漸減するテーパー形状を有し、
前記上部シートが、光透過性を有し、前記上部シートの外表面上に光遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、歩行性害虫捕獲装置。
【請求項4】
前記歩行用シートの長さをL、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離をH、前記粘着シートの一端部と前記歩行用シートの一端部との離間距離をHとした場合に、tanθ=(H-H)/Lの値が、0.01≦tanθ≦0.25であることを特徴とする、請求項3に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項5】
前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離が、1~5mmであることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項6】
前記上部シートの外表面上に、該上部シートの、前記侵入口側から前記接続部側に向けて遮光性が高くなる前記光遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項3に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項7】
前記光遮蔽部材が、前記上部シートの外表面に対して着脱可能であることを特徴とする、請求項1,3,6のいずれか1項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項8】
前記歩行用シートの、前記粘着シート側と反対側の表面上に、他の粘着シートが設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項9】
前記粘着シートおよび前記歩行用シートの少なくとも一方が誘引剤を含有することを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項10】
前記誘引剤が、オクテナール、ヘキセナール、ヘキサノン、乳酸、ジメチルジスルフィド、及びジメチルトリスルフィドからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【請求項11】
前記歩行性害虫が、トコジラミであることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着面によりトコジラミなどの歩行性害虫を捕獲する歩行性害虫捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トコジラミは、以前はナンキンムシとも呼ばれていた吸血昆虫であるが、近年、薬剤耐性のあるトコジラミが増加しており、宿泊施設や家庭にもその被害が及んでいる。
【0003】
一般に、トコジラミの駆除は、専門の駆除業者が強力な薬剤を用いて駆除するか、もしくは発生した家具類を熱湯で処理して駆除するなどの方法が採られているが、多大なる労力が必要となる。
【0004】
そこで、トコジラミを捕獲する装置が提案されている。例えば、波状に加工された波状板状体と、粘着面を有するとともに粘着面を波状板状体側に向けて波状板状体の波状凸部に貼着する粘着体とを有し、粘着体の粘着面と波状板状体の波状凸部間にトコジラミ侵入部を設けた捕獲装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、筐体の内部空間に設けられた誘引剤と、筐体上に設けられ、トコジラミが歩行可能な通路を有する退避部と、退避部と隣接して設けられ、筐体の少なくとも1つの壁面に形成された開口部とを備えた捕獲装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、歩行性害虫として、アリ、ゴキブリ、ダニ、ムカデ、ヤスデなど、人体を噛んだり、刺したりすることにより害を及ぼす害虫もおり、さらに、直接、人体への影響は少ないものの、不快性をもたらす不快害虫である歩行性害虫についても、防除方法や捕獲装置が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-64499号公報
【文献】特表2013-544514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特許文献1に記載のトコジラミ捕獲装置は、トコジラミの足を粘着面に粘着させて捕獲するものであるが、トコジラミの足と粘着面との接触面積が小さいため、粘着力が不十分である場合は、トコジラミを捕獲することが困難であるという問題があった。また、トコジラミは、粘着のある面への侵入を回避する習性があるため、トコジラミを捕獲することが困難であるという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献2に記載のトコジラミ捕獲装置においては、誘引剤を使用するものであるが、落とし罠トラップにトコジラミが落ちる確率が低いため、トコジラミの捕獲が困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、トコジラミを含む歩行性の害虫を効率よく捕獲することができる歩行性害虫捕獲装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
【0011】
[1]上部シートと、前記上部シート上に設けられ、歩行性害虫の背面と接触する粘着シートと、前記粘着シートに対向して設けられ、前記歩行性害虫が歩行する歩行用シートとを備え、前記粘着シートの一端部が前記歩行用シートの一端部に接続された接続部を有するとともに、前記粘着シートの他端部が前記歩行用シートの他端部から離間して配置され、前記粘着シートと前記歩行用シートの間に前記歩行性害虫を収容する空間部が形成されるとともに、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との間に、前記歩行性害虫が前記空間部に侵入可能な侵入口が形成され、前記粘着シートと前記歩行用シートとの離間距離が前記侵入口から前記接続部に向けて漸減するテーパー形状を有することを特徴とする、歩行性害虫捕獲装置。
【0012】
[2]前記歩行用シートの長さをL、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離をHとした場合に、tanθ=H/Lの値が、0.01≦tanθ≦0.25であることを特徴とする、前記[1]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0013】
[3]上部シートと、前記上部シート上に設けられ、歩行性害虫の背面と接触する粘着シートと、前記粘着シートに対向して設けられ、前記歩行性害虫が歩行する歩行用シートとを備え、前記粘着シートの一端部が前記歩行用シートの一端部から離間して配置されるとともに、前記粘着シートの他端部が前記歩行用シートの他端部から離間して配置され、前記粘着シートと前記歩行用シートの間に前記歩行性害虫を収容する空間部が形成されるとともに、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との間に、前記歩行性害虫が前記空間部に侵入可能な侵入口が形成され、前記粘着シートと前記歩行用シートとの離間距離が前記侵入口から前記粘着シートの一端部及び前記歩行用シートの一端部に向けて漸減するテーパー形状を有することを特徴とする、歩行性害虫捕獲装置。
【0014】
[4]前記歩行用シートの長さをL、前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離をH、前記粘着シートの一端部と前記歩行用シートの一端部との離間距離をHとした場合に、tanθ=(H-H)/Lの値が、0.01≦tanθ≦0.25であることを特徴とする、前記[3]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0015】
[5]前記粘着シートの他端部と前記歩行用シートの他端部との離間距離が、1~5mmであることを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0016】
[6]前記上部シートが光遮蔽性を有することを特徴とする、前記[1]~[5]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0017】
[7]前記上部シートが、光透過性を有することを特徴とする、前記[1]~[5]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0018】
[8]前記上部シートの外表面上に光遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、前記[7]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0019】
[9]前記上部シートの外表面上に、該上部シートの、前記侵入口側から前記接続部側に向けて遮光性が高くなる前記光遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、前記[8]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0020】
[10]前記光遮蔽部材が、前記上部シートの外表面に対して着脱可能であることを特徴とする、前記[8]または[9]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0021】
[11]前記歩行用シートの、前記粘着シート側と反対側の表面上に、他の粘着シートが設けられていることを特徴とする、前記[1]~[10]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0022】
[12]前記粘着シートおよび前記歩行用シートの少なくとも一方が誘引剤を含有することを特徴とする、前記[1]~[11]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0023】
[13]前記誘引剤が、オクテナール、ヘキセナール、ヘキサノン、乳酸、ジメチルジスルフィド、及びジメチルトリスルフィドからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、前記[12]に記載の歩行性害虫捕獲装置。
【0024】
[14]前記歩行性害虫が、トコジラミであることを特徴とする、前記[1]~[13]のいずれかに記載の歩行性害虫捕獲装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、歩行性害虫の背面と接触する粘着シートにおいて、歩行性害虫と粘着シートの粘着面との接触面積を大きくすることができ、歩行性害虫を確実に捕獲することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る歩行性害虫捕獲装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る歩行性害虫捕獲装置を示す断面図であり、図1のA-A断面図である。
図3】本発明の変形例に係る歩行性害虫捕獲装置を示す断面図である。
図4】本発明の変形例に係る歩行性害虫捕獲装置を示す断面図である。
図5】本発明の変形例に係る歩行性害虫捕獲装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
<歩行性害虫捕獲装置>
本発明において歩行性害虫とは、人体を噛んだり、刺したりすることにより、害を及ぼす害虫や、直接の人体への影響は少ないものの、不快感をもたらす不快害虫などの害虫の中で、歩行により移動を行う種を示す。歩行性害虫の例としては、トコジラミ、アリ、ゴキブリ、ダニ、ムカデ、ヤスデなどが挙げられる。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る歩行性害虫捕獲装置を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る歩行性害虫捕獲装置を示す断面図であり、図1のA-A断面図である。
【0030】
本実施形態の歩行性害虫捕獲装置1は、上部シート2と、上部シート2上に設けられ、歩行性害虫Bの背面Bと接触する粘着シート3と、粘着シート3に対向して設けられ、歩行性害虫Bが歩行する歩行用シート4とを備えている。
【0031】
また、図2に示すように、粘着シート3の一端部3aが歩行用シート4の一端部4aに接続された接続部5を有するとともに、粘着シート3の他端部3bが歩行用シート4の他端部4bから離間して配置されている。
【0032】
また、粘着シート3と歩行用シート4の間に歩行性害虫Bを収容する空間部10が形成されるとともに、粘着シート3の他端部3bと歩行用シート4の他端部4bとの間に、歩行性害虫Bが空間部10に侵入可能な侵入口11が形成されている。
【0033】
この歩行性害虫捕獲装置1の大きさは、使用用途に応じて、適宜、設定することができ、特に限定されないが、例えば、押し入れの布団の間に差し込んで使用する場合、歩行性害虫捕獲装置1の長さ(即ち、歩行用シート4の長さ)Lを2~100cmとしてもよい。なお、取扱い性や廃棄の際の手間、歩行性害虫の粘着捕獲面の確保の観点も考慮して、3~30cmが好ましく、5~10cmがさらに好ましい。
【0034】
また、例えば、床から上ってくる歩行性害虫に備えてベッドの周囲に取り付ける場合、図1に示すように、上記の大きさのものを連結(図1においては2個)して、さらに大きいサイズとすることもできる。
【0035】
また、歩行性害虫捕獲装置は、複数個、設置して使用することもできる。
【0036】
<上部シート>
上部シート2は、粘着シート3を均等に保持し、シートとして取り扱いが可能な強度を付与するためのものである。この上部シート2を構成する材料としては、例えば、セルロース系の紙や、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。
【0037】
この上部シート2としては、柔軟で薄く、粘着剤との接着性がよく、粘着剤に使用する溶剤に対して耐久性があり、寸法安定性がよいものが使用される。この上部シートは、光遮蔽性を有したものでも、光透過性を有したものであってもよく、光遮蔽性を有するシートとしては、黒色または他の中濃色に着色した紙、フィルムなどを用いることができる。
【0038】
光透過性を有するシートとしては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂からなる透明フィルムを用いることができる。
【0039】
上部シート2が光遮蔽性を有していれば、歩行性害虫がトコジラミなどの暗所を好む習性を有する場合、その習性を利用し、歩行性害虫の捕獲効果を増加させることができる。一方、上部シートが光透過性を有していれば、捕獲された歩行性害虫を装置の外部から容易に確認することができる。
【0040】
<粘着シート>
粘着シート3は、粘着面により、歩行性害虫を捕捉するためのものであり、歩行性害虫を捕捉するのに適切な粘着性を有していれば特に制限されない。例えば、アクリル系、ゴム系、SISブロック系、シリコン系の粘着剤により形成することができる。なお、これらの粘着剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
なお、歩行性害虫Bを確実に捕獲するとの観点から、粘着シート3の粘着力は高い方がよく、粘着後、半永久的に被着体に接着する永久接着タイプが好ましい。一定期間、貼り付け後に剥がすことを目的とする再剥離タイプの粘着シートは、比較的、粘着性が劣るため、好ましくない。
【0042】
そして、図2に示すように、この粘着シート3は、歩行性害虫Bの背面Bと接触するように構成されているため、歩行性害虫Bと粘着シート3の粘着面との接触面積を大きくすることができる。
【0043】
<歩行用シート>
歩行用シート4は、歩行性害虫Bが歩行できるシート状物であれば特に制限されない。歩行性害虫が歩きやすいように、平滑な面よりは適度な凹凸があるものがよく、紙でもよい。また、歩行用シート4として、図1に示すように、テーパー型仕切り部材12と一体となった、樹脂成型シートを用いてもよい。
【0044】
<誘引剤>
また、粘着シート3として、誘引剤を含む粘着シート3を使用してもよい。この誘引剤は、歩行性害虫を誘引して、空間部10へと容易に導くためのものである。この誘引剤としては、一般に歩行性害虫を誘引する効果を有するものであれば特に制限はなく、例えば、歩行性害虫がトコジラミの場合は、オクテナール、ヘキセナール、ヘキサノン、乳酸、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドなどから選ぶことができる。
【0045】
また、歩行用シート4やテーパー型仕切り部材12に、これらの誘引剤を含めてもよい。
【0046】
また、歩行用シート4やテーパー型仕切り部材12が樹脂製である場合、誘引剤を樹脂中に練り込むこともできる。この場合、誘引剤は樹脂成型体の内部から徐放されるために、表面塗工と比べて誘引効果が長く持続するという長所がある。
【0047】
<取り付け用粘着シート>
また、図2に示すように、本実施形態の歩行性害虫捕獲装置1は、歩行用シート4の、粘着シート3側と反対側の表面上に、取り付け用粘着シート6が設けられている。従って、例えば、歩行性害虫捕獲装置1を縦置きにして、壁に取り付けて使用する場合に、壁の被粘着面に対して、歩行性害虫捕獲装置1を容易に取り付けることができる。
【0048】
また、取り付け用粘着シート6は、再剥離が容易なアクリル系の粘着剤等により形成することができる。なお、これらの粘着剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
そして、本実施形態の歩行性害虫捕獲装置1は、図2に示すように、粘着シート3と歩行用シート4との離間距離Hが、侵入口11から接続部5に向けて漸減するテーパー形状を有している。
【0050】
このような構成により、狭い空間を好むトコジラミなどの歩行性害虫Bの習性により、侵入口11から空間部10内へ侵入した歩行性害虫Bが、空間部10の奥側(即ち、接続部5側)の狭い空間へ移動し易くなるため、歩行性害虫Bの背面Bと、テーパー形状を有する歩行性害虫捕獲装置1の粘着シート3が接触しやすくなる。その結果、歩行性害虫Bの捕獲効率が向上し、歩行性害虫Bを確実に捕獲することが可能になる。
【0051】
なお、歩行性害虫Bがトコジラミの場合、その体長が5~8mmであり、扁平形状であることを考慮して、トコジラミを侵入口11から空間部へと確実に侵入させるとの観点から、侵入口11の高さ(即ち、粘着シート3の他端部3bと歩行用シート4の他端部4bとの離間距離H)は、1~5mmであることが好ましい。
【0052】
また、歩行性害虫Bが捕獲装置1に入り込み、歩行性害虫の背面Bが粘着シート3に接触するまで、捕獲装置1の内部に進行する必要があることとの観点から、歩行用シート4の長さLと、離間距離Hとの間に、下記式(1)の関係が成立することが好ましい。
【0053】
[数1]
0.01≦tanθ=H/L≦0.25 (1)
【0054】
なお、歩行用シート4の長さLは、上述のごとく、2~100cmであることが好ましい。
【0055】
(歩行性害虫捕獲装置の製造方法)
次に、本実施形態の歩行性害虫捕獲装置の製造方法の一例を説明する。
【0056】
まず、歩行用シート4として、黒色の画用紙を用い、その背面に取り付け用粘着シート6を貼り付けた後、歩行用シート4上に、テーパー型仕切り部材12を取り付け、さらにその上に、片面に粘着シート3を有する上部シート2を、粘着シート3側が歩行用シート4に対向するように取り付けることにより、歩行性害虫捕獲装置1を製造することができる。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0058】
歩行性害虫のうち、特にトコジラミの場合、トコジラミは暗所を好む習性があるため、上部シート2が光透過性を有するシートである場合、図3に示すように、上部シート2の、接続部5側の外表面2a上に光遮蔽部材7を設ける構成としてもよい。このような構成により、侵入口11から空間部10内へ侵入したトコジラミが、より暗がりとなる空間部10の奥側(即ち、接続部5側)へ更に移動し易くなるため、トコジラミの背面Bと、テーパー形状を有する歩行性害虫捕獲装置1の粘着シート3が接触しやすくなる。その結果、トコジラミの捕獲効率が更に向上することになる。
【0059】
また、上部シート2の外表面2a上に、上部シート2の、侵入口11側から接続部5側に向けて遮蔽性が高くなる光遮蔽部材7を設ける構成としてもよい。この際、1つの光遮蔽部材7を設ける構成としてもよく、複数の光遮蔽部材7を設ける構成としてもよい。
【0060】
例えば、上部シート2の、侵入口11側の外表面2a上に第1の光遮蔽部材7を設けるとともに、上部シート2の、接続部5側の外表面2a上に、第1の光遮蔽部材7よりも遮蔽性が高い第2の光遮蔽部材7を設ける構成とすることができる。
【0061】
この光遮蔽部材7は、光を遮蔽するものであれば特に限定されず、光遮蔽性の高い光遮蔽部材としては、黒色または他の中濃色に着色した紙、フィルム、シートなどを用いることができる。また、光遮蔽性の低い光遮蔽部材としては、白色または淡色の紙、フィルム、シートなどを用いることができる。
【0062】
さらに、上部シート2が光透過性を有するシートである場合、捕獲された歩行性害虫を装置の外部から容易に確認するために、光遮蔽部材7は、上部シート2の外表面2aに対して着脱可能であることが好ましい。
【0063】
また、歩行性害虫捕獲装置は、粘着シート3と歩行用シート4との離間距離Hが侵入口11から接続部5に向けて漸減するテーパー形状を有していれば、上部シート2や粘着シート3の断面形状は限定されない。
【0064】
例えば、図4に示す歩行性害虫捕獲装置20のごとく、上部シート2と粘着シート3の断面が曲面形状であってもよい。
【0065】
この場合も、上記実施形態における歩行性害虫捕獲装置1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、図5に示す歩行性害虫捕獲装置30のごとく、粘着シート3の一端部3aと歩行用シート4の一端部4aとを離間して配置する構成としてもよい。
【0067】
この場合、図5に示すように、歩行性害虫捕獲装置30は、粘着シート3と歩行用シート4との離間距離Hが、侵入口11から粘着シート3の一端部3a及び歩行用シート4の一端部4aに向けて漸減するテーパー形状を有する。
【0068】
なお、粘着シート3の一端部3aと歩行用シート4の一端部4aの離間距離Hは、侵入した歩行性害虫Bが粘着シート3の一端部3aと歩行用シート4の一端部4aとの間から逃走することを防止するとの観点から、1mm以下であることが好ましい。
【0069】
また、上記実施形態における歩行性害虫捕獲装置1の場合と同様に、歩行性害虫Bが捕獲装置30に入り込み、歩行性害虫の背面Bが粘着シート3に接触するまで、捕獲装置1の内部に進行する必要があるとの観点から、歩行用シート4の長さL、離間距離H、及び、粘着シート3の一端部3aと歩行用シート4の一端部4aとの離間距離Hとの間に、下記式(2)の関係が成立することが好ましい。
【0070】
[数2]
0.01≦tanθ=(H-H)/L≦0.25 (2)
【0071】
この場合も、上記実施形態における歩行性害虫捕獲装置1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、図3に示す歩行性害虫捕獲装置1と同様に、図5に示す歩行性害虫捕獲装置30においても、上部シート2の、粘着シート3の一端部3a側(または歩行用シート4の一端部4a側)の外表面2a上に光遮蔽部材7を設ける構成としてもよい。
【0073】
また、同様に、上部シート2の外表面2a上に、上部シート2の、侵入口11側から接続部5側に向けて遮蔽性が高くなる光遮蔽部材7を設ける構成としてもよく、上部シート2の外表面2aに対して着脱可能な光遮蔽部材7を設ける構成としてもよい。
【0074】
更に、図4に示す歩行性害虫捕獲装置20と同様に、図5に示す歩行性害虫捕獲装置30においても、上部シート2と粘着シート3の断面が曲面形状であってもよい。
【実施例
【0075】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0076】
(実施例1)
(歩行性害虫捕獲装置の作製)
市販の黒ボール紙(厚み0.78mm)を5cm×5cmにカットして、歩行用シートとした。この歩行用シートに、両面粘着シート(市販品)を5cm×5cmにカットしたものを取り付け、取り付け用粘着シートとした。
【0077】
また、透明フィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーT60、厚み75μm)を5cm×5cmにカットして上部シートとした。この上部シートに、両面粘着シート(テクノフローワン(株)製、商品名:TC5510)を5cm×5cmにカットしたものを取り付けて、粘着シートとした。
【0078】
また、長さが50mmの四角錐台形状を有し、一方の面が5mm×5mmであり、他方の面が5mm×0.1mmである楔状の成型体を、黒色フィラメントを用いて3Dプリンターで作製し、テーパー型仕切り部材とした。
【0079】
次に、歩行用シートの取り付け用粘着シートと反対側に、端から等間隔にテーパー型仕切り部材を3個、粘着テープで取り付け、さらにその上に、上部シートの粘着シート側をテーパー型仕切り部材12に取り付けた。
【0080】
さらに、上部シートの、接続部側の外表面上に、光遮蔽部材である市販のボール紙(厚み0.4mm、5cm×5cmにカットしたもの)を取り付けることにより、図3に示す歩行性害虫捕獲装置を作製した。
【0081】
なお、作製した歩行性害虫捕獲装置において、歩行シートの長さLは50mm、離間距離Hは5mmであり、tanθは0.1であった。
【0082】
(捕獲評価)
次に、5200mLの長方形のプラスチック容器内の床面に、ろ紙を敷き、作製した歩行性害虫捕獲装置(2個)を底面の取り付け用粘着シートを介して、プラスチック容器に取り付けて設置した。
【0083】
次に、プラスチック容器内に、トコジラミ10匹を投入し、室温21~25℃、相対湿度15~32%の条件下で、室内照明を12時間、点灯させた状態と、12時間、消灯させた状態を繰り返して、48時間経過後に、歩行性害虫捕獲装置の粘着部分に捕獲されたトコジラミの数を確認した。
【0084】
そして、以下の式(3)を用いて、トコジラミの捕獲率を算出した。なお、上記処理を3回行い、3回分の捕獲率の平均値を表1に示す。
【0085】
[数3]
捕獲率(%)=(粘着捕獲数/投入数)×100 (3)
【0086】
(実施例2)
上部シートに取り付ける両面粘着シートの粘着部に、誘引剤である乳酸を0.5%配合したこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0087】
(実施例3)
上部シートの、接続部側の外表面上に、図3に示すように、光遮蔽性の高い市販のボール紙(厚み0.4mm、5cm×2.5cmにカットしたもの)を取り付けるとともに、上部シートの、侵入口側の外表面上(即ち、上述のボール紙が取り付けられていない部分)に、光遮蔽性の低いコピー用紙(白色、厚み0.09mm、5cm×2.5cmにカットしたもの)を取り付けることにより、上部シートの該表面上に光遮蔽部材を設けたこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0088】
(実施例4)
上部シートの外表面上に、光遮蔽部材であるボール紙を設置しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0089】
(実施例5)
長さが100mmの四角錐台形状を有し、一方の面が5mm×5mmであり、他方の面が5mm×4mmである成型体を、黒色フィラメントを用いて3Dプリンターで作製し、テーパー型仕切り部材としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0090】
なお、作製した歩行性害虫捕獲装置において、歩行シートの長さLは100mm、離間距離Hは3mm、離間距離Hは1mm、tanθは0.02であった。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0091】
(実施例6)
長さが100mmの四角錐台形状を有し、一方の面が5mm×5mmであり、他方の面が5mm×4mmである成型体を、黒色フィラメントを用いて3Dプリンターで作製し、テーパー型仕切り部材としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、細く評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0092】
なお、作製した歩行性害虫捕獲装置において、歩行シートの長さLは100mm、離間距離Hは5mm、離間距離Hは4mm、tanθは0.01であった。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0093】
(実施例7)
実施例1において、楔型の成型体の樹脂中に、ヘキセナールとオクテナールを50/50の重量比で混合した誘引剤を40μg配合したこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0094】
(実施例8)
実施例1において、歩行性害虫として、アルゼンチンアリを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0095】
(実施例9)
実施例1において、歩行性害虫として、ナミハダニを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0096】
(実施例10)
実施例1において、歩行性害虫として、体長8mm以下のチャバネゴキブリの幼虫を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0097】
(比較例1)
上部シートに粘着シートを取り付けず、歩行用シートの取り付け用粘着シートと反対側の面(歩行性害虫歩行面)に、両面粘着シート(テクノフローワン(株)製、商品名:TC5510)を5cm×5cmにカットしたものを取り付けて、粘着シートとしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0098】
(比較例2)
市販の黒ボール紙(厚み0.78mm)を5cm×5cmにカットして、歩行用シートとした。この歩行用シート4に、両面粘着シート(市販品)を5cm×5cmにカットしたものを取り付け、取り付け用粘着シートとした。
【0099】
また、透明フィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーT60、厚み75μm)を5cm×5cmにカットして上部シートとした。この上部シートに、両面粘着シート(テクノフローワン(株)製、商品名:TC5510)を5cm×5cmにカットしたものを取り付けて、粘着シートとした。
【0100】
また、長さが50mmの四角柱形状を有し、一方の面が5mm×5mmであり、他方の面が5mm×5mmである柱状の成型体を、黒色フィラメントを用いて3Dプリンターで作製し、テーパー形状を有しない平行型仕切り部材とした。
【0101】
次に、歩行用シートの取り付け用粘着シートと反対側に、端から等間隔に平行型仕切り部材を3個、粘着テープで取り付け、さらにその上に、上部シートの粘着シート側を平行型仕切り部材12に取り付けた。
【0102】
さらに、上部シートの外表面上に、光遮蔽部材である市販のボール紙(厚み0.4mm、5cm×5cmにカットしたもの)を取り付けることにより、テーパー形状を有しない平行型の歩行性害虫捕獲装置を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、捕獲評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示すように、実施例1の歩行性害虫捕獲装置においては、多数のトコジラミが捕獲されており、効率よくトコジラミを捕獲できた。実施例2では、誘引剤が配合されているため、実施例1に比し、多数のトコジラミを捕獲できていることが分かる。実施例3では、歩行性害虫捕獲装置の空間部において、入口から空間部の奥側(即ち、接続部側)へ行くにしたがって暗くなってゆくため、実施例1に比し、より多くのトコジラミを、より暗がりとなる空間部10の奥側へ誘導することができ、より効率よくトコジラミを捕獲できた。実施例4では、光遮蔽されていないため、光遮蔽されている実施例1~3と比較してトコジラミ捕獲数は少なかったが、捕獲は可能であった。実施例5では、粘着シートの一端部と歩行用シートの一端部の離間距離があるものの、効率よくトコジラミを捕獲できた。実施例6では、粘着シートの一端部と歩行用シートの一端部の離間距離が大きいため、サイズの小さいトコジラミが逃走し、離間距離のない実施例1~3、および離間距離が小さい実施例5と比較してトコジラミ捕獲数は少なかったが、捕獲は可能であった。
【0105】
さらに、実施例7では、誘引剤(ヘキセナールとオクテナール)の効果により、85%の高い捕獲率を達成した。
【0106】
また、歩行性害虫として、実施例8ではアルゼンチンアリ、実施例9ではナミハダニ、実施例10では体長8mm以下のチャバネゴキブリにつき、捕獲評価を行ったところ、これらの歩行性害虫についても捕獲は可能であり、本発明の歩行性害虫捕獲装置の汎用性を確認することができた。
【0107】
一方、比較例1では、上部シートに粘着シートがなく、歩行シート上の粘着シートでは、トコジラミの足と粘着面との接触面積が小さく、また粘着面部にはトコジラミが侵入しにくいため、トコジラミの捕獲はできなかった。比較例2では、粘着シートと歩行用シートとの離間距離が侵入口から奥側に向けて一定であり、トコジラミは内部に入るものの、トコジラミの背面部の上にある粘着面には届かないため、トコジラミの捕獲はできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本発明は、粘着面により歩行性害虫を捕獲する歩行性害虫捕獲装置として、特に有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 歩行性害虫捕獲装置
2 上部シート
2a 上部シートの外表面
3 粘着シート
3a 粘着シートの一端部
3b 粘着シートの他端部
4 歩行用シート
4a 歩行用シートの一端部
4b 歩行用シートの他端部
5 接続部
6 取り付け用粘着シート(他の粘着シート)
7 光遮蔽部材
10 空間部
11 侵入口
12 テーパー型仕切り部材
20 歩行性害虫捕獲装置
30 歩行性害虫捕獲装置
B 歩行性害虫
B1 歩行性害虫の背面
粘着シートの他端部と歩行用シートの他端部との離間距離
粘着シートの一端部と歩行用シートの一端部との離間距離
L 歩行用シートの長さ
図1
図2
図3
図4
図5