(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】送気チューブ用接続ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20220825BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B1/015
(21)【出願番号】P 2020559636
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2018045867
(87)【国際公開番号】W WO2020121475
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 元康
(72)【発明者】
【氏名】平賀 都敏
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 真也
(72)【発明者】
【氏名】山岡 弘治
(72)【発明者】
【氏名】上杉 武文
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 侑磨
(72)【発明者】
【氏名】木村 敬太
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-237126(JP,A)
【文献】特開平08-010216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/94
A61B 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送気チューブが接続されて固定可能な送気チューブ用接続ユニットであって、
前記送気チューブからの気体が流入する第1の開口を有する第1の管状部と、
検査時に使用されるベッドと水平方向に略平行に配置可能に構成され、前記気体が流出する第2の開口を有する第2の管状部と、
前記第1の開口と前記第2の開口とを含んで形成され、前記気体が送気される送気流路と、
を有し、
前記送気チューブが前記送気チューブ用接続ユニットに固定され
且つ前記送気チューブが自重によって重力方向に延出されているときに、前記気体の送気流路の一部は、前記第2の管状部の中心軸に対して、重力方向とは反対側の領域を通るように形成される、送気チューブ用接続ユニット。
【請求項2】
前記反対側の領域は、前記第2の管状部の前記中心軸に対して、前記第1の開口とは反対側にある、請求項1に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項3】
前記第1の管状部と前記第2の管状部を連結する連結部と、
前記第1の開口から前記連結部内に向かって形成された第1の流路と、
前記連結部内から前記第2の開口に向かって形成された第2の流路と、
を有し、
前記気体の送気流路は、前記第1の流路と前記第2の流路により形成される、請求項2に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項4】
前記第1の流路は、前記第1の管状部の第1の内側空間と前記連結部内の第1の内部空間により形成され、
前記第2の流路は、前記第2の管状部の第2の内側空間と前記連結部内の第2の内部空間により形成され、
前記気体の送気流路の一部は、前記連結部内において前記第1の内部空間と前記第2の内部空間の間に設けられ、前記第2の管状部の前記中心軸に対して前記第1の開口とは反対側に形成された第3の開口を含む、請求項3に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項5】
前記第2の流路の一部が前記第2の管状部の前記中心軸に対して前記第1の開口とは反対側を通るように形成されることにより、前記気体の送気流路の一部は、前記第2の管状部の前記中心軸に対して前記重力方向とは反対側の領域を通るように形成される、請求項3に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項6】
前記第2の流路は、前記第2の管状部の前記中心軸に対して傾斜して形成されることにより、前記第2の流路の一部が前記第2の管状部の前記中心軸に対して前記第1の開口とは反対側を通るように形成される、請求項5に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項7】
前記第1の管状部と前記第2の管状部を連結する連結部と、
前記第1の開口から前記連結部内に向かって形成された第1の流路と、
前記連結部内から前記第2の開口に向かって形成された第2の流路と、
を有し、
前記気体の送気流路の一部は、前記送気チューブが前記送気チューブ用接続ユニットに固定されたときにおける、前記送気チューブの内側空間の一部である、請求項1に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項8】
前記連結部は、前記送気チューブを前記送気チューブ用接続ユニットに固定するために、前記送気チューブを保持する保持部を有する、請求項7に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【請求項9】
前記保持部は、前記送気チューブを係止する鉤状部を有する、請求項8に記載の送気チューブ用接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術において用いられる送気チューブが接続される送気チューブ用接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術において体腔内に硬性鏡などの器具を挿入するときに、トラカールが用いられる。手術時、トラカールを介して炭酸ガスを体腔内に送気して、体腔内における、硬性鏡の術視野の確保と処置スペースが確保される。
【0003】
例えば、経肛門的全直腸間膜切除術(以下、TaTMEと略す)においても、硬性鏡の術視野と処置スペースを確保するために、気腹装置を用いて炭酸ガスにより直腸を膨らませて処置が行われる。気腹装置は、減圧弁や流量調整弁を制御し、炭酸ガスを、所定の圧力と流量に調整して送気チューブを介して直腸内に供給する。
【0004】
通常、TaTMEでは、肛門を拡張するための、また硬性鏡や処置具を挿入するための所定のアクセスポートが、肛門に配設される。そのアクセスポートにトラカールを刺し、トラカールに送気チューブを接続し、直腸内に炭酸ガスが供給される。
【0005】
通常の腹腔鏡下外科手術では、患部への焼却などの処置や洗浄のための送水により、血液、生理食塩水などの液体が腹腔内に溜まるが、通常の腹腔鏡下手術では、トラカールの位置は液体の水面よりも高い位置にあるため、送気チューブ内に液体は浸入しない。
【0006】
しかし、TaTMEにおいて、例えば日本国特表2012-504030号公報に開示されているようなトラカールを用いて行うと、液体が送気チューブ内に浸入してしまう虞がある。TaTMEでは、送気チューブがアクセスポートにおいて重力方向において低い位置に設けられる可能性がある。そのため、TaTMEにおいて、血液等の液体がアクセスポート内に溜まると、液体が送気チューブ内に浸入してしまう虞がある。
【0007】
液体が送気チューブ内に浸入すると、気腹装置からの送気が安定せず、直腸内の圧力を所望の圧力に維持できなくなり、術視野及び処置スペースが適切に確保できなくなり、手術に支障を来す虞がある。
【0008】
よって、本発明は、液体が送気チューブ内へ浸入し難い送気チューブ用接続ユニットを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の送気チューブ用接続ユニットは、送気チューブが接続されて固定可能な送気チューブ用接続ユニットであって、前記送気チューブからの気体が流入する第1の開口を有する第1の管状部と、検査時に使用されるベッドと水平方向に略平行に配置可能に構成され、前記気体が流出する第2の開口を有する第2の管状部と、前記第1の開口と前記第2の開口とを含んで形成され、前記気体が送気される送気流路と、を有し、前記送気チューブが前記送気チューブ用接続ユニットに固定され且つ前記送気チューブが自重によって重力方向に延出されているときに、前記気体の送気流路の一部は、前記第2の管状部の中心軸に対して、重力方向とは反対側の領域を通るように形成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に関わる手術システムの模式的構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットの部分断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットを構成するカバー部材の斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットを構成する蓋部材の斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットの分解組立図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に関わる、チューブ接続部の中心軸とアクセスポート接続部の中心軸を通る平面に沿った、送気チューブ用接続ユニットの断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った、カバー部材からアクセスポート接続部の中心軸方向に見たときの送気チューブ用接続ユニットの断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に関わる、送気チューブ用接続ユニットがアクセスポートに装着された状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態に関わる、送気チューブ用接続ユニットがアクセスポートに装着された状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に関わる接続ユニットの斜視図である。
【
図12】本発明の第3の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットがアクセスポートに装着された状態を示す断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態に関わる送気チューブ用接続ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一態様の送気チューブ用接続ユニットは、送気チューブが接続されて固定可能な送気チューブ用接続ユニットであって、前記送気チューブからの気体が流入する第1の開口を有する第1の管状部と、検査時に使用されるベッドと水平方向に略平行に配置可能に構成され、前記気体が流出する第2の開口を有する第2の管状部と、前記第1の開口と前記第2の開口とを含んで形成され、前記気体が送気される送気流路と、を有し、前記送気チューブが前記送気チューブ用接続ユニットに固定されて使用されるときに、前記気体の送気流路の一部は、前記第2の管状部の中心軸に対して、重力方向とは反対側の領域を通るように形成される。
【0012】
ビデオプロセッサ11には、図示しない内視鏡が接続され、ビデオプロセッサ11は、内視鏡により得られた内視鏡画像を生成して、図示しない表示装置に表示する。光源装置12は、内視鏡内に配設されたライトガイドへ供給する照明光を生成する。光源装置12に生成された照明光は、内視鏡の先端部の照明窓から出射される。
気腹装置13は、患者の体腔内に炭酸ガスなどの気体を送気する。そのため、気腹装置13には、送気チューブ13aの一端が接続されている。送気チューブ13aの他端は、後述する送気チューブ用接続ユニット17に接続されている。
【0013】
さらに、気腹装置13には、後述する直腸内の圧力を計測するための圧力計測用チューブ13bの一端も接続されている。圧力計測用チューブ13bの他端は、後述するアクセスポート16の圧力計測用ポートに接続されている。吸引装置14は、患者Mの体腔内の液体の吸引を行う。そのため、吸引装置14には、吸引チューブ14aの一端が接続されている。
【0014】
患者Mは、ベッド15の上に、仰臥位で寝た状態で、TaTMEの手技が行われる。患者Mの肛門には、アクセスポート16が装着される。アクセスポート16は、手術用アクセス器具であり、シールキャップ16aと、直腸内に処置具などを通すためのアクセスチャンネル部16bを有する。アクセスチャンネル部16bが、患者Mの肛門に挿入される。
【0015】
送気チューブ用接続ユニット17は、アクセスポート16に装着される。シールキャップ16aは、ゲルパッド表面を有するシール可能なアクセス面部を有し、アクセスチャンネル部16bの内部を気密に保つための軟性部材である。
【0016】
複数のトラカール型のインレットポート部材(図示せず)がシールキャップ16aを貫通してシールキャップ16aに取り付けられる。硬性鏡、処置具などの各器具は、インレットポート部材を介して、直腸内に挿入可能となる。
【0017】
送気チューブ用接続ユニット(以下、単に接続ユニットともいう)17が、シールキャップ16aのアクセス面部に装着される。送気チューブ13aの先端部が送気チューブ用接続ユニット17に接続される。
【0018】
気腹装置13から送気チューブ13aに送出された炭酸ガスは、送気チューブ用接続ユニット17を介して、アクセスポート16内に供給される。肛門に装着されたアクセスポート16は、直腸内をシールするため、炭酸ガスは、直腸を膨らませる。
【0019】
アクセスポート16は、上述した圧力計測用チューブ13bの他端が接続される圧力計測用ポート(図示せず)を有している。気腹装置13は、送気チューブ13aへの送気量から算出した直腸内の推定圧力と、圧力計測用ポートを介して検出した直腸内の検出圧力とに基づいて送気チューブ13aの詰まりなどの有無を監視しながら、直腸内を所定の圧力になるように、炭酸ガスの送気量を算出して、算出した送気量の炭酸ガスを送気チューブ13aに送出する。
【0020】
直腸内が所定の圧力に保持されることにより、直腸内に所定の空間が確保されるので、手技の術視野及び処置スペースが適切に確保される。その結果、術者は、内視鏡により直腸内を見ながら、処置具による処置を行うことができる。
(送気チューブ用ユニット)
図2は、送気チューブ用接続ユニット17の斜視図である。
図3は、送気チューブ用接続ユニット17の部分断面図である。送気チューブ用接続ユニット(以下、接続ユニットともいう)17は、送気チューブ13aが接続されるチューブ接続部21と、アクセスポート接続部22と、チューブ接続部21とアクセスポート接続部22を連結する連結部23とを有する。
【0021】
チューブ接続部21は、管状部31を含み、管状部31の先端側部分には、送気チューブ13aが装着される段差部32が形成されている。送気チューブ13aの先端部分が管状部31に外挿されてチューブ接続部21に接続されて固定されると、炭酸ガスは、管状部31の先端の開口33から接続ユニット17内に導入される。すなわち、管状部31は、送気チューブ13aが接続可能で、送気チューブ13aからの気体が流入する流入口である開口33を先端部に有する。
【0022】
アクセスポート接続部22は、管状部34を含み、患者Mの肛門に装着されるアクセスポート16(後述する)のアクセス面部に取り付けられる。より具体的には、アクセスポート接続部22は、
図9に示すようにアクセスポート16のシールキャップ16aのアクセス面部を貫通するようにしてアクセスポート16に取り付けられる。アクセスポート接続部22は、管状部34の中間部分に外向フランジ35を有する。外向フランジ35は、接続ユニット17がシールキャップ16aのアクセス面部から抜け落ちるのを防止する抜け落ち防止部を構成する。
【0023】
接続ユニット17が後述するアクセスポート16に装着されると、管状部34の先端の開口36は、アクセスポート16内に配置される。すなわち、炭酸ガスは、接続ユニット17内の所定の流路を通って、管状部34の流出口である開口36から吐出する。すなわち、管状部34は、アクセスポート16に接続可能で、送気チューブ13aからの気体が流出する流出口である開口36を先端部に有する。
【0024】
連結部23は、略円柱形状の外観形状を有する。より詳しくは、連結部23は、長円の円柱形状を有している。その長円は、陸上競技場のトラックのような形状である。長円は、長手軸C1方向に伸びた長円の円柱形状を有している。連結部23は、管状部31と管状部34を連結する。
【0025】
さらに、
図2に示すように、略円柱形状の連結部23の2つの面23a、23bの一方の面23aは、長円の縁に沿って面取りされている。その結果、連結部23は、円錐台形形状部23cを有している。チューブ接続部21は、円柱形状の連結部23の側面23dから、長手軸C1に平行に延出している。
【0026】
アクセスポート接続部22は、連結部23の面23aとは反対側の面23bから、チューブ接続部21の中心軸C2に直交する方向に延出している。すなわち、チューブ接続部21の中心軸C2は、連結部23の長円の長手軸C1に平行であり、アクセスポート接続部22の中心軸C3は、その中心軸C2に対して直交する。
【0027】
TaTMEではアクセスポート接続部22がベッド15上に仰臥位で寝た状態の患者Mの肛門に挿入されるため、アクセスポート接続部22の中心軸C3は、水平方向に略平行となる。一方、送気チューブ13aの先端部分が接続されたチューブ接続部21の中心軸C3は、送気チューブ13aの重さにより、鉛直方向に略平行となる。
【0028】
図4は、接続ユニット17を構成するカバー部材41の斜視図である。
図5は、接続ユニット17を構成する蓋部材42の斜視図である。
図6は、接続ユニット17の分解組立図である。
【0029】
接続ユニット17は、カバー部材41と蓋部材42の2つの部材により構成されている。カバー部材41と蓋部材42は、共に樹脂製である。
図4に示すように、カバー部材41は、断面形状が長円の有底筒状部43を有している。チューブ接続部21が、カバー部材41の薄肉部43aの外周面から長手軸C1に平行に突出するように形成されている。よって、カバー部材41の薄肉部43aの内周面には、チューブ接続部21の内側空間と連通する開口43bが形成されている。
【0030】
カバー部材41の底面43cには、部分円筒部43dが中心軸C2に直交する方向に突出量dだけ突出するように形成されている。
図4に示すように、部分円筒部43dの中心軸は、チューブ接続部21の中心軸C2に直交し、部分円筒部43dには、その中心軸C2に直交する方向に伸びた貫通スリット43eが形成されている。部分円筒部43dの突出量dは、蓋部材42をカバー部材41に取り付けたときに部分円筒部43dの先端面43d1が蓋部材42に密着する量である。
【0031】
図5に示すように、蓋部材42は、長円状の板状部44を有する。アクセスポート接続部22が、板状部44から長手軸C1に直交する方向に突出するように形成されている。板状部44には、アクセスポート接続部22の内側空間と連通する開口44aが形成されている。板状部44は、カバー部材41の薄肉部43aの内周面の先端部分に密着する長円形状の突出部44bを有している。
【0032】
さらに、蓋部材42は、板状部44の一面44xに、開口44aを囲むように形成され、かつアクセスポート接続部22が突出する方向とは反対方向に突出するように形成された部分円筒部44cを有する。部分円筒部44cの中心軸は、アクセスポート接続部22の中心軸C3に平行であり、部分円筒部44cには、その中心軸C3に平行な貫通スリット44dが形成されている。
【0033】
図6に示すように、蓋部材42がカバー部材41に接着剤により固定される。具体的には、接着剤が、薄肉部43aの先端面43a1と部分円筒部43dの先端面43d1に塗布されて、点線の矢印Aで示すように、蓋部材42の突出部44bをカバー部材41の薄肉部43aの内周面に嵌め込むようにして、蓋部材42がカバー部材41に固定される。このとき、先端面43d1が板状部44に密着する。以上のようにして、接続ユニット17は、カバー部材41と蓋部材42により構成される。
【0034】
図7は、チューブ接続部21の中心軸C2とアクセスポート接続部22の中心軸C3を通る平面に沿った、送気チューブ用接続ユニット17の断面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った、カバー部材41からアクセスポート接続部22の中心軸C3方向に見たときの送気チューブ用接続ユニット17の断面図である。
【0035】
チューブ接続部21の内側空間IS1と、連結部23の内部空間IS2は、送気チューブ13aからの気体が通る第1の流路FR1を構成する。第1の流路FR1は、開口33から連結部23内に向かって形成された流路である。連結部23の内部空間IS2は、カバー部材41の内壁と、蓋部材44の一面44xと、部分円筒部43d、44cの外周面と、により形成された空間である。
【0036】
アクセスポート接続部22の内側空間IS3と、連結部23内の部分円筒部43dの内側を含む内部空間IS4は、送気チューブ13aからの気体が通る第2の流路FR2を構成する。第2の流路FR2は、連結部23内から開口36に向かって形成された流路である。流路FR1は、連結部23内の開口OPを介して流路FR2と連通している。開口OPは、貫通スリット43eと44dにより形成される。開口OPは、中心軸C3に対して、チューブ接続部21の開口33とは反対側に位置する。
【0037】
送気チューブ13aから開口33へ流入した気体は、まず、接続ユニット17内の内側空間IS1に流入する。内側空間IS1に流入した気体は、連通する内部空間IS2に流入する。内部空間IS2に流入した気体は、開口OPを通って、部分円筒部43dの内部空間IS4に流入する。内部空間IS4に流入した気体は、アクセスポート接続部22の内側空間IS3を介して開口36から流出する。
【0038】
よって、送気チューブ13aから開口33へ流入した気体は、接続ユニット17内の第1の流路FR1に流入し、開口OPを介して第2の流路FR2に流入して、開口36から流出する。すなわち、接続ユニット17内において、気体が送気される送気流路FRは、開口33と開口36とを含んで形成される。よって、気腹装置13から直腸内への気体の送気流路FRは、第1の流路FR1と第2の流路FR2により形成される。
【0039】
以上のように、第1の流路FR1は、管状部31の内側空間IS1と連結部23内の内部空間IS2により形成され、第2の流路FR2は、管状部34の内側空間IS3と連結部23内の内部空間IS4により形成される。そして、気体の送気流路FRの一部は、連結部23内において内部空間IS2と内部空間IS4の間に設けられ、管状部34の中心軸C3に対して開口33とは反対側に形成された開口OPを含む。
(作用)
次に、接続ユニット17の作用について説明する。
【0040】
図9は、接続ユニット17がアクセスポート16に装着された状態を示す断面図である。
図9は、中心軸C2とC3に沿った、接続ユニット17の断面を示す。
【0041】
上述したように、アクセスポート16は、シールキャップ16aを有し、アクセスポート接続部22は、シールキャップ16aを貫通するように取り付けられる。より具体的には、外向フランジ35がシールキャップ16aを貫通してアクセスチャンネル部16b内に位置するように、接続ユニット17は、シールキャップ16aのアクセス面部16a1に取り付けられる。
【0042】
接続ユニット17は、開口33が、重力方向gに沿って下に位置するように、アクセスポート16に取り付けられる。送気チューブ13aからの炭酸ガスなどの気体は、開口33から管状部31の内部に流入する。管状部31の内部に流入した気体は、流路FR1に沿って連結部23の内部に流入する。
【0043】
連結部23内に流入した気体は、開口OPを通って、流路FR2に沿ってアクセスポート接続部22の内側空間IS3内に流入し、開口36から流出する。具体的には、送気チューブ13aが送気チューブ用接続ユニット17に固定されたときに、気体の送気流路の一部は、管状部34の中心軸C3に対して、開口33とは反対側の、開口OPのある領域PAを通るように形成される。すなわち、送気チューブ13aが送気チューブ用接続ユニット17に固定されて使用されるときに、気体の送気流路FRの一部は、管状部34の中心軸C3に対して、重力方向gとは反対側の領域PAを通るように形成される。
【0044】
TaTMEにおいて、術者は、アクセスポート16を介して硬性鏡、処置具が直腸内に挿入されて、処置が行われる。処置により、直腸内に、血液、生理食塩水などの液体が溜まる。
【0045】
図9に示すように、液体Lは、アクセスポート16内に溜まるが、液体の量が多くなると、開口36から管状部34の内側空間IS3と部分円筒部43dの内部空間IS4内に浸入してくる。
【0046】
アクセスポート16内の液体Lは、吸引チューブ14aにより吸引されているが、液体Lの量が増えてくると、
図9に示すように、液体Lの水面LSが、重力方向gとは反対方向に向かって上がっていく。
【0047】
しかし、開口OPは、液体Lの水面LSに対して、重力方向gとは反対方向に位置しているため、流路FR2内の液体は、開口OPを通して内部空間IS2に入り難い。言い換えれば、液体Lの水面LSが、開口OPの重力方向gの反対方向の位置である高さが開口OPを超えるまで、液体は内部空間IS2に入らない。すなわち、液体Lの水面LSが開口36の上端部を超えない限り、連結部23の内部空間IS2内に入らない。
【0048】
従来のトラカールを用いると、直腸内に溜まった液体が送気チューブ13a内に浸入し易い。もしも、液体が送気チューブ内に浸入すると、気腹装置13からの送気が安定せず、直腸内の圧力を所望の圧力に維持できなくなる虞がある。
【0049】
例えば、気腹装置13は、直腸内の圧力を一定に保持するために、圧力計測用チューブ13bを介して直腸内の圧力を常に監視している。吸引は、排煙のための常に行われている。気腹装置13は、直腸内の圧力が設定値よりも高いときは、送気流量を減少させ、直腸内の圧力が設定値よりも低いときは、送気流量を増加させる。
【0050】
直腸内の圧力は、例えば、圧力計測用チューブ13bを介して測定されると共に、直腸内の圧力は、送気チューブ13aの流量と管路抵抗に基づいて算出され推定される。気腹装置13は、算出された推定圧力と測定圧力が一致していることを判定することにより、送気チューブ13aの詰まり、外れなどを検知する。
【0051】
しかし、送気チューブ13a内に液体が浸入すると管路抵抗が変化してしまい、気腹装置13は、送気流量を正確に推定できない。その結果、気腹装置13は、推定圧力と測定圧力との差に基づく送気量の制御を適正に行うことができず、例えば適切な量の送気が停止されると、適切な術視野及び操作スペースが適切に確保できなくなる虞がある。
【0052】
これに対して、上述した実施の形態の送気チューブ用接続ユニットを用いることにより、液体が送気チューブ13aへ浸入することがなくなるので、結果として、気腹装置13は、送気量の制御を適正に行い続けることができる。
【0053】
以上のように、上述した実施の形態によれば、液体が送気チューブ内へ浸入し難い送気チューブ用接続ユニットを提供することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、開口OPが連結部23内において内部空間IS2とIS4の間に設けられ、その開口OPは管状部34の中心軸C3に対して開口33とは反対側に形成されている。それにより、気腹装置13からの気体の送気流路FRの一部は、管状部34の中心軸C3に対して、開口33とは反対側の領域PAを通るように形成されている。これに対して、第2の実施の形態では、管状部34Aの内側流路の一部が管状部34Aの中心軸C3に対して傾斜して形成される。それにより、気腹装置13からの気体の送気流路FRの一部は、管状部34Bの中心軸C3に対して開口33とは反対側の領域PAを通るように形成される。
【0054】
なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成要素については、同じ符号を用いて、説明は省略する。
【0055】
図10は、本実施の形態の送気チューブ用接続ユニット17Aがアクセスポート16に装着された状態を示す断面図である。
図10は、中心軸C2とC3に沿った、接続ユニット17Aの断面を示す。
図11は、接続ユニット17Aの斜視図である。
【0056】
接続ユニット17Aは、送気チューブ13aが接続されるチューブ接続部51と、アクセスポート接続部52と、チューブ接続部51とアクセスポート接続部52を連結する連結部53とを有する。
【0057】
チューブ接続部51は、管状部31を含み、管状部31の先端側部分には、送気チューブ13aが装着される段差部32が形成されている。管状部31の先端は、開口33を有している。連結部53は、内部空間IS12を有している。チューブ接続部51の内側空間IS11と連結部53の内部空間IS12は、送気チューブ13aからの気体が通る第1の流路FR11を構成する。
【0058】
アクセスポート接続部52は、管状部34Aを含み、患者Mの肛門に装着されるアクセスポート16のアクセス面部に取り付けられる。管状部34Aの先端は、開口36を有している。アクセスポート接続部52は、管状部34Aの中間部分に外向フランジ35を有する。
【0059】
アクセスポート接続部52は、円柱形状を有し、開口36から連結部53に向かって開口33から離れるように、中心軸C3に対して所定の角度θだけ傾斜して形成された管路52aを有している。管路52aは、アクセスポート接続部52の内側空間IS13を構成する。連結部53は、内側空間IS13に連通する内部空間IS14を有している。内部空間IS12と、内部空間IS14は、連通している。
【0060】
内側空間IS13と内部空間IS14の領域54は、開口36から連結部53に向かって開口33から離れるように、中心軸C3に対して所定の角度θだけ傾斜している。アクセスポート接続部52の内側空間IS13と連結部53の内部空間IS14は、送気チューブ13aからの気体が通る第2の流路FR12を構成する。
以上のように、第2の流路FR2は、中心軸C3に対して傾斜して形成されることにより、第2の流路FR12の一部が管状部34Aの中心軸C3に対して開口33とは反対側を通るように形成される。
【0061】
接続ユニット17Aは、例えば、次のように作ることができる。
図11に示すような外観形状を有する樹脂製の部材に対して、中心軸C2方向に沿って穴をあけるようにして、開口33と内側空間IS11と内部空間IS12を形成する。さらに、その樹脂製の部材に対して、中心軸C3に対して所定の角度θだけ傾斜した方向に沿って穴をあけるようにして、開口36と内側空間IS13と内部空間IS14を、内部空間IS12とIS4が連通するように形成する。
【0062】
図10に示すように、接続ユニット17Aがシールキャップ16aのアクセス面部16a1に取り付けられると、送気チューブ13aからの炭酸ガスなどの気体は、開口33から管状部31の内部に流入する。管状部31の内部に流入した気体は、流路FR11に沿って連結部53の内部空間IS12とIS14を通って、流路FR12に沿ってアクセスポート接続部52の内側空間IS13内に流入し、開口36から流出する。
【0063】
TaTMEにおいて、直腸内に、血液、生理食塩水などの液体が溜まっても、開口36に対して、内部空間IS13とIS14の領域54の一部は、管状部34Bの中心軸C3に対して、開口33とは反対側の領域にあるため、気腹装置13からの気体の送気流路FRの一部は、管状部34Aの中心軸C3に対して、開口33とは反対側の領域PAを通る。開口33とは反対側の領域PAは、重力方向の反対側である。すなわち、流路FR12の一部が管状部34Bの中心軸C3に対して開口33とは反対側を通るように形成されることにより、気体の送気流路FRの一部は、管状部34Bの中心軸C3に対して開口33とは反対側の領域PAを通るように形成される。
【0064】
言い換えれば、液体Lの水面LSが、中心軸C3に対して所定の角度θだけ傾斜した方向に沿って上がっていき、管状部34Bの中心軸C3に対して開口33とは反対側の領域PAを超えない限り、液体Lは、チューブ接続部51の内側空間IS11内に入らない。よって、液体は、その連通部分からチューブ接続部51の内側空間IS11内に入り難い。
【0065】
従って、本実施の形態によっても、液体が送気チューブ内へ浸入し難い送気チューブ用接続ユニットを提供することができる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、送気チューブ13aは、重力方向における下方から送気チューブ用接続ユニットに接続されているが、第3の実施の形態では、送気チューブ13aは、重力方向における上方から送気チューブ用接続ユニットに接続され、送気チューブ13aを下方へ曲げるようにして、接続ユニットに固定される。それにより、気腹装置13からの気体の送気流路FRの一部は、管状部34Bの中心軸C3に対して重力方向とは反対側の領域PAを通るように形成される。
【0066】
なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成要素については、同じ符号を用いて、説明は省略する。
【0067】
図12は、本実施の形態の送気チューブ用接続ユニット17Bがアクセスポート16に装着された状態を示す断面図である。
図12は、中心軸C2とC3に沿った、接続ユニット17Bの断面を示す。
図13は、接続ユニット17Bの斜視図である。
【0068】
接続ユニット17Bは、送気チューブ13aが接続されるチューブ接続部61と、アクセスポート接続部62と、チューブ接続部61とアクセスポート接続部62を連結する連結部63とを有する。
【0069】
図13に示すように、チューブ接続部61は、管状部31を含み、管状部31の先端側部分には、送気チューブ13aが装着される段差部32が形成されている。管状部31の先端は、開口33を有している。連結部63は、内部空間IS22を有している。チューブ接続部61の内側空間IS21は、送気チューブ13aからの気体が通る第1の流路FR21を構成する。すなわち、第1の流路FR21は、開口33から連結部63内に向かって形成される。
【0070】
アクセスポート接続部62は、管状部34Bを含み、患者Mの肛門に装着されるアクセスポート16のアクセス面部に取り付けられる。管状部34Bの先端は、開口36を有している。アクセスポート接続部62は、管状部34Bの中間部分に外向フランジ35を有する。
【0071】
アクセスポート接続部62は、円柱形状を有し、中心軸C3に平行に形成された管路62aを有している。管路62aは、アクセスポート接続部62の内側空間IS23を構成する。連結部63は、内側空間IS23に連通する内部空間IS24を有している。内部空間IS23と、内部空間IS24は、連通している。アクセスポート接続部62の内側空間IS23と連結部63の内部空間IS24は、送気チューブ13aからの気体が通る第2の流路FR22を構成する。すなわち、第2の流路FR22は、連結部63内から開口36に向かって形成される。
【0072】
連結部63は、送気チューブ13aを固定して保持するための保持部64を有している。中心軸C2の方向からみたときに、保持部64は、外周部から鉤状に突出した鉤状部64aを有している。鉤状部64aの内側に送気チューブ13aを通して収納できるように、保持部64は、鉤状部64aの先端部と保持部64の外周面との間の隙間gpを有すると共に、湾曲形状を有している。鉤状部64aは、送気チューブ13aを係止する。
【0073】
保持部64は、チューブ接続部61の中心軸C2に対して、アクセスポート接続部62の反対側に、中心軸C3に沿って突出している。送気チューブ13aは、チューブ接続部61に接続される。
【0074】
図12に示すように、チューブ接続部61から中心軸C2の一方の方向に延出する送気チューブ13aは、中心軸C2に沿って延出した後、その延出方向とは反対方向に曲げられて、送気チューブ13aの途中を保持部64に保持される。すなわち、送気チューブ13aは、湾曲部分において180度曲げられて重力方向に延出可能となる。送気チューブ13aの弾性により、送気チューブ13aは、保持部64において中心軸C2の外径方向に戻ろうとする力を生じるので、保持部64により係止される。
【0075】
図12に示すように、接続ユニット17Bがシールキャップ16aのアクセス面部16a1に取り付けられると、送気チューブ13aからの炭酸ガスなどの気体は、開口33から管状部31の内部に流入する。管状部31の内部に流入した気体は、流路FR21に沿って連結部63の内部空間IS22とIS24を通って、流路FR22に沿ってアクセスポート接続部62の内側空間IS23内に流入し、開口36から流出する。
【0076】
TaTMEにおいて、直腸内に、血液、生理食塩水などの液体が溜まっても、開口36に対して、送気チューブ13aの湾曲部分は、重力方向とは反対側の領域PAにあるため、気腹装置13からの気体の送気流路FRの一部は、管状部34Bの中心軸C3に対して、重力方向とは反対側の領域PAを通る。すなわち、気体の送気流路FRの一部は、送気チューブ13aが送気チューブ用接続ユニット17Bに固定されたときにおける、送気チューブ13aの内側空間13a1の一部である。
【0077】
アクセスポート16内の液体Lの水面LSが、中心軸C3に直交する方向に沿って上がっていき、管状部34Bの中心軸C3に対して重力方向とは反対側の領域PAを超えない限り、液体Lは、送気チューブ13aの領域PAよりも先へ浸入しない。よって、液体は、送気チューブ13a内に入り難い。
【0078】
従って、本実施の形態によっても、液体が送気チューブ内へ浸入し難い送気チューブ用接続ユニットを提供することができる。
【0079】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。