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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】コイル装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20220825BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20220825BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01F17/00 A
H01F41/04 C
H05K1/16 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020567570
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2019007944
(87)【国際公開番号】W WO2020009386
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077505
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517210783
【氏名又は名称】ステムコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,チャン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ス ジョン
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248628(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/147993(JP,A1)
【文献】特開2002-280451(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1862503(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0004090(KR,A)
【文献】特開2013-125818(JP,A)
【文献】特開平11-121221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 41/04
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と、
前記ベース基材上に形成され、シード領域と引込配線領域を含むシードパターンと、
前記シード領域上に形成される第1導電パターンと、
前記第1導電パターンの少なくとも一部に形成される第2導電パターンと、
前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターンおよび第2導電パターンのうち少なくともいずれか一つ以上と接するように形成される保護層とを含み、
前記引込配線領域のシードパターンはカットラインまで延びる、コイル装置。
【請求項2】
前記シードパターンは、0.1μm~5μmの厚さで形成される、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1導電パターンの厚さh1と幅aの比率は、1:1~5:1である、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記第2導電パターンの幅bは、隣接する第2導電パターンの間の間隔sに対して1~50倍である、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第2導電パターンの厚さh2は、隣接する第2導電パターンの間の間隔sに対して1.01~50倍である、請求項1または4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1または第2導電パターンは、第n辺に沿って形成されたり前記第n辺と第n-1辺を連結する角領域に囲まれるように形成される第nパターンを含む、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記保護層は、引込配線領域に形成される第1保護層と前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターン、第2導電パターンおよび第1保護層のうち少なくともいずれか一つ以上と接するように引込配線領域またはシード領域に形成される第2保護層を含む、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記第1保護層は、前記第1導電パターンの最も外側に配置されたパターンより外側に配置される、請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のコイル装置を含む、電子装置。
【請求項10】
シード層が形成されたベース基材を提供し、
前記シード層上に第1導電パターンと保護層を形成し、
前記第1導電パターンと前記保護層によって露出した前記シード層を除去してシードパターンを形成し、
前記第1導電パターンの少なくとも一部に第2導電パターンを形成することを含
前記シードパターンは前記ベース基材上に形成され、シード領域と引込配線領域を含み、かつ前記引込配線領域の前記シードパターンはカットラインまで延びている、コイル装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1導電パターンと前記保護層を形成することは、
前記シード層上に多数の部分パターンを含む第1導電パターンとダミーパターンを形成し、前記多数の部分パターンは、前記多数の部分パターンの最も外側に配置された第1部分パターンと、前記第1部分パターンより内側に配置された第2部分パターンを含み、前記ダミーパターンは前記第1部分パターンより外側に配置され、
前記第1導電パターンを形成した後に、前記第1部分パターンと前記ダミーパターンの間に前記保護層を形成することを含む、請求項10に記載のコイル装置の製造方法。
【請求項12】
前記シードパターン形成後、保護層を除去する過程をさらに含む、請求項10に記載のコイル装置の製造方法。
【請求項13】
前記シードパターンは、前記ベース基材の角領域の少なくとも一部で露出し、
前記第2導電パターンを形成することは、前記角領域に露出したシードパターンを介して電流および電圧のうち少なくとも一つを印加してメッキ方式で第2導電パターンを形成する、請求項10または11に記載のコイル装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2導電パターン形成後、前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターン、第2導電パターンのうち少なくとも一つ以上と接する保護層をさらに形成する過程を含む、請求項10に記載のコイル装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2導電パターンを形成した後に、前記第1部分パターンと前記保護層、前記シードパターン、前記ベース基材をカットすることをさらに含む、請求項11に記載のコイル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁気力を誘導したり促進するコイル装置は、振動モータ、アンテナ、発電機、フィルタ、インダクタ、磁気ディスク、カメラモジュールなど多様な分野に活用される。その中でもカメラモジュール分野におけるコイル装置は、例えば、光学式手ぶれ補正(OIS;Optical Image Stabilizer)方式においてイメージセンサやレンズ光学系の位置や角度を機構的に調節するアクチュエータに適用されることができる。一方、小型モバイル機器に搭載されるカメラモジュールは数十mm以内で小さくなるにつれ、カメラモジュールに取り付けられるアクチュエータも小型化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、コイル装置の小型化のために、基板上面に導体パターンが螺旋形で形成される薄膜型(thin film type)コイル装置が主に使用される。最近では基板上面に形成される導体パターンのファインピッチ化(Fine pitch)を達成しながらもアクチュエータが駆動できる電磁気力を確保するために、導体パターンの厚さを拡張させる技術が開発されてきた。
【0004】
しかし、導体パターンのメッキ工程で厚さを拡張させるためにメッキ時間が持続するほどパターンが一定の形状を維持できず、メッキ偏差によって導体パターン上部が過メッキされて微細なパターン間隔を維持できずショートなどの回路不良問題が発生した。また、導体パターンと同時に引込配線がメッキされて厚くなることにより、引込配線を除去する加工段階で、加工性が低下した。のみならず、導体パターンおよび/または引込配線はバー(burr)によってなめらかでない表面を有したり、持続的に加えられる衝撃力により外観が毀損する問題が発生した。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、不良を最小化して導体パターンの厚さを増加させることができるコイル装置を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、不良を最小化して導体パターンの厚さを増加させることができるコイル装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するための本発明のコイル装置の一面(aspect)は、ベース基材と、前記ベース基材上に形成され、シード領域と引込配線領域を含むシードパターンと、前記シード領域上に形成される第1導電パターンと、前記第1導電パターンの少なくとも一部に形成される第2導電パターンと、前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターンおよび第2導電パターンのうち少なくともいずれか一つ以上と接するように形成される保護層を含み、前記引込配線領域のシードパターンはカットラインまで延びる。
【0009】
ここで、前記シードパターンは、0.1μm~5μmの厚さで形成され得る。
【0010】
また、前記第1導電パターンの厚さh1と幅aの比率は、1:1~5:1であり得る。前記第2導電パターンの幅bは隣接する第2導電パターンの間の間隔sに対して1~50倍であり得る。前記第2導電パターンの厚さh2は、隣接する第2導電パターンの間の間隔sに対して1.01~50倍であり得る。
【0011】
また、前記第1または第2導電パターンは第n辺に沿って形成されたり前記第n辺と第n-1辺を連結する角領域に囲まれるように形成される第nパターンを含み得る。
【0012】
また、前記保護層は、引込配線領域に形成される第1保護層と前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターン、第2導電パターンおよび第1保護層のうち少なくともいずれか一つ以上と接するように引込配線領域またはシード領域に形成される第2保護層を含み得る。
【0013】
前記第1保護層は、前記第1導電パターンの最も外側に配置されたパターンより外側に配置され得る。
【0014】
さらに、電子装置は前述したコイル装置を含み得る。
【0015】
前記他の課題を達成するための本発明のコイル装置の製造方法の一面(aspect)は、シード層が形成されたベース基材を提供し、前記シード層上に第1導電パターンと保護層を形成し、前記第1導電パターンと前記保護層によって露出した前記シード層を除去してシードパターンを形成し、前記第1導電パターンの少なくとも一部に第2導電パターンを形成することを含み得る。
【0016】
ここで、前記第1導電パターンと前記保護層を形成することは、前記シード層上に多数の部分パターンを含む第1導電パターンとダミーパターンを形成し、前記多数の部分パターンは、前記多数の部分パターンの最も外側に配置された第1部分パターンと、前記第1部分パターンより内側に配置された第2部分パターンを含み、前記ダミーパターンは前記第1部分パターンより外側に配置され、前記第1導電パターンを形成した後に、前記第1部分パターンと前記ダミーパターンの間に前記保護層を形成することを含み得る。
【0017】
ここで、前記シードパターン形成後、保護層を除去する過程をさらに含み得る。
【0018】
また、前記シードパターンは、前記ベース基材の角領域の少なくとも一部で露出し、前記第2導電パターンを形成することは、前記角領域に露出したシードパターンを介して電流および電圧のうち少なくとも一つを印加してメッキ方式で第2導電パターンを形成することができる。
【0019】
また、前記第2導電パターン形成後、前記ベース基材、シードパターン、第1導電パターン、第2導電パターンのうち少なくとも一つ以上と接する保護層をさらに形成する過程を含み得る。
【0020】
また、前記第2導電パターンを形成した後に、前記第1部分パターンと前記保護層、前記シードパターン、前記ベース基材をカットすることをさらに含み得る。
【0021】
その他実施形態の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コイル装置の不良を最小化することができ、コイル装置内の導体パターンの厚さを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の平面図である。
図2図1のA-Bに沿って切断した断面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の平面図である。
図4a図3のA-Bに沿って切断した断面図である。
図4b図3のA-Bに沿って切断した断面図である。
図5図1図4のベース基材を説明するための平面図である。
図6a図1図4のシードパターンを説明するための平面図である。
図6b図1図4のシードパターンを説明するための平面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図8図7の各段階を説明するための平面図である。
図9図7の各段階を説明するための断面図である。
図10図7の各段階を説明するための平面図である。
図11図7の各段階を説明するための断面図である。
図12図7の各段階を説明するための平面図である。
図13図7の各段階を説明するための断面図である。
図14図7の各段階を説明するための平面図である。
図15図7の各段階を説明するための断面図である。
図16図7の各段階を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下で掲示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、単に本実施形態は本発明の掲示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を称する。
【0025】
素子(elements)または層が他の素子または層「上(on)」または「の上(on)」と称する場合、他の素子または層の真上だけでなく中間に他の層または他の素子を介在する場合をすべて含む。反面、素子が「直接上(directly on)」または「すぐ上」と称する場合、中間に他の素子または層を介在しない場合を示す。
【0026】
空間的に相対的な用語である「下方(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などは図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使われる。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加えて使用時または動作時素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下方(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上方(above)」に置かれられることができる。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をすべて含み得る。素子は他の方向にも配向されることができ、そのため空間的に相対的な用語は配向により解釈されることができる。
【0027】
第1、第2などが多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これら素子、構成要素および/またはセクションはこれら用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使う。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得ることはもちろんである。
【0028】
本明細書で使われた用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文面で特記しない限り、複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含み(comprising)」と言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0029】
特に定義しない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解されることができる意味で使われる。また、一般に使われる辞典に定義されている用語は明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。
【0030】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明し、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号に関係なく同一であるか対応する構成要素は同じ参照番号を付与してこれに対する重複する説明は省略する。
【0031】
図1は本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の平面図である。図2図1のA-Bに沿って切断した一断面図である。図3は本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の平面図である。図4aおよび図4bは図3のA-Bに沿って切断した断面図である。図5図1図4のベース基材を説明するための平面図である。図6図1図4のシードパターンを説明するための平面図である。
【0032】
まず、図1および図2を参照すると、本発明のコイル装置100はベース基材10、シードパターン20、第1導電パターン30、保護層40、第2導電パターン50などを含む。
【0033】
ベース基材10はフレキシブル基板または硬性基板であり得る。例えば、ベース基材10はポリイミド、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、エポキシ、ガラス繊維などの材料で製造されるが、これに限定されない。以下ではベース基材10を例示的にポリイミドフィルムであると説明する。
【0034】
また、ベース基材10はコイル装置を実現できる形状であればいかなるものでも可能である。図5に示すように、ベース基材10は、例えば、4個の辺11,12,13,14と、4個の辺11,12,13,14を連結する4個の角領域11a,12a,13a,14aを含み、角領域11a,12a,13a,14aは丸く面取りされた形状であり得、ベース基材10の内側に開口部15が形成され得る。
【0035】
シードパターン20はベース基材10上に形成される。図2ではベース基材10の両面に形成された場合を示すが、これに限定されない。シードパターン20は、Ni、Cr、Cuなどの伝導性金属またはこれらを含む薄膜をパターニングした形態であり得る。シードパターン20は、例えば、0.1μm~5μmの厚さで、好ましくは0.5μm~1.5μmの厚さで形成され得る。シードパターン20のこのような厚さは、後述する第1導電パターン30および/または第2導電パターン50が形成されるように十分な電流を印加することができ、カッティングなどの加工時発生する不良問題を抑制することができる。
【0036】
また、シードパターン20はシード領域20bと引込配線領域20aを含む。ここで、シード領域20bは第1導電パターン30および/または第2導電パターン50を形成する時ベースになる領域(すなわち、シード(seed)になる領域)であり、引込配線領域20aは第1導電パターン30および/または第2導電パターン50を形成する時電流の印加を受ける配線の役割をするための領域である。
【0037】
第1導電パターン30はシード領域20b上に形成される。図1では明確に示していないが、第1導電パターン30はスパイラル形状であり得、これに限定されない。アクチュエータに十分な駆動電磁気力を形成できる形状であればいかなるものでも可能である。また、第1導電パターン30は単数または複数で形成され得、図6aおよび図6bに示す形状に限定されない。
【0038】
一例として、ベース基材10に形成されたn個の辺に沿って第nパターンが長く形成され得る(n=2以上の自然数)。すなわち、ベース基材10が4個の辺11,12,13,14と、4個の角領域11a,12a,13a,14aを含む場合、第1導電パターン30は4個の辺11,12,13,14に沿ってそれぞれ長く形成された第1パターン~第4パターンを含み得る。図6aを参照すると、第1辺11に沿って角領域11a,14a(すなわち、図6aで左上および右上に配置された角領域11a,14a)まで長く配置されたシード領域20b上に第1パターンが形成され得る。同様に、第2辺12に沿って角領域11a,12aまで長く配置されたシード領域20b(すなわち、図6aで左上および左下に配置された角領域11a,12a)上に第2パターンが形成され得る。同様に、第3辺13に沿って長く第3パターンが形成され、第4辺14に沿って長く第4パターンが形成され得る。
【0039】
また他の例として、ベース基材10の第n辺と第n-1辺(n=2以上の自然数)により形成された角領域によって囲まれるように第nパターンが形成され得る。図6bを参照すると、第1辺と第2辺によって形成された角領域11aの形状と類似のプロファイルで第1パターンが形成され得る。同様に第2辺と第3辺によって形成された角領域12aの形状と類似のプロファイルで第2パターンが形成され得、角領域13a,14aにもそれぞれ第3,第4パターンが形成され得る。
【0040】
または、図面に示していないが、曲率を有する円形や楕円形などの形状のベース基材に単数または複数の第1導電パターン30および/または第2導電パターン50が形成され得る。
【0041】
一方、第1導電パターン30は多数の部分パターン30a,30bを含む。図2に示すように、図面符号30aは最外側に配置された第1部分パターンを意味し、図面符号30bは第1部分パターンより内側に配置された第2部分パターンを意味する。
【0042】
第1導電パターン30の厚さh1と幅aの比率は1:1~10:1であり得る。より詳細には、最外側の第1部分パターン30aを除いた内側の第1導電パターン30bの場合、3:1~5:1であり得る。最外側の第1部分パターン30aはベース基材10のカットラインCLと最も近い第1部分パターン30aを意味する。内側の第1導電パターン30bは最外側の第1部分パターン30aより内側に配置されたパターンを意味する。このような比率は後述する第2導電パターン50が第1導電パターン30と類似のプロファイルで形成されながらも、隣接する第2導電パターン50の間の間隔を最小化できる最適な比率に該当する。
【0043】
保護層40は第1導電パターン30とは相異する物質で構成され、例えば絶縁性物質として感光性樹脂、ソルダレジストなどであり得る。また、保護層40は前記シードパターン20、より詳細には引込配線領域のシードパターン20aを保護する第1保護層40aとベース基材10、シードパターン20、第1導電パターン30、第1保護層40aおよび後述する第2導電パターン50の少なくとも一つと接するように引込配線領域またはシード領域に形成されて保護する第2保護層40bを含んでなる。
【0044】
前記第1保護層40aは図4aに示すように、第1導電パターン30の側壁の少なくとも一部をカバーする。また、第1保護層40aは第1導電パターン30の最も外側に配置されたパターン(例、図4aの最も右側の第2部分パターン30a)より外側に配置され得、第2部分パターン30aと同じであるかさらに高く形成されることもできる。
【0045】
または、図4bに示すように、第1保護層40aは第2部分パターン30aより低く形成されることもできる。このような場合、第2部分パターン30aの側壁(第1保護層40aに近い側壁)が露出し、第2部分パターン30aの第1保護層40aに近い側壁にも第2導電パターン50が形成され得る。
【0046】
また、図3に示すように第1導電パターン30が形成される場合、第1保護層40aは角領域11a,12a,13a,14a上に、第1パターン~第4パターンの外側に形成され得る。したがって、第1保護層40aは図6のベース基材10の左上、右上、左下、右下の角領域11a,12a,13a,14aに形成され得る。
【0047】
後述するが、シード層は第1導電パターン30を形成した後に、第1導電パターン30間の絶縁のために、第1導電パターン30の間に露出するシード層を除去することによってシードパターン20を形成する。しかし、本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置100で、第1保護層40aを一部のシード層(すなわち、引込配線領域20aに対応する)上に形成することによって、第1保護層40aの下のシード層を除去しない。除去されていないシード層は第2導電パターン50形成時引込配線(または引込パッド)として使われる。また、第1保護層40aによって電流が印加される引込配線は第2導電パターン50形成時共にメッキされないことにより、引込配線の厚さは増加せず、一定に維持される。
【0048】
一方、前記第1保護層40aは第2導電パターン50形成後、選択的に除去され得る。第1保護層40aが除去されても第2保護層40bにより引込配線領域のシードパターン20bは保護され得、かえって層間区分なしで保護層40が最終製品に形成されるので耐久性が向上し、表面の凹凸を最小化することができる。
【0049】
第2導電パターン50は、第1保護層40aによって露出する第1導電パターン30の側壁と、第1導電パターン30の上面の少なくとも一部に形成される。また、第2導電パターン50はシードパターン20の側壁または第1保護層40a上面の少なくとも一部にも形成され得る。図面に示すように、第2導電パターン50はシードパターン20の側壁、第1導電パターン30の側壁および上面に沿って形成され得る。ベース基材10の角領域の少なくとも一部に形成されたシードパターン20を介して電流および電圧の少なくとも一つの印加を受け、メッキ方式で第2導電パターン50が形成され得る。
【0050】
図面に示すように、第2導電パターン50は第1導電パターン30面積に対して拡張された面積で形成され得る。ここで、第2導電パターン50の面積は第1導電パターン30の面積を含むことを意味する。また、第2導電パターン50の幅bは隣接する第2導電パターン50の間の間隔sに対して1~50倍で形成され、好ましくは5倍~15倍であり得る。また、第2導電パターン50の厚さh2は隣接する第2導電パターン50の間の間隔sに対して1.01~50倍で形成され、好ましくは5倍~20倍であり得る。すなわち、本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置では、従来技術に比べて導電パターンの幅および厚さがすべて拡張され得る。また、導電パターンの間の間隔は縮小されて小型化が可能である。結果的に、小型化および高集積化が可能ながらも高い電磁気力を実現することができる。また、第2導電パターン50の幅b範囲および厚さh2範囲に対して、間隔sを基準に説明した理由は、間隔sが隣接する第2導電パターン50間のショートを防止したり、または磁場形成を妨げずコイルのTurn数を増加させるにあたって、幅bや厚さh2ほど重要に考慮されるべき条件であるからである。
【0051】
保護層40とシードパターン20はカットラインCLまで延びる。すなわち、カットラインCLが形成された面に、保護層40とシードパターン20が露出し得る。
【0052】
言い換えると、保護層40のカットラインCLとシードパターン20のカットラインCLは連結される。同様にシードパターン20のカットラインCLとベース基材10のカットラインCLは連結される。後述するが、カッティング工程によって保護層40、シードパターン20およびベース基材10を同時にカッティングするため、カットラインCLが互いに連結され得る。ここで、カットラインCLはコイル装置(最終製品)の外周面に該当する。もちろん、設計によっては、一度のカッティング工程でなく、複数回または異なる種類のカッティング工程が利用されることができる。このような場合、保護層40、シードパターン20およびベース基材10のカットラインCLは互いに連結されなくてもよい。
【0053】
また、前述したように、保護層40が最外側の第1部分パターン30aの外側に形成されることにより保護層40の下部に形成されたシードパターン20もカットラインCLまで延びる。すなわち、カッティング工程によってカッティングされる導電性物質の厚さは、シードパターン20の厚さに該当する。従来のコイル装置に比べて、カッティング工程によって切断されるべき導電性物質の厚さが顕著に薄い。したがって、加工が容易で、カッティング断面に形成されるバー(Burr)または回路接続不良などの問題を解消することができる。また、保護層40は好ましくは第1保護層40aが最外側の第1部分パターン30aの内側に形成されると、下部に形成されたシードパターン20によりショートなどの回路不良を引き起こされ得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態で、保護層40は最外側の第1部分パターン30aの外側に形成される。
【0054】
一方、保護層40の形状は第1導電パターン30と同一であるか屈曲がある上面に形成されるなど工法により多様に形成されるので、図面に示す形状に限定されない。
【0055】
整理すると、保護層40はベース基材10の少なくとも一面の単数または複数の領域に部分的に形成されることができる。すなわち、部分的に形成された保護層40の下部に形成されたシードパターン20により、第2導電パターン50を形成しながらも、あらかじめ形成された第1導電パターン30間の絶縁性を確保することができる。より具体的には、保護層40のカットラインCLがベース基材10のカットラインCLと連結されるように保護層40が形成されることによって、シードパターン20がカットラインCLまで延びて外部電流の印加を受けることができる。さらに具体的には、スパイラル形状の第1導電パターン30が形成されていないベース基材10の角領域に対して保護層40がシート状に形成されることによって、従来の別に形成されたバー(Bar)形状の引込線とは異なり、カットラインCLと接する面積が広くなるだけでなく、厚さも薄くなった引込配線領域のシードパターン20を介して第1導電パターン30により効率的に電流を印加することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置は電子装置に適用することができる。電子装置は振動モータ、アンテナ、発電機、フィルタ、インダクタ、磁気ディスク、カメラモジュールであり得るが、これに限定されない。
【0057】
以下で、図7ないし図16を利用して本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の製造方法を説明する。
【0058】
図7は本発明のいくつかの実施形態によるコイル装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。図8図10図12図14および図16図7の各段階を説明するための平面図である。図9図11図13および図15図7の各段階を説明するための断面図である。以下では説明の便宜上でSAP(Semi Additive Plating)方式に基づいて説明するが、これに限定されない。以下、説明の便宜上、図1ないし図6を利用して説明した内容は省略する。
【0059】
図8および図9を参照すると、シード層20cが形成されたベース基材10を提供する(図7のS210参照)。図面に示すように、ベース基材10上にシード層20cを接着、無電解または電解メッキおよび蒸着などの方式で形成されることができる。または、シード層20cが一面または両面にあらかじめ形成されたベース基材10を使ってもよい。
【0060】
引き続き、シード層20c上に第1導電パターン30と保護層40を形成する(図7のS220参照)。具体的には図8および図9に示すように、シード層20c上に第1導電パターン30を形成する(図7のS221参照)。シード層20cを引込配線としてSAP、エッチングなどの工法で第1導電パターン30を形成することができ、これに限定されるものではない。また、第1導電パターン30は磁気力の提供が可能なスパイラル形状であり得、必要に応じて多様な形状に形成されることができる。さらに、第1導電パターン30形成時、より正確なパターン形成のためのダミーパターン90,91を追加的に形成することができる。ダミーパターン91は、例えば、四角形形状であり、ダミーパターン90は例えば、円形形状であり得る。第1導電パターン30はダミーパターン90とダミーパターン91の間に形成され得る。図面に示していないが、パターンの位置整列、補強、放熱などの効果の実現のための認識パターン、補強パターン、放熱パターンなどが形成されることができる。
【0061】
例示的に、第1導電パターン30は第1パターン~第4パターンを含み、第1パターン~第4パターンそれぞれはベース基材10の4個の辺に沿って長く形成されることができる。
【0062】
図9は、図8でスパイラル形状の第1導電パターン30をA-B方向に切断した断面を図示している。第1導電パターン30は多数の部分パターン30a,30bを含む。第1部分パターン30aは多数の部分パターン30a,30bの最も外側に配置され、第2部分パターン30bは第1部分パターン30aより内側に配置され得る。また、ダミーパターン91は第1部分パターン30aの外側に配置され得る。
【0063】
また、図10および図11に示すように、第1導電パターン30の間の領域の一部に保護層、すなわち第1保護層40aを形成する(図7のS222参照)。具体的には、第1保護層40aは第1導電パターン30より外側に配置される。言い換えると、第1保護層40aは第1導電パターン30の最も外側に配置されたパターンより外側に配置され得る。前述したように、第1導電パターン30の外側にダミーパターン91が配置されている場合には、第1導電パターン30とダミーパターン91の間の領域に形成され得る。すなわち、第1部分パターン30aとダミーパターン91の間に第1保護層40aが形成され得る。また、ダミーパターン91の外側にも第1保護層40aが形成され得る。
【0064】
第1保護層40aの厚さは、図11では第1部分パターン30aの厚さよりさらに厚い場合を示しているが、これに限定されない。第1保護層40aの厚さは、設計によって異なってもよい。例えば、第1保護層40aは第1導電パターン30の厚さよりさらに薄く形成されて前記第1導電パターン30上面を覆わなくてもよい。
【0065】
さらに具体的には、図8に示すように、第1保護層40aは、角領域11a,12a,13a,14a上に、第1導電パターン30の第1パターン~第4パターンの外側に形成され得る。すなわち、第1保護層40aは図8のベース基材10の左上、右上、左下、右下の角領域11a,12a,13a,14aに形成され得る。
【0066】
第1保護層40aはスクリーン印刷、フィルムラミネーション、フォトリソグラフィーなどの方法が利用されるが、これに限定されない。例えば、第1導電パターン30上にフォトリソグラフィー方式で第1保護層40aを第1部分パターン30aとダミーパターン91の間に残すことができる。他の方式で、コイルが形成された基板に部分的に第1保護層(すなわち、レジスト)を印刷方式で塗布することができる。この時、角領域にのみ塗布されるようにレジスト粘度などを調節することができる。
【0067】
引き続き、第1導電パターン30と第1保護層40aにより露出したシード層20cを除去し、シードパターン20dを形成する(図7のS230参照)。
【0068】
具体的には、図11および図12に示すように、第1導電パターン30とダミーパターン91の間のシード層20cは第1保護層40aによりカバーされるので、除去されない。反面、第1部分パターン30aと第2部分パターン30bの間のシード層20cは露出しているので、露出したシード層20cが除去されてシードパターン20dが完成される。除去方法は湿式エッチング、乾式エッチングなど多様に適用することができ、特定の方法に限定されない。
【0069】
さらに、シードパターン20形成後、第1保護層40aは選択的に除去され得、特定の方法に限定されず適用される。シードパターン20と第1保護層40aを構成する物質が相異するため第1保護層40aの除去時シードパターン20に対する損傷が少ないこともあるが、選択的にマスキングなどの方法を採択して適用することもできる。また、後述する第2保護層40bによりシードパターン20は持続的な保護が可能である。
【0070】
引き続き、第1導電パターン30の側壁と、第1導電パターン30の上面の少なくとも一部に第2導電パターン50を形成する(図7のS240参照)。
【0071】
具体的には、図13および図14に示すように、シードパターン20dの側壁、第1導電パターン30の側壁/上面に沿って第2導電パターン50を形成する。シードパターン20dはベース基材10の角領域の少なくとも一部で露出する。第2導電パターン50を形成する時、角領域に露出したシードパターン20dを介して電流を印加してメッキ方式で第2導電パターン50を形成することができる。すなわち、角領域に露出したシードパターン20dが電流の引込配線の役割をする。メッキ時間、電流密度などのメッキ条件を調節して第2導電パターン50の厚さおよび形状を調節することができる。
【0072】
引き続き、ベース基材10、シードパターン20d、第1導電パターン30、第1保護層40aおよび第2導電パターン50の少なくとも一つを覆うように第2保護層40bを形成する。引き続き、カッティング工程を行って図1ないし図4に示すコイル装置が完成される(図7のS250参照)。
【0073】
具体的には、図16に示すカットラインCL,CL2に沿ってカッティング工程を行い、最終構造物で不要なダミーパターン90,91を除去する。すなわち、第2導電パターン50を形成した後に、第1部分パターン30aとダミーパターン91の間に配置される第1保護層40a、シードパターン20d、ベース基材10をカッティングし、外側のダミーパターン91を除去する。また、内側のダミーパターン90も除去する。カッティング工程によって、カットラインCL,CL2が形成される。このようなカッティング工程によって、図1および図2に示すように、保護層40とシードパターン20はカットラインCLまで延びる。すなわち、カットラインCLが形成された面に、保護層40とシードパターン20が露出し得る。保護層40のカットラインCLとシードパターン20のカットラインCLは互いに連結され、シードパターン20のカットラインCLとベース基材10のカットラインCLは互いに連結される。
【0074】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は振動モータ、アンテナ、発電機、フィルタ、インダクタ、磁気ディスク、カメラモジュールなど多様な分野に活用されるコイル装置に適用することができる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16