(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】耐食性セラミックス
(51)【国際特許分類】
C04B 35/117 20060101AFI20220825BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
C04B35/117
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
(21)【出願番号】P 2021512182
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2020015068
(87)【国際公開番号】W WO2020204087
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2019070733
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 万平
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-37660(JP,A)
【文献】特開2002-255634(JP,A)
【文献】特開2006-182570(JP,A)
【文献】特開2004-59397(JP,A)
【文献】特開2006-199562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/117
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化アルミニウムを主成分とし、イットリウムアルミニウム複合酸化物を副成分とする、複数の開気孔を有する耐食性セラミックスであって、隣り合う前記開気孔の重心間距離の平均値をL1としたとき、前記L1が50μm以上である、耐食性セラミックス。
【請求項2】
前記開気孔の重心間距離の尖度が0以上である、請求項1に記載の耐食性セラミックス。
【請求項3】
前記開気孔の直径の平均値が2.5μm以下である、請求項1または2に記載の耐食性セラミックス。
【請求項4】
前記開気孔の直径の尖度が0以上である、請求項3に記載の耐食性セラミックス。
【請求項5】
前記開気孔の直径の変動係数が0.7以下である、請求項3または4に記載の耐食性セラミックス。
【請求項6】
前記開気孔の面積率が0.1%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
【請求項7】
形状が円筒体であって、該円筒体の内周面を含む断面において、前記内周面上における珪素の濃度が、前記内周面と外周面との間に位置し、前記内周面と平行な仮想周面上における珪素の濃度よりも高い、請求項1~6のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
【請求項8】
ニッケルを含み、ニッケルの含有量がNiO換算で4質量ppm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の耐食性セラミックスを含有する、プラズマ処理装置用部材。
【請求項10】
請求項9に記載のプラズマ処理装置用部材とプラズマ発生装置とを備えた、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐食性セラミックス、プラズマ処理装置用部材およびプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶表示装置を製造するために、プラズマ処理装置が用いられている。このプラズマ処理装置に用いられるプラズマ処理装置用部材は、プラズマに曝されるため、高い耐食性が要求されている。
【0003】
このような要求に応えるセラミックスとして、イットリウム・アルミニウム・ガーネット質焼結体が注目されている。しかしながら、イットリウム・アルミニウム・ガーネット質焼結体は酸化アルミニウム質焼結体よりも耐食性に優れているものの、破壊靱性などの機械的特性が酸化アルミニウム質焼結体よりもかなり劣っている。そのため、機械的特性が要求されるプラズマ処理装置用部材には適用が困難である。
【0004】
このような背景から、特許文献1では、α-Al2O3結晶およびイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)結晶を有する焼結体からなり、AlをAl2O3換算で70質量%以上98質量%以下、YをY2O3換算で2質量%以上30質量%以下含有しており、α-Al2O3結晶の平均結晶粒径が1μm以上10μm以下であり、YAG結晶の平均結晶粒径がα-Al2O3結晶の平均結晶粒径の10%以上80%以下の大きさで、かつ0.5μm以上8μm以下である耐食性部材が提案されている。さらに、特許文献1には、表面における10μm×10μm領域中に存在する粒界三重点(3つの粒界が結合する領域)に最大径が10μmを超える気孔を2個以下とすることが好ましいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている耐食性部材では、開気孔が各粒界三重点に含まれる場合、α-Al2O3結晶の平均結晶粒径の最大値が10μmであることから、開気孔同士の間隔を示す指標である開気孔の重心間距離の平均値は、長くても10μmである。このように、開気孔同士の間隔が狭いと、十分な耐食性を得ることが困難であるため、更なる耐食性の向上が求められている。
【0007】
本開示は、機械的特性を維持しつつ高い耐食性を有する耐食性セラミックス、プラズマ処理装置用部材およびプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の耐食性セラミックスは、酸化アルミニウムを主成分とし、イットリウムアルミニウム複合酸化物を副成分とする、複数の開気孔を有する耐食性セラミックスであって、隣り合う開気孔の重心間距離の平均値をL1としたとき、L1が50μm以上である。
【0009】
本開示のプラズマ処理装置用部材は、上記の耐食性セラミックスを含有する。さらに、本開示のプラズマ処理装置は、上記のプラズマ処理装置用部材と、プラズマ発生装置とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、機械的特性を維持しつつ高い耐食性を有する耐食性セラミックス、プラズマ処理装置用部材およびプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の耐食性セラミックスを含有するプラズマ処理装置用部材を備えたプラズマ処理装置の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本開示の耐食性セラミックス、プラズマ処理装置用部材およびプラズマ処理装置について詳細に説明する。
図1は、本開示の耐食性セラミックスを含有するプラズマ処理装置用部材を備えたプラズマ処理装置の概略を示す模式図である。
【0013】
図1に示すプラズマ処理装置10は、ドーム状の上部容器1と、この上部容器1の下側に配置された下部容器2とからなる処理チャンバー3を備えている。この処理チャンバー3内には、下部容器2側に支持テーブル4が配置され、この支持テーブル4の上に静電吸着用部材の一例である静電チャック5が設けられている。静電チャック5の吸着用電極には直流電源(図示しない)が接続されている。給電されることによって、静電チャック5の載置面に半導体基板6が吸着され支持される。
【0014】
下部容器2には、真空ポンプ9が接続されており、処理チャンバー3内を真空にすることができる。下部容器2の周壁には、エッチングガスを供給するガスノズル7が設けられている。上部容器1の周壁には、RF電源と電気的に接続する誘導コイル8が設けられている。
【0015】
プラズマ処理装置10を用いて、半導体基板6をエッチングする場合、まず、真空ポンプ9により処理チャンバー3内を所定の真空度まで脱気する。次いで、静電チャック5の載置面に半導体基板6を吸着する。その後、ガスノズル7からエッチングガス、例えば、CF4ガスを供給しつつ、RF電源から誘導コイル8に給電する。この給電により、半導体基板6の上方の内部空間にエッチングガスのプラズマが形成され、半導体基板6を所定パターンにエッチングすることができる。
【0016】
エッチングガスとしては、例えば、CF4、SF6、CHF3、ClF3、NF3、C4F8、HFなどのフッ素化合物であるフッ素系ガス、Cl2、HCl、BCl3、CCl4などの塩素化合物である塩素系ガス、あるいはBr2、HBr、BBr3などの臭素化合物である臭素系ガスなどのハロゲン系ガスが挙げられる。これらのエッチングガスは高い腐食性を有する。
【0017】
上述したガスノズル7は、本開示のプラズマ処理装置用部材の一実施形態であり、ガスノズル7は、酸化アルミニウムを主成分とし、イットリウムアルミニウム複合酸化物を副成分とする、複数の開気孔を有する耐食性セラミックス(以下「耐食性セラミックス」を、単に「セラミックス」と記載する場合がある)を含有している。このセラミックスは、隣り合う開気孔の重心間距離の平均値をL1としたとき、L1が50μm以上である。
【0018】
酸化アルミニウムは、セラミックスとして機械的特性を確保するための成分であり、イットリウムアルミニウム複合酸化物は、エッチングガスGに対して高い耐食性を示す成分である。イットリウムアルミニウム複合酸化物としては、例えば、YAG(3Y2O3・5Al2O3)、YAM(2Y2O3・Al2O3)、YAL(Y2O3・Al2O3)、YAP(YAlO3)などが挙げられる。
【0019】
間隔L1が上記範囲であると、エッチングガスがセラミックスの表面に触れて、開気孔からパーティクルが生じても、間隔L1が比較的大きいため、パーティクルが隣り合う開気孔の輪郭(エッジ)に衝突するおそれが低減し、新たなパーティクルが生じにくくなる。特に、間隔L1は70μm以上であるとよい。
【0020】
本明細書において「セラミックスの主成分」とは、セラミックスを構成する成分の合計100質量%のうち、70質量%以上を占める成分のことを意味する。副成分とは、主成分に次いで多く含まれる成分であり、その含有量は2質量%以上30質量%以下である。セラミックスの主成分は75質量%以上であってもよい。セラミックスを構成する各成分は、CuKα線を用いたX線回折装置で同定することができる。主成分の含有量については、リートベルト法により求めることができる。
【0021】
酸化アルミニウムおよびイットリウムアルミニウム複合酸化物以外に、例えば、珪素、鉄、アルミニウム、カルシウムおよびマグネシウムのうち少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。珪素の含有量はSiO2換算で300質量ppm以下、鉄の含有量はFe2O3換算で50質量ppm以下、アルミニウムの含有量はAl2O3換算で100質量ppm以下、カルシウムおよびマグネシウムの含有量はそれぞれCaOおよびMgO換算した合計で350質量ppm以下であってもよい。さらに、炭素の含有量を100質量ppm以下であってもよい。
【0022】
これらの各成分の含有量は、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置または蛍光X線分析装置により求めればよい。炭素の含有量については、炭素分析装置を用いて求めればよい。
【0023】
例えば、ニッケルを含んでいてもよく、ニッケルの含有量はNiO換算で4質量ppm以下である。Niは、酸化すると、酸化の程度に応じて色調がばらつきやすく、商品価値を損ねやすいからであり、NiをNiO換算した含有量が上記範囲を満たすものであるときには、色調のばらつきが抑制され、商品価値が向上する。ここで、NiをNiO換算した含有量は、グロー放電質量分析装置(GDMS)を用いて求めればよい。
【0024】
開気孔の重心間距離を求める場合、光学顕微鏡を用いて倍率を200倍として1箇所の計測範囲を7.1066×105μm2として測定する。この測定を4箇所で行うことによって、開気孔の重心間距離を求めることができる。
【0025】
この観察範囲を計測の対象として、画像解析ソフト「A像くん(Ver2.52)」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)の重心間距離法という手法を適用して、隣り合う開気孔の重心間距離を求めることができる。本開示における開気孔の重心間距離とは、開気孔の重心同士を結ぶ直線距離である。
【0026】
計測条件は、重心間距離法の設定条件である粒子の明度を暗、2値化の方法を手動、しきい値を190~220、小図形除去面積を1μm2および雑音除去フィルタを有とする。上述の計測に際し、しきい値は190~220とした。しかし、範囲である画像の明るさに応じて、しきい値を調整すればよい。粒子の明度を暗、2値化の方法を手動とし、小図形除去面積を1μm2および雑音除去フィルタを有とした上で、画像に現れるマーカーが開気孔の形状と一致するように、しきい値を調整すればよい。
【0027】
上記各計測範囲で観察される開気孔が1個以下の場合、少なくとも開気孔が2個以上になるように計測範囲を広げればよい。
【0028】
セラミックスにおける開気孔の重心間距離の尖度は0以上であってもよい。開気孔の重心間距離の尖度がこの範囲であると、開気孔の重心間距離のばらつきが小さくなる。さらに、開気孔の重心間距離は平均値に近い値を示すものが多くなる。その結果、隣り合う開気孔におけるマイクロクラックの伸展を抑制する確率が高くなり、信頼性が向上する。特に、開気孔の重心間距離の尖度は0.05以上であるとよい。
【0029】
ここで、尖度Kuとは、分布のピークと裾が正規分布からどれだけ異なっているかを示す指標(統計量)である。尖度Ku>0である場合、鋭いピークを有する分布となる。尖度Ku=0である場合、正規分布となる。尖度Ku<0である場合、分布は丸みがかったピークを有する分布となる。
【0030】
セラミックスにおける開気孔の直径の平均値は2.5μm以下であってもよい。開気孔の直径の平均値が2.5μm以下であると、開気孔の内部にパーティクルが入り込むことが少なくなる。開気孔の内部に入り込むパーティクルが少なくなると、開気孔の壁面を傷つけ、新たなパーティクルが発生することが少なくなる。特に、セラミックスにおける開気孔の直径の平均値は0.2μm以下であるとよい。
【0031】
セラミックスにおける開気孔の直径の尖度は0以上であってもよい。開気孔の直径の尖度がこの範囲であると、開気孔の直径のばらつきが小さく、しかも開気孔の直径は平均値に近い値を示すものが多くなる。その結果、異常に大きい直径の開気孔が少なくなるので、この開気孔の内部から生じる不純物を減少させることができる。特に、開気孔の重心間距離の尖度は0.5以上であるとよい。
【0032】
セラミックスにおける開気孔の直径の変動係数は0.7以下であってもよい。開気孔の直径の変動係数が0.7以下であると、異常に大きい直径の開気孔が少なくなる。その結果、この開気孔の内部から生じる不純物をさらに減少させることができる。
【0033】
セラミックスにおける開気孔の面積率は0.1%以下であってもよい。開気孔が少ないほど耐食性が高くなる。特に、開気孔の面積率が0.05%以下であるとよい。
【0034】
重心間距離以外の開気孔の直径の平均値、開気孔の直径の変動係数および開気孔の面積率については、画像解析ソフト「Win ROOF(Ver.6.1.3)」((株)三谷商事製)を用いて求めることができる。具体的には、倍率を200倍として1箇所の計測範囲を7.1066×105μm2、直径に相当する円相当径のしきい値を0.21μmとして測定する。この測定を4箇所で行うことによって、開気孔の直径の平均値、開気孔の直径の変動係数および開気孔の面積率を求めることができる。開気孔の重心間距離および直径の各尖度Kuは、Excel(登録商標、Microsoft Corporation)に備えられている関数Kurtを用いて求めればよい。
【0035】
形状が円筒体であって、円筒体の内周面を含む断面において、内周面上における珪素の濃度が、内周面と外周面との間に位置し、内周面と平行な仮想周面上における珪素の濃度よりも高くてもよい。純水に対する珪素の接触角は小さい。そのため、内周面上における珪素の濃度が仮想周面上における珪素の濃度よりも高くなると、水溶性の洗剤を用いて洗浄した場合、エッチングガスの供給により発生しやすい内周面の汚れの除去効率を高くすることができる。
【0036】
一方、仮想周面上における珪素の濃度が内周面上における珪素の濃度よりも低くなると、酸化アルミニウムやイットリウムアルミニウム複合酸化物と線膨張率の異なるムライトの発生が内部で抑制される。その結果、内部と内周面を含む表層部との間で生じるひずみを低減することができる。
【0037】
次に、本開示のセラミックスおよびプラズマ処理装置用部材の製造方法の一実施形態を説明する。まず、酸化アルミニウムを主成分とする粉末、酸化イットリウムを主成分とする粉末(以下、酸化アルミニウムを主成分とする粉末および酸化イットリウムを主成分とする粉末を併せて、「セラミック粉末」と記載する場合がある)、ワックス、分散剤および可塑剤を準備する。
【0038】
セラミック粉末の合計100質量部に対して、例えば、ワックスが10質量部以上16質量部以下、分散剤が0.1質量部以上0.6質量部以下、可塑剤が1.0質量部以上1.8質量部以下の割合で使用される。ここで、セラミック粉末100質量%において、酸化アルミニウムを主成分とする粉末は70質量%以上98質量%以下の割合で含有され、酸化イットリウムを主成分とする粉末は2質量%以上30質量%以下の割合で含有される。
【0039】
例えば、セラミック粉末、ワックス、分散剤および可塑剤は、いずれも70℃以上130℃以下に加熱して樹脂製の容器内に収容される。このとき、ワックス、分散剤および可塑剤は、通常、液体となっている。このような温度で容器内に収容することによって、開気孔の重心間距離の尖度が0以上であるセラミックスが得られやすくなる。90℃以上130℃以下で加熱することによって、開気孔の重心間距離の尖度が0以上であるセラミックスが、より得られやすくなる。
【0040】
次に、この容器を攪拌機にセットし、容器を1分以上自公転させること(自公転混練処理)によりセラミック粉末、ワックス、分散剤および可塑剤が撹拌されて、スラリーが得られる。得られたスラリーをシリンジに充填し、脱泡治具を用いて、シリンジを1分以上自公転させながらスラリーの脱泡処理を行う。開気孔の直径の尖度が0以上であるセラミックスを得るには、脱泡処理をする前にスラリーを100℃以上190℃以下で予備加熱すればよい。
【0041】
次に、脱泡したスラリーが充填されたシリンジを射出成形機に取り付け、スラリーの温度を70℃以上に維持した状態で成形して、円筒状の成形体を得る。射出成形機におけるスラリーが通過する流路も70℃以上に維持するとよい。スラリーの温度を90℃以上に維持した状態であってもよく、スラリーが通過する流路も90℃以上に維持してもよい。
【0042】
得られた成形体を順次、脱脂および焼成することによって焼結体が得られ、この焼結体が本開示のセラミックスに相当する。例えば、焼成雰囲気は大気雰囲気、昇温速度は10℃/hr以上50℃/hr以下、焼成温度は1500℃以上1700℃以下とし、保持時間は1.5時間以上5時間以下、焼成温度から1000℃までの降温速度を100℃/hr以下とすればよい。
【0043】
開気孔の直径の平均値が2.5μm以下であるセラミックスを得るには、焼成雰囲気は大気雰囲気、焼成温度は1550℃以上1700℃以下とし、保持時間は1.5時間以上5時間以下とすればよい。
【0044】
開気孔の直径の変動係数が0.7以下であるセラミックスを得るには、焼成雰囲気は大気雰囲気、焼成温度は1550℃以上1700℃以下とし、保持時間は2時間以上5時間以下とすればよい。
【0045】
開気孔の面積率が0.1%以下であるセラミックスを得るには、焼成雰囲気は大気雰囲気、焼成温度は1600℃以上1700℃以下とし、保持時間は1.5時間以上5時間以下とすればよい。
【0046】
次に、焼結体の表面を機械的に加工することによって、プラズマ処理装置用部材の一実施形態であるガスノズルを得ることができる。
【0047】
本開示では上述したように、射出成形機を用いた成形によってプラズマ処理装置用部材を制作している。このため、乾式加圧成形後にドリルなどの工具で貫通孔を機械的に形成する加工方法あるいは押出成形法を用いた場合と異なり、開気孔同士の間隔が広くなる。その結果、耐食性に優れたプラズマ処理装置用部材とすることができる。
【0048】
本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組合せなどが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 上部容器
2 下部容器
3 処理チャンバー
4 支持テーブル
5 静電チャック
6 半導体基板
7 ガスノズル
8 誘導コイル
9 真空ポンプ
10 プラズマ処理装置