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特許7129582冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法、冷却シートの製造方法、及び冷却シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法、冷却シートの製造方法、及び冷却シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/02 20060101AFI20220825BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220825BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220825BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220825BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220825BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220825BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220825BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220825BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
C09J133/02
C09J7/38
C09J11/04
C09J11/06
C09J11/08
A61K9/70 405
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022500358
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2021004144
(87)【国際公開番号】W WO2021161895
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2020021577
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】一戸 賢斗
(72)【発明者】
【氏名】鶴島 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】義永 隆明
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008024(JP,A)
【文献】特開2011-012015(JP,A)
【文献】特開昭59-110617(JP,A)
【文献】特開2009-073777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
A61K 9/70
A61K 47/02
A61K 47/16
A61K 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シート製造のための粘着剤層組成物の製造方法であり、
水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有する被混合組成物を、混合温度が5~23℃となるように混合して粘着剤層組成物を得る工程を含み、
前記被混合組成物において、
前記水の含有量が前記被混合組成物の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法。
【請求項2】
前記被混合組成物がポリビニルアルコールをさらに含有する、請求項1に記載の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法。
【請求項3】
前記被混合組成物がカルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含有する、請求項1又は2に記載の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法。
【請求項4】
前記被混合組成物において、前記ポリアクリル酸中和物の含有量が前記被混合組成物の全質量に対して1~10質量%である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法。
【請求項5】
支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シートの製造方法であり、
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の製造方法で粘着剤層組成物を得る工程;
前記粘着剤層組成物を成形して前記粘着剤層を得る工程;
を含み、
前記粘着剤層が、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有しており、
前記粘着剤層において、
前記水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
冷却シートの製造方法。
【請求項6】
前記粘着剤層の質量が1,500~2,300g/mである、請求項5に記載の冷却シートの製造方法。
【請求項7】
支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シートであり、
前記粘着剤層が、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有しており、
前記粘着剤層において、
前記水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1であり、
前記粘着剤層を形成した粘着剤層組成物の混合温度が5~23℃である、
冷却シート。
【請求項8】
前記粘着剤層がポリビニルアルコールをさらに含有する、請求項7に記載の冷却シート。
【請求項9】
前記粘着剤層がカルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含有する、請求項7又は8に記載の冷却シート。
【請求項10】
前記粘着剤層の質量が1,500~2,300g/mである、請求項7~9のうちのいずれか一項に記載の冷却シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法、冷却シートの製造方法、及び冷却シートに関するものであり、より詳しくは、支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シート製造のための粘着剤層組成物の製造方法、それを用いた冷却シートの製造方法、及びそれらにより得られる冷却シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体や衣類等の適用部位を心地よく冷却するための冷却シートが知られており、このような冷却シートとしては、例えば、特開2000-7559号公報(特許文献1)において、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体を0.05~10重量%含有する水性粘着膏体を持つ水性貼付剤が記載されている。
【0003】
また、前記冷却シートとしては、支持体として織布や編布を用いることが知られており、例えば、特開2005-154414号公報(特許文献2)には、捲縮加工が施された熱可塑性合成樹脂のマルチフィラメント糸を2段以上の両面メリヤス編みに編み立てた基布に、含水性粘着剤を塗布、展延、コーティング、或いは含浸させた粘着面を有してなる皮膚外用部材が記載されている。
【0004】
さらに、例えば、国際公開第2013/027840号(特許文献3)には、リドカインを含む粘着剤を均一に塗膏しやすくすることを目的とした含水貼付剤として、支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層と、を備える含水貼付剤において、前記粘着剤層に、親水性粘着剤と、ジエチレングリコール又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、を配合することが記載されている。
【0005】
しかしながら、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー(水溶性高分子)、水等を配合してなるタイプの冷却シートにおいて、その冷却作用や冷却持続作用は、一般に、その含水率を高くすることによって発揮されるが、これら従来の水性粘着膏体、含水性粘着剤、及び粘着剤層等においては、未だ含水率が十分ではなかった。
【0006】
他方、例えば、特開2009-155434号公報(特許文献4)には、高含水率、高粘着性、高保形性であって、冷却効果の持続性に優れた含水貼付剤を提供することを目的として、予め高吸水性樹脂化合物を水に膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を形成させ、この含水物を、水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相中に分散させた含水粘着剤とすることが記載されている。しかしながら、特許文献4に記載の含水粘着剤では、高吸収性樹脂化合物を用いる必要があったり、製造方法における工程数が多いといった問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-7559号公報
【文献】特開2005-154414号公報
【文献】国際公開第2013/027840号
【文献】特開2009-155434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー、水等を配合してなるタイプの冷却シートについて、その冷却力や冷却持続時間といった冷却性能をより高めることを目的として、前記粘着層における水の含有量をさらに増やすことを検討したところ、当該粘着剤層を形成するための粘着剤層組成物の水の含有量を増やすと(例えば、69質量%以上)、得られる冷却シートの保存時や使用時に粘着剤層の染み出しが発生しやすくなるといった問題が生じることを見出した。他方、前記粘着剤層の染み出しの発生を抑制するために水溶性ポリマーの含有量を増やすと、均一に展延できないために得られる粘着剤層に展延ムラが発生するという問題が生じることを見出した。なお、ここで、粘着剤層の「染み出し」とは、粘着剤層自体が流動化して当接する支持体層(例えば、布帛等)を通過し、支持体層の粘着剤層とは反対の面上まで粘着剤層の一部又は全部が染み出してくる現象のことをいう。
【0009】
本発明は、上記の本発明者らが見出した課題に鑑みてなされたものであり、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー、水等を配合してなるタイプの冷却シートであって、含水率が十分に高く、かつ、粘着剤層の展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制される冷却シートを製造できる粘着剤層組成物の製造方法、それを用いた冷却シートの製造方法、及びそれらにより得られる冷却シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー、水等を配合してなるタイプの冷却シートを製造するための粘着剤層組成物に、特定量のミョウバンとエデト酸ナトリウムとを組み合わせて含有させ、かつ、前記粘着剤層組成物を得る際に、被混合組成物を特定の混合温度となるように混合することにより、かかる混合で得られた粘着剤層組成物を成形して形成された粘着剤層を備える冷却シートにおいては、水の含有量(すなわち、含水率)が69質量%以上と多くとも、粘着剤層の展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法は、支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シート製造のための粘着剤層組成物の製造方法であり、
水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有する被混合組成物を、混合温度が5~23℃となるように混合して粘着剤層組成物を得る工程を含み、
前記被混合組成物において、
前記水の含有量が前記被混合組成物の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
製造方法である。
【0012】
本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法としては、前記被混合組成物がポリビニルアルコールをさらに含有することが好ましく、また、前記被混合組成物がカルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含有することも好ましい。
【0013】
さらに、本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法としては、前記被混合組成物において、前記ポリアクリル酸中和物の含有量が前記被混合組成物の全質量に対して1~10質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の冷却シートの製造方法は、支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シートの製造方法であり、
本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法で粘着剤層組成物を得る工程;
前記粘着剤層組成物を成形して前記粘着剤層を得る工程;
を含み、
前記粘着剤層が、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有しており、
前記粘着剤層において、
前記水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
製造方法である。
【0015】
本発明の冷却シートの製造方法としては、前記粘着剤層の質量が1,500~2,300g/mであることが好ましい。
【0016】
本発明の冷却シートは、支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シートであり、
前記粘着剤層が、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有しており、
前記粘着剤層において、
前記水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1であり、
前記粘着剤層を形成した粘着剤層組成物の混合温度が5~23℃である。
【0017】
本発明の冷却シートとしては、前記粘着剤層がポリビニルアルコールをさらに含有することが好ましく、また、前記粘着剤層がカルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含有することも好ましい。
【0018】
さらに、本発明の冷却シートとしては、前記粘着剤層の質量が1,500~2,300g/mであることが好ましい。
【0019】
本発明の冷却シートは、本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法で得られた粘着剤層組成物を成形してなる(当該粘着剤層組成物に形づけをしてなる)粘着剤層を備えることを特徴とするものであり、当該粘着剤層を形成した(当該粘着剤層を形づくった)粘着剤層組成物の混合温度が5~23℃であることを特徴とする。前記粘着剤層組成物は、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を特定の含有量で含有する被混合組成物を特定の温度となるように混合して得られるものである。前記被混合組成物のうち、ミョウバンは主に架橋剤として機能し、エデト酸ナトリウムは主にキレート剤として機能する。本発明では、かかる被混合組成物の組成及び混合温度をいずれも特定の範囲内としたことにより、これら機能による架橋及びキレート化の程度を、得られる粘着剤層の展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制される範囲内とすることができたものと本発明者らは推察する。このような混合では、水、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物中でミョウバン及びエデト酸ナトリウムが互いに奏功し合って、ミョウバンが架橋剤として機能するとともに、エデト酸ナトリウムがキレート剤として機能する。そのため、得られる粘着剤層組成物、並びに、それを成形してなる粘着剤層の構造は、複雑かつ多岐にわたり、その構造又は特性を解析することは著しく困難である。然るに、本発明の冷却シートには、前記粘着剤層をその構造又は特性により直接特定することにつき、不可能・非実際的事情が存在する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー、水等を配合してなるタイプの冷却シートであって、含水率が十分に高く(例えば、69質量%以上)、かつ、粘着剤層の展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制される冷却シートを製造できる粘着剤層組成物の製造方法、それを用いた冷却シートの製造方法、及びそれらにより得られる冷却シートを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0022】
<冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法>
本発明の冷却シート製造用粘着剤層組成物の製造方法(以下、場合により単に「粘着剤層組成物の製造方法」という)は、支持体層、粘着剤層、及びライナー層を備える冷却シート製造のための粘着剤層組成物の製造方法であり、
水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有する被混合組成物を、混合温度が5~23℃となるように混合して粘着剤層組成物を得る工程を含み、
前記被混合組成物において、
前記水の含有量が前記被混合組成物の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記被混合組成物の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
製造方法である。かかる製造方法で得られた粘着剤層組成物を成形することにより、前記冷却シートの粘着剤層を得ることができる。
【0023】
(支持体層)
本発明に係る支持体層としては、前記粘着剤層を支持し得るものであればよく、例えば、冷却シートの支持体層として公知のものが挙げられる。前記支持体層の厚みとしては、特に制限されるものではないが、冷却シートを貼付する際の作業容易性及び製造容易性の観点からは、5~1,500μmの範囲内であることが好ましく、5~1,000μmの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
本発明に係る支持体層の形態としては、例えば、フィルム;シート、シート状多孔質体、シート状発泡体等のシート類;織布、編布、不織布等の布帛;箔;及びこれらの積層体が挙げられる。これらの中でも、通気・通水性があるために粘着剤層の染み出しが発生し得る形態であり、本発明の製造方法で得られた粘着剤層組成物による染み出し発生の抑制効果をより必要とする観点から、布帛であることが好ましい。同様の観点から、前記布帛としては、目付が90g/m以上であることが好ましく、90~200g/mであることがより好ましく、90~160g/mであることがさらに好ましく、90~110g/mであることがさらにより好ましい。前記目付が前記下限未満では、破れ等の形状破壊、外観不良、貼付時の貼りづらさ等を招く傾向にあり、他方、前記上限を超えると、伸縮性不良や柔軟性不良による使用性の低下、貼付時の捲れやコストアップを招く傾向にある。
【0025】
本発明に係る支持体層の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ナイロン等のポリアミド;レーヨン;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミニウム等の金属、並びに、レーヨン;パルプ;及び綿が挙げられる。
【0026】
(ライナー層)
本発明に係るライナー層としては、前記粘着剤層を使用時まで保護し得るものであればよく、特に制限されず、例えば、冷却シートのライナー層(「剥離ライナー」ともいう)として公知のものが挙げられる。本発明に係るライナー層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミ、紙等の材質からなるフィルムやシート及びこれらの積層体が挙げられる。このようなライナー層としては、前記粘着剤層から容易に剥離できるように前記粘着剤層と接触する側の面に含シリコーン化合物コートや含フッ素化合物コート等の離型処理が施されたものであることが好ましい。
【0027】
(被混合組成物)
本発明の粘着剤層組成物の製造方法における被混合組成物は、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有する。
【0028】
〔水〕
本発明に係る水としては、特に制限されないが、イオン交換、蒸留、濾過等の精製を施された水であることが好ましく、例えば、日本薬局方(第十七改正日本薬局方)に記載の「精製水」を好適に用いることができる。
【0029】
本発明に係る被混合組成物における水の含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、69~98.24質量%であることが必要である。前記水の含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層において十分に優れた冷却力や冷却持続時間が得られず、冷却性能が不十分となり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において、染み出しや、保存時にライナー層が粘着剤層からずれるいわゆるライナーズレが発生しやすくなり、また、粘着力(付着性)が不十分となる。また、同様の観点から、前記水の含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して69~80質量%であることがより好ましく、70~80質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
〔ミョウバン〕
本発明に係る被混合組成物は、ミョウバンを含有することが必要である。本発明において「ミョウバン」は、1価の陽イオンの硫酸塩と3価の金属イオンの硫酸塩との複塩の総称を示す。前記ミョウバンとしては、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバンが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、カリウムミョウバンが好ましく、前記カリウムミョウバンとしては、硫酸アルミニウムカリウムが挙げられる。前記硫酸アルミニウムカリウムは、通常、アルミニウムを水酸化カリウムに溶かし、硫酸を加えて生成されるものであり、結晶水の有無によって、単にミョウバンや焼ミョウバンとも呼称される。
【0031】
本発明に係る被混合組成物におけるミョウバンの含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.18~0.42質量%であることが必要である。前記ミョウバンの含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層において染み出しが発生しやすくなり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において展延ムラが発生したり十分な粘着力が得られにくくなる。また、同様の観点から、前記ミョウバンの含有量は前記被混合組成物の全質量に対して0.2~0.4質量%であることがより好ましい。
【0032】
〔エデト酸ナトリウム〕
本発明に係る被混合組成物は、エデト酸ナトリウムを含有することが必要である。エデト酸ナトリウムは、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、EDTAナトリウムとも称される。本発明に係る被混合組成物におけるエデト酸ナトリウムの含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.08~0.18質量%であることが必要である。前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層において展延ムラが発生したり十分な粘着力が得られにくくなり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において染み出しが発生しやすくなる。また、同様の観点から、前記エデト酸ナトリウムの含有量は前記被混合組成物の全質量に対して0.1~0.17質量%であることがより好ましい。
【0033】
また、本発明に係る被混合組成物においては、前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が、1:1~5.25:1であることが必要である。前記エデト酸ナトリウムの含有量に対する前記ミョウバンの含有量の比率が前記下限未満では、得られる粘着剤層において染み出しが発生しやすくなり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において展延ムラが発生したり十分な粘着力が得られにくくなる。また、同様の観点から、前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)としては、1:1~3:1であることがより好ましく、1.33:1~2.67:1であることがさらに好ましい。
【0034】
〔水溶性ポリマー〕
本発明に係る被混合組成物は、第1の水溶性ポリマーとして、ポリアクリル酸を含有する。本発明に係る被混合組成物におけるポリアクリル酸の含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.5~5質量%であることが好ましく、1~3質量%であることがより好ましい。前記ポリアクリル酸の含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層の硬度が高くなって十分な粘着力が得られなかったりライナーズレが発生しやすくなったりする傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の成形性及び保形性の維持によるライナーズレの抑制効果や染み出し発生の抑制効果が低下する傾向にある。
【0035】
本発明に係る被混合組成物は、第2の水溶性ポリマーとして、ポリアクリル酸中和物を含有する。水溶性ポリマーとしてポリアクリル酸中和物がさらに配合されることにより、得られる粘着剤層の成形性及び保形性がより高くなる。本発明において、「ポリアクリル酸中和物」には、「ポリアクリル酸部分中和物」を含み、本発明に係るポリアクリル酸中和物は、ポリアクリル酸のカルボキシ基の全部又は一部が、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属やアンモニウムイオン等によって中和されたものを示す。前記ポリアクリル酸中和物としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、得られる粘着剤層の成形性及び保形性がさらに高くなる傾向にある観点から、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。前記ポリアクリル酸中和物の中和率としては、特に制限されるものではないが、例えば、30~100%であることが好ましい。
【0036】
本発明に係る被混合組成物におけるポリアクリル酸中和物の含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、1~10質量%であることが好ましく、3~7.5質量%であることがより好ましい。前記ポリアクリル酸中和物の含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層において展延ムラや染み出しの発生の抑制効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において展延ムラの発生の抑制効果の低下や粘着剤層の粘着力の低下が起きやすくなる傾向にある。
【0037】
また、本発明に係る被混合組成物においては、前記ポリアクリル酸と前記ポリアクリル酸中和物との合計含有量が、前記被混合組成物の全質量に対して、1.5~15質量%であることが好ましく、4~10.5質量%であることがより好ましい。前記合計含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層における染み出しの発生の抑制効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の硬度が高くなって十分な粘着力が得られにくくなったり、粘着剤層において展延ムラが発生しやすくなったりする傾向にある。
【0038】
本発明に係る被混合組成物としては、第3の水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコールをさらに含有することが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコールがさらに組み合わせられることにより、得られる粘着剤層の質量を増加(例えば、1,500g/m以上に増加)した場合であっても、展延ムラ及び染み出しの発生をさらに十分に抑制しつつ、粘着力をさらに十分に高く維持できる傾向にある。
【0039】
本発明に係る被混合組成物が前記ポリビニルアルコールをさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、3~10質量%であることが好ましく、4~6質量%であることがより好ましい。前記ポリビニルアルコールの含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層の成形性及び保形性の維持によるライナーズレの抑制効果や染み出し発生の抑制効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の硬度が高くなってより十分な粘着力は得られなくなる傾向にある。
【0040】
また、本発明に係る被混合組成物においては、前記ポリビニルアルコールを含有する場合、前記ポリビニルアルコールの含有量と前記ポリアクリル酸の含有量との質量比(ポリビニルアルコールの含有量:ポリアクリル酸の含有量)が、1.2:1~5:1であることが好ましく、1.3:1~4:1であることがより好ましく、1.5:1~3:1であることがさらに好ましい。前記ポリアクリル酸の含有量に対する前記ポリビニルアルコールの含有量の比率が前記範囲内にあると、得られる粘着剤層の成形性及び保形性や粘着力がより良好となり、また、ライナーズレもより抑制される傾向にある。
【0041】
本発明に係る被混合組成物としては、第4の水溶性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロースナトリウム(「カルメロースナトリウム」ともいう)をさらに含有することが好ましい。水溶性ポリマーとしてカルボキシメチルセルロースナトリウムがさらに組み合わせられることにより、得られる粘着剤層の成形性及び保形性がさらに良好となる傾向にある。
【0042】
本発明に係る被混合組成物が前記カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.5~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。前記カルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層における染み出しの発生の抑制効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層において展延ムラが発生しやすくなる傾向にある。
【0043】
本発明に係る被混合組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記第1~第4の水溶性ポリマー以外の水溶性ポリマーをさらに含有していてもよい。このような他の水溶性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カラギーナン、グルコマンナン、寒天、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、ローカストビーンガムが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。本発明に係る被混合組成物が前記他の水溶性ポリマーをさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。
【0044】
〔他の成分〕
本発明に係る被混合組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、界面活性剤、防腐剤、清涼化剤、湿潤剤(保湿剤)、充填剤(賦形剤)、着色剤、有機酸(例えば、酒石酸)が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0045】
前記界面活性剤としては、例えば、モノオレイン酸ポリアルキレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、得られる粘着剤層においてライナーズレや染み出しの発生をより十分に抑制しつつ、粘着力がより良好になる傾向にある観点から、モノオレイン酸ポリアルキレングリコールが好ましい。
【0046】
このようなモノオレイン酸ポリアルキレングリコールとしては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレンポリプロピレングリコール等が挙げられ、中でも、モノオレイン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0047】
本発明に係る被混合組成物が前記界面活性剤をさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.12~0.7質量%であることが好ましく、0.15~0.5質量%であることがより好ましく、0.2~0.4質量%であることがさらに好ましい。前記界面活性剤の含有量が前記下限未満では、例えば、高含水率である粘着剤層中に下記の防腐剤(特にパラオキシ安息香酸エステル)を含有させる場合、これを完全に溶解させることが困難となって細菌やカビの発生防止効果が十分に発揮されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層の成形性及び保形性の維持によるライナーズレの抑制効果や染み出し発生の抑制効果が低下する傾向にある。
【0048】
前記防腐剤としては、特に制限されず、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、得られる粘着剤層中における細菌やカビの発生をより長期間にわたって防止することができる傾向にある観点から、パラオキシ安息香酸エステルが好ましい。
【0049】
このようなパラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸イソプロピル(イソプロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)、パラオキシ安息香酸イソブチル(イソブチルパラベン)等が挙げられ、中でも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルが好ましい。
【0050】
本発明に係る被混合組成物が前記防腐剤をさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましく、0.05~0.3質量%であることがさらに好ましい。前記防腐剤の含有量が前記下限未満では、得られる粘着剤層における細菌やカビの発生防止効果が十分に発揮されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、一部が溶解せずに粘着剤層中に固形分として残存して粘着剤層の均一性が低下し、外観が損なわれる傾向にある。
【0051】
前記清涼化剤は、冷却シートを使用する際に冷却力や冷却持続時間といった冷却性能をより向上させるためのものであり、芳香を有するものであってもよい。このような清涼化剤としては、例えば、チモール、l-メントール、dl-メントール、l-イソプレゴール、ハッカ油等が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。本発明に係る被混合組成物が前記清涼化剤をさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、0.01~1質量%であることが好ましく、0.03~0.5質量%であることがより好ましい。前記清涼化剤の含有量が前記下限未満では、清涼感が十分に得られにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、清涼感が強すぎてしまう傾向にある。
【0052】
前記湿潤剤(保湿剤)としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。本発明に係る被混合組成物が前記湿潤剤をさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、10~60質量%であることが好ましい。前記湿潤剤の含有量が前記下限未満では、保湿効果が十分に得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、水溶性ポリマーの溶解性の低下を招きやすくなる傾向にある。
【0053】
前記充填剤(賦形剤)としては、例えば、カオリン、亜鉛華、酸化チタン、タルク、ベントナイト、含水ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機物が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。本発明に係る被混合組成物が前記充填剤をさらに含有する場合、その含有量としては、前記被混合組成物の全質量に対して、6質量%以下であることが好ましい。前記充填剤の含有量が前記上限を超えると、粘着剤層の粘着力の低下を招きやすくなる傾向にある。
【0054】
(混合)
本発明の粘着剤層組成物の製造方法においては、前記被混合組成物を、混合温度が5~23℃となるように混合して粘着剤層組成物を得る。
【0055】
本発明において、「混合温度」とは、より具体的には、混合終了時の組成物の温度に対応する温度であり、同混合終了時の組成物の温度を示し、混合終了時の被混合組成物(すなわち粘着剤層組成物)の温度を温度計で測定することによって確認することができる。前記混合終了時としては、被混合組成物が完全に停止してから5分以内であることが好ましい。本発明に係る混合温度としては、5~23℃であることが必要である。前記混合温度が前記下限未満では、得られる粘着剤層において染み出しが発生しやすくなり、他方、前記上限を超えると、得られる粘着剤層に展延ムラが発生しやすくなる。また、同様の観点から、前記混合温度としては、6~23℃であることがより好ましく、7~23℃であることがより好ましい。
【0056】
前記混合方法としては、例えば、前記被混合組成物を容器内に入れ、プロペラミキサー、パドルミキサー、アンカーミキサー、プラネタリーミキサー、V型混合機、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
【0057】
前記被混合組成物の温度はこのような混合によって上昇する傾向にあるため、本発明に係る混合においては、混合開始時から前記混合終了時前までの間、前記被混合組成物の温度が前記混合温度を超えることがあってもよいが、混合開始時から前記混合終了時前までの間において、前記被混合組成物の温度が、25℃を超えないことが好ましく、25℃以下に維持されていることが好ましく、5~25℃に維持されていることがより好ましい。また、このように前記被混合組成物の温度は前記混合によって上昇する傾向にあるため、本発明においては、前記被混合組成物を冷却しながら混合することが好ましい。かかる冷却条件としては、前記被混合組成物の組成及び量に応じて適宜調整可能である。
【0058】
前記混合の時間(混合時間:混合開始時から前記混合終了時までの時間)としては、前記被混合組成物が均一になればよく、前記被混合組成物の組成及び量に応じて適宜調整可能であって特に制限されないが、例えば、5~60分間であることが好ましく、5~30分間であることがより好ましい。前記混合時間が前記範囲内にあることにより、前記被混合組成物が十分に均一になるとともに、混合終了時に前記混合温度の条件を満たす粘着剤層組成物を得ることができる傾向にある。
【0059】
上記本発明の粘着剤層組成物の製造方法により得られた粘着剤層組成物は、それを成形することにより、高含水率で、かつ、展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制される粘着剤層を得ることができるため、かかる粘着剤層を備える冷却シートの製造に好適に用いることができる。
【0060】
<冷却シート及びその製造方法>
本発明の冷却シートの製造方法は、本発明の粘着剤層組成物の製造方法で得られた粘着剤層組成物を用いて冷却シートを得る方法であり、
本発明の粘着剤層組成物の製造方法で粘着剤層組成物を得る工程;
前記粘着剤層組成物を成形して前記粘着剤層を得る工程;
を含み、
前記粘着剤層が、水、ミョウバン、エデト酸ナトリウム、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸中和物を含有しており、
前記粘着剤層において、
前記水の含有量が前記粘着剤層の全質量に対して69~98.24質量%であり、
前記ミョウバンの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.18~0.42質量%であり、
前記エデト酸ナトリウムの含有量が前記粘着剤層の全質量に対して0.08~0.18質量%であり、かつ、
前記ミョウバンの含有量と前記エデト酸ナトリウムの含有量との質量比(ミョウバンの含有量:エデト酸ナトリウムの含有量)が1:1~5.25:1である、
製造方法である。
【0061】
さらに、本発明の冷却シートは、本発明の冷却シートの製造方法で得られる、前記支持体層、前記粘着剤層、及び前記ライナー層を備える前記冷却シートであり、前記粘着剤層を形成した粘着剤層組成物の混合温度が5~23℃である、冷却シートである。
【0062】
本発明の冷却シート及びその製造方法において、前記粘着剤層の組成は、その好ましい態様も含めて、上記の被混合組成物の組成における「被混合組成物」を「粘着剤層」に置き換えた組成と同じである。また、前記支持体層及びライナー層としては、前述のとおりである。さらに、本発明の冷却シートにおいて、前記粘着剤層を形成した粘着剤層組成物の混合温度としては、その好ましい態様も含めて、本発明の粘着剤層組成物の製造方法における混合温度と同じである。
【0063】
本発明の冷却シートの製造方法として、例えば、第1の態様としては、先ず、上記の本発明の粘着剤層組成物の製造方法で粘着剤層組成物を得た後、得られた粘着剤層組成物を前記支持体層の一方の面上に所望の単位面積あたり質量となるように展延して成形し、前記粘着剤層を形成する。次いで、前記粘着剤層の前記支持体層と反対の面上に前記ライナー層を貼り合わせ、必要に応じて所望の形状に裁断することにより、本発明の冷却シートを得ることができる。前記展延方法としては、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、ダイコーター等にて前記支持体層上に粘着剤層組成物を展延するダイレクトコート法等が挙げられる。
【0064】
また、第2の態様としては、先ず、上記の本発明の粘着剤層組成物の製造方法で粘着剤層組成物を得た後、得られた粘着剤層組成物を前記ライナー層の一方の面上に所望の単位面積あたり質量となるように上記に挙げた方法と同様の方法で展延して成形し、前記粘着剤層を形成する。次いで、前記粘着剤層の前記ライナー層と反対の面上に前記支持体層を貼り合わせ、必要に応じて所望の形状に裁断することにより、本発明の冷却シートを得ることができる。
【0065】
本発明の粘着剤層組成物の製造方法で得られた粘着剤層組成物は、混合温度(すなわち、混合終了時の被混合組成物の温度)、すなわち製造直後の当該粘着剤層組成物の温度が5~23℃であるため、冷却シートの製造環境によっては、この温度が上昇しないうちに成形することが好ましく、前記粘着剤層を形成するまでの間において、前記粘着剤層組成物の温度が、23℃を超えないことが好ましく、23℃以下に維持されていることが好ましい。また、本発明の冷却シートの製造方法においては、前記粘着剤層組成物を成形した後に、前記粘着剤層が安定するまで静置してもよい。
【0066】
本発明の冷却シートにおいて、前記粘着剤層の質量(貼付面の単位面積あたりの質量)は、特に制限されるものではないが、本発明の冷却シートにおいては前記粘着剤層における水の含有量を増やし、さらに粘着剤層の質量を増やした場合であっても、染み出しの発生が十分に抑制される傾向にあることから、500g/m以上であることが好ましく、750g/m以上であることがより好ましく、1,000g/m以上であることがさらに好ましく、1,500g/m以上であることが特に好ましい。前記粘着剤層の質量が前記下限未満では、冷却力や冷却持続時間といった冷却性能が十分に得られにくくなる傾向にある。他方、前記粘着剤層の質量の上限は、2,300g/mであることが好ましい。前記粘着剤層の質量が前記上限を超えると、本発明の冷却シートであっても染み出しが発生しやすくなる場合がある。
【0067】
また、本発明の冷却シートにおいて、前記粘着剤層の貼付面の面積としては、特に制限されるものではないが、10~300cmであることが好ましく、20~150cmであることがより好ましく、30~70cmであることがさらに好ましい。前記貼付面の面積が前記下限未満では、冷却効果が十分に得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、付着性が低下して剥がれやすくなる場合がある。
【0068】
また、本発明の冷却シートとしては、必要に応じて、保存用包装容器(例えば、アルミニウム包装袋)に封入して包装体としてもよい。
【実施例
【0069】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における各種試験は、それぞれ以下に示す方法により行った。
【0070】
(1)混合温度の測定試験
各実施例及び各比較例において、被混合組成物を混合直後(混合機を停止して5分以内)の温度(粘着剤層組成物の温度)を、温度計(半固形物・液体一般用温度センサ、安立計器株式会社製、AP-400K)を用いて測定し、混合温度(℃)とした。
【0071】
(2)粘着剤層の展延ムラの確認試験
各実施例及び各比較例において得られた冷却シートのライナー層を剥離して粘着剤層の性状(均一性)を目視にて確認し、以下の評価スコア:
0:粘着剤層の全面(面積:95%以上)において表面及び厚さが均一で展延ムラがない
1:粘着剤層の一部(面積:5%を超えて50%未満)において表面及び/又は厚さが均一でなく、展延ムラが確認される
2:粘着剤層の大部分又は全面(面積:50%以上)において表面及び/又は厚さが均一でなく、展延ムラが確認される
に準拠して評価した。評価は、それぞれ3枚の冷却シートについて同様に行い、スコアの平均値を評価結果とし、スコア(平均値)が0を許容と判定した。
【0072】
(3)粘着剤層の染み出しの確認試験
各実施例及び各比較例において得られた冷却シートを、アルミニウム包装袋に封入し、室温で24時間以上静置した後、包装袋を開封し、支持体層に粘着剤層が染み出した部分の面積を測定し、以下の評価スコア:
0:染み出しなし
1:染み出し少しあり(面積:10%未満)
2:染み出しややあり(面積:10%以上20%未満)
3:染み出し多くあり(面積:20%以上30%未満)
4:染み出しかなり多くあり(面積:30%以上)
に準拠して評価した。評価は、それぞれ3枚の冷却シートについて同様に行い、スコアの平均値を評価結果とし、スコア(平均値)が0を許容と判定した。
【0073】
(4)冷却性能の確認試験
各実施例及び各比較例において得られた冷却シートを、アルミニウム包装袋に封入し、室温で2週間以上静置した後、包装袋を開封し、以下の手順で冷却シートの冷却持続時間を測定し、以下の評価スコアに準拠して評価し、スコアが1以下を許容と判定した。
[測定手順]
(i)恒温槽に水を入れ、水温を34℃に設定する。
(ii)恒温槽の外側面に、粘着テープで温度センサーを備えるデータロガーを固定する。このとき、粘着テープが温度センサーに直接触れないようにする。
(iii)データロガーの温度の記録を開始する。データ取得は5分おきに行う。
(iv)冷却シートのライナー層を剥離し、冷却シートの粘着剤層側の表面を温度センサーの上に貼付し、温度センサーを冷却シートで被覆する。
(v)冷却シートで温度センサーを被覆した後、温度の記録を12時間以上継続する。
(vi)温度が低下し始めた時間を起点とし、低下した温度が再び上昇し始めるまでの時間を冷却持続時間として定義して測定する。
[評価スコア]
0:非常に良い(冷却持続時間:5時間以上)
1:良い(冷却持続時間:3時間以上5時間未満)
2:やや悪い(冷却持続時間:1時間以上3時間未満)
3:悪い(冷却持続時間:1時間未満)。
【0074】
(実施例1)
先ず、ポリビニルアルコール4.00質量部、ポリアクリル酸1.92質量部、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物4.58質量部、濃グリセリン15.00質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1.00質量部、硫酸アルミニウムカリウム0.24質量部、エデト酸ナトリウム0.15質量部、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(エチレンオキシ基平均付加モル数:6(6EO))0.30質量部、精製水72.3775質量部、及びその他の成分(酒石酸、l-メントール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、青色1号)0.4325質量部をそれぞれ秤取し、被混合組成物とした。混合機を用いて、混合温度が23℃以下となるように冷却しながら、前記被混合組成物を均一になるまで混合し、表1に記載の組成の粘着剤層組成物を得た。ライナー層(剥離処理されたポリエステル製フィルム)の面上に、単位面積あたり質量が1,900g/mとなるように得られた粘着剤層組成物を展延して粘着剤層を形成した後、前記粘着剤層のライナー層と反対の面上に支持体層(ポリエチレンテレフタレート製不織布、目付:100g/m)を貼り合わせ、5cm×11cmの大きさに裁断して冷却シートを得た。
【0075】
(比較例1~3)
硫酸アルミニウムカリウムに代えて、架橋剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(比較例1)、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(比較例2)、又はケイ酸アルミニウム(比較例3)をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、各冷却シートを得た。
【0076】
実施例1及び比較例1~3において、得られた粘着剤層組成物について前記(1)の試験を行い、得られた冷却シートについて前記(2)~(4)の試験を行った。各被混合組成物の組成(すなわち、粘着剤層組成物の組成、粘着剤層の組成)、並びに、(1)~(3)の各試験結果を下記の表1に示す。以下の表中、A:Bは、表中の架橋剤成分(A)とエデト酸ナトリウム(B)との質量比を示す。なお、実施例1において、前記(4)の試験の評価結果は0で確かに許容であった。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示したように、硫酸アルミニウムカリウムを用い、特定の組成及び条件で得られた粘着剤層組成物を成形して得られた本発明の冷却シート(例えば、実施例1)においては、含水率が69質量%以上と十分に高くとも、優れた冷却効果を発揮しつつ、粘着剤層の展延ムラの発生が十分に抑制され、かつ、粘着剤層の支持体層への染み出しの発生も長時間にわたって十分に抑制されることが確認された。他方、硫酸アルミニウムカリウム以外の架橋剤を用いて得られた冷却シート(比較例1~3)においては、特に粘着剤層の支持体層への染み出しが発生しやすいことが確認された。
【0079】
(実施例2~8及び比較例4~7)
硫酸アルミニウムカリウム及びエデト酸ナトリウムの含有量を変更し、各被混合組成物の組成をそれぞれ下記の表2~表3に示す組成としたこと以外は実施例1と同様にして、各冷却シートを得た。
【0080】
実施例2~8及び比較例4~7において、得られた粘着剤層組成物について前記(1)の試験を行い、得られた冷却シートについて前記(2)~(3)の試験を行った。各被混合組成物の組成(すなわち、粘着剤層組成物の組成、粘着剤層の組成)、並びに、(1)~(3)の各試験結果を下記の表2~3に示す。また、表2~3には、実施例1の各値も併せて示す。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
表2~3に示したように、特定の組成及び条件で得られた粘着剤層組成物を成形して得られた本発明の冷却シート(例えば、実施例1、2~8)においては、含水率が69質量%以上と十分に高くとも、粘着剤層の展延ムラの発生が十分に抑制され、かつ、粘着剤層の支持体層への染み出しの発生も長時間にわたって十分に抑制されることが確認された。他方、組成が本発明に係る特定の組成の範囲外である粘着剤層組成物を成形して得られた冷却シート(比較例4~7)においては、少なくとも粘着剤層の展延ムラ及び粘着剤層の支持体層への染み出しのうちのいずれかの評価結果が十分ではないことが確認された。
【0084】
(実施例9~12及び比較例8~11)
各被混合組成物の組成及び混合温度をそれぞれ下記の表4に示す組成及び温度となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、各冷却シートを得た。
【0085】
実施例9~12及び比較例8~11において、得られた粘着剤層組成物について前記(1)の試験を行い、得られた冷却シートについて前記(2)~(3)の試験を行った。各被混合組成物の組成(粘着剤層組成物の組成、粘着剤層の組成)、並びに、(1)~(3)の各試験結果を下記の表4に示す。また、表4には、実施例1、3~5の各値も併せて示す。
【0086】
【表4】
【0087】
表4に示したように、特定の組成及び条件で得られた粘着剤層組成物を成形して得られた本発明の冷却シート(例えば、実施例1、3~5、9~12)においては、含水率が69質量%以上と十分に高くとも、粘着剤層の展延ムラの発生が十分に抑制され、かつ、粘着剤層の支持体層への染み出しの発生も長時間にわたって十分に抑制されることが確認された。他方、被混合組成物の混合条件が本発明に係る特定の条件の範囲外である粘着剤層組成物を成形して得られた冷却シート(比較例8~11)においては、少なくとも粘着剤層の展延ムラにおいて評価結果が十分ではないことが確認された。
【0088】
(実施例13~14)
ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物の量を変更し、各被混合組成物の組成をそれぞれ下記の表5に示す組成としたこと以外は実施例1と同様にして、各冷却シートを得た。
【0089】
実施例13~14において、得られた粘着剤層組成物について前記(1)の試験を行い、得られた冷却シートについて前記(2)~(3)の試験を行った。各被混合組成物の組成(すなわち、粘着剤層組成物の組成、粘着剤層の組成)、並びに、(1)~(3)の各試験結果を下記の表5に示す。また、表5には、実施例1の各値も併せて示す。
【0090】
【表5】
【0091】
表5に示したように、特定の組成及び条件で得られた粘着剤層組成物を成形して得られた本発明の冷却シート(例えば、実施例1、13~14)においては、含水率が69質量%以上と十分に高くとも、粘着剤層の展延ムラの発生が十分に抑制され、かつ、粘着剤層の支持体層への染み出しの発生も長時間にわたって十分に抑制されることが確認された。
【0092】
(比較例12~15)
ポリアクリル酸又はポリアクリル酸ナトリウム部分中和物に代えて、ゼラチン(比較例12、14)又はキサンタンガム(比較例13、15)をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、各冷却シートを得た。
【0093】
比較例12~15において、得られた粘着剤層組成物について前記(1)の試験を行い、得られた冷却シートについて前記(2)~(3)の試験を行った。各被混合組成物の組成(粘着剤層組成物の組成、粘着剤層の組成)、並びに、(1)~(3)の各試験結果を下記の表6に示す。なお、比較例14においては、粘着剤層組成物の硬度が低すぎて前記(2)の展延ムラの評価はできなかった。
【0094】
【表6】
【0095】
表6に示したように、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸中和物に代えて他の水溶性ポリマーを用いて得られた冷却シート(比較例12~15)においては、特に粘着剤層の展延ムラの評価結果が十分ではなく、さらに、ポリアクリル酸中和物に代えてゼラチンを用いた場合(比較例14)には、粘着剤層の支持体層への染み出しの評価結果が十分ではないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、適用部位に直接当接する粘着剤層に水溶性ポリマー、水等を配合してなるタイプの冷却シートであって、含水率が十分に高く、かつ、粘着剤層の展延ムラ及び染み出しの発生が十分に抑制される冷却シートを製造できる粘着剤層組成物の製造方法、それを用いた冷却シートの製造方法、及びそれらにより得られる冷却シートを提供することが可能となる。