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  • 特許-ドラム型固液分離装置の洗浄方法 図1
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  • 特許-ドラム型固液分離装置の洗浄方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】ドラム型固液分離装置の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/66 20060101AFI20220826BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20220826BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20220826BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20220826BHJP
   C02F 11/126 20190101ALI20220826BHJP
【FI】
B01D29/38 520C
B01D29/30 501
B01D29/38 510C
C02F11/126 ZAB
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019187365
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021062323
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】本田 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀樹
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-219312(JP,A)
【文献】特開平06-292997(JP,A)
【文献】特開昭60-013085(JP,A)
【文献】米国特許第06615710(US,B1)
【文献】特開2002-224508(JP,A)
【文献】特開2001-219197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
C02F 11/00-11/20
B30B 9/14
B08B 1/00-1/04;5/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフレーム(2)に載置した円筒状のスクリーン(4)と、
スクリーン(4)の外周に並列して一対のフレーム(2)で橋架する複数の洗浄管(8)と、
スクリーン(4)下方の洗浄管(8a)を回転させる回転駆動装置(10)と、
を備えるドラム型固液分離装置の洗浄方法において、
洗浄管(8a)の一方の面のみに洗浄ノズル(11)を備え、
スクリーン(4)洗浄時は洗浄ノズル(11)をスクリーン(4)の方向に向け、
非洗浄時は洗浄ノズル(11)を水平方向より下方に向ける
ことを特徴とするドラム型固液分離装置の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄管(8a)の下方にろ液受けトラフ(9)を設け、
非洗浄時に洗浄ノズル(11)から洗浄液を噴射してろ液受けトラフ(9)を洗浄する
ことを特徴とする請求項に記載のドラム型固液分離装置の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥のような被処理液を濃縮・脱水するためのドラム型固液分離装置の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラム型の固液分離装置として、例えば特許文献1には、筒状のろ過体の内周にスクリューが回転可能に挿入されて、このスクリューの一端側からろ過体との間に供給された処理物を、スクリューの回転によって他端側に搬送しつつ、ろ過体によりろ過するスクリュープレスが開示されている。さらに特許文献1のスクリュープレスには、ろ過体の外周に、このろ過体に向けて洗浄液を噴射することによりろ過体を洗浄する、ノズル孔を備えた洗浄管よりなる洗浄手段が設けられている。この洗浄手段は、ろ過体外面への洗浄液の噴射角度を、洗浄管を回動可能に支持することによって調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-219312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドラム型固液分離装置の洗浄装置は、特許文献1のように、スクリーン外周に複数の洗浄管を配置している。そのため、スクリーン下方に配置した洗浄管には、スクリーンから目抜けした汚泥が堆積し、洗浄液を噴射するノズル孔が汚泥により閉塞していた。
【0005】
特許文献1では、洗浄管を回動可能として洗浄液の噴射角度を調整可能にしているが、スクリーン下方の洗浄管は、ノズル孔が常にスクリーン方向(上方)を向いているため、スクリーンから目抜けした汚泥が堆積するのを防ぐことはできない。
【0006】
この発明は、スクリーンの洗浄時と非洗浄時で、洗浄管の洗浄ノズルの向きを変更することにより、ノズル孔の閉塞を防止するドラム型固液分離装置の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一対のフレームに載置した円筒状のスクリーンと、スクリーンの外周に並列して一対のフレームで橋架する複数の洗浄管と、スクリーン下方の洗浄管を回転させる回転駆動装置とを備えるドラム型固液分離装置の洗浄方法において、洗浄管の一方の面のみに洗浄ノズルを備え、スクリーン洗浄時は洗浄ノズルをスクリーンの方向に向け、非洗浄時は洗浄ノズルを水平方向より下方に向けることで、洗浄ノズル上に目抜けした汚泥が堆積せず、ノズル孔の閉塞を防止できる。
【0008】
前記洗浄管の下方にろ液受けトラフを設け、非洗浄時に洗浄ノズルから洗浄液を噴射してろ液受けトラフを洗浄することで、ろ液受けトラフに堆積した汚泥を洗い流すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スクリーンの洗浄工程時は、スクリーン下方に配置した洗浄管の洗浄ノズルをスクリーン方向に向け、非洗浄時には洗浄ノズルをスクリーンとは反対方向に向けることで、固液分離工程時などにスクリーンから目抜けした汚泥が洗浄ノズルに堆積し、ノズル孔を閉塞させることを防止できる。
【0010】
また、スクリーン下方に配置した洗浄ノズルは、非洗浄時にスクリーンとは反対方向、すなわち、ろ液トラフ方向を向いているため、ろ液トラフに汚泥が堆積している場合は洗浄ノズルから洗浄液を噴射して、ろ液トラフを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係るドラム型固液分離装置の側断面図である。
図2図2は、同じく、ドラム型固液分離装置の洗浄時の正面図である。
図3図3は、同じく、ドラム型固液分離装置の非洗浄時の正面図である。
図4図4は、同じく、洗浄管に連結した回転駆動装置の正面図である。
図5図5は、同じく、洗浄管の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係るドラム型固液分離装置の側断面図である。
ドラム型固液分離装置1は、一対のフレーム2と、フレーム2に載置したケーシング3と、ケーシング3内に配置した円筒状のスクリーン4と、スクリーン4の中で回動可能に挿入されたスクリュー5と、スクリーン4の一端側から内部に汚泥を供給する供給管6と、スクリーン4の他端側から外に汚泥を排出する排出口7と、スクリーン4の外周に設けられた複数の洗浄管8と、ケーシング3下部に配置したろ液受けトラフ9とを備える。
【0013】
洗浄管8は、スクリーン4の外面を洗浄するもので、スクリーン4から所定の間隔を設けて配置する。また、洗浄管8はスクリーン4に並列して一対のフレーム2で橋架している。一部の洗浄管8aの両端はフレーム2で回動可能に支持される。
【0014】
スクリーン4の下方に配置された洗浄管8aの一端には回転駆動装置10を連結し、洗浄管8aを洗浄管8aの中心軸線回りに回転させる。洗浄管8、8aの洗浄液噴射及び回転駆動装置10の駆動は、図示しない制御装置により制御する。
【0015】
図2は、本発明に係るドラム型固液分離装置の洗浄時の正面図である。
ドラム型固液分離装置1は、円筒状のスクリーン4内に供給された汚泥から水分を分離する。分離の際に、目抜けした汚泥がスクリーン4の外面に付着するため、所定時間ごとにスクリーン4を洗浄している。
【0016】
円筒形のスクリーン4の外周には、スクリーン4の全面が洗浄できるように複数の洗浄管8を配置する。各洗浄管8はスクリーン4に向かって所定の間隔で複数の洗浄ノズル11を設けている。本実施例では洗浄管8を6本配置し、略正六角形の各頂点に位置させているが、洗浄管8の数や配置は適宜変更してよい。また、スクリーン4の長さに応じて洗浄ノズル11の数も適宜変更してよい。
【0017】
洗浄管8はスクリーン4に対向する一方の面のみに洗浄ノズル11を備える。なお、スクリーン4の下方、すなわちスクリーン4の中心高さより低い位置に配置された洗浄管8aは、回転駆動装置10により回転可能である。
【0018】
ケーシング3の下部には、スクリーン4で分離されたろ液を回収するろ液受けトラフ9を設ける。洗浄ノズル11より噴射された洗浄液は、スクリーン4に付着した汚泥を剥離し、剥離した汚泥および洗浄液は洗浄管8の下方に設けたろ液受けトラフ9から排出される。
【0019】
図3は、本発明に係るドラム型固液分離装置の非洗浄時の正面図である。
図3は、固液分離工程中またはろ液受けトラフ洗浄中など、スクリーン4の洗浄が行われていない際(非洗浄時)の洗浄管8の配置を示す。スクリーン4下方に配置された洗浄管8aは、回転駆動装置10を起動することで、洗浄時から180°回転させ、洗浄ノズル11をろ液受けトラフ9の方向へ向けている。この時、洗浄管8aの洗浄ノズル11を配置していない面がスクリーン4の方向へ向く。
【0020】
固液分離工程中は、スクリーン4から排出されたろ液および目抜けした汚泥の一部が、洗浄管8a上に排出される。このとき洗浄管8aは、洗浄ノズル11がスクリーン4の方向に向いておらず、ろ液受けトラフ9の方向に向いているため、ろ液および目抜けした汚泥は洗浄ノズル11のノズル孔に入らない。
【0021】
また、スクリーン4から目抜けした汚泥が落下し、ろ液受けトラフ9に堆積する場合もあるが、洗浄ノズル11がろ液受けトラフ9の方向に向いている状態で洗浄液を噴射すれば、ろ液受けトラフ9に堆積した汚泥を洗い流し、洗浄液と共に汚泥を排出すことができる。
【0022】
なお、本実施例では、洗浄ノズル11はスクリーン4洗浄時から180°回転させているが、洗浄ノズル11の向きが水平方向より下方に向いていれば、スクリーン4から目抜けした汚泥は洗浄ノズル11のノズル孔に堆積しない。従って、本発明の作用を得るのに洗浄ノズル11の回転角度は180°に限定されない。
【0023】
図4は、本発明に係る洗浄管に連結した回転駆動装置の正面図である。
回転駆動装置10は、回転アクチュエータ12と、回転アクチュエータ12に嵌合した駆動スプロケット13と、駆動スプロケット13に掛け回した駆動チェーン14で構成される。駆動チェーン14を洗浄管8aに嵌合した従動スプロケット15に掛け回すことで、回転アクチュエータ12の回転と連動して洗浄管8aが回転する。
【0024】
図4(a)は、回転する洗浄管8aを2つ配置すると共に、洗浄管8aの従動スプロケット15に駆動チェーン14を巻き掛け、回転アクチュエータ12で洗浄管8aを回転させている。2つの洗浄管8aは同一方向に回転する。
【0025】
図4(b)は、回転する洗浄管8aを2つ配置すると共に、従動スプロケット13aを配置し、それぞれ駆動チェーン14を巻き掛けることで2つの洗浄管8aの回転方向を逆方向にしている。洗浄管8aがそれぞれ外方向に向かって回転しながら洗浄液を噴射すれば、ろ液受けトラフ9の両端まで洗浄することができる。
【0026】
その他、回転駆動装置10を洗浄管8aごとに配置し、それぞれ回転駆動装置10で個別に洗浄管8aを回転してもよい。このように、洗浄ノズル11の向きを調整できれば、回転駆動装置10の構成は限定しない。
【0027】
図5は、本発明に係る洗浄管の模式図である。
洗浄液を貯留する貯留槽16を設け、貯留槽16と洗浄管8aを洗浄配管17aで接続する。洗浄配管17aには洗浄液供給ポンプ18が設けられ、洗浄液供給ポンプ18の下流側には洗浄配管17aから分岐して洗浄管8に接続する洗浄配管17bを備える。洗浄配管17bには開閉バルブ19を設け、開閉バルブ19及び洗浄液供給ポンプ18は図示しない制御装置で制御する。
【0028】
以下、図2図3図5を基にドラム型固液分離装置の運転・洗浄方法を詳述する。
1.固液分離工程
洗浄管8aの洗浄ノズル11をろ液受けトラフ9の方向に向ける。
供給管6からスクリーン4内に汚泥を供給し、スクリュー5で汚泥を搬送しながら固液分離を行う。水分はスクリーン4を通過してろ液受けトラフ9に排出され、固形分は排出口7より機外に排出される。
ここで、スクリーン4を通過して排出されたろ液には、目抜けした汚泥が混在している。スクリーン4下方に配置した洗浄管8aはろ液および目抜けした汚泥と接触するが、洗浄ノズル11が下方(ろ液受けトラフ9方向)に向いているため、洗浄ノズル11のノズル孔に汚泥が堆積することはない。
【0029】
2.スクリーン洗浄準備工程
固液分離工程終了後、スクリーン4の洗浄を行うための準備を行う。スクリーン4の外面には固液分離工程の際に目抜けした汚泥が付着している。図2に示すように、付着した汚泥を剥離するため、回転駆動装置10を起動させ、スクリーン4下方に配置した洗浄管8aを回転して洗浄ノズル11をスクリーン4の方向へ向ける。また、開閉バルブ19を開き、全ての洗浄管8、8aから洗浄液を噴射可能に設定する。
【0030】
3.スクリーン洗浄工程
洗浄管8aの洗浄ノズル11をスクリーン4の方向へ向けた後、洗浄液供給ポンプ18を起動して洗浄ノズル11から洗浄液を噴射し、スクリーン4に付着した汚泥を剥離する。剥離した汚泥および洗浄水は洗浄管8a下方のろ液受けトラフ9から排出される。所定時間が経過すると洗浄液供給ポンプ18を停止し、洗浄を終了する。
【0031】
4.トラフ洗浄準備工程
スクリーン洗浄工程終了後、ろ液受けトラフ9を洗浄するため、スクリーン4下方の洗浄管8aを回転させる。図3に示すように、回転駆動装置10を起動し、洗浄管8aを180°回転させ洗浄ノズル11をろ液受けトラフ9の方向へ向ける。また、開閉バルブ19を閉止し、洗浄管8aからのみ洗浄液を噴射可能に設定する。
【0032】
5.ろ液受けトラフ洗浄工程
洗浄管8aの洗浄ノズル11をろ液受けトラフ9の方向へ向けた後、洗浄液供給ポンプ18を起動してスクリーン4下方に配置した洗浄管8aから洗浄液を噴射する。ろ液受けトラフ9にはスクリーン4から目抜けした汚泥が堆積しており、洗浄ノズル11がろ液受けトラフ9の方向に向いている洗浄管8aから洗浄液を噴射することで、ろ液受けトラフ9に堆積した汚泥を洗い流す。所定時間が経過すると洗浄液供給ポンプ18を停止し、洗浄を終了する。ろ液受けトラフ洗浄工程終了後、固液分離工程に戻り汚泥の固液分離を再開する。
【0033】
本発明は、上記のような洗浄方法によってスクリーン4を洗浄することで、洗浄ノズル11のノズル孔に汚泥が堆積することがなく、洗浄ノズル11の詰まりが防止できる。本実施例では、トラフ洗浄準備工程後にろ液受けトラフ洗浄工程を開始しているが、トラフ洗浄工程後に洗浄ノズル内の異物を除去するノズル洗浄を行ってもよい。ノズル洗浄を行った後、ろ液受けトラフ洗浄工程に移行する。
【0034】
また、スクリーン洗浄工程中は、洗浄管8aの洗浄ノズル11に目抜けした汚泥が堆積しないため、固液分離工程中にスクリーン洗浄工程を行うことも可能である。その他、固液分離工程後にろ液受けトラフ洗浄工程を行い、その後スクリーン洗浄工程に移行するなど、非洗浄時に洗浄管8aの洗浄ノズル11が水平方向より下方に向けていれば、各工程の順序を適宜変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の洗浄装置及び洗浄方法は、スクリュープレス、ドラム型濃縮機、など、円筒状のスクリーンを備える固液分離装置の洗浄に利用でき、洗浄ノズルの閉塞を防止すると共に、スクリーンとろ液受けトラフの洗浄管を共用とすることで、機器の部品点数を削減できる。
【符号の説明】
【0036】
2 フレーム
4 スクリーン
8、8a 洗浄管
9 ろ液受けトラフ
10 回転駆動装置
11 洗浄ノズル
図1
図2
図3
図4
図5