(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】擬似的圧電d33振動式デバイス及びそれを組み込んだディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/043 20060101AFI20220826BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220826BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220826BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220826BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220826BHJP
H04R 19/00 20060101ALN20220826BHJP
【FI】
G06F3/043
G06F3/041 660
G06F3/041 495
G06T1/00 400G
G06T1/00 420B
G09F9/00 366A
G09F9/30 338
G09F9/30 310
G09F9/30 308Z
G09F9/30 349Z
H04R19/00 330
(21)【出願番号】P 2020076380
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2020-04-23
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520143627
【氏名又は名称】美三科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】May Sun Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】10F.-1,NO.29,JIANZHONG 1ST RD.,EAST DIST.,HSINCHU CITY 30070,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】周正三
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-211185(JP,A)
【文献】特開2007-097760(JP,A)
【文献】特開2013-034665(JP,A)
【文献】特表2014-531744(JP,A)
【文献】特表2017-503255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/043
G06F 3/041
G06T 1/00
G09F 9/00
G09F 9/30
H04R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似的圧電d33振動式デバイスであって、
基板と少なくとも1つのトランジスターと少なくとも1つの受信器と
誘電体層グループとを備え、
前記トランジスターは、前記基板上または前記基板内に配置され、
前記受信器は、
前記基板上に配置され且つ前記トランジスターに電気的に接続され、前記トランジスターは対応の前記受信器の受信を制御し、前記受信器は、第1感測電極と、第2感測電極と、ナノギャップとを備え、第1感測電極と第2感測電極とが平行又は略平行するように配置され、前記ナノギャップが前記感測第1電極と前記第2感測電極との間に配置され且つ半導体材料と金属材料とが熱反応によって半導体金属化合物を形成することで形成され、前記受信機の前記第1感測電極は
、金属層及び前記金属層に隣接する前記半導体金属化合物を含有し、前記第1感測電極と前記第2感測電極との間の検出静電容量の変化を測定して感測信号を生成
し、
前記誘電体層グループは、前記基板と前記第1感測電極との間に配置され、少なくとも1つのトランジスターを備える集積回路は、前記第1感測電極の下方に位置され、前記ナノギャップは、前記第1感測電極の前記金属層に隣接し、複数の金属プラグが前記第1感測電極の前記半導体金属化合物と前記集積回路との間に配置され、前記金属プラグは、前記半導体金属化合物を介して前記第1感測電極の前記金属層を前記集積回路に電気的に接続させる、ことを特徴とする擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項2】
前記受信器は、送信器としての機能を有し、送受信ユニットとして使用可能であり、前記送受信ユニットと前記トランジスターとが集積化送受器を形成し、前記集積化送受器では、前記トランジスターは、第1の時刻に、前記送受信ユニットが前記第1振動波を発信するように制御した後、第2の時刻に、前記送受信ユニットが前記第2振動波を受信するように制御し、前記半導体金属化合物の前記トランジスターに電気的に接続されることによって、前記第2感測電極と前記半導体金属化合物を含有した前記第1電極との間の検出静電容量の変化を測定して感測信号を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項3】
前記トランジスターは、ゲート電極と、ドレイン電極と、ソース電極と、前記ゲート電極と前記ドレイン電極,前記ソース電極との間に配置される第1半導体層とを備える、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項4】
前記送受信ユニットは、第2半導体層をさらに備え、前記第2半導体層は、前記基板と前記第1感測電極との間に配置される、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項5】
前記トランジスターは、ゲート電極と、ドレイン電極と、ソース電極と、前記ゲート電極と前記ドレイン電極,前記ソース電極との間に配置される第1半導体層とを備え、
前記送受信ユニットは、第2半導体層をさらに備え、前記第2半導体層は、前記基板と前記第1感測電極との間に配置され、
前記第1半導体層と前記第2半導体層とは、異なる材料層である、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項6】
前記ナノギャップの高さは、200ナノメートル以下である、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項7】
駆動検出回路モジュールをさらに備え、前記駆動検出回路モジュールは、前記集積化送受器に電気的に接続され、且つ、3.3~12Vの駆動電圧を前記集積化送受器に提供する、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項8】
前記半導体金属化合物は金属シリサイド層である、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項9】
保護層をさらに備え、前記ナノギャップは、前記保護層と前記第1感測電極とによって囲まれることで構成され、前記第2感測電極は、前記保護層上に配置される、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項10】
前記基板は、ガラス基板、フレキシブル基板、または絶縁層を形成した半導体基板である、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項11】
ディスプレイ内に統合する、または前記ディスプレイの下方に組み込む、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項12】
前記擬似的圧電d33振動式デバイスは、複数の前記集積化送受器を備え、前記送受信ユニットの前記第1振動波の位相差が同時に制御され、ビームフォーミング(beam forming)方式によって、各前記第1振動波のエネルギーを最大限にして、検出の感度を高めるように、エネルギーが集中し、且つ、順次にスキャンする、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項13】
バイオメトリックセンシング観測、3Dタッチ、ジェスチャー機能を同時に提供する、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項14】
周波数可変な送受信器であり、前記物体の異なる特徴の深度情報を観測できる、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項15】
前記ナノギャップのすべての周壁には、穴と充填材料を有しない、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項16】
前記送受信ユニットは
、第2絶縁層とをさらに備え、
前記第2絶縁層は、前記ナノギャップと前記第2感測電極との間に配置され
、前記基板と前記誘電体層グループとが前記集積回路を形成し、前記集積回路が前記第1感測電極と前記第2感測電極とに電気的に接続される、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項17】
前記第2感測電極の材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、またはアモルファスシリコンである、ことを特徴とする
請求項2に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項18】
送信器をさらに備え、前記送信器は前記トランジスターに電気的に接続され、前記トランジスターは、第1の時刻に、前記送信器が前記第1振動波を発信するように制御した後、第2の時刻に、前記受信器が前記第2振動波を受信するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項19】
前記送信器は、第1電極と、第2電極と、前記送信器の前記第1電極と前記送信器の前記第2電極との間に配置され、且つ前記半導体金属化合物または他の半導体金属化合物とが形成されることで形成される第2ナノギャップとを備える、ことを特徴とする
請求項18に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項20】
前記送信器と前記受信器とは、前記基板上に配置され、前記トランジスターは、前記基板上または前記基板内に配置され、且つ前記第2ナノギャップの高さは、前記ナノギャップの高さよりも高い、ことを特徴とする
請求項19に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス。
【請求項21】
前記受信器は、前記基板の上表面に配置され、前記トランジスターは、前記基板上または前記基板内に配置され、前記送信器は、圧電送信器であり、且つ前記基板の下表面または前記受信器の上方に配置される、ことを特徴とする
請求項18に記載の擬似的圧電d33振動式デバイス
【請求項22】
ディスプレイであって、
基板と、少なくとも、複数のトランジスターと複数の受信器と複数の表示ユニットと、
誘電体層グループとを備え、
前記トランジスターは、前記基板上または前記基板内に配置され、
前記受信器は、
前記基板上に配置され且つ前記トランジスターに電気的に接続され、前記トランジスターは前記受信器の受信を制御し、前記受信器は、第1感測電極と、第2感測電極と、ナノギャップとを備え、ナノギャップとを備え、第1感測電極と第2感測電極とが平行又は略平行するように配置され、前記ナノギャップが前記感測第1電極と前記第2感測電極との間に配置され且つ半導体材料と金属材料とが熱反応によって半導体金属化合物を形成することで形成され、前記受信機の前記第1電極は
、金属層及び前記金属層に隣接する前記半導体金属化合物を含有し、前記第1感測電極と前記第2感測電極との間の検出静電容量の変化を測定して感測信号を生成し、
前記誘電体層グループは、前記基板と前記第1感測電極との間に配置され、少なくとも1つのトランジスターを備える集積回路は、前記第1感測電極の下方に位置され、前記ナノギャップは、前記第1感測電極の前記金属層に隣接し、複数の金属プラグが前記第1感測電極の前記半導体金属化合物と前記集積回路との間に配置され、前記金属プラグは、前記半導体金属化合物を介して前記第1感測電極の前記金属層を前記集積回路に電気的に接続させ、
前記複数の表示ユニットは、電気的に接続される少なくとも1つの表示制御トランジスターと表示ピクセルとを備え、前記表示制御トランジスターは、前記表示ピクセルの有効化及び無効化を制御し、前記表示ピクセルが光信号を表示または不表示することで、データを表示する、ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項23】
前記受信器は、送信器としての機能を有し、送受信ユニットとして使用可能であり、前記送受信ユニットと複数の前記トランジスターのうちの対応の1つとは、集積化送受器を形成し、前記集積化送受器では、前記トランジスターは、第1の時刻に、前記送受信ユニットが前記第1振動波を発信するように制御した後、第2の時刻に、前記送受信ユニットが前記第2振動波を受信するように制御する、ことを特徴とする
請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記集積化送受器は、前記基板上に配置され、前記集積化送受器は、電気的に接続される前記送受信ユニットと、少なくとも1つの送受信制御トランジスターとを備え、前記送受信制御トランジスターは、前記送受信ユニットの送信及び受信を制御する、ことを特徴とする
請求項23に記載のディスプレイ
【請求項25】
トランジスター配置層と表示ピクセル配置層とをさらに備え、
前記トランジスター配置層は、前記基板上に配置され、送受信制御トランジスターと前記送受信ユニットとは、前記トランジスター配置層内に配置され、
前記表示ピクセル配置層は、前記トランジスター配置層上に配置され、前記表示ピクセルは前記表示ピクセル配置層内に配置される、ことを特徴とする
請求項24に記載のディスプレイ。
【請求項26】
前記送受信ユニットは、前記表示ユニットが占める領域の範囲外にある、ことを特徴とする
請求項24に記載のディスプレイ。
【請求項27】
前記送受信ユニットは、前記表示ユニットが占める領域の範囲内にある、ことを特徴とする
請求項24に記載のディスプレイ。
【請求項28】
前記表示ピクセル配置層は、発光層または光スイッチング層である、ことを特徴とする
請求項25に記載のディスプレイ。
【請求項29】
前記基板は、剛性基板、フレキシブル基板、または透明基板である、ことを特徴とする
請求項24に記載のディスプレイ。
【請求項30】
前記ナノギャップのすべての周壁には、穴と充填材料を有しない、ことを特徴とする
請求項24に記載のディスプレイ。
【請求項31】
送信器を更に備え、前記送信器は前記トランジスターに電気的に接続され、前記トランジスターは、第1の時刻に、前記送信器が前記第1振動波を発信することを制御した後、第2の時刻に、前記受信器が前記第2振動波を受信するように制御する、ことを特徴とする
請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項32】
前記送信器は、第1電極と、第2電極と、前記送信器の前記第1電極と前記送信器の前記第2電極との間に設けられ、且つ前記半導体金属化合物または他の半導体金属化合物が形成されたことで形成される第2ナノギャップとを備える、ことを特徴とする
請求項31に記載のディスプレイ。
【請求項33】
前記送信器と前記受信器とは、前記基板上に設けられ、前記トランジスターは、前記基板上または前記基板内に設けられ、且つ前記第2ナノギャップの高さは前記ナノギャップの高さよりも高い、ことを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項34】
前記受信器は前記基板の上表面に設けられ、前記トランジスターは前記基板上または前記基板内に設けられ、前記送信器は圧電送信器であり、且つ前記基板の下表面または前記受信器の上方に設けられる、ことを特徴とする
請求項31に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似的圧電d33振動式デバイス及びそれを組み込んだディスプレイに関し、特に、集積化送受器を有する擬似的圧電d33振動式デバイスに関する。当該デバイスは、電子装置、設備、及びシステムに応用できる。さらに、本発明は、前記送受信デバイスを統合したディスプレイにも関する。
【背景技術】
【0002】
音響または超音波送受器などの従来の振動式送受信器(トランスデューサ、transducer)は、医療臓器画像測定、ジェスチャー検出、三次元タッチ、指紋センシング、の生体情報(微小血管情報、血流情報)などの測定に使用することができる。このような振動式送受信器は、空気や流体を媒体としたり、物体接触式にしたりすることができる。従来の技術では、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはジルコン酸チタン酸鉛(ジルコン酸チタン酸鉛、PZT)などの圧電材料を使用している。動作モードは、材料のd33モードであり、すなわち、材料に加えられた電場の方向が振動の方向と平行である。
【0003】
図1A及び
図1Bは、従来のd33振動式送受信器の構造概略図を示している。
図1A及び
図1Bに示すように、従来のd33振動式送受信器300は、圧電材料ブロック310を備える。圧電材料ブロック310の上端及び下端には、電圧源340が供給され、電場を形成して圧電材料を変形させる。電場が変化し続けると、圧電材料ブロック310は、振動方向320に沿って振動し、圧電材料ブロック310が形成した電場方向330と振動方向320とが平行である場合、d33モードで動作する。
図1Aに示すように、電圧源340は、第1電極311と第2電極312とに、それぞれ、正電圧および負電圧を印加し、上向きの電場方向330を形成し、圧電材料ブロック310の収縮を引き起こす。
図1Bでは、電圧源340は、第1電極311と第2電極312とに、それぞれ、正電圧および負電圧を印加し、下向きの電場方向330を形成し、圧電材料ブロック310の伸長を引き起こす。
図1A及び
図1Bに交流電場が印加されると、造成圧電材料ブロック310の伸縮振動を形成する。
【0004】
製造において、PVDFは、エンジニアリングプラスチックであり、リソグラフィー(Lithography)などの半導体プロセスを使用して露光および現像などの処理方法を実行することは容易ではなく、通常は、レーザー加工に頼るしかない。したがって、PVDFを半導体製造プロセスに統合するのが困難である。PZTは汚染性があり、微細加工が困難であり、且つ、d33モード(例えば、薄膜PZTはd31モードで動作する)を実現するためにブロック材料を使用する必要がある。ブロック材料のPZTは、通常700~800℃、さらには1000℃までの温度で焼結することにより製造されるので、従来のd33のPZT素子は、独立した部品であり、半導体プロセスに組み込むことはもちろん、圧電部品の製造を集積回路プロセスに組み込むことも困難であった。そして、鉛は半導体デバイスにも汚染され、また、PZTは電極として白金を必要とするため、製造コストが高くなる。
【0005】
さらに、従来の圧電材料は、通常、数十ボルトから数百ボルトの電圧で動作する。 このような高電圧は、システムを集積化する際の問題であり、半導体プロセスとの集積化の際の大きな問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、半導体プロセスとの一体化が容易であり、加工が容易であり、低コストであり、かつ無公害であるという利点を有する擬似的圧電d33振動式デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、擬似的圧電d33振動式デバイスを提供する。前記擬似的圧電d33振動式デバイスは、少なくとも、複数のトランジスターと複数の受信器とを備える。前記受信器は、前記トランジスターに電気的に接続され、各トランジスターは、物体が第1振動波を反射することで形成された第2振動波を受信して感測信号を生成するように、対応の各受信器を制御する。各受信器は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置され、且つ半導体金属化合物が形成されることによって形成されたナノギャップとを備える。
【0008】
本発明は、ディスプレイを提供し、前記ディスプレイは、少なくとも、複数のトランジスターと、複数の受信器と、複数の表示ユニットとを備える。前記受信器は、前記トランジスターに電気的に接続され、各トランジスターは、対応の各受信器が物体が第1振動波を反射することで形成された第2振動波を受信して感測信号を生成するように制御する。各受信器は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置され、且つ半導体金属化合物が形成されることで形成されたナノギャップとを備える。各表示ユニットは、電気的に接続される少なくとも1つの表示制御トランジスターと表示ピクセルとを備え、表示制御トランジスターは、表示ピクセルの有効または無効を制御して、表示ピクセルが光信号を表示または不表示させることで、データを表示する。
【0009】
本発明は、上述した実施形態によって、擬似的圧電d33構造を提供し、前記擬似的圧電d33構造は、振動式送受信デバイスとして使用可能であり、且つ圧電材料を利用しなくても、圧電振動素子と同様な機能を有する。特に、半導体製造プロセスに統合できるだけではなく、集積回路素子にも統合でき、温度制限や汚染問題が生じない。また、動作中、例えば、3.3V/5Vの標準電圧のみで動作可能であり、システムへの統合の難易度を大幅に改善できる。
【0010】
本発明の上述した内容をより明白かつ理解可能にするために、以下、好ましい実施例及び図面を参照しながら、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1及び
図1Bは、従来のd33振動式送受信器の構造概略図を示している。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイスの用途の概念図を示している。
【
図3】発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイスの用途の概念図を示している。
【
図4】本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイスの構造概略図を示している。
【
図5】
図4の擬似的圧電d33振動式デバイスの一例の局在部の断面図である。
【
図6A】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6B】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6C】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6D】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6E】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6F】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図6G】
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7】
図4の擬似的圧電d33振動式デバイスの別の一例の局在部の断面図である。
【
図7A】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7B】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7C】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7D】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7E】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7F】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図7G】
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図である。
【
図8】本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイスの他の用途の概念図を示している。
【
図9】本発明の擬似的圧電d33振動式デバイスがCMOSの後の製造プロセスに統合した時の構造概略図である。
【
図9A】
図9の個数に関する変化例を示す構造概略図である。
【
図9B】
図9の個数に関する変化例を示す構造概略図である。
【
図9C】
図9の個数に関する変化例を示す構造概略図である。
【
図10A】受信器と送信器との配置の4つの例を示す構造概略図である。
【
図10B】受信器と送信器との配置の4つの例を示す構造概略図である。
【
図10C】受信器と送信器との配置の4つの例を示す構造概略図である。
【
図10D】受信器と送信器との配置の4つの例を示す構造概略図である。
【
図11】異なる高さを有する2つのナノギャップの集積化送受器の局在部の断面図である。
【
図13】
図13A及び13Bは、前述した送受信デバイスを適用したディスプレイの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例によって提供される擬似的圧電d33振動式デバイスは、圧電材料を使用せず、真空またはエアギャップを有する薄膜構造である振動構造を使用し、印加された電場方向と振動方向とを同じ方向に送信する機能を実現している。通常、d33は圧電材料に対するが、本願発明では、従来の圧電材料を置き換えるために微細構造を使用しているため、本発明の振動式送受信デバイスは、バルク圧電材料の挙動を擬似する擬似的圧電d33振動式デバイスと呼ばれる。
【0013】
図2A、2B及び
図3は、携帯型電子機器に適用される本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイス100の3つの用途を示す構造概略図である。なお、本発明のデバイスの用途はこれに限定されない。
図2Aに示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100は、携帯電話200の前面(表示面)に設置されるディスプレイ210内に組み込まれ、または、ディスプレイ210の下方(例えば、ディスプレイ210の下表面に直接または間接的)に設けられる。ディスプレイ210の上面には、使用者がクリックするための複数の操作ブロック220が表示され、ディスプレイ210の横には、フロントカメラ230が設けられている。なお、携帯電話システムは、一例に過ぎない。時間及び応用技術の進化に伴い、携帯電話は変化する可能性があることは、当業者にとっては、自明な事項である。本発明のデバイスは、製造特性により、携帯電話ディスプレイに組み込まれ、または、ディスプレイ下に設置されることができる。また、一部の領域(例えば、
図2Aに示す破線の部分)または全部の領域(例えば、
図2Bに示す振動式デバイス100のディスプレイ210が含まれる全部の面積)に設けられることができる。携帯電話のディスプレイの全体を占める場合、本発明のデバイスは、バイオメトリックセンシング(指紋、指整脈、血流、心配数)観測、3Dタッチ、またはジェスチャー検出などの複数の機能を備えることができ、多機能の統合を実現することができる。なお、これらの特徴は従来技術には使用しておらず、本発明のデバイスの重要な特徴であることを留意されたい。
図3に示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100は、携帯電話200の背面の背面カバー240の下方に設けられても良い。携帯電話200の背面には、リアカメラ250が設けられても良い。擬似的圧電d33振動式デバイス100は、指紋センシング、血管静脈パターン、または血管情報などの機能を提供することができる。ただし、これには限定されず、任意の振動波によって検出できる物理量は、このデバイスで実施することができる。なお、本発明のデバイスは、携帯電話、ディスプレイ、またはモジュールに組み込まれなくてもよく、独立の振動波システムデバイスとして設計できる。このデバイスは、既存の圧電d33振動波素子(臓器観察用など)を置き換えることができる。例えば、携帯電話及びクラウドシステム(人工知能との組合せもできる)と本発明の独立したデバイスとを組み合わせて、例えば、医療または工業用撮影などの携帯式振動波検出システムとして使用することができる。つまり、本発明では、携帯電話に適用する指紋センシングを例として説明することは、当業者が本発明の特徴及び創作をより理解するためのものである。
【0014】
本発明の実施例では、電圧を印加して、2つの電極を駆動して電界を生成し、そのうちの一つの電極は薄膜構造であり、もう一つの電極は基板に固定されており、2つの電極の間に真空またはエアギャップを有する。印加電場が交流信号である場合、当該薄膜が振動する。交流信号の周波数が当該薄膜構造の機械的な共振周波数と同じである場合、当該薄膜は機械的な共振を発生し、エネルギー及び振幅が増幅される。もちろん、これは好ましい実施例であり、本発明のデバイスは、薄膜構造の静電による吸引または引き込み(pull-in)で接触することができる。このために、構造の剛性及び共振の周波数が変更することができる。別の実施例では、この構造は非共振式で動作することもできる。このような方式によって、本デバイスは、物体の異なる検出オブジェクト(特徴)の深度情報を検出して完全な3D画像の構築に役立つ周波数可変な送受器であり、例えば、指の生体情報を測定するために、周波数を変えて実行することができ、また、指紋及び指静脈パターンまたは血液情報などを同時に測定することができる。
【0015】
図4は、本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイス100の構造概略図を示している。
図5は、
図4の擬似的圧電d33振動式デバイスの一例の局在部の断面図である。
図4及び
図5に示すように、本実施例の擬似的圧電d33振動式デバイス100は、少なくとも、複数のトランジスター30及び複数の受信器40Rを備える。複数の受信器40Rは、これらのトランジスター30に電気的に接続され(図面では、並列構成を示しているが、例えば、受信器40Rをトランジスター30の上方に積み重ねられた積み重ね構造であっても良い)、各トランジスター30は、対応の各受信器40Rが物体Fが第1振動波W1を反射することにより生成された第2振動波W2を受信して感測信号を生成するように制御する。各受信器40Rは、第1電極41と、第2電極42と、第1電極41と第2電極42との間に配置され且つ半導体金属化合物によって構成されたナノギャップ43とを備える。本実施例において、各受信器40Rは、送信器40T、または送受信ユニット40として使用しても良い。送受信ユニット40とこれらのトランジスター30のうちの1つとが集積化送受器20として使用することができる。集積化送受器20では、送受信ユニット40がトランジスター30に隣接し、トランジスター30は、第1の時刻に、送受信ユニット40が第1振動波W1を発信した後、第2の時刻に、送受信ユニット40を制御して第2振動波W2を受信する。
【0016】
上述した擬似的圧電d33振動式デバイス100は、基板10と、駆動検出回路モジュール50とをさらに備える。基板10は、上表面10T及び下表面10Bを有する。各集積化送受器20は、基板10の上表面10Tに設けられている。なお、単一の集積化送受器20でも、本発明の機能を実現することができる。また、駆動検出回路モジュール50は、内蔵型または外付け型の回路デバイスである。
【0017】
基板10は、ガラス基板、フレキシブル基板(例えば、ポリイミド(Polyimide,PI)基板)、任意の絶縁基板、または絶縁層が形成された半導体基板などであっても良いが、これらに限定されるものではない。
【0018】
図5は、薄膜トランジスター(Thin-Film Transistor, TFT)を用いた本発明の実施例であり、前述したように、本発明のデバイスは、携帯電話システムに適用されるものとして説明しており、携帯電話では、ヒューマンマシンインターフェイスは、携帯電話ディスプレイである。したがって、本発明のデバイスは、携帯電話ディスプレイのTFT製造プロセスを利用して製造されている。同様に、携帯電話のように、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode, OLED)とともに単一のパネルに統合するか、または、OLEDの製造プロセスを省略して、TFT製造プロセスのみで本発明のデバイスを完成させる。なお、OLEDディスプレイに限定されず、例えば、LCDまたは将来のuLED(Micro LED)の技術などでも、本発明が適用することができる。また、本発明のデバイスは、携帯電話ディスプレイまたは携帯電話の背面カバーまたは側面の下方に設置することができる。これは、本発明の最も重要な思想の一つである。複数の集積化送受器20は、
図5のX軸方向に沿ってアレイ上に配置され、且つ、基板10上に設けられる。各集積化送受器20は、少なくとも1つのトランジスター30(1つまたは複数のトランジスターであり、ガラス基板または他の基板上に設けられる)、少なくとも1つの送受信ユニット40とを備える。本実施例において、トランジスター30は、薄膜トランジスターを例として説明しているが、本発明はこれに限定されない。送受信ユニット40は、トランジスター30の片側(水平側)に設けられ、且つ第1半導体層34と第2半導体層44とは、同一のポリシリコン層またはアモルファスシリコン層である。他の実施例では、送受信ユニット40は、トランジスター30の垂直側(上方または下方、例えば、2層のポリシリコン層またはアモルファスシリコン層を製造する)に積み重ねられてもよい。これによって、水平空間は、他の用途で利用できる。トランジスター30は、基板10上に配置され、且つ、ゲート電極31と、ドレイン電極32と、ソース電極33と、ゲート電極31とドレイン電極32とソース電極33との間に配置された第1半導体層34とを備える。ゲート電極31は、基板10上に形成される。
【0019】
送受信ユニット40は、トランジスター30に隣接し、トランジスター30に直接または間接的に電気的に接続される。トランジスター30は、送受信ユニット40の送信及び受信(能動及び受動機能)を制御し、送受信ユニット40(当該薄膜電極を駆動する)は、第1振動波W1を物体F(生体または非生体であってもよい)に発信させ、物体Fが第1振動波W1を反射して第2振動波W2を形成し、送受信ユニット40は、第2振動波W2(当該薄膜電極を振動する)を受信して感測信号を生成する。例えば、指の物体FのピークパターンFRまたはバレーパターンFVは、擬似的圧電d33振動式デバイス100に対する距離が異なり、異なる検出信号を生成する。送受信ユニット40がトランジスター30に隣接することは、送受信ユニット40がトランジスター30の左側、右側、上側、下側、左上、左下、右上、または右下に配置されていることを意味している。一例では、トランジスター30と送受信ユニット40とは、空間的に重なり合わない。
【0020】
本実施例において、
図5及び
図4に示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100は、第1電極41及び第2電極42に可変電場を印加することによって、上下に振動する第1振動波W1を形成し、上向きに伝達される第1振動波W1は、デバイス100に接触する指Fの1つまたは複数の界面と接すると、指Fの界面によって反射され、第2振動波W2を形成する。デバイス100は、第2振動波W2の性質を検出すること、または、第2振動波W2と第1振動波W1との干渉波W3を検出することによって、感測信号を生成する。一例では、第2振動波W2は、下向きに伝達され、第2電極42と第1電極41との間の検出静電容量の変化を干渉して感測信号を生成する。他の例では、第2振動波W2は、下向きに伝達され、且つ、下向きに伝達される第1振動波W1と干渉して干渉波W3を形成する。第2電極42と第1電極41とは、検出静電容量の変化により、干渉波W3を測定して感測信号を生成する。したがって、アレイデバイス100の設計は、指FのピークパターンFRまたはバレーパターンFVとデバイス100との距離情報を測定して、指紋画像(この時、皮膚が界面である)を生成することができる。また、第1振動波W1の周波数を同時または非同時に調整することができ、また、第1振動波W1を皮膚に透過させ、血管から反射された異なる振動波によって、血管の分布画像(この時、血管の血管壁が界面である)を測定することができる。一例では、干渉波W3は、第2振動波W2と第1振動波W1との強め合う干渉によって生成され、これによって、より大きな振幅が得られる。他の実施例では、干渉波W3は、第2振動波W2と第1振動波W1との相殺的干渉によって生成され、これによって、より小さな振幅を得られる。他に実施例では、デバイス100は、指FのピークパターンFRの反射によって形成された第2振動波W2と第1振動波W1とを強め合う干渉させ、指FのバレーパターンFVの反射によって形成された第2振動波W2と第1振動波W1とを相殺的干渉させるように設定され、これによって、ピークパターンとバレーパターンっとの識別率を向上させることができる。もう一つの発信検出モードは、飛行時間(Time Of Flight,TOF)方式であり、発信時間と検出時間を切り替えることにより、時間差を検出して振動波の進行距離を判断し、物体Fの3D画像を構築する。異なる界面に遭遇する前方波の反射時間が異なるため、指紋及び静脈画像などの異なる界面から得られた画像を重ねて物体Fの3D画像を構築する。この時、異なる周波数の波を発信して異なる界面を検出する目的を達成することができる。本実施例では、当該振動波の周波数の範囲は、20KHz~200MHzあり、好ましくは、2MHz~40MHzである。もう一つの検出モードは、複数の送受信ユニットを制御して、送受信ユニット同士の第1振動波の位相差によるビームフォーミング(beam forming)方式を利用する。この方式は、エネルギーが集中し、且つ、順次にスキャンすることができ、第1振動波W1のエネルギーを最大限にして(反射された第2振動波W2のエネルギーも大きくなる)、検出の感度を高めることができる。
【0021】
簡単にするために、
図4は、本発明の振動波デバイスの動作原理及び実際の応用について説明している。例えば、
図2または
図3に示す実施例では、デバイスと物体(例えば、指)との間に、他のディスプレイ構造を備えており、つまり、前述したW1またはW2は、ディスプレイにおける異なる材料間に伝達して、送受信機能を実現する。この部分は、当該技術分野における当業者が理解できるので、本明細書では、ディスプレイの構造について詳細を省略する。
【0022】
送受信ユニット40は、第1電極41と、第2電極42と、第1電極41と第2電極42との間に配置されるナノギャップ43と、基板10と第1電極41との間に配置される第2半導体層44とを備える。本実施例において、第1半導体層34と第2半導体層44とは、同じ層の材料である。薄膜トランジスターを使用する場合、第1半導体層34と第2半導体層44とは、同じ材料であり、両方とも同じ製造プロセスを用いて製造することができる。なお、本発明はこれに限定されない。例えば、以下の説明される
図9に示すように、第1半導体層34と第2半導体層44とは、異なる材料(例えば、第1半導体層の材料は、単結晶シリコン、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンであり、第2半導体層44は、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンであり、両方は同じ層または異なる層の材料である)である。ナノギャップ43の高さは、(
図5のY軸方向に沿った)は、200ナノメートル(nm)以下であり、例えば、100nmまたは約50nmである。同じ駆動電圧の下では、電場強度は、距離の2乗に反比例し、且つギャップが小さいため、小さな電圧でも大きな電場を生成して電極を駆動する。これは本発明の技術的な思想である。したがって、各集積化送受器20に電気的に接続される駆動検出回路モジュール50は、3.3~12Vの駆動電圧を各集積化送受器20に提供することができ、従来技術のように、10~100Vの駆動電圧を提供する必要がない。したがって、本発明は、システム及び検出駆動集積回路(Integrated Circuit, IC)の設計が容易である。なお、電気的な接続方式は、従来の導体接続方法によって実現できるので、ここでは詳細を省略する。
【0023】
従来の方法でそのような小さなナノギャップを得ることは、通常、犠牲層を使用することで達成されている。例えば、まず、犠牲層及び犠牲層上の保護層を形成し、そして、保護層上に複数の開口を形成し、これらの開口を介して犠牲層をエッチング除去する。しかし、ギャップが小さいため、犠牲層を除去するのが困難である(毛細管現象)。また、犠牲層が除去されたとしても、薄膜構造が底部の電極に付着するので、ナノメートルオーダーでの犠牲層構造は、非効率且つ製造が容易でない。また、これらの開口は、最後に埋める必要があるので、開口に充填材料が容易に落下して、膜に支持する支持構造となり、振動機能が発揮できなくなる。したがって、従来の技術は、簡単に実現することができない。なお、使用者のブラインドプレス(どのプレスでも目的の機能を完了することができる)を満たすために、指バイオセンサーの面積が大きいほど良い。また、2つ以上の指紋を同時に押してセキュリティを向上させることもできる。しかし、このような構造を得るために、シリコン集積回路の製造プロセスを採用すると、製造コストが高い。従来の圧電材料ブロックを使用して薄膜トランジスターの液晶ディスプレイ(Thin film transistor liquid crystal display, TFT-LCD)に統合または適用する場合、非常に困難である。これは、前述したように、圧電材料ブロックは非常に高い温度でしか焼結できないという原因がある。これに対して、本発明の構造及び材料は、比較的に簡単であり、材料は無公害であるだけでなく、製造温度も比較的に低く(<300℃)、任意のTFT製造プロセス、シリコン集積回路製造プロセス(例えば、CMOS製造プロセス)などに統合できる。本発明の構造及び材料の前例がない。
【0024】
本実施例において、第1電極41は、半導体金属化合物(金属シリサイド層41A)と金属層41B(完全反応により金属シリサイド層41Aとなる場合、不要である)とを備える。金属シリサイド層41Aは、第2半導体層44に埋め込まれ、金属層41Bは、金属シリサイド層41A上に配置される。一例では、金属層41B(材料は例えばニッケルである)と第2半導体層44(材料は例えばアモルファスシリコンまたはポリシリコンである)とは、熱反応(<300℃)により、一部または全部が反応して金属シリサイド層41Aを形成することができる。この金属シリサイドは形成中に体積が減少することまたは材料の選択によって実現されている。本発明の好ましい実施例では、ニッケルとシリコンとを材料としている。ニッケルは、保護層60(例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンなど)と一緒にしても温度が300℃以内であれば反応しないので、ニッケル(金属層41B)は、第2半導体層44の方向に向かって反応して、ニッケル(金属層41B)の体積が小さくなる。これによって、ニッケル(金属層41B)と保護層60との間のナノギャップが形成され、且つ徐々に大きくなる。材料の厚さ、反応温度、及び時間制御によって、ニッケル(金属層41B)を完全的または部分的に反応させることができる。つまり、本実施例のナノギャップ43は、半導体金属化合物が形成した後に形成されている。換言すれば、ナノギャップ43は、下方にある金属層41Bに隣接しており、金属層41Bは、金属シリサイド層41A(他の半導体材料を採用しても良いので、他の実施例では、半導体金属化合物である)に直接隣接している。また、金属層41Bが第2半導体層44と完全に反応して半導体金属化合物になると、ナノギャップ43は、下方の半導体金属化合物に直接隣接する。したがって、ナノギャップ43は、第1電極41の金属層41Bを介して、半導体金属化合物に隣接し、または半導体金属化合物に直接隣接している。保護層の下方にあるギャップは、所定のナノメートル範囲内に正確に制御できる。半導体物理気相成長法(Physical Vapor Deposition, PVD)によって製造されたニッケル薄膜の厚さは、100nmまたは50nmであり、本発明によって形成されたギャップも同じ桁数の寸法を有する。この方法で製造されたデバイスは、前述した優れる点を実現することができ、低い操作電圧(<12V)を使用しても、比較的に大きな電場を得て、擬似的圧電d33振動式デバイスを駆動することができる。
【0025】
擬似的圧電d33振動式デバイス100は、前述した保護層60と絶縁層70とをさらに備える。保護層60は、ドレイン電極32、ソース電極33、第1半導体層34及び第2半導体層44を覆う。ナノギャップ43は、保護層60と第1電極41とによって囲まれ、第2電極42は、保護層60上に配置される。絶縁層70は、ゲート電極31及び基板10を覆っており、且つ第1半導体層34と第2半導体層44とを支持する。これまでに、当業者は、本発明のデバイスがTFT製造プロセスと互換性のある温度及び材料に、シリサイド金属プロセス(金属がNiであることは好ましいであるが、これに限定されない)を追加することによって、擬似的圧電d33振動式デバイスの製造を完成させることができる。これは、整合性だけではなく、コスト、さらに性能にも優れる。もちろん、ここでは、TFT製造プロセスの一部のみを使用して説明しているが、他の後プロセス、例えば、ITO電極、OLEDまたはLCD材料または他のディスプレイ材料及び構造などの製造は、本発明の目的としておらず、詳細を省略する。ただし、現在の技術や将来の新しい技術により、任意の製造プロセスに行われた調整及び材料の変更は、本発明の思想を変更または影響を与えないことを留意されたい。
【0026】
一例では、これらの送受信ユニット40の第1電極41は、第2半導体層44及び第1半導体層34を直接的または間接的に互いに電気的に接続して一体化された共通電極として機能する。別の例では、複数の第2電極42を電気的に接続して共通電極として機能しても良い。
【0027】
図6A~
図6Gは、
図5の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスの構造の断面図を示している。
図6Aに示すように、基板10上の左側は、一部のトランジスター30を形成し、右側は、トランジスター30を形成する時に必要となる、例えば、絶縁層70(酸化物、窒化物またはこれらの混合物、または他の材料)、第2半導体層44、または第1半導体層34などの一部の材料を残す。この時、第2半導体層44及び第1半導体層34は同一層であり、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコン層であり、トランジスター30の重要な材料層である。
【0028】
次に、
図6Bに示すように、第2半導体層44、ドレイン電極32及びソース電極33上に、フォトレジスト層81を覆う。次に、
図6Cに示すように、フォトレジスト層81をパターニングして開口82を形成する。次に、
図6Dに示すように、
図6Cの構造の全体に、材料がニッケルである金属層83を形成する。金属層83が開口82を充填し、フォトレジスト層81も覆う。次に、
図6Eに示すように、フォトレジスト層81を除去し、一部の金属層83を残す。本実施例において、リフトオフ(lift-off)方式によって、一部の金属層83が形成されるが、本発明はこれに限定されず、例えば、エッチングやフォトリソグラフィなどの他の方式により一部の金属層83を形成しても良い。次に、
図6Fに示すように、第2半導体層44、ドレイン電極32、ソース電極33及び金属層83上に、保護層60を形成する。次に、
図6Gに示すように、
図6Fの構造全体をオーブンに移送し、250℃または以上の温度で、金属層83と第2半導体層44とを熱反応して金属シリサイド層41Aを合成する。この時、一部の金属層83を保留して金属層41Bを形成する。ナノギャップ43の高さは、金属層83の厚さ(例えば、100nm)によって制御することができる。ナノギャップ43は、金属材料と半導体材料とが一回または複数回の熱反応によって形成された真空またはほぼ真空の閉鎖チャンバである。熱反応で金属シリサイド層41Aが生成されるので、金属層83の体積が減少し、ナノギャップ43を形成することができる。その高さも、数十ナノメートルのように比較的に小さく制御することができる。これによって、3.3~12Vの駆動電圧が第1電極41及び第2電極42に形成した電場は、10~100Vの駆動電圧が周知の構造に形成した電場と同等である。第2電極42は、電場の駆動により、上下に振動して振動波を発信し、物体から反射された振動波を受信する。次に、
図5に示すように、保護層60上に第2電極42が形成される。その材料は、例えば、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide, ITO)導体である。また、ディスプレイと統合しても良い。なお、例えば、アルミニウムなどの他の材料であっても良い。なお、
図6Fに第2電極42を最初に形成してから、熱反応による合成を行っても良い。本実施例の効果に影響を与えないかぎり、製造プロセスの需要に応じて、金属シリサイドの形成順序を任意に決定することができる。
【0029】
本実施例では、製造温度が350℃よりも小さい、互換性のあるアモルファスシリコンTFT(アモルファスシリコンの温度が350℃に達するが、その後の製造プロセスの温度100~200℃である)、製造温度が500~600℃である、互換性のある低温ポリシリコン(Low Temperature Poly-silicon, LTPS)TFTのいずれかを採用しても良い。TFTの既存のアモルファスシリコンまたはポリシリコンを保留層として金属層と熱反応してナノギャップを形成することで、本発明の効果を得られる。なお、本発明の製造方法及び構造は、CMOSの製造の後に統合しても良い。
【0030】
図7は、
図4の擬似的圧電d33振動式デバイスの他の例の局在部の断面図である。
図7に示すように、本実施例は、
図5と類似するが、異なる点は、
図5では下ゲート電極式(Bottom-Gate)薄膜トランジスターであり、
図7のように上ゲート電極式(Top-Gate)薄膜トランジスターも実施可能な解決策であり、この場合、ドレイン電極32とソース電極33とが基板10上に形成されている。
図7に示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100の保護層60は、ゲート電極31、第1半導体層34、及び第2半導体層44を覆っており、ナノギャップ43は、保護層60と第1電極41とによって囲まれている。第2電極42は、保護層60上に配置され、絶縁層70は、ゲート電極31と第2半導体層44との間に配置されている。
【0031】
図7A~
図7Gは、
図7の擬似的圧電d33振動式デバイスの製造方法の各プロセスでの構造の断面図を示している。製造方法は、
図6A~
図6Gと類似している。
図7Aに示すように、基板10上の左側は、一部のトランジスター30が形成され、右側は、トランジスター30を形成する時に使用する、例えば、絶縁層70(酸化物または窒化物)、第2半導体層44及び第1半導体層34を残っている。この時、第2半導体層44と第1半導体層34とは同一層であり、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン層またはゲルマニウム(Ge)層であり、且つトランジスター30の重要な材料層である。
【0032】
図7Bに示すように、第2半導体層44、絶縁層70及びゲート電極31上に、フォトレジスト層81を覆う。次に、
図7Cに示すように、フォトレジスト層81をパターニングして開口82を形成する。そして、
図7Dに示すように、
図7Cの構造の全体の上面に、材料が例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)などである金属層83を形成する。金属層83は、開口82を充填し、フォトレジスト層81も覆う。次に、
図7Eに示すように、フォトレジスト層81を除去し、一部の金属層83を残す。次に、
図7Fに示すように、第2半導体層44、第1半導体層34、絶縁層70、ゲート電極31及び金属層83上に、保護層60を形成する。次に、
図7Gに示すように、
図7Fの全体構造をオーブンに移送し、250℃または以上の温度で、金属層83と第2半導体層44とを熱反応して金属シリサイド層41Aを合成する。この時、一部の金属層83を保留して金属層41Bを形成する。最後に、
図7に示すように、保護層60上に、材料がインジウムスズ酸化物(ITO)導体であり且つディスプレイと統合できる第2電極42が形成される。なお、例えばアルミニウムなどの他の材料であっても良い。なお、
図7Fより先に第2電極42を形成してから、熱反応による合成を行っても良い。本実施例の効果に影響を与えないかぎり、製造プロセスの需要に応じて、金属シリサイドの形成順序を任意に決定することができる。
【0033】
図8は、本発明の好ましい実施例である擬似的圧電d33振動式デバイス100の別の用途を示す構造概略図である。
図8に示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100は、指Fの静脈VIの画像または血流情報を検出することができる。これは、飛行時間(Time of Fly, TOF)検出方法を通じて実現することができる。前述した
図4の指紋検出を組み合わせて、本発明は、指紋と指静脈を同時に検出することができ、さらに、血流量及び心拍を測定することもできる。
【0034】
図9は、本発明の擬似的圧電d33振動式デバイスをCMOSの後プロセスにおいてに統合する構造の構造概略図である。すなわち、トランジスター及び回路が最初に製造され、次に、後のプロセスの送受信ユニットの製造を行う。
図9は、擬似的圧電d33振動式デバイス100の一部、すなわち、送受信ユニットのみを有する部分を示しており、トランジスターの部分は省略されている。本実施例の擬似的圧電d33振動式デバイス100は、少なくとも、本体110と、第1電極41と、第2電極42と、ナノギャップ43とを備える。
【0035】
第1電極41は、本体110内に配置される。第2電極42は、本体110内に配置され、且つ第1電極41に対応する。第1電極41と第2電極42との少なくとも1つは、金属材料と半導体材料とが反応して生成された化合物で構成されている。ナノギャップ43は、本体110内に形成され、且つ第1電極41と第2電極42との間に配置されている。ナノギャップ43は、金属材料と半導体材料とが一回または複数回の熱反応を行うことによって形成されたので、ナノメートルオーダーのサイズを有するナノギャップである。形成方法の詳細及び優れる点は、上述されている。
【0036】
本体110は、基板111(
図5の基板10に相当する)と、第1絶縁層112(
図5の絶縁層70に相当し、または、複数の金属接続層とこれらの金属接続層の間に設けられる複数の誘電体層とで構成された誘電体層グループに相当する)と、半導体材料層113(
図5の第2半導体層44に相当する)と、第2絶縁層114と、保護層115(素子114と素子115が
図5の保護層60に相当する)とを備える。半導体材料層113は、前述した半導体材料を備える。
【0037】
第1絶縁層112は、基板111上に配置される。半導体材料層113は、第1絶縁層112上に配置され、第1電極41は、半導体材料層113上に配置される。第2絶縁層114と第1電極41とは、ナノギャップ43を画定し、第2電極42は、第2絶縁層114上に配置される。保護層115は、第2絶縁層114及び第2電極42を覆う。
【0038】
第1電極41は、金属シリサイド層41Aと金属層41Bとを備える。金属層41Bは前述した金属材料を備える。金属シリサイド層41Aは、半導体材料層113上に配置される。金属層41Bは、ナノギャップ43に隣接し、且つ金属シリサイド層41A上に配置される。金属層41Bと半導体材料層113とは、熱反応によって金属シリサイド層41Aを形成する。
【0039】
本実施例において、第1電極41は、例えば、ニッケル(Ni),チタン(Ti), タングステン(W)などの金属導体を含む。第2電極42の材料は、第1電極と同じ金属導体、低抵抗の半導体、または高分子導体などであり、半導体材料層113は、ポリシリコンまたはアモルファスシリコン層であっても良く、例えばゲルマニウム(Ge)層などの他の半導体材料層であっても良い。
【0040】
第1絶縁層112は、基板111に配置される。なお、第1絶縁層112は多層構造出会っても良い。一般的な集積回路を構成する構造は、後のプロセスで形成された導体層(例えば、金属層)、導体層同士にある誘電体層、または導体層同士にあるプラグ導体(via conductor)であってもよく、これは周知の技術であり、ここでは詳細を省略する。もちろん、第1絶縁層112は、複数の誘電体層と複数の金属接続層とで構成された回路を更に備え、シリコン基板111内の能動回路要素と受動回路要素を協働して特定の機能を有する集積回路112Aを形成する。したがって、本発明の実施例は、振動式デバイスの底部または側部に配置され且つ第1電極41及び第2電極42に電気的に接続されて信号処理を行う集積回路112Aをさらに備えることができる。
【0041】
半導体材料層113は、第1絶縁層112上に配置される。金属シリサイド層41Aは、半導体材料層113内に形成される。金属層41Bは、半導体材料層113上に配置され、且つ、金属シリサイド層41Aに対応して接続されている。フォトリソグラフィ法(photolithography)により、半導体材料層113、金属層41B及び金属シリサイド層41Aは、第1絶縁層112の一部の面積を占めているので、第2絶縁層114は、一部の第1絶縁層112上に配置されることができる。したがって、四辺と上下の封止により、ナノギャップ43を形成することができる。このギャップの形成による特徴は後述する。また、金属層41Bはもともとナノギャップ43の体積全体を占めているので、一部の体積は、底層の半導体材料層113と高温で反応して化合物を形成することによって消費され、ナノギャップ43を形成する。
【0042】
ナノギャップ43は、第2絶縁層114と金属層41Bとの間に設けられ、これらの間に、第2絶縁層114で間隔されてもされなくても良い。第2電極42は、第2絶縁層114上に配置され、且つ、ナノギャップ43及び金属層41Bに対応する。保護層115は、第2電極42及び第2絶縁層114上に配置されている。保護層115の表面は、このように、物体によって押されることができる。保護層115は、複数層の絶縁層構造であっても良く、静電保護などのシステムの要求に応じて、導電性材料を追加することもできる。したがって、保護層115の最上表面には、情報を入力可能な物体に触れることができる。もちろん、第2電極42は、腐食などの環境影響を受けないとので、本実施例の保護層115は使用しなくても良い。したがって、送受信ユニットは、誘電体層グループ112と第2絶縁層114と保護層115とをさらに備え、前記誘電体層グループ112は、基板111と第1電極41との間に配置され、基板111と誘電体層グループ112とは、集積回路112Aを形成し、且つ第1電極41と第2電極42とに接続され、前記第2絶縁層114は、ナノギャップ43と第2電極42との間に配置あれ、前記保護層115は、第2電極42を覆う。なお、保護層115は必須の要素ではないため、省略することができる。
【0043】
上述した実施例では、ガラス基板またはフレキシブル基板を採用してもよく、この場合、半導体基板より安価であり、且つ携帯電話ディスプレイと容易に一体化されることができる。擬似的圧電d33振動式デバイス100は、ジェスチャー、指紋、指静脈などの生体学的な情報、非生物学的情報(工業応用)などを検出するために用いられている。指紋センサーに関して、集積化送受器20は、二次元アレイ状に配列され、且つピッチ(pitch)が約50μm~70μmである。擬似的圧電d33振動式デバイス100は、独立したデバイスであっても良く、ディスプレイと統合してディスプレイの一部になっても良い。
【0044】
図9A~
図9Cは、
図9の実施例の個数が変化した例を示す構造概略図である。
図9Aに示すように、本変化例は、
図9と類似するが、異なる点は、誘電体層グループ112は、例えば、銅プラグまたはタングステンプラグ(これに限定されない)などの複数の金属プラグ112Bを備え、前記金属プラグ112Bは、第1電極41と集積回路112Aとの間に設けられ、第1電極41を集積回路112Aに電気的に接続させることである。集積回路112Aは、送受信ユニットに電気的に接続される前記少なくとも1つのトランジスターを備え、前記トランジスターが基板111上または内に設けられている。基板111は、例えば、CMOS素子に用いられるシリコン基板であり、もちろん、シリコン半導体基板またはCMOS素子に限定されない。なお、誘電体層グループ112及び金属接続層は、他の金属プラグ(図示せず)により、電気接続の機能を実現することができる。
図9Bに示すように、本実施例は、
図9Aと類似するが、異なる点は、第2電極42の形成方式である。
図9Bにおいて、第2絶縁層114を完成した後、第2絶縁層114に対して、例えば、化学機械研磨法(Chemical Mechanical Polishing, CMP)による平坦化プロセスを行い、次に、準備されたシリコンウェーハ(単結晶シリコン)400に絶縁層410が形成され、その後、絶縁層410にポリシリコン層(42)が形成され、ポリシリコン層(42)が第2絶縁層114に接合される。一例では、第2絶縁層114は、例えば、化学機械研磨された酸化シリコン層を融合・接合(Fusion Bonding)ための界面層とする。第2絶縁層114と別の単結晶シリコンウェーハは、低温溶融接合方式(Low Temperature Fusion Bonding)によって水素結合強度を有する界面を形成する。なお、低温溶融接合の前に、表面活性化を達成するために、例えば、酸素ガス(O
2)及び窒素ガス(N
2)の雰囲気下で、表面プラズマ(Plasma)処理を行うことができ、接合表面が良好の平坦度を有するために、CMPを利用して接合予定の表面を研磨及び平坦化することができる。次に、シリコンウェーハ400を薄く削り、残存のシリコンウェーハ400をエッチングして絶縁層410を露出させ、その後、絶縁層410(または絶縁層410を除去しない)を除去してポリシリコン層(42)を露出させ、第2電極42を形成するためにポリシリコン層(42)をパターニングする。最後に、
図9Aに示す保護層115(保護層は前記の絶縁層410であっても良い)を形成する。なお、上記ポリシリコン層(42)は、他の単結晶シリコンウェーハで置き換えることができ、使用されるプロセスは、公知の絶縁層上シリコン(Silicon On Insulator, SOI)を形成するプロセスであり、ここでは詳細を省略する。
【0045】
図9Cに示すように、本実施例は、
図9Aと類似するが、異なる点は、第2電極42の形成方式である。
図9Cでは、第2絶縁層114を完成した後、第2絶縁層114に対して、例えば、CMPの平坦化プロセスを行い、その後、準備されたシリコンウェーハ(単結晶シリコン)400を第2絶縁層114(上記の融合・接合と類似する)に接合する。もちろん、高分子材料接合(polymer bonding)技術または他の金属融合・接合技術(eutectic bonding)などで実行されても良い。そして、シリコンウェーハ400を薄く削り、第2電極42を形成する。最後に、
図9Aに示す保護層115を形成する。
【0046】
図10A~
図10Dは、受信器及び送信器の配置の4つの例を示す構造概略図である。
図10Aに示すように、基板10の上面に配置される送受信ユニット40は、異なる時刻で、送信器40Tまたは受信器40Rとして使用している。送受信ユニット40は、二次元アレイ状に配置される。トランジスター(図示せず)は、送受信ユニット40の横または下方に配置され、この配置は
図5、
図7などの実施例に適用する。
図10Bに示すように、基板10の上面に、送信器40Tと8つの受信器40Rが配置され、送信器40Tが振動波を発信した後、受信器40Rが振動波を受信する。この配置は、
図5、
図7などの実施例に適用する。
図10Cに示すように、基板10の上面に、複数の送信器40Tと複数の受信器40Rとが交互に配置され、送信器40Tが振動波を発信した後、受信器40Rが振動波を受信する。この配置は
図5、
図7などの実施例に適用する。
図10Dに示すように、基板10の上面に、複数の受信器40Rが二次元アレイ状に配置され、送信器40Tは、単一の大面積の送信器であり、基板10の下表面または基板10の上方のディスプレイモジュールの部分に配置され、送信器40Tが振動波を発信し、受信器40Rが振動波を受信する。なお、
図10A~
図10Dは、異なる実施例の設計を示しているが、本発明はこのような幾何学的な配置には限定されず、任意の寸法及び個数の送信器40T及び受信器40Rの設計も本発明の範囲を逸脱しないことを留意されたい。
【0047】
図11は、2つの異なる高さのナノギャップを有する集積化送受器の局在部の断面構造を示す構造概略図である。
図11に示すように、この実施例は
図10B及び
図10Cの示例に適用することができ、且つ
図7の実施例と類似している。
図4及び
図11に示すように、擬似的圧電d33振動式デバイス100は、トランジスター30に電気的に接続される送信器40Tを備える。トランジスター30は、第1の時刻に、送信器40Tを制御して第1振動波W1を発信した後、第2の時刻に、受信器40Rを制御して第2振動波W2を受信する。また、送信器40Tは、第1電極41と、第2電極42と、第1電極41と第2電極42との間に配置され且つ半導体金属化合物(または、他の実施例では、他の半導体金属化合物である)で構成された第2ナノギャップ43'とを備える。送信器40T及び受信器40Rは、基板10上に設置され、各トランジスター30は、基板10上または内に設置され、第2ナノギャップ43'の高さは各ナノギャップ43の高さよりも高い。受信器40Rの検出感度については、ナノギャップ43は、可能な限り小さくなければならい。例えば、ナノギャップ43は小さい場合、第2電極42の振幅はナノギャップ43の1/10に容易に到達しえる。これによって、3.3V電圧によって反射される信号は、330mVであり、集積回路設計にとって、このような反射された信号は非常に大きいである。送信器40Tの信号強度については、第2ナノギャップ43'は大きければ大きいほど良い(ギャップの高さは、使用仕様に従って最適化される)。このように、第2ナノギャップ43'がナノギャップ43より大きくなるように設計することにより、振動式デバイスの性能の改善ができる。対応の金属層41B(例えば、
図6Fの金属層83)の厚さまたは第2半導体層44のポリシリコンまたはアモルファスシリコン層の厚さが増加することで、第2ナノギャップ43'を増加させることができる。
【0048】
図12は、
図10Dの送信器の配置を示す構造概略図である。
図12は、
図4と類似するが、これらの受信器40Rは、基板10の上表面10T上に設置され、各トランジスター30は、基板10上または内に設置されている。異なる点は、送信器40T及び受信器40Rは異なり、送信器40Tは圧電送信器であり、また、基板10の下表面10Bまたは受信器40Rの上方(一ディスプレイ260の下表面に設置され、または、ディスプレイ260の上表面、ディスプレイ260内、または他の適切な配置に配置されることができる)に配置されることができる。このようにして、信号検出機能も実現することができる。
【0049】
図13A及び13Bは、上記送受信デバイスを使用したディスプレイの2つの例を示す構造概略図である。
図13A、
図13B及び
図4に示すように、ディスプレイ260は、少なくとも、基板10と、複数の集積化送受器20と、複数の表示ユニット90とを備える。ディスプレイ260は、
図2A及び
図2Bに示されているディスプレイ210である。基板10は、剛性基板(ガラス剛性プレートOLED、LCDなど)、フレキシブル基板(可撓性プレートOLED)または、透明基板である。ディスプレイ260は、OLED、TFT-LCD、MICRO LEDディスプレイなどを含むが、これに限定されない。複数の集積化送受器20は基板10に配置される。各集積化送受器20は、電気的に接続されている送受信ユニット40及び少なくとも1つのトランジスター30(特許請求の範囲では、送受信制御トランジスターである)を備えている。
【0050】
トランジスター30は、送受信ユニット40の送信及び受信を制御し、送受信ユニット40が第1振動波W1を物体Fに送信し、物体Fが第1振動波W1を反射して第2振動波W2を生成し、送受信ユニット40が第2振動波W2で生成された感測信号を受信する。複数の表示ユニット90は基板10上に配置され、各表示ユニット90は、電気的に接続される少なくとも1つの表示制御トランジスター91と表示ピクセル92を備える。表示制御トランジスター91は、表示ピクセル92の有効化及び無効化を制御するので、表示ピクセル92は、光信号を表示または不表示することで、データを表示する。
【0051】
分層の観点から見ると、ディスプレイは、トランジスター配置層93と表示ピクセル配置層94とを備える。トランジスター配置層93は、基板10上に配置される。トランジスター30及び送受信ユニット40は、トランジスター配置層93内に配置される。表示ピクセル配置層94は、トランジスター配置層93上に配置される。表示ピクセル92は、表示ピクセル配置層94内に配置される。これによって、トランジスター配置層93には、表示ピクセル92及び送受信ユニット40を制御するためのトランジスターが設けられている。また、表示ピクセル配置層94は、発光層(例えば、OLEDディスプレイの場合)または、光スイッチング層(例えば、LCDディスプレイの場合)である。別の示例では、表示ピクセル配置層94の上方及び下方に、2つの電極層(陽極層及び陰極層、図示せず)が設けられ、表示ピクセル配置層94の上方に、表示のために、少なくとも1つの光透過層(図示せず)が配置される。もちろん、タッチ機能を有するタッチ層が配置されても良い。ディスプレイ技術に通している当業者は、本発明が実施例では送受信ユニットの創造性及びディスプレイとの合の優位性に焦点を当て説明しているが、ディスプレイの制作などについて説明していないことを明白できる。つまり、ディスプレイに関する内容は、簡単な説明にすぎず、むしろ本発明デバイスの幾何学的な構成に焦点を当て、ディスプレイと統合して、表示機能及び本発明のデバイスのディスプレイの統合性を同時に完成できるのを主張していることを留意されたい。
【0052】
図13Aは、
図13Bと類似しており、異なる点は、
図13Aの配置では、各送受信ユニット40は各表示ユニット90が占める範囲(長方形の範囲)以外(すなわち、送受信ユニットと重ならない表示ユニットの領域)に配置される。
図13Bの配置では、各送受信ユニット40は、各表示ユニット90が占める範囲(長方形の範囲)以内(すなわち、送受信ユニットと重なる部分または全部の表示ユニットの領域)に配置されている。これによって、送受器をディスプレイに組み込み、表示とセンシング機能を同時に実現することができる。
【0053】
上述した実施例の擬似的圧電d33振動式デバイスは、以下の優れる点を有する。(1)材料制限がなく、圧電材料を使用する必要がなく、適用可能な基板材料の選択範囲が広い。(2)標準製造プロセスとの統合は簡単である(3)低温製造プロセスで大面積の送受信デバイスを完成できる。(4)ナノギャップを使用することで、比較的に低い駆動電圧を使用できる(5)犠牲層が不要なので、ナノギャップのすべての周壁には、穴と充填材料を有しない(6)製造過程に使用される材料は、半導体デバイスを汚染しない。(7)送信器と受信器とは、異なるナノギャップを有し、送信器が発信する信号の振幅を増幅し、且つ、受信器の検出感度を高めることができる。
【0054】
好ましい実施例に関する詳細な説明で提示された具体的な実施例は、本発明の技術的な内容を説明するためのものであり、本発明を上述した実施例に狭く限定するのではない。本発明の思想及び以下の特許請求の範囲を逸脱しない様々な変更は、本願発明の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0055】
F:指/物体
FR:ピークパターン
FV:バレーパターン
W1:第1振動波
W2:第2振動波
W3:干渉波
X、Y:座標軸
10:基板
10B:下表面
10T:上表面
20:集積化送受器
30:トランジスター
31:ゲート電極
32:ドレイン電極
33:ソース電極
34:第1半導体層
40:送受信ユニット
40R:受信器
40T:送信器
41:第1電極
41A:金属シリサイド層
41B:金属層
42:第2電極
43:ナノギャップ
43':第2ナノギャップ
44:第2半導体層
50:駆動検出回路モジュール
60:保護層
70:絶縁層
81:フォトレジスト層
82:開口
83:金属層
90:表示ユニット
91:表示制御トランジスター
92:表示ピクセル
93:トランジスター配置層
94:表示ピクセル配置層
100:擬似的圧電d33振動式デバイス
110:本体
111:基板
112:第1絶縁層
112A:集積回路
113:半導体材料層
114:第2絶縁層
115:保護層
140:ナノギャップ
200:携帯電話
210:ディスプレイ
220:操作ブロック
230:フロントカメラ
240:背面カバー
250:リアカメラ
300:d33振動式送受信器
310:圧電材料ブロック
311:第1電極
312:第2電極
320:振動方向
330:電場方向
340:電圧源
400:シリコンウェーハ
410:絶縁層