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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】食材味付け容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/32 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
B65D85/32 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020076768
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021172365
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】506204047
【氏名又は名称】プラスワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】発地 麻衣子
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0174946(US,A1)
【文献】実開昭60-027819(JP,U)
【文献】登録実用新案第3127985(JP,U)
【文献】特開平09-315472(JP,A)
【文献】特開2019-026299(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053669(JP,U)
【文献】特開2009-061096(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0012552(KR,U)
【文献】国際公開第2015/121643(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 15/00
A47J 27/00
A47J 29/00
B65D 85/32
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画され、上方が開口した複数の食材収納部を備えた容器本体と、
食材の浮揚を阻止する内蓋と、
前記容器本体に被さる外蓋とを備え、
前記容器本体の区画を仕切る仕切部は、隣接する食材収納部間を調味液が流動できるものとし、
前記内蓋は、前記食材収納部に遊嵌できる大きさ及び形状とし、
前記外蓋は、前記内蓋とは分離した独立体であり、前記内蓋を下方へ押し下げることのできるものとし、
前記食材収納部に食材及び調味液を入れて食材に味付けできるようにした、
食材味付け容器。
【請求項2】
食材収納部の内壁は、ゆで卵を保持するための円弧状輪郭を有するものとした、請求項1に記載の食材味付け容器。
【請求項3】
食材収納部の仕切部は、食材収納部の下部のみに設けられた、請求項1又は2に記載の食材味付け容器。
【請求項4】
内蓋は、各食材収納部に対応する上に凸の椀状体を複数連設して構成した、請求項1ないし3の何れかに記載の食材味付け容器。
【請求項5】
内蓋は、椀状体の上部に透孔が設けられた、請求項4に記載の食材味付け容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食材に調味液をしみこませるための容器、特にゆで卵の味付けに適した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭でゆで卵に調味液をしみこませて味付けをする場合、樹脂シート製の密閉袋に調味液とゆで卵を密封する方法が行われている。この方法においては、一般的にゆで卵4個に味付けをするときに400ccほどの調味液が必要とされている。加えて、樹脂シート製の袋は保形性がないので、調味処理中には、収納したゆで卵すべてが横に寝た状態となり、調味中に広い保管スペースが必要となる。また、ゆで卵が半熟の場合、卵同士が重なって荷重された時に卵の変形が発生する。
【0003】
ゆで卵の味付けに関しては、特開2016-152793号の発明が存在する。この発明は、容器本体と蓋とで構成され、容器本体はゆで卵の高さ及び幅よりそれぞれ大きい高さ及び幅の内部空間を有し、ここに味付けゆで卵製造用容器本体に調味液とゆで卵を収容し、蓋の下向きの突部によって、調味液によるゆで卵の浮揚を抑えるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-152793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記発明は、蓋の突部によってゆで卵の浮揚を阻止するものであるから、ゆで卵の上部に蓋の突部に押されて凹部ができてしまい、ゆで卵の見栄えが悪くなる。加えて、内部空間の上部には不必要に多い調味液が溜まる。そして、一つの容器で一つのゆで卵しか味付けをすることができない、などの問題点がある。
この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の食材味付け容器は、区画され、上方が開口した複数の食材収納部を備えた容器本体と、食材の浮揚を阻止する内蓋と、前記容器本体に被さる外蓋とを備えている。前記容器本体の区画を仕切る仕切部は、隣接する食材収納部間を調味液が流動できるものとし、前記内蓋は、前記食材収納部に遊嵌できる大きさ及び形状とし、前記外蓋は、前記内蓋とは分離した独立体であり、前記内蓋を下方へ押し下げることのできるものとし、前記食材収納部に食材及び調味液を入れて食材に味付けできるようにして構成する。
【0007】
この発明の食材味付け容器は、ゆで卵(ウズラの卵を含む。)の味付けに好適なものであるが、食材はゆで卵に限定されない。例えば、こんにゃく、ゴボウや大根などの野菜の味付けにも使用することができる。調味液を選択することにより和風の味付けも、ピクルスのような洋風の味付けにも使用できる。
【0008】
前記食材収納部の内壁の輪郭形状は、ゆで卵の味付けのためには円弧状輪郭を備えることが好ましいが(請求項2)、ゆで卵以外の食材の味付けを目的とする場合は、角形の輪郭とすることもできる。
【0009】
前記食材収納部は、食材収納部の下部のみに設けて(請求項3)、調味液の流動性を確保することが好ましい。なお、仕切部は食材収納部の上部まで形成して、仕切部に調味液が流通する穴を設けることによって、調味液の流動性を確保することもできる。また、仕切部は必ずしも壁である必要はなく、各食材収納部に独立性を保持して食材が収納されればよいのであって、食材収納部の連設部に左右から対向する突起を設けてもよい。
【0010】
前記内蓋は、各食材収納部に対応する上に凸の椀状体を複数連設して構成することが好ましい(請求項4)。そして、前記椀状体の上部に透孔を設けることが好ましい(請求項5)。
なお、容器本体、内蓋、外蓋は透明又は半透明の素材とすれば、外蓋を被せた状態で調味液と食材の関係を確認できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の食材味付け容器は、食材収納部に食材と調味液を入れ、内蓋と外蓋を被せて使用する。
前記食材収納部は、隣接する食材収納部間を調味液が流動できるので、調味液は個別の食材収納部に入れる必要は無く、1カ所から注入すれば全ての食材収納部に均等に調味液が注入される。
前記内蓋は、外蓋によって押し下げられるので、調味液内で浮力によって浮揚しようとする食材を調味液内に留めることができ、食材の上端部も確実に調味液によって味をしみこませることができる。
【0012】
前記食材収納部の内壁をゆで卵を保持するための円弧状輪郭を有するものとすれば、食材であるゆで卵の輪郭が円弧状輪郭で保持されるので、ゆで卵の輪郭が変形したり傷がついたりすることがない。
【0013】
食材収納部の仕切部を食材収納部の下部のみに設ければ、食材収納部間の調味液の流動性が確保され、加えて、各食材収納部に対応する上に凸の椀状体を複数連設して構成した内蓋への対応が容易である。また、内蓋に椀状体を設けると、その下面とゆで卵の外面との間での調味液の表面張力によって、調味液を食材の上端部に導くことができる。また、椀状体の上部に透孔を設けると、食材収納部内の空気を逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明実施例1の分解斜視図。
図2】同じく容器本体の斜視図。
図3】同じく内蓋の斜視図。
図4】同じく外蓋の底面側斜視図。
図5】使用状態の断面図。
図6】この発明実施例2の容器本体の斜視図。
図7】同じく内蓋の斜視図。
図8】この発明の実施例3の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1ないし図5は、食材収納部を2つ設けた例であり、ゆで卵の味付けに適したものである。
容器本体1、内蓋2、外蓋3でこの発明の食材味付け容器を構成している。
【0017】
前記容器本体1は、2つの食材収納部11a、11b(以下まとめて「食材収納部11」ということがある。)を備えており、2つの食材収納部の連設部の下部には仕切部としての仕切壁12が設けてあり、仕切壁12の上方は開放部13としてある。そして、前記食材収納部11の内壁14の輪郭形状は、円弧状としてある。
前記食材収納部11の大きさは、前記円弧状内壁の直径が一般的なゆで卵の直径よりも数ミリ大きく、深さは一般的なゆで卵の高さよりも若干深くしてある。
図中符号15は安定して載置するための脚である。
【0018】
前記内蓋2は、上に凸とした2つの椀状体21a、21b(以下まとめて「椀状体21」ということがある。)を連設して構成してあり、各椀状体21の頂部に透孔22が設けてある。
前記内蓋2の椀状体21の直径は、前記食材収納部11の上方開口部の直径よりも若干短くしてあり、椀状体21が食材収納部11内に装入し得るようにしてある。
図中符号23は摘まみである。
【0019】
前記外蓋3は、基板31に、前記容器本体1の二つの食材収納部11の開口縁で形成された開口縁16に蜜嵌する輪郭形状を備えた嵌合凹部32が形成してあり、この嵌合凹部32の前記容器本体1の二つの食材収納部11a、11bに対応する位置、すなわち前記内蓋の椀状体に対応する位置に、内蓋2の椀状体21のガイドとなる上に凸の椀状部33が形成してある。
【0020】
上記実施例に基づいて作用効果を説明する。
【0021】
二つの食材収納部11にゆで卵4を入れ、内蓋2を被せた後、調味液5を注入する(調味液を注入した後に内蓋を被せてもよい。)。二つの食材収納部11a、11bは仕切壁12によって区画されているが、仕切壁12の上方は開放部13となっているので、1カ所から注入された調味液は二つの食材収納部を満たす。
このとき、調味液の注入量は、ゆで卵の上部が若干押し下げられた内蓋の下面に接触する程度の量とする。なお、調味液の注入量の目安とするために、食材収納部に目安となる内蓋の押し下げ位置を表示することが好ましい。
【0022】
調味液の注入において、内蓋の椀状体21には透孔22が設けてあるので、食材収納部11の上部の空気は透孔22から排出される。また、椀状体21の下面とゆで卵4とが密接するので、表面張力が発生する。このために、椀状体21の下面とゆで卵4の上端とが密着していても、ゆで卵の上端は調味液に触れることになる。
【0023】
次いで、外蓋3を装着する。外蓋3を装着すると、外蓋3の椀状部33によって内蓋2は押し下げられるので、ゆで卵4の浮揚は阻止され、ゆで卵4の上端まで調味液に浸された状態が維持される。
【0024】
ゆで卵を取り出すときは、外蓋3、内蓋2を外すのであるが、内蓋2を外す前に内蓋2を指で押さえつつ調味液を排出すると、ゆで卵の取り出しが容易であり、調味液の再利用にも便利である。また、食材収納部の上方に仕切壁がないので、箸や指を挿入しやすく、ゆで卵を取り出しやすい。
【実施例2】
【0025】
図6及び図7は食材収納部を4つ設けた例である。
容器本体1に円孔状の内壁4を備えた食材収納部11a、11b、11c、11dが設けてあり、隣接する食材収納部の間に仕切壁12が設けてあり、各仕切壁12の交点に仕切柱17が設けてある。この仕切柱17の食材収納部に面する4つの面17aは、平面視凹弧状として、ゆで卵の形状に対応するようにしてある。
【0026】
内蓋2は、4つの椀状体21a、21b、21c、21dが連設してあり、椀状体の上面には、隣接する椀状体をむすぶ壁24(図では平面円弧状であるが、形状を問わない。)が設けてある。この壁24は、調味液を注入する際に調味液が内蓋上面に入ることを阻止するものである。
【0027】
外蓋3は、前記容器本体及び内蓋に対応する凹凸形状であるほか、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0028】
図8は、容器本体1の食材収納部11の内壁を、平面視方形としたものである。
【0029】
容器本体1の仕切壁12は食材収納部11の上縁まで至っている。内蓋2は4枚の方形板26を連設部27で連結した構成であり、連設部27は逆U字状となっている。前記仕切壁12の上縁に、内蓋2の連設部27が嵌まる溝12aが設けてある。そして、前記仕切壁12には、調味液が通過するための複数の穴12bが設けてある。
外蓋3は、前記容器本体1の食材収納部11の区画の平面形状に対応した方形の底面34と周壁35を備え、周壁35の前記内蓋2の連設部27に対応する位置に、連設部27を逃げるための切り欠き36が形成してある。
【0030】
この実施例は、食材収納部1の内壁形状を円弧状とした実施例1、2よりも、同じ側面寸法で、食材収納部1の容積を大きくすることができ、野菜など外形が変化しにくい食材の味付けに適している。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、効率よく食材に調味液をしみこませて味を付けることができるものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0032】
1 容器本体
11 食材収納部
12 仕切壁
12a 溝
12b 穴
13 開放部
14 内壁
15 脚
16 開口縁
17 仕切柱
2 内蓋
21 椀状体
22 透孔
23 摘まみ
24 壁
25 凸部
3 外蓋
31 基板
32 嵌合凹部
33 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8