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▶ 旭化成メディカル株式会社の特許一覧

<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】血液浄化装置及び滅菌方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220826BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220826BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20220826BHJP
   B01D 61/30 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
A61M1/16 185
C02F1/32
A61L2/10
B01D61/30
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2017059963
(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公開番号】P2017185218
(43)【公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2016073291
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】土屋 瑞穂
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-062067(JP,A)
【文献】特開2002-018666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0182783(US,A1)
【文献】米国特許第08747764(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/14
C02F 1/32
A61L 2/10
B01D 61/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化器と、
患者から前記血液浄化器に血液を供給し前記血液浄化器から患者に戻す血液回路と、
液体を前記血液浄化器、前記血液回路のうちの少なくともいずれかに供給する液体回路と、
前記液体回路における液体に紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置と、
前記紫外線照射装置の照射出力を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、血液浄化装置。
【請求項2】
前記液体回路は、水に原液を混合して治療液を生成する機能を有し、
前記紫外線照射装置は、前記液体回路における混合前の水、治療液のうちの少なくともいずれかに紫外線を照射する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記液体回路は、前記液体回路において液体を送液する送液ポンプを有し、
前記制御装置は、前記送液ポンプにおける送液流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記紫外線照射装置により紫外線が照射される液体回路の部分の液体流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記紫外線照射装置の出力低下に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項1~4のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記紫外線照射装置の照射出力を検出するセンサを有する、請求項5に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記液体の水質に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項1~6のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項8】
前記液体の水質を検出する水質センサを有する、請求項7に記載の血液浄化装置。
【請求項9】
少なくとも前記液体回路の一部を内蔵した装置筐体部を、さらに有し、
前記紫外線照射装置は、前記装置筐体部に内蔵されている、請求項1~8のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項10】
前記装置筐体部の液体回路は、治療液の生成のために水に原液を混合する混合部を有し、
前記紫外線照射装置は、前記混合部よりも上流側の液体回路に設けられている、請求項9に記載の血液浄化装置。
【請求項11】
前記装置筐体部の液体回路は、治療液の生成のために水に原液を混合する混合部を有し、
前記紫外線照射装置は、前記混合部よりも下流側の液体回路に設けられている、請求項9に記載の血液浄化装置。
【請求項12】
少なくとも前記液体回路の一部を内蔵した装置筐体部を、さらに有し、
前記紫外線照射装置は、前記装置筐体部の外部の液体回路に設けられている、請求項1~8のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項13】
前記液体回路において前記紫外線照射装置の複数の設置可能位置を有しており、
前記制御装置は、前記紫外線照射装置の設置位置に基づいて照射出力を変更する、請求項1~8のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項14】
前記紫外線照射装置の設置位置を検出する設置位置検出センサを有し、
前記制御装置は、前記設置位置検出センサにより検出された設置位置に基づいて照射出力を変更する、請求項13に記載の血液浄化装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記紫外線照射装置の設置位置を入力する設置位置入力部を有し、前記設置位置入力部に入力された設置位置に基づいて照射出力を変更する、請求項14に記載の血液浄化装置。
【請求項16】
前記記憶部は、前記紫外線照射装置の設置位置毎に装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する、請求項13~15のいずれかに記載の血液浄化装置。
【請求項17】
前記装置ステータスの照射出力条件を設定する照射条件設定部を有する、請求項1~16に記載の血液浄化装置。
【請求項18】
血液浄化器と、
患者から前記血液浄化器に血液を供給し前記血液浄化器から患者に戻す血液回路と、
治療液を前記血液浄化器、前記血液回路のうちの少なくともいずれかに供給する液体回路と、
前記液体回路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、
前記液体回路における洗浄液に紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置と、
前記紫外線照射装置の照射出力を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、血液浄化装置。
【請求項19】
前記制御装置は、前記紫外線照射装置により紫外線が照射される液体回路の部分の洗浄液の流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項18に記載の血液浄化装置。
【請求項20】
前記制御装置は、前記紫外線照射装置の出力低下に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、請求項18又は19に記載の血液浄化装置。
【請求項21】
前記紫外線照射装置の照射出力を検出するセンサを有する、請求項20に記載の血液浄化装置。
【請求項22】
前記制御装置は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、請求項18~21のいずれかに記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置及び滅菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる透析治療は、一般的に血液浄化装置を用いて行われ、当該血液浄化装置は、患者の血液を中空糸膜モジュールなどからなる血液浄化器に供給し患者に戻す血液回路と、血液浄化器に透析液を供給し、患者の血液から中空糸膜を通じて透析液に老廃物を取り込んで除去する透析液回路等を備えている。また、治療効率をあげるため、透析液回路の透析液(補液)を血液回路側に供給することも行われている。
【0003】
ところで、上述の透析治療では、透析液や補液などの治療液が使用されるが、医療従事者の負担軽減のため、これらの治療液を血液浄化装置に持続的かつ自動的に補充できるとよい(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4458346号公報
【文献】実開平4-61542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、例えば病院施設においては、水道水や井戸水を浄化するRO(Reverse Osmosis)システムと、その浄化された水に原液を加えて透析液を生成する透析液作成システムが導入されるのが一般的である。
【0006】
しかし、透析液は、患者の血液に接触する可能性があるため、上述のROシステムから供給される水であっても、清浄度の高い透析液を作成するには装置内部での対策が必要である。その例としては、エンドトキシンを除去するためのETRF(エンドトキシン補足フィルター)を搭載することや、治療終了時の薬液洗浄を実施することが一般的に行われている。
【0007】
しかしながら、ROシステムでの除菌性能や装置上での除菌・殺菌能力にも限界があり、RO配管や装置内部の配管内のデッドスペースにおいて、細菌(バイオフィルム)が発生するケースも学会にて報告されており周知の事実である。また、透析液の原液を供給するための原液ボトルからも菌が混入することが危惧されており、装置内部への細菌の混入、増殖を防ぐ手段は非常に重要である。また、一日の透析治療開始前、透析治療と透析治療の間、透析治療終了後等には、装置の透析液回路に薬液などの洗浄液を供給して洗浄する洗浄処理が行われるが、この洗浄液についても十分に除菌されたものでなければならない。
【0008】
そこで、発明者は、透析液回路などの液体回路の治療液や洗浄液を紫外線を用いて滅菌することを考えている。しかし、従来の透析装置で用いられていたような紫外線照射装置は、ランプ式のものであり(特許文献2参照)、大型な装置である。このため、血液浄化装置と独立して別々に設置する必要がある。この結果、血液浄化装置とは別に紫外線照射装置の設定、操作や制御を行う必要があり、医療従事者の負担が増加する。また、大型のランプ式の紫外線照射装置は、取り付け可能な場所にも制限があり、施設のニーズに応じて自由な場所に設置することができない。
【0009】
また、ランプ式の紫外線照射装置は、紫外線の出力を変更できない(ON/OFFしかできない)ため、ランプの劣化により殺菌能力が低下したり、治療条件によって透析液流量が変化しても、一定エネルギーで照射が行われる。そのため、紫外線照射量が不足して、十分な殺菌能力を得られない恐れがあった。また必要な紫外線照射量よりも過剰に紫外線を照射し紫外線照射装置の寿命が短くなることや透析液成分が変性する恐れがあった。
【0010】
本願はかかる点に鑑みてなされたものであり、小型で紫外線照射量も変更可能な紫外線照射装置とその紫外線照射装置を制御する制御装置を備えた血液浄化装置を実現することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため発明者が鋭意研究した結果、紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置と、その紫外線照射装置の照射出力を制御する制御装置を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は次の態様を含む。
(1)血液浄化器と、患者から前記血液浄化器に血液を供給し前記血液浄化器から患者に戻す血液回路と、液体を前記血液浄化器又は前記血液回路の少なくともいずれかに供給する液体回路と、前記液体回路における液体に紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記紫外線照射装置の照射出力を制御する制御装置と、を有する、血液浄化装置。
(2)前記液体回路は、水に原液を混合して治療液を生成する機能を有し、前記紫外線照射装置は、前記液体回路における混合前の水又は治療液の少なくともいずれかに紫外線を照射する、(1)に記載の血液浄化装置。
(3)前記液体回路は、前記液体回路において液体を送液する送液ポンプを有し、前記制御装置は、前記送液ポンプにおける送液流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(1)又は(2)に記載の血液浄化装置。
(4)前記制御装置は、前記紫外線照射装置により紫外線が照射される液体回路の部分の液体流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(1)又は(2)に記載の血液浄化装置。
(5)前記制御装置は、前記紫外線照射装置の出力低下に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(1)~(4)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(6)前記紫外線照射装置の照射出力を検出するセンサを有する、(5)に記載の血液浄化装置。
(7)前記制御装置は、前記液体の水質に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(1)~(6)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(8)前記液体の水質を検出する水質センサを有する、(7)に記載の血液浄化装置。
(9)少なくとも前記液体回路の一部を内蔵した装置筐体部を、さらに有し、前記紫外線照射装置は、前記装置筐体部に内蔵されている、(1)~(8)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(10)前記装置筐体部の液体回路は、治療液の生成のために水に原液を混合する混合部を有し、前記紫外線照射装置は、前記混合部よりも上流側の液体回路に設けられている、(9)に記載の血液浄化装置。
(11)前記装置筐体部の液体回路は、治療液の生成のために水に原液を混合する混合部を有し、前記紫外線照射装置は、前記混合部よりも下流側の液体回路に設けられている、(9)に記載の血液浄化装置。
(12)少なくとも前記液体回路の一部を内蔵した装置筐体部を、さらに有し、前記紫外線照射装置は、前記装置筐体部の外部の液体回路に設けられている、(1)~(8)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(13)前記液体回路において前記紫外線照射装置の複数の設置可能位置を有しており、前記制御装置は、前記紫外線照射装置の設置位置に基づいて照射出力を変更する、(1)~(8)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(14)前記紫外線照射装置の設置位置を検出する設置位置検出センサを有し、前記制御装置は、前記設置位置検出センサにより検出された設置位置に基づいて照射出力を変更する、(13)に記載の血液浄化装置。
(15)前記制御装置は、前記紫外線照射装置の設置位置を入力する設置位置入力部を有し、前記設置位置入力部に入力された設置位置に基づいて照射出力を変更する、(14)に記載の血液浄化装置。
(16)前記制御装置は、前記紫外線照射装置の設置位置毎に装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、(13)~(15)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(17)前記制御装置は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、(1)~(12)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(18)前記装置ステータスの照射出力条件を設定する照射条件設定部を有する、(16)又は(17)に記載の血液浄化装置。
(19)血液浄化器と、患者から前記血液浄化器に血液を供給し前記血液浄化器から患者に戻す血液回路と、治療液を前記血液浄化器又は前記血液回路の少なくともいずれかに供給する液体回路と、前記液体回路に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記液体回路における洗浄液に紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記紫外線照射装置の照射出力を制御する制御装置と、を有する、血液浄化装置。
(20)前記制御装置は、前記紫外線照射装置により紫外線が照射される液体回路の部分の洗浄液の流量に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(19)に記載の血液浄化装置。
(21)前記制御装置は、前記紫外線照射装置の出力低下に応じて、前記紫外線照射装置の照射出力を変更する、(19)又は(20)に記載の血液浄化装置。
(22)前記紫外線照射装置の照射出力を検出するセンサを有する、(21)に記載の血液浄化装置。
(23)前記制御装置は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部を有し、前記記憶部の前記装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する、(19)~(22)のいずれかに記載の血液浄化装置。
(24)液体を血液浄化器又は血液回路の少なくともいずれかに供給する血液浄化装置の液体回路において、前記液体に紫外線LEDにより紫外線を照射して滅菌する、滅菌方法。
(25)前記液体回路において、水に原液を混合して治療液を生成し、前記液体回路における混合前の水又は治療液の少なくともいずれかに紫外線LEDを照射する、(24)に記載の滅菌方法。
(26)治療液を血液浄化器又は血液回路の少なくともいずれかに供給する血液浄化装置の液体回路において、当該液体回路に供給された洗浄液に紫外線LEDにより紫外線を照射して滅菌する、滅菌方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型で紫外線照射量も変更可能な紫外線照射装置とその紫外線照射装置を制御する制御装置を備えた血液浄化装置を実現できるので、血液浄化装置とは別に紫外線照射装置の設定、操作及び制御を行う必要がなく、医療従事者の負担を低減できる。また、小型の紫外線照射装置を用いるので、紫外線照射装置を施設のニーズに応じて、装置筐体内を含む適切な場所に設置できる。さらに、紫外線の照射量を変更できるので、十分な殺菌を行えるように適切な量の紫外線を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】血液浄化装置の構成の概略を示す模式図である。
図2】紫外線照射装置を装置筐体部の内部の上流回路に備えた血液浄化装置の模式図である。
図3】紫外線照射装置を装置筐体部の内部の下流回路に備えた血液浄化装置の模式図である。
図4】紫外線出力を検出するセンサを備えた血液浄化装置の模式図である。
図5】水質センサを備えた血液浄化装置の模式図である。
図6】補液回路を備えた血液浄化装置の模式図である。
図7】設置位置センサを備えた血液浄化装置の模式図である。
図8】制御装置のブロック図である。
図9】表示画面の一例を示す説明図である。
図10】表示画面の他の一例を示す説明図である。
図11】制御装置の他の態様のブロック図である。
図12】設置位置入力部のある表示画面の一例を示す説明図である。
図13】血液浄化装置の他の構成例を示す模式図である。
図14】洗浄の工程と紫外線の出力を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る血液浄化装置1の構成の概略を示す模式図である。本実施の形態では、例えば病院内の治療室において透析治療を行う血液浄化装置1を例に採って説明する。
【0016】
血液浄化装置1は、例えば血液浄化器10と、患者から血液浄化器10に血液を供給し血液浄化器10から患者に戻す血液回路11と、水に透析液の原液を混合して治療液としての透析液を生成し、その透析液を血液浄化器10に供給する液体回路としての透析液回路12と、透析液回路12における混合前の水又は混合後の透析液の少なくともいずれかに紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置13と、制御装置14とを有している。なお、本明細書において、「液体」には、少なくとも水、治療液、原液、洗浄液が含まれ、「治療液」には、少なくとも透析液、補液が含まれる。
【0017】
血液浄化器10は、例えば中空糸膜束を内蔵した中空糸膜モジュールである。血液浄化器10の中空糸膜の一次側10aの出入口に血液回路11が接続され、中空糸膜の二次側10bの出入口に透析液回路12が接続されている。血液浄化器10は、例えば中空糸膜の一次側10aと二次側10bの浸透圧を利用して、中空糸膜の一次側10aの血中の老廃物等を中空糸膜の二次側10bの透析液中に取り込んで血液を浄化することができる。本実施の形態おける「回路」の流路部分には、例えば軟質のチューブが用いられている。
【0018】
血液回路11には、例えば血液を送液する血液ポンプ30やドリップチャンバ31が設けられている。
【0019】
透析液回路12は、病院施設の治療室の壁40内の配管から供給されるRO水(逆浸透水)にA原液とB原液を混合して透析液を生成し、その透析液を血液浄化器10の二次側10bに供給する透析液供給回路50と、血液浄化器10の二次側10bを通過した透析排液を治療室の壁40内の配管に排出する透析液排出回路51を有している。なお、病院施設には、例えば水道から水道水を取り入れ、当該水道水からRO膜(逆浸透膜)を用いたフィルターにより細菌を除去してRO水を生成し、そのRO水を施設の各治療室の壁40まで送液する設備が設けられている。
【0020】
透析液供給回路50は、例えば上流側の端部が治療室の壁40内の配管に接続され、下流側の端部が血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bに接続されている。透析液供給回路50は、例えば第1の送液ポンプ60と第2の送液ポンプ61を有している。透析液供給回路50における第1の送液ポンプ60と第2の送液ポンプ61の間には、第1の供給源62のA原液を透析液供給回路50に導入する第1の回路63と、第2の供給源64のB原液を透析液供給回路50に導入する第2の回路65が接続されている。なお、本実施の形態では、例えば透析液供給回路50において、RO水にA原液とB原液が混合される部分を混合部66とする。
【0021】
透析液供給回路50における例えば第2の送液ポンプ61の下流側は、定量チャンバ70の第1の室71に接続され、第1の室71の下流側は、血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bに接続されている。
【0022】
定量チャンバ70は、一定容積の本体内で変位自在なダイアフラムなどの隔壁73を有している。定量チャンバ70内は、隔壁73によって第1の室71と第2の室72に分けられている。
【0023】
透析液排出回路51は、例えば上流側の端部が血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bに接続され、下流側の端部が治療室の壁40内の配管に接続されている。すなわち、透析液排出回路51における血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bの下流側は、定量チャンバ70の第2の室72に接続され、第2の室72の下流側は、施設の壁40内の配管に接続されている。血液浄化器10の二次側10bと定量チャンバ70の第2の室72との間には、循環ポンプ80が設けられている。また、透析液排出回路51は、循環ポンプ80の下流側から定量チャンバ70を迂回して定量チャンバ70の下流側(施設の壁40)側に通じる除水回路90を有している。除水回路90は、除水ポンプ91を有している。
【0024】
血液浄化装置1は、例えば各種機器や装置が内蔵された装置筐体部100を備えている。装置筐体部100には、例えば第1の送液ポンプ60、第2の送液ポンプ61、定量チャンバ70、循環ポンプ80、除水ポンプ91、血液ポンプ30、制御装置14などが内蔵されている。なお、本明細書において、「内蔵」とは、装置筐体部100の部品として内部に組み込まれている状態をいう。
【0025】
装置筐体部100は、また上記ポンプを通過する透析液回路12の一部も内蔵している。すなわち、透析液供給回路50における第1の送液ポンプ60の上流側から定量チャンバ70の下流側までの第1の内部流路110と、透析液排出回路51における循環ポンプ80の上流側から定量チャンバ70の下流側までの第2の内部流路111を内蔵し、第1の内部流路110と第2の内部流路111の両端には、外部流路と接続するポート112、113がそれぞれ設けられている。
【0026】
透析液供給回路50における施設の壁40から装置筐体部100のポート112までの上流区間は、第1の外部接続流路120により形成され、装置筐体部100のポート112から血液浄化器10の二次側10bまでの下流区間は、第2の外部接続流路121により形成されている。すなわち、透析液供給回路50は、第1の外部接続流路120、第1の内部流路110及び第2の外部接続流路121によって形成されている。また、透析液排出回路51における血液浄化器10の二次側10bから装置筐体部100のポート113までの上流区間は、第3の外部接続流路122によって形成され、装置筐体部100のポート113から施設の壁40までの下流区間は、第4の外部接続流路123によって形成されている。すなわち、透析液排出回路51は、第3の外部接続流路122、第2の内部流路111及び第4の外部接続流路123によって形成されている。
【0027】
例えば血液浄化器10、血液回路11及びドリップチャンバ31は、装置筐体部100に内蔵されておらず、装置筐体部100に対し取り外し自在に構成されている。血液浄化器10、血液回路11及びドリップチャンバ31は治療毎に交換される。
【0028】
紫外線照射装置13は、例えば装置筐体部100の外部の第1の外部接続流路120に設けられている。紫外線照射装置13は、光源として紫外線LEDを有し、第1の外部接続流路120を流れるRO水に紫外線を照射して滅菌することができる。紫外線LEDは、照射角度120度以上、波長領域250~280nm、出力が5mW以上(複数の紫外線LEDを使用する場合、合計出力が5mW以上)のものが好ましい。紫外線照射装置13が紫外線を照射する液体の流量は、300mL/min以上、1200mL/min以下が好ましい。なお、紫外線照射装置13は、装置筐体部100の表面に着脱自在であってもよい。
【0029】
制御装置14は、例えば血液浄化装置1の全体の動作を制御するコンピュータであり、例えば第1の送液ポンプ60、第2の送液ポンプ61、定量チャンバ70、循環ポンプ80、除水ポンプ91、血液ポンプ30、紫外線照射装置13、及び図示しないバルブ等の動作を制御して、血液浄化処理を実行するように血液浄化装置1を作動させることができる。
【0030】
例えば制御装置14は、記憶部に記憶されたプログラムを実行して、例えば第1の送液ポンプ60における送液流量に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変動させる。例えば送液流量が多いときには、紫外線の照射出力を上げ、送液流量が少ないときには、紫外線の照射出力を下げる。なお、第1の送液ポンプ60における送液流量の値は、第1の送液ポンプ60の設定流量から制御装置14が把握してもよいし、流路に流量センサを設けてその検出値から制御装置14が把握してもよい。
【0031】
また、制御装置14は、紫外線照射装置13の紫外線を血液浄化装置1の装置ステータス(操作工程)に応じて照射のON/OFFや、LEDの出力強度を制御できる。例えば制御装置14は、血液浄化処理開始前の回路の洗浄(例えば透析液回路12に洗浄水(RO水)を流して洗浄する工程)時、血液浄化処理中、血液浄化処理終了後の回路の洗浄(例えば透析液回路12に洗浄液(RO水、薬液など)を流して洗浄する工程)時、待機時(血液浄化処理も回路の洗浄も行われていない時)等の装置ステータスに応じて紫外線の照射のON/OFFを切り換えたり、LEDの出力強度を変更することができる。
【0032】
以上のように構成された血液浄化装置1では、例えば次のような血液浄化処理が行われる。例えば血液回路11の不図示の穿刺針が患者に穿刺された後、血液ポンプ30が作動し、血液回路11と血液浄化器10の中空糸膜の一次側10aを通じて血液が循環される。一方、透析液回路12では、第1の送液ポンプ60と第2の送液ポンプ61が作動し、定量チャンバ70の第1の室71に透析液が貯留される。このとき、透析液供給回路50において、RO水が、施設の壁40から装置筐体部100に向かって流れ、紫外線照射装置13を通過する際に、紫外線が照射される。このときのRO水の流量は、300mL/min以上、1200mL/min以下であってもよい。これにより、RO水中細菌が滅菌される。なお、紫外線の照射は、例えばRO水が流れているときに行うように、第1の送液ポンプ60のON,OFFに応じて紫外線の照射もON、OFFさせてもよい。滅菌されたRO水は、装置筐体部100内の定量チャンバ70に向かって流れ、混合部66において第1の回路63と第2の回路65からA原液とB原液が混合され、治療液としての透析液が生成される。このとき、例えば初めに第1の送液ポンプ60が停止し、第2の送液ポンプ61が作動して、所定量のA原液とB原液を混合部66に導入し、その後、第1の送液ポンプ60を作動させてRO水を混合部66に導入することによって、所定の濃度の透析液を生成してもよい。生成された透析液は、定量チャンバ70の第1の室71に貯留される。
【0033】
定量チャンバ70の第1の室71に透析液が貯留されると、次に循環ポンプ80が作動し、第1の室71の透析液が透析液供給回路50を通じて血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bに供給される。このとき、透析液は、血液浄化器10の中空糸膜の一次側10aを流れる血液から老廃物を取り込み、血液を浄化する。
【0034】
血液浄化器10の中空糸膜の二次側10bを通過した透析排液は、透析液排出回路51を通って定量チャンバ70の第2の室72に流入する。このとき、定量チャンバ70の隔壁73が移動し、第1の室71の容積が小さくなった分第2の室72の容積が大きくなる。また、除水回路90の除水ポンプ91も作動し、一部の透析排液が定量チャンバ70を通らず除水回路90を通って透析液排出回路51の下流側に排出される。この除水回路90を通過する透析排液の液量が、血液浄化器10において患者の血液から除去される除水量に対応する。
【0035】
次に、再び透析液供給回路50においてRO水から透析液が生成され、その透析液が定量チャンバ70の第1の室71に貯留され、それと共に隔壁73が移動し、第2の室72の透析排液が透析液排出回路51を通って施設の壁40に向けて排出される。
【0036】
上記工程が繰り返され、透析治療(血液浄化処理)が行われる。
【0037】
本実施の形態によれば、光源である紫外線LEDにより紫外線を照射する紫外線照射装置13を用いることで、紫外線照射装置13を小型化することができ、この紫外線照射装置13を血液浄化装置1に組み込むことができる。よって、血液浄化装置1の制御装置14で紫外線照射装置13の照射出力を制御可能であり、この結果、血液浄化装置1とは別に紫外線照射装置を設定、操作、制御する必要がなく、医療従事者の負担を低減できる。
【0038】
制御装置14は、第1の送液ポンプ60における送液流量に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変更するので、例えば送液流量が多いときには、紫外線の照射出力を上げ、送液流量が少ないときには、紫外線の照射出力を下げることができる。これによって、RO水の滅菌を確実に行うと共に、余分な照射を減らしてコストを下げることができる。
【0039】
紫外線照射装置13は、装置筐体部100の外部の透析液回路12に設けられているので、紫外線照射装置13のメンテナンスを簡単に行うことができる。また、紫外線照射装置13が、装置筐体部100よりも上流側の透析液回路12(第1の外部接続流路120)に設けられているので、細菌が装置筐体部100に入り込み繁殖することが防止できる。また、装置筐体部100内に洗浄が難しいバイオフィルムが形成されることを防止できる。
【0040】
上記実施の形態において、紫外線照射装置13は、装置筐体部100に内蔵されていてもよい。かかる場合、例えば図2に示すように紫外線照射装置13は、混合部66よりも上流側の透析液回路12に設けられていてもよい。この場合、紫外線照射装置13は、装置筐体部100の上流側のポート112の直後で第1の送液ポンプ60より上流側の第1の内部流路110に設けられてもよい。こうすることにより、紫外線照射装置13が装置筐体部100内に組み込まれるので、紫外線照射装置13を含む血液浄化装置1をスリム化できる。また、紫外線照射装置13が装置筐体部100の上流部にあるので、細菌が装置筐体部100に入り込み繁殖することを防止でき、装置筐体部100に洗浄が難しいバイオフィルムが形成されることを防止できる。また、紫外線照射装置13が装置筐体部100内に設けられているので、同じ装置内のフィルタの交換や、薬液の補充などの作業を行う際に邪魔にならない。また、紫外線が外部に放出される恐れがない。さらに、日光に曝されないので装置の部品の劣化を抑制できる。
【0041】
さらに、図3に示すように紫外線照射装置13は、混合部66よりも下流側の透析液回路12に設けられていてもよい。かかる場合、装置筐体部100の下流側のポート112の直前の第1の内部流路110に設けられていてもよい。この場合、紫外線は、混合された後の透析液に照射される。こうすることにより、仮にA原液やB原液に細菌が混入していても、その生菌が血液浄化器10に入り込むことを防止できる。さらに紫外線照射装置13は、混合部66よりも下流側であって、定量チャンバ70の下流側に設けられてもよい。この場合、紫外線照射装置13は、例えば定量チャンバ70とポート112との間に設けられてもよい。かかる場合、RO水とA原液及びB原液との混合や混合液の流量が安定してから紫外線が照射されるので、透析液を効率的に殺菌できる。さらに、定量チャンバ70の下流側にRO水とA原液及びB原液とを混合を促進するミキシング部がある場合には、紫外線照射装置13をそのミキシング部の下流側に設けてもよい。
【0042】
以上の実施の形態において、制御装置14は、紫外線照射装置13の出力低下に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変更するようにしてもよい。かかる場合、図4に示すように紫外線照射装置13には、紫外線照射装置13の実際の紫外線の出力を検出する出力センサ(フォトダイオード)125が設けられる。出力センサ125は、例えば紫外線LEDの基板上に搭載される。出力センサ125の検出結果は、制御装置14に出力される。制御装置14は、出力センサ125の紫外線の出力の検出結果に基づいて紫外線照射装置13の紫外線LEDに対する印加電流値(照射出力)を調整する。例えば紫外線LEDが劣化し実際の紫外線の出力が低下した場合には、紫外線照射装置13の紫外線LEDへの印加電流値を上げて、殺菌に必要な紫外線照射量を確保する。また、実際の紫外線の出力がある閾値より低下した場合には、アラームを出力し、紫外線LEDの交換をユーザに促す。なお、紫外線照射装置13の出力低下は、出力センサ125によって検出しなくてもよく、例えば予め設定された紫外線LEDの寿命に基づいて推定してもよい。つまり、紫外線LEDの寿命の所定の割合を経過したときに、紫外線照射装置13の照射出力が低下していると推定し、それに応じて紫外線照射装置13の照射出力設定を上げるようにしてもよい。
【0043】
以上の実施の形態において、制御装置14は、透析液回路12の液体の水質に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変更するようにしてもよい。かかる場合、図5に示すように透析液回路12にRO水の水質を検出する水質センサ150が設けられる。水質センサ150には、例えばRO水の細菌数や汚染度を検出できるTOC計や細菌数測定装置、ET検査装置などの水質検査計が用いられる。水質センサ150は、透析液回路12の例えば紫外線照射装置13の上流側に設けられている。水質センサ150の検出結果は、制御装置14に出力される。制御装置14は、水質センサ150のRO水の水質の検出結果に基づいて紫外線照射装置13の紫外線LEDに対する印加電流値(照射出力)を調整する。例えばRO水の水質が所定の下限閾値よりも低い場合には、紫外線照射装置13の照射出力を上げて、殺菌に必要な紫外線照射量を確保する。また、RO水の水質が所定の適正範囲に入っている場合には、通常の照射出力で紫外線照射装置13による紫外線の照射を行う。なお、水質センサ150の設定場所は任意に選択でき、水質センサ150はRO水の水質を検出するもののみならず、生成された透析液の水質を検出するものであってもよい。なお、液体の水質は、水質センサ150を用いずに検出してもよい。この場合、例えば定期的にRO水(RO装置やRO配管から)や透析液(透析液配管から)をサンプリングし、それを分析して水質検査を行い、その結果を制御装置14に設けられた操作画面(水質入力部)に入力することで、制御装置14が紫外線照射装置13の照射出力を変更してもよい。
【0044】
以上の実施の形態において、血液浄化器10に供給される混合前のRO水や混合後の透析液に紫外線を照射していたが、血液回路11に供給される混合前のRO水や混合後の治療液としての透析液又は補液に紫外線を照射するようにしてもよい。かかる場合、例えば図6に示すように血液浄化装置1は、透析液供給回路50から血液回路11のドリップチャンバ31に接続される補液回路130を有している。補液回路130には補液ポンプ131が設けられている。この補液回路130を通じて最終的に血液回路11に供給される混合前のRO水や、原液を混合して生成された補液に紫外線を照射してもよい。なお、補液回路130は、血液回路11における血液浄化器10の上流側と下流側のいずれの位置に接続されていてもよい。
【0045】
紫外線照射装置13は一箇所に設けられていたが、複数個所に設けられていてもよい。例えば図1に示す装置筐体部100の外部と、図2に示す装置筐体部100の内部の混合部66よりも上流側の透析液供給回路50と、図3に示す装置筐体部100の内部の混合部66よりも下流側の透析液供給回路50の総て、或いはいずれかの二か所に設けられていてもよい。また、紫外線照射装置13は、他の場所に設けられていてもよい。
【0046】
また、血液浄化装置1が、透析液回路12において紫外線照射装置13の複数の設置可能位置を有しており、制御装置14が、紫外線照射装置13の設置位置に基づいて照射出力を変更するようにしてもよい。例えば血液浄化装置1は、図1に示す装置筐体部100の外部と、図2に示す装置筐体部100の内部の混合部66よりも上流側の透析液供給回路50と、図3に示す装置筐体部100の内部の混合部66よりも下流側の透析液供給回路50に設置可能位置を有し、ユーザが紫外線照射装置13の設定位置を選択できる。
【0047】
血液浄化装置1は、図7に示すように紫外線照射装置13の設置位置を検出する設置位置検出センサ160を有している。設置位置検出センサ160は、例えば紫外線照射装置13が設置される場所に設置され、紫外線照射装置13が設置されると電気的或いは機械的に反応し、その情報を制御装置14に出力できる。
【0048】
制御装置14は、例えば図8に示すように設置位置検出センサ160により検出された紫外線照射装置13の設置位置毎に装置ステータスの照射出力条件を設定する照射条件設定部170と、照射条件設定部170で設定された、紫外線照射装置13の設置位置毎の装置ステータスの照射出力条件を記憶する記憶部171を有している。
【0049】
例えば照射条件設定部170は、例えば図9及び図10に示すような装置ディスプレイ上のタッチパネルの入力画面180であり、複数の装置ステータス、例えばプライミング時、治療時、洗浄時、待機時毎に照射出力条件、例えば照射出力の高低とOFFを入力することができるようになっている。なお、入力画面180には、紫外線LEDのライフタイムや出力センサ125の検出値を表示してもよい。
【0050】
かかる場合、制御装置14は、先ず、設置位置検出センサ160により紫外線照射装置13の設置位置を検出し、その紫外線照射装置13の設置位置に基づいて、図9及び図10示したようにそれに対応する装置ステータスの入力画面180を表示する。そして、入力画面180に、各装置ステータスの照射出力条件が入力されると、制御装置14は、その装置ステータスの照射出力条件を記憶部171に記憶する。
【0051】
そして、制御装置14は、記憶部171に記憶された紫外線照射装置13の設置位置毎の装置ステータスの照射出力条件に従って照射出力を変更する。例えば制御装置14は、装置ステータスである血液浄化処理開始前の回路の洗浄(プライミング)時、血液浄化処理(治療)時、血液浄化処理終了後の回路の洗浄時、血液浄化処理も回路の洗浄も行われていない待機時に応じて、紫外線の照射出力条件(High/Low/OFF)に従ってLEDの照射出力を変更する。
【0052】
例えば紫外線照射装置13が混合部66の下流側に設けられている場合には、A原液、B原液からの細菌の混入を防ぐため、図9に示すようにプライミング時と治療時には、高出力で紫外線が照射される。治療時の紫外線の出力の高低は、治療の種類によって変えてもよく、治療時の透析液が直接血液回路11に供給される場合は、高出力で紫外線が照射され、透析液が血液浄化器10に供給される場合には、低出力で紫外線が照射されてもよい。また、例えば紫外線照射装置13が混合部66の上流側に設けられている場合には、図10に示すようにプライミング時、洗浄時が高出力で紫外線が照射され、治療時には低出力で紫外線が照射される。
【0053】
かかる例によれば、血液浄化装置1が紫外線照射装置13の複数の設置可能位置を有し、制御装置14は、紫外線照射装置13の設置位置に基づいて照射出力を変更するので、ユーザの紫外線照射装置13の設置位置の自由度を向上しつつ、その設置位置に適した出力で紫外線を照射できる。
【0054】
血液浄化装置1は、紫外線照射装置13の設置位置を検出する設置位置検出センサ160を有するので、紫外線照射装置13の設置位置を自動で正確に検出できる。
【0055】
制御装置14は、紫外線照射装置13の設置位置毎に装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部171を有し、記憶部171の装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更している。これにより、紫外線LEDの照射を最適化することができ、紫外線LEDの寿命を延ばすことができる。また、紫外線を照射するのが望ましくないとき、例えば紫外線照射によりケミカルアタックが強くなる薬液を用いて洗浄を行う装置ステータスなどでは、紫外線照射を避ける、または照射出力を抑えることでケミカルアタックを予防できる。
【0056】
血液浄化装置1は、装置ステータスの照射出力条件を設定する照射条件設定部170を有するので、ユーザの操作性を向上できる。例えばRO水や透析液原液の清浄度(汚れ具合)は施設ごとに異なるため、たとえばRO水の清浄度が十分に高くない施設は、通水時は常にHighに設定することができるし、RO水の清浄度が高い施設では、菌の繁殖の原因になりやすい装置ステータス(夜間停止時前など)のみの点灯に設定にすることができる。よって、施設ごとに照射出力条件をカスタマイズすることができる。
【0057】
上記実施の形態において、制御装置14は、図11に示すように紫外線照射装置13の設置位置を入力する設置位置入力部190を有し、設置位置入力部190に入力された設置位置に基づいて照射出力を変更するようにしてもよい。かかる場合、設置位置入力部190は、例えば図12に示すようなタッチパネルの入力画面180に手動で選択できるようになっている。かかる場合、ユーザの操作性を向上できる。また、設置位置センサを設けなくてもよいので、その分装置のコストを低減できる。
【0058】
上記実施の形態では、制御装置14が、紫外線照射装置13の設置位置毎に装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更していたが、制御装置14は、紫外線照射装置13の設置位置に関わらず、図8に示したように装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部171を有し、記憶部171の装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更するようにしてもよい。またこの場合、制御装置14は、装置ステータスの照射出力条件を設定する照射条件設定部170を備えていてもよい。装置ステータスにおける照射出力条件は、例えば図9図10に示したように複数の装置ステータス、例えばプライミング時、治療時、洗浄時、待機時毎に照射出力条件、例えば照射出力の高低とOFFを設定するようにしてもよい。
【0059】
以上の実施の形態において、一日の血液浄化処理開始前、血液浄化処理中断時及び血液浄化処理終了後等において透析液回路12に洗浄液を流し、透析液回路12の洗浄処理が行われる。紫外線照射装置13は、洗浄処理時に透析液回路12を流れる洗浄液に紫外線を照射してもよい。なお、洗浄液には、洗浄処理時に透析液回路12に流される全ての液体が含まれ、例えばRO水、薬液原液、薬液等が含まれる。
【0060】
例えば図13に示すように透析液供給回路50における第1の送液ポンプ60と第2の送液ポンプ61の間には、原液供給源200の薬液原液を透析液供給回路50に導入するための原液回路201が接続されている。この原液回路201には、図示しない開閉バルブが設けられている。なお、本実施の形態において、原液供給源200、原液回路201及び開閉バルブにより洗浄液供給装置を構成している。
【0061】
洗浄処理が行われる際には、滅菌されたRO水が、透析液回路12の透析液供給回路50に供給されるとともに、原液供給源200の薬液原液が、原液回路201を通じて透析液供給回路50に供給され、薬液原液とRO水が混合し、薬液が生成される。このとき、例えば初めに第1の送液ポンプ60が停止し、第2の送液ポンプ61が作動して、所定量の薬液原液を混合部66に導入し、その後、第1の送液ポンプ60を作動させてRO水を混合部66に導入することによって、所定の濃度の薬液を生成してもよい。生成された薬液は、定量チャンバ70の第1の室71に貯留される。その後薬液は、第1の外部接続流路121やバイパス回路(図示せず)等を通じて、血液浄化器10を通らずに排出される。
【0062】
紫外線照射装置13が透析液回路12の混合部66よりも上流側にある場合には、混合前のRO水に紫外線が照射され、透析液回路12の混合部66よりも下流側にある場合には、薬液に紫外線が照射される。このとき、紫外線照射装置13の照射出力は、制御装置14により例えば洗浄液の種類や流量に応じて設定されている。かかる例によれば、洗浄液が十分に除菌されるので、洗浄液による洗浄効果を担保できる。また、洗浄液に紫外線を照射することにより洗浄効果を高めることもできる。なお、洗浄液は、必ずしも装置内で生成されるものである必要はなく、壁40の上流側で生成されたものであったり、壁40の上流側にある洗浄液貯留部から供給されたものであってもよい。
【0063】
上記洗浄処理は、複数の洗浄工程に対応した複数の装置ステータスを有し、各装置ステータスの紫外線の照射出力条件に従ってLEDの照射出力を変更してもよい。例えば、制御装置14は、装置ステータスにおける照射出力条件を記憶する記憶部171(図8図11に示す。)を有し、記憶部171の装置ステータスの照射出力条件に基づいて照射出力を変更する。例えば血液浄化処理終了後に行われる洗浄処理(一日の終わりに行う洗浄処理)は、図14に示すように装置ステータスとして、透析液回路12(以下、単に「回路」ともいう。)をRO水等で洗浄する水洗工程、回路を酢酸水溶液、クエン酸水溶液、過酢酸水溶液などの酸液(酸性薬液)で洗浄する酸洗浄工程、酸液を透析液回路12に貯留する酸液貯留工程、酸洗後にRO水等で洗浄する酸洗浄後水洗工程、回路を次亜塩素酸Na水溶液などの薬液で消毒する薬液消毒工程、薬液を透析液回路12に貯留する薬液貯留工程、薬液消毒後にRO水等で洗浄する薬液消毒後水洗工程を有している。
【0064】
例えば水洗工程では、中間出力で紫外線が照射され、酸洗浄工程では、低出力で紫外線が照射される。酸液貯留工程では、紫外線の照射が停止され、酸洗浄後水洗工程では、中間出力で紫外線が照射される。薬液消毒工程では、低出力で紫外線が照射され、薬液貯留工程では、紫外線の照射が停止され、薬液消毒後水洗工程では、高出力で紫外線が照射される。
【0065】
酸洗浄工程と薬液消毒工程において低出力で紫外線が照射されるのは、紫外線による酸液や薬液へのケミカルアタックを防ぐためであり、酸液貯留工程と薬液貯留工程において紫外線の照射が停止されるのは、液体の流れがなく殺菌効果が低いためである。また、薬液消毒後水洗工程において高出力で紫外線が照射されるのは、例えば夜間装置内に貯留するRO水に生菌が存在すると夜間に繁殖し、装置汚染(バイオフィルムの発生)の原因になるため、積極的に殺菌を行うためである。なお、中間出力とは、高出力と低出力の間の出力であり、紫外線の照射出力条件(High/Middle/Low/OFF)として制御装置14に設定されたものである。
【0066】
また、洗浄処理は、水洗工程だけを行うモード、水洗工程後に、酸洗浄工程、酸液貯留工程及び酸洗浄後水洗工程を行うモード、水洗工程後に、薬液消毒工程、薬液貯留工程及び薬液消毒後水洗工程を行うモード等であってもよく、この場合、各モードの各工程において上述したように紫外線の照射出力を変更してもよい。また、洗浄は、熱湯洗浄工程、クエン酸熱湯洗浄工程を行うものであってもよい。
【0067】
なお、この透析液回路12における洗浄液に紫外線を照射する例において、上述したように制御装置14は、紫外線照射装置14の出力低下に応じて、紫外線照射装置14の照射出力を変更してもよいし、このとき、血液浄化装置1は、紫外線照射装置14の照射出力を検出するセンサ125(図4に示す)を備えていてもよい。
【0068】
以上の実施の形態において、制御装置14は、送液ポンプ60における送液流量に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変更していたが、紫外線照射装置13により紫外線が照射される透析液回路12の部分の液体の流量や洗浄液の流量に応じて、紫外線照射装置13の照射出力を変更するようにしてもよい。この場合、紫外線照射装置13により紫外線が照射される透析液回路12の部分の液体流量は、例えば送液ポンプ60の流量や定量チャンバ70の切り替えタイミング等により把握されてもよいし、透析液回路12の紫外線の照射部分に設置された流量計により把握されてもよい。紫外線照射装置13により紫外線が照射される透析液回路12の部分の液体流量が多い場合には、紫外線照射装置13の照射出力を上げ、紫外線が照射される透析液回路12の部分の液体流量が少ない場合には、紫外線照射装置13の照射出力を下げる。この場合、透析液回路12を流れる液体に適正な量の紫外線を照射できる。
【0069】
例えば以上の実施の形態に記載した血液浄化装置1の構成はこれに限られるものではない。例えば透析液供給回路50に透析液中のエンドトキシンや細菌を除去するためのフィルターが設けられていてもよい。また、RO水に原液を混合して透析液を生成する透析液生成機構はこれに限られず、他の機構、方法で透析液を生成するものであってもよい。
【0070】
例えば血液浄化装置1の構成は以上の実施の形態のものに限られない。例えば透析液供給回路50は、血液浄化処理の種類、例えば透析処理、持続緩除式血液濾過(CHF:Continuous HemoFiltractrion)、持続緩除式血液透析(CHD:Continuous HemoDiaFiltration)、持続緩除式血液濾過透析(CHDF:Continuous HemoDiaFiltration)に応じて血液回路11に接続するか、血液浄化器10に接続するか或いはそれら両方に接続するかを選択してもよい。また、本発明は、透析治療以外の血液浄化処理を行う血液浄化装置にも適用できる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、小型で紫外線照射量も変更可能な紫外線照射装置とその紫外線照射装置を制御する制御装置を備えた血液浄化装置を実現する際に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 血液浄化装置
10 血液浄化器
11 血液回路
12 透析液回路
13 紫外線照射装置
14 制御装置
図1
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