(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】気流で冷却される平面型燃料電池から電力を生成するデバイス及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2418 20160101AFI20220826BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/0267 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04291 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04492 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04828 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20220826BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220826BHJP
【FI】
H01M8/2418
H01M8/2465
H01M8/249
H01M8/10
H01M8/10 101
H01M8/0267
H01M8/04014
H01M8/04119
H01M8/04225
H01M8/04291
H01M8/04302
H01M8/0432
H01M8/04492
H01M8/04537
H01M8/04746
H01M8/04828
H01M8/04858
H01M8/04 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017105711
(22)【出願日】2017-05-29
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フォシュー ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】アリンカント ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】キャプロン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ダアミ アニス
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-544650(JP,A)
【文献】特開2007-184157(JP,A)
【文献】特開2004-022190(JP,A)
【文献】特開2012-232673(JP,A)
【文献】特開2015-074272(JP,A)
【文献】特開2006-332025(JP,A)
【文献】特開2014-006960(JP,A)
【文献】特開2008-304237(JP,A)
【文献】特表2008-521693(JP,A)
【文献】特開2003-331877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 ー 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上に複数のセルが横並びで配置される平面型の燃料電池(1)を備える、電力を生成するためのデバイスであって、
前記燃料電池(1)は、
膜(5)に設けられた陽極(3)及び陰極(4)を備えるセル(2)と、
第1の表面(6)と、前記第1の表面(6)と対向する第2の表面(7)と、
システム(13)と、を備え、
前記第1の表面(6)は、前記燃料電池(1)の前記陽極(3)側に配置されており、
前記第2の表面(7)は、前記燃料電池(1)の前記陰極(4)側に配置されており、
前記システム(13)は、前記第1の表面(6)と熱的に連係するための第1の気流(F1)と、前記第2の表面(7)と連係して前記燃料電池の前記陰極(4)に酸化剤を供給するための第2の気流(F2)と、を生成するように構成され
、
前記膜(5)は、前記燃料電池(1)の全ての前記セル(2)に共通であることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記燃料電池(1)の前記第1の表面(6)は、燃料分配チャンバー(8)の外壁によって少なくとも部分的に境界付けられており、
前記燃料電池(1)の前記第2の表面(7)は、金属の有孔板(9)によって少なくとも部分的に境界付けられることを特徴とする、
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1及び第2の気流(F1,F2)を独立に制御するために、前記システム(13)に作用するように構成された制御モジュール(14)を備えることを特徴とする、
請求項1
又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御モジュール(14)は、前記システム(13)の少なくとも一つの制御設定値を決定するために、以下のパラメータ:前記燃料電池の温度値、前記燃料電池の湿度値、前記燃料電池のレベルで測定された電気抵抗の物理的パラメータ、前記デバイスが置かれた環境の温度値、前記デバイスが置かれた環境の湿度値、前記燃料電池から要求される負荷の値、前記デバイスが置かれた環境の大気圧力値、前記デバイスの保存期間の指標、前記燃料電池の出力の指標、及び外部と交換される熱流の指標、のうち少なくとも一つを、その入力で受け取るように構成されることを特徴とする、
請求項
3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記燃料電池(1)が第1の燃料電池(1)を形成するとともに、前記デバイスが、第2の燃料電池(1a)を形成する追加の平面型燃料電池(1a)を備えることを特徴とし、前記第2の燃料電池(1a)は、
膜(5a)に設けられた陽極(3a)及び陰極(4a)を備えるセル(2a)であって、好ましくは前記膜(5a)が前記第2の燃料電池(1a)の全ての前記セル(2a)で共通である、前記セル(2a)と、
第1の表面(6a)と、前記第1の表面(6a)と対向する第2の表面(7a)であって、前記第1の表面(6a)が前記第2の燃料電池(1a)の前記陽極(3a)側に配置され、かつ、前記第2の表面(7a)が前記第2の燃料電池(1a)の前記陰極(4a)側に配置される、前記第1の表面(6a)と、前記第2の表面(7a)と、を備え、
前記第1及び第2の燃料電池(1,1a)は、
前記第1の燃料電池(1)の前記第1の表面(6)が、前記第1及び第2の燃料電池(1,1a)間の前記第1の気流(F1)の循環するチャンネル(17)の少なくとも一部を境界付けるように、前記第2の燃料電池(1a)の前記第1の表面(6a)と対向するか、あるいは、
前記第2の燃料電池(1a)の前記第2の表面(7a)が、前記第1及び第2の燃料電池(1,1a)間の前記第2の気流(F2)の循環するチャンネル(18)の少なくとも一部を境界付けるように、前記第1の燃料電池(1)の前記第2の表面(7)と対向するように配置されることを特徴とする、
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記システム(13)は、第1の気流(F1)を生成できる第1の換気要素(13a)と、第2の気流(F2)を生成できる第2の換気要素(13b)と、を備えることを特徴とする、
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記燃料電池(1)の温度値を測定するために配置された温度センサ(15)を備え、
前記制御モジュール(14)は、前記システム(13)を制御する際に前記第1の気流(F1)の特性に影響を及ぼすために、前記温度センサ(15)によって測定された少なくとも一つの温度値を考慮するように構成されていることを特徴とする、
請求項
3または
4に記載のデバイス。
【請求項8】
前記燃料電池(1)の湿度値を測定するために配置された湿度センサ(16)を備え、
前記制御モジュール(14)は、前記システム(13)を制御する際に前記第2の気流(F2)の特性に影響を及ぼすために、前記湿度センサ(16)によって測定された少なくとも一つの湿度値を考慮するように構成されていることを特徴とする、
請求項
3、
4、
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記燃料電池(1)の出力に適合するように構成された要素(19)を備え、
前記要素(19)は、前記燃料電池(1)に適用される出力設定値を生成するように、前記燃料電池(1)のコアの温度を表す値を、その入力で受け取ることを特徴とした、
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の気流と前記第2の気流を生成するように構成された前記システム(13)が、前記第1及び第2の気流の少なくとも一つを飛行中に生成することを特徴とする、
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のデバイスのうち少なくとも一つを備える飛行体。
【請求項11】
生成された前記第1の気流(F1)が前記燃料電池(1)の前記第1の表面(6)と連係するように、前記システム(13)によって前記第1の気流(F1)が生成されるステップ(E1-1)と、
生成された前記第2の気流(F2)が前記燃料電池(1)の前記第2の表面(7)と連係するように、前記システム(13)によって前記第2の気流(F2)が生成されるステップ(E1-2)と、を備える作動ステップ(E1)を備えた、
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のデバイスの使用方法。
【請求項12】
前記作動ステップ(E1)が、
前記燃料電池の少なくとも一つの温度値を決定するステップ(E1-3)と、
前記燃料電池(1)の少なくとも一つの湿度値を決定するステップ(E1-4)と、
決定された前記少なくとも一つの温度値を考慮し、前記第1の気流(F1)を生成する前記ステップ(E1-1)の間に生成された前記第1の気流(F1)を調整するステップ(E1-6)と、
決定された前記少なくとも一つの湿度値を考慮し、前記第2の気流(F2)を生成する前記ステップ(E1-2)の間に生成された前記第2の気流(F2)を調整するステップ(E1-7)と、を含むことを特徴とする、
請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料電池の公称出力よりも低い低グレード出力を前記燃料電池が最初に出力する前記燃料電池の始動のステップ(E2)を備え、
前記始動のステップ(E2)が、前記燃料電池の出力を漸進的または段階的に前記公称出力まで上昇させるステップを含むことを特徴とする、
請求項
11または
12に記載の方法。
【請求項14】
前記出力を上昇させる前記ステップの間に、前記第1の気流の流量を上昇させることを特徴とする、
請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料電池(1)の始動のステップ(E2)を備え、前記燃料電池(1)の始動段階のレベルにおいて決定される以下のパラメータ:
前記デバイスが使用される環境の温度値、
前記デバイスが使用される環境の湿度値、
前記デバイスの保存期間の持続の指標、のうち少なくとも一つを考慮して、前記システム(13)が制御されることを特徴とする、
請求項
11または
12に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料電池(1)の停止のステップ(E3)を備え、
前記ステップ(E3)の間に、前記燃料電池のコアを乾かすために前記第2の気流(F2)が生成される、ことを特徴とする、
請求項
11乃至
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料電池(1)のコアの温度について決定される代表値に依存する前記燃料電池(1)の出力を調節するステップ(E1-8,E2-1,E3-1)を備えることを特徴とする、
請求項
11乃至
16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池による電力生成の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電力生成の分野においては、燃料電池を用いることが知られている。一般的に、燃料電池は、動作中に、電力に加えて水と熱を生成する。与えられた使用環境条件(温度、湿度、圧力)の下では、燃料電池の性能を時間経過に対して安定に保つことが可能であり、これは受動的な方法である。
【0003】
しかし、実際の動作においては、燃料電池は広い範囲の温度、湿度、圧力で使用されがちである。この場合、一般的に燃料電池は、燃料電池から生成される熱を放出させ、膜の一定の水和を保ち、空気から燃料電池の陰極に酸素を供給させるシステムと関連づけられている。
【0004】
これに関連して、文献US2004/0197620は、一方は燃料電池を冷却するために、他方は燃料電池の陰極に酸素を供給するために、2つのパートに分けて気流を生成する同一のファンを用いることを提案している。この文献の解決策は、もっぱら「スタック」として知られている分野の燃料電池に向けられている。スタック型の燃料電池は、低出力の需要には適合しない。
【0005】
文献GB2442252及びGB2503240は、空気の再循環を用いて「スタック」型の燃料電池を広範囲の温度で動作させることを提案している。これらの解決策は、低出力に関しては同様の問題を呈しており、そのため、より低出力に適合したデバイスを提案する必要がある。
【0006】
特許明細書WO2012/117035は、直列に接続された電極と組み合わされた膜を用いて、燃料電池のスタックを可能にする燃料電池を記載している。しかし、それらの燃料電池の冷却を達成するのは困難なことがある。そのため、デバイスの燃料電池の温度に適合した制御を可能にする、言い換えれば調節を可能にするデバイスを提案する必要がある。
【0007】
特許明細書US2009/0117445は、平面型燃料電池を記載している。特に温度の制御または調節を可能にする解決策を提案することで、そのような平面型燃料電池を満足のいくように改善する必要がある。
【0008】
そのうえ、現存する解決策に代わる解決策を見つける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、少なくとも一部において、上記の需要に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的には、以下の平面型燃料電池を備えた、発電を意図したデバイスのおかげで達する:平面型燃料電池は、膜に設けられた陽極及び陰極を備えるセルと、第1の表面と、前記第1の表面と対向する第2の表面を備え、前記第1の表面は、前記燃料電池の前記陽極側に配置されており、前記第2の表面は、前記燃料電池の前記陰極側に配置されている。このデバイスは、さらに、前記第1の表面と熱的に連係するための第1の気流と、前記第2の表面と連係して前記燃料電池の前記陰極に酸化剤を供給するための第2の気流と、を生成するように構成されたシステムを備える。
【0011】
好ましくは、前記膜は、前記燃料電池の全ての前記セルに共通である。
【0012】
一実施形態において、前記燃料電池の前記第1の表面は、燃料分配チャンバーの外壁によって少なくとも部分的に境界付けられてもよく、前記燃料電池の前記第2の表面は、金属の有孔板によって少なくとも部分的に境界付けられてもよい。
【0013】
前記デバイスは、前記第1及び第2の気流を独立に制御するために、前記システムに作用するように構成された制御モジュールを備えてもよい。
【0014】
さらに、前記制御モジュールは、前記システムの少なくとも一つの制御設定値を決定するために、以下のパラメータ:前記燃料電池の温度値、前記燃料電池の湿度値、前記燃料電池のレベルで測定された電気抵抗の物理的パラメータ、前記デバイスが置かれた環境の温度値、前記デバイスが置かれた環境の湿度値、前記燃料電池から要求される負荷の値、前記デバイスが置かれた環境の大気圧力値、前記デバイスの保存期間の指標、前記燃料電池の出力の指標、及び外部と交換される熱流の指標、のうち少なくとも一つを、その入力で受け取るように構成されてもよい。
【0015】
一実施形態において、前記燃料電池が第1の燃料電池を形成するとともに、前記デバイスが、第2の燃料電池を形成する追加の平面型燃料電池を備えることを特徴とし、前記第2の燃料電池は、膜に設けられた陽極及び陰極を備えるセルであって、好ましくは前記膜が前記第2の燃料電池の全ての前記セルで共通である、前記セルと、第1の表面と、前記第1の表面と対向する第2の表面であって、前記第1の表面が前記第2の燃料電池の前記陽極側に配置され、かつ、前記第2の表面が前記第2の燃料電池の前記陰極側に配置される、前記第1の表面と、前記第2の表面と、を備える。さらに、前記第1及び第2の燃料電池は、前記第1の燃料電池の前記第1の表面が、前記第1及び第2の燃料電池間の前記第1の気流の循環するチャンネルの少なくとも一部を境界付けるように、前記第2の燃料電池の前記第1の表面と対向するか、あるいは、前記第2の燃料電池の前記第2の表面が、前記第1及び第2の燃料電池間の前記第2の気流の循環するチャンネルの少なくとも一部を境界付けるように、前記第1の燃料電池の前記第2の表面と対向するように配置される。
【0016】
特に、前記システムは、第1の気流を生成できる第1の換気要素と、第2の気流を生成できる第1の換気要素と、を備えてもよい。
【0017】
一実施形態において、前記デバイスは、前記燃料電池の温度値を測定するために配置された温度センサを備え、前記制御モジュールは、前記システムを制御する際に前記第1の気流の特性に影響を及ぼすために、前記温度センサによって測定された少なくとも一つの温度値を考慮するように構成されてもよい。
【0018】
他の一実施形態であって、前記温度センサを備える前記デバイスの一つと組み合わせられてもよい実施形態において、前記デバイスは、前記燃料電池の湿度値を測定するために配置された湿度センサを備え、前記制御モジュールは、前記システムを制御する際に前記第2の気流の特性に影響を及ぼすために、前記湿度センサによって測定された少なくとも一つの湿度値を考慮するように構成されてもよい。
【0019】
一実施形態において、前記デバイスは、前記燃料電池の出力に適合するように構成された要素を備えてもよく、前記要素は、前記燃料電池に適用される出力設定値を生成するように、前記燃料電池のコアの温度を表す値を、その入力で受け取ってもよい。
【0020】
本発明はまた、前記第1の気流と前記第2の気流を生成するように構成された前記システムが、前記第1及び第2の気流の少なくとも一つを飛行中に生成する、上述したデバイスの少なくとも一つを備える飛行体にも関する。
【0021】
本発明はまた、生成された前記第1の気流が前記燃料電池の前記第1の表面と連係するように、前記システムによって前記第1の気流が生成されるステップと、生成された前記第2の気流が前記燃料電池の前記第2の表面と連係するように、前記システムによって前記第2の気流が生成されるステップと、を備える作動ステップを備えた、上述したデバイスの使用方法にも関する。
【0022】
好ましくは、前記作動ステップが、前記燃料電池の少なくとも一つの温度値を決定するステップと、前記燃料電池の少なくとも一つの湿度値を決定するステップと、決定された前記少なくとも一つの温度値を考慮し、前記第1の気流を生成する前記ステップの間に生成された前記第1の気流を調整するステップと、決定された前記少なくとも一つの湿度値を考慮し、前記第1の気流を生成する前記ステップの間に生成された前記第2の気流を調整するステップと、を含んでもよい。
【0023】
前記方法は、前記燃料電池の公称出力よりも低い低グレード出力を前記燃料電池が最初に出力する前記燃料電池の始動のステップを備え、前記始動のステップが、前記燃料電池の出力を漸進的または段階的に前記公称出力まで上昇させるステップ、を含んでもよい。特に、前記第1の気流の流量は、前記出力を上昇させる前記ステップの間に上昇する。
【0024】
前記方法は、また、前記燃料電池の始動のステップを備えてもよく、前記燃料電池の始動段階のレベルにおいて決定される以下のパラメータ:前記デバイスが使用される環境の温度値、前記デバイスが使用される環境の湿度値、前記デバイスの保存期間の持続の指標、のうち少なくとも一つを考慮して、前記システムが制御されてもよい。
【0025】
前記方法は、また、前記燃料電池の停止のステップを備え、前記ステップの間に、前記燃料電池のコアを乾かすために前記第2の気流が生成されてもよい。
【0026】
前記方法は、また、前記燃料電池の前記コアの温度について決定される代表値に依存する前記燃料電池の出力を調節するステップを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、非限定の実施例と図面の参照によって与えられる、以下の記述の精読によってより良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、発明の一実施形態に関する燃料電池を模式的に示している。
【
図2】
図2は、デバイスの使用方法を実行するステップを示している。
【
図3】
図3は、燃料電池が供給する電力のワット数の時間に対する変化と、燃料電池の電極における電圧のボルト数の時間に対する変化を、同一のグラフにて示している。
【
図4】
図4は、お互い重なり合って置かれた2つの燃料電池を備えるデバイスの具体例を示している。
【0028】
これらの図において、同じ参照は同じ要素を示すのに使われる。
【0029】
また、これらの図に示されている要素は、正しいスケールではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で述べるデバイスと方法は、特に燃料電池の2つの対向面のレベルでの空気の動きの利用を促進する点で、先行技術とは異なる。これらの空気の動きを独立に制御することによって、広範囲の外部の環境における動作を最適化するために、燃料電池の温度をより良く制御できる。外部の環境は、可変の温度、圧力、または湿度と対応してもよい。
【0031】
本発明は、最も特に、平面型燃料電池に関係している。平面型燃料電池は、実際には、燃料電池のセルが積み重ねられたスタックとは対照的に、同一平面上に複数のセルが横並びで配置された構造と対応する。平面デザインは、最も特に、持ち運びや運送が可能な低電力のエネルギー源の形に適合される。典型的には、本明細書中において、低電力とは100W以下の電力を意味する。さらに、平面の技術は、酸化剤と燃料の流れの分離及び分配のための双極板が無い状態での動作を可能にする。
【0032】
さらに、本発明は、オキシダント流(すなわち、酸化剤)が空気である燃料電池の分野に関わる。本明細書中において、空気とは地球の大気に含まれる気体の混合物を意味する。この場合、陰極は大気圧下で自由空気に直接暴露されてもよい。一般的には、地球の大気にある空気は、燃料電池の酸化剤として働く酸素を含む。
【0033】
図1は、膜5に関連づけられた陽極3および陰極4がそれぞれ設けられたセル2を有する燃料電池1を備える、電力を生成するためのデバイスを、模式的に示す。好ましくは、前記膜5は、前記燃料電池の全てのセル2に共通である。膜5は一般的にNAFION(登録商標)の型の一つのような、イオン性の、特に陽イオン性の伝導膜である。この膜は、本技術においては電解質の名でも知られている。
図1では、例として燃料電池1は5つのセル2を備えている。燃料電池1は、酸化剤(ここでは、空気)が陰極に運ばれ、燃料(例えばH
2、すなわち二水素)が陽極に運ばれたときに電力を生成することができる。この燃料電池1は、第1の表面6と、前記第1の表面6と対向する第2の表面7とを備え、前記第1の表面6は前記燃料電池1の陽極3側に配置され、かつ、前記第2の表面7が前記燃料電池1の陰極4側に配置されている。「陽極3側」とは、第1の表面6が陰極4よりも陽極3に近く、特に第1の表面6が燃料電池1のセルの陽極3を含む平面と平行な平面に含まれることを意味する。「陰極4側」とは、第2の表面7が陽極3よりも陰極4に近く、特に第2の表面7が陰極4を含む表面と平行な表面に含まれることを意味する。一般的に、このような燃料電池1において、セルは互いに直列に繋がれている。
【0034】
特に、前記燃料電池の第1の表面6は、燃料分配チャンバー8の外壁によって少なくとも部分的に(あるいは全体を)境界付けられ、特に気体の燃料が、燃料電池の動作のために陽極へ分配するように構成され、前記燃料電池1の第2の表面7は、有孔板9によって少なくとも部分的に(あるいは全体を)境界付けられる。この板9は、熱交換を促進するために、金属(プラスチックまたは紙)でできていてもよい。板9の穴開けは、空気が燃料電池の酸化剤として働くように、陰極の方向に空気を通らせるために構成される。燃料分配チャンバー8は、例えば、(図示していない)燃料分配チャンネルを有する板によって通常の方法で形成されてもよいし、燃料はH2であってもよい。
【0035】
非限定の場合では、燃料電池1は次の要素:燃料分配チャンバー8と、陽極3と燃料分配チャンバー8の間に挿入され、各陽極3のレベルに形成されて特に金で作られた第1の電流コレクター10と、関連する第1の電流コレクター10にそれぞれ接続されて例えば炭素や白金を備える陽極3と、膜5に接続されて例えば炭素や白金を備える陰極4、および陽極3に接続されて全てのセル2に共通な膜5と、陰極4にそれぞれ関連した第2の電流コレクター11と、第2の電流コレクター11に接続されて、陰極4の方向にガスを拡散できるガス拡散層12(このガス拡散層はセルロースまたは、むしろPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のシートであってもよい)と、最後に、銅またはアルミで作られてもよい有孔板9と、のスタックを備えていてもよい。有孔板9とガス拡散層12は同一の層に形成されてもよく、特に電気的に不導体であってもよい。他の材料を用いた、他の燃料電池の例は、必要に応じて当業者が用いることができる。好ましくは、燃料電池の高さは0.5mmから5mmの間であって、さらに好ましくは2mm程度であり、横の大きさ(特に第1および第2の表面を境界付ける)は5cmから100cmの間であり、さらに好ましくは12cm程度である。陽極3と、膜5と、陰極4と、さらに可能であれば第1および第2の電流コレクター10、11と、によって形成されるアセンブリは、さらに一般的には、本技術において燃料電池のコア、セルのコア、もしくはセルコアと呼ばれる。典型的には、燃料電池に適応した負荷のために、セルコアは負荷の必要を満たすための最適温度を有する。この負荷は、電力を供給する燃料電池に接続されたエンジンのような消費要素(consumer element)に対応する。
【0036】
本明細書中において、大きさが「約」とともに与えられた場合、その大きさは、正確に与えられた大きさであるか、プラスマイナス10%の大きさであると解釈される。
【0037】
デバイスは、第1の表面6と熱的に連係するための、特に前記燃料電池1を冷やすための第1の気流F1を生成するように構成されたシステム13をさらに備え、前記システム13は、前記燃料電池1の陰極4への酸化剤の供給を確実にするために第2の表面7と連係する第2の気流F2をも生成するように構成される。第1及び第2の気流は、吸引または吹き出しによって生成されてもよい。第1の気流は、特に第1の表面6のレベルにて燃料電池を換気し、第2の気流は、特に第2の表面7のレベルにて燃料電池を換気するともいえる。「第1の表面6と熱的に連係して前記燃料電池1を冷やすための第1の気流F1」とは、特に強制対流によって第1の気流F1が生成されたとき、それが第1の表面6と熱的に相互作用するように流れること、言い換えれば、第1の気流F1が第1の表面6と接触し、特に第1の表面6から熱量を運び出すことで燃料電池1を冷却することが可能なことを意味する。したがって、システム13は、第1の気流F1が生成されるときに第1の表面6と接触するように構成されていてもよい。「第2の表面7と連係して前記燃料電池1の陰極4への酸化剤の供給を確実にするための第2の気流F2」とは、特に強制対流によって第2の気流F2が生成されたとき、それが空気、特に空気中の酸素を、陰極と流体連絡する第2の表面7のレベルに運ぶように流れること、言い換えれば、第2の気流F2が第2の表面7と接触することを意味する。したがって、システム13は、第1及び第2の気流F1,F2がそれぞれ第1の表面6及び第2の表面7に届く方向に向くようなものであってよく、この方向付けは可能であれば適合されたチャンネルまたは溝を利用して実行される。「前記第1の表面と熱的に連係する」とは、第1の気流F1が、第1の表面6の冷却、及びそれゆえの燃料電池の冷却を可能とするか、燃料電池1の熱調整にさらに一般的な参加ができることを意味する。第1の表面6が、少なくとも部分的に燃焼チャンバー8の外壁によって境界付けられており、第2の表面7が、少なくとも部分的に有孔板9に境界付けられているとき、第1及び第2の気流F1,F2は、燃料電池1のコアのできる限り近くまで運ばれると理解される。その結果、燃料電池1の温度を調節したいときは、熱交換は効果的に行われ、それゆえシステム13によって消費される電力を限定する。
【0038】
それゆえ本発明は、上記のデバイスの使用方法とも関係すると理解される。
図2に示すように、本方法は、生成された前記第1の気流が燃料電池1の前記第1の表面6と連係するように、システム13によって第1の気流F1が生成されるステップE1-1と、生成された第2の気流F2が燃料電池の第2の表面7と連係するように、システム13によって前記第2の気流F2が生成されるステップE1-2と、を備える作動ステップE1、を備える。作動ステップE1の間において、燃料電池は電力を生成できる。それゆえ、本方法は、それぞれ燃料電池の第1の表面6及び第2の表面7のレベルにおいて、特に適合されたチャンネルまたは溝を利用して、第1及び第2の気流F1,F2の経路を定めるステップを備えてもよいと理解される。
【0039】
システム13は、第1及び第2の気流F1,F2を独立に生成できるようになっていてもよく、すなわち、第1及び第2の気流F1,F2は、流量のような特性が同じでなくてもよい:したがって、黙示的に燃料電池の温度調整に参加する膜5の水和を保ち、酸化剤を供給する第1の機能―第2の気流F2によって実行されるが―と、特に冷却のために燃料電池の温度を調整するだけの第2の機能―第1の気流によって実行されるが―を区別することが可能である。この区別は、公称動作を許容する間、幅広い温度、湿度、および圧力における燃料電池の動作を可能にする。上述の2つの換気(第1の気流及び第2の気流)の目的は、特に、デバイスが利用される環境の周囲の温度や湿度に関係なく、燃料電池のコアの温度を安定に保ち、燃料電池の性能の満足いくレベルを確かにすることである。したがって、デバイスは、第1及び第2の気流F1,F2を独立に制御/調節するために、システム13に作用するよう構成された制御モジュール14を備えてもよい。
【0040】
これに関して、適切な第1及び第2の気流F1,F2を得るために、どのようにシステム13を制御するのかを知る必要がある。このため、制御モジュール14は、システム13の少なくとも一つの制御設定値を決定するために、以下のパラメータ:燃料電池の温度値、燃料電池の湿度値、燃料電池のレベルで測定された電気抵抗の物理的パラメータ、デバイスが置かれた環境の温度値、デバイスが置かれた環境の湿度値、燃料電池1から要求される負荷の値、デバイスが置かれた環境の大気圧力値、デバイスの保存期間の指標、燃料電池1の出力の指標、及び外部と交換される熱流の指標(ここでは燃料電池と外部との熱交換をいう)、のうち少なくとも一つを入力するように構成されてもよい。制御設定値の1つは、例えば、第1の気流及び/または第2の気流の流量を上昇または下降させることであってもよい。デバイスの置かれる環境は、デバイスの外部の環境に対応する。燃料電池のレベルで測定された電気抵抗の物理的パラメータは、燃料電池または燃料電池のセルの抵抗の測定値であってもよく、内部抵抗、分極抵抗、または、セルのコアの温度若しくは燃料電池の膜の湿度を温度あるいは湿度センサを使用せずとも推測することを許容しうる全体抵抗であってもよい。したがって、制御モジュール14は、燃料電池1の機能を最適化するために第1の気流F1及び/または第2の気流F2を修正する目的で、燃料電池1の現在または未来の状態を評価するためのこれらのパラメータのいくつか、あるいは全部を使用できると理解される。燃料電池1の機能を最適化することとは、例えば、セルのコアを最適温度の近くに止めることや、陰極のレベルに運ばれる酸素濃度を十分にすることを意味する。この方法の背景において、後者は、これらのパラメータの全部あるいはいくつかを決定するステップと、例えば第1の気流F1の流量及び/または第2の気流F2の流量の調整によってシステム13を制御するために後者を使用するステップと、含んでもよいと理解される。本明細書の残りの部分では、パラメータの使用例が与えられるものとする。これらの例は限定されず、必要に応じて当業者によって適合されてもよい。特に、制御モジュール14の目的は、公称動作温度において、また好ましくは、十分な酸素が空気から運ばれるようにして燃料電池の良好な動作能率を許容する値に膜の水和を保つようにする間において、セルのコアの維持を確かにすることである。
【0041】
燃料電池の温度値は、特に燃料電池1のコアの温度を表すように、またはそれに依存するように、後者のレベルで測定されてもよい。燃料電池の湿度値は、特に膜5の水和を表すように、燃料電池1のレベルで測定されてもよい。例として、燃料電池の温度値及び/または燃料電池の湿度値を利用するとき、デバイスは、燃料電池1の温度値を測定するために温度センサ15を備えてもよく(
図1)、それから制御モジュール14は、前記システム13を制御することで、例えば燃料電池の特にコアの温度を予め定められた温度範囲に保つことを確かにすることで、第1の気流F1の特性に影響を及ぼすために、温度センサ15で測定された少なくとも一つの温度値を考慮するように構成されてもよい。温度センサ15は第1の表面6のレベル、例えば分配チャンバー8の外壁に固定されていてもよく、あるいは代わりに温度センサは第2の表面7のレベルに固定されてもよい。第2の気流F2は、燃料電池の動作のために、十分な空気を陰極4のレベルに運ぶことができる制御値に設定されてもよい。燃料電池1は水を生成するので、陰極が「濡れる」リスクを受けやすい;これを防ぐため、第2の気流F2は、第2の表面7を循環する際に水の蒸発にも関与する。これに関して、デバイスは、燃料電池1の湿度値を測定するために配置された湿度センサ16を備えてもよく(
図1)、この場合、制御モジュール14は、前記システム13を制御することによって第2の気流F2の特性に影響を及ぼすために、湿度センサ16によって測定された少なくとも一つの湿度値を考慮するように構成されてもよい。湿度センサは、陰極または第2の表面7のレベルの一方に設置されていてもよい。デバイスが限定された動作温度/湿度範囲内で使用されるならば、温度センサは1つで十分であるだろうし、その場合、第2の気流F2は一定に保たれるか燃料電池1の出力に従属されるという点では、湿度センサは任意であってもよい。
【0042】
本明細書中において、周囲温度とは、20℃から25℃の間を指し、周囲湿度とは、30%から50%相対湿度(RH)の間を指す。
【0043】
一つの例によれば、上述の作動ステップE1は次のように構成される:
・燃料電池が周囲温度及び湿度(これらの温度及び湿度値はパラメータとして制御モジュール14に伝えられている)の環境で動作しているとき、特に制御モジュール14の指示で生成された第1の気流F1は、燃料電池を公称温度(出力が最も高くなると知られている温度)に保つ間に燃料電池から生成される熱の排出を可能にし、特に制御モジュール14の指示で生成された第2の気流F2は、酸素が空気から陰極へ運ばれることを可能にするとともに、燃料電池の生成した水が蒸気の形で排出されることを可能にする(このためには、燃料電池の湿度値は制御モジュールによって対応する設定値に適合するように使用される)。
・デバイスが置かれる環境の温度値(特に制御モジュール14に伝達される)が周囲温度を超えているか、燃料電池の測定温度(特に制御モジュール14に伝達されるもの)が、燃料電池が周囲温度で動作する際の公称温度を超えているとき、特に制御モジュール14の指示で生成された第1の気流の、ステップE1-1の間の流量は、燃料電池のコアを公称温度に保つように上昇される。その上、この場合、特に制御モジュール14の指示で生成された第2の気流の、ステップE1-2の間の流量は、膜の最適水和を維持するために減少させられてもよい。実際には、空気は、熱くなっている陰極の間を通るので、燃料電池コアをよく乾かす傾向を有するようになる。
・デバイスが置かれる環境の湿度値(特に制御モジュール14に伝達される)が周囲湿度を超えているか、あるいは再び、燃料電池の測定湿度(特に制御モジュール14に伝達されるもの)が、燃料電池が周囲湿度で動作する際の公称湿度を超えているとき、特に制御モジュール14の指示で生成された第2の気流の、ステップE1-2の間の流量は、陰極側で生成される蒸気の形での水の排出を促進するように上昇される。その上、この場合、特に制御モジュール14の指示で生成された第1の気流の、ステップE1-1の間の流量は、陰極側がさらに強く換気されること(第2の気流)によって熱もさらに消散されることを埋め合わせるため、(特に温度測定に関して)減少される。
・燃料電池から下流に置かれた燃料電池(すなわち、燃料電池によって電気的に供給される要素)から要求される負荷の値(特に制御モジュール14に伝達される)が、デバイスが置かれる環境の不変の周囲温度及び湿度で動作するためにさらに電力を必要とするとき、燃料電池によって輸送される電流は増加し、この場合、燃料電池の温度は上昇することになり、燃料電池により生成される水の量も増加することになる:燃料電池の温度及び湿度の測定値は、それゆえ必然的に上昇することになる。この場合において、特に制御モジュール14の指示で、第1の表面6のレベルにおける換気を向上させる、すなわち、第1の気流F1の流量を上げる必要があり、さらに、特に制御モジュール14の指示で、第2の表面7のレベルにおける換気を向上させる、すなわち、第2の気流F2の流量を上げる必要がある。ここで、燃料電池から要求される負荷のセンサを温度及び湿度上昇の測定を待たずプロトコルを予想し適応させることを有効にしてもよい。
【0044】
前述したことから、さらに一般的には、作動ステップE1は、燃料電池の少なくとも一つの温度値を決定するステップE1-3と、燃料電池1の少なくとも一つの湿度値を決定するステップE1-4と、決定された前記少なくとも一つの温度値を考慮し、第1の気流F1を生成するステップE1-1の間に生成された第1の気流F1を調整するステップE1-6と、決定された前記少なくとも一つの湿度値を考慮し、第2の気流F2を生成する前記ステップE1-2の間に生成された第2の気流F2を調整するステップE1-7と、を含んでもよいことになる。湿度の点において環境が制御された実施例に関して、ステップE1-4及びE1-7は任意で、第2の気流は一定に保たれ得るか燃料電池1の出力に従属される。有利なことに、第1の気流の調節及び第2の気流の調節は相乗作用し、例えば第2の気流の調節が燃料電池の温度に与える影響を考慮して燃料電池の温度を最適化するように調節した第2の気流を、例えば第1の気流の調節が考慮してもよい。代わりに、あるいは組み合わせで、本方法は、―例えば、負荷の増加を検出する間―例えば、負荷の上昇を検出した場合にそれらの流量を増加させることによって決定される負荷の関数として調整される第1及び第2の気流F1,F2のように、燃料電池から要求される負荷(例えば、電流値)を決定するステップを備えてもよい。
【0045】
さらに、デバイス(それゆえ燃料電池も)は、作動中に環境変化を受けること、すなわちデバイスの置かれた環境が変わることがある。この場合、上述した以下のパラメータ:デバイスが置かれた環境の温度値、デバイスが置かれた環境の湿度値、デバイスの受ける大気圧値は、監視され、使用されてもよい。これはとりわけ、平面型燃料電池は軽く、熱慣性が小さいからである。環境の変化とは、特に環境温度、環境湿度、環境エアロリクス(風)(the aerolics (wind) of the environment)―この場合、外部との燃料電池の熱交換を決定するためにフローセンサ(図示していない)が用いられてもよい―及び/または環境圧力の変化を意味する。それゆえ、外部の熱交換流のインジケータは、第1及び第2の気流を制御するためにシステム13の制御設定値を立てる際に考慮に入れる目的で燃料電池の温度に関して環境の影響を決定するために、制御モジュール14によって利用されてもよいと理解される。これらの環境変化は、上述した温度センサや湿度センサのレベルで取られた測定に影響を与えることがあり、その測定結果は自動的に制御モジュール14によるシステム13の適合された従属状態となるであろう。あるいは、デバイスは、これらの環境特性の変化の測定に適合されて、制御モジュール14に接続される、追加のセンサを備えて、後者が従属状態にそれらを考慮するようにしてもよい。言い換えれば、前記作動ステップE1の間、燃料電池は、これらの影響を限定し燃料電池の出力を最大化するための最適なパラメータに気付いているときには、制御モジュール14が考慮し得る環境変化によって影響を受けうる安定モードにあると考えられる。例えば、環境温度が低下した場合、制御モジュール14は燃料電池の冷却を制限するために第1の気流F1の流量を低下させてもよく;環境温度が上昇した場合、制御モジュール14は燃料電池の冷却を促進するために第1の気流F1の流量を上昇させてもよく;環境湿度が上昇した場合、制御モジュール14は陰極の濡れを防ぐために第2の気流F2の流量を上昇させてもよく;環境温度が低下した場合、制御モジュール14は膜5の乾燥を防ぐために第2の気流F2の流量を低下させてもよい。環境下の大気圧値は、陰極のレベルに十分な酸素濃度を確保するように第2の気流F2を適合するために空気中の酸素を確かなものにする目的で標高を決定するために用いられてもよい。この点において、制御モジュール14は、これらの外部の摂動にかかわらず、公称作動モードの燃料電池の維持を確かにすることもできる。
【0046】
一実施例によると、制御モジュール14によって第1の気流及び第2の気流を制御するシステム13の従属状態は、PI,PD,PID型(ここでPは比例(Proportional)、Iは積分(Integral)、Dは微分(Derivative)を意味する)、オールオアナッシング型、あるいは他の調整の型のフィードバック制御ループによって満たされていてもよい。
【0047】
第1及び第2の気流F1,F2の良い適応性を確実にするために、システム13は、第1の気流F1を生成できる第1の換気要素13aと、第2の気流F2を生成できる第2の換気要素13bと、を備えてもよい。特に、第1の換気要素13aは、専ら第1の気流F1の生成のために備えられ、第2の換気要素13bは、専ら第2の気流F2の生成のために備えられているので、第1及び第2の気流F1,F2の管理とは独立した完全分離がある。これら二つの換気要素13a,13bは、それゆえ、例えば第1の気流F1と第2の気流F2の流量を要求に適合させるために、制御モジュール14によって独立して制御されてもよい。第1及び第2の換気要素13a、13bのそれぞれは、一つまたは複数の軸状若しくは放射状のファン、一つまたは複数のタービン、一つまたは複数のコンプレッサーから構成されてもよい。第1及び/または第2の換気要素13a、13bは、空気の吸引あるいは吹き出し、連続稼働、パルス幅変調、またはパルスモードにおいて用いられてもよい。
【0048】
特に燃料電池を冷却するように設計された第1の気流F1は、第2の気流F2の最大流量よりも更に大きく達せられてもよいため、第1の換気要素13aは、第2の換気要素13bよりも大きな力を有してもよい。一換気要素の他と比較したより大きな力とは、より大きな流量で気流を生成する能力のことを意味する。
【0049】
制御モジュール14は、特に上述のパラメータの関数として、第1及び/または第2の換気要素13a、13bの電力供給を制御するように構成されてもよい。特に、第1及び/または第2の換気要素13a、13bは、パルス幅変調(技術的にPWMとして知られている)によって電力供給されるように構成され、それは第1及び/または第2の換気要素13a、13bの連続的な電力供給、または第1及び/または第2の換気要素13a、13bの断続的な電力供給を可能にする。このような電力供給は、第1及び第2の気流F1,F2の微調整を可能にするという意味で有利である。
【0050】
作動ステップE1は以上で説明された。燃料電池1が、特にそのコアの温度の点で安定モードに達したとき、そして時間に対するこの安定性の維持を求めるときに、このステップは好ましくは実行される。準最適条件、すなわち、デバイスの置かれた環境が起動中に最適な機能を可能にしない環境下で、デバイスは始動されてもよく、この場合、制御モジュール14は、可能な限り早くこの安定モードに到達するために、起動中にシステム13を制御してもよい。
【0051】
これに関して、一実施例によると、本方法は、システム13が(例えば、第1の流量に従って第1の気流を、及び/または第2の流量に従って第2の気流を生成するために)以下の、燃料電池の始動段階のレベルで決定されるパラメータ:デバイスが起動/使用される環境の温度値、デバイスが起動/使用される環境の湿度値、デバイスの保存期間の持続の指標、の少なくとも一つを考慮することによって制御される、燃料電池1のための始動のステップE2(
図2)を備えてもよい。燃料電池1の始動段階のレベルとは、例えば運転開始直前または運転開始直後を意味する。デバイスが起動する環境の温度は、燃料電池が運転開始する前に燃料電池1の温度センサ15の温度を測定することで判定することができ、このとき燃料電池は、自身が置かれる環境と同一の温度を有すると考えられるため、代わりにデバイスは、燃料電池1から離れた場所に追加の温度センサを備えていてもよい。もし起動前に測定した湿度が環境湿度と同種であるとするのであれば、デバイスの置かれた環境湿度は、燃料電池1の湿度センサ16で決定されてもよく、あるいはデバイスは、燃料電池1から離れた場所に追加の湿度センサを備えていてもよい。この場合、適合されたパラメータを取得した後にシステム13によって実行されうる異なったシナリオを区別することが可能である。第1のシナリオでは、例えば測定によって決定されるデバイス起動時の環境温度及び湿度値が、予め定められた周囲温度及び湿度であると考えられるならば、燃料電池が公称性能にできる限り早く達するために、燃料電池のコアの温度が公称値にできるだけ早くなることが好ましい:この場合、起動時、第1の表面6のレベルにおける、特に制御モジュール14によって実行される換気はゼロ(第1の気流F1が生成されていない)または最小、すなわち、(ファンのような)第1の換気要素が提供できる最小の流量とすべきであり、それから燃料電池1のコアが公称温度に達するときの適合された第1の気流F1の流量まで上昇する;第2の気流F2は、燃料電池1に酸素を供給するのに十分な流量を単純に有する。第2のシナリオでは、例えば測定によって決定されるデバイス起動時の環境湿度値が乾燥環境(例えば、30%RH(相対湿度)以下)を表すと考えられるとき、かつ、例えば測定によって決定されるデバイス起動時の環境温度が上昇したと考えられるとき(特に環境温度が25℃よりも高くなったと考えられるとき)、あるいは、例えば1ヶ月よりも長い長期の燃料電池の保存期間(この場合、デバイスの保存期間の指標は、制御モジュール14によって、保存が長期か否かの閾値と比べられてもよい)の後、第2の表面7のレベルにおける、特に制御モジュール14によって実行される換気(すなわち、第2の気流F2)はセルコアの水を最大に保つように適合されるべきで、それから最小値、すなわち、(ファンのような)第2の換気要素が提供できる最小の流量であり、この第2の表面7の換気はそれゆえ、セルコアが公称温度に到達したときの適合される値に上昇されてもよい。この第2のシナリオと並行して、第1の表面6の、特に制御モジュール14によって実行される換気(すなわち、第1の気流F1の流量)は、起動時に最大となるべきで(第1の換気要素はそれゆえ第1の気流の流量が最大となるように機能してもよい)、それからセルコアが公称温度に達する時の公称値へと変化すべきである。第3のシナリオでは、低い温度(典型的には外部の環境温度が+20℃未満)または負の温度(0℃未満)での起動のために、セルコアの温度を上げる必要がある。後者の場合、燃料電池は、セルコアの温度上昇を最適化するため、低グレード出力(燃料電池の電圧―または出力―が下げられる)で起動すらしてもよく、第1及び第2の表面の換気は最小、すなわち(特にファンのような)第1及び第2の換気要素が提供できる最低流量あるいは第1の表面の換気についてゼロとなるべきである。この場合、第1及び/または第2の表面6,7上、及び/または分配チャンバー8内、及び/または板9内、及び/またはガス拡散層12内に置かれた(フィルム、ワイヤー、蛇行、あるいは他の形状の)発熱抵抗体は利用されることができ、燃料電池の温度上昇に関与する。低グレード出力とは、例えば、燃料電池の公称出力に対応する公称電圧に燃料電池が関連づけられており、この電圧を自発的に低下させることによって、燃料電池は「低グレード出力」モードにあると考えられる。(特に低グレード出力に対応するときの)燃料電池の出力の指標は、制御モジュール14に伝えられると、例えば第3のシナリオで第1及び/または第2の気流を最低にするために、後者に一つまたは複数の対応する設定値を生成させてもよい。この第3のシナリオでは、パルスモード、すなわち、燃料電池のコアの温度をできる限り早く上昇させる目的で気流のある期間と気流の無い期間とを切り替えるモードにおいて、燃料電池1の第2の表面7の換気が調節されてもよい。最後に、この第3のシナリオでは、燃料電池のコアが公称温度に達すると、換気(第1及び第2の気流)の条件及び燃料電池の出力は公称値に戻される。
【0052】
特定の実施例によると、上述した結果として、この方法は前記燃料電池が初めに公称出力より小さな低グレード出力を有する(例えば、公称動作の電圧よりも小さい低グレード電圧を供給することで、出力は小さくなると考えられる)ような、燃料電池の始動のステップE2を含み、前記始動のステップは燃料電池の出力を(例えば、低グレード電圧を公称動作の電圧まで上げることによって)燃料電池の公称出力まで、特に漸進的または段階的に上昇させるステップを含む。特に、出力を上昇させる過程において、セルのコアをこの公称動作温度に保つために、第1の気流F1は、燃料電池のコアがその公称動作温度に達するときに、第1の気流F1の流量が、公称動作温度に適合する流量と対応するように特に上昇する。
図3は、燃料電池の公称電圧が約13Vであるときの、10Vの電圧に対応する低グレード電圧で燃料電池が起動する始動を正確に示している。この電圧は、約13Vの公称モードの電圧に達するまで漸進的に上げられる。
図3において、点は、燃料電池によって生成された電力を時間の関数として表し、鋸波線は効果的に測定された燃料電池の出力電圧を表す。ここでは、寒冷環境での起動中の燃料電池の安定化は、3つのパラメータ、陽極側の換気、陰極側の換気、及び出力(または燃料電池の電圧)に起因する。これにより、燃料電池の発電機能をできる限り早く確保することが可能となる。
【0053】
上述のように、始動のステップの様々な実施を説明したが、本方法は、この始動のステップの後で作動ステップE1に切り替えることができる。
【0054】
特定の応用においては、負の温度での保存の際、この液体の水が凍結して燃料電池のコアの剥離(破壊)が起きるのを防ぐために、動作後に燃料電池のコアに液体の水が落ちないようにすることにも関心がもたれる。この点に関して、燃料電池の停止のためのプロトコルが使用されてもよい。この場合、燃料電池のコアに位置する水を蒸発させるために、第2の気流F2は最大である(第2の気流の流量が最大化されるように第2の換気要素が動作してもよい)べきであり、第1の気流F1は、セルのコアをできるだけ長い時間、温度を保つために(水の蒸発は温度上昇によって促進される)、ゼロか最小(すなわち、ファン―または、第1の換気要素13a―が供給できる最小の流量)であるべきである。この換気は、燃料電池の停止後、すなわち作動ステップE1の後に続けられてもよい。言い換えれば、本方法は、第2の気流F2が生成される間、燃料電池の停止のステップE3(
図2)を、例えばそれを最大化して燃料電池のコアを乾かすために備えてもよい。第2の気流F2の最大化とは、その流量が燃料電池のコアに位置する水の最適な蒸発を可能にすることを意味する。停止のステップE3の間、第1の気流F1はゼロまたは最小化されるべきである。停止のステップE3の間、上記の発熱抵抗体を作動させてもさせなくてもよい。
【0055】
上記の様々な従属された例は、燃料電池及びその包装に固有の特性に依存して適合され得る主な傾向を示す一般的なケースにすぎない。
【0056】
図4及び
図5に示される特定の一実施例によれば、デバイスは、生成された電気の使用目的に応じて二つの燃料電池を備えてもよい。このために、前記燃料電池1は第1の燃料電池を形成するとともに、デバイスは、
図1と同じタイプの第2の燃料電池を形成する追加の平面型燃料電池1aを備える。第2の燃料電池1aは、膜5aに設けられた陽極3a及び陰極4aを備えるセル2aを備えてもよく、好ましくは第2の燃料電池1aの前記膜5aが前記第2の燃料電池1aの全てのセル2aで共通であってもよいと理解される。そのうえ、前記第2の燃料電池1aは、第1の表面6aと、第1の表面6aと対向する第2の表面7aであって、前記第1の表面6aが前記第2の燃料電池1aの陽極3a側に配置され、かつ、前記第2の表面7aが前記第2の燃料電池1aの陰極4a側に配置される、前記第1の表面6aと、前記第2の表面7aと、を備えてもよい。第1及び第2のセルは好ましくは同じタイプ、すなわち、同一の構造及びパラメータであり、従って第1及び第2のセル1,1aは、特に同じ数のセルを備える。この特定の実施例は、体積あたりの電力密度を高めることを可能にし、好ましくは、同量の第1の気流及び第2の気流がそれぞれの燃料電池に見られる。この特定の実施例において、2つのケースを区別することが可能である。
【0057】
第1のケース(
図5)では、第1及び第2の燃料電池1,1aは、第1及び第2の燃料電池1,1aの間の第1の気流F1の循環チャンネル17の少なくとも一部を境界付けるために、第1の燃料電池1の第1の表面6が第2の燃料電池1aの第1の表面6aと対向するように配置される。第1のケースでは、第2の気流F2はシステム13によって生成され、第1の燃料電池1の第1の表面7に沿って循環するような向きに配置される。さらに、第1及び第2の燃料電池は類似/同一であって、第3の気流F3は、第2の気流F2と同じ特徴をもつようにシステム13によって生成され、この第3の気流F3は第2の燃料電池1aの第2の表面7aに向けられる。このため、第1の燃料電池1の第2の表面7に関する第2のファン13bの配置と同様に、第2の燃料電池1aの第2の表面7aに関して配置された第3のファン13cを利用することが可能になるであろうし、このケースにおいて第2及び第3のファンは制御モジュール14によって同じように制御されることになる:これは、同じ環境に置かれた2つの同一の燃料電池1,1aが同質の均一性を有することを可能にする。この第1のケース(
図5)は、特に第1のファン13aによって生成される、2つの隣接する燃料電池に共通の、同じ第1の気流F1を用いるという利点を有する。第2のケース(
図4)では、第2の燃料電池1aの第2の表面7aは、第1及び第2の燃料電池の間の第2の気流F2の循環チャンネル18の少なくとも一部を境界付けるように、第1の燃料電池1の第2の表面7と対向する。この第2のケースでは、第1の気流F1は、システム13によって生成され、第1の燃料電池1の第1の表面6に沿って循環するような向きに配置される。さらに、同タイプである第1及び第2の燃料電池1,1aは、第3の気流F3が第1の気流F1と同じ特徴を持つようにシステム13によって生成され、この第3の気流F3は第2の燃料電池1aの第1の表面6aに向けられる。このため、第1の燃料電池1の第1の表面6に関する第1のファン13aの配置と同じように、第2の燃料電池1aの第1の表面6aに関して配置された第3のファン13cを用いることができ、そしてこのケースでは、第1及び第3のファン13a,13cは、制御モジュール14によって同じように制御され、一方で第2の気流F2を生成するように設計された第2のファン13bは、制御モジュール14によって独立して制御されてもよい:これは、同じ環境に置かれた2つの同一の燃料電池の振る舞いの均質性をもつことを可能にする。この第2のケースは、2つの隣接した平面型燃料電池と共通の第2の気流F2を用いる利点を有する。そのうえ、燃料電池の機能は同一で、燃料電池の温度センサ及び燃料電池の湿度センサは、燃料電池の一つにのみ必要である。もちろん、デバイスは、積み重ねられた2つ以上の燃料電池を備えてもよいし、その場合において燃料電池は、積み重ねられた任意の燃料電池対のために、これらの対向面は対応する気流のための循環チャンネルを境界付ける。本段落において、第1、第2、及び第3のファンは、第1、第2、及び第3の換気要素として一般化してもよい。
【0058】
図6に示す特定の一実施例によると、本発明は、少なくとも一つの上述したデバイス101を備える飛行体100にも関する。飛行体100は、ドローン、または空気中を飛行することで動くようにされた任意のタイプの物体であってもよい。この場合、第1の気流F1と第2の気流F2を生成するために構成されたシステム13は、特に空気中の物体の動きまたは飛行体の推進システムによって、第1及び第2の気流F1,F2の少なくとも一つが飛行体の飛行中に生成されるようになっている。この場合、デバイスは、空気中の飛行体100の動きまたはその推進システムが、特にチャンネル102,103によって飛行体100内を導かれる気流を、燃料電池1の第1の表面6及び/または第2の表面7に達するよう形成するようにしてもよい。この点に関して、本方法は、第1の気流及び/または第2の気流を生成するステップが、特に後者が上述した飛行体によって運ばれるときの、空気中のデバイスの置換に起因するようにしてもよい。さらにこの場合、第1の換気要素及び/または第2の換気要素は、多かれ少なかれ、あるいは全く、適用できる限り、燃料電池の第1の表面または第2の表面の方向に空気を通過させないフラップや、ダイヤフラムを備えてもよい。
【0059】
図4に示すような、2つの平行な平面内に直列に配置された各3cm
2の10個のモノセル(mono-cells)―またはセル―の2つの燃料電池を、全重量が300gかつ全体積が350ccの動作する周辺機器(パージバルブ、エキスパンダー、センサ、ファン)と同様に備えるデバイスの実験解析をここで述べる。ここで、2つの燃料電池は、熱流を均質化するため、燃料分配チャンバー8と、セルコア(N個のコレクター、N個の電極、1つの電解質、1≦N≦10で、ここではN=10)、ガス拡散層及び金属グリルをそれぞれ備える。これらの2つの燃料電池は、-10℃、+5℃、+25℃、及び+44℃で、各陽極側に置かれた2つのファンと陰極側の2つの中央ファンとを備えた条件で試験された―各陽極側は2つのファンに関連づけられ、2つの燃料電池の間のチャンネルは2つのファンに関連づけられていることは、ここで理解されるであろう。温度センサは、燃料電池の温度測定を可能にするために、またこの測定された温度に基づいて第1、第2及び第3の気流を生成するファンの従属状態を確実にするために、2つの燃料電池の1つの第1の表面のレベルで燃料電池に配置された。解析において、燃料電池に印加される電圧は13ボルトであり、燃料電池の調節設定値は45℃であって、したがってファンは、燃料電池のコアのレベルにおいて、45℃のこの温度維持を確かにするために実行されるように制御された。やがて、燃料電池によって生成される利用可能な電力は、-10℃から45℃の範囲内で全体的に13Wから15Wの間にとどまることが観察された。試験プロトコルによれば、45℃において、セルコアが約54度の温度を有し、その温度では低い最適電力を生成するものの13.5Wであり、すなわち、なおも特に素子の電気的通電を供給するのに利用可能であることがまさしく示された。
【0060】
一般的に言えば、記載されたデバイスと同様に関連する方法は、一つまたは複数の平面型燃料電池の始動、動作、及び停止の段階、及びこれを、-40℃から+70℃、好ましくは-20℃から+45℃で動作してもよい幅広い範囲の環境条件において、陽極側及び燃料電池の陰極側における2つの換気の利用、また必要であれば燃料電池の出力(または電圧)調整を介して確かにすることを可能にするということが、本明細書から分かるであろう。
【0061】
燃料電池の出力の調節は、燃料電池の始動のステップE2、または燃料電池の作動ステップE1、または燃料電池の停止のステップE3の間に実行されてもよい。例えば、公称モード(すなわち、ステップE1の間)において、(特にファンの大きさが小さすぎる場合に)第1の気流F1による熱排出不足を補償することが可能、すなわち、45℃での公称動作において、熱を少なく生成し陽極換気の付加を緩和するために、燃料電池の作動出力を増加させてもよい。他の実施例として、外部環境が非常に低い温度(-20℃未満の温度)において、第1の気流F1の換気がゼロで、かつ第2の気流F2の換気が最小であったとしても、公称モードにおけるデバイスは外部と過度の熱を交換し、燃料電池のコアの温度低下を引き起こすことができる。この場合、劣化した出力(または電圧低下)は、熱生成を促進して燃料電池のコアが再び温度上昇することを可能にするために用いられてもよい(この劣化した出力は、上述したように発熱抵抗体の利用と組み合わせられてもよい)。さらに、燃料電池は、一般的に負荷(モータなど)を供給し、この負荷は時間とともに変動する可能性があるため、燃料電池はその負荷によって要求される電力に出力を常に適合させる必要がある。要求される負荷が公称負荷よりも小さい場合、燃料電池は小さい電力を供給すべきである;この場合、燃料電池自体はその出力を増加させる。一方で、ピーク負荷が要求される(すなわち、要求される負荷が公称負荷よりも大きい)場合、燃料電池自体はその出力を低下させる。それゆえ、制御モジュール14は第1及び/または第2の気流に適合/調整するために燃料電池の出力の指標に関して知らせてもよいと理解することができる。代わりに、または組み合わせとして、制御モジュール14は、第1及び第2の換気要素の制御―または、さらに一般的に、独立した第1及び第2の換気要素の制御―との相乗効果で、決められた温度に燃料電池のコアを維持するために燃料電池の出力を調整してもよい。言い換えれば、制御モジュール14は、燃料電池の出力を修正するように構成されてもよい。さらに、本方法は燃料電池の出力を調節するステップを含んでもよく、このステップは可能であれば燃料電池の温度またはその他の任意の物理的特性―すなわち、このステップは、燃料電池のコアの温度を表す値を考慮に入れ、またはそれに依存する―及び、任意に第1の気流及び/または第2の気流の特性、特に燃料電池のコアの温度を安定化させる観点から考慮に入れる。
【0062】
上述したことから、本方法は、燃料電池1のコアの温度に(特に測定によって)定められた代表値に依存して燃料電池1の出力を調節するステップを備えてもよいことが理解されるであろう。燃料電池1のコアの温度について決定された代表値に依存して、燃料電池の出力の調節は適合できるように適合されると理解されるであろう。特に、この出力を調節するステップ(E2-1,E1-8,E3-1)は、始動のステップE2及び/または作動ステップE1及び/またはステップE3の間に実行されてもよい。実際にここでは、一つまたは複数の最適動作温度に相当する温度、または範囲においてセルのコアを維持しようと試みることになる。セルのコアの定められた温度についての代表値は、例えば燃料電池に接続された温度センサまたは抵抗体から得られる測定に基づいた計算によって実現されてもよい。燃料電池の出力を調整するこのステップは、第1及び第2の気流の特性を考慮に入れてもよい。特に、燃料電池の出力を調節するステップは、燃料電池及びそのコアの発熱を引き起こすために出力が自発的に低下されるように(例えば、燃料電池の電圧を低下させることによって)、あるいは燃料電池のコアの温度を下げるために出力が自発的に上昇されるようにしてもよい。
【0063】
従って、デバイスに関して、これは燃料電池1の出力に適合するように構成された要素19(
図1)を含むことができ、前記要素19は、燃料電池に適合される出力設定値を生成するように、燃料電池1のコアの温度の代表値の入力を受け取れる。
【0064】
要約すると、2つの換気(第1及び第2の気流)は、気流の温度、圧力及び湿度を測定するための少なくとも1つまたは複数のセンサに従属される。これらの様々なセンサは、そのように置き換えられたセンサによって測定されうる燃料電池もしくはモノセル/セルの内部抵抗、または分極抵抗、または合計抵抗の測定結果と組み合わされ(または置き換えられ)てもよいことを示す。特に、抵抗(内部/分極/合計)の測定は、セル(モノセルとしても知られる)に対して直接行われるため、追加されるセンサを追加する必要は無い。様々なセンサから得られる測定結果は、適応できる場合は、モノセルの水和もしくは乾燥状態の特性である可能性があり、1つまたは複数のこれらのパラメータのように陽極側及び陰極側の換気を従属することが可能である。
【0065】
本デバイス及び本方法は、単一の流体、空気を用いて燃料電池を冷却することができるという利点を有する。そのうえ、この流体は、特に上述の第1及び第2の換気要素によって実行される2つの独立した換気によって生成されうる第1及び第2の気流によって方向付けられる。これに関して、第1及び第2の表面として知られる、燃料電池の2つの表面は、それぞれ第1及び第2の気流と直接接触するという意味で、燃料電池の熱交換器を直接形成することができる。