(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】更生タイヤ及び更生タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20220826BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20220826BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20220826BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20220826BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220826BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20220826BHJP
B60C 11/02 20060101ALI20220826BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20220826BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/22
C08K5/09
C08K3/04
C08K3/36
C08J3/22 CEQ
B60C11/02 Z
C08L7/00
C08L9/06
(21)【出願番号】P 2017135130
(22)【出願日】2017-07-11
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2016149899
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 達
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-270266(JP,A)
【文献】国際公開第2016/104144(WO,A1)
【文献】特開2011-231251(JP,A)
【文献】特開2013-095901(JP,A)
【文献】特開2004-268578(JP,A)
【文献】特開2000-219778(JP,A)
【文献】特開2016-113045(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096235(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B60C 1/00-19/12
B29D 30/00-30/72
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であり、かつ、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)の値が、0.2%以下
のゴム組成物をケースゴムに用いた更生タイヤであって、
前記ゴム組成物のゴム成分は天然ゴム及び/又はスチレン-ブタジエン共重合体が50重量部以上含有され、
前記ゴム組成物は比表面積50m
2
/g以上の微粒径酸化亜鉛をゴム100重量部当たり0.5重量部以上8重量部以下含有され、
前記ゴム組成物はさらに脂肪酸及び脂肪酸亜鉛のいずれかを含有され、
前記酸化亜鉛、
前記脂肪酸及び
前記脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満
、である
ことを特徴とする更生タイヤ。
【請求項2】
前記脂肪酸と
前記脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分との合計重量部数/
前記酸化亜鉛の重量部数の比が0.15~1.5である、請求項
1に記載の更生タイヤ。
【請求項3】
前記脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分のうち、不飽和脂肪酸によるものの含有量が30%以上であることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の更生タイヤ。
【請求項4】
充填剤を含む、請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の更生タイヤ。
【請求項5】
重荷重用タイヤである請求項1~
4のうちいずれか1項に記載の更生タイヤ。
【請求項6】
台タイヤにクッションゴムを介して接着することによりトレッドを形成する工程を有する更生タイヤの製造方法であって、
酸化亜鉛、及び、脂肪酸か脂肪酸亜鉛のいずれかを含有され、前記酸化亜鉛、前記脂肪酸及び前記脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する台タイヤのみを用い、
前記ゴム組成物のゴム成分は天然ゴム及び/又はスチレン-ブタジエン共重合体を50重量部以上含有し、
前記ゴム組成物は比表面積50m
2
/g以上の微粒径酸化亜鉛をゴム100重量部当たり0.5重量部以上8重量部以下含有されたものであり、
前記ゴム組成物はASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であり、かつ、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)の値が、0.2%以下である
ことを特徴とする更生タイヤの製造方法。
【請求項7】
更生タイヤが有するケースゴムを構成するゴム組成物が、酸化亜鉛を含むウェットマスターバッチを混合することにより製造されたゴム組成物である請求項
6に記載の更生タイヤの製造方法。
【請求項8】
プレキュア方式もしくはリモールド方式で更生タイヤを製造する請求項
6又は
7に記載の更生タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いた更生タイヤ及びその更生タイヤの製造方法に関し、更に詳しくは、特定の凝集塊密度分布を有するゴム組成物及び前記ゴム組成物を用いたケースゴムを有する更生タイヤ及びその更生タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済性の観点のみならず、タイヤ製造における環境負荷低減の観点からも、更生タイヤの重要性が高まっている。
更生タイヤは、一次寿命が終了したタイヤのトレッド表面を決められた寸度に削ることにより製造した台タイヤに、新しいトレッドを再度固着、形成等することにより製造される。
空気入りタイヤにおいて更生タイヤを製造する場合、安全性を確保するためには、長期にわたって使用可能な耐久性の高い空気入りタイヤのケース部分が不可欠であり、その部材を形成するケースゴムに用いるゴム組成物には、高い耐亀裂進展性が求められる。
【0003】
更生タイヤの耐久性を高める方法として、種々のものが知られているが、例えば、ジエン系ゴム100重量部に対して、カーボンブラック20~100重量部と、変性液状ゴム5~20重量部とを配合してなる更生タイヤ用クッションゴム組成物を用いることにより、オクルードラバーと称されるカーボンブラック凝集体中に取り込まれたゴム成分を減らし、更生タイヤの耐久性を向上することが知られている。(特許文献1)
【0004】
しかし、特許文献1には、更生タイヤのゴム組成物中において凝集塊を減少させること、また、凝集塊自体が破壊核となり耐亀裂進展性を低下させることについては記載されず、更に、ケースゴムのゴム組成物の耐亀裂進展性を高めることによりタイヤの耐久性を高めることについても記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-84405号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、特定の組成及び凝集塊密度を有するタイヤ用ゴム組成物を用いたケースゴムを有する更生タイヤとすることにより、ゴムの亀裂を生じる原因となり得る凝集塊をケースゴムを構成するゴム組成物中十分に減少させ、その結果、耐亀裂進展性の高いゴム組成物をケースゴムに用いた更生タイヤ、特に、ケースゴムが、航空機用を含む重荷重用更生タイヤに好適なものである更生タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、タイヤにおいて亀裂が発生及び進展する傾向が増大する要因のうちの一つは、タイヤ用ゴム組成物における凝集塊の発生であることを見出した。より具体的には、本発明者は、凝集塊が破壊核となり、凝集塊を起点として亀裂が生じ、加硫後のゴム組成物の耐亀裂進展性が低下することを見出した。
更に、本発明者は、ゴム組成物の耐破壊性等の特性を改良するため、酸化亜鉛(亜鉛華)に加え、脂肪酸または脂肪酸亜鉛あるいはそれらの両方を、ゴム組成物に配合しつつ、脂肪酸亜鉛等の凝集塊を抑制することにより、前記ゴム組成物の耐亀裂進展性をも向上させることが可能であることをも見出した。
そこで、本発明者は、ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であり、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満の脂肪酸亜鉛を含有するゴム組成物を用いたケースゴムを有することを特徴とする更生タイヤとすることにより、上記目的のゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)~(13)に存する。
(1) ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であり、かつ、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)の値が、0.2%以下であり、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物。
(2) 微粒径酸化亜鉛を1重量部以上、10重量部以下含む、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 比表面積50m2/g以上の微粒径酸化亜鉛をゴム100重量部当たり0.5重量部以上8重量部以下含有する上記(1)又は(2)に記載のゴム組成物。
(4) ゴム組成物が脂肪酸亜鉛を含有し、脂肪酸と脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分との合計重量部数/酸化亜鉛の重量部数の比が0.15~1.5である、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のゴム組成物。
(5) 脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分のうち、不飽和脂肪酸によるものの含有量が30%以上であることを特徴とする、上記(1)~(4)のうちいずれか1つに記載のゴム組成物。
(6) 充填剤を含む、上記(1)~(5)のうちいずれか1つに記載のゴム組成物。
(7) 充填剤としてカーボンブラックとシリカの両方を含み、充填剤の合計量に対するシリカの量が0%以上、30%以下である、上記(1)~(6)のうちいずれか1つに記載のゴム組成物。
(8) 上記(1)~(7)のうちいずれか1つに記載のゴム組成物を用いた更生タイヤ。
(9) 重荷重用タイヤである上記(8)に記載の更生タイヤ。
(10) 酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する台タイヤのみを選択的に用い、前記ケースゴムのゴム組成物中、ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する更生タイヤを製造することを特徴とする更生タイヤの製造方法。
(11) 更生タイヤが有するケースゴムを構成するゴム組成物が、酸化亜鉛を含むウェットマスターバッチを混合することにより製造されたゴム組成物である上記(10)に記載の更生タイヤの製造方法。
(12) 台タイヤを、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する使用済みタイヤを選択的に用いて製造する、上記(10)又は(11)に記載の更生タイヤの製造方法。
(13) プレキュア方式もしくはリモールド方式で更生タイヤを製造する上記(10)~(12)のいずれか1つに記載の更生タイヤの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐破壊性等の特性が良好であり、耐亀裂進展性の高いゴム組成物、および前記ゴム組成物を用いた更生タイヤ及びその製造方法が提供される。
本発明の耐亀裂進展性を高めた更生タイヤ及びその製造方法により、安全性の向上、省資源による環境負荷の低減及び経済性の向上を図ることができる。
本発明の更生タイヤは、脂肪酸亜鉛を含有することにより、耐破壊性等の特性の向上がなされていることに加え、更に耐亀裂進展性が高まることにより、本発明の更生タイヤ使用時の耐久性及び安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であり、かつ、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)の値が、0.2%以下であり、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であることを特徴とするゴム組成物である。
本発明の実施形態に係る更生タイヤは、前記ゴム組成物を用いたことを特徴とする更生タイヤである。
また、本発明の実施形態に係る更生タイヤの製造方法は、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する台タイヤのみを選択的に用い、前記ケースゴムのゴム組成物中、ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する更生タイヤを製造することを特徴とする更生タイヤの製造方法である。
本発明の実施形態に係るゴム組成物、前記ゴム組成物を用いた更生タイヤが高い耐亀裂進展性を有する理由としては、次のものが推察される。すなわち、脂肪酸、酸化亜鉛及び脂肪酸亜鉛を含有するゴム組成物には、比較的大きい粒径29μm以上の脂肪酸亜鉛凝集塊が発生し得る。前記ゴム組成物中、凝集塊の発生を防ぎ、破壊核を十分に減少させたものとすることにより、耐亀裂進展性が顕著に向上するのである。
また、脂肪酸、酸化亜鉛及び脂肪酸亜鉛を含有するゴム組成物は、耐破壊性等の特性が良好であり、本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物は、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であることで、良好な耐破壊性等の特性を有し得る。
前記更生タイヤの製造方法とすることで、上述のとおりの更生タイヤが高い耐亀裂進展性を有する理由により、良好な耐破壊性等の特性を有する更生タイヤを製造することができる。
【0011】
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物中に存在するゴム成分としては、空気入りタイヤ等のタイヤ用のものであれば特に限定されず、主鎖に二重結合があるもの(ジエン系ゴム)であれば、例えば、天然ゴム及び/又はジエン合成系ゴムが挙げられる。前記ゴム成分は、新品タイヤ製造時に必要に応じ加硫され、硫黄架橋などがなされている。
前記ゴム成分は、具体的には、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム等の少なくとも1種から製造されたゴム成分であり得る。
破壊強力の点から、前記ゴム成分100重量部中に、適宜加硫された天然ゴム及び/又はスチレン-ブタジエン共重合体(SBR)が50重量部以上含有されることが好ましく、80重量部以上含有されることがより好ましい。
【0012】
〔凝集塊〕
本発明において、凝集塊とは、脂肪酸亜鉛凝集塊の他、カーボンブラック、シリカ等のフィラー、加硫剤、加硫促進剤等の他の添加剤が1種又は2種以上で凝集したものを含み、ゴム組成物中に、3μm以上の粒子径で存在する凝集塊を意味する。
【0013】
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物に含有される脂肪酸亜鉛は、新品タイヤ製造時に脂肪酸亜鉛として加えられたものであっても、酸化亜鉛等の亜鉛塩又は亜鉛化合物が脂肪酸と反応して脂肪酸亜鉛となったものでもよい。
【0014】
〔酸化亜鉛〕
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物は、酸化亜鉛(亜鉛華)を含有してもよい。
酸化亜鉛の分散性の観点から、本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物は、新品タイヤ製造時の製造工程において、酸化亜鉛を含むマスターバッチとして加えられたものであっても良い。
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物に含有される酸化亜鉛(亜鉛華)は、加硫促進助剤として用いられたものであってもよい。
この酸化亜鉛が用いられた組成では、加硫促進の点から少なくともゴム成分100重量部に対して、酸化亜鉛を0.5~10重量部、好ましくは、1~8重量部更に好ましくは1.5~6重量部含有していることが望ましい。
前記ゴム組成物に含有される酸化亜鉛は、微粒径酸化亜鉛が好ましい。前記微粒径酸化亜鉛の比表面積は、2m2/g以上であり、好ましくは10m2/g以上、より好ましくは、40m2/g以上、更に好ましくは50m2/g以上、より更に好ましくは、60m2/g以上である。また、前記酸化亜鉛の比表面積は、好ましくは、120m2/g以下である。
本発明の実施形態において、更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物は、比表面積50m2/g以上の微粒径酸化亜鉛をゴム100重量部当たり0.5重量部以上8重量部以下含有することが好ましく、2重量部以上8重量部以下含有することがより好ましい。
比表面積が大きく、微粒径の酸化亜鉛を用いることで、粒径の大きい凝集塊の発生を抑制することができる。
【0015】
〔脂肪酸〕
本発明の実施形態において、脂肪酸は、単体で加えられる他、脂肪酸亜鉛の脂肪酸成分として加えられる。
本明細書中、脂肪酸成分とは、単体として存在する脂肪酸だけでなく、解離した脂肪酸又は亜鉛等金属イオンの対イオンとして存在する脂肪酸部分を含む。
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物に含有される脂肪酸としては、前記ゴム組成物中に含まれる脂肪酸成分(脂肪酸亜鉛となっている脂肪酸も含む)の平均分子量が230以下となるもの、または、脂肪酸成分のうち不飽和脂肪酸によるもの含有量が30%以上となるものが挙げられる。
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物に含有される脂肪酸としては、本発明の効果を損なわないものであれば制限されないが、炭素数8以上の脂肪酸が好ましく、炭素数8~18の直鎖脂肪酸がより好ましい。また、前記脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であっても良く、不飽和脂肪酸である場合には、不飽和脂肪酸中の二重結合が1個または2個であるものが好ましい。
前記脂肪酸は、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸などの飽和脂肪酸や、オレイン酸、リノール酸、バクセン酸などの不飽和脂肪酸の少なくとも1種(各単独又はこれらの2種以上の混合物)が挙げられる。
【0016】
〔脂肪酸亜鉛〕
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物に含有される脂肪酸亜鉛としては、本発明の効果を損なわないものであれば制限されないが、炭素数8以上の脂肪酸を脂肪酸成分とするものが好ましく、炭素数8~18の直鎖脂肪酸を脂肪酸成分とするものがより好ましい。また、前記脂肪酸亜鉛における脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であっても良く、不飽和脂肪酸である場合には、不飽和脂肪酸中の二重結合が1個または2個であるものが好ましい。
前記脂肪酸亜鉛の脂肪酸成分となる脂肪酸として、具体的には、ミスチリン酸(平均分子量228.37)、オレイン酸(二重結合数1、平均分子量282.46)、カプリル酸(平均分子量144.21)、ペラルゴン酸(平均分子量158.23)、カプリン酸(平均分子量172.26)、ラウリン酸(平均分子量200.32)、リノール酸(二重結合数2、平均分子量280.45)、バクセン酸(二重結合数1、平均分子量282.46)等が挙げられる。
本発明において、本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴム中に含まれる脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分の平均分子量が230以下であるか又は脂肪酸亜鉛の脂肪酸成分のうち、不飽和脂肪酸によるものの含有量が30%以上であることが好ましいが、1)用いられている脂肪酸及び脂肪酸亜鉛中の脂肪酸成分の中で、飽和脂肪酸(及び飽和脂肪酸亜鉛)である場合は、飽和脂肪酸(脂肪酸亜鉛の形態で存在するものを含む)の平均分子量が230以下、例えばミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸等であること、2)不飽和脂肪酸(及び不飽和脂肪酸亜鉛)であることが好ましく、3)飽和脂肪酸(及び飽和脂肪酸亜鉛)と不飽和脂肪酸(及び不飽和脂肪酸亜鉛)を併存する場合には、分子量230以下の飽和脂肪酸と、不飽和結合含有の脂肪酸の合計が30%以上となることが好ましい。
【0017】
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物において、脂肪酸、酸化亜鉛及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であることが好ましく、より好ましくは4重量部以上13重量部未満であり、更に好ましくは7重量部以上13重量部未満である。
前記ゴム組成物において、この脂肪酸、酸化亜鉛及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が13重量部以上の含有量では、耐亀裂進展性、耐破壊性等の特性の向上が見られないものとなり、好ましくない。
【0018】
前記ゴム組成物において、上記ゴム成分、酸化亜鉛、脂肪酸及び/又は脂肪酸亜鉛の他に、タイヤトレッド用などのゴム組成物で通常使用される充填材が含有されていてもよく、例えば、カーボンブラック、シリカ等ケイ酸化合物系フィラー等の無機充填材を含有することができる。
【0019】
〔充填剤〕
〔カーボンブラック〕
含有されるカーボンブラックとしては、特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものが選択して用いられていてもよい。カーボンブラックとしては、例えば、GPF(N660)、FEF(N550)、SRF(N774)、HAF(N330)、ISAF(N220)、ISAF-HS(N234)、SAF(N110)等が挙げられる。好ましくは、窒素吸着比表面積(N2SA)が30~150m2/g、かつジブチルフタレート(DBP)吸油量が60~140cm3/100gのカーボンブラック(例えば、N234、N110、N220、N550、N326、N330)である。さらにより好ましくは、N550、N326、N330である。これらのカーボンブラックが用いられていることにより、諸物性の改良効果は大きくなる。
これらのカーボンブラックの含有量は、発熱性、耐亀裂進展性の点から、ゴム成分100重量部に対して、20~60重量部含有せしめることが望ましい。
【0020】
〔シリカ及びシランカップリング剤〕
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物が含有することができるシリカ等ケイ酸化合物系フィラーにおいても特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性が優れる湿式シリカが好ましい。また、上記カーボンブラックと併用されたものであってもよい。シリカは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積が好ましくは50m2/g以上、更に好ましくは90m2g以上であり、また、好ましくは350m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下である。
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物が含有することができるシリカの量は、ゴム100重量部当たり0重量部であっても良く、また、ゴム100重量部当たり0重量部より多くても良く、例えば、5重量部以上であっても良い。前記シリカの量は、ゴム100重量部当たり30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは20重量部以下であり、さらに好ましくは15重量部以下である。
充填剤の合計量に対するシリカの量は、特に制限はないが、好ましくは、10%以上、より好ましくは15%以上である。また、前記シリカの量は、好ましくは、30%以下、より好ましくは、25%以下である。
【0021】
充填材としてシリカが用いられた場合は、シランカップリング剤が用いられたものであってもよい。このシランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来ゴム組成物に使用されている公知のもの、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどで有り得る。所望により用いられるシランカップリング剤の含有量は、シリカに対して、通常1~20質量%の範囲で選定される。シランカップリング剤の量を上記範囲にすることによってカップリング剤としての効果が充分に発揮され、ゴム成分のゲル化を引き起こすことがない。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい含有量は、シリカに対して5~15質量%の範囲である。
【0022】
ゴム成分として天然ゴムを用いた場合には、作業性、発熱性の点から、上記カーボンブラック及び/又は上記シリカと、天然ゴムとのマスターバッチ、好ましくは、カーボンブラックと天然ゴムとのマスターバッチから構成されたものが用いられていることが好ましい。
天然ゴムマスターバッチとしては、乾式マスターバッチ及びウェットマスターバッチのいずれを用いたものであってもよい。
ここで、乾式マスターバッチとは、天然ゴムと、カーボンブラックとをバンバリーミキサー、インターナルミキサー、ロール等の混練機にて混練してマスターバッチとするものである。
また、ウェットマスターバッチとは、天然ゴムラテックスと、カーボンブラックとを混合してマスターバッチとするものであり、カーボンブラックを予め水中に分散させたスラリー溶液とした後に混合したものであることが好ましい。カーボンブラックの分散性をよくするためには、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を用い、均一に混合したものであることが望ましい。
また、カーボンブラックの分散性を高めるためには、連続混練り機を用いてウェットマスターバッチを乾燥したものであることが好ましく、連続混練り機として2軸混練押出機を用いたものであることが更に好ましい。分散度をより向上させるためには、ウェットマスターバッチがより好ましい。
上記の天然ゴムカーボンブラックマスターバッチを用いたものであることにより、天然ゴムとジエン系などの合成ゴムとの併用の場合であっても、カーボンブラックが合成ゴムに偏在していることを防ぐことができるものとなる。
【0023】
更に、本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物には、上記ゴム成分、酸化亜鉛、脂肪酸及び/又は脂肪酸亜鉛、充填材、加硫剤となる硫黄の他、加硫促進剤(チアゾール系、スルフェンアミド系、ジチオ酸塩系)、老化防止剤、作業性改良剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を本発明の効果を損なわない範囲で用いられたものであってもよい。
【0024】
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物では、粒径29μm以上の脂肪酸亜鉛凝集塊密度が低いものとなり、ゴム強度の弱い部分及び破壊核が生じにくく、耐亀裂進展性を大幅に向上させることができる。
【0025】
本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物は、上記ゴム成分、酸化亜鉛、上記特性の脂肪酸及び/又は脂肪酸亜鉛、充填材、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を混練り、熱入れ、押出等することにより製造されたものであってよい。
【0026】
〔ケースゴム〕
本明細書中、ケースゴムとは、空気入りタイヤのサイドウォール部と、リムホイルに当接するビード部等、タイヤ内部のカーカス層等を保護する部分を構用いたるゴム部材をいう。
【0027】
〔更生タイヤ〕
本発明の実施形態に係る更生タイヤは、ASTM D7723に準拠した、ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、粒径29μm以上のWhite area積算値が、粒径3~57μmのWhite area積算値の15%以下、より好ましくは12%以下、更に好ましくは10%以下であり、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有することを特徴とする更生タイヤである。
また、本発明の実施形態に係る更生タイヤは、上記ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)の値が、0.2%以下である、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.165%以下である。
本発明の実施形態に係る更生タイヤは、例えば、トレッド部と、クラウン部と、タイヤ側面を構成するサイドウォール部と、リムホイルに当接するビード部とを有する。また、本発明の実施形態に係る更生タイヤは、例えば、ビードコアと、カーカス層とを有する。カーカス層のタイヤ径方向内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナーが設けられている。
本発明の実施形態に係る更生タイヤは、台タイヤから、例えば、プレキュア方式、リ・モールド方式等の方法で製造される。
【0028】
〔更生タイヤの製造方法〕
本発明の実施形態に係る更生タイヤは、例えばプレキュア方式である次の方法により製造される。
本発明は、脂肪酸又は脂肪酸亜鉛の凝集塊が溶解して凝集することを抑制すること、破壊核の増加を抑えるものであり、プレキュア方式、リモールド方式の更生タイヤ製造方式に関わらず、効果を発揮する。
本発明の実施形態に係る更生タイヤの製造方法は、例えば、台タイヤを製造する工程と、台タイヤにあらかじめ加硫したトレッドパターンを固着して形成し、クッションゴムを介して接着すること等によりトレッドを形成する工程とを有する。
本発明の実施形態に係る更生タイヤを製造するために、脂肪酸、酸化亜鉛及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する台タイヤのみを選択的に用いて製造しても良い。
本発明の実施形態に係る更生タイヤの酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量を上記のものとすることにより、更生タイヤの耐破壊性等の特性を向上させるとともに、本発明の実施形態に係る更生タイヤのケースゴムの成分を上記値に近いものとすることができ、効率的に本発明の実施形態に係る更生タイヤを製造することができる。
更生タイヤが有するケースゴムを構成するゴム組成物を、酸化亜鉛を含むウェットマスターバッチを混合することにより製造されたゴム組成物としてもよい。このことにより、酸化亜鉛の分散性が高まり、酸化亜鉛の凝集を抑制することができる。
台タイヤを、酸化亜鉛、脂肪酸及び脂肪酸亜鉛の合計含有量が、ゴム100重量部当たり2重量部以上13重量部未満であるゴム組成物を用いたケースゴムを有する使用済みタイヤを選択的に用いて製造してもよい。本発明の実施形態に係る更生タイヤを製造することに適した使用済みタイヤのみを選択的に用いることにより、本発明の実施形態に係る更生タイヤの製造を効率的に行うことができる。
【0029】
回収した使用済みタイヤを更生可能か否か検査する工程と、使用済みタイヤからトレッド部を削り取る工程などが実行される。使用済みタイヤからトレッド部が削り取られた台タイヤに、加硫されたトレッドを固着し、形成することにより更生タイヤを作製する。
【0030】
最終検査工程において、加硫後の更生タイヤの傷などの不良の有無、耐圧性などが検査される。最終検査工程において、一定基準を満たした更生タイヤが製品になる。
【0031】
本発明の実施形態に係る台タイヤは、本発明の実施形態に係る台タイヤのケースゴムを構成するゴム組成物が上記規定した成分となるようゴム組成物を配合して通常の方法によって製造されたものであってもよい。
本発明の実施形態に係る台タイヤ及び更生タイヤは、重荷重用でも、更に好ましい適用としては、航空機用又はOR(オフ・ザ・ロード)用として、クラウン部の厚みが25mm以上となるものが特に好適である。
【実施例】
【0032】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
また、脂肪酸亜鉛凝集塊の密度及び耐亀裂進展性は、次のように測定した。
<凝集塊密度の測定・積算方法>
加硫済みのゴム組成物を用い、ASTM D7723に準拠して凝集塊量、凝集塊粒径分布を評価した。
ディスパーグレーダーによるゴム組成物の断面の測定において、解像度以上の大きさの凝集塊が存在する部分は、凝集塊の大きさに応じた面積を有するWhite Areaとして観測される。単位面積中、White Areaの占める面積の百分率による割合を、White Area%とする。
ディスパーグレーダーの解像度は、3μmを選択した。
本明細書中、29μm以上の凝集塊の占める面積とは、(White Area%)×(粒径29μm以上のWhite area積算値)/(粒径3~57μmのWhite area積算値)をいう。
【0033】
<耐亀裂進展性の評価>
アメリカ合衆国のFAA(Federal Aviation Administration:連邦航空局)の“TSO(Technical Standard Order)”のTSO-c62eに規定の動力計(Dynamometer)試験実施後、タイヤを裁断し、ベルトコード間の亀裂程度を確認した。
試験実施後のタイヤを60°刻みで裁断し、断面6か所のベルトコード間亀裂の合計数を指標化した(値が小さいほど良好である)。
【0034】
〔実施例3~8、参考例1,2,9~16及び比較例1~8〕
下記表1に示す組成及び凝集塊密度分布を有するゴム組成物、及び前記ゴム組成物を用いたケースゴムを有する更生タイヤを製造し、それを用いて耐亀裂進展性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3~8、参考例1,2,9~16及び比較例1~8は、カーボンブラックを含むゴム組成物である。
実施例3~8は、シリカを含まないゴム組成物である。
参考例12~16は、シリカを含むゴム組成物である。また、参考例16は、更にシランカップリング剤を含むゴム組成物である。
比較例1~7は、シリカを含まないゴム組成物であり、比較例8は、シリカを含むゴム組成物である。
【0035】
【0036】
*1:カーボンブラック:旭カーボン社製、HAF、N330
*2:シリカ1:東ソーシリカ社製、NIPSIL KQ
*3:シリカ2:SOLVAY社製、Zeosil Premium 200MP
*4:シリカ3:東ソーシリカ社製、NIPSIL AQ
*5:シリカ4:Evonik社製、Ultrasil 5500GR
*6:シランカップリング剤:信越化学工業社製、ビストリエトキシシリルプロピルポリスルフィド
*7:老化防止剤:大内新興化学工業社製、ノクラック6C
*8:加硫促進剤:大内新興化学工業社製、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーCZ)
【0037】
耐亀裂進展性は、比較例6を100として指標化した。
表1に示す通り、本発明の実施形態に係る更生タイヤを成すケースゴムの組成及び物性範囲内である実施例3~8のケースゴムは、本発明の実施形態に係る更生タイヤを成すケースゴムの組成及び物性範囲外となる比較例1~8のケースゴムと比較して耐亀裂進展性が良好である。
実施例3~8及び比較例1~8の結果より、本発明の実施形態に係るゴム組成物の耐亀裂進展性が向上していることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明では、耐亀裂進展性を有する更生タイヤ及びその製造方法が得られるので、特に航空機、トラック、バス、建設車両等の重荷重用空気入りタイヤにおける更生タイヤ及びその製造に好適に適用することができる。