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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/70 20150101AFI20220826BHJP
   E06B 7/02 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
E05F15/70
E06B7/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018003849
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019124013
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 純
(72)【発明者】
【氏名】藤原 敬明
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-048631(JP,A)
【文献】特開2006-097237(JP,A)
【文献】特開2006-163636(JP,A)
【文献】特開2013-185768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0340959(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012003313(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 7/00 - 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアであって、
センサ部と、空気状態履歴データベースと、コントローラと、を備え、
前記センサ部は、1つ以上の屋内空気の特性を検知するセンサを含み、
前記空気状態履歴データベースは、過去の空気の状態と前記自動ドアの開閉パラメータとの関係の履歴を蓄積し、
前記コントローラは、前記センサ部の各センサが検知した屋内空気の特性値と、前記空気状態履歴データベースのデータと、に基づいて屋内空気の状態の悪化を予測する空気状態予測部と、
前記空気状態予測部が予測した屋内空気の状態が所定の条件を満たす場合、次回以降の前記自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものにして前記自動ドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、を含む
ことを特徴とする自動ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の換気を行うことを目的に、自動ドアの開閉時に、ドアを所定の半閉位置で停止させる技術が知られている。例えば特許文献1には、自動ドアの開モードと閉モードとが切り替えられたときに、ドアが完全閉または完全開より手前の所定位置で停止するようドアのモータを制御する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-13907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有害なガスの発生などにより屋内の空気状態が悪化したとき、これを抑制できることが望ましい。しかしながら特許文献1に記載の自動ドア制御では、ドアの開モードと閉モードとの切り替え時にドアを部分的に開いた状態にすることはできるが、屋内環境の状態悪化を検知してこれを抑制するような開閉制御はできない。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、屋内の空気状態の悪化を検知してこれを抑制することのできる自動ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドアは、センサ部と、コントローラとを備える。センサ部は、1つ以上の屋内空気の特性を検知するセンサを含む。コントローラは、センサ部の各センサが検知した屋内空気の特性値に基づいて屋内空気の状態を推定する空気状態推定部と、空気状態推定部が推定した屋内空気の状態が所定の条件を満たす場合、自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものにして自動ドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、を含む。
【0007】
この態様によると、屋内空気の状態が悪化して所定の条件を満たした場合に、自動ドアが換気を優先するモードで動作することにより、空気状態の悪化を抑制することができる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、自動ドアである。この自動ドアは、センサ部と、空気状態履歴データベースと、コントローラとを備える。センサ部は、1つ以上の屋内空気の特性を検知するセンサを含む。空気状態履歴データベースは、過去の空気の状態と自動ドアの開閉パラメータとの関係の履歴を蓄積する。コントローラは、センサ部の各センサが検知した屋内空気の特性値と空気状態履歴データベースのデータとに基づいて屋内空気の状態の悪化を予測する空気状態予測部と、空気状態予測部が予測した屋内空気の状態が所定の条件を満たす場合、次回以降の自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものにして自動ドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、を含む。
【0009】
この態様によると、屋内空気の状態が将来悪化して所定の条件を満たすと予測された場合に、次回以降自動ドアが換気を優先するモードで動作することにより、空調効率を大きく下げることなく、空気状態の悪化を抑制することができる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、屋内の空気状態の悪化を抑制可能な自動ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1および第2実施形態に係る自動ドアを概略的に示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る自動ドアの構成の一例を示すブロック図である。
図3】第2実施形態に係る自動ドアの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態を基に各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は自動ドアである。一例として、この自動ドアは、建物の出入口等、屋内と屋外とを隔てる場所に好適に設けられる。以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア100について説明する。図1は、第1実施形態に係る自動ドア100を概略的に示す正面図である。自動ドア100は、ドア30を可動方向Xに開閉動作させる可動装置である。
【0015】
自動ドア100は、モータ10と、コントローラ12と、センサ部14と、ベルト20と、を主に含む。モータ10は駆動プーリ10pを回転駆動する。コントローラ12は、人などの通行体を検出してモータ10を制御してドア30を開閉する。ベルト20は、駆動プーリ10pと従動プーリ10fの外周に掛け回され、駆動プーリ10pの回転に伴って従動プーリ10fを回転させる。モータ10により駆動プーリ10pを回転させ、ベルト20を駆動すると、ベルト20に懸架されたドア30が移動して開閉動作を行う。
【0016】
図2は、自動ドア100の構成の一例を示すブロック図である。センサ部14は、1つ以上の屋内空気の特性を検知するセンサを含む。図2の例では、センサ部14は、一酸化炭素センサ42と、二酸化炭素センサ43と、微生物センサ44と、ホルムアルデヒドセンサ45と、VOCセンサ46と、粉塵センサ47と、臭気センサ48と、を含む。コントローラ12は、空気状態推定部50と、ドア開閉制御部52と、を含む。
【0017】
(センサ)
一酸化炭素センサ42は、屋内空気中の一酸化炭素を検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。二酸化炭素センサ43は、屋内空気中の二酸化炭素を検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。微生物センサ44は、屋内空気中の微生物を検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。微生物は、例えば浮遊菌であってよい。ホルムアルデヒドセンサ45は、屋内空気中のホルムアルデヒドを検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。VOCセンサ46は、屋内空気中のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)を検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。粉塵センサ47は、屋内空気中の粉塵を検知し、その濃度の値をコントローラ12に出力する。粉塵は、PM2.5や煙などを含んでよい。臭気センサ48は、屋内空気中の臭気を検知し、その強度の値をコントローラ12に出力する。
【0018】
(コントローラ)
次に、コントローラ12について説明する。図2に示すコントローラ12の各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。図2に示すように、コントローラ12は、空気状態推定部50と、ドア開閉制御部52と、を含む。
【0019】
(空気状態推定部)
空気状態推定部50は、センサ部14の各センサから入力された、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、微生物濃度、ホルムアルデヒト濃度、VOC濃度、粉塵濃度、臭気強度の何れか一つ以上の組合せに基づいて屋内空気の状態を推定する。以下、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、微生物濃度、ホルムアルデヒト濃度、VOC濃度、粉塵濃度、臭気強度を総称するときは、屋内空気の特性情報という。空気状態推定部50は屋内空気の特性情報のそれぞれについて、空気状態が悪化したことを判断する基準(以下、「空気状態基準」という)を予め記憶している。空気状態基準は、多数のサンプルに基づいて、屋内空気の特性情報と、人の健康状態や人が感じる不快さとの間の相関関係を収集し分析することによって構築することができる。このような空気状態基準の構築は、屋内空気の特定情報や、人の健康状態や人が感じる不快さに関する多数のサンプル(ビッグデータ)を基に、コンピュータによる機械学習を用いてなされてよい。この場合空気状態推定部50は、構築された空気状態基準を複数層のニューラルネットワークとして備えている。
【0020】
空気状態推定部50は、空気状態基準に基づいて屋内空気状態の悪化を判断する。一実施例では、センサ部14の各センサが検知した特性情報が1つでも空気状態基準を超えたとき、空気状態が悪化したと判断されてよい。この実施例は最も簡易なものであり、比較的小規模のシステムにより低コストで実現できるという効果を持つ。
【0021】
別の実施例では、空気状態推定部50は、複数種類の空気状態基準の組み合わせに基づいて空気状態の悪化を判断してもよい。例えば空気状態推定部50は、ガスAの濃度が空気状態基準aを超え、かつガスBの濃度が空気状態基準bを超えた場合、空気が悪化したと判断する。この場合の空気状態基準は、前述の単一の空気状態基準に基づく場合より低く設定されてもよい。また、対象となる複数種類の特性情報が空気状態基準を超える時間的順序によって、異なる空気状態基準が適用されてもよい。例えば、最初にガスAの濃度が空気状態基準aを超え、次にガスBの濃度が空気状態基準bを超えたとき空気状態が悪化したと判断する一方、最初にガスBの濃度が空気状態基準b’を超え、次にガスAの濃度が空気状態基準a’を超えたとき空気状態が悪化したと判断するといった具合である。この実施例は、複数種類のガスが組み合わされると、人体に及ぼす影響がより深刻になるような場合、特に有効である。
【0022】
複数種類の空気状態基準の組み合わせに基づいて空気状態の悪化を判断する場合、どの特性情報の空気状態基準を選択するか、選択した空気状態基準をどのように組み合わせるか、および各特性情報がどの順序で空気状態基準を超えたとき空気状態が悪化したと判断するか等の規定の構築は、機械学習を用いてなされてよい。
【0023】
空気状態推定部50は、屋内の空気状態が悪化したと判断すると、その結果をドア開閉制御部52に通知する。
【0024】
(ドア開閉制御部)
ドア開閉制御部52は、屋内の空気状態が悪化したことを空気状態推定部50から通知されると、自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものに変更する。換気を優先する開閉パラメータの例としては、ドアを開けるタイミングを早くする、開速度を早くする、閉速度を遅くする、開放時間を長くする、全閉位置を開放方向にずらすことにより全閉時に戸先に隙間を形成する、などがある。
【0025】
一実施例では、各特性情報の空気状態基準を複数個定義し、開閉パラメータを複数の空気状態基準ごとに段階的に変更してもよい。この実施例は、自動ドアの開閉動作が急激に変化しないため、通行者が感じる違和感を低減できるという効果がある。
【0026】
[第2実施形態]
次に、図3を参照して本発明の第2実施形態に係る自動ドアを説明する。以下、第1実施形態と重複する説明を省き、相違する点について重点的に説明する。第1実施形態では、空気状態推定部が推定した現在の屋内空気の状態が空気状態基準を超えたとき、現在の自動ドアの開閉を制御する。これに対し第2実施形態では、過去の空気の状態と自動ドアの開閉パラメータとの関係に基づいて、将来の屋内空気の状態の悪化を予測し、次回以降の自動ドアの開閉を制御する。
【0027】
図3は、第2実施形態に係る自動ドア200の構成の一例を示すブロック図である。自動ドア200は、モータ10と、コントローラ12と、センサ部14と、空気状態履歴データベース16と、ドア30と、を主に含む。コントローラ12は、ドア開閉制御部52と、空気状態予測部60と、を含む。
【0028】
(空気状態履歴データベース)
空気状態履歴データベース16は、過去のある時点における屋内空気の特性情報と、そのとき設定された自動ドアの開閉パラメータとの関係を、履歴として蓄積する。
【0029】
(空気状態予測部)
第1実施形態と同様に、センサ部14の各センサは、屋内空気の各特性情報を検知し、その値をコントローラ12に出力する。空気状態予測部60は、空気状態履歴データベース16のデータに基づいて、センサ部14の各センサから入力された現在の屋内空気の特性情報から、将来の屋内空気の状態を予測する。予測は、例えば現在の屋内空気の状況や自動ドアの開閉パラメータから、「今から何分後に、どの特性情報が所定の空気状態基準を超える」といった形でなされる。この予測は、空気状態履歴データベースに蓄積されたデータを基に、機械学習を用いてなされてよい。
【0030】
空気状態予測部60は、屋内空気の状態が一定時間後に悪化することを予測すると、その結果をドア開閉制御部52に通知する。
【0031】
(ドア開閉制御部)
ドア開閉制御部52は、屋内空気の状態悪化の予想を空気状態推定部50から通知されると、次回以降の自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものに変更する。換気を優先する開閉パラメータの例としては、ドアを開けるタイミングを早くする、開速度を早くする、閉速度を遅くする、開放時間を長くする、全閉位置を開放方向にずらすことにより全閉時に戸先に隙間が形成する、などがある。
【0032】
一実施例では、次回以降の開閉パラメータの設定値や変更のタイミングは、屋内空気の状態の悪化の程度、空気状態の悪化が人体に及ぼす影響、悪化が予想される時刻などを基に決定されてよい。これにより、換気の程度が大きすぎたり、変更のタイミングが早すぎたりすることが回避され、空調効率が大きく低下させることなく、屋内空気の状態悪化を抑制することができる。的確な開閉パラメータの設定値や変更のタイミングは、人工知能を用いて決定されてよい。
【0033】
一実施例では、ドア開閉制御部52は、屋内空気の改善度合いに応じて、変更した開閉パラメータをさらに変更してもよい。さらなる開閉パラメータの変更例としては、ドアを開けるタイミングの変更、開速度の変更、閉速度の変更、開放時間の変更、全閉位置を開放方向にずらすことにより形成した全閉時の戸先に隙間の変更、などがある。これにより、屋内空気の換気をよりきめ細かく制御し、空調効率の向上と屋内空気の状態悪化のさらなる改善を実現することができる。的確なさらなる開閉パラメータの変更は、人工知能を用いて決定されてよい。
【0034】
(応用例1)
前述の実施形態では、センサ部に設置された各センサは、屋内空気の化学的組成などを屋内の代表的な場所で検知するものである。一応用例では、これらのセンサに加えて、窓際やドア際など結露が発生しやすい場所に温湿度計が設置されてもよい。温湿度計は、測定した温度と湿度の値をコントローラに出力する。コントローラの空気状態判断部は、温湿度計から入力された温度と湿度の値が所定の条件を満たすと屋内で結露が発生することを予測し、その結果をドア開閉装置に通知する。空気状態判断部は、屋内の結露発生の予測を空気状態推定部から通知されると、自動ドアの開閉パラメータを換気を優先するものに変更する。この応用例によれば、屋内の結露の発生を抑制することができる。結露の発生の予測は、人工知能を用いてなされてよい。
【0035】
(応用例2)
前述の実施形態では、センサ部は屋内に設置されている。一応用例では、これらの屋内のセンサ部に加えて、同様のセンサ部が屋外に設置されてもよい。屋外のセンサ部の各センサは、屋外空気の特性情報の値をコントローラに出力する。空気状態判断部は、屋内および屋外のセンサ部から入力されたそれぞれの特性情報を比較する。その結果、屋内空気の状態に比べて屋外空気の状態が悪かった場合は、空気状態判断部は、たとえ屋内空気の特性情報が空気状態基準を超えた場合であっても、自動ドアの開閉モードを換気を優先するものに変更することを禁止する。この応用例によれば、例えば花粉の飛散量が多いといったように屋外の空気状態が屋内より悪い場合、屋内環境がさらに悪化することを抑制することができる。屋内と屋外との間の空気状態の比較と、それに基づく開閉パラメータの変更の判断は、人工知能を用いてされてよい。
【0036】
(応用例3)
前述の実施形態における、屋内のセンサ部に加えて、カメラやマイクロホンなどの機器が屋外に設置されてもよい。これらの機器は、ゴミや害虫等の異物が屋外の空中等に存在した場合にこれを検知し、その結果をコントローラに出力する。空気状態判断部は、屋外の異物が所定の条件を満たし、これが自動ドアを通じて屋内に侵入することを予測すると、自動ドアの開閉モードを換気を優先するものに変更することを禁止する。この応用例によれば、風に飛ばされたゴミや飛来する害虫が、自動ドアを通じて屋内に侵入することを抑制することができる。カメラ映像に基づく異物侵入の予測は、人工知能を用いてなれてよい。
【0037】
(応用例4)
前述の実施形態における、屋内のセンサ部に加えて、害虫が発生する音を検知する機器(以下、「害虫音検知器」という)が屋内および/または屋外に設置されてもよい。害虫音検知器は、予め保存されている虫ごとの音の特徴から虫の種別を推定する。虫が発生する音の例としては、羽音、鳴き声、地を這う音などがある。また音の特性例としては、周波数、音色、強さ、強弱の変化などがある。害虫音検知器はさらに、虫が発する音の周波数変化から、ドップラー効果を考慮することにより、虫が移動する方向と速さを推定してもよい。害虫音検知器は、害虫が発生する音を検知して虫の存在を認識すると、その情報をドア開閉制御部に送信する。ドア制御部は、虫に関する情報を害虫音検知器から受信すると、虫ごとに定められたドアの開閉制御を行う。ドアの開閉制御の例としては、屋外に虫がいた場合、開放しているドアを閉鎖する、あるいはエアカーテンを作動させるといったことがある。また、屋内にいた虫が自動ドアの方に向かって移動しているとき、適切なタイミングで自動ドアを開放するといった制御がなされてもよい。本応用例によれば、屋外にいる害虫の屋内への侵入を阻止したり、屋内にいる害虫を屋外に追い出したりすることができる。虫が発生する音の特徴に基づく虫の判別は、人工知能を用いてされてよい。
【0038】
以上、本発明について、第1および第2実施形態を基に説明した。各実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。各実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。
【0039】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0040】
各実施形態では、センサ部14に含まれる各センサを例示により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。センサ部14には別の種類のセンサが含まれてもよい。自動ドアは、建物の出入口等、屋内と屋外とを隔てる場所に設置されるものを例示したが、これに代えて、例えばガレージの自動シャッターや、エレベータのドアであってもよい。これらの変形例によれば、構成の自由度を拡張することができる。
【符号の説明】
【0041】
10・・モータ、 12・・コントローラ、 14・・センサ部、 16・・空気状態履歴データベース、 30・・ドア、 42・・一酸化炭素センサ、 43・・二酸化炭素センサ、 44・・微生物センサ、 45・・ホルムアルデヒドセンサ、 46・・VOCセンサ、 47・・粉塵センサ、 48・・臭気センサ、 50・・空気状態推定部、 52・・ドア開閉制御部、 60・・空気状態予測部、 100、200・・自動ドア。
図1
図2
図3