(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220826BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220826BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220826BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220826BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220826BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220826BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20220826BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220826BHJP
F21V 3/08 20180101ALI20220826BHJP
【FI】
G09F9/00 336G
G02F1/13357
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 E
H05B33/12 B
H05B33/10
F21V9/30
F21V3/00 530
F21V3/08
(21)【出願番号】P 2018095131
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510134581
【氏名又は名称】群創光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Innolux Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 士展
(72)【発明者】
【氏名】葉 政▲うぇい▼
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0372637(US,A1)
【文献】特開2011-228262(JP,A)
【文献】特開2016-080802(JP,A)
【文献】特開2005-251649(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104848093(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0301407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288097(US,A1)
【文献】国際公開第2016/152321(WO,A1)
【文献】特開2008-117879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
23/00-37/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光スペクトルを有する表示装置であって、
前記発光スペクトルは、最高のグレーレベルの白画像で行なわれ、
前記発光スペクトルは、380nmから478nmまでの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmまでの範囲の第2サブ発光スペクトルとからなり、前記第1サブ発光スペクトルは、453nm以上の最大ピーク波長を有し、
380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した前記第1サブ発光スペクトルの積分値を第1積分として定義し、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した前記第2サブ発光スペクトルの積分値を第2積分として定義すると、
前記第2積分に対する前記第1積分の比
Kが、40%から65%までの範囲内であ
り、
前記比Kの計算式は
【数1】
で示され、λは波長、Φ(λ)は発光スペクトル、B(λ)は青色光ハザード重み付け関数、Y(λ)は視覚関数であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示装置は、バックライトユニットおよび表示パネルを備えたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、複数の無機発光素子を備えたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、複数の有機発光素子を備えたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記白画像が白色点を有し、CIE1931xy色度図における前記白色点のx値が、0.29から0.34までの範囲内にあり、CIE1931xy色度図における前記白色点のy値が、0.305から0.355までの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
400nmから500nmまでの前記発光スペクトルの積分値に対して、415nmから455nmまでの前記発光スペクトルの積分値の比が、50%未満であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1サブ発光スペクトルの最大ピーク波長は、478nm以下であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
青色光を発生させる青色発光素子と、前記青色光を黄色光に変換する光変換層とを含み、前記青色光と前記黄色光が白色光に混合されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1サブ発光スペクトルは、最大ピーク波長における最大ピークをさらに備え、前記最大ピークの強度に対する480nmから580nmまでの前記発光スペクトルのピークの強度の比は、40%から60%までの範囲内であることを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示装置は、青色光を発生させる青色発光素子と、前記青色発光素子に配置される光変換層とを備え、
前記光変換層は、それぞれ前記青色光を赤色光に変換するためと、前記青色光を緑色光に変換するための2つの光変換材料を備え、
前記青色光、前記赤色光、および前記緑色光が、白色光に混合されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
第1サブ発光スペクトルは、最大ピーク波長における最大ピークをさらに備え、前記最大ピークの強度に対する480nmから580nmまでの前記発光スペクトルのピークの強度の比は、45%から70%までの範囲内であることを特徴とする請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示装置は、透過スペクトルを有する青色カラーフィルタを備え、前記透過スペクトルは、453nm以上の別な最大ピーク波長を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項13】
前記表示装置は、別な発光スペクトルを有する青色発光素子を備え、前記別な発光スペクトルは、453nm以上478nm以下の別な最大ピーク波長を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項14】
バックライトユニットを提供するステップと、
前記バックライトユニットに対応して配置された表示パネルを提供するステップと、を備えた表示装置の製造方法であって、
前記表示装置により、最高のグレーレベルの白画像で発光スペクトルが実行され、
前記発光スペクトルは、380nmから478nmまでの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmまでの範囲の第2サブ発光スペクトルとからなり、前記第1サブ発光スペクトルは、453nm以上の最大ピーク波長を有し、
380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した前記第1サブ発光スペクトルの積分値を第1積分として定義し、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した前記第2サブ発光スペクトルの積分値を第2積分として定義すると、
前記第2積分に対する前記第1積分の比
Kが、40%から65%までの範囲内であ
り、
前記比Kの計算式は
【数2】
で示され、λは波長、Φ(λ)は発光スペクトル、B(λ)は青色光ハザード重み付け関数、Y(λ)は視覚関数であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記表示パネルは、カラーフィルタ層を備え、
前記バックライトユニットは、青色光を発生させる少なくとも一つの青色発光素子と、前記青色発光素子を覆う光変換層とを備え、
前記光変換層から入力光が放射されると、前記カラーフィルタ層は、前記入力光を前記発光スペクトルを有する出力光に変換することを特徴とする請求項14記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記光変換層は、前記青色光を黄色光に変換する光変換材料を備えたことを特徴とする請求項
15記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記光変換層は、それぞれ前記青色光を赤色光に変換するためと、前記青色光を緑色光に変換するための2つの光変換材料を備えたことを特徴とする請求項
15記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記表示パネルは、カラーフィルタ層を備え、
前記カラーフィルタ層は、透過スペクトルを有する青色カラーフィルタを備え、前記透過スペクトルは、453nmよりも大きい別な最大ピーク波長を有することを特徴とする請求項14記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
ベースを提供するステップと、
前記ベース上に複数の発光素子を形成するステップと、を備えた表示装置の製造方法であって、
前記表示装置により、最高のグレーレベルの白画像で発光スペクトルが実行され、
前記発光スペクトルは、380nmから478nmまでの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmまでの範囲の第2サブ発光スペクトルとからなり、前記第1サブ発光スペクトルは、453nm以上の最大ピーク波長を有し、
380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した前記第1サブ発光スペクトルの積分値を第1積分として定義し、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した前記第2サブ発光スペクトルの積分値を第2積分として定義すると、
前記第2積分に対する前記第1積分の比
Kが、40%から65%までの範囲内であ
り、
前記比Kの計算式は
【数3】
で示され、λは波長、Φ(λ)は発光スペクトル、B(λ)は青色光ハザード重み付け関数、Y(λ)は視覚関数であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記発光素子は、青色光を発生させる青色発光素子と、赤色光を発生させる赤色発光素子と、緑色光を発生させる緑色発光素子とを備え、前記青色光、前記赤色光、および緑色光は、前記発光スペクトルを有する出力光に混合されることを特徴とする請求項19記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその製造方法に関し、特に、青色光の危険からユーザの目を保護する表示装置と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、様々な種類のディジタル製品に広く使用されるが、人々が画面を見るのに費やす時間は長くなっている。したがって、特に、医師または放射線技師が画面上の放射線像を見る必要があるような、連続して頻繁に画面を見なければならない人にとって、ユーザの目に対する青色光の危険性を低減することは重要な研究課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0372637号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
青色光を遮断する従来の方法は、青色光の強度を抑制するために、青色光遮断フィルタを表示装置に取り付けることである。あるいは、青色光を遮断する別な従来の方法は、表示装置から発生される青色光の強度を、そこに埋め込まれたソフトウェアによって調整することである。これらの方法では、ユーザの目を保護できるが、表示装置の輝度を全体的に低下させるか、または表示された画像が黄色くなり、表示装置の表示品質を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、本開示によって表示装置が提供される。表示装置は、最高のグレーレベルの白画像に実行される発光スペクトルを有する。発光スペクトルは、380nmから478nmまでの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmまでの範囲の第2サブ発光スペクトルとを含み、第1サブ発光スペクトルは453nm以上の最大ピーク波長を有する。380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した第1サブ発光スペクトルの積分値は、第1積分として定義され、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した第2サブ発光スペクトルの積分値は、第2積分として定義される。第2積分に対する第1積分の比は、40%から65%までの範囲内にある。
【0006】
別の実施形態によれば、本開示によって表示装置の製造方法が提供される。まず、バックライトユニットが提供される。その後、バックライトユニット上に表示パネルが提供される。表示パネルは、カラーフィルタ層を含み、表示装置は、最高のグレーレベルの白画像で実行される発光スペクトルを有する。発光スペクトルは、380nmから478nmの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmの範囲の第2のサブ発光スペクトルとを含み、第1発光スペクトルは、453nm以上の最大ピーク波長を有する。380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した第1サブ発光スペクトルの積分値は第1積分として定義され、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した前記第2サブ発光スペクトルの積分を第2積分として定義される。第2積分に対する第1積分の比は、40%から65%までの範囲内にある。
【0007】
別の実施形態によれば、本開示によって表示装置の製造方法が提供される。まず、ベースが提供され、次に複数の発光素子がベース上に形成される。表示装置は、最高のグレーレベルの白画像で実行される発光スペクトルを有する。発光スペクトルは、380nmから478nmの範囲の第1サブ発光スペクトルと、479nmから780nmの範囲の第2のサブ発光スペクトルとを含み、第1発光スペクトルは、453nm以上の最大ピーク波長を有する。380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数を乗算した第1サブ発光スペクトルの積分値は第1積分として定義され、479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した前記第2サブ発光スペクトルの積分を第2積分として定義される。第2積分に対する第1積分の比は、40%から65%までの範囲内にある。
【0008】
本開示のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示されている実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者において確実に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態および比較形態のそれぞれに応じた各表示装置から発生される発光スペクトルと、青色光のハザード重み付け関数と、明所視感度関数とを示す概略図である。
【
図2】CIE1931色空間内における白色点と、本開示の白色点が位置する領域と、黒体曲線とを示すCIE1931xy色度図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に応じた表示装置の製造方法のフローチャートを、概略的に示したものである。
【
図4A】本開示の第1実施形態に応じた表示装置の断面図を、概略的に示したものである。
【
図4B】本開示の第1実施形態の別な変形例に応じた表示装置の断面図を、概略的に示したものである。
【
図5A】比較形態に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図である。
【
図5B】本開示の第1実施形態に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図である。
【
図5C】本開示の第1実施形態に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図である。
【
図6】本開示の第1実施形態の変形例に応じた表示装置の断面図を、概略的に示したものである。
【
図7】本開示の第1実施形態の別な変形例および別な比較形態に応じた出力光の発光スペクトルと、青色カラーフィルタの透過スペクトルとを示す概略図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に応じた表示装置の製造方法のフローチャートを、概略的に示したものである。
【
図9】本発明の第2実施形態に応じた表示装置の断面図を、概略的に示したものである。
【
図10】本開示の第2実施形態の変形例に応じた表示装置の断面図を、概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、以下に記載する図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することで理解されるであろう。例示的な明瞭さと読者が容易に理解されるのを目的として、本開示の様々な図面は表示装置の一部を示し、様々な図面における特定の要素は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。さらに、各装置の数や寸法、および図示された角度は、例示的なものに過ぎず、本開示の範囲を意図的に限定するものではない。
【0011】
特定の構成要素を指すために、一定の用語が、明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体を通して使用される。当業者に理解されるように、電子機器製造業者であれば、異なる名称で構成要素を示してもよい。本書では、名前は異なるものの機能は異っていない構成要素を、意図して区別しない。以下の説明および特許請求の範囲において、用語「含む(include)」および「備える、からなる(comprise)」はオープンエンド形式で使用され、したがって「含むが限定されない…」という意味で解釈されるべきである。
【0012】
ある要素または層が、別な要素または層に「配置される」または「接続される」と言及されているとき、それは別な要素または層に直接的に配置または接続できるか、或いは介在する要素または層が存在してもよい。これとは対照的に、ある要素が他の要素または層に「直接配置される」または「直接接続される」と言及されているとき、介在する要素または層は存在しない。
【0013】
本開示では、以下の説明に記載される種々の実施形態における種々の技術的特徴が、本開示の精神から逸脱することなく、別な実施形態を構築するために、互いに組み合わせ、交換、または混合され得る。
【0014】
本開示において、表示装置は、最高のグレーレベルの白画像で行われる発光スペクトルを有し、これは発光スペクトルの色が白であることを意味する。具体的には、本開示の発光スペクトルは、表示装置から放射される出力光のスペクトルであり、すべての実施形態において、出力光は表示装置から観察者(ユーザ)の目への最終の光学的結果として定義され、表示装置からの出力光に対して発光スペクトルの測定が行われる。また白画像は、表示装置により最高のグレーレベルに動作して発生される。例えば、8ビットのグレースケール色の場合、最高のグレーレベルは255となるが、それに限定されない。或いは、表示装置の対応する回路を、対応する駆動電圧で駆動することにより、最高グレーレベルでの動作を行なってもよい。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態および比較形態のそれぞれに応じた各表示装置から発生される発光スペクトルと、青色光のハザード重み付け関数と、明所視感度関数とを示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の発光スペクトルC1は、380nmから478nmまでの範囲の第1サブ発光スペクトルS1と、479nmから780nmまでの範囲の第2サブ発光スペクトルS2とを含む。第1サブ発光スペクトルS1は、453nm以上の最大ピーク波長L1を有する。例えば、第1サブ発光スペクトルS1は、青色光を形成する第1波部W1を有し、第1サブ発光スペクトルS1の第1波部W1は、最大強度を有する最大ピーク波長L1において最大ピークP1を有する。本開示の第1サブ発光スペクトルS1は、1つの波部を有することに限定されない。一実施形態では、第1サブ発光スペクトルS1の最大ピーク波長L1が、478nm以下であってもよい。
【0016】
さらに、第2サブスペクトルS2は、例えば、緑色光と赤色光をそれぞれ形成する第2波部W2および第3波部W3を有し、第2波部W2は、480nmから580nmまでの範囲の波長にピークP3を有することができ、第3波部W3は、580nmから780nmの範囲の波長にピークP3を有することができる。本開示の第2のサブスペクトルS2は、これに限定されない。注目すべきは、発光スペクトルC1の色は白であり、表示装置によって示される白画像は、CIE1931xy色度図の必要な白領域内に位置する白色点を有することができる、ということである。一実施形態では、CIE1931xy色度図における白色点のx値は0.29から0.34までの範囲にあり、CIE1931xy色度図における白色点のy値は0.305から0.355までの範囲にあり、それにより表示装置は最高のグレーレベルで動作されるとき、通常の白色点を有する白画像を表示できる。
【0017】
具体的には、
図2を参照する。
図2は、CIE1931色空間内における白色点、白色点の領域、および黒体曲線を示すCIE1931xy色度図である。領域TRは、本開示の通常の白色点がその中に位置することができる場所である。領域TRは、0.29および0.34のx値と、0.305および0.355のy値とにより定義され、形成することができる。したがって、本実施形態の発光スペクトルC1は、領域TR内の白色点の何れかを有するように設計され得る。例えば
図2に示すように、黒体曲線BB上に配置される白色点T1、T2、T3、T4は、それぞれ5000K、5500K、6500K、7000Kの色温度に対応することになる。領域TRの範囲内に白色点T2、T3、T4が配置され、領域TRの外側に白色点T1が配置されるので、白色点T2、T3、T4のいずれかを有し、それにより5500K、6500K、7000Kの何れかの色温度を有する発光スペクトルC1を設計できる。換言すれば、本開示の発光スペクトルC1によって形成される白色点の色温度は、5500Kから7000Kまでの範囲とすることができるが、これに限定されない。
【0018】
また、青色光の強度が低く調整され過ぎると、表示装置で示される画像は黄色くなりやすい。逆に、青色光の強度が高く調整され過ぎると、ユーザの目が傷つき易い。本開示は、こうしたジレンマのバランスをとるための評価方法を提供する。評価方法は、第1比率を提供することである。
図1に戻ると、具体的には、380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数B(λ)を乗算した第1発光スペクトルS1の積分値を、第1積分として定義する。第1積分は、第1サブ発光スペクトルS1と380nmから478nmまでの青色光ハザード重み付け関数B(λ)との内積の全体を積分して計算されることを意味する。青色光ハザード重み付け関数B(λ)は、
図1に示す通りである。479nmから780nmまでの視覚関数を乗算した第2サブ発光スペクトルS2の積分値を、第2積分として定義する。第2積分は、第2サブ発光スペクトルS2と479nmから780nmまでの視覚関数との内積の全体を積分して計算されることを意味する。視覚関数は、例えば明所視感度関数Y(λ)であり、
図1に示すように、明るい採光条件下での人間の視覚スペクトル感度を表す。第1比率は、第2積分に対する第1積分の比として定義される。第1比率の計算式を以下に示す。
【0019】
【0020】
上式において、Kは第1比率、λは波長、Φ(λ)は波長の関数である発光スペクトル、B(λ)はこれも波長の関数である青色光ハザード重み付け関数であり、Y(λ)はこれも波長の関数である明所視感度関数である。発光スペクトルC1、青色光ハザード重み付け関数B(λ)および明所光度関数Y(λ)がそれぞれ正規化されると、第1比率が計算されることに留意されたい。すなわち、発光スペクトルC1の最大強度をそれ自体で除算して、1となるように正規化し、青色光ハザード重み付け関数B(λ)の最大強度をそれ自体で除算して、1となるように正規化し、最大明視野光度関数Y(λ)の強度をそれ自体で除算して、1となるように正規化する。本開示では、第2積分に対する第1積分の第1比率が40%から65%までの範囲内にあるため、最高のグレーレベルで表示装置を動作することにより表示される黄色がかった画像が低減されると、ユーザの目に対する青色光の危険性は、できるだけ低くなり得る。したがって、青色光の危険性の低減と表示品位の向上とを両立して達成できる。
【0021】
具体的には、第1積分は、第1サブ発光スペクトルS1と380nmから478nmの青色光ハザード重み関数B(λ)との内積の全体を積分して算出されるため、第1積分は、ユーザの目に危険を及ぼす青色光の程度を表わすことになる。第2積分は、第2サブ発光スペクトルS2と479nmから780nmの視覚関数との内積の全体を積分して算出されるため、第2の積分は、ユーザの目が認識する黄色光の強さの程度を表わすことになる。第1比率を40%から65%の範囲内に設計することにより、青色光の危険度と黄色光の程度とのバランスをとることができるので、表示装置は、最高のグレーレベルで動作されるときに、通常の白色点を有する白画像を表示できるだけでなく、青色光の危険の強さを低減できる。例えば、ユーザである医師や放射線技師が表示装置に表示した放射線像(例えば、X線画像やMRI画像)を見ていると、表示される放射線像は、疑わしい場合の判断に影響を与える色ずれ(黄色み)がなく、しかも長時間の放射線像を見ながらの、医師や放射線技師の目に対する青色光の危険性を低減できる。また別な状況では、ユーザが表示装置上でウェブページを注視しているときに、ウェブページの殆どの領域が白色に設定され、本開示の表示装置は通常の白色点を有する白画像を表示できるので、ユーザはウェブページを見ている間に、そのウェブページがさほど黄色くなっていると感じることはない。
【0022】
いくつかの実施形態では、発光スペクトルC1は任意に、TUVの低青色光試験規格である青色光の危険を評価するための別の基準に適合してもよい。この基準は第2比率を提供し、第2比率は、400nmから500nmまでの発光スペクトルの積分値に対する415nmから455nmまでの発光スペクトルの積分値の比として定義され、50%未満に定義される。発光スペクトルC1はまた、第2比率の基準を満たし、それにより415nmから455nmまでの波長を有する光は、ユーザの目により大きな害を及ぼす一方で、青色光の危険性をさらに低減する。
【0023】
発光スペクトルC1と比較して、比較形態の発光スペクトルC2は、最大ピーク波長L2が453nm未満、例えば440nmに等しい最大ピークP4を有する。発光スペクトルC1の最大ピーク波長L1が453nmであり、比較形態の発光スペクトルC2の最大ピーク波長L2が、例えば440nmであることからすると、発光スペクトルC1と発光スペクトルC2が同じ色温度である5500Kを有し、青色LEDと黄色蛍光体との組み合わせで発生される場合、発光スペクトルC1の第1比率と第2比率は、それぞれ43.8%と49.5%になって、第1比率と第2比率の各基準に適合するものの、発光スペクトルC2の第1比率と第2比率は、それぞれ50.0%と76.8%になって、第1比率と第2比率の各基準を共に満足しない。具体的には、青色光ハザード重み付け関数B(λ)の最大ピーク波長が440nmであるので、440nmの最大ピーク波長を有する比較形態の発光スペクトルは、ユーザの目に対してより大きな害を及ぼすことになる。上述したように、発光スペクトルC1の最大ピーク波長L1が453nm以上、すなわち380nmから480nmまでの発光スペクトルC1のピークが、最大ピークP4から最大ピークP1にシフトするように設計されれば、発光スペクトルC1は、第1比率と第2比率の基準を共に満たすことができ、青色光の危険性を低減し、より良い表示品質を提供することが可能になる。青色光の危険性は、発光スペクトルの最大ピーク波長を440nm未満に設計することで低減できるが、440nm未満の最大ピーク波長を有する発光スペクトルは、さらにUV光の危険性の問題に直面する可能性がある。
【0024】
いくつかの実施形態では、発光スペクトルC1は、第1波部W1と第2波部W2との間に第1谷BC11を有することができる。最大ピーク波長L1は最大ピーク波長L2よりも大きく設計されるので、第1谷BC11は、発光スペクトルC2の対応する第2谷BC21よりも大きな強度を有することができるが、これに限定されない。例えば、最大ピークP1の強度に対する第1谷BC11の強度の比は、0.3未満であってもよいし、0以上であってもよい。別の実施形態では、RGBチップを使用した光源を例にとると、最大ピークP1の強度に対する第1谷BC11の強度の比は、0.1未満であってもよいし、0以上であってもよい。また、最大ピーク波長L1が大きくなるにつれて、第1谷BC11の波長を大きくしてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、発光スペクトルC2は、第4波部W4、第5波部W5および第6波部W6を有してもよく、第4波部W4は発光スペクトルC1の第1波部W1に対応していて、最大ピークP4を有し、第5波部W5は発光スペクトルC1の第2波部W2に対応し、第6波部W6は発光スペクトルC1の第3波部W3に対応する。第6波部W6は、第3波部W3とほぼ同じであってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。さらに、発光スペクトルC1は、第2波部W2と第3波部W3との間に第3谷BC12を有し、発光スペクトルC2は第4谷BC22を有し、第3谷BC12の強度は第4谷BC22の強度と同じであってもよいが、本開示はこれに限定されない。また、第5波部W5は波部W2の最大ピークP2とほぼ同じ最大ピークを有してもよいが、これに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態では、最大ピーク波長L1が453nm以上に設計されるので、最大ピーク波長L1におけるピークP1の強度に対して、480nmから580nmの範囲の波長におけるピークP2の強度の比は、第3比率として任意に40%から70%までの範囲内となるように定義され、これにより発光スペクトルC1は、依然として領域TR内に白色点を有することができる。第3比率は、様々な発光素子に基づいて異なることがあり、以下の実施形態で詳述する。
【0027】
続いて、第1比率と第2比率の基準を満たすように、発光スペクトルを調整または形成する方法を明確に示すために、表示装置の製造方法をさらに詳しく説明する。
図3および
図4Aを参照する。
図3は、本開示の第1実施形態に応じた表示装置の製造方法のフローチャートを概略的に示しており、
図4Aは、本開示の第1実施形態に応じた表示装置の断面図を概略的に示している。第1実施形態における表示装置の製造方法は、以下の各ステップを含んでいてもよい。本実施形態では、表示装置DD1は非自発光型の表示装置、例えば液晶表示装置であるが、これに限定されるものではない。
【0028】
バックライトユニットBUを提供するのに、ステップS10が最初に実行される。バックライトユニットBUは、青色光を発生する少なくとも1つの発光素子LEを含む。本実施形態では、バックライトユニットBUは、複数の発光素子LEと、発光素子LE上に配置された光変換層CLとを含むことができる。本実施形態の光変換層CLは、発光素子LEからの青色光を黄色光に変換するのに発光素子LEを覆っているので、光変換層CLを透過した青色光と黄色光は、バックライトユニットBUから放射される入力光ILに混合され得るが、これに限定されない。一実施形態において、光変換層CLは、青色光を黄色光に変換するための光変換材料M0を含んでもよく、それにより青色光と黄色光は入力光ILに混合され、入力光は白色光となり得る。CIE1931xy色度図における入力光ILの白色点のx値およびy値は、表示装置DD1から測定された出力光OLの白色点のx値およびy値と異なっていても、または同じであってもよい。入力光ILのx値は、出力光OLのx値よりも小さくてもよく、入力光ILのx値と出力光OLのx値との差は、0.020以下であってもよい。別の実施形態において、入力光ILのx値と出力光OLのx値との間の差は、0.010以下であってもよい。入力光ILのy値は、出力光OLのy値より小さくてもよく、入力光ILのy値と出力光OLのy値との差は、0.020以下であってもよい。
【0029】
例えば、光変換材料M0は、量子ドット材料、蛍光材料、カラーフィルタ材料、または色素材を含むことができるが、これに限定されない。別の実施形態では、光変換層CLは、発光素子を直接覆って接触してもよい。別の実施形態では、各発光素子LEに光変換層CLを含めることができる。別の実施形態では、バックライトユニットBUは光変換層CLを含まなくてもよい。
【0030】
ステップS10の後に、表示パネルDPをバックライトユニットBU上に提供して、本実施形態の表示装置DD1を形成するステップS12を行なう。表示パネルDPは、入力光ILを第1比率の基準に適合した上記発光スペクトルC1の出力光OLに変換するためのカラーフィルタ層CFを含む。この実施形態において、発光スペクトルC1はさらに、第2比率の基準に適合し得るが、これに限定されない。また表示パネルDPは、ボトムベースBS1と、トップベースBS2と、液晶層LCと、回路層TFTとをさらに含んでもよく、ボトムベースBS1とトップベースBS2との間に液晶層LCが配置され、ボトムベースBS1と液晶層LCとの間に回路層TFTが配置され、液晶層LCとトップベースBS2との間にカラーフィルタ層CFが配置され得る。ボトムベースBS1およびトップベースBS2は、硬質基板またはフレキシブル基板であってもよい。例えば、表示装置DD1が液晶表示装置の場合に、ボトムベースBS1およびトップベースBS2の材料は、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または他の適切な材料からなり得るが、本開示はそれに限定されない。例えばカラーフィルタ層CFは、赤色サブ画素SPX1に対応する赤色フィルタRCF、緑色サブ画素SPX2に対応する緑色フィルタGCF、および青色サブ画素SPX3に対応する青色フィルタBCFを含んでもよく、赤色サブ画素SPX1、緑色サブ画素SPX2および青色サブ画素SPX3は、白色の出力光OLを生成するための画素を形成し得るが、本開示におけるサブ画素の形成は、これに限定されない。当業者であれば、表示パネルDPは、偏光子、配向層、ブラックマトリクス、共通電極および光学フィルムのような、他の層や、要素や、デバイスをさらに含むことができ、回路層TFTは、ここでは詳細な説明を省略するが、表示パネルを駆動するために、画素電極、薄膜トランジスタ、走査線、データ線および共通線のような、各要素を含むことができると理解するであろう。また、ボトムベースBS1、トップベースBS2、液晶層、回路層およびこれらの層、素子、またはデバイスによる発光スペクトルへのシフト効果は、本開示において無視してよい。本開示におけるカラーフィルタ層CFの配置は、これに限定されることなく、表示パネルDPのあらゆる位置に配置されてもよい。例えば、ボトムベースBS1と液晶層LCとの間にカラーフィルタ層CFを配置してもよい。別の実施形態では、ディスプレイパネルDP内であって、底部ベースBS1とカラーフィルタ層CFとの間に、光変換層CLを配置してもよい。
【0031】
本開示のバックライトユニットは、上述した実施形態に限定されない。
図4Bを参照すると、ここでは本開示の第1実施形態の第1変形例に応じた表示装置の断面図を、概略的に示している。
図4Bに示すように、第1変形例の表示装置DD1’と第1実施形態の表示装置DD1との間の違いは、本変形例のバックライトユニットBU’を側光式バックライトユニットとしたことにある。具体的には、バックライトユニットBU’は、少なくとも1つの発光素子LE’と導光板LGPとを含み、少なくとも1つの発光素子LE’は、導光板LGPの少なくとも一側に配置され、発光素子LE’の出射面ESは、導光板LGPの側面SSに対向する。これにより、発光素子LE’から発生した光は側面SSに入射して案内され、導光板LGPの出射面OSから入力光IL’となるように放射するが、出射面OSを側面SSに接続あるいは近接してもよい。本変形例において、バックライトユニットBU’は光変換層CL’をさらに含み、光変換層CL’は青色光を黄色光に変換するための光変換材料M0を含んでいる。光変換層CL’は、発光素子LE’の出射面ESを覆っていてもよい。幾つかの実施形態では、バックライトユニットBU’は、光変換層CL’を含めなくてもよく、光変換材料M0は、導光板LGP内に分散されてもよい。幾つかの実施形態では、バックライトユニットBU’は、導光板LGPの光を出力面OSに向けて反射するための反射体REをさらに含んでもよい。出射面OSに対し反対側にある導光板LGPの底面BSに、反射体REを配置してもよい。
【0032】
続いての記述は、第1実施形態の表示装置により発生される異なる最大ピーク波長を有する発光スペクトルを、第1実施形態の表示装置の構造を適用した比較形態の発光スペクトルと比較したものであり、第1実施形態の発光スペクトルと比較形態の発光スペクトルとの間の違いは、比較形態の出力光の発光スペクトルが、453nm未満の最大ピーク波長を有することにある。
図5A、
図5B、および
図5Cを参照すると、
図5Aは、比較形態に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図であり、
図5Bは、本開示の第1実施形態の第1例に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図であり、
図5Cは、本開示の第1実施形態の第2例に応じた出力光の発光スペクトルと、入力光の発光スペクトルとを示す概略図である。
【0033】
図5Aに示すように、発光スペクトルBL440は、比較形態に応じたバックライトユニットから発生する入力光の発光スペクトルを表わし、発光スペクトルC440は、比較例に応じた表示装置から発生し、発光スペクトルBL440から形成される出力光の発光スペクトルを表わす。入力光の発光スペクトルBL440の最大ピーク波長は、出力光の発光スペクトルC440の最大ピーク波長L2とほぼ同じであり、例えば約440nmであってもよい。入力光の最大ピーク波長と、対応する出力光の最大ピーク波長との差は、2nm以下であってもよい。
【0034】
図5Bに示すように、第1実施形態の第1例において、発光スペクトルBL453は、バックライトユニットから発生する入力光の発光スペクトルを表わし、発光スペクトルC453は、バックライトユニットから発生し、発光スペクトルBL453から形成される出力光の発光スペクトルを表わす。入力光の発光スペクトルBL453の最大ピーク波長は、出力光の発光スペクトルC453の最大ピーク波長L11とほぼ同じであり、例えば約453nmであってもよい。入力光の最大ピーク波長と、対応する出力光の最大ピーク波長との差は、2nm以下であってもよい。
【0035】
図5Cに示すように、第1実施形態の第2例において、発光スペクトルBL460は、バックライトユニットから発生する入力光の発光スペクトルを表わし、発光スペクトルC460は、バックライトユニットから発生し、発光スペクトルBL460から形成される出力光の発光スペクトルを表わす。入力光の発光スペクトルBL460の最大ピーク波長は、出力光の発光スペクトルC460の最大ピーク波長L12とほぼ同じであり、最大ピーク波長L11よりも大きく、例えば約460nmである。各入力光の最大ピーク波長と、対応する出力光の最大ピーク波長との差を、2nm以下にすることで、出力光の最大ピーク波長を入力光の最大ピーク波長により調整でき、これは出力光の最大ピーク波長をバックライトユニットの設計によって調整できることを意味する。
【0036】
例えば、比較形態の表示装置と第1実施形態の表示装置DD1との違いは、比較形態の発光素子と第1実施形態の発光素子が異なる最大ピーク波長を有することにあるが、これに限定されない。また比較形態では、
図5Aに示すように、第2谷B
C21の相対強度がピークW4およびピークW5よりも小さく、第1実施形態の第1例では、
図5Bに示すように、第1谷B
C11の相対強度が最大ピークP1および最大ピークP2よりも小さく、第1実施形態の第2例における第1谷B
C11の相対強度が、第1例における第1谷B
C11の相対強度よりも大きい。別の実施形態では、発光スペクトルの最大ピーク波長がより大きくなると、その最大ピークと480nmから580nmまでの範囲のピークとの間の谷の波長がより大きくなり得る。
【0037】
図4A、
図5A、
図5B、および
図5Cと同様に、表1および表2を参照する。表1は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、比較形態と第1実施形態に応じて計算された第1比率を一覧で示したものであり、表2は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、比較形態と第1実施形態に応じて計算された第2比率を一覧で示したものである。表1および表2で確認できるように、第1実施形態における表示装置DD1の発光スペクトルに関して、色温度が5500Kから7000Kの範囲内にあり、最大ピーク波長が453nmから478nmの範囲内にある場合、発光スペクトルの第1比率を40%から65%の範囲内にできる。また、発光スペクトルの第2比率は殆ど50%未満とすることができる。このように発光素子を介して、出力光の発光スペクトルを、第1比率と第2比率の基準を満たすように調整できる。
【0038】
【0039】
【0040】
いくつかの実施形態において、
図4A、
図5A、
図5B、および
図5Cと同様に、表3を参照する。表3は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、比較形態と第1実施形態に応じて計算された第3比率を一覧で示したものである。色温度が5500Kから7000Kの範囲内にあり、最大ピーク波長が453nmから478nmの範囲内にある場合、発光スペクトルの第3比率は任意に40%から60%の範囲内にできる。また、色温度が高くなるほど、第3比率はより小さくすることができる。
【0041】
【0042】
表示装置の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の変形例や実施形態を有していてもよい。説明を簡単にするために、以下の変形実施形態または実施形態の各々における同一の構成要素には、同一の符号を付している。以下の説明では、様々な変形例または実施形態の間の相違点を詳細に説明し、同一の特徴については重複して説明しない。
【0043】
図6を参照すると、ここでは本開示の第1実施形態の第2変形例に応じた表示装置の断面図を、概略的に示している。第2変形例の表示装置DD1''と第1実施形態の表示装置DD1との違いは、光変換層CL''が、第1変形例でそれぞれ青色光を赤色光に変換するためと、青色光を緑色光に変換するために、2つの光変換材料M1、M2を含み、それにより発光素子から発生される青色光と、赤色光および緑色光は、入力光ILに混合され得ることにある。入力光ILは、白色光となってもよい。本変形例において、光変換材料M1、M2は、量子ドット材料、蛍光材料、カラーフィルタ材料、または色素材を含むことができるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、光変換材料M1、M2を第1変形例の光変換層または導光板に適用してもよい。
【0044】
図6と同様に、表4および表5を参照する。表4は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、別な比較形態と第2変形例に応じて計算された第1比率を一覧で示したものであり、表5は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、その比較形態と第2変形例に応じて計算された第2比率を一覧で示したものである。比較形態の表示装置と第2変形例の表示装置DD1''との違いは、比較形態の発光素子と第2変形例の発光素子が、異なる最大ピーク波長を有することにあるが、これに限定されない。表4および表5で確認できるように、第1実施形態の第2変形例における表示装置DD1''の発光スペクトルに関して、色温度が5500Kから7000Kの範囲内にあり、最大ピーク波長が453nmから478nmまでの範囲内にある場合、発光スペクトルの第1比率は40%から65%の範囲内とあり得る。また、発光スペクトルの第2比率は50%未満とすることができる。
【0045】
【0046】
【0047】
いくつかの実施形態において、
図6と同様に表6を参照する。表6は、異なる最大ピーク波長および異なる色温度で、比較形態と第2変形例に応じて計算された第3比率を一覧で示したものである。色温度が5500Kから7000Kの範囲内にあり、最大ピーク波長が453nmから478nmの範囲内にある場合、発光スペクトルの第3比率を任意に45%から70%の範囲内にできる。また、色温度が高くなるほど、第3比率はより小さい。
【0048】
【0049】
図4Aと同様に、
図7を参照する。
図7は、本開示の第1実施形態の第3変形例および別な比較形態に応じた出力光の発光スペクトルと、青色カラーフィルタの透過スペクトルとを示す概略図である。この比較形態において、透過スペクトルCCF1は、光が透過可能な青色カラーフィルタの透過スペクトルであり、発光スペクトルC450は、入力光が透過スペクトルCCF1を有する青色カラーフィルタを透過することで形成される出力光のスペクトルである。透過スペクトルCCF1は、453nm未満の最大ピーク波長を有することができ、例えば透過スペクトルCCF1は、約450nmの波長で最大ピークP5を有する。すなわち最大ピークP5は、発光スペクトルC450の最大ピークのピークに近くなるので、発光スペクトルC450を有する青色カラーフィルタを透過した光から形成される透過スペクトルCCF1は、例えば450nmの最大ピーク波長を有することができる。
【0050】
第1実施形態の第3変形例において、透過スペクトルCCF2は青色カラーフィルタBCFの透過スペクトルであり、発光スペクトルC455は、入力光が透過スペクトルCCF2を有する青色カラーフィルタを透過することで形成される出力光のスペクトルである。透過スペクトルCCF2は、453nm以上の波長で最大ピークP6を有するので、透過スペクトルCCF2を有する青色カラーフィルタを透過する光から形成される発光スペクトルC455は、例えば465nmの最大ピーク波長を有することができる。したがって、青色カラーフィルタBCFの透過スペクトルCCF2を調整することにより、出力光の発光スペクトルの最大ピーク波長を453nm以上にシフトさせることができる。
【0051】
図8および
図9を参照する。
図8は、本開示の第2実施形態に応じた表示装置の製造方法のフローチャートを概略的に示しており、
図9は、本発明の第2実施形態に応じた表示装置の断面図を概略的に示している。第2実施形態における表示装置DD2の製造方法は、以下の各ステップを含んでいてもよい。ベースBS3を提供するのに、ステップS20が最初に実行される。その後、ベースBS3上に複数の発光素子を形成して表示装置DD2を形成する(ステップS22)。発光素子を形成した後、発光素子を保護するために、発光素子を覆うようにベースBS4をさらに形成してもよい。表示装置DD2は、自発光型の表示装置であってもよい。表示装置DD2は、無機発光ダイオード表示装置(例えば、QLED)または有機発光素子(例えば、OLED)とすることができるが、これに限定されない。ベースBS3およびベースBS4は、硬質基板またはフレキシブル基板であってもよい。例えば、表示装置DD2が自発光型の表示装置である場合、ベースBS3の材料およびベースBS4の材料は、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または他の適切な材料からなり得るが、本開示はそれに限定されない。ベースBS4は、保護層であってもよい。保護層は、水分や酸素から発光ダイオードを保護するための封止層、バリア膜またはバリア層として機能することができる。封止層、バリア膜およびバリア層は、有機材料、無機材料、または有機材料と無機材料の積層体(無機層、有機層、および無機層の積層体など)を含んでもよい。
【0052】
発光素子は、赤色光を発生する赤色発光素子RLE、緑色光を発生させる緑色発光素子GLE、青色光を発生させる青色発光素子BLEを含むことができる。各発光素子は、回路層TFT上に順に支えられたアノードAE、発光層LL、およびカソードCEを含むことができる。赤色光、緑色光および青色光は、白画像の発光スペクトルCL1を有する出力光OLを形成できるので、青色有機発光素子BLEの最大ピーク波長を調整することにより、表示装置DD2の発光スペクトルは第1比率の基準を満たすことができ、赤色発光素子RLE、緑色発光素子GLE、および青色発光素子BLEを最高のグレーレベルで駆動しながら、白画像の発光スペクトルCL1が形成される。いくつかの実施形態では、表示装置DD2の発光スペクトルは、第2比率の基準をさらに満たすか、第2比率および第3比率の基準を満たすことができる。本実施形態において、回路層TFTは発光素子を駆動するために、提供されたベース層BS3と形成された発光素子との間に形成されてもよいが、これに限定されない。別な実施形態において、表示装置DD2は、発光素子の発光スペクトルを調整するために、発光素子上に配置される第1実施形態のカラーフィルタ層および光変換層の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0053】
別な実施形態において、各発光素子は白色光を生成することができ、また発光素子から発生した光が入力光となり、発光素子からの光がカラーフィルタを透過して出力光を形成できるように、表示装置は発光素子上にカラーフィルタをさらに含むことができ、これはカラーフィルタから出射された光が、出力光として機能できることを意味する。この設計では、カラーフィルタを用いて出力光の発光スペクトルを調整できる。
【0054】
図10を参照すると、ここでは、本開示の第2実施形態の変形例に応じた表示装置の断面図を概略的に示している。本変形例の表示装置DD2’と第2実施形態の表示装置DD2との違いは、それぞれの発光素子を発光ダイオードチップまたは発光ダイオードパッケージとしたことにある。一実施形態において、前記発光素子は、赤色光を発生する赤色発光素子RLE’、緑色光を発生させる緑色発光素子GLE’、および青色光を発生させる青色発光素子BLE’を含むことができる。例えば、発光素子は、チップサイズが300μmから2mmまでの範囲の通常LED、チップサイズが100μmから300μmまでの範囲のミニLED、またはチップサイズが1μmから100μmまでの範囲のマイクロLED、或いは量子ドット材料を含む量子ドット発光ダイオード(QLED)とすることができる。したがって、青色発光素子BLE’の発光スペクトルの最大ピーク波長を調整することにより、表示装置DD2’の発光スペクトルは、第1比率、第2比率および第3比率の基準を満たすことができる。
【0055】
別な実施形態において、表示装置DD2’は、発光素子の発光スペクトルを調整するために、発光素子上に配置される第1実施形態のカラーフィルタ層および光変換層の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0056】
以上のように、本開示の表示装置の発光スペクトルは、最大ピーク波長が453nm以上であり、第1比率が40%から65%までの範囲にあるため、表示装置はユーザの目に対する青色光の危険性を低減することができ、また最高のグレーレベルで動作される状態では、通常の白色点を有する白画像を表示することができる。したがって、青色光の危険性の低減と表示品位の向上とを両立して達成できる。
【0057】
当業者であれば、本開示の教示を保持しながら、装置および方法の多数の改変や変更を行なえることは、容易に理解するであろう。したがって、上述の開示は、添付の請求項の境界および範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0058】
BCF 青色カラーフィルタ
BLE、BLE’ 青色発光素子(発光素子)
BS3、BS4 ベース
BU、BU’ バックライトユニット
CF カラーフィルタ層
CL、CL’、CL'' 光変換層
DD、DD1’、DD2、DD2’ 表示装置
DP 表示パネル
GLE、GLE’ 緑色発光素子(発光素子)
LE、LE’ 発光素子(青色発光素子)
M0、M1、M2 光変換材料
RLE、RLE’ 赤色発光素子(発光素子)